有価証券報告書-第162期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/24 11:39
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、前半は低金利に支えられ緩やかな景気拡大を維持したものの、後半は、米中貿易摩擦による中国経済の減速の影響などで世界的にデフレ懸念が台頭しました。年度末にかけては、新型コロナウイルス感染症の拡大が加わり、人の移動も含め経済活動の停滞と金融市場の混乱を招くなど、景気は一気に減速しました。
このような環境のもと、当社グループは、「2018年中期経営計画」において成長分野として位置付ける「フィルム&コーティング」、「モビリティ」、「ヘルスケア&ウェルネス」に注力してきました。特に、「フィルム&コーティング」では、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”が、厳しい外部環境にもかかわらず、販売を着実に伸ばしました。さらには、フィルム事業基盤をより強固にするため、2019年10月1日付で、帝人株式会社が保有する子会社2社の全株式を取得し、一体運営を開始しました。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う世界経済の停滞は、当社グループの自動車関連製品をはじめとするさまざまな事業活動に影響を及ぼしはじめました。一方で、検査機関等の要請に対応し、新型コロナウイルスのPCR検査用試薬を大幅に増産しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は前年度比29億円(0.9%)増の3,396億円となり、営業利益は11億円(4.9%)増の228億円、経常利益は同2億円(1.4%)増の180億円、親会社株主に帰属する当期純利益は、火災事故の受取保険金106億円を特別利益に計上したこともあり138億円(前年度は親会社株主に帰属する当期純損失6億円)となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりです。
(フィルム・機能樹脂事業)
当事業は、フィルム事業、機能樹脂事業ともに好調に推移した結果、前年度に比べ増収増益となりました。
フィルム事業では、包装用フィルムは、世の中の環境意識の高まりを受け、環境に配慮した製品の販売が好調でした。工業用フィルムは、セラミックコンデンサ用離型フィルム“コスモピール”が電子関連部品の生産調整の影響を受けましたが、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”は生産性を向上し、大手偏光板メーカー向けの販売を順調に拡大しました。
機能樹脂事業では、エンジニアリングプラスチックは、世界的自動車減産の動きの中、新型コロナウイルス感染症による自動車メーカーの操業停止の影響を受け、さらに、中国向けの工作機械用途等の樹脂販売が伸びず苦戦しました。ポリオレフィン用接着性付与剤“ハードレン”は海外向けに販売を伸ばしました。
この結果、当事業の売上高は前年度比26億円(1.7%)増の1,588億円、営業利益は同28億円(20.5%)増の165億円となりました。
(産業マテリアル事業)
当事業は、火災事故の影響と需要減により、前年度に比べ、減収減益となりました。
エアバッグ用基布は、エンジニアリングプラスチックと同様に、自動車業界の生産鈍化に火災事故の影響も加わり、苦戦しました。スーパー繊維事業では、“イザナス”はロープ用途を中心に販売を伸ばし、“ザイロン”は自転車タイヤ用途などで販売を拡大しました。生活・産業資材事業では、機能性クッション材“ブレスエアー”は2019年9月に新工場を立ち上げ、生産・販売を再開しました。
この結果、当事業の売上高は前年度比11億円(1.7%)減の654億円、営業利益は同16億円(60.5%)減の10億円となりました。
(ヘルスケア事業)
当事業は、バイオ・メディカル事業は費用がかさみましたが、機能膜・環境事業はおおむね堅調に推移し、前年度に比べ、増収増益となりました。
バイオ・メディカル事業では、診断薬用酵素は海外への販売が好調に推移しましたが、医薬品製造受託事業は、GMP(医薬品等の製造および品質管理基準)対応にかかる費用がかさみました。
機能膜・環境事業では、機能フィルターは事務機器向けの販売が減少しましたが、溶剤を回収するVOC処理装置・エレメントは中国をはじめ海外の環境規制強化に伴い、販売を大きく伸ばしました。
この結果、当事業の売上高は前年度比47億円(13.7%)増の394億円、営業利益は同4億円(7.3%)増の55億円となりました。
(繊維・商事事業)
当事業は、前年度に比べ、減収減益となりました。
中東向け特化生地は、市況の回復により販売数量が増加し、ユニフォーム用途も企業向け制服の販売が順調に伸びました。一方、インナー用途とアクリル繊維は、原料価格変動と、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、中国向けの輸出が減少し、かつ、同国のサプライチェーンが混乱したことにより、低調な結果となりました。
この結果、当事業の売上高は前年度比33億円(5.0%)減の613億円となり、営業利益は同4億円(38.6%)減の6億円となりました。
(不動産事業、その他事業)
当事業では、不動産、エンジニアリング、情報処理サービス、物流サービス等のインフラ事業は、それぞれ概ね計画どおりに推移しました。
この結果、当事業の売上高は前年度比0億円(0.2%)減の146億円、営業利益は同4億円(17.5%)増の26億円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度比364億円収入が増加し、443億円の収入となりました。主な内容は、税金等調整前当期純利益197億円および減価償却費170億円による資金の増加です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度比149億円支出が増加し、392億円の支出となりました。主な内容は、有形及び無形固定資産の取得による支出309億円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度比144億円支出が増加し、18億円の支出となりました。主な内容は、短期借入金の減少135億円、社債の償還による支出100億円、配当金の支払額36億円および社債の発行による収入250億円です。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比29億円増の251億円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)
フィルム・機能樹脂事業160,8270.9
産業マテリアル事業63,101△6.6
ヘルスケア事業41,8759.0
繊維・商事事業60,640△6.6
不動産事業--
その他事業(うち製造事業)22,9151.4
合計349,358△1.0

(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
2.外注生産を含んでいます。
3.消費税等の処理は税抜方式によっています。
4.不動産事業の生産実績はありません。
(ロ)受注実績
当社グループの製品は一部の受注生産を除き見込生産を行っています。
(ハ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)
フィルム・機能樹脂事業158,8331.7
産業マテリアル事業65,405△1.7
ヘルスケア事業39,41213.7
繊維・商事事業61,328△5.0
不動産事業4,4055.0
その他事業10,224△2.3
合計339,6070.9

(注)1.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上となる販売先はありません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しています。
3.消費税等の処理は税抜方式によっています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 追加情報」に記載しているとおりです。
連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積りが必要な場合があり、これらの見積りについては過去の実績等を勘案し合理的に判断しています。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前年度末比278億円(6.0%)増の4,889億円となりました。主な内容は、設備投資の増加等による有形固定資産の増加230億円および電子記録債権の増加43億円です。
当連結会計年度末の負債は、前年度末比264億円(9.4%)増の3,062億円となりました。主な内容は、社債の増加150億円および退職給付に係る負債の増加34億円です。
当連結会計年度末の純資産は、その他有価証券評価差額金などその他の包括利益累計額が88億円減少したものの利益剰余金が101億円増加したことなどから、前年度末比14億円(0.8%)増の1,826億円となりました。
また、財政状態に関する各種指標(連結ベース)は次のとおりです。
回次第158期第159期第160期第161期第162期
決算年月2016年3月2017年3月2018年3月2019年3月2020年3月
自己資本比率(%)35.337.240.538.336.4
時価ベースの自己資本比率(%)33.738.041.827.220.8
自己資本当期純利益率(%)6.45.87.5△0.37.8
キャッシュ・フロー対
有利子負債比率
(年)5.16.36.521.04.0
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)19.419.316.96.032.2
有利子負債自己資本比率
(D/Eレシオ)
(倍)1.051.010.810.930.98

自己資本比率:非支配株主持分を含まない期末純資産/期末総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額[期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数]/期末総資産
自己資本当期純利益率:親会社株主に帰属する当期純利益/非支配株主持分を含まない期末純資産の期首・期末
平均
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:期末有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/(連結キャッシュ・フロー計算書)利息の支払

有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ):期末有利子負債/非支配株主持分を含まない期末純資産
当社グループは、財務の健全性の指標として特に有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)を重視しており、目標を1.0倍未満としています。当連結会計年度は、帝人株式会社が保有する子会社2社の全株式を取得しました。加えて、“コスモシャインSRF”製造設備の新設や“ブレスエアー”製造設備の再建など、設備投資額が大きく増加しました。このため、有利子負債は増加しましたが、D/Eレシオは当連結会計年度末で0.98倍と目標の1.0倍未満を維持しました。
(ロ)経営成績の分析
2018年中期経営計画の二年目にあたる当連結会計年度は、期初において売上高3,500億円、営業利益220億円を計画し、事業活動を進めてきました。その結果、当連結会計年度の売上高は3,396億円、営業利益は228億円となり、売上高は未達となりましたが、営業利益は計画を達成しました。
売上高については、前連結会計年度において連結子会社1社を譲渡したことによる影響等により計画に対して未達となりました。営業利益については、産業マテリアル事業は、世界的な自動車減産等により苦戦しましたが、フィルム・機能樹脂事業は、“コスモシャインSRF”の生産性を高め、販売を伸ばしたことなどから、期初の計画を達成しました。特に、“コスモシャインSRF”は液晶テレビ保護フィルム市場におけるシェアを約35%とし、前連結会計年度から約5ポイント増加したものと推定しています。また、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症拡大により、海外の一部の国において操業を数週間停止しましたが、利益に与える影響は軽微で限定的でした。以上により、「総資本営業利益率(ROA)」は4.7%となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益については、特別利益に火災事故の受取保険金をほぼ計画どおり106億円計上しましたが、固定資産処分損40億円、火災による損失31億円等の特別損失95億円を計上したことなどから、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は138億円となりました。
(単位:億円)
2019年度
(計画)
2019年度
(実績)
増 減
(実績-計画)
売上高3,5003,396△104
営業利益2202288
親会社株主に帰属する当期純利益170138△32

当社グループは、2018年中期経営計画において、成長への積極的な投資を推進し、「不断のポートフォリオ改革」に取り組んでいます。当連結会計年度に実施した、主な成長への取組みは次のとおりです。
フィルム・機能樹脂事業
・フィルム事業基盤をより強固にするため、2019年10月1日付で、帝人株式会社が保有する子会社2社の全株式を取得し、一体運営を開始
・セラコン用離型フィルム“コスモピール”の新加工設備が2019年10月に稼働
・透明蒸着フィルム“エコシアール”の製造子会社であるPT.TOYOBO TRIAS ECOSYARが2019年11月に生産を開始
ヘルスケア事業
・PCR検査用試薬において、「新型コロナウイルス検出キット(研究用試薬)」を開発
全社共通
・中長期の成長のために、企業理念体系を再整理し、「TOYOBO PVVs」として体系化
これらの先行投資等を着実に実らせ、2018年中期経営計画の目標達成に努めます。
(ハ)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりですが、特に、2018年9月の当社敦賀事業所において発生した大規模火災を教訓として防災機能の強化を継続して推し進めます。また、新型コロナウイルス感染症の収束時期等が不透明な状況であり、経済活動の正常化には時間がかかる恐れがあることから、原燃料などの価格動向や為替変動について引き続き留意していく必要があると考えています。
(ニ)当社グループの資本の財源および資金の流動性について
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.契約債務
2020年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりです。
年度別要支払額(百万円)
契約債務合計1年以内1年超3年以内3年超5年以内5年超
短期借入金32,02732,027---
長期借入金84,3608,51027,87530,38017,595
リース債務3,7527751,3306441,002

上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めています。
当社グループの第三者に対する保証は、関係会社の借入金等に対する債務保証です。保証した借入金等の債務不履行が保証期間内に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2020年3月31日現在の債務保証額は、3,102百万円です。
c.財務政策
当社グループは、運転資金および設備資金については、内部資金または借入により資金調達することとしています。このうち、借入による資金調達に関しては、短期借入金は主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入金および社債は主に設備投資と投融資に係る資金調達です。
2020年3月31日現在、長期借入金の残高は84,360百万円です。また、マーケット環境の一時的な変化など、不測の事態への対応手段確保のため、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計17,500百万円のコミットメントライン契約を締結しています(借入未実行残高17,500百万円)。

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