有価証券報告書-第58期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/29 9:23
【資料】
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【項目】
142項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、レオロジー(流動学)の応用工学に基づく独自の開発技術により、常に進歩的な新技術の開発を行い、食文化の継承と発展を通じて、「存在理由のある企業たらん」を社是として、人類繁栄に貢献することを経営の基本理念としています。また、当社グループを取り巻く社会とすべてのステークホルダーの信頼と期待に応え、食品工業界におけるパイオニア的役割を果たすとともに、研究開発メーカーとしての使命を遂行してまいります。
世界経済は、米中貿易摩擦や地政学リスクの高まり、新型コロナウイルスが及ぼす影響への懸念から、不透明感が急速に高まっております。当社グループを取り巻く外部環境も新型コロナウイルスの感染拡大の状況が収束する見通しが不明であり、当該影響が将来の財政状態および経営成績に与える影響は不透明であることから、長期に亘り収束しない場合は当社業績に悪影響を及ぼす可能性があります。決して予断を許さない状況ではありますが、安定収益の確保および更なる企業価値の向上に向けて、安定的かつ健全な財務運営を行うことを基本に、2020年度も引き続き、中期経営計画に掲げた4つの重点施策(①生産(開発)体制の強化、②販売体制の強化、③人材育成、④業務環境整備)に取り組み、「営業利益率11%以上、ROE10%、配当性向30%」の維持を目指します。
<4つの重点施策>①生産(開発)体制の強化
食品加工機械に求めるニーズは、国や地域により多様化しております。そのため、機械の用途も多種多様化しており、いかに「品質・納期・コストの管理」を徹底できるかが重要なポイントとなります。そこで更なる収益基盤の強化および標準化への技術力向上を図るため、2019年度は、設計の体質改善に努め、お客様に対して魅力的な販売商品を充実させるための顧客要望事項(VOC)を調査し、機械性能とコストバランスを図ってきました。その結果、欧米向け「ツインデバイダーVX222」と国内向け「ツインデバイダーVX221」の2機種の標準化が完成いたしました。生産部門では、新たに生産設備を導入することでコストダウンと生産効率向上を図ってきました。2020年度も、組立システムの見直しをし、モジュール設計を基軸とした機種開発を進めていくことにより、コスト競争力と機械性能を高めていきます。
食品製造販売事業のオレンジベーカリーに関しましては、2019年度において第3工場の拡張を行い、北米の東部地区の新規顧客増加を目指しました。2020年度も継続して新規顧客の獲得に努めます。また、北米では、人件費の高騰に伴う労働力確保が課題となっている状況を踏まえ、顧客であるベーカリーの利便性を向上させるために「ホイロ後冷凍パン」の品揃え拡大を図っていきます。
②販売体制の強化
当社の成長には海外での市場拡大が欠かせません。そのため、グローバル活動体制の整備が必要となります。2019年度は、海外販売網を強化する一環として「見せて売る」ことに注力し、代理店との技術交流を促してきました。また、国内では顧客管理の電子データ化による一元化や、製品別販売体制の一部見直しによる担当外標準製品の提案販売力強化を図るなどして営業効率の改善に努めてきました。2020年度は、新型コロナウイルスの影響もあり、国内でのインバウンド需要の半減や海外でも大きな制限を受ける厳しい状況と予想され、より一層、社会課題の解決や環境変化の対応(食品ロス・HACCP・賞味期限等)を踏まえた提案力が必要となります。そのためお客様の要望するシステムを周辺装置やオプションを含めてトータルコーディネートし、効率的な生産ラインとしてご提案する「ターンキー提案」を充実させることでエンジニアリング事業を更に強化してまいります。アジアにおいては、継続して代理店強化(質的向上)を掲げ社内組織の連携を密にし、販売およびブランド力強化を図っていきます。
③人材育成
人材は企業の重要な資産であると捉えています。持続的に成長を維持するためには、この中期経営計画の5年間で人材育成の基盤をさらに強化していかなければなりません。2019年度は、次世代経営者の育成や各部署内の方針管理(活動計画)の進捗状況を見える化することにより社員の自覚育成を図ってきました。また、女性の活躍の場を広げるためにも海外派遣も含めた人事交流を促し幅広い知識や経験の蓄積にも努めてきました。2020年度は、2019年度の活動を継続するとともに、長期的視野に立って「若い世代の教育プログラムの構築および実行」を推進していきます。
④業務環境整備
2019年度は、2つの大きなプロジェクトを推進してきました。1つ目は、基幹システムの刷新であります。中期経営計画で掲げている4つの重点施策を実現するにあたり、各領域における業務の効率化や生産性の向上、人材育成等を進める必要があります。このために、まずはプロセス・データを標準化したビジネス基盤の構築が不可欠と考え基幹システムを見直しました。全社業務を統合化し、データを一元管理し、情報を共有化することで、業務の効率化、迅速化を図り顧客サービスレベルを向上いたします。また、このシステムは、経営意思決定に重要な役割を担うと考えております。
2つ目は、新社屋(レオン・ソリューションセンター)の建設であります。当社は、提案型企業です。そのために、当社の機械でどのような食品が生産できるか、お客様(生産者)の売上を伸ばすためにはどのような食品が必要か、など日々研究しています。これが当社機械を販売する上で大きな強みとなっています。そのため「レオン・ソリューションセンター」は、地震災害防止やセキュリティ強化を図るなど、経営基盤を揺るがす大きなリスク回避としてのリニューアルだけでなく、「来客テスト」「食品開発」「講習会」などができる研究施設の充実を図り、より一層お客様の課題解決に対応できる施設となります。また、ペーパーレス化をはじめとする業務効率の向上も目指しております。
基幹システムは2020年夏頃より稼働を予定しております。レオン・ソリューションセンターは順調に建設が進んでおり、2020年9月頃に建屋が完成し、2021年2月頃には外構を含めすべての作業が完了する予定です。2020年度は、新たな環境での業務がスタートします。社員の意識改革を図るとともに、業務オペレーションの定着化など運用環境の整備に注力してまいります。