有価証券報告書-第97期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、前半は緩やかな回復基調でしたが、米中の関税の引き上げなど高まる貿易障壁をめぐる不透明感が増大するにつれて、後半にかけて減速しました。
日本経済においても、前半は弱い伸びに留まり、後半は消費増税や大型台風などの自然災害の影響により
景気は減速しました。
自動車業界は、国内では主要顧客メーカーの新モデルの投入効果もあり、3年連続で販売台数は500万台超えを維持しましたが、一方、海外では米国市場が頭打ちとなり、中国市場も米中貿易摩擦などによる消費
マインドの落込みがあり、世界全体の販売台数は、2年連続で前年度比減少となりました。
そのような中、昨年末に中国で発生した新型コロナウイルスの感染が、年明け以降世界的に拡大し、国家間の往来制限、サプライチェーン寸断による生産停止、消費マインドの大きな冷え込みなどにより国内外の経済および自動車市場は急速に悪化しています。
このような情勢のなか当社グループは、一昨年5月に掲げた中長期経営計画である「2025事業計画」の実現に向けた「活動の3本柱」を定め、重点的に取り組んでいます。
活動の柱Iは「イノベーション・新モビリティへの挑戦」であり、革新的な技術により従来と異なる新領域での早期事業化に取り組んでいます。
まず、次世代誘電ゴムe-Rubberは、2020年1月に米国ラスベガスで開催された電子機器見本市「CES2020」への初出展も果たし、触覚ハンドやAR(拡張現実)と融合したハプティクス技術(触覚を疑似的に再現する技術)を紹介しました。今後も医療やエンターテイメントなど、様々な分野でのビジネス展開を目指していきます。
次にCASE対応として、2018年度社内に創設したCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の活用により
スタートアップ企業へ積極的に出資し、内外装製品に関わるモジュール開発など新技術の開発を加速
させました。その他、青色LEDの開発・生産で培った技術やノウハウを活かした「縦型GaNパワー半導体」や
クルマの様変わりに対応した製品開発にも引き続き注力していくことで、新技術、新製品の事業化を一層
進めていきます。
活動の柱IIは「伸びる市場・伸ばせる分野への重点戦略」であり、伸びる市場として当社グループの収益を支える米州地域では米国オハイオ州に同地域で2つ目の研究開発と営業の拠点を新設しました。お客様の近隣に設計や営業機能を置くことで、内外装製品やエアバッグの開発のスピードアップと更なる新製品の拡販を
図っていきます。
また大型の内外装製品の商圏拡大を狙い米国中南部の生産子会社TGミズーリ株式会社、TGケンタッキー
有限責任会社、豊田合成テキサス有限責任会社の3社における大型成型機や塗装設備の生産能力増強を決定
しました。伸びる市場へ積極的な投資を図りながら更なる収益拡大に努めていきます。
さらに、自動車の世界最大市場であり今後も成長が見込める中国では、内陸部における事業拡大を目指し、湖北豊田合成正奥橡塑密封科技有限公司の工場の拡張と生産設備の増設を決定しました。
次に伸ばせる分野として、グローバルでのエアバッグの需要拡大に対応するため、ベトナムの豊田合成
ハイフォン社において、第2の拠点となるタイビン工場での生産を開始し、2021年には更なる工場拡張を予定
しています。
また、樹脂化によって軽量化を図ることにより、環境性能の向上に寄与する樹脂フューエルフィラー
パイプ、樹脂ターボダクト、そして、デザインと機能を両立したミリ波エンブレム、更には意匠性の高い
めっき製品など、高付加価値製品の国内外顧客への積極的な拡販を進めています。
活動の柱IIIは「生産現場のモノづくり革新」であり、検査工程などの自働化による省人や、IoT技術によるロス低減に取り組みました。まず自働化による省人の取り組みとしては、平和町工場の新棟に設置した樹脂
フューエルフィラーパイプの生産工程を「自働化モデル工場」とし、昨年5月に稼働を開始。次にIoT技術に
よるロス低減の取り組みとしては、ビッグデータ解析による不良ロス低減をはじめ、内製インフレータの生産
状態の常時見える化による設備停止ロス低減などに取り組みました。今後は社内の全製品領域はもちろん関係
会社にも展開し、当社グループ全体の生産性向上を目指していきます。
なお、「活動の3本柱」に加え、持続的な成長の実現に向けた収益構造改革を進めてきましたが、
2019年12月30日付で、ドイツの生産子会社 豊田合成メテオール有限会社(以下「TGM」)およびアメリカの
生産子会社メテオールシーリングシステム有限会社の全株式をドイツのSCUR-Alpha1123 GmbH(現在は
AEQPH GmbHに社名変更)に譲渡したことで構造改革に一区切りをつけ、今後の企業価値向上に資する
ことができたと考えています。
この結果、当期の売上収益は、ドル安や元安による為替影響や年明け以降の新型コロナウイルス感染拡大に
よる自動車生産台数の減少により 8,129億円(前期比 3.3%減)と、減収となりました。
利益につきましても、新型コロナウイルスによる減販影響に加え、ドイツの生産子会社 TGMの事業整理
損失等の影響により、営業利益は 178億円(前期比51.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は
112億円(前期比 51.8%減)と減益となりました。
当期末における総資産は、主に有形固定資産の増加に伴い、前期末に比べ 10億円増加し、7,091億円と
なりました。また、負債は主に借入金等の増加により、前期末に比べ 109億円増加し、3,389億円と
なりました。
資本については、主にその他の資本の構成要素の減少等により、前期末に比べ 98億円減少し、3,702億円と
なりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
①日本
主に新型コロナウイルスの影響等により、売上収益は 4,051億円(前期比 0.5%減)となりました。
利益については、前期計上した独禁法関連損失の反動があったものの、第3四半期にドイツの生産子会社
TGM全株式の譲渡による事業整理損失を計上したことや新型コロナウイルスによる減販影響等により、セグメント損失は 50億円(前期利益 110億円)となりました。
②米州
売上収益は本年2月までは日系や外資系カーメーカーへの拡販がありましたが、3月以降の新型コロナ
ウイルスによる減販影響や為替の影響等により 2,435億円(前期比 2.2%減)となりました。
利益については、新型コロナウイルスによる減販影響等により、166億円(前期比5.1%減)
となりました。
③アジア
売上収益は、本年1月までの中国における主要顧客の生産台数の増加はあったものの、中国を中心とした新型コロナウイルスによる影響等により 1,882億円(前期比 5.8%減)となりました。
利益については、主に中国での新型コロナウイルスによる減販影響や市場の不振を背景としたタイの減販
影響等により、106億円(前期比 17.0%減)となりました。
④欧州・アフリカ
売上収益は 365億円(前期比 20.4%減)となりました。利益については、新型コロナウイルスによる
減販影響はあったものの、第3四半期にドイツの生産子会社 TGMを連結から除外したこと等により、セグメント損失は 42億円(前期損失 47億円)と、損失額を縮小することができました。
②キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は、前期末 1,073億円に比べ 206億円増加し、1,279億円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期 574億円の収入に比べ 652億円の収入となり、77億円収入が増加しました。これは、営業債権及びその他の債権の減少などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期 554億円の支出に比べ 541億円の支出となり、13億円支出が減少しました。これは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出の減少などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期 77億円の収入に比べ 125億円の収入となり、47億円収入が
増加しました。これは、長期借入金の返済による支出が減少したことなどによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
(注)金額は販売価額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
b.受注実績
当社グループ(当社および連結子会社。以下同じ。)は、主にトヨタ自動車㈱をはじめとして各納入先より生産計画の提示をうけ、生産能力を勘案して生産計画を立て生産しています。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先への販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等について、売上収益は、8,129億円(前期比 3.3%減)と減収となりました。売上収益の減少は、日本でトヨタ自動車向けの販売台数増加による増収はあったものの、ドル安や元安による為替影響や年明け以降の新型コロナウイルス感染拡大による自動車販売台数の減少による
ものです。
利益につきましても、営業利益は 178億円(前期比 51.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は
112億円(前期比 51.8%減)と減益となりました。営業利益の減少は、新型コロナウイルスによる減販影響に
加え、ドイツの生産子会社 豊田合成メテオール有限会社の事業整理損失等の影響によるものです。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等の
リスク」に記載しています。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、以下のとおりです。
a.当社グループの財務方針
当社グループは2018年5月に公表した「2025事業計画」でROE10%を目標として掲げました。
これは、株主資本コストを安定的に上回るROEを達成することで株主価値を向上させていくこと、加えて
現在の資本市場において当社グループが選ばれるために必要な資本効率を達成することを目的として設定
したものです。
当社グループは、これまでの安定的な利益の積み重ねの結果、自己資本比率は50%前後で推移しており、安全性の観点からは十分な財務体質を有していると認識しています。一方、ROE 10%を達成するためには
資金面での一定のコントロールが必要であると考え、2018年11月に以下の3点からなる財務方針を公表
しました。
まず「株主還元」ですが、足元はコロナショックの影響で急激に事業環境が悪化していますが、成長の
ための投資資金を確保した上で、「連結配当性向30%以上を基本」とし、さらに配当以外の選択肢を排除
しないという考えから、「様々な観点からトータルとして株主に報いる」との株主還元の方針を定め
ました。
次に「設備投資」については、足元のコロナショックへの対応として当面は必要性を精査しキャッシュ
アウトに厳格に望んでいきますが、成長のための投資資金として年500億円程度を確保する考えです。
年500億円は過去最高水準の設備投資額ですが、変革期にある自動車産業の中にあっても持続的な成長を
実現していくために必要なものと考えています。
最後に「手許資金」については、金融危機や自然災害などが発生した際に当面の事業運営が行える水準と
してのリスク対応資金も含め、「連結月商+300億円程度の現預金((一年以内の)短期借入金は除外)」を
確保する考えです。更にコロナショックへの対応として手元流動性を確保するために、「第5 経理の状況
1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 35.後発事象」に記載のとおり、主要取引金融
機関から長期借入金200億円を調達し、さらに総額300億円のコミットメントライン契約を締結しました。
b.資金需要
当社グループでは、当連結会計年度において、418億円の設備投資を実施しています。
今後も、市場のグローバル化や成長市場における事業強化などへの対応を含め、国内外における
設備投資、出資などについて長期的な視野で資金需要を認識していきます。
c.資金調達方法
当社グループは、円滑な事業活動に必要な資金の流動性確保と財務の安定性・健全性維持を資金調達の
基本としており、金融機関からの借入や社債の起債など資金効率を考えた多様な資金調達を行っています。
また一部の地域のグループ子会社では、キャッシュ・マネジメント・システムの導入により域内の資金効率
も図っています。
なお、当連結会計年度末における社債および借入金を含む有利子負債の残高は1,480億円となって
います。
d.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期末 1,073億円に比べ 206億円増加し、1,279億円と
なりました。これは、安定した営業キャッシュ・フローを創出するなか、昨年12月にドイツの生産子会社
豊田合成メテオール有限会社の全株式を譲渡、および事業拡大に向け継続的な投資を実施した結果による
ものです。当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要
②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
セグメント別の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、前半は緩やかな回復基調でしたが、米中の関税の引き上げなど高まる貿易障壁をめぐる不透明感が増大するにつれて、後半にかけて減速しました。
日本経済においても、前半は弱い伸びに留まり、後半は消費増税や大型台風などの自然災害の影響により
景気は減速しました。
自動車業界は、国内では主要顧客メーカーの新モデルの投入効果もあり、3年連続で販売台数は500万台超えを維持しましたが、一方、海外では米国市場が頭打ちとなり、中国市場も米中貿易摩擦などによる消費
マインドの落込みがあり、世界全体の販売台数は、2年連続で前年度比減少となりました。
そのような中、昨年末に中国で発生した新型コロナウイルスの感染が、年明け以降世界的に拡大し、国家間の往来制限、サプライチェーン寸断による生産停止、消費マインドの大きな冷え込みなどにより国内外の経済および自動車市場は急速に悪化しています。
このような情勢のなか当社グループは、一昨年5月に掲げた中長期経営計画である「2025事業計画」の実現に向けた「活動の3本柱」を定め、重点的に取り組んでいます。
活動の柱Iは「イノベーション・新モビリティへの挑戦」であり、革新的な技術により従来と異なる新領域での早期事業化に取り組んでいます。
まず、次世代誘電ゴムe-Rubberは、2020年1月に米国ラスベガスで開催された電子機器見本市「CES2020」への初出展も果たし、触覚ハンドやAR(拡張現実)と融合したハプティクス技術(触覚を疑似的に再現する技術)を紹介しました。今後も医療やエンターテイメントなど、様々な分野でのビジネス展開を目指していきます。
次にCASE対応として、2018年度社内に創設したCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の活用により
スタートアップ企業へ積極的に出資し、内外装製品に関わるモジュール開発など新技術の開発を加速
させました。その他、青色LEDの開発・生産で培った技術やノウハウを活かした「縦型GaNパワー半導体」や
クルマの様変わりに対応した製品開発にも引き続き注力していくことで、新技術、新製品の事業化を一層
進めていきます。
活動の柱IIは「伸びる市場・伸ばせる分野への重点戦略」であり、伸びる市場として当社グループの収益を支える米州地域では米国オハイオ州に同地域で2つ目の研究開発と営業の拠点を新設しました。お客様の近隣に設計や営業機能を置くことで、内外装製品やエアバッグの開発のスピードアップと更なる新製品の拡販を
図っていきます。
また大型の内外装製品の商圏拡大を狙い米国中南部の生産子会社TGミズーリ株式会社、TGケンタッキー
有限責任会社、豊田合成テキサス有限責任会社の3社における大型成型機や塗装設備の生産能力増強を決定
しました。伸びる市場へ積極的な投資を図りながら更なる収益拡大に努めていきます。
さらに、自動車の世界最大市場であり今後も成長が見込める中国では、内陸部における事業拡大を目指し、湖北豊田合成正奥橡塑密封科技有限公司の工場の拡張と生産設備の増設を決定しました。
次に伸ばせる分野として、グローバルでのエアバッグの需要拡大に対応するため、ベトナムの豊田合成
ハイフォン社において、第2の拠点となるタイビン工場での生産を開始し、2021年には更なる工場拡張を予定
しています。
また、樹脂化によって軽量化を図ることにより、環境性能の向上に寄与する樹脂フューエルフィラー
パイプ、樹脂ターボダクト、そして、デザインと機能を両立したミリ波エンブレム、更には意匠性の高い
めっき製品など、高付加価値製品の国内外顧客への積極的な拡販を進めています。
活動の柱IIIは「生産現場のモノづくり革新」であり、検査工程などの自働化による省人や、IoT技術によるロス低減に取り組みました。まず自働化による省人の取り組みとしては、平和町工場の新棟に設置した樹脂
フューエルフィラーパイプの生産工程を「自働化モデル工場」とし、昨年5月に稼働を開始。次にIoT技術に
よるロス低減の取り組みとしては、ビッグデータ解析による不良ロス低減をはじめ、内製インフレータの生産
状態の常時見える化による設備停止ロス低減などに取り組みました。今後は社内の全製品領域はもちろん関係
会社にも展開し、当社グループ全体の生産性向上を目指していきます。
なお、「活動の3本柱」に加え、持続的な成長の実現に向けた収益構造改革を進めてきましたが、
2019年12月30日付で、ドイツの生産子会社 豊田合成メテオール有限会社(以下「TGM」)およびアメリカの
生産子会社メテオールシーリングシステム有限会社の全株式をドイツのSCUR-Alpha1123 GmbH(現在は
AEQPH GmbHに社名変更)に譲渡したことで構造改革に一区切りをつけ、今後の企業価値向上に資する
ことができたと考えています。
この結果、当期の売上収益は、ドル安や元安による為替影響や年明け以降の新型コロナウイルス感染拡大に
よる自動車生産台数の減少により 8,129億円(前期比 3.3%減)と、減収となりました。
利益につきましても、新型コロナウイルスによる減販影響に加え、ドイツの生産子会社 TGMの事業整理
損失等の影響により、営業利益は 178億円(前期比51.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は
112億円(前期比 51.8%減)と減益となりました。
当期末における総資産は、主に有形固定資産の増加に伴い、前期末に比べ 10億円増加し、7,091億円と
なりました。また、負債は主に借入金等の増加により、前期末に比べ 109億円増加し、3,389億円と
なりました。
資本については、主にその他の資本の構成要素の減少等により、前期末に比べ 98億円減少し、3,702億円と
なりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
①日本
主に新型コロナウイルスの影響等により、売上収益は 4,051億円(前期比 0.5%減)となりました。
利益については、前期計上した独禁法関連損失の反動があったものの、第3四半期にドイツの生産子会社
TGM全株式の譲渡による事業整理損失を計上したことや新型コロナウイルスによる減販影響等により、セグメント損失は 50億円(前期利益 110億円)となりました。
②米州
売上収益は本年2月までは日系や外資系カーメーカーへの拡販がありましたが、3月以降の新型コロナ
ウイルスによる減販影響や為替の影響等により 2,435億円(前期比 2.2%減)となりました。
利益については、新型コロナウイルスによる減販影響等により、166億円(前期比5.1%減)
となりました。
③アジア
売上収益は、本年1月までの中国における主要顧客の生産台数の増加はあったものの、中国を中心とした新型コロナウイルスによる影響等により 1,882億円(前期比 5.8%減)となりました。
利益については、主に中国での新型コロナウイルスによる減販影響や市場の不振を背景としたタイの減販
影響等により、106億円(前期比 17.0%減)となりました。
④欧州・アフリカ
売上収益は 365億円(前期比 20.4%減)となりました。利益については、新型コロナウイルスによる
減販影響はあったものの、第3四半期にドイツの生産子会社 TGMを連結から除外したこと等により、セグメント損失は 42億円(前期損失 47億円)と、損失額を縮小することができました。
②キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は、前期末 1,073億円に比べ 206億円増加し、1,279億円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期 574億円の収入に比べ 652億円の収入となり、77億円収入が増加しました。これは、営業債権及びその他の債権の減少などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期 554億円の支出に比べ 541億円の支出となり、13億円支出が減少しました。これは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出の減少などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期 77億円の収入に比べ 125億円の収入となり、47億円収入が
増加しました。これは、長期借入金の返済による支出が減少したことなどによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 日本 | 397,026 | 3.2 |
| 米州 | 238,833 | △3.5 |
| アジア | 161,478 | △4.0 |
| 欧州・アフリカ | 34,949 | △20.8 |
| 合計 | 832,287 | △1.4 |
(注)金額は販売価額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
b.受注実績
当社グループ(当社および連結子会社。以下同じ。)は、主にトヨタ自動車㈱をはじめとして各納入先より生産計画の提示をうけ、生産能力を勘案して生産計画を立て生産しています。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 日本 | 377,858 | △0.0 |
| 米州 | 239,499 | △2.4 |
| アジア | 160,207 | △7.6 |
| 欧州・アフリカ | 35,372 | △19.5 |
| 合計 | 812,937 | △3.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先への販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| トヨタ自動車㈱ | 235,793 | 28.0 | 234,955 | 28.9 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等について、売上収益は、8,129億円(前期比 3.3%減)と減収となりました。売上収益の減少は、日本でトヨタ自動車向けの販売台数増加による増収はあったものの、ドル安や元安による為替影響や年明け以降の新型コロナウイルス感染拡大による自動車販売台数の減少による
ものです。
利益につきましても、営業利益は 178億円(前期比 51.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は
112億円(前期比 51.8%減)と減益となりました。営業利益の減少は、新型コロナウイルスによる減販影響に
加え、ドイツの生産子会社 豊田合成メテオール有限会社の事業整理損失等の影響によるものです。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等の
リスク」に記載しています。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、以下のとおりです。
a.当社グループの財務方針
当社グループは2018年5月に公表した「2025事業計画」でROE10%を目標として掲げました。
これは、株主資本コストを安定的に上回るROEを達成することで株主価値を向上させていくこと、加えて
現在の資本市場において当社グループが選ばれるために必要な資本効率を達成することを目的として設定
したものです。
当社グループは、これまでの安定的な利益の積み重ねの結果、自己資本比率は50%前後で推移しており、安全性の観点からは十分な財務体質を有していると認識しています。一方、ROE 10%を達成するためには
資金面での一定のコントロールが必要であると考え、2018年11月に以下の3点からなる財務方針を公表
しました。
まず「株主還元」ですが、足元はコロナショックの影響で急激に事業環境が悪化していますが、成長の
ための投資資金を確保した上で、「連結配当性向30%以上を基本」とし、さらに配当以外の選択肢を排除
しないという考えから、「様々な観点からトータルとして株主に報いる」との株主還元の方針を定め
ました。
次に「設備投資」については、足元のコロナショックへの対応として当面は必要性を精査しキャッシュ
アウトに厳格に望んでいきますが、成長のための投資資金として年500億円程度を確保する考えです。
年500億円は過去最高水準の設備投資額ですが、変革期にある自動車産業の中にあっても持続的な成長を
実現していくために必要なものと考えています。
最後に「手許資金」については、金融危機や自然災害などが発生した際に当面の事業運営が行える水準と
してのリスク対応資金も含め、「連結月商+300億円程度の現預金((一年以内の)短期借入金は除外)」を
確保する考えです。更にコロナショックへの対応として手元流動性を確保するために、「第5 経理の状況
1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 35.後発事象」に記載のとおり、主要取引金融
機関から長期借入金200億円を調達し、さらに総額300億円のコミットメントライン契約を締結しました。
b.資金需要
当社グループでは、当連結会計年度において、418億円の設備投資を実施しています。
今後も、市場のグローバル化や成長市場における事業強化などへの対応を含め、国内外における
設備投資、出資などについて長期的な視野で資金需要を認識していきます。
c.資金調達方法
当社グループは、円滑な事業活動に必要な資金の流動性確保と財務の安定性・健全性維持を資金調達の
基本としており、金融機関からの借入や社債の起債など資金効率を考えた多様な資金調達を行っています。
また一部の地域のグループ子会社では、キャッシュ・マネジメント・システムの導入により域内の資金効率
も図っています。
なお、当連結会計年度末における社債および借入金を含む有利子負債の残高は1,480億円となって
います。
d.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期末 1,073億円に比べ 206億円増加し、1,279億円と
なりました。これは、安定した営業キャッシュ・フローを創出するなか、昨年12月にドイツの生産子会社
豊田合成メテオール有限会社の全株式を譲渡、および事業拡大に向け継続的な投資を実施した結果による
ものです。当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要
②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
セグメント別の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。