有価証券報告書-第75期(2025/04/01-2026/03/31)
1.業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)における当社グループを取り巻く外部環境は、秋冬商戦に複数の逆風が重なる局面となりました。国内消費におきましては、消費者の価格選別姿勢が強まり、価格改定の累積に対する反応は一段と敏感になりました。訪日外国人消費につきましては、2025年11月以降、中国大陸からの個人消費に構造的な変化が現れ、当社主要直営店における免税売上の伸長は同月を境に明確に鈍化いたしました。あわせて、12月以降の暖冬傾向が、アウターおよび保温系商品を中心に秋冬商戦の需要動向に影響を及ぼしました。
こうした環境下、当社グループの属するアウトドア関連市場におきましては、ブランド体験と機能性を兼備するプレミアム領域の需要は相対的に堅調に推移した一方、定番品を中心に数量の伸びは鈍化し、市場全体が数量の拡大から品質と体験の深化へと移行する局面にあるものと認識しております。
当社グループは、このような環境認識のもと、基幹ブランドTHE NORTH FACEの収益基盤強化、自社ブランドGoldwinの成長加速、および販売チャネル全体における質的深化を、中期経営計画の基本方針として推進してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高137,516百万円(前期比3.9%増)、営業利益25,859百万円(前期比18.1%増)、経常利益33,904百万円(前期比10.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は24,094百万円(前期比1.4%減)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は50,956百万円となり、前連結会計年度末より1,028百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは26,257百万円の収入(前連結会計年度比1,820百万円の収入増)となりました。主な要因は、持分法による投資利益7,770百万円、法人税及び住民税の支払5,581百万円および株式給付引当金の減少4,993百万円があったものの、税金等調整前当期純利益32,130百万円および利息・配当金の受取7,528百万円があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは13,468百万円の支出(前連結会計年度は208百万円の収入)となりました。これは主に、定期預金の純増加額7,000百万円および固定資産の取得による支出6,046百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは13,675百万円の支出(前連結会計年度比1,092百万円の支出減)となりました。これは主に、借入金の純増加額426百万円があったものの、配当金の支払9,665百万円および自己株式の取得による支出3,717百万円によるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている短期借入金、長期借入金(1年以内返済分を含む)および社債(1年以内返済分を含む)を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループは、製品の種類、性質、製造方法および販売市場等の類似性から判断して、同種・同系列のスポーツ用品を専ら製造販売しているため、生産および販売の実績についての記載を省略しております。また、受注状況についても一部の特殊商品のみ受注生産を行っておりますが、全体に占める割合が僅少であるため、記載を省略しております。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されておりますが、その中で以下に掲げる重要な会計方針および見積りにつきましては特に、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因になっていると考えております。
① 売上高の計上基準
当社グループの売上高は、商品を顧客に引渡した時点で履行義務が充足されると判断し、当該時点で売上を計上しております。ただし、国内の販売において、出荷時から商品又は製品の支配が顧客に移転される時までの時間が通常の期間である場合には、出荷時に売上を計上しております。
② 製品・商品・原材料の評価
棚卸資産のうち、製品・商品についてはあらかじめ設定された販売適用時期を過ぎたものについて、過去の販売実績に基づき開発年度ごとに算定した評価率を乗じて時価(正味売却価額)を算出し、その時価の見積り額と原価との差額を評価減しております。
原材料は生地等の今後の使用可能性とともに、一定の滞留期間を経過したものについて、処分価格を基準として評価減しております。
③ 固定資産の減損処理
固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたっては、主として営業店舗等を基本単位とした資産のグルーピングを行っております。業績不振により収益性が著しく低下したグループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損処理しております。
④ 有価証券の減損処理
市場価格のある有価証券については、基本的に連結会計年度末の市場価格が取得原価を50%以上下回ったものは全て、下落率が30%以上50%未満のものは、回復可能性を一定の基準で判定し減損処理を行っております。また、市場価格のない会社への投資については、当該会社の1株当たり純資産額が取得原価を30%以上下回った場合に、回復可能性を一定の基準で判定し減損処理しております。
(2)財政状態の分析
① 流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は102,923百万円となり、前連結会計年度末と比べ9,484百万円増加いたしました。その主な要因は、現金及び預金の増加5,971百万円、売掛金の増加2,248百万円等があったためであります。
・売上債権(受取手形及び売掛金、電子記録債権)
当連結会計年度末の売上債権は22,603百万円となり、前連結会計年度末と比べ3,066百万円増加いたしました。当連結会計年度末の売上債権回転月数につきましては、前連結会計年度末1.77ヵ月から当連結会計年度末1.97ヵ月となりました。
・棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)
当連結会計年度末の棚卸資産は19,741百万円となり、前連結会計年度末と比べ521百万円増加いたしました。棚卸資産回転月数につきましては、前連結会計年度末1.74ヵ月から当連結会計年度末1.72ヵ月となりました。
② 固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は65,304百万円となり、前連結会計年度末と比べ7,865百万円増加いたしました。その主な要因は、建設仮勘定の増加4,345百万円、投資有価証券の増加2,422百万円等によるものであります。
・投資有価証券
投資有価証券には、関連会社の株式27,916百万円のほか、長期・安定的な取引関係維持のために所有している主要取引金融機関や主要仕入先等の株式が含まれております。当連結会計年度末における投資有価証券の残高は35,436百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,422百万円増加いたしました。
③ 負債(流動負債および固定負債)
当連結会計年度末における負債合計の残高は37,728百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,945百万円減少いたしました。主な要因は、リース債務の増加1,196百万円、繰延税金負債の増加1,007百万円があったものの、株式給付引当金の減少4,993百万円があったためであります。
④ 純資産
当連結会計年度末における純資産合計の残高は130,499百万円となり、前連結会計年度末と比べ19,295百万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金の増加14,547百万円、その他有価証券評価差額金の増加2,090百万円があったためであります。
・自己資本比率
当連結会計年度末の自己資本比率は76.9%となり、前連結会計年度末と比べ3.7ポイント上昇いたしました。
・ROE
当連結会計年度末のROEは20.1%となり、前連結会計年度末と比べ3.1ポイント下落いたしました。
(3)資本の財源および資金の流動性に係る情報等
① キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末より1,028百万円減少し、50,956百万円となりました。
これは、営業活動による収入26,257百万円に対し、固定資産の取得等の投資活動による支出が13,468百万円あったことおよび配当金の支払等の財務活動による支出が13,675百万円あったことによるものです。
当社グループは、運転資金および設備投資について、営業活動から獲得する自己資金ならびに金融機関からの借入による調達を行うものとしております。
なお、手元現預金等に加え、主力銀行を中心とした取引金融機関の協力も得て、資金の充分な流動性を確保しており、当社の当面の資金繰りおよび財務の安定性に懸念はございません。
② 財務政策
現在、当社グループの財務政策の重点課題として、「グループキャッシュ・フロー重視経営の徹底」を掲げております。有利子負債の削減を目的としてキャッシュ・フロー管理の徹底を図り、ブランド事業ごとの収益基盤の強化を推進し、財務体質を強化いたします。また、財務の健全性を高めるため、長期安定資金の比率を高めるとともに総資産の圧縮を進めます。
主たる経営指標としては、自己資本利益率(ROE)の向上を目標とし、収益性・効率性の高い経営を目指しております。
具体的には、引き続きキャッシュ・フロー重視の経営を推進することで、ROE20.0%以上の維持を目標として取り組みます。
また、積極的に投資を推進する方針でありますが、経営の健全性を保つために有利子負債比率(D/Eレシオ)は0.3倍以下の維持を目指して取り組んでまいります。
(4)経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は137,516百万円(前期比3.9%増)となり、過去最高額を更新しました。基幹ブランドTHE NORTH FACEにおきましては、パフォーマンスブランドとしての本質への回帰を経営方針の中核に据え、SUMMIT SERIES 25周年を契機としたマウンテンパフォーマンス領域の強化を進めてまいりました。カテゴリ別では、ハードグッズおよびフットウエアは、新規ラインの立ち上がりが計画を上回り、直営店の拡充とあわせて順調に推移いたしました。とりわけフットウエアにおきましては、VECTIVシリーズを中心とするトレイルランニング領域の新規ラインが牽引役となりました。一方、アパレルにつきましては、主力定番品の価格改定が重ねられた結果、価格に対する顧客の反応が従来以上に厳しくなり、数量の伸びが鈍化いたしました。
なお、12月の月次売上が暖冬および訪日外国人消費の変化を受けて期初計画を下回って推移して以降、第4四半期におきましては、売上高を短期的に積み上げることを目的とした値引き販売を抑制し、売上総利益率の確保および翌期の在庫の健全性を優先する販売姿勢を貫きました。これは、ブランド価値の維持と、翌期以降の収益基盤の持続性を最優先に据えた経営判断であります。
自社ブランドGoldwinにおきましては、国内直営店の編集・演出力を高めるとともに、海外事業、とりわけ長期ビジョン「Goldwin500」に基づく中国事業において明確な進展を得ました。中国子会社は黒字転換を達成し、直近四半期には前年を大きく上回る利益成長を記録しております。これは出店数の拡大のみに頼るのではなく、一店舗当たり収益性の向上を軸とする成長モデルが現地市場で機能し始めたことを示しております。
② 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は売上高の増加により、72,946百万円(前期比5.8%増)となりました。値引き抑制、商品ミックスの改善、および在庫健全性を重視した販売姿勢により53.0%(前期比0.9ポイント上昇)となりました。
③ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は25,859百万円(前期比18.1%増)となりました。販売費及び一般管理費は、成長に向けた基盤投資、海外事業の展開に伴う関連経費、ならびに直営店ネットワークの拡充に要した経費の増加があったものの66百万円(前期比0.1%増)の増加にとどまり、営業利益は前期比増益となりました。
④ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は33,904百万円(前期比10.1%増)となりました。韓国における持分法適用関連会社であるYOUNGONE OUTDOOR Corporationは、営業利益につきましては前期並みの水準を維持いたしましたが、為替影響により営業外損益が減少し、同社の当期利益および当社の持分法投資利益の減少要因となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
特別損益には、投資有価証券売却損1,075百万円を計上いたしました。また、法人税等の計上が前期比38.4%増の7,979百万円となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は24,094百万円(前期比1.4%減)となりました。
(5)目標とする経営指標の達成状況
引き続き円安や資源価格高騰の影響はあるものの、旺盛なインバウンド需要に加え、実質賃金の上昇により国内経済が活性化することは、当社のようなブランドビジネスには良い影響を与えると認識しております。このような状況下、当社グループは、自社ブランドGoldwinの海外展開を積極的に推進すべく、2025年3月期を初年度とする新しい中期経営計画をスタートさせております。
新しい中期経営計画では、これまでの「事業と環境の2つのサステナビリティの両立」の基本方針を継続しつつ、Goldwinブランドによる海外展開具体化、THE NORTH FACEの市場拡張、成長投資先の探索や株主還元、人的資本への投資等のキャッシュアロケーションの方針等を織り込んでおります。
こうした環境のもと、当社グループは、2025年3月期より始動した中期経営計画に基づき、自社ブランド「Goldwin」のグローバル展開を成長戦略の中核に位置づけ、2033年3月期における全世界売上高500億円の達成を長期目標に掲げ、その実現に向けて、戦略的な海外出店を着実に進めております。また、THE NORTH FACEブランドにおいては、アウトドアアパレルという中核領域の収益基盤を維持しつつ、ウィメンズ・キッズ・フットウェアといった周辺カテゴリーへの展開を加速させ、さらなる成長の可能性を追求しております。
2027年3月期におきましては、小売・アパレル業界を取り巻く構造変化が継続することを前提に、当社グループは引き続き、短期的な数量の積み上げではなく、売上総利益率の確保およびブランド価値の持続性を優先する経営を一貫して行ってまいります。基幹ブランドTHE NORTH FACEにおける体質強化、自社ブランドGoldwinの収益化加速、ならびにポートフォリオ全体の成長ドライバーの再定義を通じて、中期経営計画の達成確度の向上に努めてまいります。
2027年3月期の連結業績予想につきましては、売上高145,400百万円(前期比5.7%増)、営業利益26,100百万円
(前期比0.9%増)、経常利益34,100百万円(前期比0.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益25,600百万円(前期比6.3%増)を見込んでおります。
(単位:百万円)
(1)業績
当連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)における当社グループを取り巻く外部環境は、秋冬商戦に複数の逆風が重なる局面となりました。国内消費におきましては、消費者の価格選別姿勢が強まり、価格改定の累積に対する反応は一段と敏感になりました。訪日外国人消費につきましては、2025年11月以降、中国大陸からの個人消費に構造的な変化が現れ、当社主要直営店における免税売上の伸長は同月を境に明確に鈍化いたしました。あわせて、12月以降の暖冬傾向が、アウターおよび保温系商品を中心に秋冬商戦の需要動向に影響を及ぼしました。
こうした環境下、当社グループの属するアウトドア関連市場におきましては、ブランド体験と機能性を兼備するプレミアム領域の需要は相対的に堅調に推移した一方、定番品を中心に数量の伸びは鈍化し、市場全体が数量の拡大から品質と体験の深化へと移行する局面にあるものと認識しております。
当社グループは、このような環境認識のもと、基幹ブランドTHE NORTH FACEの収益基盤強化、自社ブランドGoldwinの成長加速、および販売チャネル全体における質的深化を、中期経営計画の基本方針として推進してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高137,516百万円(前期比3.9%増)、営業利益25,859百万円(前期比18.1%増)、経常利益33,904百万円(前期比10.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は24,094百万円(前期比1.4%減)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は50,956百万円となり、前連結会計年度末より1,028百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは26,257百万円の収入(前連結会計年度比1,820百万円の収入増)となりました。主な要因は、持分法による投資利益7,770百万円、法人税及び住民税の支払5,581百万円および株式給付引当金の減少4,993百万円があったものの、税金等調整前当期純利益32,130百万円および利息・配当金の受取7,528百万円があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは13,468百万円の支出(前連結会計年度は208百万円の収入)となりました。これは主に、定期預金の純増加額7,000百万円および固定資産の取得による支出6,046百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは13,675百万円の支出(前連結会計年度比1,092百万円の支出減)となりました。これは主に、借入金の純増加額426百万円があったものの、配当金の支払9,665百万円および自己株式の取得による支出3,717百万円によるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 63.9 | 67.4 | 70.9 | 73.2 | 76.9 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 283.6 | 478.9 | 315.1 | 245.1 | 180.3 |
| 債務償還年数(年) | 0.2 | 0.1 | 0.1 | 0.0 | 0.0 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 223.8 | 474.0 | 501.7 | 635.6 | 385.4 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている短期借入金、長期借入金(1年以内返済分を含む)および社債(1年以内返済分を含む)を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループは、製品の種類、性質、製造方法および販売市場等の類似性から判断して、同種・同系列のスポーツ用品を専ら製造販売しているため、生産および販売の実績についての記載を省略しております。また、受注状況についても一部の特殊商品のみ受注生産を行っておりますが、全体に占める割合が僅少であるため、記載を省略しております。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されておりますが、その中で以下に掲げる重要な会計方針および見積りにつきましては特に、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因になっていると考えております。
① 売上高の計上基準
当社グループの売上高は、商品を顧客に引渡した時点で履行義務が充足されると判断し、当該時点で売上を計上しております。ただし、国内の販売において、出荷時から商品又は製品の支配が顧客に移転される時までの時間が通常の期間である場合には、出荷時に売上を計上しております。
② 製品・商品・原材料の評価
棚卸資産のうち、製品・商品についてはあらかじめ設定された販売適用時期を過ぎたものについて、過去の販売実績に基づき開発年度ごとに算定した評価率を乗じて時価(正味売却価額)を算出し、その時価の見積り額と原価との差額を評価減しております。
原材料は生地等の今後の使用可能性とともに、一定の滞留期間を経過したものについて、処分価格を基準として評価減しております。
③ 固定資産の減損処理
固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたっては、主として営業店舗等を基本単位とした資産のグルーピングを行っております。業績不振により収益性が著しく低下したグループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損処理しております。
④ 有価証券の減損処理
市場価格のある有価証券については、基本的に連結会計年度末の市場価格が取得原価を50%以上下回ったものは全て、下落率が30%以上50%未満のものは、回復可能性を一定の基準で判定し減損処理を行っております。また、市場価格のない会社への投資については、当該会社の1株当たり純資産額が取得原価を30%以上下回った場合に、回復可能性を一定の基準で判定し減損処理しております。
(2)財政状態の分析
① 流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は102,923百万円となり、前連結会計年度末と比べ9,484百万円増加いたしました。その主な要因は、現金及び預金の増加5,971百万円、売掛金の増加2,248百万円等があったためであります。
・売上債権(受取手形及び売掛金、電子記録債権)
当連結会計年度末の売上債権は22,603百万円となり、前連結会計年度末と比べ3,066百万円増加いたしました。当連結会計年度末の売上債権回転月数につきましては、前連結会計年度末1.77ヵ月から当連結会計年度末1.97ヵ月となりました。
・棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)
当連結会計年度末の棚卸資産は19,741百万円となり、前連結会計年度末と比べ521百万円増加いたしました。棚卸資産回転月数につきましては、前連結会計年度末1.74ヵ月から当連結会計年度末1.72ヵ月となりました。
② 固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は65,304百万円となり、前連結会計年度末と比べ7,865百万円増加いたしました。その主な要因は、建設仮勘定の増加4,345百万円、投資有価証券の増加2,422百万円等によるものであります。
・投資有価証券
投資有価証券には、関連会社の株式27,916百万円のほか、長期・安定的な取引関係維持のために所有している主要取引金融機関や主要仕入先等の株式が含まれております。当連結会計年度末における投資有価証券の残高は35,436百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,422百万円増加いたしました。
③ 負債(流動負債および固定負債)
当連結会計年度末における負債合計の残高は37,728百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,945百万円減少いたしました。主な要因は、リース債務の増加1,196百万円、繰延税金負債の増加1,007百万円があったものの、株式給付引当金の減少4,993百万円があったためであります。
④ 純資産
当連結会計年度末における純資産合計の残高は130,499百万円となり、前連結会計年度末と比べ19,295百万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金の増加14,547百万円、その他有価証券評価差額金の増加2,090百万円があったためであります。
・自己資本比率
当連結会計年度末の自己資本比率は76.9%となり、前連結会計年度末と比べ3.7ポイント上昇いたしました。
・ROE
当連結会計年度末のROEは20.1%となり、前連結会計年度末と比べ3.1ポイント下落いたしました。
(3)資本の財源および資金の流動性に係る情報等
① キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末より1,028百万円減少し、50,956百万円となりました。
これは、営業活動による収入26,257百万円に対し、固定資産の取得等の投資活動による支出が13,468百万円あったことおよび配当金の支払等の財務活動による支出が13,675百万円あったことによるものです。
当社グループは、運転資金および設備投資について、営業活動から獲得する自己資金ならびに金融機関からの借入による調達を行うものとしております。
なお、手元現預金等に加え、主力銀行を中心とした取引金融機関の協力も得て、資金の充分な流動性を確保しており、当社の当面の資金繰りおよび財務の安定性に懸念はございません。
② 財務政策
現在、当社グループの財務政策の重点課題として、「グループキャッシュ・フロー重視経営の徹底」を掲げております。有利子負債の削減を目的としてキャッシュ・フロー管理の徹底を図り、ブランド事業ごとの収益基盤の強化を推進し、財務体質を強化いたします。また、財務の健全性を高めるため、長期安定資金の比率を高めるとともに総資産の圧縮を進めます。
主たる経営指標としては、自己資本利益率(ROE)の向上を目標とし、収益性・効率性の高い経営を目指しております。
具体的には、引き続きキャッシュ・フロー重視の経営を推進することで、ROE20.0%以上の維持を目標として取り組みます。
また、積極的に投資を推進する方針でありますが、経営の健全性を保つために有利子負債比率(D/Eレシオ)は0.3倍以下の維持を目指して取り組んでまいります。
(4)経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は137,516百万円(前期比3.9%増)となり、過去最高額を更新しました。基幹ブランドTHE NORTH FACEにおきましては、パフォーマンスブランドとしての本質への回帰を経営方針の中核に据え、SUMMIT SERIES 25周年を契機としたマウンテンパフォーマンス領域の強化を進めてまいりました。カテゴリ別では、ハードグッズおよびフットウエアは、新規ラインの立ち上がりが計画を上回り、直営店の拡充とあわせて順調に推移いたしました。とりわけフットウエアにおきましては、VECTIVシリーズを中心とするトレイルランニング領域の新規ラインが牽引役となりました。一方、アパレルにつきましては、主力定番品の価格改定が重ねられた結果、価格に対する顧客の反応が従来以上に厳しくなり、数量の伸びが鈍化いたしました。
なお、12月の月次売上が暖冬および訪日外国人消費の変化を受けて期初計画を下回って推移して以降、第4四半期におきましては、売上高を短期的に積み上げることを目的とした値引き販売を抑制し、売上総利益率の確保および翌期の在庫の健全性を優先する販売姿勢を貫きました。これは、ブランド価値の維持と、翌期以降の収益基盤の持続性を最優先に据えた経営判断であります。
自社ブランドGoldwinにおきましては、国内直営店の編集・演出力を高めるとともに、海外事業、とりわけ長期ビジョン「Goldwin500」に基づく中国事業において明確な進展を得ました。中国子会社は黒字転換を達成し、直近四半期には前年を大きく上回る利益成長を記録しております。これは出店数の拡大のみに頼るのではなく、一店舗当たり収益性の向上を軸とする成長モデルが現地市場で機能し始めたことを示しております。
② 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は売上高の増加により、72,946百万円(前期比5.8%増)となりました。値引き抑制、商品ミックスの改善、および在庫健全性を重視した販売姿勢により53.0%(前期比0.9ポイント上昇)となりました。
③ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は25,859百万円(前期比18.1%増)となりました。販売費及び一般管理費は、成長に向けた基盤投資、海外事業の展開に伴う関連経費、ならびに直営店ネットワークの拡充に要した経費の増加があったものの66百万円(前期比0.1%増)の増加にとどまり、営業利益は前期比増益となりました。
④ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は33,904百万円(前期比10.1%増)となりました。韓国における持分法適用関連会社であるYOUNGONE OUTDOOR Corporationは、営業利益につきましては前期並みの水準を維持いたしましたが、為替影響により営業外損益が減少し、同社の当期利益および当社の持分法投資利益の減少要因となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
特別損益には、投資有価証券売却損1,075百万円を計上いたしました。また、法人税等の計上が前期比38.4%増の7,979百万円となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は24,094百万円(前期比1.4%減)となりました。
(5)目標とする経営指標の達成状況
引き続き円安や資源価格高騰の影響はあるものの、旺盛なインバウンド需要に加え、実質賃金の上昇により国内経済が活性化することは、当社のようなブランドビジネスには良い影響を与えると認識しております。このような状況下、当社グループは、自社ブランドGoldwinの海外展開を積極的に推進すべく、2025年3月期を初年度とする新しい中期経営計画をスタートさせております。
新しい中期経営計画では、これまでの「事業と環境の2つのサステナビリティの両立」の基本方針を継続しつつ、Goldwinブランドによる海外展開具体化、THE NORTH FACEの市場拡張、成長投資先の探索や株主還元、人的資本への投資等のキャッシュアロケーションの方針等を織り込んでおります。
こうした環境のもと、当社グループは、2025年3月期より始動した中期経営計画に基づき、自社ブランド「Goldwin」のグローバル展開を成長戦略の中核に位置づけ、2033年3月期における全世界売上高500億円の達成を長期目標に掲げ、その実現に向けて、戦略的な海外出店を着実に進めております。また、THE NORTH FACEブランドにおいては、アウトドアアパレルという中核領域の収益基盤を維持しつつ、ウィメンズ・キッズ・フットウェアといった周辺カテゴリーへの展開を加速させ、さらなる成長の可能性を追求しております。
2027年3月期におきましては、小売・アパレル業界を取り巻く構造変化が継続することを前提に、当社グループは引き続き、短期的な数量の積み上げではなく、売上総利益率の確保およびブランド価値の持続性を優先する経営を一貫して行ってまいります。基幹ブランドTHE NORTH FACEにおける体質強化、自社ブランドGoldwinの収益化加速、ならびにポートフォリオ全体の成長ドライバーの再定義を通じて、中期経営計画の達成確度の向上に努めてまいります。
2027年3月期の連結業績予想につきましては、売上高145,400百万円(前期比5.7%増)、営業利益26,100百万円
(前期比0.9%増)、経常利益34,100百万円(前期比0.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益25,600百万円(前期比6.3%増)を見込んでおります。
(単位:百万円)
| 2022年 3月期 (実績) | 2023年 3月期 (実績) | 2024年 3月期 (実績) | 2025年 3月期 (実績) | 2026年 3月期 (実績) | 2027年 3月期 (予想) | |
| 連結売上高 | 98,235 | 115,052 | 126,907 | 132,305 | 137,516 | 145,400 |
| 連結営業利益 | 16,501 | 21,904 | 23,847 | 21,905 | 25,859 | 26,100 |
| 連結経常利益 | 20,285 | 28,083 | 32,601 | 30,806 | 33,904 | 34,100 |
| ROE | 24.7% | 29.3% | 27.0% | 23.2% | 20.1% | - |