a 戦略
2025年度は、前年度までに実施した分析結果を踏まえ、2種類の異なる将来シナリオ(#1および#3)において、リスクおよび機会項目が生じるロジックを再点検し、一覧化しました(図<選定したシナリオ>)。その上で、経営層全員の理解を一層深めるとともに、将来のリスク・機会を見据え、経営の視点から既存の事業戦略に紐づけるために、CEOを含む全執行役員を対象とした勉強会および検討会(ワークショップ)を開催しました。
役員ワークショップでは、「特に優先的に対応策を検討すべきリスク」を3つに絞り込み、それぞれについて対応策の方向性、実行組織および想定されるタイムラインに関する議論を行いました。また、これらのリスクへの対応は、危機に対する事業のレジリエンス強化にとどまらず、生薬や製品に対する需要や価値の向上、評判・規制対応力の強化等につながる可能性があることを確認し、機会の観点からも整理を行いました。あわせて、選定した優先リスクについては、影響が及び得る主要な財務項目(調達コスト、操業コスト等)を整理し、段階的に財務影響の把握・評価を進めています。
2024年度は、社内の関連部門とのヒアリングやワークショップを実施するとともに、外部専門家の助言も参考にしながら、自然資本および気候変動に関するリスクおよび機会の特定・評価を進めました。将来起こり得る事業環境下でのレジリエンスや対応の方向性を確認・検討することを目的として、複数の将来シナリオの下で、リスクおよび機会がどのように発現するかを分析し、2030年および2050年時点における各リスク・機会項目の重要性評価を行いました。各リスク・機会項目の重要性評価にあたっては、対応策の影響を考慮しない場合を前提として影響度と発生可能性を勘案しました。
<影響度と発生可能性の基準>
| 影響度 | | 発生可能性 |
| 大:100億円超 | × | 高:年に1回以上 |
| 中:10億円以上100億円以下 | 中:数年に1回程度 |
| 小:10億円未満 | 低:10年に1回以下 |
なお、リスク・機会項目の分析等、TCFD・TNFD統合開示の詳細は以下をご覧ください。
| ●TNFD/TCFD提言に基づく統合的な情報開示 https://www.tsumura.co.jp/sustainability/environment/tnfd-tcfd/ |
| <2025年度 役員向け勉強会> |
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<選定したシナリオ> |
<シナリオ#1~4の世界観> | #1 | #2 | #3 | #4 | | ①生態系サービスの劣化 | 緩やか | 進んでいる | 激しい | 緩やか | | ②政策・法規制 | 強化される | 強化される | 後手に回る | 後手に回る | | ③技術 | 大きく進展する | 進展する | 進展は限定的 | 進展は限定的 | | ④市場・社会の関心 | 高い | 高い | 低い | 低い | | ⑤気候変動の状況 | 2100年までの気温上昇は 1.4~1.5℃程度で進捗(1.5℃シナリオに相当) | 2100年までの気温上昇は 1.7~1.8℃程度で進捗(2℃シナリオに相当) | 2100年までの気温上昇は 2.4~4.4℃程度で進捗(4℃シナリオに相当) | 2100年までの気温上昇は 1.4~1.5℃程度で進捗(1.5℃シナリオに相当) | | ⑥想定される状況 | 物理的リスクは小さく、 移行リスクは高い | 物理的リスク・移行 リスクともに大きい | 物理的リスクは極めて大きく、移行リスクは低い 個社で物理リスクの低減施策をとる必要がある | 物理的リスク・移行 リスクともに低い 本シナリオの世界が起こる可能性は極めて低い |
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シナリオ#1および#3において重要度「大」と評価されたリスク・機会(以下、重要なリスク・機会)を整理した結果、生態系サービスの劣化が深刻化するシナリオ#3では、重要なリスクが比較的多く認められました。一方で、シナリオ#1においては「低環境負荷・高効率の生産プロセスへの移行(栽培技術・農法)」が、またシナリオ#3においては「気候変動に伴うニーズの変化」が、それぞれツムラグループにとって重要な機会であると評価されました。
また、2025年度の役員ワークショップでは、既存の事業戦略を踏まえ、「特に優先的に対応策を検討・協議すべきリスク」を投票により3つに絞り込みました。さらに、対応策の内容、実行組織およびタイムラインまで議論を深め、対応策の実行に向けた道筋を整理しました。
<2025年度ワークショップで特定された優先すべきリスク項目と対応策案>
| カテゴリ | 特定された優先すべきリスク項目 | 対応策案 |
| 安定調達 | ① | 豪雨・台風の増加/大型化 (異常気象・自然災害の激甚化) | 育種・新栽培技術の確立、産地の分散化・複線化、対策のマニュアル化推進 など |
| ② | 平均気温の上昇 |
| 安定操業 | ③ | 干ばつによる一部地域での水ストレスの上昇 (水資源の不足) | 技術革新(生薬残渣に含有される水分の回収等) など |
※ 原料の安定調達から①・②、安定操業から③を選定
<各シナリオにおける重要なリスク・機会> |