有価証券報告書-第13期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/15 14:43
【資料】
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【項目】
59項目

対処すべき課題

文中において将来について記載した事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
(1) 経営の基本方針
当社の経営理念は、「存在意義」「使命」「信条」より構成されています。「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」ことを存在意義とし、「企業価値の持続的向上」を使命とするとともに、「高い倫理観」「顧客志向」「創造性発揮」「競争の視点」の4項目を信条としています。
この経営理念を実現するための行動を具体化した「アステラス企業行動憲章」、また、グループ共通のコンプライアンスの規範として「アステラスグループ行動規準」を制定しています。そして、これらを誠実に実践していくことで、すべてのステークホルダーから選ばれ、信頼される企業を目指しています。
(2) 対処すべき課題
製薬産業を取り巻く環境は、大きく変化し続けています。増大する医療費の抑制は各国共通の課題となっており、保険者の影響力の高まりや後発医薬品の使用促進などの動きが加速しています。他方、治療満足度の低い疾患は依然として数多く存在しており、革新的な医薬品が待ち望まれています。
このような環境のもと、当社はVISIONにおいて、持続的な成長を実現していくために、どこで価値を生み出し、どのように行動すべきかを示しています。当社が強みを有する新薬ビジネスを核として、「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変えていく」取り組みを進めていきます。
① 持続的な成長に向けた取り組み
今後、2019年から2020年にかけて当社が直面する主力製品の特許期間満了による業績への影響を克服し、持続的な成長を実現していくため、当社の強みを活かし、患者さんへ価値を届ける取り組みと、新たな価値を創出していく取り組みを継続的に推進していきます。2018年5月に公表した経営計画2018において、以下の3つの戦略目標を掲げています。
1)製品価値の最大化とOperational Excellenceの更なる追求
2)Focus Areaアプローチによる価値創造
3)Rx+プログラムへの挑戦
1)製品価値の最大化とOperational Excellenceの更なる追求
各地域において引き続き成長を期待している主要な製品はXTANDI/イクスタンジや、ベタニス/ミラベトリック/ベットミガです。これら製品の価値最大化に加え、将来の成長を支える重点後期開発品に優先的に経営資源を振り向けていきます。また、業務プロセスや組織体制の見直し、競争優位につながる分野への優先的な経営資源の配分、先端技術の活用などによりOperational Excellenceを更に追求することで、業務の質の向上や効率化、最適なコスト構造の構築を目指していきます。
2)Focus Areaアプローチによる価値創造
VISIONの実現に向け、最先端の科学を追求し、患者さんに価値をもたらす革新的な新薬の創出を目指します。従来の疾患領域の観点に加え、科学の進歩による疾患の原因(バイオロジー)の解明や治療手段・基盤技術(モダリティ・テクノロジー)の観点を組み合わせ、絞り込んだ分野に経営資源を投下するFocus Areaアプローチによりアステラス独自のイノベーション創出を実現します。
3)Rx+プログラムへの挑戦
コア事業である医療用医薬品(Rx)事業において培ってきた強みをベースに、異分野での技術や知見を融合した製品やサービスの創成(Rx+)による成長機会も探索していきます。自社の医療用医薬品に付随するものではなく、単独で収益を生む事業性を有する事業として、デジタル機器や新たな診断技術などの医療ソリューションの創出を目指した取り組みを進めています。2018年4月に設立したRx+事業創成部が、これまで進めてきた外部提携機会の探索や試験的な取り組みを統合し、事業化に向けてRx+プログラムを推進していきます。
② 株主還元方針
当社は企業価値の持続的向上に努めるとともに株主還元にも積極的に取り組んでいます。成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。これに加えて、自己株式取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率と還元水準の向上を図ります。
③ グローバル経営体制の強化
当社グループは、以下のような経営体制を構築しています。今後もグローバルでの経営体制の強化に取り組んでいきます。
・当社グループ全体の経営上の重要事項を協議する機関として、代表取締役社長が議長を務めるエグゼクティブ・コミッティを設置しています。
・より迅速かつ的確な意思決定を可能とする最適な経営体制を構築するため、研究、メディカル・開発、製薬技術の各部門/機能については機能軸をベースとしてグローバルにマネジメントを行い、営業部門については地域毎にマネジメントを行う「マトリックスマネジメント」を推進しています。
・スタッフ機能についても、グローバルでのマネジメント機能の強化を図っています。その取り組みの一環として、2017年4月に各地域にある法務機能、知的財産関連機能をグローバルに統括する「法務機能」、「知的財産機能」を新設したほか、2018年4月には各地域や部門・機能にあるファイナンス機能、人事機能、監査機能をグローバルに統括する「ファイナンス機能」、「人事機能」、「監査機能」をそれぞれ新設しました。
・当社は、業務がより適切に行える体制を整えるため、部門横断で構成される各種委員会等を設置しています。こうした委員会等としては、会社情報の開示等に関する事項の協議を行う情報開示委員会をはじめ、社会的責任を果たすうえで重要な活動(環境、安全衛生、社会貢献活動等)に関する方針、計画等を協議するCSR委員会、製品のベネフィット・リスク情報及びその対応方法について協議するグローバルベネフィット・リスク委員会、グローバルなコンプライアンスの方針・計画等について協議を行うグローバル・コンプライアンス委員会並びにグローバルリスクの把握及び最適なリスク管理対策の推進を図るグローバルリスク管理事務局があります。
(3) 目標とする経営指標
当社は、持続的な成長に向けた取り組みのもと、2019年度を業績の底として、中長期的な利益成長トレンドへの回帰を目指し、2018年5月に公表した経営計画2018において、以下の計数ガイダンスを行なっています。
財務指標2020年度目標
売上高2017年度水準
研究開発費2,000億円以上
コア営業利益コア営業利益率20%以上
コアEPS2017年度を上回る