有価証券報告書-第79期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/23 14:21
【資料】
PDFをみる
【項目】
113項目

対処すべき課題

当社グループでは、平成27年度末で、第6次中期経営計画の3ヵ年を終了いたしました。同計画では「スピード重視の経営」を推進し、経営の「見える化」と「選択と集中」の徹底に取り組み、全社を挙げて意識改革を図ってまいりました。その主な重点課題として、①東邦化学(上海)有限公司の速やかな商業生産開始と早期黒字化、②海外市場、特に中国市場の開拓、③高機能・高付加価値製品の研究開発の加速及び製造工程見直しによる生産合理化の実現、④国内外を含めた最適生産体制の構築、⑤全社的なコスト削減、⑥世代交代の総仕上げなどに取り組み、また、数値目標として、最終年度(平成27年度)の連結売上高420億円、連結経常利益18億円、海外販売比率18%を掲げました。
しかし、誠に遺憾ながら、最終年度の連結業績結果は、売上高391億円、経常利益7億円、海外販売比率15.5%に止まり、数値目標を達成することは出来ませんでした。特に経常利益目標は、個別業績では、ほぼ計画通りの過去最高の利益水準を達成したものの、連結業績では、最終年度までに黒字化を見込んでいた東邦化学(上海)有限公司の業績不振が大きく影響し、大幅な未達となりました。
同社の業績不振の主な原因は、①商業生産の開始時期が予定より1年遅延したこと、②製品のユーザー認証手続きに想定以上の時間を要し、出荷開始時期が遅れたこと、③中国経済減速の影響による主要ユーザーの生産調整なども重なり販売が低迷したこと、④原料価格急落の局面で出荷待ちの製品在庫の収益性が大幅に悪化したこと等であります。これにより、売上高、利益共に当初計画を大幅に下回り、結果として多額の損失を計上いたしました。
個別の当期純損益については、東邦化学(上海)有限公司での多額の損失発生と累積欠損の拡大に伴い、特別損失として多額の関係会社出資金評価損計上を余儀なくされました。また、厚生年金基金の解散に伴う退職手当規程改訂に係わる退職給付費用の特別損失も重なり、第6次中期経営計画最終年度は、連結・個別共に多額の親会社株主に帰属する当期純損失(個別においては当期純損失)を計上する結果となりました。
一方、第6次中期経営計画期間の主要な成果としては、以下の通りであります。
① 業績面で大幅未達の要因となった東邦化学(上海)有限公司については、商業生産開始後、安全操業を第一に製品の品質重視の工場運営に実績を重ね、平成27年12月に、国際品質保証規格ISO9001認証を取得したこと。
② 界面活性剤セグメントやスペシャリティーケミカルセグメントでの高機能・高付加価値製品の開発実績化について進捗がみられたこと。
③ 既存品の製造方法見直しによる生産合理化についても、一定の成果を上げ、東邦化学(上海)有限公司を含めた国内外の最適生産体制の整備も着実に進展したこと。
④ 世代交代については、追浜・千葉の両研究所長や主要な営業拠点長に若手幹部の登用が進んだこと。
しかし、最終年度である平成27年度の大変厳しい業績結果から、現状は未だ不十分な改善に止まっていると認識せざるを得ないため、今後、更に徹底した改革とその具体的施策の実行が必要であると考えております。
当社グループは、第6次中期経営計画の結果を踏まえ、平成28年度を初年度とする第7次中期経営計画(3ヵ年)を策定いたしました。
第7次中期経営計画では、社長以下、経営幹部が自らの責任の重さを自覚、再認識した上、「実現できる中期経営計画を策定し、必ず実現する」との強い覚悟をもって臨むことといたします。
本計画の概要は次のとおりです。
(1)最重要課題
「東邦化学(上海)有限公司の黒字化、事業を軌道に乗せること」
東邦化学(上海)有限公司は、平成28年度下期(7~12月)には営業損益の黒字化を、また平成29年度(1~12月)には、経常損益の黒字化を目指します。
そのために、当社グループは、同社の受注活動、増産のための生産体制整備面等を全面的、徹底的に支援します。
同社の黒字化を待ち、連結ベースでの分野別損益管理を開始し、全分野・全事業所の黒字化を目指します。
(2)数値目標
最終年度(平成30年度) ・連結売上高 : 480億円
・連結経常利益 : 25億円
(3)その他の重点課題
① 海外市場、特に中国市場の開拓
② 既存製品の製造方法の見直し、合理化による生産性の改善とコストダウン
③ 高機能・高付加価値製品の開発テーマの実績化
④ 国内外生産拠点間の最適生産体制の構築
⑤ 世代交代と全社を挙げての意識改革
当社は、平成30年3月に創業80周年を迎えます。
是非とも好業績の下で、株主・関係先の皆様並びに社員と共に、心から祝うことのできる80周年を迎えることができますよう、経営陣以下、全社員が一丸となり、第7次中期経営計画の課題に取り組み、速やかな業績回復並びに本計画達成に全力を挙げてまいります。