有価証券報告書-第103期(平成30年3月1日-平成31年2月28日)

【提出】
2019/05/29 10:28
【資料】
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【項目】
123項目

研究開発活動

当連結会計年度は、2016年度~2018年度中期経営計画「Dash 25」の最終年度に当たり、グローカル開発体制によるスピーディな製品開発、および新規事業・新分野のコア事業化に向けた研究開発を加速し、新製品の開発・市場投入を通じ主力事業の受注拡大を進めるとともに、長期経営計画「2025年ビジョン」に掲げる「新たな産業自動化革命の実現」に向け、ソリューションコンセプト「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を提唱し、デジタルデータソリューションの提供につながる研究開発を進めました。
当社は、グローバルで高い競争力を有する当社のコンポーネント製品にAI技術を加えることで、新たなソリューションの提供を目指しており、製造・産業用ロボット向けのAIソリューション開発などを手掛ける株式会社エイアイキューブの設立や、人工知能(AI)のアルゴリズム開発・コンサルティングを手掛けるAIベンチャー企業の株式会社クロスコンパスとAIソリューション開発の加速を目的とした戦略的提携を行いました。
さらに、世界中の製造業における生産設備や機械などの高度化・自動化へのニーズが急速に高まる中、お客さまの要求に対してスピーディに対応できる体制の構築を目的に、基礎研究から量産試作までの一貫した研究開発拠点「安川テクノロジーセンタ(仮称)」を新設することを決定いたしました。
当連結会計年度の研究開発費は207億92百万円であり、各分野におけるその状況は、以下のとおりです。
[研究開発分野]
長期経営計画「2025年ビジョン」の実現に向け、2018年度はソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」に基づく研究開発へと集約した取り組みを加速しました。また、IoTを軸とする新製品・新技術開発、AI技術を製品に反映させるためのオープンイノベーションもさらに強化して進めています。
当分野の研究開発費は50億96百万円です。
[モーションコントロール分野]
「i3-Mechatronics」コンセプトの実現に向け、世界トップクラスのサーボドライブとロボットの制御技術を結集し、マシンコントローラから産業用ロボットの制御が可能なハード面でのソリューションとなる“ロボットモジュールRM100”を開発しました。
サーボモータではデータ検出機能を向上させ、従来と比べてより多種・大量のデータを詳細に監視することが可能となりました。インバータでは機械・設備の視える化、および故障予知や不具合の検知を実現する機能を強化しました。また、マトリクスコンバータ「U1000」を各種船級規格に適合させました。
2018年12月より本格稼働開始した安川ソリューションファクトリ(埼玉県入間市)では、サーボモータなどから検出したデータを「YASKAWA Cockpit」と連携させることで、装置の予防保全や製品の品質管理への活用実現に向け取り組んでいます。
当分野の研究開発費は84億円です。
[ロボット分野]
環境に配慮したエコカーの開発が世界規模で進められている中、自動車製造ラインの構成が大きく変化しつつあります。また、従来の鋼材とは異なる新しい素材が採用され始めています。このようなトレンドに対し、新しい素材の溶接や高付加価値ラインの構築に対応した新型ロボットの開発を進めております。また、研磨やダイカストにおける高い防滴・防じん性への要求や、食品を直接扱うニーズに対応するため、ロボットの耐環境性を向上させた防滴仕様タイプと、機械潤滑剤に食品機械用グリースを採用した食品グリース仕様タイプを新たにラインアップしました。MOTOMAN-HC10DTハンドキャリータイプは、人協働ロボットと手押台車を組み合わせることで、ものづくりプロセスのフレキシビリティ向上を実現いたしました。
当分野の研究開発費は46億86百万円です。
[システムエンジニアリング分野]
環境・エネルギー分野においては、省エネ・創エネ技術を応用し、大型風力・太陽光発電関連機器の開発など、Clean Powerのコア事業化を進めました。
当分野の研究開発費は24億8百万円です。
[その他分野]
長期経営計画「2025年ビジョン」に掲げるヒューマトロニクスの事業領域確立に向けて、前腕回内回外リハビリ装置の臨床研究機を開発しました。本装置は、前腕の回内・回外運動のリハビリに特化した装置です。
当分野の研究開発費は2億円です。