有価証券報告書-第103期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/28 14:56
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【項目】
125項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「少数株主損益調整前当期純利益」、「少数株主利益」及び「当期純利益」をそれぞれ「当期純利益」、「非支配株主に帰属する当期純利益」及び「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(1)重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積もりを必要とします。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度(以下当期という。)末の総資産は、前連結会計年度(以下前期という。)末比127億68百万円増加して、1兆1,506億67百万円となりました。これは、現金及び預金、電子記録債権の増加などによるものです。
純資産は65億58百万円減少して、7,041億89百万円となりました。株式市場の時価下落にともなうその他有価証券評価差額金の減少や、退職給付に係る調整累計額の減少が大きな要因となっております。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの業績は、飲料充填設備や飲料容器などの販売が増加したほか、円安が寄与したことなどにより、売上高は前期比176億86百万円増加して8,020億48百万円となりました。
売上原価が前期比23億50百万円減少したことにより、売上総利益は前期比200億36百万円増加し、1,192億66百万円となりました。これは、売上高増加に加え、グループ全体のコスト削減効果や原油価格の下落にともない原材料・エネルギー価格が前期を下回ったことが大きな要因であります。
営業利益は、前期比172億67百万円増加し、323億47百万円となりました。販売費及び一般管理費が前期比27億69百万円増加したことが要因であり、売上高営業利益率は4.0%となりました。
営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、前期比144億59百万円減少し、56億87百万円の費用となりました。当期は、海外子会社への外貨建て貸付金などの外貨建債権債務にかかる為替差損を計上したことなどにより、営業外収支が悪化いたしました。
以上の結果、経常利益は前期比28億8百万円増加し266億59百万円となり、売上高経常利益率は3.3%となりました。
当期は特別損失として、国内連結子会社における事業構造改革にともない、事業構造改革費用68億42百万円、事業構造改革引当金繰入額13億6百万円を計上致しました。
税金等調整前当期純利益は、経常利益が増加したものの、前期に比べ特別利益が減少したことなどにより、前期比4億95百万円減少して、185億10百万円となりました。
当期の法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合算した税金費用合計は前期比65億2百万円減少して、63億35百万円となりました。これは、海外連結子会社の清算結了にともない課税所得が減少したことなどによるものです。
以上の結果、当期純利益は121億74百万円、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比64億22百万円増加し100億27百万円となり、売上高当期純利益率は1.3%となりました。
なお、セグメント別の売上高及び営業利益の状況につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載しております。
(4)当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が185億10百万円となり、前期比4億95百万円減少しましたが、為替差損益等の非資金項目の計上があったことなどにより、前期比94億7百万円増加し、588億93百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出62億79百万円がありましたが、包装容器関連事業での設備投資を中心とした有形固定資産の取得による支出が前期比172億88百万円減少し358億31百万円となり、456億66百万円の支出にとどまりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額28億40百万円がありましたが、借入金の借入・返済の純額が、136億39百万円の収入となったことから、95億22百万円の収入となりました。
以上の結果、当期の現金及び現金同等物の期末残高は、前期比207億44百万円増加して1,660億26百万円となりました。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載しております。
(6)経営戦略の現状と見通し
当社グループを取り巻く事業環境は、包装容器の国内における市場規模拡大が見込まれないと予想されるなか、お得意先における飲料用ペットボトルの自社製造が拡大するなど、国内の包装容器製造会社の事業環境は厳しさを増しています。
このような事業環境下において、当社グループは、平成25年4月にグループ連携強化を目的として移行した持株会社体制のもと、「容器をコアとして周辺分野へ発展したグローバル企業への成長」をグループが目指す姿として掲げた中長期成長ビジョン「Growing 2022」を設けるとともに、平成25年度から平成27年度までの「東洋製罐グループ第三次中期経営計画」を策定し、実行してまいりましたが、その課題を踏まえ、「Growing 2022」の達成に向けた「成長のための基盤固め」として、以下4点を基本方針とした「東洋製罐グループ第四次中期経営計画」(以下本計画という。)を策定いたしました。
・持株会社体制を活かしたグループ戦略の立案と推進
事業会社単体では立案・判断・推進の出来ない、グループ全体最適、あるいは業界を視野に入れたグループ事業戦略の立案と実行を、持株会社を中心に推進していきます。
・国内包装容器事業を中心とした既存事業構造改革のさらなる推進
グループの事業戦略に沿って、成長市場・縮小市場のそれぞれに見合う適正な生産体制の構築を進めていきます。
・容器をコアとしたバリューチェーンにおける事業領域拡大の具体化
グループ各社に蓄積された技術を融合し、バリューチェーンの上流・下流への事業領域拡大を進めていきます。
・今後の成長投資に備えた資産・財務健全化の推進
本計画においてはROEを目標とする経営指標として挙げ、その向上に取り組んでいきます。ROEの向上には収益改善のほか資産効率向上が不可欠と認識しており、構造改革による収益改善とあわせて、資産及び財務の健全化を改めて図り、資産効率を向上させるとともに、将来の成長投資に備えます。
また、本計画においては「誠実で公正な事業活動を通して、人類の幸福繁栄に貢献しつづける」ことをグループCSR経営のビジョンに掲げ、以下4点をグループ全体の基本戦略として取り組みます。
1点目として、持株会社体制を活かしたグループ経営における戦略的な事業意思決定およびグループ内外との連携・提携をさらに推し進めるとともに、今後の成長投資に備えたグループの資産・財務の健全化を進めます。
2点目として、国内既存事業において、常に新しい価値を創造していくことにより顧客支持の獲得に注力するとともに、グループ内生産体制の合理化・省力化推進と、外部との業務提携等を通じた収益改善をさらに推し進め、持続性のある収益体質の確立を目指します。
3点目として、海外事業において、近年立ち上げた海外子会社の収益安定化を図るとともに、事業別・地域別戦略に基づいた適切な海外投資判断を企画・実行します。
4点目として、設備製造技術と容器生産技術を融合した設備エンジニアリング事業など、当社グループの保有する技術を活用した容器周辺への事業領域拡大を推進するほか、将来に向けて研究開発を進めている、「ライフサイエンス・医療」「電気電子・情報通信・エネルギー」などの分野における新規事業の継続的な育成に取り組み、「Growing 2022」の達成に向けて広く国内外に展開する成長事業の具体化を目指します。
当社グループを取り巻く経営環境は、より一層厳しさを増すことが想定されますが、本計画の諸施策を着実に遂行することで、さらなる成長を目指してまいります。
なお、当社およびホッカンホールディングス株式会社は、平成28年4月25日開催の両社取締役会において、両社の経営統合に関する基本合意書の締結を決議し、同日付で、基本合意書を締結いたしましたが、当該経営統合により見込まれる効果は、本計画には含めておりません。今後、両社の経営統合が実現することとなった際には、必要に応じて本計画の見直しを行います。
(7)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
①主要な資金需要および財源
当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資であります。
また今後、当社グループの新たな収益の源泉となり、企業価値向上に貢献していくとの判断から、新規事業および海外事業につきましては、M&Aも含めた投資の検討を行ってまいります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応していくこととしております。
②資金の流動性
手許の運転資金につきましては、当社及び一部の国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。また、突発的な資金需要に対しては、迅速かつ確実に資金を調達できるようにコミットメントライン契約を締結し、流動性リスクに備えております。
当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
(8)経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 3 対処すべき課題」に記載しております。