四半期報告書-第151期第1四半期(平成27年4月1日-平成27年6月30日)

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2015/08/07 9:33
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間における事業環境は、米国においては景気の回復が続いているものの、ヨーロッパではユーロ圏の政府債務問題などにより、先行きの不透明感が広がりました。アジアでは中国における景気の拡大は緩やかになっており、一部の国では景気の減速が見られました。国内では公共部門の投資の動きは弱い一方で、個人消費や住宅建設、民間部門の設備投資に持ち直しの動きが見られ、全体として景気の緩やかな回復基調は継続しました。
当第1四半期連結累計期間の受注高は、エンジニアリング事業、精密・電子事業の増加により、全体としては前年同期を上回りました。売上高は、風水力事業、精密・電子事業の増加により、全体としては前年同期を上回りました。営業損益は、精密・電子事業で改善したものの、風水力事業の悪化により、全体としては前年同期を下回りました。
当第1四半期連結累計期間における売上高は895億79百万円(前年同期比4.7%増)、営業損失は20億59百万円(前年同期比5億88百万円の悪化)、経常損失は26億35百万円(前年同期比8億57百万円の悪化)、親会社株主に帰属する四半期純損失は24億26百万円(前年同期比5億60百万円の悪化)となりました。
セグメントごとの業績は、以下のとおりです。
(風水力事業)
ポンプ事業では主に海外において、海水取水ポンプや肥料プラント向けポンプなどのほか、中東向けの電力案件のポンプを受注するなど堅調でした。コンプレッサ・タービン事業では、原油安の影響による石油・ガス市場の顧客の発注延期や投資判断先延ばしの状況は依然として継続しています。また、中国の景気減速に伴う市場の減退に加えて新規案件の価格競争の激化の影響も受け、受注は前年同期を下回りました。冷熱事業では、日本国内での需要は回復傾向にあるものの、中国における電力業界の投資が引き続き停滞しています。
当第1四半期連結累計期間における風水力事業の売上高は628億円(前年同期比3.0%増)、セグメント損失は35億77百万円(前年同期比7億72百万円の悪化)となりました。
(エンジニアリング事業)
エンジニアリング事業では、廃棄物処理施設の建設工事(EPC)や、建設から長期的な施設の運営までを含めたDBO方式での発注量は、前期からほぼ同等で推移しています。このような状況の中、前期に入札した新規施設の建設工事2件を受注しました。既存施設の運転及び維持管理(O&M)の発注量は例年通り推移しています。
当第1四半期連結累計期間における同事業の売上高は95億1百万円(前年同期比2.1%減)、セグメント利益は1億59百万円(前年同期比58.9%減)となりました。
(精密・電子事業)
精密・電子事業では、半導体市場において、前期に引き続いてスマートフォンやタブレット型等のモバイル端末に対する需要が市場全体をけん引しました。これを背景にDRAMやNANDフラッシュメモリ等の設備投資が順調な推移を見せており、微細化のための投資も堅調に推移しました。フラットパネルディスプレイや太陽電池、LED等の市場は徐々に回復しています。
当第1四半期連結累計期間における同事業の売上高は168億57百万円(前年同期比16.4%増)、セグメント利益は11億96百万円(前年同期比63.1%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に売上債権の回収が進んだ結果、332億61百万円の収入超過(前年同期比12億45百万円の収入減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出40億52百万円などにより、57億75百万円の支出超過(前年同期比9億11百万円の支出減少)となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、274億86百万円の収入超過(前年同期比3億34百万円の収入減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払38億34百万円などにより、29億96百万円の支出超過(前年同期比4億35百万円の支出増加)となりました。
以上の結果、当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から245億5百万円増加し、1,201億10百万円となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は、15億62百万円です。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループの四半期連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。四半期連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積もりと仮定を行っていますが、それらは四半期連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。このうち、四半期連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象には以下のものがあります。
1.繰延税金資産
2.退職給付債務及び退職給付費用
3.完成工事補償引当金
4.製品保証引当金
5.工事損失引当金
また、当社グループの経営成績に影響を与える可能性のある重要な要因としては以下の事項がありますが、業績に影響を与える要因はこれらに限定されるものではありません。
1.市場環境
2.大型プロジェクト及び海外事業
3.事業再編等
4.為替リスク
5.金利変動及び資金調達に関するリスク
6.災害や社会インフラの障害発生にかかる影響
7.繰延税金資産
8.資材調達
9.法的規制
10.訴訟その他の紛争に関するリスク
11.土地売却費用増加リスク
12.輸出債権回収リスク
13.退職給付債務
セグメントごとの見通しと個別戦略は、以下のとおりです。
(風水力事業)
ポンプ事業では、石油・ガス市場における石油精製プラント向けポンプやLNG液化プラント・LNG受入基地・運搬船で使用されるクライオジェニックポンプなどの需要が引き続き見込まれます。電力市場では、国内における電力自由化に伴うスクラップアンドビルド、東南アジアを中心とした大型石炭火力発電、LNGコンバインド火力発電の活発な建設に伴う需要が続く見通しです。国内建築設備市場においては、ビルなど民間の建築需要は底堅いものの、建設費用の高止まりからマンションの販売価格が高騰しており着工棟数は前年比微増にとどまる見込みです。一方、トップランナーモータ規制に伴う価格改定を本年4月から実施しており、受注額の増加が見込まれます。国内一般産業市場では、円安を背景に輸出が底堅く、前期後半より機械受注のプラスが続いています。企業収益も増加していることから、化学・鉄鋼業界を中心に設備更新等の需要増加が見込まれます。海外における建築設備市場・一般産業市場は、地域により不透明感はあるものの、新興国を中心として需要は堅調に伸びるものと見込まれます。
コンプレッサ・タービン事業では、現状レベルの原油価格が続くとともに世界的な経済成長の停滞感もあり、石油・ガス市場を主とする事業環境は不透明です。世界的に新規案件での厳しい価格競争は続くものの、米国の案件は期待できるため対応を強化していきます。当事業では厳しい市場環境にあっても収益性を重視しつつ受注拡大に向けて注力していきます。
冷熱事業では、中国において停滞していた電力業界でのヒートポンプ需要に緩やかな回復が見込まれます。日本国内と東南アジアをはじめとする海外の需要は堅調に推移するものと見込んでいます。
このような状況において、海外では地域ごとのニーズに合った製品開発の推進と、グローバルな生産・販売体制及びサービス&サポート体制の充実を図ることにより、事業範囲の拡大を進めていきます。また、国内では顧客ニーズに対応した販売・サービス体制の拡充を図ります。
(エンジニアリング事業)
エンジニアリング事業では、公共部門においては、新規施設の建設のみならず、既存施設に対する大規模延命化工事、温暖化ガス排出抑制のための基幹的設備改良工事等、施設更新に関し一定の需要が継続する見込みです。また、地方自治体が施設運営を民間企業に委託する動きが高まっており、運転及び維持管理(O&M)を多年度にわたり包括的に民間企業に委託する長期包括契約化や、建設から長期的な施設の運営までを含めたDBO方式の案件が、今後も増加すると想定されます。また、国のエネルギー政策の見直しに伴い、民間企業における木質バイオマス等を用いた発電施設の計画が今後増加する見込みです。
このような状況において、施設の建設工事(EPC)から運転及び維持管理(O&M)を一貫体制で行う当事業体の利点を活かし、EPCとO&Mそれぞれの技術を結集することにより、公共事業におけるDBOや基幹的設備改良工事、民間企業における発電事業施設など、顧客ニーズに合う提案を積極的に行い受注拡大に努めます。
(精密・電子事業)
精密・電子事業では、半導体市場において、先行きの不透明感は残るものの、今後も引き続きモバイル端末への需要が景気のけん引役として伸び続けていくものと思われます。DRAMやNANDフラッシュメモリの需要は今後も回復していき、微細化や三次元メモリ等の先端投資の動きがますます活発になってくるものと想定されます。また、フラットパネルディスプレイや太陽電池、LED等の市場においてもこのまま設備投資が緩やかに回復していくものと期待されます。
このような状況において、生産革新活動によるリードタイム短縮及び海外生産・海外調達を推進して原価低減を図るとともに、顧客に密着したサービス&サポート体制を強化することで安定的な収益構造の実現を目指します。また、更なる微細化・新デバイス用・三次元実装用・大口径化などの顧客ニーズに対応した開発を継続していき、事業の拡大を図ります。
(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資本の財源
当社グループは、当第1四半期連結会計期間末において1,227億48百万円の有利子負債残高があります。財政基盤の強化については、収益力及び資産効率の向上によることを基本としています。
② 資金の流動性管理
資金の流動性については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしています。また、金融上のリスクに対応するため主要取引銀行とコミットメントライン契約等を締結することで手許流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を運用しています。
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は1,201億10百万円であり、金融機関との間で当座貸越契約50億円、コミットメントライン450億円の契約を締結しています。これら契約に基づく当座貸越極度額及びコミットメントラインの総額500億円に対し、当第1四半期連結会計期間末の借入実行残高はありません。