有価証券報告書-第161期(2024/04/01-2025/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当期における世界経済は、欧米各国、日銀による政策金利の変更に伴う為替変動や、地政学リスクの高まり、米国の通商政策を含む不確実な政策動向、金融資本市場の変動などを背景に、依然として先行きは不透明な状況が続きました。このような状況下、わが国経済は、総じて景気は緩やかに回復していますが、持続的な物価上昇の影響を受けつつ、金利の上昇、ウクライナ・中東情勢の問題及び為替の変動などにより、景気の先行きに注視が必要な状況が続きました。インドにおいては、物価上昇や金利の高止まりにより成長ペースが鈍化傾向にありましたが、中央銀行が利下げに動くなど景気下支えに向けた支援が行われ、引き続き内需主導の堅調な成長が続く見込みです。欧州においては、インフレ圧力の緩やかな緩和を受けて利下げが実施され、景気は緩やかに回復する見通しですが、一部の地域では依然として足踏み状態が続いております。中国においては、景気の持ち直しの動きはみられるものの、不動産市場の停滞に伴う景気の下振れが懸念されています。
当社グループの当連結会計年度における売上高は5,888億25百万円(前期比4.7%増)となりました。営業利益は、固定費の増加があったものの、原価低減や販売価格の改善などに取り組んだ結果、520億50百万円(前期比0.9%増)となりました。経常利益は、超インフレ会計による正味貨幣持高に係る損失や為替差損の計上、持分法適用会社において、のれんなどの減損損失を計上するなど、持分法による投資利益が大幅に減少したことなどから、491億3百万円(前期比14.9%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年に計上されていた一過性の特別利益の影響がなくなったことに加え、早期割増退職金や事業撤退損などの一過性の特別損失の計上により、383億6百万円(前期比42.9%減)となりました。
各セグメントの状況は以下のとおりであります。
1)日本
自動車分野では、一部自動車メーカーの生産・出荷停止等の影響で自動車生産台数が前年を下回ったものの、販売価格の改善に取り組んだ結果、売上高は前年を上回りました。工業分野、建築分野及び防食分野では、市況低調などの影響により販売を拡大できず、トータルで売上高は前年を下回りました。船舶分野では、外航船向けの市況は好調に推移しました。セグメント利益は、一部の原材料価格が低下してきたことに加え、販売価格の改善に取り組んだことなどから前年を上回りました。
これらの結果、売上高は1,638億96百万円(前期比0.9%減)、セグメント利益は239億19百万円(前期比11.5%増)となりました。
2)インド
建築分野では、販売促進活動を推進するものの、市場環境の激化や低価格品へのシフトも進み、売上高は前年を下回りました。一方、インドの自動車生産台数は安定して推移しており、自動車分野の売上高は前年を大幅に上回り、インド全体の売上高は、前年を上回りました。セグメント利益は、人件費などの固定費が増加し、前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,423億35百万円(前期比4.2%増)、セグメント利益は141億93百万円(前期比4.1%減)となりました。
3)欧州
トルコでは、自動車生産台数は減少したものの、販売価格改善の取り組みにより、売上高は前年並みとなりました。その他欧州各国においては、工業分野を中心とした堅調な需要と新規連結の影響により、売上高は前年を上回りました。一方で、セグメント利益は原材料価格が安定して推移したものの、インフレ影響による固定費の増加に加え、持分法適用会社において、のれんなどの減損損失を計上するなど、持分法による投資損失が大幅に拡大し、前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,564億69百万円(前期比15.1%増)、セグメント損失は9億79百万円となりました。
4)アジア
中国においては、自動車生産台数は前年を上回ったものの主要顧客の需要は伸び悩み、売上高は前年を下回りました。タイ及びインドネシアにおいては、自動車生産台数の減少を受け、売上高は前年を下回りました。マレーシアでは、自動車生産台数が堅調に推移し、販売数量が伸びたほか、販売価格の改善に取り組んだことにより、売上高は前年を上回りました。セグメント利益は、自動車分野の減収の影響を受け、前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は686億70百万円(前期比4.5%減)、セグメント利益は91億88百万円(前期比12.9%減)となりました。
5)アフリカ
南アフリカ及び近隣諸国の経済は慢性的な電力不足やインフレ圧力により消費が低迷するなか、販売活動の促進に努めたほか新規顧客の獲得により、売上高は前年を上回りました。東アフリカ地域では、デモや天候不順の影響などあったものの、建築分野において拡販を進めたことにより、売上高は前年を上回りました。セグメント利益はコスト削減などに取り組んだことにより、前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は474億23百万円(前期比9.4%増)、セグメント利益は43億50百万円(前期比6.7%増)となりました。
6)その他
北米では、自動車生産台数は堅調に推移し、売上高は前年を上回りました。セグメント利益については、増収に伴い営業利益が改善したものの、持分法による投資利益が減少したことなどにより、前年をわずかに下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は100億31百万円(前期比8.9%増)、セグメント利益は32億4百万円(前期比2.8%減)となりました。
(財政状態の状況)
1)流動資産
当連結会計年度末における流動資産合計は、3,555億30百万円(前期末比268億9百万円増)となりました。
流動資産の増加は、主に受取手形、売掛金及び契約資産、有価証券や原材料及び貯蔵品などが増加したことによるものであります。
2)固定資産
当連結会計年度末における固定資産合計は、3,951億68百万円(前期末比341億86百万円増)となりました。
固定資産の増加は、投資有価証券などが減少したものの、主に有形固定資産、無形固定資産及び出資金などが増加したことによるものであります。
3)流動負債
当連結会計年度末における流動負債合計は、1,770億49百万円(前期末比242億円増)となりました。
流動負債の増加は、主に未払法人税等が減少したものの、短期借入金、短期社債や未払費用などが増加したことによるものであります。
4)固定負債
当連結会計年度末における固定負債合計は、2,236億39百万円(前期末比670億33百万円増)となりました。
固定負債の増加は、主に社債、長期借入金や繰延税金負債などが増加したことによるものであります。
5)純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、3,500億9百万円(前期末比302億38百万円減)となりました。
純資産の減少は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことや為替換算調整勘定などが増加したものの、自己株式を取得して消却を実施したことにより、利益剰余金が減少したことによるものであります。
なお、Weilburgerグループ各社の株式を取得し子会社化した影響が含まれており、これに伴い主に固定資産などが増加しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ78億5百万円減少し631億47百万円となりました。
1)営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比321億17百万円収入が減少し、349億66百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益652億68百万円、減価償却費207億3百万円などの収入、法人税等の支払額312億92百万円、固定資産除売却損益118億47百万円、投資有価証券売却損益70億23百万円などの支出によるものであります。
2)投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前期比301億57百万円支出が増加し、392億円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出額201億5百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出額194億円、定期預金の預入による支出額150億81百万円、有価証券の増加額75億14百万円、無形固定資産の取得による支出額52億31百万円などの支出、有形固定資産の売却による収入額132億38百万円、定期預金の払戻による収入81億15百万円、投資有価証券の売却による収入額71億7百万円などの収入によるものであります。
3)財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前期比648億49百万円支出が減少し、80億6百万円の支出となりました。これは主に、社債の償還による支出額3,719億21百万円、自己株式の取得による支出額800億8百万円、配当金の支払額87億41百万円、長期借入金の返済による支出額87億9百万円などの支出、社債の発行による収入額4,639億7百万円などの収入によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しておりません。
2.金額は、製造原価によっております。
2)受注実績
当社グループは、主として見込生産によっておりますので、特に記載すべき事項はありません。
3)販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。
(注)1.EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費+持分法投資損益
2.調整後ROE=(当期純利益+のれん償却費) / 株主資本(期首期末平均) ※一過性除く
当連結会計年度の連結売上高は5,888億円(前期比4.7%増)、営業利益は520億円(前期比0.9%増)となりました。これは、欧州における新規連結による影響および積極的な原価低減の取り組みにより、売上および営業利益が増加したためです。一方で、持分法適用会社において、のれんなどの減損損失を計上したことなどにより、持分法による投資利益が大幅に減少し、連結EBITDAマージンは13.8%(前期比0.8ポイント減)となりました。2025年度は第18次中期経営計画の初年度であり、第17次中期経営計画で積み上げた成果を基軸に連結売上高6,000億円、営業利益540億円、経常利益580億円、親会社株主に帰属する当期純利益360億円と連結売上高、営業利益、経常利益ともに過去最高を計画しております。
当社は、2024年11月、第18次中期経営計画を策定・公表の上、2025年4月より始動しました。
本計画では、事業、人材、エンゲージメントの強化をテーマにしています。2022年度から設定しております2030年の目標(KPI2030)に向けて、2027年度に財務・非財務両方の中間目標を達成することで、ありたい姿の実現可能性を高めていきます。
本計画の重点方針は、「構造改革による収益性と効率性の強化」、「事業を伸ばす製品開発とDXの推進」、「人材育成と最適配置の両立」、「最適資本構成に基づく積極的な投資と還元」であり、地域ごとの重点方針に対する戦略を具体的に示し取り組んでまいります。また、株主との対話を重視し、建設的な対話を継続しながら、信頼関係を築き、企業価値の向上を目指します。
以上のような考え方のもと、第18次中期経営計画の最終年度目標としては、売上高7,000億円、EBITDAマージン17%、調整後ROE15%と設定しております。これらは、当社の事業部門が管轄しているグループ会社と共同で策定した現実的な目標値であると考えております。このように当社は積極的な事業成長への投資を通じて企業価値の更なる向上に努めてまいります。
2024年度通期決算の詳細は当社ウェブサイトに掲載しております。詳細は「戦略説明会 資料(2025/5/16)」(https://www.kansai.co.jp/ir/library/explanation/)をご参照ください。
地域別セグメントの業績は次のとおりであります。
(注)セグメント利益=営業利益+持分法投資損益
事業部別セグメントの当連結会計年度の売上高と対前期比増減率の内訳は次のとおりであります
上記を踏まえた上での経営成績の状況に関する分析は次のとおりであります。
1)売上高及び営業利益
当期の売上高は前期比4.7%増、265億48百万円増収の5,888億25百万円となり、営業利益は前期比0.9%増、4億55百万円増の520億50百万円となりました。売上高、営業利益ともに2025年2月時点で見直した公表値を上回り、過去最高となりました。増収増益の主たる要因は欧州における新規連結による影響や価格転嫁に加え、一部の原材料価格水準の低下によるものであり、固定費の増加があったものの、増益となっております。
各セグメントの詳細は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(当社の売上高及び営業利益に影響を与える主要な指標)
日本の2025年度の自動車生産台数は840万台と想定
出所:日本自動車工業会、マークラインズ、日本の当連結会計年度は当社推定
(単位:円/kl)
上記数値は当社推定値であります。
2)営業外損益及び経常利益
当期の営業外損益は前期比90億36百万円減少の29億47百万円のマイナスとなりました。主な減少要因は、持分法適用会社において、のれんなどの減損損失を計上するなど、持分法による投資利益が大幅に減少したことや為替差損の計上によるものであります。
これらの結果、当期の経常利益は前期比14.9%減、85億81百万円減益の491億3百万円となりました。
3)特別損益及び税金等調整前当期純利益
当期の特別損益は前期比345億26百万円減少の161億64百万円のプラスとなりました。主な減少要因は、前年に計上されていた一過性の特別利益の影響がなくなったことに加え、早期割増退職金や事業撤退損などの一過性の特別損失の計上によるものであります。
これらの結果、当期の税金等調整前当期純利益は前期比39.8%減、431億7百万円減益の652億68百万円となりました。
4)法人税等(法人税等調整額を含む)及び親会社株主に帰属する当期純利益
当期の法人税等は、前期比119億94百万円減少の200億34百万円となりました。主な減少要因は当社グループにおける税引前当期純利益の減少による税金費用の減少によるものであります。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比42.9%減、288億3百万円減益の383億6百万円となりました。
財政状態については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は次のとおりであります。
当社グループは、自動車用、工業用、建築用、船舶用、防食用など幅広い分野を対象とした塗料の製造販売を行っております。国内塗料需要がほぼ横ばいで推移する中、積極的な海外事業展開を行い、海外売上高比率は国内を上回っております。今後も、海外での事業活動の規模は拡大していくものと予想され、事業展開地域、国の法律・規制・政治的要因等が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。こうした中、熾烈なグローバル競争を勝ち抜き、成長していくため、グループ全体でのシナジーを創出していくとともに、企業統治体制を高めていきます。
当社グループは、各国に製造拠点を設け事業活動を展開することを基本としておりますが、製品・原材料を他拠点から調達する場合等、為替相場の変動が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。製品の生産移管や、原材料の現地調達を進めていくほか、為替予約の実施等によるリスクヘッジを図っていきます。
また、当社グループの原材料は主に原油・ナフサ価格の変動による影響を受けます。急激な原材料価格の変動により販売価格への反映が充分でない場合は、当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。グローバル調達、品種統合の取組等によるコスト削減に努めるほか、迅速な対応が図れるよう原材料供給メーカーとの関係を強化していきます。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは生産活動のための原材料仕入、製造費、営業活動のための販売促進費、製品競争力の強化、市場に適合した新技術の開発を目的とした研究開発費、各事業についての一般管理費等であります。投資活動については、成長投資・収益性向上に資する設備投資、事業拡大に関連した投融資が主な内容であります。また、特に海外での成長投資、国内では収益性向上に繋がる投資に対して、獲得した営業キャッシュ・フローを投入し、不足分については主に銀行借入と社債の発行による資金調達を行っております。短期借入金は主に営業取引に伴う資金調達であり、長期借入金及び社債は主に設備投資や投融資にかかる資金調達であります。
当社は機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、2024年8月に、自己株式取得資金、短期社債償還資金及び運転資金に充当するために国内無担保普通社債を発行いたしました。
さらに、当社グループ内資産効率化のためキャッシュマネジメントサービスの導入、コマーシャル・ペーパーの発行など資金調達方法の多様化を進めております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、収益及び費用並びに資産及び負債等の額の算定に際して様々な見積り及び判断が行われておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を与える可能性があります。
(有形固定資産及び無形固定資産)
固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損テストを行っております。資産グループの回収可能価額は、事業用資産については将来キャッシュ・フローを基にした使用価値により、遊休資産及び処分予定の資産については売却予定額を基にした正味売却価額によりそれぞれ測定しております。将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
(投資有価証券)
その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものについては、時価が取得原価に比して50%以上下落した場合は、時価の回復可能性がないものとして一律に減損処理を実施し、下落率が30%以上50%未満の場合には、時価の回復可能性の判定を行い、減損処理の要否を決定しております。また、市場価格のない株式等の減損処理にあたっては、財政状態の悪化があり、かつ実質価額が取得原価に比して50%以上下落した場合は原則減損としますが、個別に回復可能性を判断し、最終的に減損処理の要否を決定しております。回復可能性の判断が適切なものであると判断しておりますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落又は投資先の財政状態の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。
(繰延税金資産)
回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されております。当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当期における世界経済は、欧米各国、日銀による政策金利の変更に伴う為替変動や、地政学リスクの高まり、米国の通商政策を含む不確実な政策動向、金融資本市場の変動などを背景に、依然として先行きは不透明な状況が続きました。このような状況下、わが国経済は、総じて景気は緩やかに回復していますが、持続的な物価上昇の影響を受けつつ、金利の上昇、ウクライナ・中東情勢の問題及び為替の変動などにより、景気の先行きに注視が必要な状況が続きました。インドにおいては、物価上昇や金利の高止まりにより成長ペースが鈍化傾向にありましたが、中央銀行が利下げに動くなど景気下支えに向けた支援が行われ、引き続き内需主導の堅調な成長が続く見込みです。欧州においては、インフレ圧力の緩やかな緩和を受けて利下げが実施され、景気は緩やかに回復する見通しですが、一部の地域では依然として足踏み状態が続いております。中国においては、景気の持ち直しの動きはみられるものの、不動産市場の停滞に伴う景気の下振れが懸念されています。
当社グループの当連結会計年度における売上高は5,888億25百万円(前期比4.7%増)となりました。営業利益は、固定費の増加があったものの、原価低減や販売価格の改善などに取り組んだ結果、520億50百万円(前期比0.9%増)となりました。経常利益は、超インフレ会計による正味貨幣持高に係る損失や為替差損の計上、持分法適用会社において、のれんなどの減損損失を計上するなど、持分法による投資利益が大幅に減少したことなどから、491億3百万円(前期比14.9%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年に計上されていた一過性の特別利益の影響がなくなったことに加え、早期割増退職金や事業撤退損などの一過性の特別損失の計上により、383億6百万円(前期比42.9%減)となりました。
各セグメントの状況は以下のとおりであります。
1)日本
自動車分野では、一部自動車メーカーの生産・出荷停止等の影響で自動車生産台数が前年を下回ったものの、販売価格の改善に取り組んだ結果、売上高は前年を上回りました。工業分野、建築分野及び防食分野では、市況低調などの影響により販売を拡大できず、トータルで売上高は前年を下回りました。船舶分野では、外航船向けの市況は好調に推移しました。セグメント利益は、一部の原材料価格が低下してきたことに加え、販売価格の改善に取り組んだことなどから前年を上回りました。
これらの結果、売上高は1,638億96百万円(前期比0.9%減)、セグメント利益は239億19百万円(前期比11.5%増)となりました。
2)インド
建築分野では、販売促進活動を推進するものの、市場環境の激化や低価格品へのシフトも進み、売上高は前年を下回りました。一方、インドの自動車生産台数は安定して推移しており、自動車分野の売上高は前年を大幅に上回り、インド全体の売上高は、前年を上回りました。セグメント利益は、人件費などの固定費が増加し、前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,423億35百万円(前期比4.2%増)、セグメント利益は141億93百万円(前期比4.1%減)となりました。
3)欧州
トルコでは、自動車生産台数は減少したものの、販売価格改善の取り組みにより、売上高は前年並みとなりました。その他欧州各国においては、工業分野を中心とした堅調な需要と新規連結の影響により、売上高は前年を上回りました。一方で、セグメント利益は原材料価格が安定して推移したものの、インフレ影響による固定費の増加に加え、持分法適用会社において、のれんなどの減損損失を計上するなど、持分法による投資損失が大幅に拡大し、前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,564億69百万円(前期比15.1%増)、セグメント損失は9億79百万円となりました。
4)アジア
中国においては、自動車生産台数は前年を上回ったものの主要顧客の需要は伸び悩み、売上高は前年を下回りました。タイ及びインドネシアにおいては、自動車生産台数の減少を受け、売上高は前年を下回りました。マレーシアでは、自動車生産台数が堅調に推移し、販売数量が伸びたほか、販売価格の改善に取り組んだことにより、売上高は前年を上回りました。セグメント利益は、自動車分野の減収の影響を受け、前年を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は686億70百万円(前期比4.5%減)、セグメント利益は91億88百万円(前期比12.9%減)となりました。
5)アフリカ
南アフリカ及び近隣諸国の経済は慢性的な電力不足やインフレ圧力により消費が低迷するなか、販売活動の促進に努めたほか新規顧客の獲得により、売上高は前年を上回りました。東アフリカ地域では、デモや天候不順の影響などあったものの、建築分野において拡販を進めたことにより、売上高は前年を上回りました。セグメント利益はコスト削減などに取り組んだことにより、前年を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は474億23百万円(前期比9.4%増)、セグメント利益は43億50百万円(前期比6.7%増)となりました。
6)その他
北米では、自動車生産台数は堅調に推移し、売上高は前年を上回りました。セグメント利益については、増収に伴い営業利益が改善したものの、持分法による投資利益が減少したことなどにより、前年をわずかに下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は100億31百万円(前期比8.9%増)、セグメント利益は32億4百万円(前期比2.8%減)となりました。
(財政状態の状況)
1)流動資産
当連結会計年度末における流動資産合計は、3,555億30百万円(前期末比268億9百万円増)となりました。
流動資産の増加は、主に受取手形、売掛金及び契約資産、有価証券や原材料及び貯蔵品などが増加したことによるものであります。
2)固定資産
当連結会計年度末における固定資産合計は、3,951億68百万円(前期末比341億86百万円増)となりました。
固定資産の増加は、投資有価証券などが減少したものの、主に有形固定資産、無形固定資産及び出資金などが増加したことによるものであります。
3)流動負債
当連結会計年度末における流動負債合計は、1,770億49百万円(前期末比242億円増)となりました。
流動負債の増加は、主に未払法人税等が減少したものの、短期借入金、短期社債や未払費用などが増加したことによるものであります。
4)固定負債
当連結会計年度末における固定負債合計は、2,236億39百万円(前期末比670億33百万円増)となりました。
固定負債の増加は、主に社債、長期借入金や繰延税金負債などが増加したことによるものであります。
5)純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、3,500億9百万円(前期末比302億38百万円減)となりました。
純資産の減少は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことや為替換算調整勘定などが増加したものの、自己株式を取得して消却を実施したことにより、利益剰余金が減少したことによるものであります。
なお、Weilburgerグループ各社の株式を取得し子会社化した影響が含まれており、これに伴い主に固定資産などが増加しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ78億5百万円減少し631億47百万円となりました。
1)営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比321億17百万円収入が減少し、349億66百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益652億68百万円、減価償却費207億3百万円などの収入、法人税等の支払額312億92百万円、固定資産除売却損益118億47百万円、投資有価証券売却損益70億23百万円などの支出によるものであります。
2)投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前期比301億57百万円支出が増加し、392億円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出額201億5百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出額194億円、定期預金の預入による支出額150億81百万円、有価証券の増加額75億14百万円、無形固定資産の取得による支出額52億31百万円などの支出、有形固定資産の売却による収入額132億38百万円、定期預金の払戻による収入81億15百万円、投資有価証券の売却による収入額71億7百万円などの収入によるものであります。
3)財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前期比648億49百万円支出が減少し、80億6百万円の支出となりました。これは主に、社債の償還による支出額3,719億21百万円、自己株式の取得による支出額800億8百万円、配当金の支払額87億41百万円、長期借入金の返済による支出額87億9百万円などの支出、社債の発行による収入額4,639億7百万円などの収入によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
| 日本 | 100,366 | △1.3 |
| インド | 92,682 | 4.5 |
| 欧州 | 108,775 | 12.6 |
| アジア | 53,478 | △6.5 |
| アフリカ | 31,342 | 15.3 |
| 報告セグメント計 | 386,645 | 4.1 |
| その他 | 6,588 | 14.4 |
| 合計 | 393,233 | 4.2 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しておりません。
2.金額は、製造原価によっております。
2)受注実績
当社グループは、主として見込生産によっておりますので、特に記載すべき事項はありません。
3)販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| 日本 | 163,896 | △0.9 |
| インド | 142,335 | 4.2 |
| 欧州 | 156,469 | 15.1 |
| アジア | 68,670 | △4.5 |
| アフリカ | 47,423 | 9.4 |
| 報告セグメント計 | 578,794 | 4.7 |
| その他 | 10,031 | 8.9 |
| 合計 | 588,825 | 4.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。
| 指標 | 当連結会計年度(実績) | 2025年度見込 |
| 連結売上高(百万円) | 588,825 | 600,000 |
| 営業利益(百万円) | 52,050 | 54,000 |
| 経常利益(百万円) | 49,103 | 58,000 |
| 連結EBITDA(百万円) | 81,214 | 86,000 |
| 連結EBITDAマージン(%) | 13.8% | 14.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 38,306 | 36,000 |
| 調整後ROE(%)※ | 13.1% | 13.3% |
(注)1.EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費+持分法投資損益
2.調整後ROE=(当期純利益+のれん償却費) / 株主資本(期首期末平均) ※一過性除く
当連結会計年度の連結売上高は5,888億円(前期比4.7%増)、営業利益は520億円(前期比0.9%増)となりました。これは、欧州における新規連結による影響および積極的な原価低減の取り組みにより、売上および営業利益が増加したためです。一方で、持分法適用会社において、のれんなどの減損損失を計上したことなどにより、持分法による投資利益が大幅に減少し、連結EBITDAマージンは13.8%(前期比0.8ポイント減)となりました。2025年度は第18次中期経営計画の初年度であり、第17次中期経営計画で積み上げた成果を基軸に連結売上高6,000億円、営業利益540億円、経常利益580億円、親会社株主に帰属する当期純利益360億円と連結売上高、営業利益、経常利益ともに過去最高を計画しております。
当社は、2024年11月、第18次中期経営計画を策定・公表の上、2025年4月より始動しました。
本計画では、事業、人材、エンゲージメントの強化をテーマにしています。2022年度から設定しております2030年の目標(KPI2030)に向けて、2027年度に財務・非財務両方の中間目標を達成することで、ありたい姿の実現可能性を高めていきます。
本計画の重点方針は、「構造改革による収益性と効率性の強化」、「事業を伸ばす製品開発とDXの推進」、「人材育成と最適配置の両立」、「最適資本構成に基づく積極的な投資と還元」であり、地域ごとの重点方針に対する戦略を具体的に示し取り組んでまいります。また、株主との対話を重視し、建設的な対話を継続しながら、信頼関係を築き、企業価値の向上を目指します。
以上のような考え方のもと、第18次中期経営計画の最終年度目標としては、売上高7,000億円、EBITDAマージン17%、調整後ROE15%と設定しております。これらは、当社の事業部門が管轄しているグループ会社と共同で策定した現実的な目標値であると考えております。このように当社は積極的な事業成長への投資を通じて企業価値の更なる向上に努めてまいります。
2024年度通期決算の詳細は当社ウェブサイトに掲載しております。詳細は「戦略説明会 資料(2025/5/16)」(https://www.kansai.co.jp/ir/library/explanation/)をご参照ください。
地域別セグメントの業績は次のとおりであります。
| セグメント の名称 | 売上高 | セグメント利益 | ||||||
| 前連結 会計年度 (百万円) | 当連結 会計年度 (百万円) | 増減率 (%) | 2025年度 見込 (百万円) | 前連結 会計年度 (百万円) | 当連結 会計年度 (百万円) | 増減率 (%) | 2025年度 見込 (百万円) | |
| 日本 | 165,301 | 163,896 | △0.9 | 165,000 | 21,451 | 23,919 | 11.5 | 24,000 |
| インド | 136,648 | 142,335 | 4.2 | 145,000 | 14,807 | 14,193 | △4.1 | 14,500 |
| 欧州 | 135,902 | 156,469 | 15.1 | 165,000 | 5,068 | △979 | - | 3,000 |
| アジア | 71,876 | 68,670 | △4.5 | 65,000 | 10,548 | 9,188 | △12.9 | 8,500 |
| アフリカ | 43,338 | 47,423 | 9.4 | 50,000 | 4,077 | 4,350 | 6.7 | 5,500 |
| その他 | 9,210 | 10,031 | 8.9 | 10,000 | 3,297 | 3,204 | △2.8 | 2,500 |
| 合計 | 562,277 | 588,825 | 4.7 | 600,000 | 59,239 | 53,879 | △9.0 | 58,000 |
(注)セグメント利益=営業利益+持分法投資損益
事業部別セグメントの当連結会計年度の売上高と対前期比増減率の内訳は次のとおりであります
| セグメント の名称 | 自動車塗料 | 工業塗料 | 建築塗料 | 自動車(補修用)船舶・ 防食塗料 | その他 | 合計 | ||||||
| 金額 (百万円) | 増減率 (%) | 金額 (百万円) | 増減率 (%) | 金額 (百万円) | 増減率 (%) | 金額 (百万円) | 増減率 (%) | 金額 (百万円) | 増減率 (%) | 金額 (百万円) | 増減率 (%) | |
| 日本 | 67,565 | 2.3 | 35,435 | △4.4 | 22,298 | △5.6 | 37,521 | △1.0 | 1,074 | 64.1 | 163,896 | △0.9 |
| インド | 48,066 | 13.4 | 23,484 | 12.2 | 67,088 | △4.1 | 2,996 | 8.8 | 698 | 13.6 | 142,335 | 4.2 |
| 欧州 | 12,004 | △0.4 | 90,379 | 25.8 | 8,268 | 9.3 | 16,054 | 0.8 | 29,761 | 4.4 | 156,469 | 15.1 |
| アジア | 38,758 | △9.2 | 13,856 | 6.7 | 10,648 | 4.3 | 3,623 | △1.8 | 1,783 | △22.5 | 68,670 | △4.5 |
| アフリカ | 467 | △1.7 | 4,977 | 0.5 | 36,335 | 12.3 | 2,988 | 15.4 | 2,654 | △10.2 | 47,423 | 9.4 |
| その他 | 10,031 | 8.9 | - | - | - | - | - | - | - | - | 10,031 | 8.9 |
| 合計 | 176,894 | 2.3 | 168,133 | 13.8 | 144,639 | 0.6 | 63,185 | 0.5 | 35,973 | 2.7 | 588,825 | 4.7 |
上記を踏まえた上での経営成績の状況に関する分析は次のとおりであります。
1)売上高及び営業利益
当期の売上高は前期比4.7%増、265億48百万円増収の5,888億25百万円となり、営業利益は前期比0.9%増、4億55百万円増の520億50百万円となりました。売上高、営業利益ともに2025年2月時点で見直した公表値を上回り、過去最高となりました。増収増益の主たる要因は欧州における新規連結による影響や価格転嫁に加え、一部の原材料価格水準の低下によるものであり、固定費の増加があったものの、増益となっております。
各セグメントの詳細は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(当社の売上高及び営業利益に影響を与える主要な指標)
| 国名 | 自動車生産台数(万台) | |
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |
| 日本 | 868 | 847 |
| インド | 597 | 609 |
| 中国 | 3,016 | 3,128 |
| タイ | 183 | 147 |
| インドネシア | 140 | 120 |
| マレーシア | 77 | 79 |
| トルコ | 114 | 104 |
日本の2025年度の自動車生産台数は840万台と想定
出所:日本自動車工業会、マークラインズ、日本の当連結会計年度は当社推定
(単位:円/kl)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 2025年度 | |||
| 上期 | 下期 | 上期 | 下期 | 通期 | |
| 国内ナフサ価格 | 65,500 | 72,600 | 78,000 | 73,300 | 63,000 |
上記数値は当社推定値であります。
2)営業外損益及び経常利益
当期の営業外損益は前期比90億36百万円減少の29億47百万円のマイナスとなりました。主な減少要因は、持分法適用会社において、のれんなどの減損損失を計上するなど、持分法による投資利益が大幅に減少したことや為替差損の計上によるものであります。
これらの結果、当期の経常利益は前期比14.9%減、85億81百万円減益の491億3百万円となりました。
3)特別損益及び税金等調整前当期純利益
当期の特別損益は前期比345億26百万円減少の161億64百万円のプラスとなりました。主な減少要因は、前年に計上されていた一過性の特別利益の影響がなくなったことに加え、早期割増退職金や事業撤退損などの一過性の特別損失の計上によるものであります。
これらの結果、当期の税金等調整前当期純利益は前期比39.8%減、431億7百万円減益の652億68百万円となりました。
4)法人税等(法人税等調整額を含む)及び親会社株主に帰属する当期純利益
当期の法人税等は、前期比119億94百万円減少の200億34百万円となりました。主な減少要因は当社グループにおける税引前当期純利益の減少による税金費用の減少によるものであります。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比42.9%減、288億3百万円減益の383億6百万円となりました。
財政状態については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は次のとおりであります。
当社グループは、自動車用、工業用、建築用、船舶用、防食用など幅広い分野を対象とした塗料の製造販売を行っております。国内塗料需要がほぼ横ばいで推移する中、積極的な海外事業展開を行い、海外売上高比率は国内を上回っております。今後も、海外での事業活動の規模は拡大していくものと予想され、事業展開地域、国の法律・規制・政治的要因等が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。こうした中、熾烈なグローバル競争を勝ち抜き、成長していくため、グループ全体でのシナジーを創出していくとともに、企業統治体制を高めていきます。
当社グループは、各国に製造拠点を設け事業活動を展開することを基本としておりますが、製品・原材料を他拠点から調達する場合等、為替相場の変動が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。製品の生産移管や、原材料の現地調達を進めていくほか、為替予約の実施等によるリスクヘッジを図っていきます。
また、当社グループの原材料は主に原油・ナフサ価格の変動による影響を受けます。急激な原材料価格の変動により販売価格への反映が充分でない場合は、当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。グローバル調達、品種統合の取組等によるコスト削減に努めるほか、迅速な対応が図れるよう原材料供給メーカーとの関係を強化していきます。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは生産活動のための原材料仕入、製造費、営業活動のための販売促進費、製品競争力の強化、市場に適合した新技術の開発を目的とした研究開発費、各事業についての一般管理費等であります。投資活動については、成長投資・収益性向上に資する設備投資、事業拡大に関連した投融資が主な内容であります。また、特に海外での成長投資、国内では収益性向上に繋がる投資に対して、獲得した営業キャッシュ・フローを投入し、不足分については主に銀行借入と社債の発行による資金調達を行っております。短期借入金は主に営業取引に伴う資金調達であり、長期借入金及び社債は主に設備投資や投融資にかかる資金調達であります。
当社は機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、2024年8月に、自己株式取得資金、短期社債償還資金及び運転資金に充当するために国内無担保普通社債を発行いたしました。
さらに、当社グループ内資産効率化のためキャッシュマネジメントサービスの導入、コマーシャル・ペーパーの発行など資金調達方法の多様化を進めております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、収益及び費用並びに資産及び負債等の額の算定に際して様々な見積り及び判断が行われておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を与える可能性があります。
(有形固定資産及び無形固定資産)
固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損テストを行っております。資産グループの回収可能価額は、事業用資産については将来キャッシュ・フローを基にした使用価値により、遊休資産及び処分予定の資産については売却予定額を基にした正味売却価額によりそれぞれ測定しております。将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
(投資有価証券)
その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものについては、時価が取得原価に比して50%以上下落した場合は、時価の回復可能性がないものとして一律に減損処理を実施し、下落率が30%以上50%未満の場合には、時価の回復可能性の判定を行い、減損処理の要否を決定しております。また、市場価格のない株式等の減損処理にあたっては、財政状態の悪化があり、かつ実質価額が取得原価に比して50%以上下落した場合は原則減損としますが、個別に回復可能性を判断し、最終的に減損処理の要否を決定しております。回復可能性の判断が適切なものであると判断しておりますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落又は投資先の財政状態の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。
(繰延税金資産)
回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されております。当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。