有価証券報告書-第155期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/30 9:15
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当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりである。
(1) 経営成績
当連結会計年度のわが国経済は、長期化する新型コロナウイルス感染症やロシアによるウクライナ侵攻以降の世界的な物価高騰、円安、エネルギーの安定供給確保などさまざまな課題に直面する中、ウィズコロナの新たな段階への移行に伴う社会経済活動の正常化、政府による各種政策効果により、個人消費や設備投資を中心に持ち直しの動きがみられるようになった。
このような経済環境の中で、板紙業界においては、期間前半は底堅く推移したが、物価高騰による内需の鈍化、低調な輸出も相まって、生産量は前年を下回った。 段ボール業界においては、食品や通販・宅配分野で需要が好調を維持した一方で電気・機械器具向けが減少し、生産量は前年並みとなった。 紙器業界においては、個人向けの加工食品が堅調に推移したことにより、生産量は前年を上回った。 軟包装業界においては、脱プラスチックの動きはあるものの、食品関係を中心とする堅調な需要に支えられ、生産量は前年を上回った。 重包装業界においては、世界的な景気後退の影響を受けて石油化学関連の需要が減少し、生産量は前年を下回った。
以上のような状況のもとで、当社グループは、あらゆる産業の全ての包装ニーズをイノベーションする「ゼネラル・パッケージング・インダストリー」=GPIレンゴーとして、営業力の強化、積極的な設備投資やM&A等を通じ、業容拡大と収益力向上に鋭意取り組んできた。
また、世界的な原燃料価格の高騰等を受け、一昨年来、段ボール原紙をはじめとする板紙、段ボール、セロファン、ポリプロピレンフィルム、軟包装の各種製品価格の改定に取り組んできたが、ロシア・ウクライナ情勢等を背景とするさらなる資源高に円安の進行も相まって、一段のコスト上昇を吸収することが極めて困難な状況となったため、再生産可能な価格体系に向けての取組みを引き続き推し進めてきた。
2022年6月、産業用機械メーカーのFCL株式会社(愛知県長久手市)に資本参加し当社グループにおける生産技術を支える設備開発力の向上を図った。7月には海洋プラスチックごみ問題に貢献すべく木材由来のパルプを原料とした生分解可能な球状セルロース微粒子「ビスコパール®」のプラントを金津工場(福井県あわら市)に新設、また9月には丸福株式会社(石川県白山市)を子会社化し紙器・軟包装事業を拡充した。引き続き10月には2024年1月の操業開始を目指して松山工場(愛媛県松山市)の移転先として愛媛東温工場(愛媛県東温市)の建設に着手、2023年2月には日藤ダンボール株式会社(埼玉県桶川市)を子会社化し段ボール事業を強化した。
海外においては、2022年5月、欧州の事業展開に一層注力するためレンゴー・ヨーロッパ社(ドイツ)を設立。6月に同社とトライコー社(ドイツ)を通じて同国の重量物包装資材メーカーであるティム・パッケージング・システムズ社を子会社化(新社名:トライコー・パッケージング・システムズ社)する一方、8月にはトライウォール社(香港)が英国の段ボールメーカーを子会社化するとともに9月には米国の重量物包装資材メーカーの事業を取得するなど、グローバル化を推し進める重量物包装資材事業のさらなる拡充を図った。
ESG経営における環境への取組みは、“Less is more.”をキーワードに掲げる当社グループとして最も優先すべき課題であり、2030年度におけるCO2排出量削減目標「2013年度比46%削減」(エコチャレンジ2030)に向け、2022年8月に尼崎工場(兵庫県尼崎市)においてバイオマス焼却設備を更新し都市ガス使用量の削減を図るとともに、10月には八潮工場(埼玉県八潮市)に次ぐ2基目の発電用バイオマスボイラを利根川事業所(茨城県坂東市)にて稼働開始した。 この結果、当連結会計年度の売上高は、846,080百万円(前期比113.3%)、営業利益は25,957百万円(同78.0%)、経常利益は28,682百万円(同78.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は20,425百万円(同72.5%)となった。主な内容は次のとおりである。
売上高については、食品や通販・宅配分野で需要が好調を維持したほか、前年から取り組んできた製品価格の改定が寄与したことにより増収となった。
営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益については、原燃料価格の高騰や固定費の増加等により減益となった。
当連結会計年度の売上高経常利益率については、3.4%と目標を2.6ポイント下回った。これは主に原燃料価格の高騰等によるものであるが、現在、当該コストアップを回収できる適正な製品価格の水準の維持に努めている。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
[板紙・紙加工関連事業]
板紙・紙加工関連事業については、製品価格の改定により増収となったものの、エネルギーおよび古紙価格上昇の影響により減益となった。 この結果、当セグメントの売上高は483,851百万円(同107.8%)、営業利益は14,314百万円(同63.2%)となった。
主要製品の生産量は、次のとおりである。
(板紙製品)
板紙製品については、内需の鈍化、低調な輸出の影響を受け、生産量は2,523千t(同97.6%)となった。 (段ボール製品)
段ボール製品については、食品や通販・宅配向けなどの底堅い需要に支えられ、生産量は段ボール4,336百万㎡(同99.5%)、段ボール箱3,607百万㎡(同100.4%)となった。
[軟包装関連事業]
軟包装関連事業については、製品価格の改定および連結子会社の増加により増収増益となった。 この結果、当セグメントの売上高は115,512百万円(同122.9%)、営業利益は2,987百万円(同144.7%)となった。
[重包装関連事業]
重包装関連事業については、製品価格の改定により増収となったものの、原料価格上昇の影響により減益となった。
この結果、当セグメントの売上高は45,059百万円(同106.3%)、営業利益は1,124百万円(同69.3%)となった。
[海外関連事業]
海外関連事業については、連結子会社が増加したことや欧州において価格改定が進んだことにより、増収増益となった。
この結果、当セグメントの売上高は166,312百万円(同131.5%)、営業利益は6,009百万円(同123.1%)となった。
[その他の事業]
その他の事業については、売上高は前年並みとなったが、原燃料価格上昇により減益となった。
この結果、当セグメントの売上高は35,345百万円(同100.4%)、営業利益は1,330百万円(同68.5%)となった。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりである。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称生産高前期比(%)
板紙・紙加工関連事業
板紙(千t)2,52397.6
段ボール(百万㎡)4,33699.5
段ボール箱(百万㎡)3,607100.4
海外関連事業
段ボール(百万㎡)24078.9
段ボール箱(百万㎡)22379.6


② 受注実績
当社グループにおいては、紙器機械等一部の事業で受注生産を行っているが、その重要性が乏しいため記載を省略している。
その他の製品については、見込み生産を行っているか、受注生産であっても生産と販売の関連において製品の回転が極めて速く、月末(または期末)における受注残高が少ないため、記載を省略している。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)
板紙・紙加工関連事業483,851107.8
軟包装関連事業115,512122.9
重包装関連事業45,059106.3
海外関連事業166,312131.5
その他の事業35,345100.4
合計846,080113.3

(注) 当連結会計年度において、海外関連事業の販売実績が著しく増加している。これは、トライウォールグループの業績が寄与したことに加え連結子会社が増加したことによるものである。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、主に受取手形及び売掛金、有形固定資産および無形固定資産の増加により、1,053,138百万円となり、前連結会計年度末に比べ118,793百万円増加した。
負債は、主に長短借入金や支払手形及び買掛金の増加により667,405百万円となり、前連結会計年度末に比べ87,349百万円増加した。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加や、為替レートの変動に伴う為替換算調整勘定の増加により、385,732百万円となり、前連結会計年度末に比べ31,443百万円増加した。
この結果、自己資本比率は35.4%となり、前連結会計年度末に比べ1.2ポイント低下した。また、1株当たり純資産額は1,505円09銭となった。
また、D/Eレシオについては1.1倍となり、目標の1.5倍以下を達成している。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は70,912百万円となり、前連結会計年度末の残高と比べ13,077百万円増加した。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりである。
営業活動による資金の増加額は46,066百万円(前連結会計年度に比べ11,287百万円の収入の減少)となった。主な内訳は、税金等調整前当期純利益30,857百万円、減価償却費44,848百万円、売上債権の増加16,808百万円、法人税等の支払額12,250百万円である。
投資活動による資金の減少額は60,646百万円(前連結会計年度に比べ5,966百万円の支出の増加)となった。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出42,611百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社出資金の取得による支出14,138百万円である。
財務活動による資金の増加額は20,023百万円(前連結会計年度に比べ18,163百万円の収入の増加)となった。主な内訳は、長短借入金の純増額26,333百万円、社債の発行による収入10,000百万円、社債の償還による支出5,087百万円、配当金の支払額5,965百万円である。
資本の財源および資金の流動性について、当社グループは、資金調達については銀行借入および社債発行により行っている。また、キャッシュマネジメントサービスを国内子会社に導入しており、グループ全体における効率的な資金活用による有利子負債の削減と金融収支の改善を図っている。
(4) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いているが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは第5「経理の状況」 1「連結財務諸表等」「注記事項」 (重要な会計上の見積り)、(追加情報)に記載している。