有価証券報告書-第73期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 13:08
【資料】
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【項目】
106項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
当グループは「輪と和を通じて、より大きく社会に貢献する」を経営理念とし、「株主、社員、地域、歴史・文化、環境」重視を基本方針とする経営を推進しております。グループの中核をなす医薬品事業は「世界の人びとの健康に貢献できる独創的な医薬品を開発し提供する創薬研究開発型企業を目指す」を経営ビジョンとし、「患者さんのために」という観点から医薬品の研究開発、品質の高い医薬品製造、適正使用のための医薬情報活動、効率的な業務とトータルマーケティング体制の構築に向けて積極的に取り組んでおります。また、グループ各社は医薬品事業を補佐するとともに、その技術を活かし、国内外で事業活動を展開しております。
(2) 目標とする経営指標
当社は創薬の研究開発活動を活発に展開するとともに、領域戦略に合致した製商品・開発テーマ導入等のアライアンスも積極的に行ってまいります。これら研究開発・アライアンス投資を継続的に支える収益構造を確立するため、あらゆる観点から効率性を追求し収益性を改善することによって売上高営業利益率を向上させることを目標としております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社は、世界の人びとの健康に貢献できる独創的な医薬品を開発し、提供する創薬研究開発型企業として、社会に貢献していくことを志向しております。平成29年度からスタートした中期経営計画「Co-Creation」では、以下の基本方針の下に、将来の安定成長のための事業基盤の強化を図ります。
① 創薬研究機能を一層強化し、独自性、競争優位性の高い創薬を継続的に創出する。
② 研究開発プロジェクトの推進と積極的なライセンスインにより、将来の成長を担う製品ポートフォリオを拡
充する。
③ 泌尿器、腎・透析領域におけるプレゼンスの拡大、開発後期ステージの開発品目の着実な承認取得と円滑な
市場導入により、国内医療用医薬品売上を最大化する。
④ 創薬のライセンスアウトにより、安定的な海外収益基盤を構築する。
(4) 会社の対処すべき課題
製薬産業を取り巻く環境は、構造的な変革の最中にあります。希少疾病や治療薬のない難治性疾患への取り組みが求められ、また生活の質(Quality of life)の希求など医療ニーズが高度化、多様化する中で、新薬シーズの枯渇、研究開発リスクの増大などにより研究開発コストは増大し、新薬開発の困難性はますます高まっています。また、我が国においては人口の少子高齢化の進展、社会保障財源の逼迫により医療保険制度をはじめとする社会システムの変革が進められ、後発品使用促進策等の医療費抑制策が実施されています。さらに、国際情勢の見通しが不安定化している中でグローバル市場も大きく変化し、製薬産業には新たな市場構造への適応が求められ、企業間競争は熾烈を極めています。
このような経営環境の変化を乗り越え安定的な成長を遂げるため、当社は市場競争力の高い新薬を生み出していくことにより製品ポートフォリオを拡充し、創薬研究開発型企業として持続的成長を図るための取り組みに邁進しております。
平成29年度を初年度とする実行期間を5年間とした中期経営計画「Co-Creation」におきましては、以下の8項目を対処すべき課題とし、その早期実現に向けて注力してまいります。
① 独自性、競争優位性の高い創薬の創出
当社の強みをさらに強化するとともに、専門性の深化やオープンイノベーションにより新技術を取り込み、継続的に創薬を創出する創薬研究基盤を構築する。
② 将来の成長を担う製品ポートフォリオの拡充
経営資源を積極的に投入することにより、研究開発プロジェクトを推進するとともに、領域戦略や将来の医療技術の革新を見据えたライセンスインを積極的に行う。
③ 領域戦略の強化と新製品群の上市、育成による国内医療用医薬品売上の最大化
開発後期ステージの開発品目の製造販売承認を早期かつ着実に取得するとともに、綿密な市場分析に基づくプロモーションを展開することにより、新製品群の市場獲得を推進する。
④ 創薬のライセンスアウトによる海外収益基盤の安定化
海外提携先との連携強化により海外収益を最大化するとともに、新たな創薬のライセンスアウトにより将来における海外収益基盤の安定化を図る。
⑤ 効率的な生産体制の構築と高品質医薬品の安定供給
新製品群の製造の早期安定化を図るとともに、製造・物流コストの効率化、顧客ニーズを踏まえた安全・安心な高品質医薬品の安定供給を推進する。
⑥ ヘルスケア事業の収益確保とビジネス拡大
介護・高齢者領域、腎疾患領域における新製品の継続投入と在宅市場における競争優位性の確立により、収益性を高める。
⑦ 戦略の実行を担う人材の育成
高度な専門能力を有し、経営環境の変化に対応して戦略を実行する人材を計画的に育成する。
⑧ コンプライアンスの推進
上場企業、生命関連産業としての使命を厳に果たす。