有価証券報告書-第159期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、自然災害発生の影響による一時的な停滞はあったものの、欧米各国の緩やかな景気回復と、省力化投資など国内設備投資の堅調さを背景に底堅く推移しました。一方、国内では労働需給のひっ迫による人件費の上昇、海外では米中貿易摩擦をはじめとした各国の政治・経済政策動向の影響から世界経済の減速懸念が台頭し、先行きにつきましては不透明感が増す状況となっております。
このような状況のもと、当社は、当期に創立100周年を迎えることができました。これまで当社をご支持いただいたお客様、株主様、お取引先様、その他ステークホルダーの皆様に改めまして感謝申し上げます。
当社グループは、災害救助活動へ対応する機材やインフラ設備の構成部材を提供する企業として、安心・安全な社会の維持に貢献するべく、当連結会計年度におきましても国内外の新規市場並びに新規顧客の開拓、新事業の展開、既存事業の掘り起しなどの積極的な営業活動と、付加価値の高い製品の企画・開発、一層のコスト削減活動及び生産効率の向上などの努力をいたしました。しかしながら、当連結会計年度においては、人件費の上昇に加え、周年記念事業や次期に予定する本社移転に対しての先行支出など、一時的な費用計上もあり増収減益となりました。
その結果として、売上高は10,449百万円(前期比0.5%増)、営業利益725百万円(前期比9.7%減)、経常利益697百万円(前期比13.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益427百万円(前期比24.6%減)となりました。
当連結会計年度における報告セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(消防・防災事業)
災害対策向け大量送水用ホース並びに特殊車両などの販売は減少しましたが、救助資機材や災害対策用資機材の販売が増加したことにより、売上高5,038百万円(前期比4.7%増)、セグメント利益(営業利益)は201百万円(前期比1.5%増)となりました。
(航空・宇宙、工業用品事業)
航空・宇宙部門では、航空機向けシール材等のゴム製品並びに金具類の販売が増加しました。工業用品部門では、タンクシールの販売は増加しましたが、子会社における塗装工事は単価が低下したことにより大幅な販売減となりました。
その結果、航空・宇宙、工業用品事業の売上高は4,923百万円(前期比3.5%減)、セグメント利益(営業利益)は811百万円(前期比0.0%減)となりました。
(不動産賃貸事業)
売上高は487百万円(前期比2.0%増)、セグメント利益(営業利益)は104百万円(前期比3.2%増)となりました。
② 財政状態の状況
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産残高は9,478百万円となり、前連結会計年度末に比べ522百万円の増加となりました。主として、現金及び預金が114百万円減少した一方、受取手形及び売掛金が446百万円、棚卸資産が156百万円それぞれ増加したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産残高は4,365百万円となり、前連結会計年度末に比べ63百万円の増加となりました。主として、有形固定資産が39百万円、投資その他の資産が24百万円それぞれ増加したことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債残高は4,851百万円となり、前連結会計年度末に比べ47百万円の増加となりました。主として、支払手形及び買掛金が288百万円増加した一方、1年内償還予定の社債が200百万円、短期借入金が40百万円それぞれ減少したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債残高は2,380万円となり、前連結会計年度末に比べ300百万円の増加となりました。主として、社債が180百万円、退職給付に係る負債が120百万円それぞれ増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産残高は6,612百万円となり、前連結会計年度末に比べ238百万円の増加となりました。主として、利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益による427百万円の増加と剰余金処分による48百万円の減少、その他の包括利益累計額においては、その他有価証券評価差額金35百万円、退職給付に係る調整累計額72百万円がそれぞれ減少したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より114百万円減の1,935百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、365百万円の資金の増加(前期は552百万円の資金の増加)となりました。これは、主として税金等調整前当期純利益698百万円に対し、減価償却費261百万円、仕入債務の増加額288百万円などの資金増加要因と、売上債権の増加額446百万円、たな卸資産の増加額156百万円、法人税等の支払額267百万円などの資金減少要因によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、287百万円の資金の減少(前期は319百万円の資金の減少)となりました。これは、主として有形固定資産の取得による支出257百万円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、191百万円の資金の減少(前期は197百万円の資金の減少)となりました。これは、主として社債及び借入金による収支90百万円の減少、配当金の支払額57百万円などによるものです。
④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前期比(%) |
| 消防・防災事業 | 1,469,370 | △11.4 |
| 航空・宇宙、工業用品事業 | 4,479,233 | △0.6 |
| 合計 | 5,948,604 | △3.5 |
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前期比(%) | 受注残高(千円) | 前期比(%) |
| 消防・防災事業 | 5,166,621 | +7.1 | 236,986 | +118.3 |
| 航空・宇宙、工業用品事業 | 4,473,556 | △11.2 | 3,401,643 | △11.7 |
| 合計 | 9,640,178 | △2.2 | 3,638,629 | △8.1 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前期比(%) |
| 消防・防災事業 | 5,038,213 | +4.7 |
| 航空・宇宙、工業用品事業 | 4,923,511 | △3.5 |
| 不動産賃貸事業 | 487,308 | +2.0 |
| 合計 | 10,449,033 | +0.5 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| 官公庁 | 1,094,205 | 10.5 | 1,503,273 | 14.4 |
| 川重商事㈱ | 1,169,820 | 11.3 | 1,147,831 | 11.0 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産、負債の報告数値及び報告期間における収入、費用の報告数値に影響を与える見積りを行わなければなりません。
経営陣は、貸倒債権、たな卸資産、投資、引当金、退職給付債務、法人税等(繰延税金資産の回収可能性を含む)及び財務活動等に関する見積り及び判断に対して継続して評価を行っております。また、過去の実績や状況に応じて合理的だと考えられる見積り及び判断を行いますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高については前期比増収となったものの、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の各段階損益は前期比減益となりました。この結果、営業利益率6.9%(前期7.7%)、経常利益率6.7%(前期7.8%)となり、当社グループの目標とする経営指標「連結売上高経常利益率8%以上の維持」は、前連結会計年度に続き2期連続の未達成となりました。
当期は、消防・防災事業の増収が航空・宇宙、工業用品事業の減収を補い、売上高は前期比0.5%増となりました。売上原価についても、材料価格の値上げ要請や人件費の上昇など原価増加要因はあったものの、生産効率の改善や価格交渉の成果により前期比0.6%増と、概ね売上高増加率に比例する上昇に留めることができました。その結果、売上総利益は前期比0.3%増となり、当社グループの目標とする経常利益率に対し、事業は順調に成果を得られたと判断しております。
一方、販売費及び一般管理費は前期比4.6%増となり、当社グループの目標とする経常利益率未達の主因となりました。販売費及び一般管理費の増加には、売上高増加に連動する変動費要因、当期における一過性の要因、最近の事業環境からの要因に大別されますが、一過性の要因として、当社創立100周年に関連する記念事業費、次期に予定する本社移転の先行費用が挙げられます。また、最近の事業環境からの要因として、営業強化に伴う人員数の増加や雇用環境改善に伴う人件費の上昇、予定する本社移転先の賃料発生(現在の本社は自社不動産)が挙げられます。一過性の要因は次期に剥落しますが、事業環境からの要因は次期以降も継続的に発生する費用となります。
これらの要因により当期の経常利益率は押し下げられましたが、営業強化や事務所移転に伴う業務効率化への投資結果であり、当社グループの事業基盤を強化し、目標とする経常利益率達成のため適切なものと判断しております。
営業外損益は、保険返戻金収益など一過性の要因による変動を除けば、支払利息などの資金調達コストは安定的に推移しております。
特別損益は、固定資産の更新や整理に伴う除売却損益を計上しており、重要性のある取引はありません。
税金費用では、税効果会計適用後の法人税等の負担率が38.8%となりました。交際費等永久に損金に算入されない一時差異や留保金課税が負担率を上昇させる主な要因となっております。
親会社株主に帰属する当期純利益は、上述の各要因から前期比減益となり、売上高に対する純利益率4.1%(前期5.5%)、自己資本利益率(ROE)6.6%(前期9.2%)の各指標は前期に比べ低下しましたが、単年度損益の追求のみならず、将来事業環境への布石も含めた当期の経営成績は一定の成果が得られたものと認識しております。
報告セグメントごとの営業利益までの経営成績では次のとおりであります。
(消防・防災事業)
頻発し大規模化する国内の自然災害などに対し、当社グループが提供する災害対策用並びに救助用資機材がお客様のニーズを捉えたことから、売上高は前期比4.7%の増収となりました。資機材の売上高増加に伴い購入比率も高まりましたが、粗利率を適切に維持した結果、売上高増加率に概ね連動して粗利高も増加しております。
一方、販売費及び一般管理費では人件費の上昇が大きく影響した結果、セグメント営業利益は前期比1.5%の増加に留まり、セグメント営業利益率は4.0%(前期4.1%)と前期比同水準となっております。
(航空・宇宙、工業用品事業)
航空・宇宙部門では、金属素材による金具類並びに配管類が主要製品の中心ですが、近年、航空機向けシール材などのゴム製品分野の取扱いが伸張しております。工業用品部門でも、タンクシール材が前期の交換需要期終了による販売減から当期は持ち直しております。一方、子会社における防水塗装工事分野では、材料変更に伴う受注単価の大幅な下落が起きており、これが事業セグメント売上高減少の主因となっております。
当事業は、当社グループ内生産品の販売が売上高に占める割合の高さが特徴です。当期においては、外注費を抑制し内製化による付加価値向上へ対処しましたが、材料費や人件費の上昇、棚卸資産評価減の影響により、売上原価の大きな改善には至りませんでした。しかし、セグメント内において、相対的に粗利率の低い防水塗装工事分野の占める割合が低下したことから、事業セグメントの粗利率は良化しております。
販売費及び一般管理費については、人件費は上昇しておりますが、減価償却費が前期比減少しております。これらの要因により、セグメント営業利益は前期比0.0%減となったものの、セグメント営業利益率は16.4%(前期15.9%)と良化しております。
(不動産賃貸事業)
当事業の主たる収益は、当社の本社所在地に隣接する商業施設の固定賃料並びに歩合賃料収入であり、商業施設全体の販売促進活動をテナントと一体となり実施しております。当期は、前期に引き続き歩合賃料が減収となったものの、設備更新に伴う駐車場管理手法の改善の結果、駐車場に関する収益が伸びております。また、オープンからまもなく40年を経過した商業施設は、過去にも規模の大きい修繕や改修を実施しておりますが、継続的なメンテナンスが必要な状況にあります。当期は、設備更新に伴う減価償却費の増加もありましたが、セグメント営業利益率は21.4%(前期21.1%)と若干良化し、セグメント営業利益は前期比3.2%増、安定した収益により当社グループの経営成績に貢献しております。
③ 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
(流動資産)
主要な科目残高の前期比は、現金及び預金94.9%、受取手形及び売掛金110.2%、棚卸資産(商品及び製品、半製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品の合計)106.8%となり、それぞれ安定した水準を維持しております。
受取手形及び売掛金は、例年、消防・防災事業の販売が顧客予算との関連性から年度後半に集中しますが、当期は例年以上に第4四半期に集中し前期に比べ残高が増加しております。また、航空・宇宙、工業用品事業は、航空・宇宙部門の販売が好調であるものの、他の事業と比較して回収サイトが長い傾向であることが現在の状況の一因となっております。
棚卸資産は、航空・宇宙、工業用品事業の航空・宇宙部門において、好調な受注、生産、販売の状況から現在の在庫水準となっておりますが、対処すべき課題に記載のとおり、さらなる資材調達の最適化、生産リードタイムの短縮、在庫回転の良化が必要であると認識しております。
(固定資産)
有形固定資産の当期投資額279百万円(建設仮勘定を除く)に対し、有形・無形固定資産の減価償却費261百万円となり、当期の投資額と償却費との間に大きなかい離はないことから、財政状態に重要な影響を与える要因はありませんでした。なお、当期において過年度に減損処理済みの遊休不動産の売却を実施しております。
(流動負債、固定負債)
支払手形及び買掛金残高は前期比119.0%となり増加しております。主に消防・防災事業において、受取手形及び売掛金の増加要因と同様に、例年以上に第4四半期に販売が集中したことに相関して、購買取引も同四半期に増加したことが要因となっております。
資金調達関連として、社債(1年内償還予定含む)、長期借入金(1年内返済予定含む)、短期借入金の合計残高は前期比97.4%となりました。当社は、財務体質の強化を目指しており、現金及び預金残高を一定水準に保持しつつ、有利子負債を圧縮した結果となり、有効な資金調達を実現していると認識しております。
引当金関連(退職給付に係る負債含む)の合計残高は前期比112.4%となりましたが、退職給付に係る負債の増加が主な要因となっております。これは、割引率の低下、年金資産運用環境の軟化、人件費の上昇などから認識すべき債務が増加した結果となっております。
(純資産)
株主資本は、機動的な資本政策の遂行を可能とするため、当期においても取締役会決議に基づく自己株式の取得を実施しております。利益の配分については、株主配当と内部留保のバランスを考慮し、配当政策に基づいた剰余金の配当実施しております。その結果、株主資本の残高は前期比105.4%となりました。その他の包括利益累計額については、株式市場の運用環境の軟化、退職給付債務の増加により、マイナス幅を拡大させております。
その結果、自己資本比率は47.8%(前期48.1%)となり、前期と比べ若干の悪化となっております。これは第4四半期への販売集中と売上債権の増加に伴い、総資産が拡大したことによる一過性の状況であり、経営基盤の安定性は確保されていると判断しております。
④ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性に関する認識及び分析・検討内容
現金及び現金同等物の期末残高は前期比94.4%と減少しておりますが、当期に計画外の重要な資金支出はなく、当社グループの資金の流動性を確保するための残高は十分に維持しております。また、営業活動による資金収入から、設備など投資支出を行い、かつ、財務上も有利子負債の圧縮を実現しており、資金の期末残高は減少したものの、バランスを保持した資金の流動性確保であると判断しております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、購買・生産・販売に関する経営成績の状況並び財政状態の状況と相関性をもっており、その他の項目についても当期のキャッシュ・フローに重要な影響を与える事象はなく、資金収入は適切に確保したと認識しております。なお、当期は例年以上に第4四半期に売上が集中する結果となったため、回収及び支払は翌期以降となる取引も多く、連結貸借対照表上、受取手形及び売掛金並びに支払手形及び買掛金が大きく増加しております。その結果、営業キャッシュ・フローは対前期で大きく減少しておりますが、重要な問題はないと認識しております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出257百万円が主たる支出の要因です。この他、次期に予定する本社移転にあたり、賃借不動産への敷金支出が当期の一過性の要因となっております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、資金の流動性を確保したうえで、有利子負債の圧縮や自己株式の取得を実施しており、当期の営業活動並びに投資活動に対する資本の効率性に配慮した結果と判断しております。