有価証券報告書-第195期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/22 14:26
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業績等の概要

(1) 業績
当期の世界経済は、新興国で景気の減速があったものの、米国の好況に牽引され、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。わが国の経済は、企業収益が高水準で推移するとともに、各企業の景気見通しが改善したことを背景に、設備投資が増加基調を維持し、加えて雇用・所得の改善が続くなど、堅調に景気が拡大しました。
このような環境の下、当社グループでは、中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」に基づき、重点領域であるインフラ(情報通信、エネルギー)/自動車分野の強化に取り組んでまいりました。インフラ関連では、情報通信分野において、光ファイバ・ケーブル製造設備をはじめとして設備投資を積極的に行ったほか、エネルギー分野においては、㈱ビスキャスより地中および海底送電線の国内事業を譲り受け、国内外の電力ケーブルの製造・販売ならびに敷設を一体的に運営する体制を構築しました。自動車分野では、自動車軽量化に貢献する自動車用アルミワイヤハーネスおよびアルミ防食端子の採用車種拡大や、日本企業では初となる先進運転支援システム向けレーダの量産化など、新製品の受注に努めてまいりました。
当期の業績につきましては、円高や銅地金価格下落の影響によりグループ全体の売上高は減少しましたが、情報通信量の増大や半導体市場の伸長を背景として、情報通信ソリューション事業やAT・機能樹脂製品事業が好調であり、自動車部品事業における海外拠点の生産効率改善や銅箔事業の構造改革の効果も順調に現れました。
これらの結果、連結売上高は8,433億円(前期比3.6%減)、連結営業利益は386億円(前期比42.4%増)となりました。また、円高による為替差損がありましたが、連結経常利益は360億円(前期比92.5%増)となりました。さらに、固定資産処分益41億円および㈱ビスキャスからの事業譲受による負ののれん発生益53億円などを特別利益に、持分法適用の関連会社である㈱UACJの公募増資に伴う持分変動損失17億円、環境対策引当金繰入額13億円、当社子会社製自動車部品を組み込んだ製品における市場回収措置(リコール)に関連した製品補償引当金繰入額131億円などを特別損失として計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は176億円(前期比75.6%増)となりました。なお、海外売上高は3,900億円(前期比3.8%減)で、海外売上高比率は46.2%(前期比同水準)となりました。
単独の業績につきましては、売上高は3,988億円(前期比同水準)、営業利益は62億円(前期比13.6%増)、経常利益は212億円(前期比73.8%増)、当期純利益は109億円(前期比164億円改善)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、当社は、当連結会計年度を初年度とする新中期経営計画の戦略に基づき、平成28年4月1日付で組織改正を実施いたしました。これに伴い、報告セグメントを「インフラ」、「電装エレクトロニクス」、「機能製品」及び「サービス・開発等」の4つの区分に変更しております。
以下の前年同期比較の数値については、前連結会計年度の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値との比較となっております。
[インフラ]
当セグメントでは、主に情報通信、電力ケーブル等のインフラマーケット向け製品の事業を行なっております。
情報通信ソリューション事業では、欧米や中国を中心に光ファイバ・ケーブル需要が旺盛であり、これらを背景に価格水準が好転したほか、高付加価値品である海底ケーブル用低伝送損失光ファイバの売上が増加しました。また、デジタルコヒーレント関連製品の販売も堅調に推移しました。エネルギーインフラ事業では、 ㈱ビスキャスからの事業譲受により売上が増加した一方、一時的な業務統合費用の発生や、国内電力事業者向け送配電部品の需要低下が利益を圧迫しました。
これらの結果、当セグメントの連結売上高は2,638億円(前期比4.4%増)、連結営業利益は143億円(前期比85.8%増)となりました。また、単独売上高は755億円(前期比18.4%増)となりました。
情報通信ソリューション事業では、本年4月に、NTTエレクトロニクス㈱との合弁により、光半導体デバイスの製造会社(当社出資比率60%)および平面光波回路製品の製造会社(当社出資比率20%)をそれぞれ設立しました。各々の特徴ある技術を組み合わせるとともに互いの経営資源を効率的に配分し、光部品の需要増に対応できる生産体制の構築および収益力の強化を図ります。
エネルギーインフラ事業では、昨年10月に、㈱ビスキャスから地中および海底送電線事業の国内部門を譲り受けました。一昨年4月に譲り受けた海外部門と一体的に運営することで、超高圧電力事業の案件受注活動を国内外で加速してまいります。
[電装エレクトロニクス]
当セグメントでは、主に自動車部品、電池、銅線、巻線、銅条や銅管などの伸銅品等の電装エレクトロニクスマーケット向け製品の事業を行なっております。
銅条・高機能材事業において、伸銅品の販売数量が平成26年に発生した日光事業所での雪害以前の水準まで回復したものの、銅地金価格下落の影響により売上高が減少したほか、一部製品について開発費用の一時的な増加もありました。自動車部品事業では、国内向けワイヤハーネスの販売が低調であったものの、前年度から取り組んできたメキシコ製造拠点などの生産効率改善活動の効果が現れてまいりました。
これらの結果、当セグメントの連結売上高は4,555億円(前期比7.3%減)、連結営業利益は128億円(前期比22.2%増)となりました。また、単独売上高は2,611億円(前期比3.6%減)となりました。
自動車部品事業では、中国およびタイにおける設計・営業を行う統括会社により、中国・ASEANでの売上拡大を推進するほか、各地域でのワイヤハーネス生産体制の最適化を進め、収益性の向上に努めてまいります。
巻線事業において、本年3月にSuperior Essex Inc.(米国)グループとの合弁により、自動車の駆動モーターなどに用いられる耐高電圧の平角巻線の製造・販売会社(当社出資比率49%)を、ドイツに設立しました。同製品を需要地で製造・販売できる体制を構築し、欧州のEV・PHV車向け巻線市場へ参入していきます。
[機能製品]
当セグメントでは、主に機能樹脂、放熱用部品、アルミ基板材、電解銅箔等の機能製品の事業を行なっております。
AT・機能樹脂製品事業において半導体製造用テープの販売増があったほか、銅箔事業における需要増や台湾への製造移管などによる構造改革効果、高周波用箔など高付加価値品の売上増がありました。一方、サーマル・電子部品事業においては、パソコン用放熱製品などの需要が低迷しました。
これらの結果、当セグメントの連結売上高は1,315億円(前期比3.5%減)、連結営業利益は117億円(前期比38.1%増)となりました。また、単独売上高は599億円(前期比1.8%減)となりました。
当セグメントでは、発泡製品について、ドイツ子会社のTrocellen GmbHを中心に、欧州・北米において建材および自動車向けの市場開拓を図ってまいります。
[サービス・開発等]
当セグメントでは、主に物流、情報処理・ソフトウェア開発、各種業務受託等による当社グループ各事業のサポート、不動産の賃貸、水力発電、新製品研究開発等を行なっております。
昨年3月に不動産賃貸物件を売却したことによる賃料収入の大幅減少があり、当セグメントの連結売上高は497億円(前期比3.6%減)、連結営業損失は1億円(前期比6億円悪化)となりました。単独売上高は23億円(前期比31.5%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、461億円(前連結会計年度比55億円の減少)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益+280億円、減価償却費+234億円等により
+404億円(前連結会計年度比△12億円)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出△284億円、短期貸付金の増加△80億円等により△364億円(前連結会計年度比△383億円)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の削減等により△104億円(前連結会計年度比+106億円)となりました。