四半期報告書-第87期第2四半期(平成28年7月1日-平成28年9月30日)

【提出】
2016/11/11 9:11
【資料】
PDFをみる
【項目】
29項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、企業収益や所得・雇用環境の改善に支えられ、緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、中国をはじめとした新興国経済の減速に加え、地政学的リスクの増大や円高の進行など、景気の先行きは不透明感を増しております。
当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という。)が属するステンレス鋼線業界では、建材関連需要の回復に伴い、業界出荷数量は、前年同期比増加となりました。また、約2年間下落基調が続いたLMEニッケル価格にようやく底入れ感が見られております。
このような状況の中、当社グループでは、連結経常利益40億円以上、連結経常利益率(ROS)10%以上などを経営目標とする『第13次中期計画(SR17)』(最終年度平成30年3月期)の達成に向け、収益の一段の向上に鋭意取り組んでまいりました。
売上高につきましては、主力のステンレス鋼線部門は、販売数量は前年同期に比べ増加しましたが、ニッケル価格変動に起因する販売価格下落の影響などにより減収となりました。一方、金属繊維部門は、主力のナスロンフィルターは低調に推移しましたが、超精密ガスフィルター(ナスクリーン)が堅調に推移したため、増収となりました。これらの結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は152億74百万円(前年同期比7.2%減)となりました。
損益につきましては、売上高減少に伴う粗利の減やニッケル価格下落に伴う評価損の計上などにより、営業利益は10億69百万円(前年同期比23.9%減)、経常利益は10億63百万円(同28.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は7億63百万円(同22.8%減)と前年同期比減益となりました。
事業部門別の業績は次のとおりであります。
①ステンレス鋼線
建材関連需要の回復に伴い鋲螺用が増加するなど、ステンレス鋼線全体の販売数量は前年同期に比べ増加しましたが、ニッケル価格変動に起因する販売価格下落の影響などにより、ステンレス鋼線の売上高は127億23百万円(前年同期比9.3%減)となりました。
②金属繊維
主力のナスロンフィルターは、設備投資案件が低調に推移したため、ポリエステルフィルム向けに加え、化合繊維向けや液晶用など高機能樹脂用途についても減収となりました。一方、超精密ガスフィルター(ナスクリーン)は韓国や台湾での半導体メーカーを中心とした設備投資が堅調に推移したため、増収となりました。その結果、金属繊維の売上高は25億50百万円(前年同期比5.2%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高の相殺消去前の金額を記載しています。
①日本
主力のステンレス鋼線では、建材関連需要の回復に伴い鋲螺用が増加するなど、ステンレス鋼線全体の販売数量は前年同期に比べ増加しましたが、ニッケル価格変動に起因する販売価格下落の影響などにより、売上高は前年同期比減収となりました。一方、金属繊維は、主力のナスロンフィルターは低調に推移しましたが、超精密ガスフィルター(ナスクリーン)が韓国や台湾での半導体メーカーを中心とした設備投資に支えられ堅調に推移したため増収となりました。
これらの結果、売上高は146億94百万円(前年同期比7.2%減)、セグメント利益は10億57百万円(同22.7%減)となりました。
②タイ
ステンレス鋼線の販売数量は増加しましたが、ニッケル価格変動に起因する販売価格の下落や円高の影響などにより、売上高は13億55百万円(同14.9%減)、セグメント利益は43百万円(同64.9%減)となりました。
③中国
中国国内向けの販売が堅調に推移したことなどにより、売上高は1億41百万円(同14.1%増)、セグメント利益は1百万円(前年同期は40百万円の損失)となりました。
なお、上記記載金額には消費税等は含まれておりません。
(2)財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、345億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ67百万円増加いたしました。流動資産は222億17百万円となり、1億59百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金の増加(5億64百万円)などです。固定資産は123億82百万円となり、92百万円減少いたしました。
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は、96億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億31百万円減少いたしました。流動負債は55億50百万円となり、3億63百万円減少いたしました。主な要因は短期借入金の減少(1億90百万円)などです。固定負債は41億29百万円となり、31百万円増加いたしました。
当第2四半期連結会計期間末の純資産合計は、249億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億98百万円増加いたしました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は101億20百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億28百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ6億13百万円増加し16億56百万円の収入となりました。これは、主に運転資金の減少などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより6億41百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ61百万円支出が増加しました。主な要因は、配当金の支払いの増加などによるものです。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2億72百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通しについて、重要な変更はありません。
(7)経営者の問題認識と今後の方針について
中国をはじめとした新興国経済の減速に加え、地政学的リスクの増大や円高の進行等懸念すべき課題は山積しております。また、業界特有の問題として、当社グループの主力製品のステンレス鋼線は、中国や韓国のステンレス鋼線メーカーとの競争激化による収益低下などの懸念があり、加えてニッケル価格に起因する原材料価格の変動リスクなど厳しい環境下に置かれております。また、金属繊維(ナスロン)も化合繊維向けなどの一般汎用製品については競争が激しくなってきております。
当社グループはかかる経営環境に対応するべく、より筋肉質な企業基盤を目指し、既述の『第13次中期計画(SR17)』の課題に鋭意取り組んでおります。
具体的には、ステンレス鋼線部門において、販売面では国内外市場に対し、ばね用材や極細線をはじめとする高機能製品、自動車向け耐熱ボルト用材や高合金線などの独自製品の拡販に加え、新用途製品の立ち上げを推進してまいります。一方、生産面では需要家のグローバル展開に対応して海外2工場の拡張や、枚方工場リニューアルの推進等により、引き続き国内外の最適生産体制の構築を進めてまいります。開発面では当社グループの保有する技術力・ノウハウに大同特殊鋼グループの技術力を結集することによる新製品開発の強化や新規事業の確立などに引き続き取り組んでまいります。
金属繊維部門では、中国・韓国の現地法人の活用等による海外市場への拡販、また、国内でもより高機能化・高精度化する需要に応えるべく技術開発を継続してまいります。
さらには、環境・医療・エネルギー関連など幅広い分野での新製品開発などにも鋭意取り組んでまいります。
以上により、収益の一段の向上を図るとともに、事業のグローバル化推進や高度化・多様化する顧客ニーズへの対応などにより、『さらなる企業価値の向上』を目指してまいります。