有価証券報告書-第72期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/20 15:00
【資料】
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【項目】
156項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)外部環境にかかわるリスク
① 国内事業について
当社グループは、バーコード、2次元コード、RFIDなどの自動認識技術を媒体としてメカトロ製品、サプライ製品、ソフト技術等を総合的に組み合わせ、お客様に最適なソリューションを提供する事業を展開しております。流通小売分野だけでなく、製造、運輸、ヘルスケア、食品加工等様々な業界において、サプライ製品を中心とした事業を展開することにより、景気動向の影響を受けにくい体質を有しているものの、ソリューション営業に必要な付加価値としてのノウハウの蓄積や販売ツールの作成のために販売費及び一般管理費(以下、販管費)の割合が高いことから、広範且つ深刻な経済変動により、売上高が急減した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
② 海外事業について
当社グループは、米州、欧州、アジア・オセアニア等の各地域において、複数の製造及び販売子会社を有しております。これらの海外市場への事業進出には以下のようなリスクが内在しております。
・予期しない法律規制の変更
・予期しない政治又は経済要因の発生
・不利な影響を及ぼす税制または税率の変更
・テロ、戦争、自然災害、伝染病、その他の要因による社会的混乱等
これらの事象が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
補足事項:
2022年2月24日に発生したロシアによるウクライナ侵攻を受けて、当社グループではロシア向け取引及び同国内における事業に関しての対応方針及び業績見込みについて検討し、同3月15日に当面の対応方針として、欧州販売子会社よりのロシア向け取引は停止、子会社を通じての同国内事業は状況を引き続き注視し、あらゆる選択肢を排除せず、今後の対応について引き続き検討することを開示いたしました。なお、刻一刻と情勢の緊迫感が増す中で先行きの不透明感が非常に強い状況であることから、2023年3月期の業績計画、及び以降の経営計画にロシア事業は含めておりません。今後の情勢変化に伴い、当社グループ業績に大きな影響が見込まれる場合は、速やかに開示してまいります。
③ サプライチェーンについて
当社グループは、多数の外部取引先から原材料、部品等を調達しておりますが、これらが何らかの理由により当社グループが計画していた数量や価格で入手できず、コストダウンや製品価格への転嫁が十分にできない場合や、サプライチェーンの寸断によりお客さまへの供給責任が果たせなくなった場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
補足事項:
2022年3月期において、サプライチェーン混乱等に起因したプリンタ部材の調達難、ラベル原材料価格の高騰、船便から空輸への変更による輸送コストの上昇等に伴い、期初想定外の連結営業利益へのネガティブ・インパクトが約3,000百万円発生しました。当社グループでは、コスト増加分の製品販売価格への転嫁を海外・国内において進め、また販管費の効率執行を推進し、ネットでのネガティブ・インパクトを約1,000百万円まで抑制しました。
今後もサプライチェーン混乱の収束には時間を要すると見ていますが、当社グループではお客さまへの供給責任を果たすために追加で発生したコストの価格転嫁や更なるコストダウン、販管費の効率執行を推進し、当社グループの経営成績及び財務状況等への影響を極力軽減すべく取り組んでまいります。
④ 為替変動の影響について
当社グループは、世界各国で生産、販売活動に取り組んでおり、当社と海外子会社間の取引も複数の外貨建てで行っているため、今後著しい為替変動があった場合には、当社グループの製品の競争力、収益性など業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
⑤ パンデミックについて
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大により、当社グループでも一部国・市場においてロックダウンによる売上の減少やプリンタ工場の稼働率低下等の影響を受けました。当社グループでは、従業員及びご家族の健康と安全を第一に考えつつ事業活動の継続と収益の回復に努めてまいりました。しかしながら同感染症は未だ収束時期の見通しが立っておらず、今後、更に感染が拡大、または深刻化、長期化した場合は当社グループの業績及び経営に更なる影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 気候変動の影響について
当社グループは、気候変動が社会全体に与える影響の大きさを認識するとともに、この問題への対応を重要な経営課題の一つと捉え、金融安定理事会が設立した「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」の提言に対して2021年に賛同を表明し、提言を踏まえた気候変動への対応に努めています。当社グループでは、パリ協定努力目標の1.5℃シナリオ、及び気候変動対策・規制等が進まない4.0℃シナリオに基づき、中長期(2030年、2050年)のお客さまの業界、及び当社グループが所属する自動認識ソリューション業界の世界観を描き、当社グループへの影響を考察しています。
何れのシナリオにおいても、原材料コストの増加(排出規制や電化推進に伴う希少資源等の需要増、循環型材料の採用、森林資源の枯渇等に起因するコスト増加)が当社グループの事業及び財務へのインパクトが大きいと想定されます。また、4.0℃シナリオにおいては、物理的リスク対応費用(異常気象や自然災害の影響による設備の復旧コスト、渇水による水資源のコスト等の増加)によるインパクトが大きいと想定されます。
当社グループでは、想定されるリスクに対して対応策の検討・導入を進めるとともに、環境配慮型商品及びソリューションの開発をはじめとする気候変動に伴うビジネス機会への対応も並行して進めることにより、当社グループとしてのレジリエンスの向上に努めてまいります。
(2)事業運営にかかわるリスク
① 知的財産権について
当社グループは、知的財産権に関するトラブル回避を目的とした調査や交渉を行い、さらに知的財産権の取得を積極的に進めております。現時点で当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているケースはありませんが、将来的には訴訟等に巻き込まれるリスクがあります。こうした訴訟により当社グループが不利な状況に陥った場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
② 棚卸資産の廃棄、評価損について
当社グループは、製品や部品の品質・環境基準や在庫管理には充分留意しておりますが、市場動向、技術革新、製品のライフサイクル等の急激な変化により、製品及び仕掛品の評価を見直しする必要性が発生して、棚卸資産の廃棄ならびに評価損の計上等を実施した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きく影響を及ぼす可能性があります。
③ コンプライアンスについて
当社グループは企業理念の徹底を図ると共に、取締役会において決議された「内部統制システムの基本方針」に基づき業務の適正を確保するための体制を整備し運用しております。また役員・社員への教育啓発活動を随時実施し、企業倫理の向上及び法令遵守の強化に努めています。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 情報セキュリティについて
当社グループは業務の一環として、個人情報や機密情報を取り扱うことがあります。これらの情報について、サイバー攻撃等による情報セキュリティ事故が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い、法的罰則等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 商品・ソリューションの品質について
当社グループは、優れた製品・サービスでお客さまの新たな価値を創造し、より豊かで持続可能な世界社会の発展に貢献することを使命とし、自社製品の設計、部材調達、製造から製品検査・出荷に至るまで全ての関係部門が製品品質及び安全性の検証体制を構築しています。また、お客さまへの保守サービス提供を通じて、ご使用中の製品の品質と安全に係る大きな不具合発生の未然防止に努めています。しかしながら、コト売り(商品の単品売りではなくハードウェアやサプライ、保守サービス、ソフトウェア等を組み合わせたソリューションを提案する売り方)の浸透・進化を通じて、他社製品の仕入れや個別開発ソフトウェアの増加・高度化等に伴い、商品・ソリューションの品質や安全性に対して不確実性が増しており、想定外の品質問題の発生も起こり得ます。こうした場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。