有価証券報告書-第45期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/19 16:09
【資料】
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【項目】
136項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、見積りや仮定によることが必要になります。経営者は、過去の実績や状況及び現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点でもっとも合理的と考えられる見積りや仮定を継続的に採用しております。当社グループが採用しております会計方針のうち、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「重要な会計方針」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策の効果が景気の下支えをするなか、企業収益に改善が見られ、緩やかな回復基調で推移いたしましたが、海外では新興国経済の成長鈍化等により、景気の下振れが懸念される状況となりました。
当社グループの業績に影響を及ぼす半導体業界は、Semiconductor Equipment and Materials International(SEMI)が発表した2013年の半導体製造装置販売額は前年比14%減となり、当社グループの主要な販売地域である台湾は12%増、中国は30%増となりましたが、日本は横這い、韓国は41%減、アメリカは36%減と前年を大きく下回り、地域によりばらつきのある状況となりました。また、液晶関連企業は引き続き大型液晶パネルの需給バランスが悪化していることなどから、設備投資を手控える状況が続きました。
このような状況下、当社グループは海外におきましては韓国、台湾、中国及びアメリカを中心に半導体・液晶関連企業への超純水製造装置販売に注力するとともに、国内におきましては、製薬関連企業など従来の当社グループ主力販売先である半導体・液晶関連企業以外の業界向けの販売を引き続き強化する一方、中国子会社による浄水・汚水処理事業への参画など事業領域の拡大に努めてまいりました。
この結果、水処理装置につきましては、国内の製薬関連企業や韓国の半導体及び液晶関連企業から受注した超純水製造装置、並びに台湾の液晶関連企業から受注した廃水回収装置の工事等が進捗し、売上高は88億1千1百万円(前年同期比19.0%増)となりました。また、メンテナンス及び消耗品につきましては、国内は小型装置、韓国は小工事の受注増に伴い、売上高は54億4千1百万円(同6.0%増)となり、その他の事業の売上高は、プラスチック材料等の売上が減少したことにより、7億3千3百万円(同2.2%減)となりました。
利益面につきましては、一部の超純水製造装置の仕様変更による原価増、工期延長に伴う外注費等の増加に加え、日本、韓国で低採算案件を受注したこと等により、売上総利益率が前年同期比2.6ポイント低下いたしました。
一方、為替相場が円安基調で推移したことにより、為替差益2億9千8百万円を営業外収益に、ゴルフ会員権評価損1千6百万円を特別損失に計上いたしました。
以上の結果、売上高は149億8千5百万円(同12.8%増)、営業損失は6億8千6百万円(前年同期は3億9千2百万円の営業損失)、経常損失は3億6千3百万円(前年同期は1千2百万円の経常損失)、当期純損失は4億4百万円(前年同期は1億6百万円の当期純損失)となりました。
(3)当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比0.7%減の156億6千1百万円、自己資本比率は49.2%となっております。
① 流動資産
当連結会計年度末の流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ8億5千7百万円減少の112億2百万円(前年同期比7.1%減)となりました。主な要因は、仕掛品の増加3億9千4百万円、現金及び預金の減少8億6千3百万円、受取手形及び売掛金の減少6億3千1百万円等によるものであります。
当連結会計年度末の流動資産の主な内訳は、現金及び預金37億8千8百万円、受取手形及び売掛金54億3千1百万円、仕掛品8億3百万円等であります。
② 固定資産
当連結会計年度末の固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ7億4千6百万円増加の44億5千8百万円(同20.1%増)となりました。主な要因は、建物及び構築物の取得による増加2億6千3百万円、機械装置及び運搬具の取得による増加2億8千2百万円、投資有価証券の取得による増加1億2千4百万円等によるものであります。
当連結会計年度末の固定資産の主な内訳は、機械装置及び運搬具5億1千6百万円、土地14億4千万円、敷金及び保証金5億5千7百万円等であります。
③ 流動負債
当連結会計年度末の流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ3億2千9百万円増加の75億5千4百万円(同4.6%増)となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金の増加7億円、前受金の増加1億3百万円、未払金の減少4億3千8百万円等によるものであります。
当連結会計年度末の流動負債の主な内訳は、支払手形及び買掛金23億1百万円、短期借入金37億9千5百万円等であります。
④ 固定負債
当連結会計年度末の固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ7千3百万円減少の3億5千3百万円(同17.2%減)となりました。主な要因は、退職給付に関する会計基準等の適用に伴う退職給付引当金の減少1億3千万円、退職給付に係る負債の増加3千5百万円等によるものであります。
当連結会計年度末の固定負債の主な内訳は、長期未払金1億4千6百万円、役員退職慰労引当金1億2千1百万円等であります。
⑤ 純資産
当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ3億6千8百万円減少の77億5千3百万円(同4.5%減)となりました。主な要因は、利益剰余金の減少5億1千5百万円、為替換算調整勘定の増加2億1千4百万円等によるものであります。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、主要顧客企業である半導体及び液晶関連産業の設備投資動向により、需要の変動が避けられない状況にあり、また、近年では半導体価格の下落に伴う事業採算の悪化から、投資競争の激化とも相俟って、事業の選択と集中による半導体・液晶メーカーの優劣が鮮明となりつつあり、主要販売先の競争力により経営成績に影響を受ける可能性があります。
(5)経営戦略の現状と見通し
当社グループといたしましては、これらの状況を踏まえて、顧客ニーズへのきめ細かな対応を通じて、競争力の高い販売先を確保するとともに、営業力の強化及び受注採算の維持・改善が重要な経営課題であると認識しております。
加えて、今後の受注拡大を図るためには、継続的な研究開発による競合他社との差別化、新商品の開発を強化するとともに、優秀な人材の確保と育成が急務となっております。
また、当社グループは海外売上高比率が平成26年3月期におきまして61.0%を占めておりますが、従来の韓国・台湾を中心とするエリアから、中国・アメリカ・ベトナム等へと広域化しており、顧客満足の向上による継続的な受注と迅速な対応を実現させるためには、広域化した現場管理を担う技術者の確保と人材育成が重要であると認識しております。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが前連結会計年度より4億6千5百万円少ない、2億8千3百万円の獲得(前年同期は7億4千9百万円の獲得)となりましたが、これは主に、売上債権の減少7億7千万円となった一方で、その他の負債の減少4億9千5百万円等によるものであります。
一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出6億6千万円等を中心に9億3百万円の資金を使用、また財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済等を中心に3億3千8百万円の資金を使用いたしました。
これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末比8億6千3百万円減少の36億4千5百万円となりました。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境、顧客ニーズ及び入手可能な情報に基づき、最善な経営方針を立案するよう努めており、アジアの純水市場でリーディング・カンパニーの地位に立つことを中長期的な目標としております。
しかしながら、水処理装置の中心である超純水装置は、既述のとおり主要顧客企業である半導体及び液晶関連産業の設備投資動向により需要の変動が避けられないことに加え、近年では半導体及び液晶パネル価格の下落に伴う事業採算の悪化から、事業の選択と集中による半導体及び液晶メーカーの優劣が鮮明になっているため、今後も持続的な成長が見込まれる韓国、中国及び台湾を中心とするアジアでの競争力強化、並びに超純水以外の一般水処理の強化が不可欠であると認識しております。
また、顧客の環境に対するニーズを的確に捉え、環境関連分野を強化することが急務であるとの認識から、これまでに培ってきた超純水に関する技術・ノウハウを活かし、半導体及び液晶周辺事業に関わるRSシリーズ(レジスト剥離剤)、メトレート(金属除去モジュール)、シリコン回収リサイクル装置等超純水製造装置以外の商品の市場投入に加え、環境に配慮した高付加価値製品の投入に積極的に取り組んでいく所存であります。
この観点から、近年アジアを中心に海外での拠点展開により営業力の強化を図っておりますが、併せて優秀な人材の確保と育成による同業他社との差別化が急務であると認識しております。