有価証券報告書-第101期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 10:46
【資料】
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【項目】
145項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループの基本方針は、「社会との共生」=「顧客起点」という企業理念のもと、お客様の真の満足と感動を戴ける製品の創造とサービスの提供を通して、豊かな社会の実現に貢献するために、持続的に企業価値を高めていくことにあり、企業倫理と遵法の精神に基づき透明度の高い経営を行い、社会の信頼を得ていくことが重要であると考えております。企業価値の向上を図るため、安定的な利益が確保できる事業基盤を確立する一方、成長分野への積極的な投資を行い事業の強化を図り、株主の皆様をはじめとする全てのステークホルダーに存在意義を示し、お応えしていく会社になることを目指しております。
(2) 経営環境
今後、新型コロナウイルス感染症の流行収束までは、厳しい経済状況が続き、収束後も景気の回復には相当の時間が必要と思われます。わが国の経済は、感染拡大防止と経済活動との両立の中で、個人消費がどこまで改善するかが大きな鍵を握っています。中長期的には、国内では少子高齢化がさらに進み人口減少と年齢構成の変化により生産活動や消費行動が多様化することが予測され、世界的には、新興国の生産・消費が回復・拡大すると予想されますが、一方で、SDGs(持続可能な開発目標)の重要性がさらに増してくると思われます。また、IoTやAI技術の発達・キャッシュレス化の流れは新たな事業を創出・拡大する反面、既存事業の構造や働き方の改革が求められることが予想されます。
(3) 経営戦略等
世界・日本における生産や消費の大きな変化に対応し、持続的な成長を遂げるため、当社グループが保有する技術と経営資源を最大限に活かし、積極的・効率的な展開を図ることにより「企業に社会に未来に、新たな価値を創り続けていくこと」で『人と環境にやさしく快適な生活空間を創造する企業』を目指します。
事業戦略として取り組む重要課題は次の5点になります。
<事業戦略>①脱炭素社会に向けた事業の強化
1) ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)実現のための断熱資材事業の強化
2) 脱プラスチックに対応した生分解性素材事業の拡大(プラスチックの海洋汚染対策)
3) 既存のプラスチック製品のリサイクル化の推進
②国内外の人口動態に連動した課題解決のための事業育成
1) 超高齢化社会に対応した事業の推進
2) 食品ロス対策、農業品の国内自給率向上のための事業強化
③防災事業の拡大
当社グループにおける災害対策製品や防災製品(感染症対策製品を含む)の一元化
④海外事業の拡大推進
既存・新設の海外製造・販売拠点を活かした新規分野への挑戦
米国 ACHILLES USA,INC.・・・医療用フィルム
中国 阿基里斯(佛山)新型材料有限公司(2022年中稼動予定)・・・車輌素材
⑤生活基盤整備に資する中間財の高品質化によるシェア拡大
機能性フィルム、機能性発泡材料の開発による高品質化
(4) 優先的に対処すべき課題
事業戦略の達成に向け経営基盤を強化するために、次の重要課題に取り組んでまいります。
①シューズ事業の収益性改善
カテゴリーの選択による収益力向上
②顧客起点に立った迅速な新商品開発
軟・硬質ウレタン新素材開発と加工製品開発等
③設備更新による競争力向上
④再生可能エネルギーの積極的使用など、炭酸ガス排出量を極小化した生産活動の推進
当社グループで使用する車輌のEV化(フォークリフト含む)
⑤スマートプロセス・デジタル技術付加による既存設備の生産性向上
⑥物流改革
⑦人材育成、働き方改革の推進による労働生産性の向上
(5) 新型コロナウイルス感染症の影響と対応
新型コロナウイルス感染症の再拡大により主要都市において緊急事態宣言が再発出される中、ワクチン接種の進展により感染収束への期待感が広まっているものの、変異ウイルスの発生など感染症拡大の脅威は依然として続いており、今後も先行き不透明な状況が継続すると予想されます。
このような状況が長期化した場合、経済活動が悪化し景気が停滞することで、当社グループの各事業の業績に影響を与える可能性があります。一方、当社グループは、公共施設の窓口や小売店舗のレジなどに使用される飛沫感染対策防炎フイルム、医療従事者が着用する感染予防ガウン用フイルム、医療現場の臨時のPCR検査場などで使用される感染症対策用陰圧エアーテント等の感染症対策製品を多数揃えており、社会から求められている製品・サービスを提供し、社会に貢献しながら収益拡大できるよう努めております。
新型コロナウイルス感染症の収束が依然として見通せない厳しい状況ではありますが、当社グループは今後も社会に貢献できる事業の拡大や社会的課題を解決すべく、防災事業、脱炭素事業、省エネ事業、少子高齢化対応に取り組んでまいります。