訂正有価証券報告書-第46期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2017/06/15 15:31
【資料】
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【項目】
133項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、見積りや仮定によることが必要になります。経営者は、過去の実績や状況及び現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点でもっとも合理的と考えられる見積りや仮定を継続的に採用しております。当社グループが採用しております会計方針のうち、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「重要な会計方針」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策などを背景として、企業収益や雇用情勢の改善により景気は緩やかな回復基調となりましたが、円安に伴う輸入原材料の上昇、新興国経済の成長鈍化等の影響による景気の下振れが懸念される状況となりました。
当社グループの業績に影響を及ぼす半導体業界は、Semiconductor Equipment and Materials International(SEMI)が発表した2014年の半導体製造装置販売額は、台湾を除く全地域で増加し前年比18%増の375億ドルとなりました。また、液晶関連企業はスマートフォン、タブレット向け中小型パネルの価格低下や需要の減速、液晶テレビのパネル価格低迷等から投資が一段落した状況となりました。
このような状況下、当社グループは国内におきましては、製薬関連企業など従来の当社グループ主力販売先である半導体・液晶関連企業以外の業界向けの販売を引き続き強化する一方、海外におきましては韓国、台湾、中国及びアメリカを中心に半導体・液晶関連企業への超純水製造装置販売に注力し、顧客ニーズの的確な把握と提案を行うことにより差別化を図るとともに、平成25年12月に参画した中国貴州省の浄水並びに汚水処理事業の第1期工事に着手し、平成27年度からの事業開始に向けた取り組みを進めてまいりました。
この結果、水処理装置につきましては、国内の製薬関連企業や韓国の半導体・液晶関連企業から受注した超純水製造装置、並びに台湾の液晶関連企業から受注した廃水回収装置の工事等が進捗いたしましたが、大型案件の一巡と工事開始の遅れ、顧客の投資計画縮小による受注金額の減額等により、売上高は52億6千2百万円(前期比40.3%減)となりました。一方、メンテナンス及び消耗品につきましては、韓国、台湾、中国で受注が増加したこと等により、売上高は59億7千5百万円(同9.8%増)となり、その他の事業はPVDF配管材等の受注により、売上高は8億7千3百万円(同19.1%増)となりました。
利益面につきましては、低採算の工事案件が一巡したことにより売上総利益率が前期比5.3ポイント改善いたしましたが、減収の影響及び販管費の増加等により営業損失となり、為替相場が円安基調で推移したことにより、為替差益2億8千8百万円を含む3億4千2百万円を営業外収益に計上いたしましたが、経常損失となりました。
また、研究所建設用地の減損損失9千5百万円、並びに隣接地の賃貸借契約解約に伴う権利金の未返還部分等6千2百万円、当社が納入した消耗品に関連して発生した不具合に関わる損害賠償金9千9百万円を特別損失に計上いたしました。加えて、当連結会計年度及び今後の業績動向を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討を行った結果、繰延税金資産の一部を取り崩し、法人税等調整額に4億5千1百万円を計上いたしました。
以上の結果、売上高は121億1千1百万円(前期比19.2%減)、営業損失は5億4千9百万円(前期は6億8千6百万円の営業損失)、経常損失は2億5千7百万円(前期は3億6千3百万円の経常損失)、当期純損失は9億8千3百万円(前期は4億4百万円の当期純損失)となりました。
(3)当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比8.8%減の142億7千9百万円、自己資本比率は50.0%となっております。
① 流動資産
当連結会計年度末の流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ10億5千7百万円減少の101億4千5百万円(前期比9.4%減)となりました。主な要因は、現金及び預金の増加7億2千8百万円となった一方で、受取手形及び売掛金の減少13億5千5百万円、流動資産のその他の減少2億4千7百万円等によるものであります。
当連結会計年度末の流動資産の主な内訳は、現金及び預金45億1千7百万円、受取手形及び売掛金40億7千6百万円、仕掛品5億9千9百万円等であります。
② 固定資産
当連結会計年度末の固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ3億2千4百万円減少の41億3千3百万円(同7.3%減)となりました。主な要因は、建設仮勘定の取得による増加5億7千6百万円となった一方で、土地の減少3億6千3百万円、繰延税金資産の減少3億4千7百万円等によるものであります。
当連結会計年度末の固定資産の主な内訳は、建物及び構築物5億1千3百万円、機械装置及び運搬具5億8千3百万円、土地10億7千7百万円、建設仮勘定5億7千6百万円等であります。
③ 流動負債
当連結会計年度末の流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ10億6百万円減少の65億4千8百万円(同13.3%減)となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金の減少9億1千7百万円、短期借入金の減少1億2千6百万円等によるものであります。
当連結会計年度末の流動負債の主な内訳は、支払手形及び買掛金13億8千3百万円、短期借入金36億6千9百万円等であります。
④ 固定負債
当連結会計年度末の固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ1億6千9百万円増加の5億2千2百万円(同47.9%増)となりました。主な要因は、繰延税金負債の増加7千1百万円、損害賠償引当金の増加6千8百万円等によるものであります。
当連結会計年度末の固定負債の主な内訳は、長期未払金1億4千6百万円、役員退職慰労引当金1億4千8百万円等であります。
⑤ 純資産
当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ5億4千4百万円減少の72億8百万円(同7.0%減)となりました。主な要因は、為替換算調整勘定の増加4億4千6百万円、利益剰余金の減少10億5千1百万円等によるものであります。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、主要顧客企業である半導体及び液晶関連産業の設備投資動向により、需要の変動が避けられない状況にあり、また、近年では半導体価格の下落に伴う事業採算の悪化から、投資競争の激化とも相俟って、事業の選択と集中による半導体・液晶メーカーの優劣が鮮明となりつつあり、主要販売先の競争力により経営成績に影響を受ける可能性があります。
(5)経営戦略の現状と見通し
当社グループといたしましては、これらの状況を踏まえて、顧客ニーズへのきめ細かな対応を通じて、競争力の高い販売先を確保するとともに、営業力の強化及び受注採算の維持・改善が重要な経営課題であると認識しております。
加えて、今後の受注拡大を図るためには、継続的な研究開発による競合他社との差別化、新商品の開発を強化するとともに、優秀な人材の確保と育成が急務となっております。
また、当社グループは海外売上高比率が平成27年3月期におきまして56.7%を占めておりますが、従来の韓国・台湾を中心とするエリアから、中国・アメリカ・ベトナム等へと広域化しており、顧客満足の向上による継続的な受注と迅速な対応を実現させるためには、広域化した現場管理を担う技術者の確保と人材育成が重要であると認識しております。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが前連結会計年度より4億6千9百万円増加し、7億5千3百万円の獲得(前期は2億8千3百万円の獲得)となりましたが、これは主に、売上債権の減少15億7千3百万円となった一方で、仕入債務の減少10億6百万円等によるものであります。
なお、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出5億9千3百万円となった一方で、有形固定資産の売却による収入2億7千8百万円、敷金及び保証金の回収による収入2億5千2百万円等により、1千9百万円の資金を獲得いたしました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済等を中心に2億7千万円の資金を使用いたしました。
これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末比7億2千8百万円増加の43億7千4百万円となりました。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境、顧客ニーズ及び入手可能な情報に基づき、最善な経営方針を立案するよう努めており、アジアの純水市場でリーディング・カンパニーの地位に立つことを中長期的な目標としております。
しかしながら、水処理装置の中心である超純水装置は、既述のとおり主要顧客企業である半導体及び液晶関連産業の設備投資動向により需要の変動が避けられないことに加え、近年では半導体及び液晶パネル価格の下落に伴う事業採算の悪化から、事業の選択と集中による半導体及び液晶メーカーの優劣が鮮明になっているため、今後も持続的な成長が見込まれる韓国、中国及び台湾を中心とするアジアでの競争力強化、並びに超純水以外の一般水処理の強化が不可欠であると認識しております。
また、顧客の環境に対するニーズを的確に捉え、環境関連分野を強化することが急務であるとの認識から、これまでに培ってきた超純水に関する技術・ノウハウを活かし、半導体及び液晶周辺事業に関わるRSシリーズ(レジスト剥離剤)、メトレート(金属除去モジュール)、シリコン回収リサイクル装置等超純水製造装置以外の商品の市場投入に加え、環境に配慮した高付加価値製品の投入に積極的に取り組んでいく所存であります。
この観点から、近年アジアを中心に海外での拠点展開により営業力の強化を図っておりますが、併せて優秀な人材の確保と育成による同業他社との差別化が急務であると認識しております。