有価証券報告書-第159期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当期における世界経済は感染症による影響が緩和され回復基調にありましたが、地政学リスクの顕在化を背景とした供給制約及び原材料価格の高騰に加えて世界的なインフレの影響で多くの国で金融引き締めが進展しており、その回復ペースが鈍化しております。そのような状況下、中国においては感染症拡大を受けて一時期多くの地域で活動規制が厳格化され、景気は低迷しております。米国、欧州においては利上げが景気を下押しするものの緩やかな持ち直しが継続しております。その他の地域においては、景気は回復基調もしくは持ち直しの動きが見られました。わが国経済は、資源高や為替の急激な変動、海外経済の減速などの影響を受けつつも、感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで持ち直しております。
当社グループの当連結会計年度における売上高は5,090億70百万円(前期比21.4%増)となりました。営業利益は原材料価格高騰の影響が継続し、売上増に伴い販売費用が増加する中で、販売価格への価格転嫁などの利益改善に取り組んだ結果、320億77百万円(前期比6.6%増)となりました。経常利益は持分法投資利益が増加した影響などにより402億16百万円(前期比6.9%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式縮減に伴う投資有価証券売却益を計上する一方で、前期に当社東京事業所の土地一部売却に伴う固定資産売却益を計上したことなどにより、251億95百万円(前期比5.0%減)となりました。
各セグメントの状況は次のとおりであります。
1)日本
自動車分野では自動車生産台数が前年を上回り、販売価格の改善に取り組んだこともあり、売上は前年を上回りました。工業分野、建築分野、自動車分野(補修用)及び防食分野では、市況が低調に推移した一方で、販売価格の改善に取り組んだことなどから売上は前年を上回りました。船舶分野では、市況は回復し売上は前年を上回りました。利益は原材料価格高騰の影響を受けた一方で、商品ミックスの改善やトータルコストの削減により前年を上回りました。
これらの結果、売上高は1,525億8百万円(前期比10.0%増)、経常利益は168億77百万円(前期比17.3%増)となりました。
2)インド
建築分野では需要は前年を僅かに下回りましたが、自動車分野の力強い回復により、売上は前年を上回りました。原材料価格高騰の影響は大きいものの、販売価格の改善に継続して取り組んだことから利益も前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,275億44百万円(前期比31.3%増)、経常利益は107億99百万円(前期比49.1%増)となりました。
3)欧州
トルコでは、自動車分野及び工業分野を中心に販売価格の改善に取り組み、売上は前年を上回りました。その他欧州各国においても、工業分野及び建築分野を中心に堅調な需要に支えられ売上は前年を上回り、欧州全体の売上は前年を上回りました。一方で、利益は原材料価格やエネルギーコストの高騰及びトルコにおける超インフレ会計適用の影響などにより、前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,120億70百万円(前期比32.9%増)、経常利益は15億64百万円(前期比72.1%減)となりました。
4)アジア
中国においては、自動車生産台数は前年を上回ったものの、主要顧客の需要が伸び悩み、自動車分野での売上は前年を下回りました。工業分野では産業機械向け塗料において主要顧客の需要が減少し、売上は前年を下回りました。これらの結果、中国全体での売上は前年を下回りました。インドネシア、タイ及びマレーシアにおいては、自動車生産台数の回復を受け、売上は前年を上回りました。利益は原材料価格高騰による影響を受けたものの、販売価格改善による効果が徐々に発現したことにより前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は680億70百万円(前期比18.1%増)、経常利益は74億97百万円(前期比3.3%増)となりました。
5)アフリカ
南アフリカ及び近隣諸国の経済は回復が遅れており需要が低迷する中、販売価格改善の取り組みにより南アフリカ地域の売上は伸長しました。東アフリカ地域においても、建築分野における拡販や販売価格改善の取り組みにより売上は伸長し、アフリカ全体の売上は前年を上回りました。利益は売上の増加に加え、過年度より継続している不採算事業の整理による固定費削減や、一過性の感染症関連保険金の受領などにより前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は418億31百万円(前期比15.8%増)、経常利益は20億99百万円(前期比55.0%増)となりました。
6)その他
北米では、自動車生産台数は前年を上回り、売上は前年を上回りました。一方で、利益は持分法投資利益が増加したものの、原材料価格の高騰による影響や前期に一過性の収益を計上したことなどにより前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は70億45百万円(前期比31.6%増)、経常利益は13億77百万円(前期比21.6%減)となりました。
(財政状態の状況)
1)流動資産
当連結会計年度末における流動資産合計は、3,196億17百万円(前期末比429億67百万円増)となりました。
流動資産の増加は、主に現金及び預金、商品及び製品、原材料及び貯蔵品などが増加したことによるものであります。
2)固定資産
当連結会計年度末における固定資産合計は、3,498億46百万円(前期末比264億39百万円増)となりました。
固定資産の増加は、主に有形固定資産及びのれんなどが増加したことによるものであります。
3)流動負債
当連結会計年度末における流動負債合計は、2,653億32百万円(前期末比922億48百万円増)となりました。
流動負債の増加は、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債などが減少したものの、短期借入金及び短期社債などが増加したことによるものであります。
4)固定負債
当連結会計年度末における固定負債合計は、511億12百万円(前期末比7億47百万円減)となりました。
5)純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、3,530億20百万円(前期末比220億94百万円減)となりました。
純資産の減少は、主に自己株式取得による減少等によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ235億54百万円増加し832億63百万円となりました。
1)営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比347億6百万円収入が増加し、502億31百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益434億69百万円及び減価償却費157億71百万円などの収入、棚卸資産の増加額40億61百万円及び法人税等の支払額74億57百万円の支出などによるものであります。
2)投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前期比85億56百万円支出が増加し、106億43百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出額93億47百万円などの支出によるものであります。
3)財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前期比458億3百万円支出が減少し、182億96百万円の支出となりました。これは主に、社債の償還による支出額1,249億99百万円、転換社債型新株予約権付社債の償還による支出額600億円、自己株式の取得による支出額534億43百万円、配当金の支払額73億82百万円などの支出、社債の発行による収入額1,699億99百万円及び短期借入金の純増加額651億66百万円などの収入によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しておりません。
2.金額は、製造原価によっております。
2)受注実績
当社グループは、主として見込生産によっておりますので、特に記載すべき事項はありません。
3)販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。
(注)1.EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費+持分法投資損益
2.調整後ROE=(当期純利益+のれん償却費) / 株主資本(期首期末平均)
当連結会計年度の連結売上高は5,090億円(前期比21.4%増)、営業利益は320億円(前期比6.6%増)となりました。また、価格転嫁と原価低減を積極的に進めた結果、売上高、利益額は増加したものの原材料費、エネルギー費、物流費、世界的インフレによる人件費の高騰などの影響により、連結EBITDAマージンは11.3%(前期比1.5ポイント減)、調整後ROEは9.6%(前期比0.4ポイント減)となりました。2023年度は第17次中期経営計画の2年目であり、第16次中期経営計画で積み上げた成果を基軸に連結売上高5,500億円、営業利益420億円、経常利益450億円、親会社株主に帰属する当期利益550億円と各段階利益全てにおいて過去最高値の更新を計画しております。
当社は、2021年11月、第17次中期経営計画を策定・公表の上、2022年4月より始動しました。
本計画は、当社経営が成長戦略「Good to Great」で掲げている持続的成長サイクルへ転換するための重要フェーズと位置付けており、2050年時点の「長期目標(マテリアリティ)」、すなわち「脱炭素の実現」「QOLの向上」「資源と経済循環両立の高度化」「多様な人財が活躍するグループへ」の達成に向け、ESG経営を根幹とした骨太な3か年計画として策定しております。
本計画を進めるにあたり、その重点方針としては、「収益性強化による資金捻出」「成長分野への積極投資」「経営基盤の強化」の3点を掲げております。(下図ご参照)

2022年度はこれら重点方針のもと、アフリカ事業の売却決定をはじめとする将来に向けた適切な事業ポートフォリオの組み換え施策を具体的に推進するとともに、資金調達の多様化、政策保有株式等の売却等を進めることにより、キャッシュアロケーションの計画を着実に実行しております。
海外事業につきましては、収益性と成長性が高く、第17次中期経営計画の成長ドライバーと位置付けております。そのうち、欧州セグメントはHeliosグループを主軸として、粉体塗料や鉄道車両用をはじめとする成長性の高い工業分野の強化を推進しており、ボルトオンM&Aを実行しました。インドセグメントは、自動車分野の圧倒的シェアの維持、収益性向上に努めながら、成長性の高い粉体塗料ビジネスや建築分野への投資を強化し、自動車/工業・建築の両輪による持続的な成長を目指してまいります。なお、アフリカセグメントは事業売却を完了するまで当社の中核事業としてマネジメントを進めてまいります。
日本セグメントにおきましては、各分野とも販売価格や商品ミックスの改善による収益性向上に注力しました。また水性・粉体塗料等の環境対応塗料を強化しつつ、粉体塗料については新会社を設立し、事業の再編・拡大により競争力を強化してまいります。
また当社グループ全体では長期的な取り組みとして、サプライチェーンの刷新プロジェクトを推進し、徹底的に収益性を高める構造改革を断行してまいります。
経営基盤の強化につきましては、「最も重要な基盤は人財である」という信念のもと、2021年度に移行した部門制の定着を一層推進するとともに、真のグローバル化に向けた人事制度の刷新、エンゲージメントの向上など会社機能の強化及び人財への重点的投資を進め、役員報酬制度の改定も併せ、「利益と公正」を徹底する仕組みを引き続き強化してまいります。またこれらの投資の効果を最大化し、定着させていくためにITに継続的に投資をしてまいります。
以上のような考え方のもと、第17次中期経営計画の最終年度目標としては、売上高5,000億円、EBITDAマージン17%、調整後ROE13%と設定しております。これらは、2021年度に再編した、当社の事業部門が管轄しているグループ会社と共同で策定した当時の現実的な目標値であると考えております。このように当社は積極的な事業成長への投資を通じて企業価値の更なる向上に努めてまいります。
2022年度通期決算の詳細は当社ウェブサイトに掲載しております。詳細は「戦略説明会 資料(2023/5/16)」(https://www.kansai.co.jp/ir/news/)をご参照ください。
地域別セグメントの業績は次のとおりであります。
(注)調整後営業利益=営業利益+持分法投資損益
事業部別セグメントの当連結会計年度の売上高と対前期比増減率の内訳は次のとおりであります
上記を踏まえた上での経営成績の状況に関する分析は次のとおりであります。
1)売上高及び営業利益
当期の売上高は前期比21.4%増、898億80百万円増収の5,090億70百万円となり、営業利益は前期比6.6%増、19億80百万円増の320億77百万円となりました。売上高、営業利益ともに前年11月時点で見直した公表値を上回る結果となりました。増収増益の主たる要因は価格転嫁に加えてトータルコストの削減によるもので、原材料費高騰の影響を受けたものの、増益となっております。
各セグメントの詳細は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(当社の売上高及び営業利益に影響を与える主要な指標)
日本の2023年度の自動車生産台数は900万台と想定
出所:日本自動車工業会、マークラインズ、日本の当連結会計年度は当社推定
(単位:円/kl)
上記数値は当社推定値であります。
2)営業外損益及び経常利益
当期の営業外損益は前期比6億24百万円増加の81億39百万円のプラスとなりました。主な増加要因は持分法による投資利益の増加及び支払利息の減少によるものであります。
これらの結果、当期の経常利益は前期比6.9%増、26億4百万円増益の402億16百万円となりました。
3)特別損益及び税金等調整前当期純利益
当期の特別損益は前期比29億71百万円減少の32億53百万円のプラスとなりました。主な減少要因は固定資産売却益の減少等によるものであります。
これらの結果、当期の税金等調整前当期純利益は前期比0.8%減、3億66百万円減益の434億69百万円となりました。
4)法人税等(法人税等調整額を含む)及び親会社株主に帰属する当期純利益
当期の法人税等は、前期比23億64百万円増加の139億55百万円となりました。主な増加要因は税金費用の増加によるものであります。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比5.0%減、13億30百万円減益の251億95百万円となりました。
財政状態については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は次のとおりであります。
当社グループは、自動車用、工業用、建築用、船舶用、防食用など幅広い分野を対象とした塗料の製造販売を行っております。国内塗料需要がほぼ横ばいで推移する中、積極的な海外事業展開を行い、海外売上高比率は国内を上回っております。今後も、海外での事業活動の規模は拡大していくものと予想され、事業展開地域、国の法律・規制・政治的要因等が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。こうした中、熾烈なグローバル競争を勝ち抜き、成長していくため、グループ全体でのシナジーを創出していくとともに、企業統治体制を高めていきます。
当社グループは、各国に製造拠点を設け事業活動を展開することを基本としておりますが、製品・原材料を他拠点から調達する場合等、為替相場の変動が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。製品の生産移管や、原材料の現地調達を進めていくほか、為替予約の実施等によるリスクヘッジを図っていきます。
また、当社グループの原材料は主に原油・ナフサ価格の変動による影響を受けます。急激な原材料価格の変動により販売価格への反映が充分でない場合は、当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。グローバル調達、品種統合の取組等によるコスト削減に努めるほか、迅速な対応が図れるよう原材料供給メーカーとの関係を強化していきます。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大における当社グループの対応といたしましては、新型コロナウイルス対策委員会を発足し、全社方針「社員と家族の安全第一」及び「会社機能を維持し事業を継続する」のもと、国内外の情報を集約かつ共有した上で、次のとおりの対応を実施しております。
・安全を確保しながら事業を継続
・在宅勤務とスプリット制の推進
・感染者発生を前提とした事業継続体制の構築
・直接部門でも、ソーシャルディスタンスを確保する業務体制の構築
・感染者発生時には政府・行政と連携し、事業所閉鎖・徹底した消毒の後最短で事業を再開
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは生産活動のための原材料仕入、製造費、営業活動のための販売促進費、製品競争力の強化、市場に適合した新技術の開発を目的とした研究開発費、各事業についての一般管理費等であります。投資活動については、成長投資・収益性向上に資する設備投資、事業拡大に関連した投融資が主な内容であります。また、特に海外での成長投資、国内では収益性向上に繋がる投資に対して、獲得した営業キャッシュ・フローを投入し、不足分については主に銀行借入と社債の発行による資金調達を行っております。短期借入金は主に営業取引に伴う資金調達であり、長期借入金及び社債は主に設備投資や投融資にかかる資金調達であります。
当社は機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当連結会計年度末現在の社債の未使用枠は、50,000百万円であります。
また、2016年6月に、当社は事業拡大に資する成長資金を低コストで調達することに加え、機動的な戦略投資を行っていくための強固で柔軟性の高い財務体質を維持することを目的に新株予約権付社債を発行いたしました。
さらに、当社グループ内資産効率化のためキャッシュマネジメントサービスの導入、コマーシャル・ペーパーの発行など資金調達方法の多様化を進めております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、収益及び費用並びに資産及び負債等の額の算定に際して様々な見積り及び判断が行われておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等不確実性が大きく、将来の業績予想等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点における入手可能な情報を基に検証等を行っております。
(有形固定資産及び無形固定資産)
固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損テストを行っております。資産グループの回収可能価額は、事業用資産については将来キャッシュ・フローを基にした使用価値により、遊休資産及び処分予定の資産については売却予定額を基にした正味売却価額によりそれぞれ測定しております。将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
(投資有価証券)
その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものについては、時価が取得原価に比して50%以上下落した場合は、時価の回復可能性がないものとして一律に減損処理を実施し、下落率が30%以上50%未満の場合には、時価の回復可能性の判定を行い、減損処理の要否を決定しております。また、市場価格のない株式等の減損処理にあたっては、財政状態の悪化があり、かつ実質価額が取得原価に比して50%以上下落した場合は原則減損としますが、個別に回復可能性を判断し、最終的に減損処理の要否を決定しております。回復可能性の判断が適切なものであると判断しておりますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落又は投資先の財政状態の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。
(繰延税金資産)
回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されております。当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当期における世界経済は感染症による影響が緩和され回復基調にありましたが、地政学リスクの顕在化を背景とした供給制約及び原材料価格の高騰に加えて世界的なインフレの影響で多くの国で金融引き締めが進展しており、その回復ペースが鈍化しております。そのような状況下、中国においては感染症拡大を受けて一時期多くの地域で活動規制が厳格化され、景気は低迷しております。米国、欧州においては利上げが景気を下押しするものの緩やかな持ち直しが継続しております。その他の地域においては、景気は回復基調もしくは持ち直しの動きが見られました。わが国経済は、資源高や為替の急激な変動、海外経済の減速などの影響を受けつつも、感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで持ち直しております。
当社グループの当連結会計年度における売上高は5,090億70百万円(前期比21.4%増)となりました。営業利益は原材料価格高騰の影響が継続し、売上増に伴い販売費用が増加する中で、販売価格への価格転嫁などの利益改善に取り組んだ結果、320億77百万円(前期比6.6%増)となりました。経常利益は持分法投資利益が増加した影響などにより402億16百万円(前期比6.9%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式縮減に伴う投資有価証券売却益を計上する一方で、前期に当社東京事業所の土地一部売却に伴う固定資産売却益を計上したことなどにより、251億95百万円(前期比5.0%減)となりました。
各セグメントの状況は次のとおりであります。
1)日本
自動車分野では自動車生産台数が前年を上回り、販売価格の改善に取り組んだこともあり、売上は前年を上回りました。工業分野、建築分野、自動車分野(補修用)及び防食分野では、市況が低調に推移した一方で、販売価格の改善に取り組んだことなどから売上は前年を上回りました。船舶分野では、市況は回復し売上は前年を上回りました。利益は原材料価格高騰の影響を受けた一方で、商品ミックスの改善やトータルコストの削減により前年を上回りました。
これらの結果、売上高は1,525億8百万円(前期比10.0%増)、経常利益は168億77百万円(前期比17.3%増)となりました。
2)インド
建築分野では需要は前年を僅かに下回りましたが、自動車分野の力強い回復により、売上は前年を上回りました。原材料価格高騰の影響は大きいものの、販売価格の改善に継続して取り組んだことから利益も前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,275億44百万円(前期比31.3%増)、経常利益は107億99百万円(前期比49.1%増)となりました。
3)欧州
トルコでは、自動車分野及び工業分野を中心に販売価格の改善に取り組み、売上は前年を上回りました。その他欧州各国においても、工業分野及び建築分野を中心に堅調な需要に支えられ売上は前年を上回り、欧州全体の売上は前年を上回りました。一方で、利益は原材料価格やエネルギーコストの高騰及びトルコにおける超インフレ会計適用の影響などにより、前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,120億70百万円(前期比32.9%増)、経常利益は15億64百万円(前期比72.1%減)となりました。
4)アジア
中国においては、自動車生産台数は前年を上回ったものの、主要顧客の需要が伸び悩み、自動車分野での売上は前年を下回りました。工業分野では産業機械向け塗料において主要顧客の需要が減少し、売上は前年を下回りました。これらの結果、中国全体での売上は前年を下回りました。インドネシア、タイ及びマレーシアにおいては、自動車生産台数の回復を受け、売上は前年を上回りました。利益は原材料価格高騰による影響を受けたものの、販売価格改善による効果が徐々に発現したことにより前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は680億70百万円(前期比18.1%増)、経常利益は74億97百万円(前期比3.3%増)となりました。
5)アフリカ
南アフリカ及び近隣諸国の経済は回復が遅れており需要が低迷する中、販売価格改善の取り組みにより南アフリカ地域の売上は伸長しました。東アフリカ地域においても、建築分野における拡販や販売価格改善の取り組みにより売上は伸長し、アフリカ全体の売上は前年を上回りました。利益は売上の増加に加え、過年度より継続している不採算事業の整理による固定費削減や、一過性の感染症関連保険金の受領などにより前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は418億31百万円(前期比15.8%増)、経常利益は20億99百万円(前期比55.0%増)となりました。
6)その他
北米では、自動車生産台数は前年を上回り、売上は前年を上回りました。一方で、利益は持分法投資利益が増加したものの、原材料価格の高騰による影響や前期に一過性の収益を計上したことなどにより前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は70億45百万円(前期比31.6%増)、経常利益は13億77百万円(前期比21.6%減)となりました。
(財政状態の状況)
1)流動資産
当連結会計年度末における流動資産合計は、3,196億17百万円(前期末比429億67百万円増)となりました。
流動資産の増加は、主に現金及び預金、商品及び製品、原材料及び貯蔵品などが増加したことによるものであります。
2)固定資産
当連結会計年度末における固定資産合計は、3,498億46百万円(前期末比264億39百万円増)となりました。
固定資産の増加は、主に有形固定資産及びのれんなどが増加したことによるものであります。
3)流動負債
当連結会計年度末における流動負債合計は、2,653億32百万円(前期末比922億48百万円増)となりました。
流動負債の増加は、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債などが減少したものの、短期借入金及び短期社債などが増加したことによるものであります。
4)固定負債
当連結会計年度末における固定負債合計は、511億12百万円(前期末比7億47百万円減)となりました。
5)純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、3,530億20百万円(前期末比220億94百万円減)となりました。
純資産の減少は、主に自己株式取得による減少等によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ235億54百万円増加し832億63百万円となりました。
1)営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比347億6百万円収入が増加し、502億31百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益434億69百万円及び減価償却費157億71百万円などの収入、棚卸資産の増加額40億61百万円及び法人税等の支払額74億57百万円の支出などによるものであります。
2)投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前期比85億56百万円支出が増加し、106億43百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出額93億47百万円などの支出によるものであります。
3)財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前期比458億3百万円支出が減少し、182億96百万円の支出となりました。これは主に、社債の償還による支出額1,249億99百万円、転換社債型新株予約権付社債の償還による支出額600億円、自己株式の取得による支出額534億43百万円、配当金の支払額73億82百万円などの支出、社債の発行による収入額1,699億99百万円及び短期借入金の純増加額651億66百万円などの収入によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
| 日本 | 93,818 | 14.8 |
| インド | 90,886 | 26.9 |
| 欧州 | 89,554 | 50.1 |
| アジア | 56,682 | 21.6 |
| アフリカ | 27,495 | 17.2 |
| 報告セグメント計 | 358,437 | 26.6 |
| その他 | 4,915 | 60.6 |
| 合計 | 363,353 | 27.0 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しておりません。
2.金額は、製造原価によっております。
2)受注実績
当社グループは、主として見込生産によっておりますので、特に記載すべき事項はありません。
3)販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| 日本 | 152,508 | 10.0 |
| インド | 127,544 | 31.3 |
| 欧州 | 112,070 | 32.9 |
| アジア | 68,070 | 18.1 |
| アフリカ | 41,831 | 15.8 |
| 報告セグメント計 | 502,024 | 21.3 |
| その他 | 7,045 | 31.6 |
| 合計 | 509,070 | 21.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。
| 指標 | 当連結会計年度(実績) | 2023年度見込 |
| 連結売上高(百万円) | 509,070 | 550,000 |
| 営業利益(百万円) | 32,077 | 42,000 |
| 経常利益(百万円) | 40,216 | 45,000 |
| 連結EBITDA(百万円) | 57,776 | 67,000 |
| 連結EBITDAマージン(%) | 11.3% | 12.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 25,195 | 55,000 |
| 調整後ROE(%) | 9.6% | 18.5% |
(注)1.EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費+持分法投資損益
2.調整後ROE=(当期純利益+のれん償却費) / 株主資本(期首期末平均)
当連結会計年度の連結売上高は5,090億円(前期比21.4%増)、営業利益は320億円(前期比6.6%増)となりました。また、価格転嫁と原価低減を積極的に進めた結果、売上高、利益額は増加したものの原材料費、エネルギー費、物流費、世界的インフレによる人件費の高騰などの影響により、連結EBITDAマージンは11.3%(前期比1.5ポイント減)、調整後ROEは9.6%(前期比0.4ポイント減)となりました。2023年度は第17次中期経営計画の2年目であり、第16次中期経営計画で積み上げた成果を基軸に連結売上高5,500億円、営業利益420億円、経常利益450億円、親会社株主に帰属する当期利益550億円と各段階利益全てにおいて過去最高値の更新を計画しております。
当社は、2021年11月、第17次中期経営計画を策定・公表の上、2022年4月より始動しました。
本計画は、当社経営が成長戦略「Good to Great」で掲げている持続的成長サイクルへ転換するための重要フェーズと位置付けており、2050年時点の「長期目標(マテリアリティ)」、すなわち「脱炭素の実現」「QOLの向上」「資源と経済循環両立の高度化」「多様な人財が活躍するグループへ」の達成に向け、ESG経営を根幹とした骨太な3か年計画として策定しております。
本計画を進めるにあたり、その重点方針としては、「収益性強化による資金捻出」「成長分野への積極投資」「経営基盤の強化」の3点を掲げております。(下図ご参照)

2022年度はこれら重点方針のもと、アフリカ事業の売却決定をはじめとする将来に向けた適切な事業ポートフォリオの組み換え施策を具体的に推進するとともに、資金調達の多様化、政策保有株式等の売却等を進めることにより、キャッシュアロケーションの計画を着実に実行しております。
海外事業につきましては、収益性と成長性が高く、第17次中期経営計画の成長ドライバーと位置付けております。そのうち、欧州セグメントはHeliosグループを主軸として、粉体塗料や鉄道車両用をはじめとする成長性の高い工業分野の強化を推進しており、ボルトオンM&Aを実行しました。インドセグメントは、自動車分野の圧倒的シェアの維持、収益性向上に努めながら、成長性の高い粉体塗料ビジネスや建築分野への投資を強化し、自動車/工業・建築の両輪による持続的な成長を目指してまいります。なお、アフリカセグメントは事業売却を完了するまで当社の中核事業としてマネジメントを進めてまいります。
日本セグメントにおきましては、各分野とも販売価格や商品ミックスの改善による収益性向上に注力しました。また水性・粉体塗料等の環境対応塗料を強化しつつ、粉体塗料については新会社を設立し、事業の再編・拡大により競争力を強化してまいります。
また当社グループ全体では長期的な取り組みとして、サプライチェーンの刷新プロジェクトを推進し、徹底的に収益性を高める構造改革を断行してまいります。
経営基盤の強化につきましては、「最も重要な基盤は人財である」という信念のもと、2021年度に移行した部門制の定着を一層推進するとともに、真のグローバル化に向けた人事制度の刷新、エンゲージメントの向上など会社機能の強化及び人財への重点的投資を進め、役員報酬制度の改定も併せ、「利益と公正」を徹底する仕組みを引き続き強化してまいります。またこれらの投資の効果を最大化し、定着させていくためにITに継続的に投資をしてまいります。
以上のような考え方のもと、第17次中期経営計画の最終年度目標としては、売上高5,000億円、EBITDAマージン17%、調整後ROE13%と設定しております。これらは、2021年度に再編した、当社の事業部門が管轄しているグループ会社と共同で策定した当時の現実的な目標値であると考えております。このように当社は積極的な事業成長への投資を通じて企業価値の更なる向上に努めてまいります。
2022年度通期決算の詳細は当社ウェブサイトに掲載しております。詳細は「戦略説明会 資料(2023/5/16)」(https://www.kansai.co.jp/ir/news/)をご参照ください。
地域別セグメントの業績は次のとおりであります。
| セグメント の名称 | 売上高 | 調整後営業利益 | ||||||
| 前連結 会計年度 (百万円) | 当連結 会計年度 (百万円) | 増減率 (%) | 2023年度 見込 (百万円) | 前連結 会計年度 (百万円) | 当連結 会計年度 (百万円) | 増減率 (%) | 2023年度 見込 (百万円) | |
| 日本 | 138,620 | 152,508 | 10.0 | 165,000 | 11,600 | 13,285 | 14.5 | 16,000 |
| インド | 97,133 | 127,544 | 31.3 | 133,000 | 7,444 | 10,987 | 47.6 | 12,000 |
| 欧州 | 84,320 | 112,070 | 32.9 | 135,000 | 5,679 | 1,991 | △64.9 | 3,500 |
| アジア | 57,631 | 68,070 | 18.1 | 70,000 | 6,826 | 7,344 | 7.6 | 9,000 |
| アフリカ | 36,131 | 41,831 | 15.8 | 40,000 | 2,394 | 2,724 | 13.8 | 3,000 |
| その他 | 5,352 | 7,045 | 31.6 | 7,000 | 1,519 | 1,374 | △9.6 | 2,000 |
| 合計 | 419,190 | 509,070 | 21.4 | 550,000 | 35,507 | 37,840 | 6.6 | 45,500 |
(注)調整後営業利益=営業利益+持分法投資損益
事業部別セグメントの当連結会計年度の売上高と対前期比増減率の内訳は次のとおりであります
| セグメント の名称 | 自動車塗料 | 工業塗料 | 建築塗料 | 自動車(補修用)船舶・ 防食塗料 | その他 | 合計 | ||||||
| 金額 (百万円) | 増減率 (%) | 金額 (百万円) | 増減率 (%) | 金額 (百万円) | 増減率 (%) | 金額 (百万円) | 増減率 (%) | 金額 (百万円) | 増減率 (%) | 金額 (百万円) | 増減率 (%) | |
| 日本 | 58,450 | 12.4 | 34,472 | 7.6 | 23,549 | 1.0 | 32,496 | 15.5 | 3,539 | 13.7 | 152,508 | 10.0 |
| インド | 36,651 | 53.6 | 18,406 | 32.3 | 69,333 | 22.9 | 2,460 | 58.5 | 691 | △49.5 | 127,544 | 31.3 |
| 欧州 | 8,220 | 53.4 | 55,811 | 36.6 | 6,891 | 21.1 | 13,237 | 35.5 | 27,910 | 23.3 | 112,070 | 32.9 |
| アジア | 38,604 | 20.9 | 13,128 | 11.0 | 9,929 | 17.7 | 3,334 | 34.3 | 3,074 | 4.6 | 68,070 | 18.1 |
| アフリカ | 461 | △15.5 | 4,426 | 23.8 | 31,587 | 21.8 | 2,566 | 20.6 | 2,788 | △29.5 | 41,831 | 15.8 |
| その他 | 7,045 | 31.6 | - | - | - | - | - | - | - | - | 7,045 | 31.6 |
| 合計 | 149,434 | 25.5 | 126,244 | 23.5 | 141,291 | 17.9 | 54,096 | 22.7 | 38,003 | 11.8 | 509,070 | 21.4 |
上記を踏まえた上での経営成績の状況に関する分析は次のとおりであります。
1)売上高及び営業利益
当期の売上高は前期比21.4%増、898億80百万円増収の5,090億70百万円となり、営業利益は前期比6.6%増、19億80百万円増の320億77百万円となりました。売上高、営業利益ともに前年11月時点で見直した公表値を上回る結果となりました。増収増益の主たる要因は価格転嫁に加えてトータルコストの削減によるもので、原材料費高騰の影響を受けたものの、増益となっております。
各セグメントの詳細は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(当社の売上高及び営業利益に影響を与える主要な指標)
| 国名 | 自動車生産台数(万台) | |
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |
| 日本 | 755 | 810 |
| インド | 445 | 561 |
| 中国 | 2,608 | 2,702 |
| タイ | 169 | 188 |
| インドネシア | 112 | 147 |
| マレーシア | 48 | 70 |
| トルコ | 103 | 107 |
日本の2023年度の自動車生産台数は900万台と想定
出所:日本自動車工業会、マークラインズ、日本の当連結会計年度は当社推定
(単位:円/kl)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 2023年度 | |||
| 上期 | 下期 | 上期 | 下期 | 通期 | |
| 国内ナフサ価格 | 50,600 | 62,600 | 83,700 | 69,500 | 66,000 |
上記数値は当社推定値であります。
2)営業外損益及び経常利益
当期の営業外損益は前期比6億24百万円増加の81億39百万円のプラスとなりました。主な増加要因は持分法による投資利益の増加及び支払利息の減少によるものであります。
これらの結果、当期の経常利益は前期比6.9%増、26億4百万円増益の402億16百万円となりました。
3)特別損益及び税金等調整前当期純利益
当期の特別損益は前期比29億71百万円減少の32億53百万円のプラスとなりました。主な減少要因は固定資産売却益の減少等によるものであります。
これらの結果、当期の税金等調整前当期純利益は前期比0.8%減、3億66百万円減益の434億69百万円となりました。
4)法人税等(法人税等調整額を含む)及び親会社株主に帰属する当期純利益
当期の法人税等は、前期比23億64百万円増加の139億55百万円となりました。主な増加要因は税金費用の増加によるものであります。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比5.0%減、13億30百万円減益の251億95百万円となりました。
財政状態については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は次のとおりであります。
当社グループは、自動車用、工業用、建築用、船舶用、防食用など幅広い分野を対象とした塗料の製造販売を行っております。国内塗料需要がほぼ横ばいで推移する中、積極的な海外事業展開を行い、海外売上高比率は国内を上回っております。今後も、海外での事業活動の規模は拡大していくものと予想され、事業展開地域、国の法律・規制・政治的要因等が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。こうした中、熾烈なグローバル競争を勝ち抜き、成長していくため、グループ全体でのシナジーを創出していくとともに、企業統治体制を高めていきます。
当社グループは、各国に製造拠点を設け事業活動を展開することを基本としておりますが、製品・原材料を他拠点から調達する場合等、為替相場の変動が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。製品の生産移管や、原材料の現地調達を進めていくほか、為替予約の実施等によるリスクヘッジを図っていきます。
また、当社グループの原材料は主に原油・ナフサ価格の変動による影響を受けます。急激な原材料価格の変動により販売価格への反映が充分でない場合は、当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。グローバル調達、品種統合の取組等によるコスト削減に努めるほか、迅速な対応が図れるよう原材料供給メーカーとの関係を強化していきます。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大における当社グループの対応といたしましては、新型コロナウイルス対策委員会を発足し、全社方針「社員と家族の安全第一」及び「会社機能を維持し事業を継続する」のもと、国内外の情報を集約かつ共有した上で、次のとおりの対応を実施しております。
・安全を確保しながら事業を継続
・在宅勤務とスプリット制の推進
・感染者発生を前提とした事業継続体制の構築
・直接部門でも、ソーシャルディスタンスを確保する業務体制の構築
・感染者発生時には政府・行政と連携し、事業所閉鎖・徹底した消毒の後最短で事業を再開
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは生産活動のための原材料仕入、製造費、営業活動のための販売促進費、製品競争力の強化、市場に適合した新技術の開発を目的とした研究開発費、各事業についての一般管理費等であります。投資活動については、成長投資・収益性向上に資する設備投資、事業拡大に関連した投融資が主な内容であります。また、特に海外での成長投資、国内では収益性向上に繋がる投資に対して、獲得した営業キャッシュ・フローを投入し、不足分については主に銀行借入と社債の発行による資金調達を行っております。短期借入金は主に営業取引に伴う資金調達であり、長期借入金及び社債は主に設備投資や投融資にかかる資金調達であります。
当社は機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当連結会計年度末現在の社債の未使用枠は、50,000百万円であります。
また、2016年6月に、当社は事業拡大に資する成長資金を低コストで調達することに加え、機動的な戦略投資を行っていくための強固で柔軟性の高い財務体質を維持することを目的に新株予約権付社債を発行いたしました。
さらに、当社グループ内資産効率化のためキャッシュマネジメントサービスの導入、コマーシャル・ペーパーの発行など資金調達方法の多様化を進めております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、収益及び費用並びに資産及び負債等の額の算定に際して様々な見積り及び判断が行われておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等不確実性が大きく、将来の業績予想等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点における入手可能な情報を基に検証等を行っております。
(有形固定資産及び無形固定資産)
固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損テストを行っております。資産グループの回収可能価額は、事業用資産については将来キャッシュ・フローを基にした使用価値により、遊休資産及び処分予定の資産については売却予定額を基にした正味売却価額によりそれぞれ測定しております。将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
(投資有価証券)
その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものについては、時価が取得原価に比して50%以上下落した場合は、時価の回復可能性がないものとして一律に減損処理を実施し、下落率が30%以上50%未満の場合には、時価の回復可能性の判定を行い、減損処理の要否を決定しております。また、市場価格のない株式等の減損処理にあたっては、財政状態の悪化があり、かつ実質価額が取得原価に比して50%以上下落した場合は原則減損としますが、個別に回復可能性を判断し、最終的に減損処理の要否を決定しております。回復可能性の判断が適切なものであると判断しておりますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落又は投資先の財政状態の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。
(繰延税金資産)
回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されております。当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。