有価証券報告書-第66期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 13:26
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【項目】
155項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
文中の将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において判断したものです。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなか、緩やかな回復基調で推移しました。一方、海外の政治状況・経済の不確実性、国内での相次いだ自然災害や消費税率引き上げなどによる影響に加えて、足元では新型コロナウイルス感染症が消費動向や企業活動へ大きく影響しており、景気の先行きとしては極めて厳しい状況が続くものと考えられます。
当社グループを取り巻く環境におきましては、企業の経費削減の徹底や競争の激化による受注価格の下落、デジタル技術の加速度的な進展による紙媒体の需要減少、人件費や材料費の上昇など、依然として厳しい状況が続いておりますが、企業の人手不足に対応するための自動化・省力化投資需要は増加基調にあります。
また標的型攻撃などのサイバー攻撃による脅威が増大するなか、情報セキュリティ対策の重要性がより一層高まりました。
このような状況のなか、当社グループは持続的な成長の実現に向け、従来型のソリューションと最先端のデジタル技術を掛け合わせることで、独自性の高い新たな価値を提供する「デジタルハイブリッド」を軸とした成長戦略を実行するとともに、グループ全体での構造改革に取り組み、事業体制の最適化や製造拠点の再編などを推進しました。
具体的には、グループ総合力の最大化へ向け、子会社である株式会社ジェイエスキューブのBPO事業を当社へ承継し、経営資源配分の最適化を図りました。BFの生産効率の向上とカード製品やICタグ・ラベルなどのIoT関連製品の生産能力増強を目的とした袋井工場を新設し、東海エリアを中心とした6拠点を集約しました。
また中長期的な成長ビジョンの実現に向けて、メッセージサービスとパーソナライズド動画を組み合わせた電子配信ソリューションの開発・提供や金融機関を横断する共通手続きプラットフォーム「AIRPOST(エアポスト)」の構築を推進し、デジタル分野を中心に新規領域への取り組みを加速しました。
新市場開拓に向けた取り組みにおいては、当連結会計年度に、インドネシアを中心にASEAN圏でDPSやBPO、システム開発などを手掛けるレイコム・ドキュメント・ソリューションズ社の株式を取得し、同社を持分法適用会社としました。
これらの取り組みにより、DPSを中心にデータ&ドキュメント事業が堅調に推移したことなどから、香港子会社の清算や一部得意先における大型案件の縮小などの影響を吸収して売上高は前年並みとなりました。
またDPSの増収やコスト削減、減価償却方法の変更などにより、営業利益における収益性は大幅に向上しました。なお持分法による投資損失の発生に加え、構造改革に係る費用やペイメントサービスにおける障害対応費用などを特別損失として計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益における収益性は前年を大幅に下回りました。
以上の結果、前連結会計年度に比べ売上高は0.7%減の2,241億円、営業利益は21.8%増の81億円、経常利益は0.5%増の72億円、親会社株主に帰属する当期純利益は34.6%減の23億円となりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりです。
データ&ドキュメント事業売 上 高1,541億円(対前連結会計年度 0.6%増)
セグメント利益(営業利益)98億円(対前連結会計年度 10.1%増)

データ&ドキュメント事業のうちDPSでは、金融機関などにおける事務通知物やダイレクトメールの受託が堅調に推移した他、消費税率引き上げに伴う経済対策関連の通知物需要取り込みにより、前年から増収となりました。
デジタルソリューションでは、金融機関を中心にスマートデバイスを活用したサービスの拡販などが進み、前年から大幅な増収となりました。
BPOでは、金融機関や自治体などを中心とした需要の取り込みに加え、前述の経済対策関連に伴う申請業務受託などが拡大しましたが、一部得意先における大型案件の縮小などの影響により、前年から減収となりました。
BFは、改元や税率引き上げに伴う一時的な需要増などがありましたが、製品仕様の簡素化による単価下落や電子化に伴う数量減などの影響があり、前年並みとなりました。
以上の結果、データ&ドキュメント事業全体の売上高は前年並みとなりました。
また工場再編に伴う一時的なBFの生産効率の低下や、成長分野への先行投資などによる販管費増の影響はありましたが、DPSの増収や再編効果などによるBPOの採算改善、IT費用を含む製造コストの削減効果、減価償 却方法の変更などの影響により、営業利益における収益性は大幅に向上しました。
ITイノベーション事業売 上 高290億円(対前連結会計年度 2.2%増)
セグメント利益(営業利益)27億円(対前連結会計年度 18.8%減)

ITイノベーション事業では、システム運用管理サービスにおいて得意先のシステム更改に伴う減収の他、カード関連機器の減少などがありましたが、電子マネー決済プラットフォーム「シンカクラウド」を中心としたペイメントサービスの拡大やICタグ関連の拡販などにより増収となりました。
なお「シンカクラウド」の接続端末数拡大によるプラットフォーム利用料収入の増加などはありましたが、同サービスの安定稼働へ向けた開発費用増や、システム運用管理サービスの減収、新工場移転に伴うIoT・カード関連の一時的な製造コスト増加などにより、営業利益における収益性は大幅に低下しました。
ビジネスプロダクト事業売 上 高285億円(対前連結会計年度 4.0%減)
セグメント利益(営業利益)5億円(対前連結会計年度 133.4%増)

ビジネスプロダクト事業では、情報機器や温度管理ソリューションなどの拡販を図りましたが、コピー用紙などのサプライ品の縮小により、減収となりました。
なおサプライ品における仕入れ価格上昇の影響はありましたが、低差益案件の見直しや情報機器の増収などにより、営業利益における収益性は大幅に向上しました。
グローバル事業売 上 高123億円(対前連結会計年度 14.2%減)
セグメント利益(営業利益)6億円(対前連結会計年度 ―)

グローバル事業では、香港市場の金融機関を中心としたDPSやBPOに加え、香港やタイでの付加価値の高いカード関連の受注拡大などがありましたが、香港の子会社清算による売上減の影響により、大幅な減収となりました。
なお子会社清算による香港グループの収益改善やタイ、シンガポールにおけるコスト削減などの影響により、営業利益における収益性は大幅に向上しました。
(2) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
データ&ドキュメント事業154,1500.5
ITイノベーション事業7,9542.8
ビジネスプロダクト事業69537.1
グローバル事業12,3491.0
合計175,1490.8

(注) 1 金額は販売価格で表示しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前期比(%)受注残高
(百万円)
前期比(%)
データ&ドキュメント事業153,605△0.02,300△19.1
ITイノベーション事業8,1496.363344.5
ビジネスプロダクト事業85971.2180
グローバル事業12,3611.22597.2
合計174,9760.53,140△5.2

(注) 1 金額は販売価格で表示しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3 各生産部門への製造指図書の送達実績を受注高として表示しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
データ&ドキュメント事業154,1400.6
ITイノベーション事業29,0852.2
ビジネスプロダクト事業28,558△4.0
グローバル事業12,349△14.2
合計224,133△0.7

(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(3) 財政状態
当連結会計年度末の財政状態は前連結会計年度末に比べて、以下のとおりとなりました。
総資産は、51億円(2.3%)減少し、2,189億円となりました。うち、流動資産は135億円(11.4%)減少し、1,051億円、固定資産は84億円(8.0%)増加し、1,138億円となりました。
流動資産の減少の主な要因は、現金及び預金の減少103億円のほか、売上高の減少等に伴う受取手形及び売掛金の減少23億円によるものです。
固定資産のうち有形固定資産は75億円(10.1%)増加し、820億円となりました。投資その他の資産は8億円(3.3%)増加し、280億円となりました。
有形固定資産の増加の主な要因は、建物及び構築物の増加110億円のほか、機械装置及び運搬具の増加17億円、建設仮勘定の減少66億円によるものです。
投資その他の資産の増加の主な要因は、繰延税金資産の増加15億円のほか、保険積立金の減少5億円によるものです。
負債は、22億円(4.3%)減少し、500億円となりました。うち、流動負債は42億円(8.4%)減少し、458億円、固定負債は19億円(87.3%)増加し、41億円となりました。
流動負債の減少の主な要因は、設備購入に伴う営業外電子記録債務の減少32億円のほか、仕入高の減少等に伴う支払手形及び買掛金の減少17億円によるものです。
固定負債の増加の主な要因は、退職給付に係る負債の増加10億円によるものです。
純資産は、28億円(1.7%)減少し、1,689億円となりました。これは主にその他有価証券評価差額金の減少15億円のほか、退職給付に係る調整累計額の減少11億円によるものです。
以上の結果、自己資本比率は、0.4ポイント増加し75.8%となりました。また1株当たり純資産額は26円61銭減少し、1,496円18銭となりました。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ103億円減少し、488億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ32億円増加し134億円となりました。これは主に減価償却費65億円、税金等調整前当期純利益48億円および売上債権の減少額23億円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ81億円増加し204億円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出157億円、関係会社株式の取得による支出37億円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ7億円増加し34億円となりました。これは主に配当金の支払額27億円によるものであります。
資本の財源および資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、運転資金と設備投資にあります。運転資金は製品製造のための原材料費、労務費および製造経費をはじめ、販売費および一般管理費などとなります。設備投資は、デジタル分野を中心とした成長領域における事業拡大や、生産性向上等による経営効率化などに重点的に振り向けております。加えて、デジタルハイブリッドを促進するための戦略的投資についても実施してまいります。
なおこれらの資金需要につきましては、主に営業活動から創出するキャッシュ・フローを中心とした自己資金で賄う予定であり、十分な手元流動性を確保しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
上記のうち、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下の通りです。
① 事業投資の評価
当社グループは、持続的な成長の実現に向けて新技術の獲得や新規事業の創出を目的とした事業投資を行っております。事業投資につきましては、一定の基準に基づき将来の超過収益力などを評価した上で減損処理を実施しております。
定期的なモニタリングや協業拡大に向けた支援を行っておりますが、投資先の業績動向により、これらの投資の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 退職給付費用および債務
当社の従業員退職給付費用および債務は、年金数理計算上で設定される前提条件に基づいて計上しております。この前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率が含まれており、退職給付債務を計算する際に用いる数理上の前提の変更、年金制度の変更による未認識の過去勤務費用の発生等により、退職給付費用および債務の算定に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 固定資産の減損損失
主として当社は、収益性の低下や時価の下落といった兆候の見られる固定資産につきましては、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。将来の収益性の低下や時価の下落等により、これら固定資産の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
(6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは目標の達成状況を判断する経営指標として、売上高営業利益率と連結自己資本当期純利益率(ROE)を重視しています。
当期は、売上高営業利益率3.6%、ROE1.4%に留まりましたが、中長期かつ持続的な成長を実現するため、独自性の高いソリューションの拡充を図りデジタルハイブリッド企業としての立ち位置を確固たるものとしていきます。さらに、構造改革の断行により、成長余地の大きい分野への経営資源の集中を図り、グループ総合力の強化と収益性の確保に努め、向上を目指してまいります。
各指標の推移は以下の通りです。
第62期第63期第64期第65期第66期
売上高営業利益率(%)5.03.73.03.03.6
ROE(%)5.83.62.32.11.4

・売上高営業利益率: 営業利益/売上高
・ROE:親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本
なお経営成績等に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に、経営戦略の現状と見通しおよび経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にそれぞれ記載しております。

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