有価証券報告書-第122期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/24 14:30
【資料】
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【項目】
126項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、技術立脚の提案型企業として、時代が要請する新たな価値と優れた品質の提供により、顧客や社会から高い信頼を得られるリーディングカンパニーを目指すとともに、社員の個性と能力を十分発揮できる環境を整え、絶えず前進する積極的な姿勢とスピーディな行動で企業価値を高め、株主の期待に応えることを基本としています。
(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
①『2030 長期経営計画 日特BX』 及び新中期経営計画(2021年度~2024年度)
『2030 長期経営計画 日特BX』で目指す姿を見据え、2021年度から2024年度までの4年間を「変えるために、壊す。」「変わるために、創る。」として、組織を変革する期間に位置付けた新中期経営計画を策定いたしました。本中期経営計画においては、次の基本方針及び重点課題を掲げ、各種取組みを実行してまいります。
基本方針:「既存事業」と「新規事業」が独立しながら、両輪で走る
(重点課題)
■成長事業及び新規事業への投資・人財ポートフォリオ転換の促進
■ROIC経営による稼ぐ力のさらなる強化
・重点課題に基づく具体的な取組みの一つとして、2021年4月には社内カンパニー制への移行と一部事業部門の分社化を実施いたしました。事業部門、事業サポート部門、コーポレート部門の各組織において権限と責任を明確にし、独立自営の体制のもと、機動的な意思決定の実現と収益性の可視化によるさらなる成長を推進してまいります。
・ROICを用いた事業別の目標管理・事業ポートフォリオマネジメントの仕組みの構築・運用及び不採算事業の撤退基準を明確にすることで、経営資源の最適配分を実現し、投資対効果の最大化を図ってまいります。
・事業ポートフォリオの転換に不可欠な人財ポートフォリオの転換を実現するため、成長事業・新規事業への人財の積極的な転換に取り組むとともに、「自律創造人財」の育成・創出を推進します。
(事業別の取組み)
事業ポートフォリオ転換の達成に向けて、自動車関連事業では、キャッシュ創出を最大化し、成長事業・新規事業へ積極的な経営資源の再配分を図ってまいります。
(ⅰ)自動車関連事業
自動車関連事業においては、超効率化によりキャッシュ創出の最大化を図ります。具体的には、高付加価値製品におけるシェアの向上、生産性の向上による投資の抑制、在庫圧縮による資本効率の向上により、利益及びフリーキャッシュフローの最大化に取り組みます。
(ⅱ)成長事業
成長事業においては、各事業において市場成長率を超える事業成長を目指します。半導体製造装置用部品事業では、生産性の向上や世界的な半導体需要に対する旺盛な設備投資により当社販売も堅調に推移していますが、今後も独自技術で競合との差別化を図り、顧客からの最先端のニーズに応えることで、同分野でのトップサプライヤーを目指します。また、呼吸器関連事業では、グローバルでの患者様のQOL改善に貢献するため、製品群の拡充と販売地域・販売チャネルの拡大に取り組みます。
(ⅲ)新規事業
新規事業においては、新たな事業の柱となる新規事業の実現、及び、事業創出サイクルの短縮化を目指します。新規事業の創出については、「Smart Health」「Decentralized Utility」「Smart Mobility」を注力領域として、コーポレートベンチャーキャピタルを通じたベンチャー企業との連携やM&Aの活用により、持続可能な成長に向けた新市場の獲得を目指します。燃料電池事業では、2021年より量産化を開始し、今後も産業用燃料電池向け製品の発電性能の向上、家庭用・業務用の次世代燃料電池向け製品の開発、生産コストの低減及び量産体制の確立により、競争力の獲得及び事業規模の拡大に取り組みます。
②持続的成長に向けた取組み
企業の持続的成長を図っていく上では、重要な社会的課題に正面から向き合い、その解決に挑んでいくという基本姿勢が求められます。当社グループは、グローバル企業として持続可能な社会作りに寄与するため、ESG各分野の社会的課題のうち、「ステークホルダーにとっての重要性」と「当社にとっての重要性」の2軸からサステナビリティにおける重要課題を特定しました。「相互信頼を深め、未来を見つめた新たな価値を提案し、世界の人々に貢献します」という企業理念のもと、今後も「社会のよき一員」として企業活動を推進し、社会全体に貢献できるよう努めてまいります。
③コンプライアンスの徹底
当社グループはコンプライアンスを重要な経営課題と位置付けており、今後も企業の社会的責任を果たし、すべてのステークホルダーから信頼される企業であり続けるために、過去に生じた競争法違反の再発防止策の徹底と全社に対するコンプライアンス教育、啓発活動を継続して実施してまいります。
④新型コロナウイルス感染症への対応
当社では新型コロナウイルス感染症拡大の初期段階から対策本部を立ち上げ、さまざまな感染防止策を実施してまいりました。職場環境の感染リスクを低減するため、在宅勤務や時差勤務の積極的な推奨、WEB会議の活用、オフィスでの密集を避けるための分散勤務を目的としたサテライトオフィスを設置し、特に在宅勤務に関しては従業員が利用しやすい環境を整えるためにIT環境を刷新しました。また、2021年8月に小牧工場内に竣工した新オフィス棟では非在席勤務率30%以上を主な取組みのひとつとして掲げております。これまでの新型コロナウイルス感染症への対応実績を事業継続計画(BCP)に反映し、引き続き感染の再拡大や新たな感染症に備えてまいります。