四半期報告書-第151期第3四半期(平成27年10月1日-平成27年12月31日)

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2016/02/10 10:24
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38項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間における事業環境は、米国においては景気の回復が続いており、ヨーロッパでも景気は緩やかに回復しています。中国をはじめとするアジア新興国等の景気の減速などによる先行き不透明感は継続しました。国内では、公共部門の投資が緩やかに減少しているものの、個人消費は底堅く、住宅建設や民間部門の設備投資もおおむね横ばいとなっており、全体としては景気の緩やかな回復基調は継続しました。
当第3四半期連結累計期間の受注高は、精密・電子事業で増加したものの、エンジニアリング事業と風水力事業の減少により、全体としては前年同期を下回りました。売上高は、精密・電子事業とエンジニアリング事業の増加により前年同期を上回りました。営業利益は3事業いずれも増益となりました。
当第3四半期連結累計期間における売上高は3,247億39百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益は155億14百万円(前年同期比61.2%増)、経常利益は139億19百万円(前年同期比27.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は73億9百万円(前年同期比43.6%増)となりました。
セグメントごとの業績は、以下のとおりです。
(風水力事業)
ポンプ事業では、海外において、中東や東南アジアでの石油・ガス向け新規プロジェクトに縮小傾向が継続していますが、東南アジア向けの電力プロジェクト、石油化学プラント及び肥料プラント向け案件を受注するなど堅調に推移しました。国内民間部門においては、建築着工棟数が前年並みに推移する中、受注も前年並みで推移しました。公共部門では、社会インフラの更新・補修に対する投資が前年同期並みに推移している中で、大型ポンプ場の新設案件を獲得したことなどを受け、受注は前年同期を上回りました。
コンプレッサ・タービン事業では、原油安の影響による石油・ガス市場での顧客の発注延期や投資判断先延ばしの状況が依然として継続していることに加え、中国の景気減速に伴う市場縮小や、新規案件の価格競争激化の影響により、受注は前年同期を下回りました。このような中、新規大型案件として北米の石油化学プラント向け案件や韓国の石油精製案件等を受注しました。また、強みである包括的なサービス&サポート提供能力を生かし、中東の石油化学プラント向け包括サービス案件や、中東の石油精製プラント向けサービス部品の大型案件を受注しました。
冷熱事業では、中国における市場全体の成長鈍化により競争激化が継続したものの、日本国内での需要は回復傾向にあり、事業全体の受注は前年同期を上回りました。こうした中、グローバルに重点地域を中心に冷凍機の市場開拓を進めた結果、中東で産業用途の大型案件などを受注しました。
当第3四半期連結累計期間における風水力事業の売上高は2,143億83百万円(前年同期比2.1%減)、セグメント利益は29億10百万円(前年同期比5.5%増)となりました。
(エンジニアリング事業)
エンジニアリング事業では、廃棄物処理施設の建設工事(EPC)や、施設の建設から長期的な運営までを含めたDBO方式での発注量は、発注スケジュールの延期等により前期をやや下回っています。既存施設の運転維持管理(O&M)の発注量については例年通り推移しています。また、地方自治体において、施設運営を民間企業に委託する動きが高まり、O&Mを単年度から多年度にわたる包括的な委託(長期包括)に移行する動きが進んでいます。このよ
うな状況の中、当該年度において、新規施設の建設工事2件、既存施設の基幹的設備改良工事1件を第2四半期までに受注しました。第3四半期において、長期包括3件(合計 約200億円)の優先交渉権を取得し、現在、正式契約締結に向けて協議を行っています。
当第3四半期連結累計期間におけるエンジニアリング事業の売上高は447億23百万円(前年同期比10.9%増)、セグメント利益は34億38百万円(前年同期比12.6%増)となりました。
(精密・電子事業)
精密・電子事業では、半導体市場において、これまで市場を牽引していたスマートフォン等のモバイル端末の成長鈍化などにより一部の顧客で先端投資の抑制傾向がみられましたが、一方でNANDフラッシュメモリを中心とした設備投資は堅調に推移しました。フラットパネルディスプレイや太陽電池、LED等の市場は中国市場を中心に徐々に回復しています。
当第3四半期連結累計期間における精密・電子事業の売上高は643億79百万円(前年同期比33.1%増)、セグメント利益は87億44百万円(前年同期比170.8%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に売上債権の回収が進んだ結果、161億39百万円の収入超過(前年同期比96億25百万円の収入増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出90億4百万円などの結果、116億94百万円の支出超過(前年同期比5億55百万円の支出増加)となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、44億45百万円の収入超過(前年同期比90億70百万円の収入増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払66億23百万円や長期借入金を純額で24億27百万円返済したことなどにより、80億45百万円の支出超過(前年同期比20億14百万円の支出減少)となりました。
以上の結果、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から45億18百万円減少し、910億85百万円となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は、54億72百万円です。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において新たに確定した重要な設備の新設の計画は、以下のとおりです。
会社名事業所名
(所在地)
セグメント
の名称
設備の内容投資予定金額
(百万円)
資金調達方法着手年月完了予定年月
提出会社熊本事業所
(熊本県玉名郡)
精密・電子事業半導体製造装置等の生産設備等6,800自己資金等平成28年3月平成28年11月

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループの四半期連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。四半期連結財務諸表の作成にあたり、四半期末時点の状況をもとに、種々の見積もりと仮定を行っていますが、それらは四半期連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。このうち、四半期連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象には以下のものがあります。
1.繰延税金資産
2.退職給付債務及び退職給付費用
3.完成工事補償引当金
4.製品保証引当金
5.工事損失引当金
また、当社グループの経営成績に影響を与える可能性のある重要な要因としては以下の事項がありますが、業績に影響を与える要因はこれらに限定されるものではありません。
1.市場環境
2.大型プロジェクト及び海外事業
3.事業再編等
4.為替リスク
5.金利変動及び資金調達に関するリスク
6.災害や社会インフラの障害発生にかかる影響
7.繰延税金資産
8.資材調達
9.法的規制
10.訴訟その他の紛争に関するリスク
11.土地売却費用増加リスク
12.輸出債権回収リスク
13.退職給付債務
セグメントごとの見通しと個別戦略は、以下のとおりです。
(風水力事業)
ポンプ事業では、原油価格のさらなる低迷や中東情勢の混乱により顧客の設備投資動向は弱含んでいますが、比較的経済状況の良い米国や東南アジアなどの電力、石油化学、肥料、水インフラ関連の需要は堅調に推移するものと見込まれます。顧客の投資動向が不透明な中国や中東においては、継続されるプロジェクトについて受注活動を強化していきます。国内建築設備市場においては、東京五輪関連などで東京都心のビル建設は好調に推移するものの、建設費用の高止まりによる販売価格上昇の影響でマンション建設は減少していることから、全体の着工棟数は前年比微増にとどまる見込みです。一方で4月から導入されたトップランナーモータ規制対応、省エネ・信頼性向上・高機能化を目的とした新製品の投入により、受注は前年比微増となる見込みです。また国内一般産業市場では、設備の修繕・効率化・老朽化対策など更新需要が底堅く推移すると見込んでいます。海外における建築設備市場・一般産業市場は、アジア新興国では不透明感はあるものの、欧州や米国を中心に全体として需要は堅調に伸びるものと見込まれます。
コンプレッサ・タービン事業では、現状レベルの原油価格が長期化するとの見通しが強いことや、中東情勢の不安定化、世界的な経済成長の停滞感により、石油・ガス市場の事業環境は不透明であり、厳しい競争が継続することが想定されます。このような状況において、来年度に向けて米国、中国、ロシアなどで石油化学、石油精製及びLNG関連の大型案件が具体化する見込みであり、受注獲得に注力していきます。
冷熱事業では、日本国内と東南アジアをはじめとする海外の需要は堅調に推移するものと見込んでいます。一方で中国市場は成長が鈍化しており、先行きが不透明な状態が続くと見込まれます。
このような状況において、海外では地域ごとのニーズに合った製品開発の推進と、グローバルな生産・販売体制及びサービス&サポート体制の充実を図ることにより、事業範囲の拡大を進めていきます。また、国内では顧客ニーズに対応した販売・サービス体制の拡充を図ります。
(エンジニアリング事業)
エンジニアリング事業では、公共部門においては、新規施設の建設のみならず、既存施設に対する大規模延命化工事、温暖化ガス排出抑制のための基幹的設備改良工事等、施設更新に関し一定の需要が継続する見込みです。また、地方自治体が施設運営を民間企業に委託する動きが高まっており、運転及び維持管理(O&M)を多年度にわたり包括的に民間企業に委託する長期包括契約化や、建設から長期的な施設の運営までを含めたDBO方式の案件が、今後も増加すると想定されます。また、国のエネルギー政策の見直しに伴い、民間企業における木質バイオマス等を用いた発電施設の計画が今後増加する見込みです。
このような状況において、施設の建設工事(EPC)から運転及び維持管理(O&M)を一貫体制で行う当事業体の利点を生かし、EPCとO&Mそれぞれの技術を結集することにより、公共事業におけるDBOや基幹的設備改良工事、民間企業における発電事業施設など、顧客ニーズに合う提案を積極的に行い受注拡大に努めます。
(精密・電子事業)
精密・電子事業では、半導体市場において、PC需要の低迷が依然として続くものの、スマートフォン等のモバイル端末需要は来年度後半に向けて回復していくなかで、今期中にも大手顧客の先端投資が再開される見込みです。またNANDフラッシュメモリの量産投資についてもさらに増え、フラットパネルディスプレイや太陽電池、LED等の市場の好況も続いていくと見込まれます。
このような状況において、生産革新活動によるリードタイム短縮及び海外生産・海外調達を推進して原価低減を図るとともに、顧客に密着したサービス&サポート体制を強化することで安定的な収益構造の実現を目指します。また、更なる微細化・新デバイス用・三次元実装用・大口径化などの顧客ニーズに対応した開発を継続していき、事業の拡大を図ります。
(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資本の財源
当社グループは、当第3四半期連結会計期間末において1,223億5百万円の有利子負債残高があります。財政基盤の強化については収益力及び資産効率の向上によることを基本としています。
② 資金の流動性管理
資金の流動性については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしています。また、金融上のリスクに対応するため主要取引銀行とコミットメントライン契約等を締結することで手許流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を運用しています。
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は910億85百万円であり、金融機関との間で当座貸越契約50億円、コミットメントライン450億円の契約を締結しています。これら契約に基づく当座貸越極度額及びコミットメントラインの総額500億円に対し、当第3四半期連結会計期間末の借入実行残高はありません。