有価証券報告書-第160期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、国内の消費税増税や自然災害の影響、海外の貿易摩擦激化の影響に加え、第4四半期以降、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、ヒトとモノの移動は制限され、景気減速感は急速に強まるとともに、先行きにつきましても予断を許さない状況となっております。
このような状況のもと当社グループといたしましては、お客様に満足される製品・サービスの提供により、安心・安全な社会の維持に貢献するべく、消防・防災事業、航空・宇宙、工業用品事業、不動産賃貸事業の各事業活動を行ってまいりました。
当連結会計年度におきましては、消防・防災事業の増収が大きく寄与し、過去最高の連結売上高を達成することができました。利益面につきましては、当期に実施した本社事務所移転に伴う一時費用並びに賃借料の増加、また、人員増加に伴う人件費の増加などがあったものの増収効果は大きく、増益となりました。
なお、第4四半期以降の新型コロナウイルス感染症拡大に関しては、従業員並びに関係者の感染リスク軽減を最優先事項として、十分に安全を確保した体制のもと事業活動を行ってまいりました。感染症拡大が当社グループの経営成績に対して与える影響は、当連結会計年度において特段ありません。
その結果として、売上高は14,347百万円(前期比37.3%増)、営業利益1,138百万円(前期比56.9%増)、経常利益1,104百万円(前期比58.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益675百万円(前期比57.9%増)となりました。
当連結会計年度における報告セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(消防・防災事業)
大型化が進む自然災害に対応する救助資機材や特殊車両と、一年延期とはなりましたが東京オリンピック・パラリンピックの円滑な開催に向けた安全対策資機材の販売が増加した結果、売上高9,519百万円(前期比88.9%増)、セグメント利益(営業利益)は1,132百万円(前期比460.7%増)となりました。
(航空・宇宙、工業用品事業)
航空・宇宙部門では、納期の端境期を迎えた結果、エンジン用部品など金属加工製品の販売が大きく減少しました。工業用品部門では、タンクシールなど工業用ゴム製品は微減となったものの、子会社における金属加工品の販売は増加しました。
その結果、航空・宇宙、工業用品事業の売上高は4,333百万円(前期比12.0%減)、セグメント利益(営業利益)は422百万円(前期比47.9%減)となりました。
(不動産賃貸事業)
従来、福利厚生施設として使用していた物件について、当期中に賃貸不動産として事業に組み入れた結果、売上高は増加しました。一方、同物件の賃貸不動産化にあたり改装費用を計上し、既存物件の定期修繕も含め修繕費が大幅に増加しました。
その結果、売上高は494百万円(前期比1.5%増)、セグメント利益(営業利益)は34百万円(前期比66.7%減)となりました。
② 財政状態の状況
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産残高は11,089百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,610百万円の増加となりました。主として、電子記録債権が554百万円減少した一方、現金及び預金が389百万円、受取手形及び売掛金が1,400百万円、棚卸資産が389百万円それぞれ増加したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産残高は4,768百万円となり、前連結会計年度末に比べ402百万円の増加となりました。主として、有形固定資産が326百万円、投資その他の資産が77百万円それぞれ増加したことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債残高は5,896百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,045百万円の増加となりました。主として、支払手形及び買掛金が1,068百万円増加したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債残高は2,741百万円となり、前連結会計年度末に比べ360百万円の増加となりました。主として、長期借入金が309百万円、社債が60百万円、それぞれ増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産残高は7,219百万円となり、前連結会計年度末に比べ607百万円の増加となりました。主として、利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益による675百万円の増加と剰余金処分による58百万円の減少、その他の包括利益累計額においては、主として、その他有価証券評価差額金が8百万円減少したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より389百万円増の2,324百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,043百万円の資金の増加(前期は365百万円の資金の増加)となりました。これは、主として税金等調整前当期純利益1,083百万円に対し、減価償却費271百万円、仕入債務の増加額1,068百万円などの資金増加要因と、売上債権の増加額845百万円、たな卸資産の増加額389百万円、法人税等の支払額263百万円などの資金減少要因によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、607百万円の資金の減少(前期は287百万円の資金の減少)となりました。これは、主として有形固定資産の取得による支出582百万円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、47百万円の資金の減少(前期は191百万円の資金の減少)となりました。これは、主として社債及び借入金による収支30百万円の増加、配当金の支払額57百万円などによるものです。
④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前期比(%) |
| 消防・防災事業 | 1,673,210 | +13.9 |
| 航空・宇宙、工業用品事業 | 3,985,892 | △11.0 |
| 合計 | 5,659,102 | △4.9 |
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前期比(%) | 受注残高(千円) | 前期比(%) |
| 消防・防災事業 | 9,339,959 | +80.8 | 57,410 | △75.8 |
| 航空・宇宙、工業用品事業 | 3,849,302 | △14.0 | 2,917,732 | △14.2 |
| 合計 | 13,189,261 | +36.8 | 2,975,143 | △18.2 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前期比(%) |
| 消防・防災事業 | 9,519,534 | +88.9 |
| 航空・宇宙、工業用品事業 | 4,333,212 | △12.0 |
| 不動産賃貸事業 | 494,498 | +1.5 |
| 合計 | 14,347,245 | +37.3 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| 官公庁 | 1,503,273 | 14.4 | 3,495,055 | 24.4 |
| 川重商事㈱ | 1,147,831 | 11.0 | - | - |
(注) 当連結会計年度の川重商事については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、前期比で増収増益となりました。増収効果により利益率も改善し、営業利益率7.9%(前期6.9%)、経常利益率7.7%(前期6.7%)となりましたが、当社グループの目標とする経営指標「連結売上高経常利益率8%の維持」は未達成となりました。
目標未達成の要因として、前期比37.3%増となった売上高に比べ、売上原価が前期比43.8%増と、上昇したことが挙げられます。これは、当社グループの各セグメントの事業構造の違いによるものであります。当期に売上高を大きく伸ばした消防・防災事業における販売品目は、消防ホースなどの自社製品のほか、外部メーカーの資機材や外部協力工場を利用して製造する特殊車両を取り扱い、他のセグメントに比べ原価率は高くなる傾向にあります。
そのほかの要因として、本社事務所移転に伴う賃借料や人員増強に伴う人件費など固定費増加要因も多く、コスト管理について今後も十分に注視していく必要性を認識しております。
営業外損益並びに特別損益に、経営成績に対し著しい影響を与えるものはありませんでした。
税金費用については、税効果会計適用後の法人税等の負担率が37.7%となり、法定実効税率に対し7.7%乖離しておりますが、これは増益により留保金課税部分が増加したことが主な要因であります。
収益・費用ともに増加要因はあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は、売上高に対する純利益率4.7%(前期4.1%)、自己資本利益率(ROE)9.8%(前期6.6%)と各利益率は前期に比べ良化し、当期の経営成績は十分に成果が得られたものと認識しております。
報告セグメントごとの営業利益までの経営成績については次のとおりであります。
(消防・防災事業)
当期は、東京オリンピック・パラリンピック開催に必要とされる安全対策資機材の販売増加が大きく寄与しました。オリンピック等の開催は延期となったものの、関係各方面の準備段階で当社グループの受注と販売は概ね終了しており、オリンピックの関連売上高は当期の一過性要因であります。これまで営業活動に注力してきました自然災害対応の救助資機材や特殊車両の販売増加とあわせて当期の増収効果は大きく、セグメント営業利益率は11.9%(前期4.0%)となりました。当期における当社グループ全体の経営成績が向上する主因となっております。
(航空・宇宙、工業用品事業)
航空・宇宙部門では、エンドユーザーの調達計画において調達機体数が減少しており、官需向け大型機のエンジン部品及び配管類の売上高が大きく減少しております。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、今後、民間航空機の需要減とともに当社グループの航空機向けシール材などの急激な受注減が予想されますが、当期の経営成績への影響は特段ありません。
工業用品部門では、既存製品の販売に大きな変動はありませんが、お客様ニーズに応えるべく、子会社において金型製造に加え製造設備用金属加工部品の取扱いを拡大しており、経営成績に寄与しております。
セグメント営業利益率 は9.8%(前期16.4%)と前期から悪化しております。
当期は、前期から継続して外注費を抑制し内製化による付加価値の向上と、利益率の低下した製品の取扱いを終了するなどコスト改善を実施しましたが、売上高の減少に伴う固定費吸収力の低下、設備更新に伴う減価償却費の増加、また、取扱い終了製品に対する棚卸評価減などの影響により営業利益率は低下しております。
(不動産賃貸事業)
当事業の主たる収益は、当社の本店所在地に隣接する商業施設の固定賃料並びに歩合賃料収入であり、商業施設全体の販売促進活動をテナント様と一体となり実施しております。(1)経営成績等の概要①経営成績の状況に記載のとおり、当期に福利厚生施設を改装し賃貸住宅として事業に組み入れ収益力を向上させましたが、改装に伴う修繕費や減価償却費も増加しております。また、オープンから40年以上経過した商業施設の修繕費も当期においては多額となりました。その結果、セグメント営業利益率は7.0%(前期21.4%)と悪化しておりますが、修繕費は、年度ごとの多寡により同事業の経営成績に与える影響は大きいものの、周辺地域社会に貢献するため、単年度損益を過度に追及せず中長期的な視点に基づき実施することが必要と判断しております。
② 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
(流動資産)
主要な科目残高の前期比は、現金及び預金118.5%、売上債権117.5%、棚卸資産115.8%となり、それぞれ安定した水準で推移しております。
売上債権は、例年、消防・防災事業の販売が顧客予算との関連性から年度後半に集中するため、期末の残高が増加する傾向にあります。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う債権回収の遅延や貸倒リスクの上昇は現時点で特段ありません。
棚卸資産は、在庫回転の良化に向けて対処しておりますが、材料価格や人件費の上昇に伴い在庫単価も上昇しており、棚卸資産残高が増加する結果となっております。
(固定資産)
有形固定資産の当期投資額は614百万円(建設仮勘定を除く)となりました。当期の減価償却費271百万円に対し、投資額が大きく超過しております。これは、設備更新投資に加え、本店隣接地の土地取得や不動産賃貸事業組み入れのため建物の改装を実施した結果であり、中長期的な投資として適切であると判断しております。
(流動負債、固定負債)
支払手形及び買掛金残高は前期比159.2%となりました。売上債権と同様に、消防・防災事業の販売取引が年度後半に集中することと相関して購買取引も増加するため、結果として支払手形及び買掛金残高が増加しております。
資金調達関連として、社債及び借入金の合計残高は前期比101.0%となりました。当期は土地取得など固定資産投資に関する支出が増加しましたが、現金及び預金残高は一定水準に保持しており、有利子負債残高についても前期比同水準に維持しております。
(純資産)
当期の経営成績、内部留保とのバランスを考慮した配当の実施により、株主資本残高は前期比109.0%となりました。また、その他の包括利益累計額については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により株式市況の悪化もありましたが、著しい変動はありません。
自己資本比率は45.5%(前期47.8%)と前期に比べ若干の悪化となっておりますが、経営基盤の安定性は引き続き確保しているものと判断しております。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当期のキャッシュ・フローの状況は、営業活動による資金収入の範囲内で設備投資支出や配当支払いなど財務支出を実施しております。その結果、現金及び現金同等物の残高は前期比120.1%となり、当社グループの月商2か月分程度の資金残高を保持し、資金の流動性は十分に確保しているものと判断しております。
資金調達については、金融機関からの借入を基本としております。調達した資金は自己資金とあわせ、原材料や商品購入資金、人件費や経費支払いなどの運転資金と、研究開発費や設備投資資金に充当しております。長期借入を行う場合、借入期間は原則5年以内としておりますが、不動産取得など投資資金については、投資回収期間を考慮し借入期間を別途設定する場合があります。なお、当社は運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行5行と当座貸越契約を締結しており、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響も含め、突発的な資金需要が発生した場合の手許流動性を確保する手段を準備しております。当期末日現在の当座貸越契約の未実行残高は1,600百万円であります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産、負債の報告数値及び報告期間における収益、費用の報告数値に影響を与える見積りを行う必要があります。見積りを行った時点で合理的と考えられる仮定に基づき判断を行いますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる可能性があります。
当期の連結財務諸表に対して、重要な会計上の見積りとして認識している項目は以下のとおりであります。
(貸倒引当金)
主に営業債権に対して過去の貸倒実績に基づき将来の貸倒損失の見積りを行い、貸倒引当金を計上しております。また、債務の支払遅延や信用リスクが上昇している可能性のある特定の顧客については、業績や財政状態などを検討のうえ詳細に回収可能性を判断し、個別債権ごとに貸倒引当金を計上しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響ですが、当社グループの各事業の顧客や事業の性質から判断して、貸倒リスクの急激な上昇は現時点では発生していないと判断しております。
(棚卸資産の評価)
棚卸資産について適正な価値で貸借対照表に計上するため、評価を行っております。過剰、滞留、陳腐化した棚卸資産ついては、合理的な見積り在庫回転期間に基づき評価損を計上しております。また、収益性の低下した棚卸資産については、将来の需要や販売価格等の見積りに基づき、正味実現可能価額まで評価損を計上しております。
(有形固定資産及び無形固定資産の減損)
有形固定資産及び無形固定資産について、その帳簿価額が回収できないという兆候を示す事象や経営状況の変化が発生した場合、減損の判定を行っております。将来キャッシュ・フローの見積りに基づき減損の判定を行い、減損の認識が必要と判断した場合、帳簿価額が回収可能価額を上回る部分について減損損失を計上しております。
(退職給付)
当社グループは、従業員を対象とする各種退職給付制度を有しており、その多くは確定給付型の制度であります。確定給付型の退職給付制度では、退職給付債務及び退職給付費用について、合理的であると判断した仮定に基づき数理計算を行います。仮定には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、昇給率など各種基礎率が含まれます。割引率は国債利回りに基づき設定し、その他の基礎率は過去の実績を基礎として設定しております。数理計算は従業員の退職時までの長期的な期間に対する計算であることから、各種基礎率の小さな変動も退職給付債務及び退職給付費用について影響を与えるため、各種基礎率に関する仮定について毎期見直しを行っております。
(繰延税金資産)
繰延税金資産について、将来の課税所得の見積りやタックス・プランニングに基づき、一定期間における回収可能性が高いと判断した部分に限り計上しております。回収可能性が見込めないと判断した部分については評価性引当金を計上しております。将来の課税所得の見積りやタックス・プランニングは、事業計画を基礎として過去の業績等も考慮し策定しておりますが、経済情勢の変動、経営成績の悪化、事業計画の変更などにより、適宜、見直しが行われます。繰延税金資産の回収可能性についても定期的に検討を行い、繰延税金資産の計上額及び税金費用に適切に反映しております。