有価証券報告書-第142期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 16:17
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注記事項-コミットメント及び偶発債務、連結財務諸表(IFRS)

32 コミットメントおよび偶発負債
(1) オペレーティング・リース
当社グループは、借手として、主にオフィス、その他の施設および特定のオフィス機器のオペレーティング・リース契約を締結しております。
当初または残存リース期間が1年を超える解約不能オペレーティング・リースに基づく将来の最低支払リース料の支払期日別の内訳は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度
(2018年3月31日)
当年度
(2019年3月31日)
1年以内12,05331,172
1年超5年以内31,27891,105
5年超33,720111,301
合計77,051233,578

解約不能サブリース契約のもとで受け取ると予想される将来の最低サブリース料は、2018年3月31日および2019年3月31日現在、それぞれ34,482百万円および13,140百万円であります。
純損益に認識したオペレーティング・リース契約のリース料および受取サブリース料は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前年度
(自2017年4月1日
至2018年3月31日)
当年度
(自2018年4月1日
至2019年3月31日)
リース料21,38427,444
受取サブリース料△2,493△3,579
合計18,89123,865

(2) 購入コミットメント
有形固定資産の取得に関するコミットメントは、2018年3月31日および2019年3月31日現在、それぞれ14,078百万円および33,991百万円であります。
(3) アイルランド税務当局による税務評価
Shire社は、2018年11月28日に、アイルランド税務当局から398百万ユーロの課税額に関する通知を受領しました。税務当局は、2014年にShire社がAbbVie, Inc.からの買収の申し出の取下げに関する違約金として受領した1,635百万米ドルが課税対象となる可能性を言及しております。当社グループは違約金から納税義務は発生していないと考え、本件に関して異議を申し立ての手続を行っております。
(4) マイルストン支払い
注記13に記載のとおり、当社グループは、2018年3月31日および2019年3月31日現在、無形資産の取得に関して最大でそれぞれ517,017百万円および655,531百万円の支払いを要する契約上の取決めを有しております。当該コミットメントは、研究開発中のパイプラインに関しては開発マイルストンを、上市した製品に関してはコマーシャルマイルストンの最大支払額を含めております。なお、研究開発中のパイプラインに関しては、コマーシャルマイルストンの支払条件が達成されるかどうかの不確実性が高いため、上記コミットメント金額にコマーシャルマイルストンは含めておりません。
(5) 債務保証
2018年3月31日および2019年3月31日現在、債務保証に係る偶発負債の残高は、それぞれ186百万円および99百万円であります。これらは金融機関との取引に関する債務保証であり、履行可能性が低いため、連結財政状態計算書上において金融負債として認識しておりません。
(6) 訴訟
当社グループは、複数の訴訟および行政手続に当事者として関与しておりますが、最も重要な訴訟等は以下のとおりであります。
当社グループが関与する重要な訴訟等のなかには、それらの最終的な結果により財務上の影響があると見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な場合があります。信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、以下で適切な情報の開示を行っておりますが、引当金の計上は行っておりません。
以下に記載している訴訟等については、既に引当金を計上しているものを除き、現段階において財務上の影響額について信頼性のある見積りが不可能であります。これは、複数の要因(審理の進行段階、決定が行われた場合にこれを争う権利が当事者にあるか否か、訴訟における法的責任の根拠に係る明確性の欠如、当社グループの抗弁の根拠、損害の算定および回収可能性の見積りの困難性、ならびに準拠法を含むが、これらに限定されない。)を考慮する必要があるためです。なお、原告側の請求額に関する情報は、仮に入手できた場合でも、必ずしもそれ自体が訴訟等の最終的な賠償金額を判断する上で有用な情報ではないと考えております。
訴訟等に関連して発生した法務関連費用および訴訟等に係る費用は、販売費及び一般管理費に計上しております。法律およびその他の専門家からの適切な助言をもとに、財産が社外に流出する可能性が高くかつ訴訟の帰結について信頼性のある見積りができる場合に、引当金を計上しております。一部の製造物責任に係る請求については、過去に請求および和解に関する十分な実績があり、未請求の損害賠償請求権に対する引当金について信頼性のある見積りをすることができる場合に、引当金を計上しております。2019年3月31日現在、当社グループの訴訟に係る引当金の合計は46,775百万円であります。法的請求による最終的な負債の額は、訴訟手続、調査および和解交渉の帰結によって、引当額と異なる可能性があります。特段の記載のある場合を除き、当社グループは、現時点において、以下の各事案に関して訴訟が継続する期間や最終的な訴訟結果を見積ることはできません。
当社グループの状況は時間の経過とともに変化する可能性があります。したがって、いずれの訴訟等についても結果的に生じる損失が当連結財務諸表に計上されている引当金の金額を大きく上回ることはないという保証はありません。
以下の事案には、当社グループがShire社を買収する以前に、Shire社またはその子会社に対して提起された訴訟等も含まれます。Shire社の買収の詳細については、企業結合(注記31)をご参照ください。
製造物責任訴訟および関連する損害賠償請求
規制当局の承認後の製品の使用に係る人体への安全性および有効性を確認するため、製品開発中に前臨床試験および臨床試験が実施されております。しかしながら、医薬品およびワクチンの上市後に、予想されていなかった安全性に関する問題が明らかになる場合、または第三者からかかる問題を主張される場合があります。当社グループは、当社グループの製品に関連して多数の製造物責任訴訟を提起されております。製造物責任訴訟および関連する損害賠償請求について、当社グループは、引当金が計上されている事案を除き、現時点において予想される財務上の影響額について信頼性のある見積りをすることはできません。当社の主要な係争中またはその他の訴訟は以下のとおりであります。これらの訴訟の結果は必ずしも予測可能ではなく、複数の要素により影響を受けます。発生していることが少なくとも合理的に見込まれる損失について、引当済の金額を超過する損失の金額が重要かつ見積可能である場合には、当社は損失発生額に係る見込額または見込額の範囲を開示しております。
① アクトス
当社グループは、米国の連邦裁判所および州裁判所において、2型糖尿病治療剤ピオグリタゾンを含有する製剤(米国製品名「アクトス」)に起因して膀胱がんまたはその他の傷病を発症したと主張する原告により訴訟を提訴されております。また、一時期米国においてアクトスを共同販売していたEli Lilly and Company(以下、「イーライリリー社」)も、アクトスに関連する多くの訴訟において被告となっております。当社グループは、両社の共同販促(co-promotion)契約に基づき、米国内の訴訟等についてイーライリリー社のために防御活動を行うと共に同社に対して補償を行うことに同意しております。また、米国外においても、同様の傷病を主張する人々により訴訟が提起され、また、損害賠償が請求されております。
2015年4月、当社グループと主要な原告の代理人は、米国内における当社グループおよびイーライリリー社に対する、係争中のアクトス関連の製造物責任訴訟の大多数について和解することで合意に至りました。当該和解は、和解が成立した日において米国の裁判所で係争中の膀胱がんに関する損害賠償請求のすべてを対象としております。また、米国内で未提訴の損害賠償請求者についても、和解が成立した日および和解が成立した日の翌日から3日以内に、代理人を通じて和解プログラムに参加する資格を有しておりました。提訴済みおよび未提訴を併せ損害賠償請求者の95%が和解プログラムに参加したことによって、和解が成立いたしました。当社グループは、この広範な和解プログラムに関連し、和解基金へ24億米ドル(約2,880億円)を支払っております。当社グループは、当社グループに対する製造物責任訴訟を補償範囲としている複数の保険契約により、約580億円の保険金を受領しております。当社グループは、依然として係争中のアクトス訴訟および損害賠償請求に関しては引当金を計上しております。
上記の係争中の製造物責任訴訟に加え、当社グループは以下の通り消費者および公共または民間の第三者支払人(医療保険会社など患者のため医療費の補填や立替払いをする事業者)から経済損失の賠償を請求する訴訟を提起されております。
・アクトスの薬剤費の払い戻し等を請求する消費者および第三者支払人を代理して、カリフォルニア州の連邦裁判所において全米を対象とする集団訴訟(Painters' Fund訴訟)が提起されております。2018年4月、裁判所は当該訴訟を棄却しましたが、原告側は控訴しております。
・Painters' Fund訴訟と類似の請求を行うカリフォルニア州を対象とする集団(クラス)訴訟が、同州の連邦裁判所に提起されております。
ミシシッピ州およびルイジアナ州は、当社グループおよびイーライリリー社がアクトス服用による膀胱がんおよびその他のリスクに関する警告を怠ったと主張し、両社に対して訴訟を提起しております。当該訴訟においては、州がメディケイド等のプログラムを通じ患者のために負担したアクトスの薬剤費の払戻し、アクトスに起因する傷病の治療費、弁護士およびその他の費用の補償、ならびに懲罰的損害賠償が請求されております。裁判所は、当社グループによるルイジアナ州の請求棄却の申し立てを認めましたが、この判決については控訴されております。2018年11月、当社グループおよびイーライリリー社はミシシッピ州が提起した訴訟について和解に合意しました。ルイジアナ州が提起した訴訟については依然として係争中であります。
② プロトンポンプ阻害薬関連訴訟
当社グループは、2019年6月10日現在、米国連邦裁判所および州裁判所において、約6,000件のプレバシドおよびデクスラントに関連した製造物責任訴訟を提起されております。この連邦訴訟について、広域係属訴訟(MDL)制度に係る公判前整理手続がニュージャージー州の連邦裁判所に統合されております。当該訴訟の原告側は、プレバシドおよび(または)デクスラントの使用により腎臓障害を発症し、当社グループが潜在的な危険性についての適切な警告を怠ったと主張しております。これらの原告のうち、実際にプレバシドおよび(または)デクスラントを服用した人数は依然として不明であります。アストラゼネカ社、プロクター・アンド・ギャンブル社およびファイザー社等の、当社グループと同じくプロトンポンプ阻害薬クラスに属する製品を製造している他の製薬会社に対して、類似の訴訟が係争中となっております。米国外では、カナダのケベック州、オンタリオ州およびサスカチェワン州の3つの州において、3件の集団訴訟が提起されております。当該提訴には、当社グループ、アストラゼネカ社、ヤンセン・ファーマシューティカル社および複数の後発品製薬会社が被告として含まれております。今後の米国、カナダ、他の地域における当社グループに対する新たな訴訟件数については予測できません。
③ Elaprase
Shire社のブラジルの関係会社であるShire Farmaceutica Brasil Ltdaは、Shire社がエラプレースの臨床試験に参加した患者に対し無期限で当製品を無償で提供する責任を有するとして、ブラジル検察介入のもと、2014年にサンパウロ州により提訴されました。また、原告は現在までに患者に代わり支払った費用およびこれらの主張に係る精神的な被害(moral damage)について、ブラジル政府に対し補償するよう求めています。
2016年5月6日、第一審裁判所は本事案に関し、集団訴訟に基づくすべての請求を棄却しました。2017年2月20日、サンパウロ控訴裁判所が第一審判決を支持する判決を下したことにより、集団訴訟に基づくすべての請求が棄却されました。2017年7月12日に検察は最高裁判所、2017年10月10日にサンパウロ州は上位裁判所および最高裁判所に上訴しました。 2017年11月13日、Shire社は前述の上訴に対する回答を提出しており、2018年7月3日にサンパウロ控訴裁判所長によりすべての控訴に対する上訴裁判所への送致を却下する決定が下されました。当該決定に対し、州(2018年8月23日)と検察(2018年10月3日)の双方が上訴したことにより、2019年2月27日、本上訴記録は上位裁判所に提出されました。現在、当社グループは上位裁判所の裁判官の選任を待っております。
知的財産権
知的財産権の侵害訴訟には、当社グループの様々な製品または製法に関する特許権の有効性および法的強制力に対する異議の申し立て、ならびに当該特許権に対する非侵害の主張が含まれております。知的財産権の侵害訴訟に敗訴することにより、対象となった製品に係る特許権の保護の喪失につながる可能性があり、結果として該当製品の売上が大幅に減少し、当社グループの将来の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
① プレバシド
2018年1月、当社グループは、Zydus Pharmaceuticals (USA) Inc. (以下、「Zydus社」)から、SoluTabの後発品の申請を修正したという通知を受けました。これに関し、当社グループはZydus社に対する特許侵害訴訟を提起いたしました。それを受けてZydus社は、Zydus社の簡略新薬申請(以下、「ANDA」)の修正を行った製品に対する当社グループの当該訴訟提起は独占禁止法に違反すると主張する反訴を提起しております。当社グループは、当該反訴の法的根拠はないと考えております。
2009年6月、カナダのトロントにおいて、Apotex Pharmaceuticals Inc. (以下、「Apotex社」)は、Apotex社に対する以前の特許侵害訴訟によりApotex社の後発品(ランソプラゾールカプセル)の市場参入が遅れたとして、当社グループとAbbott Laboratories (以下、「アボット社」)に対して損害賠償請求訴訟を提起しました。この損害賠償請求訴訟に先立って、アボット社および当社グループは、Apotex社が、カナダにおけるランソプラゾールカプセルの後発品に関連する様々な特許権が満了する前にApotex社の後発品の販売許可を求め、カナダの保健大臣へ承認を申請したことに関し、Apotex社に対する特許侵害訴訟を提起しておりました。2019年1月に両当事者間において、上記損害賠償請求訴訟について和解が成立しております。
② パントプラゾール
2016年1月15日、Mylan Inc.(以下、「マイラン社」)は、当社グループが以前マイラン社に対して請求したPM(NOC)訴訟(カナダ薬事当局による後発品承認の差し止めを求め先発メーカーが提起する訴訟)が棄却されたことを受けて、カナダ連邦裁判所において当社グループに対する損害賠償請求訴訟を提起しました。マイラン社は、2013年6月27日から2015年6月15日の期間において、マイラン社のパントプラゾール・マグネシウム後発品を販売できなかったとして損害賠償請求をしておりました。2018年5月に両当事者間において和解が成立しております。
③ アミティーザ
Sucampo Pharmaceuticals, Inc(以下、「Sucampo社」)(当社グループのライセンサー)は、2017年3月にAmneal Pharmaceuticals社から、2017年8月にTeva Pharmaceutical Industries Ltd.(以下、「テバ社」)から、アミティーザに対するParagraph IV証明を受領しました。両社は、米国食品医薬品局(以下、「FDA」)のオレンジブックに掲載されているアミティーザの特許は無効であること、およびANDA製品による特許侵害はないことを主張しました。これに関し、Sucampo社および当社グループは、当該両社に対する特許侵害訴訟を提起しました。アミティーザに対してANDAの提出を行っていたその他の後発医薬品製薬会社に対する特許侵害訴訟については既に和解が成立しており、Amneal Pharmaceuticals社とテバ社に対する特許侵害訴訟についても、2018年6月に和解が成立しております。
④ トリンテリックス
当社グループは、トリンテリックスの後発品の販売を求める後発医薬品製薬会社16社から、Paragraph IV証明を添付してANDAを提出したとの通知を受領しました。その中で、現時点において、少なくとも後発医薬品製薬会社4社が、2026年に特許期間が満了するトリンテリックスの化合物(有効成分)であるvortioxetineをカバーする特許の無効を申し立てております。当社グループは、デラウェア州の連邦裁判所においてANDAを提出した当事者に対する特許侵害訴訟を提起しております。
⑤ Entyvio
F. Hoffmann-La Roche, Ltd.(以下、「ロシュ社」)は、Entyvioがロシュ社のドイツおよびイタリアにおける特許を侵害しているとして、当社グループに対する特許侵害訴訟をドイツおよびイタリアで提起しております。当社グループは、当該訴訟に対して全面的に争っております。また、当社グループは、英国において同国内でのロシュ社の特許の無効を主張する訴訟を提起しております。
⑥ Mydayis
2017年10月12日、Shire社は、Mydayisの後発品の販売を求めるTeva Pharmaceuticals USA社から、FDAへANDAを提出したとの通知を受領しました。これを受けて、通知受領から45日以内に、Shire社はTeva Pharmaceuticals USA社、Actavis Laboratories社、Teva Pharmaceutical Industries Limited(以下、総称して「テバ社グループ」)に対して、デラウェア州の連邦裁判所に訴訟を提起しました。マークマンヒアリングは2019年1月23日に実施され、公判は2019年12月9日に開始される予定です。
2018年3月8日、Shire社は、Mydayisの後発品の販売を求めるImpax Laboratories Inc.(以下、「インパックス社」)から、FDAへANDAを提出したとの通知を受領しました。これを受けて、通知受領から45日以内に、Shire社はインパックス社に対して、デラウェア州の連邦裁判所に訴訟を提起しました。マークマンヒアリングは2019年1月23日に実施され、公判は2019年12月9日に開始される予定です。
2018年4月19日、Shire社は、Mydayisの後発品の販売を求めるSpecGX社から、FDAへANDAを提出したとの通知を受領しました。これを受けて、通知受領から45日以内に、Shire社はSpecGX社に対して、デラウェア州の連邦裁判所に訴訟を提起しました。当該訴訟については、2019年1月28日にShire社とSpecGX社間で和解が成立しております。
2018年1月、KVK Tech社より、米国特許第 8,846,100号および9,173,857号に対する当事者系レビュー(IPRs)の請求が提起され、2018年7月に当該請求が認められました。両特許はオレンジブックに掲載されているMydayisの特許であり、上記に記載したテバ社グループとインパックス社に対する特許侵害として係争中のものです。本案の判決は2019年7月10日以前に下される見込みです。
⑦ アディノベイト
2016年12月5日、Shire社の直接的または間接的に完全子会社であるBaxalta IncorporatedおよびBaxalta US Inc.(以下、総称して「バクスアルタ社」)ならびにNektar Therapeutics(以下、「ネクター社」)は、デラウェア州の連邦裁判所において、Bayer Healthcare LLC(以下、「バイエル社」)により訴訟を提起されております。当該訴訟は、アディノベイト [抗血友病因子(組み換え体)、PEG化]の販売に係る米国特許第9,364,520号の侵害を主張するものであり、2019年1月28日に開始した陪審において審理されております。陪審員は、特許侵害を主張する原告側の意見に肯定的であり、さらに1億5,520万ドルの損害賠償を認定しております。当社グループは追加措置の実施を検討しており、Shire社の買収に伴って当該訴訟に係る引当金を計上しております(注記31)。
2017年9月15日、バクスアルタ社とネクター社は、米国特許第7,199,223号、7,863,421号、8,143,378号、8,247,536号、8,519,102号、8,618,259号および8,889,831号の侵害を主張し、バイエル社に対してデラウェア州の連邦裁判所に訴訟を提起しました。当該訴訟は、2018年12月7日にBAY-94(後にJivi® [抗血友病因子(組み換え体)、PEG化-aucl]として承認、販売)に係る7,026,440号、7,872,072号、8,273,833号、8,809,453号および9,187,569号の侵害を主張し、2018年8月31日に提起されたバクスアルタ社とネクター社の訴訟と併合されました。2018年7月2日、米国特許第9,999,657号を追加し修正訴状が提出されております。本案のマークマンヒアリングは、2019年6月21日および8月20日に実施が予定されており、2020年4月27日に公判が開始される予定です。
⑧ その他
上記の個別の特許訴訟に加えて、当社グループは、他の製薬会社が当社グループのAlogliptinを含む他の医薬品の後発品を販売する目的でParagraph IV証明を添付してANDAの提出を行った旨の通知を受領し、多数の訴訟等の当事者となっております。当社グループは、このような事例において、関与する当事者に対して特許侵害訴訟を提起しております。
販売・営業および規制
当社グループは、当社グループの製品および営業活動に関連するその他の訴訟に関与しており、その中で最も重要なものは以下のとおりであります。
① アクトス
ニューヨーク州の連邦裁判所において、当社グループに対して、アクトス後発品の市場参入を阻害する反競争的行為があると主張する最終消費者および卸売業者による集団訴訟が提起されました。2015年9月、裁判所は、最終消費者が主張する反トラストの訴えに係る被告側からの請求棄却の申し立てを認めましたが、これに対し最終消費者は、連邦第二巡回控訴裁判所に控訴しました。卸売業者による訴訟は、最終消費者の訴訟に関する控訴審判決が出るまで保留されておりました。2017年2月、控訴裁判所は、最終消費者の訴えの棄却を部分的に取り消し、原告側の反トラストに関する見解の1つについて第一審裁判所において審理を進めることを認めました。具体的には、控訴裁判所は、FDAのオレンジブックに掲載されている当社グループの2件の特許に関する分類が誤っており、そのためにテバ社のアクトス後発品の発売が遅れたという原告の主張は妥当であると判断しました。当社グループは、かかる主張に同意しておらず、オレンジブックの記載は正確であったと確信しております。一方で、控訴裁判所は、第一審裁判所によるその他の反トラストに関する訴えの棄却については支持する見解を示しました。最終消費者による訴えは、卸売業者の訴えと共に、第一審裁判所で審理が進められておりますが、当社グループは残りの訴えについて棄却の申し立てをしております。
② Vancocin
2012年4月6日、Shire社が2014年1月に買収したViroPharma Incorporated(以下、「ViroPharma社」)は、米国連邦取引委員会(以下、「FTC」)から、Vancocinに関する不正な競争に関わった疑いで調査している旨の通知を受領しました。2014年8月にVancocinを売却した後も、Shire社はVancocinに対し、将来的に発生する責任を含む一定の責任を有しております。
2012年8月3日および2014年9月8日、ViroPharma社とShire社の両社は、本案に係る追加情報を求める民事調査請求をFTCから受けました。Shire社は当該調査に全面的に協力しております。
2017年2月7日、FTCはViroPharma社が2006年にVancocinの後発品の生物学的同等性を評価するFDAの方針に関し市民請願を行ったことにより、米国反トラスト法に違反するとしてShire社を告訴しました。訴状は、差止命令や不当利得の吐き出しを含む衡平法による救済を求めています。Shire社は2017年4月10日、棄却の申し立てを行いました。2018年3月20日に裁判所はShire社の申し立てを認めましたが、FTCは2018年4月11日に審判請求書を提出しました。2019年2月25日、連邦第三巡回控訴裁判所はFTCの請求を棄却しました。
現時点において、Shire社の当該訴訟に係る費用や期間を見積もることは不可能であります。
③ 患者支援プログラムに関する調査
2017年3月期に当社グループが買収したアリアド社は、買収に先立つ2016年11月、米国司法省ボストン地方検事局から、召喚状(subpoena)が発行され、2010年1月から現在に至るまでの間のアリアド社がMedicareプログラム上の患者の自己負担にかかる財政支援を行う非営利団体(501(c)(3)co-payment foundations)に行った寄付、Medicare受益者向け財務支援プログラムおよび無償薬剤提供プログラム、ならびに上記の非営利団体と特定薬局、拠点または医療プログラムサービス提供機関との間の関係に関する情報の提出を求められております。アリアド社は当該調査に協力しております。
2019年3月期に当社グループがShire社の買収により取得したシャイアー・ファーマシューティカルズLLC社に対して、2019年6月に、米国司法省ボストン地方検事局から召喚状(subpoena)が発行されました。当該召喚状において、遺伝性血管性浮腫の治療薬であるフィラジル(Firazyr)やCinryzeを含むシャイアー社の医薬品を使用するMedicareプログラム上の患者に対して財政支援を行う非営利団体(501(c)(3))とShire社の関係について情報の提出を求められております。Shire社は当該調査に協力しております。