有価証券報告書-第153期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期は、地政学的リスクの高まりや米国政権の政策運営の不確実性など、国際情勢に不透明感があったものの、世界経済は総じて回復傾向で推移し、日本経済も堅調な企業収益や雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな回復基調を辿りました。紙パルプ産業においては、情報メディアの電子化による構造的な需要減退や、原燃料価格の上昇などにより、主力の洋紙事業を中心に事業環境は厳しさを増しています。
このような状況下、当社グループは「第2次中期経営計画」(平成29年3月期~平成31年3月期)に沿って、「アライアンスによる収益の安定化」をキーワードとした4項目の基本方針(①洋紙事業の構造改革 ②収益基盤の充実 ③新規事業の育成 ④収益力を支える業務基盤・財務基盤の強化)のもと、外部環境に左右されにくい収益構造の実現・強化を目指した諸施策に取り組んでおります。
「第2次中期経営計画」に沿って、王子グループとはバイオマス発電事業や家庭紙事業などアライアンスを進めてまいりましたが、複数の事業での協業関係の強化を可能とすることが両社の持続的成長には不可欠との認識で一致し、平成30年2月に王子ホールディングス㈱と資本提携契約を締結いたしました。
当期は、既存製品の需要減少等により、連結売上高は2,014億9千2百万円(前期比0.2%減)となりました。
損益面では、原燃料価格の上昇等による減益要因に対して、洋紙価格修正の効果が限定的なものにとどまり、連結営業利益は17億9千万円(前期比58.5%減)、連結経常利益は6億5千2百万円(前期比75.8%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産や投資有価証券の売却益を計上したほか、繰延税金資産の計上で法人税等調整額が減少したことなどにより、31億9千8百万円(前期比177.5%増)となりました。
当社単体では、売上高は1,184億4千5百万円、経常利益は35億4千3百万円、当期純利益は40億5千万円となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、一部報告セグメントの変更を行っており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の報告セグメントに基づいて記載しております(以下同様)。
(紙・パルプ事業)
国内市場につきましては、アライアンス効果等により情報用紙の販売は引続き堅調に推移いたしましたが、印刷用紙は需要の落ち込みが一段と進んだこともあり、販売数量が減少いたしました。輸出につきましては、印刷用紙が数量を伸ばしましたが、国内向けの落ち込みをカバーするには至りませんでした。その結果販売数量は減少し、販売金額も期中に取り組んだ価格修正効果が限定的であったことから減少いたしました。
欧州子会社につきましては、主力製品の感熱紙を中心に需要が堅調であったことから、販売数量、販売金額とも増加いたしました。
市販パルプにつきましては、価格高騰をとらえ、国内外での拡販に努めた結果、販売数量、販売金額とも増加いたしました。
以上の結果、紙・パルプ事業全体の売上高は1,522億2千万円と、前期比1.2%増となりました。
(イメージング事業)
国内市場につきましては、写真感光材料や印刷製版材料の需要が減退し、販売金額は減少いたしました。
海外市場につきましては、アライアンス効果によって写真感光材料の受注が安定し、インクジェット用紙は新興国を中心に伸長いたしましたが、既存製品の需要減退の影響が大きく、販売金額は減少いたしました。
以上の結果、イメージング事業全体の売上高は369億7百万円と、前期比5.1%減となりました。
(機能材事業)
機能材料につきましては、水処理膜支持体、放電加工フィルター向けの不織布やバッテリーセパレータの販売金額が増加いたしました。
化学紙につきましては、化粧板原紙やテープ原紙等の販売が増加したものの、無機繊維紙の販売が減少し、販売金額は減少いたしました。
以上の結果、機能材事業全体の売上高は170億2千6百万円と、前期比0.4%増となりました。
(倉庫・運輸事業)
従来、その他事業に含めておりました倉庫・運輸事業は、当連結会計年度より報告セグメントとしております。
倉庫・運輸事業の売上高は85億7千5百万円と、前期比4.0%増となりました。
(その他)
工務関連子会社の売上増加等により、売上高は82億6千2百万円と、前期比3.4%増となりました。
当連結会計年度末の資産は、有形固定資産等の減少はあったものの、退職給付に係る資産、たな卸資産等の増加により、前連結会計年度末に比べ15億5千6百万円増加し、2,374億2千6百万円となりました。
負債は、支払手形及び買掛金等の増加はあったものの、有利子負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ28億8千9百万円減少し、1,763億4千8百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、退職給付に係る調整累計額の増加等により、前連結会計年度末に比べ44億4千6百万円増加し、610億7千7百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ10億9千6百万円減少し、97億4千4百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ70億2千9百万円減少し、128億9百万円となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益17億4千9百万円、減価償却費104億7千4百万円、仕入債務の増加20億4千1百万円であり、支出の主な内訳はたな卸資産の増加19億3千5百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ10億7千5百万円減少し、59億9千4百万円となりました。支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出78億2千2百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ50億5百万円減少し、81億7百万円となりました。これは主に有利子負債の削減によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、個々の「重要な会計方針及び見積もり」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える大きな要因として、当社グループの主力事業である洋紙事業の構造的な需要減退、洋紙事業の市況変動、木材チップ、製紙用パルプ、重油、石炭、諸薬品等の原燃料価格変動があります。
当連結会計年度は、洋紙などの需要減退が進む一方で、原燃料価格の上昇が進行する非常に厳しい事業環境で推移しました。
また、当連結会計年度は「第2次中期経営計画」の2年目にあたりますが、「第2次中期経営計画」との対比は、以下のとおりであります。
中期計画 実績 差異 (億円)
売上高 2,250 2,015 ▲235
営業利益 55 18 ▲37
経常利益 35 7 ▲28
「第2次中期経営計画」に対する売上高下振れの大きな要因は、洋紙事業やイメージング事業の既存製品の需要が想定以上に減少したことに加え、イメージング事業や機能材事業の新規品の拡販が計画より遅れたことによります。
また、損益面では売上高の減少に加え、想定以上に原燃料価格の上昇が進んだことによります。
なお、足元におきましても更に原燃料価格の上昇が進行して事業環境は厳しさを増しており、当社は従前の経営戦略の延長線では、他社との競争の中で、事業の安定した運営と成長を続けていくことはできない状況にあり、王子ホールディングス㈱と資本提携契約を締結し、王子グループを長期的なパートナーとして相互協力をさらに加速・発展させることで、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図ってまいります。
当連結会計年度の経営成績の前連結会計年度との比較の詳細は以下のとおりであります。
(売上高)
売上高は、前連結会計年度比0.2%減収の2,014億9千2百万円となりました。洋紙事業やイメージング事業でのアライアンス効果や欧州子会社での販売数量・金額の増加はありましたが、一方で、国内洋紙、イメージング事業での既存製品の需要減少が大きく、減収となりました。
(営業利益)
営業利益は、前連結会計年度の43億1千3百万円から25億2千3百万円減少し、17億9千万円となりました。また、売上高に対する営業利益の比率は1.2ポイント低下し、0.9%となりました。これは、原燃料価格の上昇等による減益要因に対して、洋紙価格修正の効果が限定的なものにとどまったことが大きな要因で、工場の生産性向上や物流費削減などのコストダウン諸施策も積極的に進めたものの、減益要因をカバーするには至りませんでした。
(営業外損益、経常利益)
営業外損益は、前連結会計年度の16億1千万円の費用(純額)から、11億3千7百万円の費用(純額)となりました。これは、為替差損益が差損から差益へ転じたことや、「第2次中期経営計画」の基本方針として取り組みを続けている有利子負債削減などの効果により支払利息が減少したことなどによるものです。
これにより経常利益は、前連結会計年度の27億3百万円から20億5千万円減少し、6億5千2百万円となりました。
(特別損益)
特別損益は、前連結会計年度の11億1千7百万円の損失(純額)から、10億9千7百万円の利益(純額)となりました。これは、保有資産の有効活用や財務基盤強化を目的として、連結子会社である三菱製紙販売㈱が固定資産処分益及び投資有価証券売却益を計上したことなどによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度から20億4千5百万円増加し、31億9千8百万円となりました。税金等調整前当期純利益の増加のほか、現在及び今後の業績動向を勘案し、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産を追加計上したことにより法人税等調整額が減少したことなどによるものものです。
これにより1株当たり当期純利益は、前連結会計年度が33円72銭であったのに対し、当連結会計年度は93円57銭となりました。なお、平成28年10月1日付で普通株式10株につき1株の割合で株式併合を実施しておりますが、前連結会計年度の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、1株当たり当期純利益を算定しております。
b. 財政状態
(資産の部)
流動資産は、たな卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ16億2千1百万円増加いたしました。たな卸資産につきましては、財務基盤強化のために削減に向けた取り組みを強化してまいります。
固定資産は、退職給付に係る資産等の増加がありましたが、設備投資の抑制や減価償却の進行による有形固定資産の減少等により、前連結会計年度末に比べ6千5百万円減少いたしました。
この結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ15億5千6百万円増加し、2,374億2千6百万円となりました。
(負債の部)
負債は、当連結会計年度末が金融機関の休日であった影響等による支払手形及び買掛金等の増加はありましたが、有利子負債の削減などにより、当連結会計年度末における残高は、前連結会計年度末に比べ28億8千9百万円減少し、1,763億4千8百万円となりました。
有利子負債につきましては、「第2次中期経営計画」で平成30年3月末の目標とした1,300億円に対して、1,193億円と107億円削減を進めました。平成31年3月末の最終目標値1,250億円を既に達成しております。D/Eレシオも最終目標値の2.3倍に対して、当連結会計年度末は2.0倍となっております。
(純資産の部)
非支配株主持分を含む純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、退職給付に係る調整累計額の増加等により、当連結会計年度末における残高は、前連結会計年度末に比べ44億4千6百万円増加し、610億7千7百万円となりました。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.1ポイント改善し、25.2%となりました。「第2次中期経営計画」の平成30年3月末の目標値21.8%に対して、3.4ポイント上回っております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
(紙・パルプ事業)
売上高は、国内市場における印刷用紙の需要の落ち込みはあったものの、情報用紙のアライアンス効果や、欧州子会社での販売数量・金額の増加、市販パルプの価格高騰をとらえた拡販等により、前連結会計年度比1.2%増収の1,522億2千万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度の20億2千2百万円から19億2千4百万円減少し、9千8百万円となりました。資産は、1,744億3千9百万円となりました。
原燃料価格の上昇等に対し、洋紙価格修正の効果が需要減退の環境下で限定的なものにとどまったことが主な減益要因であります。工場の生産性向上や物流費削減などのコストダウン諸施策を進めるとともに、洋紙需要の減少に対しては市販パルプの拡販や売電量の増加などの取り組みも行いましたが、減益要因をカバーするには至りませんでした。厳しい事業環境下にありますが、「第2次中期経営計画」に掲げた「洋紙事業の構造改革」の諸施策に引き続き取り組んでまいります。
主力の八戸工場におきましては、王子グループとの合弁事業として、家庭紙事業やバイオマス発電事業の立ち上げを進めており、ともに平成31年度に事業開始の予定です。
(イメージング事業)
売上高は、国内及び海外市場での写真感光材料や印刷製版材料などの既存製品の需要減退により、前連結会計年度比5.1%減収の369億7百万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度の9億4千8百万円から4億9千8百万円減少し、4億4千9百万円となりました。資産は、387億8千4百万円となりました。
既存製品の需要減少による売上高の減少に加え、原燃料価格の上昇の影響や品質向上のための諸費用の増加などにより、減益となりました。富士フイルム㈱とのアライアンス強化による写真用原紙の数量確保と生産性向上などに取り組みましたが、減益要因をカバーするには至りませんでした。今後も、富士フイルム㈱とのアライアンスにより事業基盤を一層強固にして生産体制の効率化に取り組むとともに、既存商品のアジアほか新興国での拡販に努めてまいります。
また、京都工場において平成31年1月の営業運転に向けて機能性フィルム塗工設備の新設を進めており、新規事業の拡大への取り組みに着手しております。
(機能材事業)
売上高は、水処理膜支持体、放電加工フィルター向けの不織布やバッテリーセパレータ、化粧板原紙、テープ原紙等の販売増等により、前連結会計年度比0.4%増収の170億2千6百万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度の9億7千万円から1千8百万円減少し、9億5千2百万円となりました。資産は、170億9千万円となりました。
新規製品の拡販や生産性向上の取り組みを進めましたが、原燃料価格上昇等の減益要因をカバーするには至らず、若干の減益となりました。引き続き、水処理膜支持体やバッテリーセパレータなどの不織布関連商品の更なる成長に向けた取り組みなどを進めてまいります。
(倉庫・運輸事業)
売上高は、前連結会計年度比4.0%増収の85億7千5百万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度の1億9千8百万円から6千万円増加し、2億5千8百万円となりました。資産は、46億7百万円となりました。
(その他)
売上高は、工務関連子会社での増加等により、前連結会計年度比3.4%増収の82億6千2百万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度の1億5千4百万円から1千8百万円減少し、1億3千5百万円となりました。資産は、82億7百万円となりました。
c. キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ70億2千9百万円減少し、128億9百万円となりました。
前連結会計年度に比べ営業活動の結果得られた資金が減少した主な要因は、たな卸資産の増減額の差異53億6千8百万円などであります。前連結会計年度は「第2次中期経営計画」の初年度として、たな卸資産の削減の取り組みに力を入れて削減効果が大きかったことに対して、当連結会計年度は、既存製品の急激な需要減少や、原燃料価格高の影響によりたな卸資産の評価金額が上昇したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ10億7千5百万円減少し、59億9千4百万円となりました。
前連結会計年度に比べ投資活動の結果使用した資金が減少した主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出が17億1百万円増加したものの、保有資産の有効活用や財務基盤強化を目的として連結子会社である三菱製紙販売㈱が保有資産の売却を行ったことなどにより、有形及び無形固定資産の売却による収入が18億2千1百万円増加、投資有価証券の売却による収入が8億6千6百万円増加したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ50億5百万円減少し、81億7百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー128億9百万円と、投資活動によるキャッシュ・フロー△59億9千4百万円を合計したフリー・キャッシュ・フロー68億1千4百万円を原資にして、前連結会計年度に引き続き有利子負債の削減を進めたものであります。
d. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金及び設備資金については、自己資金又は借入金等により充当することとしております。
しかし、主力の洋紙事業を中心に事業環境が厳しさを増している中、①国内の印刷情報用紙の需要減少に対応した収益構造転換を進め、②能力の安定的維持を目的として老朽化が進んだ設備の改善や効率の向上や省エネルギー対応等の性能向上を目的とした設備投資を行い、また、③経営課題である有利子負債の圧縮による財務基盤を強化するための資金需要が存在しております。一方で、東日本大震災による八戸工場の被災に伴う復興費用調達のため、想定外に有利子負債が急増して以降、既存有利子負債の削減は当社の重要な経営課題となっており、また、資金繰りとしても借入金の返済に並行して十分な投資を実行することは容易ではありません。
かかる状況下、負債性の資金調達ではなく資本性の資金調達を行うことが、当社の財務基盤の強化、当該諸施策の実行、ひいては当社の持続的な成長に資するとの考えに至り、王子ホールディングス㈱を割当先とする第三者割当増資による資金調達を実施し、経営基盤の安定化、競争力の一層の強化を図ることといたしました。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期は、地政学的リスクの高まりや米国政権の政策運営の不確実性など、国際情勢に不透明感があったものの、世界経済は総じて回復傾向で推移し、日本経済も堅調な企業収益や雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな回復基調を辿りました。紙パルプ産業においては、情報メディアの電子化による構造的な需要減退や、原燃料価格の上昇などにより、主力の洋紙事業を中心に事業環境は厳しさを増しています。
このような状況下、当社グループは「第2次中期経営計画」(平成29年3月期~平成31年3月期)に沿って、「アライアンスによる収益の安定化」をキーワードとした4項目の基本方針(①洋紙事業の構造改革 ②収益基盤の充実 ③新規事業の育成 ④収益力を支える業務基盤・財務基盤の強化)のもと、外部環境に左右されにくい収益構造の実現・強化を目指した諸施策に取り組んでおります。
「第2次中期経営計画」に沿って、王子グループとはバイオマス発電事業や家庭紙事業などアライアンスを進めてまいりましたが、複数の事業での協業関係の強化を可能とすることが両社の持続的成長には不可欠との認識で一致し、平成30年2月に王子ホールディングス㈱と資本提携契約を締結いたしました。
当期は、既存製品の需要減少等により、連結売上高は2,014億9千2百万円(前期比0.2%減)となりました。
損益面では、原燃料価格の上昇等による減益要因に対して、洋紙価格修正の効果が限定的なものにとどまり、連結営業利益は17億9千万円(前期比58.5%減)、連結経常利益は6億5千2百万円(前期比75.8%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産や投資有価証券の売却益を計上したほか、繰延税金資産の計上で法人税等調整額が減少したことなどにより、31億9千8百万円(前期比177.5%増)となりました。
当社単体では、売上高は1,184億4千5百万円、経常利益は35億4千3百万円、当期純利益は40億5千万円となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、一部報告セグメントの変更を行っており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の報告セグメントに基づいて記載しております(以下同様)。
(紙・パルプ事業)
国内市場につきましては、アライアンス効果等により情報用紙の販売は引続き堅調に推移いたしましたが、印刷用紙は需要の落ち込みが一段と進んだこともあり、販売数量が減少いたしました。輸出につきましては、印刷用紙が数量を伸ばしましたが、国内向けの落ち込みをカバーするには至りませんでした。その結果販売数量は減少し、販売金額も期中に取り組んだ価格修正効果が限定的であったことから減少いたしました。
欧州子会社につきましては、主力製品の感熱紙を中心に需要が堅調であったことから、販売数量、販売金額とも増加いたしました。
市販パルプにつきましては、価格高騰をとらえ、国内外での拡販に努めた結果、販売数量、販売金額とも増加いたしました。
以上の結果、紙・パルプ事業全体の売上高は1,522億2千万円と、前期比1.2%増となりました。
(イメージング事業)
国内市場につきましては、写真感光材料や印刷製版材料の需要が減退し、販売金額は減少いたしました。
海外市場につきましては、アライアンス効果によって写真感光材料の受注が安定し、インクジェット用紙は新興国を中心に伸長いたしましたが、既存製品の需要減退の影響が大きく、販売金額は減少いたしました。
以上の結果、イメージング事業全体の売上高は369億7百万円と、前期比5.1%減となりました。
(機能材事業)
機能材料につきましては、水処理膜支持体、放電加工フィルター向けの不織布やバッテリーセパレータの販売金額が増加いたしました。
化学紙につきましては、化粧板原紙やテープ原紙等の販売が増加したものの、無機繊維紙の販売が減少し、販売金額は減少いたしました。
以上の結果、機能材事業全体の売上高は170億2千6百万円と、前期比0.4%増となりました。
(倉庫・運輸事業)
従来、その他事業に含めておりました倉庫・運輸事業は、当連結会計年度より報告セグメントとしております。
倉庫・運輸事業の売上高は85億7千5百万円と、前期比4.0%増となりました。
(その他)
工務関連子会社の売上増加等により、売上高は82億6千2百万円と、前期比3.4%増となりました。
当連結会計年度末の資産は、有形固定資産等の減少はあったものの、退職給付に係る資産、たな卸資産等の増加により、前連結会計年度末に比べ15億5千6百万円増加し、2,374億2千6百万円となりました。
負債は、支払手形及び買掛金等の増加はあったものの、有利子負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ28億8千9百万円減少し、1,763億4千8百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、退職給付に係る調整累計額の増加等により、前連結会計年度末に比べ44億4千6百万円増加し、610億7千7百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ10億9千6百万円減少し、97億4千4百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ70億2千9百万円減少し、128億9百万円となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益17億4千9百万円、減価償却費104億7千4百万円、仕入債務の増加20億4千1百万円であり、支出の主な内訳はたな卸資産の増加19億3千5百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ10億7千5百万円減少し、59億9千4百万円となりました。支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出78億2千2百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ50億5百万円減少し、81億7百万円となりました。これは主に有利子負債の削減によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 紙・パルプ事業 | 124,872 | 101.2 |
| イメージング事業 | 24,455 | 92.4 |
| 機能材事業 | 12,531 | 99.8 |
| 合計 | 161,860 | 99.6 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| その他 | 1,293 | 55.1 | 1,644 | 131.2 |
| 合計 | 1,293 | 55.1 | 1,644 | 131.2 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 紙・パルプ事業 | 148,508 | 101.3 |
| イメージング事業 | 31,756 | 92.8 |
| 機能材事業 | 14,090 | 100.0 |
| 倉庫・運輸事業 | 5,208 | 109.4 |
| その他 | 1,928 | 86.4 |
| 合計 | 201,492 | 99.8 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、個々の「重要な会計方針及び見積もり」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える大きな要因として、当社グループの主力事業である洋紙事業の構造的な需要減退、洋紙事業の市況変動、木材チップ、製紙用パルプ、重油、石炭、諸薬品等の原燃料価格変動があります。
当連結会計年度は、洋紙などの需要減退が進む一方で、原燃料価格の上昇が進行する非常に厳しい事業環境で推移しました。
また、当連結会計年度は「第2次中期経営計画」の2年目にあたりますが、「第2次中期経営計画」との対比は、以下のとおりであります。
中期計画 実績 差異 (億円)
売上高 2,250 2,015 ▲235
営業利益 55 18 ▲37
経常利益 35 7 ▲28
「第2次中期経営計画」に対する売上高下振れの大きな要因は、洋紙事業やイメージング事業の既存製品の需要が想定以上に減少したことに加え、イメージング事業や機能材事業の新規品の拡販が計画より遅れたことによります。
また、損益面では売上高の減少に加え、想定以上に原燃料価格の上昇が進んだことによります。
なお、足元におきましても更に原燃料価格の上昇が進行して事業環境は厳しさを増しており、当社は従前の経営戦略の延長線では、他社との競争の中で、事業の安定した運営と成長を続けていくことはできない状況にあり、王子ホールディングス㈱と資本提携契約を締結し、王子グループを長期的なパートナーとして相互協力をさらに加速・発展させることで、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図ってまいります。
当連結会計年度の経営成績の前連結会計年度との比較の詳細は以下のとおりであります。
(売上高)
売上高は、前連結会計年度比0.2%減収の2,014億9千2百万円となりました。洋紙事業やイメージング事業でのアライアンス効果や欧州子会社での販売数量・金額の増加はありましたが、一方で、国内洋紙、イメージング事業での既存製品の需要減少が大きく、減収となりました。
(営業利益)
営業利益は、前連結会計年度の43億1千3百万円から25億2千3百万円減少し、17億9千万円となりました。また、売上高に対する営業利益の比率は1.2ポイント低下し、0.9%となりました。これは、原燃料価格の上昇等による減益要因に対して、洋紙価格修正の効果が限定的なものにとどまったことが大きな要因で、工場の生産性向上や物流費削減などのコストダウン諸施策も積極的に進めたものの、減益要因をカバーするには至りませんでした。
(営業外損益、経常利益)
営業外損益は、前連結会計年度の16億1千万円の費用(純額)から、11億3千7百万円の費用(純額)となりました。これは、為替差損益が差損から差益へ転じたことや、「第2次中期経営計画」の基本方針として取り組みを続けている有利子負債削減などの効果により支払利息が減少したことなどによるものです。
これにより経常利益は、前連結会計年度の27億3百万円から20億5千万円減少し、6億5千2百万円となりました。
(特別損益)
特別損益は、前連結会計年度の11億1千7百万円の損失(純額)から、10億9千7百万円の利益(純額)となりました。これは、保有資産の有効活用や財務基盤強化を目的として、連結子会社である三菱製紙販売㈱が固定資産処分益及び投資有価証券売却益を計上したことなどによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度から20億4千5百万円増加し、31億9千8百万円となりました。税金等調整前当期純利益の増加のほか、現在及び今後の業績動向を勘案し、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産を追加計上したことにより法人税等調整額が減少したことなどによるものものです。
これにより1株当たり当期純利益は、前連結会計年度が33円72銭であったのに対し、当連結会計年度は93円57銭となりました。なお、平成28年10月1日付で普通株式10株につき1株の割合で株式併合を実施しておりますが、前連結会計年度の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、1株当たり当期純利益を算定しております。
b. 財政状態
(資産の部)
流動資産は、たな卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ16億2千1百万円増加いたしました。たな卸資産につきましては、財務基盤強化のために削減に向けた取り組みを強化してまいります。
固定資産は、退職給付に係る資産等の増加がありましたが、設備投資の抑制や減価償却の進行による有形固定資産の減少等により、前連結会計年度末に比べ6千5百万円減少いたしました。
この結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ15億5千6百万円増加し、2,374億2千6百万円となりました。
(負債の部)
負債は、当連結会計年度末が金融機関の休日であった影響等による支払手形及び買掛金等の増加はありましたが、有利子負債の削減などにより、当連結会計年度末における残高は、前連結会計年度末に比べ28億8千9百万円減少し、1,763億4千8百万円となりました。
有利子負債につきましては、「第2次中期経営計画」で平成30年3月末の目標とした1,300億円に対して、1,193億円と107億円削減を進めました。平成31年3月末の最終目標値1,250億円を既に達成しております。D/Eレシオも最終目標値の2.3倍に対して、当連結会計年度末は2.0倍となっております。
(純資産の部)
非支配株主持分を含む純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、退職給付に係る調整累計額の増加等により、当連結会計年度末における残高は、前連結会計年度末に比べ44億4千6百万円増加し、610億7千7百万円となりました。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.1ポイント改善し、25.2%となりました。「第2次中期経営計画」の平成30年3月末の目標値21.8%に対して、3.4ポイント上回っております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
(紙・パルプ事業)
売上高は、国内市場における印刷用紙の需要の落ち込みはあったものの、情報用紙のアライアンス効果や、欧州子会社での販売数量・金額の増加、市販パルプの価格高騰をとらえた拡販等により、前連結会計年度比1.2%増収の1,522億2千万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度の20億2千2百万円から19億2千4百万円減少し、9千8百万円となりました。資産は、1,744億3千9百万円となりました。
原燃料価格の上昇等に対し、洋紙価格修正の効果が需要減退の環境下で限定的なものにとどまったことが主な減益要因であります。工場の生産性向上や物流費削減などのコストダウン諸施策を進めるとともに、洋紙需要の減少に対しては市販パルプの拡販や売電量の増加などの取り組みも行いましたが、減益要因をカバーするには至りませんでした。厳しい事業環境下にありますが、「第2次中期経営計画」に掲げた「洋紙事業の構造改革」の諸施策に引き続き取り組んでまいります。
主力の八戸工場におきましては、王子グループとの合弁事業として、家庭紙事業やバイオマス発電事業の立ち上げを進めており、ともに平成31年度に事業開始の予定です。
(イメージング事業)
売上高は、国内及び海外市場での写真感光材料や印刷製版材料などの既存製品の需要減退により、前連結会計年度比5.1%減収の369億7百万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度の9億4千8百万円から4億9千8百万円減少し、4億4千9百万円となりました。資産は、387億8千4百万円となりました。
既存製品の需要減少による売上高の減少に加え、原燃料価格の上昇の影響や品質向上のための諸費用の増加などにより、減益となりました。富士フイルム㈱とのアライアンス強化による写真用原紙の数量確保と生産性向上などに取り組みましたが、減益要因をカバーするには至りませんでした。今後も、富士フイルム㈱とのアライアンスにより事業基盤を一層強固にして生産体制の効率化に取り組むとともに、既存商品のアジアほか新興国での拡販に努めてまいります。
また、京都工場において平成31年1月の営業運転に向けて機能性フィルム塗工設備の新設を進めており、新規事業の拡大への取り組みに着手しております。
(機能材事業)
売上高は、水処理膜支持体、放電加工フィルター向けの不織布やバッテリーセパレータ、化粧板原紙、テープ原紙等の販売増等により、前連結会計年度比0.4%増収の170億2千6百万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度の9億7千万円から1千8百万円減少し、9億5千2百万円となりました。資産は、170億9千万円となりました。
新規製品の拡販や生産性向上の取り組みを進めましたが、原燃料価格上昇等の減益要因をカバーするには至らず、若干の減益となりました。引き続き、水処理膜支持体やバッテリーセパレータなどの不織布関連商品の更なる成長に向けた取り組みなどを進めてまいります。
(倉庫・運輸事業)
売上高は、前連結会計年度比4.0%増収の85億7千5百万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度の1億9千8百万円から6千万円増加し、2億5千8百万円となりました。資産は、46億7百万円となりました。
(その他)
売上高は、工務関連子会社での増加等により、前連結会計年度比3.4%増収の82億6千2百万円となりました。
営業利益は、前連結会計年度の1億5千4百万円から1千8百万円減少し、1億3千5百万円となりました。資産は、82億7百万円となりました。
c. キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ70億2千9百万円減少し、128億9百万円となりました。
前連結会計年度に比べ営業活動の結果得られた資金が減少した主な要因は、たな卸資産の増減額の差異53億6千8百万円などであります。前連結会計年度は「第2次中期経営計画」の初年度として、たな卸資産の削減の取り組みに力を入れて削減効果が大きかったことに対して、当連結会計年度は、既存製品の急激な需要減少や、原燃料価格高の影響によりたな卸資産の評価金額が上昇したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ10億7千5百万円減少し、59億9千4百万円となりました。
前連結会計年度に比べ投資活動の結果使用した資金が減少した主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出が17億1百万円増加したものの、保有資産の有効活用や財務基盤強化を目的として連結子会社である三菱製紙販売㈱が保有資産の売却を行ったことなどにより、有形及び無形固定資産の売却による収入が18億2千1百万円増加、投資有価証券の売却による収入が8億6千6百万円増加したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ50億5百万円減少し、81億7百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー128億9百万円と、投資活動によるキャッシュ・フロー△59億9千4百万円を合計したフリー・キャッシュ・フロー68億1千4百万円を原資にして、前連結会計年度に引き続き有利子負債の削減を進めたものであります。
d. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金及び設備資金については、自己資金又は借入金等により充当することとしております。
しかし、主力の洋紙事業を中心に事業環境が厳しさを増している中、①国内の印刷情報用紙の需要減少に対応した収益構造転換を進め、②能力の安定的維持を目的として老朽化が進んだ設備の改善や効率の向上や省エネルギー対応等の性能向上を目的とした設備投資を行い、また、③経営課題である有利子負債の圧縮による財務基盤を強化するための資金需要が存在しております。一方で、東日本大震災による八戸工場の被災に伴う復興費用調達のため、想定外に有利子負債が急増して以降、既存有利子負債の削減は当社の重要な経営課題となっており、また、資金繰りとしても借入金の返済に並行して十分な投資を実行することは容易ではありません。
かかる状況下、負債性の資金調達ではなく資本性の資金調達を行うことが、当社の財務基盤の強化、当該諸施策の実行、ひいては当社の持続的な成長に資するとの考えに至り、王子ホールディングス㈱を割当先とする第三者割当増資による資金調達を実施し、経営基盤の安定化、競争力の一層の強化を図ることといたしました。