有価証券報告書-第34期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/23 12:59
【資料】
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【項目】
125項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当企業集団の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値および偶発債務の開示ならびに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える貸倒懸念債権等、たな卸資産、投資、法人税等、財務活動、退職金等に関する見積りおよび判断に対して、継続して評価を行っております。
当企業集団は、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
① 有価証券
当企業集団の所有している有価証券は金融商品に関する会計基準を適用しております。市場価格等のあるその他有価証券は時価評価を行い、時価と取得原価との差額は純資産の部に「その他有価証券評価差額金」として表示し、売却原価は総平均法にて計算しております。
市場価格等のないその他有価証券は総平均法による原価法にて評価しておりますが、一時的でない下落が認められた場合には、実質価額まで評価減しております。
② たな卸資産
通常の販売目的で保有するたな卸資産の貸借対照表価額は原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)によっております。
不良、長期滞留、陳腐化などの理由により、期末における正味売却価額が帳簿価額より下落しているものについては、収益性が低下しているものと判断し、正味売却価額への簿価切下げを行っております。
③ 減価償却
当企業集団の有形固定資産は当該資産の耐用年数を見積り、主に定率法により償却しております。
ただし、平成10年4月1日以降取得した建物(建物附属設備を除く)は定額法により償却しております。
有形固定資産の主な耐用年数は、建物及び構築物は2~50年、機械装置及び運搬具は2~22年、工具、器具及び備品は2~20年です。無形固定資産に計上している社内利用のためのソフトウエアは、将来の収益獲得または費用削減が確実なものであり、利用可能期間を5年と見積り定額法により償却しております。
④ 貸倒引当金
当期の売上から生じた正当な債権である営業債権および貸付金等に対し、今後発生すると予想される貸倒損失に備えるため、必要額を合理的に見積り適正な引当金を計上しております。
⑤ ポイント引当金
将来のポイント使用に備えるため、未使用のポイント残高に対して、過去の使用実績から将来使用されると見込まれる金額を見積り適正な引当金を計上しております。
⑥ 退職給付に係る負債
当企業集団の退職金制度は厚生年金基金制度、確定給付企業年金制度および退職一時金制度で構成されており、退職給付債務は従業員に対する将来の退職給付に備えるため、退職の発生や勤続年数により支給の基礎率を用いて決定した金額を計上しております。退職給付債務等の算定に用いた割引率、長期期待運用収益率、数理計算上の差異および過去勤務費用の処理年数は、当企業集団の状況からみて適切なものであると考えております。
⑦ 役員退職慰労引当金
国内連結子会社は、役員の退職慰労金の支出に備えるため、内規に基づく期末要支給額を計上しております。なお、親会社の役員退職慰労金制度は廃止しております。
⑧ 税金費用
適正な法人税等および法人税等調整額を計上しております。
繰延税金資産は会計基準と税法基準の違いに基づく将来減算一時差異について認識しておりますが、将来の回収可能性を充分に検討し回収可能な額を計上しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は、化粧品関連事業が増収となったものの、栄養補助食品関連事業が前期を下回ったほか、エステ事業を営む連結子会社の㈱ノイエスの株式を第1四半期連結累計期間に当企業集団外へ譲渡したことなどによりその他が減収となり、全体では81,118百万円(前期比2.0%減)となりました。
化粧品関連事業の売上高は47,525百万円(前期比1.7%増)となりました。ファンケル化粧品は、リニューアル発売した「洗顔パウダー」や「マイルドクレンジングオイル」が好調に推移したことなどにより、38,473百万円(前期比3.7%増)となりました。アテニア化粧品は、主力の「インナーエフェクター ベーシックスキンケア」などが好調に推移し、前期並みの7,965百万円(前期比0.6%減)となりました。販売チャネル別では、通信販売は23,805百万円(前期比1.8%増)、店舗販売は16,405百万円(前期比6.3%増)、卸販売他は1,741百万円(前期比21.5%減)、海外は5,572百万円(前期比2.2%減)となりました。
栄養補助食品関連事業の売上高は25,386百万円(前期比4.6%減)となりました。製品面では、ダイエットサプリメント「カロリミット」が前期並みを確保したほか、「ルテイン&ブルーベリー えんきん」などが伸長したものの、その他の製品が振るわず減収となりました。販売チャネル別では、通信販売は10,355百万円(前期比3.6%減)、店舗販売は6,106百万円(前期比1.6%増)、卸販売他は6,607百万円(前期比6.7%減)、海外は2,316百万円(前期比16.3%減)となりました。
その他の売上高は8,207百万円(前期比13.5%減)となりました。発芽米事業は、卸販売他は堅調だったものの、通信販売が振るわず、2,830百万円(前期比3.2%減)となりました。青汁事業は、冷凍タイプが振るわなかったものの、「本搾り青汁 プレミアム」など粉末タイプが堅調に推移し、前期並みの3,203百万円(前期比0.5%減)となりました。その他の事業は、エステ事業を営む連結子会社の㈱ノイエスの株式を当企業集団外へ譲渡したことなどにより、2,173百万円(前期比35.0%減)となりました。
② 売上総利益
売上総利益は、売上高の減少などにより、前連結会計年度より134百万円減少し、55,393百万円(前期比0.2%減)となりました。売上総利益率は前連結会計年度と比較して1.2ポイント上昇し68.3%となりました。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、全社的なコストダウンにつとめたことなどにより、前連結会計年度より219百万円減少し、51,450百万円(前期比0.4%減)となりました。
④ 営業利益
営業利益は、化粧品関連事業の増収に加え、不採算事業の撤退に伴う売上総利益率の改善や、全社的なコストダウンにつとめたことなどにより、3,943百万円(前期比2.2%増)となりました。
化粧品関連事業では、増収となったことなどにより、営業利益は4,661百万円(前期比19.9%増)となりました。
栄養補助食品関連事業では、減収となったほか、マーケティング費用が増加したことなどにより、営業利益は1,125百万円(前期比42.6%減)となりました。
その他では、減収となったものの、マーケティング費用の減少やエステ事業の売却に伴う収益性の改善により、前連結会計年度に比べて285百万円改善し、4百万円の営業損失となりました。
⑤ 当期純利益
当期純利益は、台湾およびシンガポールの小売事業からの撤退ならびに台湾現地法人の解散を決定したことに伴う事業撤退損752百万円を計上したことなどにより1,343百万円(前連結会計年度は2,193百万円の当期純損失)となりました。
1株当たり当期純利益金額は21.03円(前連結会計年度は33.81円の1株当たり当期純損失金額)となりました。
また、総資産経常利益率は前連結会計年度と比較して0.1ポイント低下し4.9%、自己資本当期純利益率は1.8%(前連結会計年度は2.9%の自己資本当期純損失率)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当企業集団の経営成績に重要な影響を与える要因としては、個人消費の低迷、化粧品関連事業および栄養補助食品関連事業への異業種からの新規参入による競争激化、その他の事業における収益性が挙げられます。
① 化粧品関連事業
化粧品の国内市場は成熟期を迎え市場成長が厳しいなか、他業種からの新規参入も相次ぎ競争が激化しております。スキンケア市場では高価格帯商品と低価格帯商品への二極化が続いており、低価格帯商品の伸長が続いております。他社と差別化できる技術をもとに開発した商品・サービスの提供が経営成績に重要な影響を与えると考えております。
② 栄養補助食品関連事業
栄養補助食品業界は、市場が調整期を迎えて厳しい状況が続くなか、高付加価値商品と大衆向け商品への二極化が進んでおります。人口に占める中高年層の割合が増え、健康への関心がさらに高まりつつあります。それらのニーズに合った商品・サービスの提供が経営成績に重要な影響を与えると考えております。
③ その他
発芽米事業は、災害や天候不良などにより原料米価格に影響を及ぼし事業収益を低下させる可能性があります。
青汁事業は、災害や天候不良により生葉の生育に影響を及ぼし事業収益を低下させる可能性があります。
(4) 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しにつきましては、前述いたしました第一部「企業情報」 第2「事業の状況」 1「業績等の概要」および3「対処すべき課題」をご参照ください。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
事業活動のための必要な資金の確保と適切な流動性の維持を財務方針としており、営業活動によるキャッシュ・フローの範囲内で、新規投資や改装投資を賄うことを基本としております。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリーキャッシュ・フローは、7,997百万円のプラスとなりました。
営業活動の結果得られた資金は6,595百万円(前連結会計年度は6,145百万円の収入)となりました。この内訳の主なものは、税金等調整前当期純利益2,326百万円、減価償却費2,972百万円、たな卸資産の増減額1,060百万円およびその他の流動負債の増減額644百万円による増加と、法人税等の支払額1,318百万円などによる減少であります。
投資活動の結果得られた資金は1,402百万円(前連結会計年度は822百万円の支出)となりました。この内訳の主なものは、有価証券の売却及び償還による収入3,861百万円などによる増加と、有形固定資産の取得による支出1,571百万円および無形固定資産の取得による支出868百万円などによる減少であります。
財務活動の結果使用した資金は3,956百万円(前連結会計年度は2,251百万円の支出)となりました。この内訳の主なものは、自己株式の取得による支出1,720百万円および配当金の支払額2,179百万円などによる減少であります。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は32,377百万円となり、前連結会計年度末より4,149百万円増加いたしました。
② 資金需要
当企業集団の資金需要の主なものは、製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは広告宣伝費等のマーケティング費用であり、品質向上のための研究開発費の大部分は費用として計上しております。
なお、当企業集団では前述の運転資金だけではなく、システム開発投資、工場設備および店舗の新設やリニューアルの設備投資資金を含め、内部資金で賄うことを基本方針としております。
③ 財政状態
資産は、前連結会計年度末に比べて1,048百万円減少し、85,800百万円となりました。この要因は、流動資産の増加843百万円および固定資産の減少1,892百万円であります。流動資産の増加の主な要因は、現金及び預金の増加1,653百万円および受取手形及び売掛金の増加338百万円ならびに未収還付法人税等の増加による流動資産その他の増加1,311百万円と、有価証券の減少1,356百万円であります。固定資産の減少の主な要因は、減価償却の実施などによる有形固定資産の減少850百万円および無形固定資産の減少376百万円ならびに敷金及び保証金、繰延税金資産の減少による投資その他の資産の減少665百万円であります。
負債は、前連結会計年度末に比べて1,339百万円増加し、13,646百万円となりました。この要因は、流動負債の増加1,458百万円および固定負債の減少118百万円であります。流動負債の増加の主な要因は、未払金の増加638百万円および預り金の増加による流動負債その他の増加1,294百万円と、未払法人税等の減少658百万円であります。固定負債の減少の主な要因は、繰延税金負債の減少75百万円であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて2,388百万円減少し、72,154百万円となりました。この主な要因は、自己株式の増加による減少1,584百万円および配当金の支払いによる利益剰余金の減少2,183百万円と、当期純利益計上による利益剰余金の増加1,343百万円であります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末から1.8ポイント低下し、83.5%となりました。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、前述いたしました第一部「企業情報」 第2「事業の状況」 3「対処すべき課題」をご参照ください。