有価証券報告書-第124期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/07/31 10:48
【資料】
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【項目】
163項目

対処すべき課題

事業を取り巻く経営環境は、国内においては、海外経済の減速により輸出が弱含む中、新型コロナウイルスの感染拡大による諸活動の自粛要請やインバウンド需要の消滅、サプライチェーンの寸断等により、リーマンショックをも上回るとされる大変厳しい状況にあります。海外においては、欧州経済の停滞、中東地域での紛争状態、米中貿易摩擦の影響が続く中、新型コロナウイルスのパンデミックによる先の見えない展開のもと、世界各都市でのロックダウンやそれに伴う経済状況の低落等の予測しがたい困難な状況にあります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループが経営の基本とするのは住友の事業精神であります。住友の事業精神に掲げられている「信用を重んじ確実を旨とする」「浮利に趨り軽進すべからず」の二点は、時代・景況の如何を問わず、いかなる環境においても事業のあるべき姿を示しております。当社グループは、この精神に則り、着実に事業構造の改革を進め、強固な企業体質を築いてまいります。
当社グループは「顧客価値創造」に徹してお客様の長期的信頼を得ることが、当社グループの持続的な発展と企業価値向上につながり、株主の皆様及び従業員・地域社会の期待に応えることになると考えております。
世界を舞台としてレベルの高い安定的な成長を確実なものとするため、一流商品を継続的にお客様に提供する「組織的知識創造型企業」をめざします。マーケティング、開発、生産効率を強化して、究極の「ものづくり」に取り組んでまいります。
(2) 中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び会社の対処すべき課題
①「中期経営計画2019」総括
2017年度からスタートした「中期経営計画2019」は、中国などの半導体関連投資の増加や堅調な国内景気の中、海外でのM&Aなど成長のための投資を積極的に実施し、最初の2年度は 財務目標を達成いたしましたが、最終年度は欧州景気の停滞及び米中貿易摩擦の影響並びに一部事業部門における台風被害などにより、収益面において財務目標を達成することができませんでした。しかしながら、基本コンセプトである「着実な成長」、「高収益企業体への転換」及び「たゆみなき業務品質改善」のもとで、「組織統合、M&A及び他社との事業提携」等の積極的実施や「CSRの積極推進」を通じてグループ全体の事業拡大を図ることができました。サービス事業強化やグローバルでのグループ内連携の強化による収益力や競争力の強化のほか、新製品の市場投入など、持続的成長のための施策を着実に実行してまいりました。また、各事業の成長のために、2017年にSumitomo SHI FW Energie B.V.、2018年にLafertグループ(Lafert S.p.A.等)、そして2019年にはInvertek Drives Ltd.を子会社化するなど、積極的なM&Aを実施してまいりました。
なお、2018年度に公表いたしました当社及び当社グループにおける製品及びサービスに関する不適切な検査等につきましては、再発防止策を確実に実行し、業務品質の改善及びコンプライアンス最優先の経営方針の再徹底を図り、信頼回復に全力を挙げて取り組んでまいりました。
② 2020年度及び中長期的な課題
当社は、「中期経営計画2019」の成果をさらに発展させるべく次期中期経営計画の策定を行ってまいりましたが、世界各国における新型コロナウイルスの感染拡大及び当社グループの国内外における事業の状況を踏まえ、計画の再検討が必要となりましたので、次期中期経営計画の公表は、2021年5月を目途に延期することといたしました。
当社グループは、2020年度及び中長期的な課題として、以下の施策に取り組んでまいります。
(a) 新型コロナウイルス感染に対する対処
新型コロナウイルス感染拡大への対応として、従業員の安全の確保、社会的要請への最大限の協力、事業基盤の維持の三点を第一に取り組んでまいります。具体的には、役員及び従業員のテレワークや時差通勤などの感染拡大防止措置の継続、強化及び緊急時における必要に応じた業務の停止、お客様や協力会社との関係維持と必要な支援などに取り組んでまいります。
(b) 2020年度の課題
2020年度は、罹患者発生時における生産維持などの短期的なBCP(事業継続計画)の実現、納期を含めたお客様からの要請への対応、受注減少局面での事業維持、操業の確保などに取り組んでまいります。特に、新型コロナウイルス感染拡大の第二波が発生した場合などにおける海外製造拠点等を含めた事業継続体制の確立、機械コンポーネント部門、精密機械部門などにおける需要の反転、拡大時への備えを進めてまいります。
(c) 中長期的な課題
今般の新型コロナウイルス感染拡大による影響は長期化し、市場構造を変化させる可能性があります。影響が長期化すると仮定した場合、中長期的な課題として、市場構造の変化への対応、高収益化、成長への回復シナリオの策定と実行、そして、2020年度後半からは、あらゆる状況の変化に対応できる本質的なBCP(事業継続計画)の策定に取り組んでまいります。これらには、次期中期経営計画の策定も含まれます。
今後、社会や市場の構造が変化しても継続して利益を出し続けるべく経営の質の向上を図り、事業成長への基盤固めを進めてまいります。また、従業員の安全、健康、育成などの基盤となるCSRの取組みに加え、よりよい暮らし、働き方の実現、環境負荷の低減といった価値創造のCSRの取組みも進め、持続的成長につなげてまいります。