有価証券報告書-第103期(平成30年3月1日-平成31年2月28日)

【提出】
2019/05/29 10:28
【資料】
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【項目】
123項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来、「事業の遂行を通じて広く社会の発展、人類の福祉に貢献すること」を使命とし、この使命達成のため、「品質重視の考えに立ち、常に世界に誇る技術を開発、向上させる」、「経営効率の向上に努め、企業の存続と発展に必要な利益を確保する」、「市場志向の精神に従い、市場ニーズにこたえ、需要家への奉仕に徹する」の3項目を掲げ、その実現に努力することを経営理念といたしております。このような経営理念のもと、顧客ニーズを高い次元で実現できる商品・サービスの提供や、従業員にとって働きがいのある会社づくりに取り組んでいます。これらにより、継続的な利益の創出を実現し、ステークホルダーのみなさまへの一層の還元を図ることで、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
(2) 目標とする経営指標
新中期経営計画「Challenge 25」においては、更なる高収益体質を目指し、営業利益を主要な経営指標としております。営業利益率の改善により、資本効率を着実に向上させていく所存です。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
長期経営計画「2025年ビジョン」(2016年度~2025年度)実現のための2ndステップとして、新しいビジネスモデルへの挑戦の意味を込めた、新中期経営計画「Challenge 25」(2019年度~2021年度)をスタートさせました。
新中期経営計画「Challenge 25」では、前中期経営計画「Dash 25」で達成した高収益体質を更に向上させるとともに、「2025年ビジョン」の実現に向けた新領域・新ビジネスモデルへの挑戦を加速していきます。
「Challenge 25」の概要
① 基本方針
・ i3-Mechatronicsによるビジネスモデル変革
・ 拡大する“ロボティクス”ビジネスでの収益最大化
・ “選択と集中”によるリソース強化で新規事業拡大

② 数値目標および重点方策等については、2019年6月6日に発表を予定しております。
(4) 対処すべき課題
2019年度の当社グループを取り巻く経営環境は、労働力不足の解消を背景とした生産の自動化・省人化の流れが継続しているものの、スマートフォン・半導体関連の投資減速や、米中貿易摩擦の影響などによる中国経済の減速により、先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
このような状況下、当社グループは長期経営計画「2025年ビジョン」で掲げる「産業自動化革命の実現」に向け、これまでのコンポーネント販売にデジタルデータのソリューション提供を加え、お客さまの経営課題の解決に貢献する新たなソリューションコンセプト「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)※」を軸に、以下のような取り組みを行ってまいります。
① 「i3-Mechatronics」コンセプトの浸透とビジネスモデルの確立
ACサーボドライブ「Σ-7シリーズ」を生産する次世代生産工場「安川ソリューションファクトリ(埼玉県入間市)」が2018年12月より本格稼働を開始しました。この工場では「i3-Mechatronics」コンセプトの実践を目的に、生産現場のデータ活用などを通じた生産の自動化を進めた結果、生産性が従来比3倍となるなど飛躍的に向上しました。今後は、当社グループのグローバル生産拠点における展開を加速させるとともに、ビジネスモデルをこれまでのコンポーネント販売である「モノ売り」から、お客さまの経営課題を解決するソリューション提供を行う「モノ+コト売り」に変革し、お客さまの利益拡大を実現していきます。
② グローバルでの開発力・生産力の強化
当社グループの開発・生産技術の機能を事業横断的に集約し、基礎研究から量産試作の実証、そして品質管理までの一貫した研究開発体制を構築する目的で「安川テクノロジーセンタ(仮称)」の設立準備を進め、グローバルでの開発力強化に取り組みます。また、スロベニアのロボット新工場にて安定的な生産体制を構築し、欧州地域におけるロボット事業の拡大を図ります。
③ リソース集中による新規事業の拡大
食品・農業関連市場を新規事業と位置づけ、取り組みを強化します。まずは国内大手のコンビニエンスストア向けに、中食分野での自動化・省人化を加速する目的で、アライアンスの強化を進めていきます。また、農産物の安定供給ニーズに対応するために、野菜自動生産システム向け機器などの販売を拡充させていきます。
なお、各セグメントにおける具体策については、それぞれ以下のとおりです。
[モーションコントロール]
ACサーボモータ・コントローラ事業においては、「安川ソリューションファクトリ」のさらなる進化を目指すと同時に、「i3-Mechatronics」をより具現化する次期主力製品の開発を進め、お客さまへのソリューション提案力の強化を図ります。インバータ事業においては、お客さまの機械を画期的に進化させる新製品(GA500)の市場投入や、米州・中国・国内などの成長市場における拡販加速・原価の低減などによって、収益力の強化を図ります。
[ロボット]
主力製品を展開する自動車産業においては、グローバルに展開する完成車・部品供給メーカへの拡販を進めると同時に、中国市場における販売体制の強化を図ります。また、欧州スロベニア工場の本格稼働によって、需要地における安定的な生産を実現し、収益性のさらなる改善を図ります。
[システムエンジニアリング]
環境・エネルギー分野においては、欧州を中心とした大型風力発電市場にて洋上風車案件の受注拡大を目指し、米州を中心とした太陽光発電市場では新製品の拡販を進めるなど、採算性の改善を図ります。また、鉄鋼プラント・社会システム分野については、グループ内にて実施した事業再編により経営の効率化を進めるほか、国内の公共事業関連のビジネスにおいて、IoT(Internet of Things)技術を取り入れた新たな取り組みを加速し、高収益体質の確立を目指します。
※i3-Mechatronics:機械工学を表すメカニズムと、電気工学を表すエレクトロニクスを融合させた「Mechatronics(メカトロニクス)」に、3つの”i”(integrated:統合的、intelligent:知能的、innovative:革新的)を重ね合わせ、お客さまの工場の生産現場から、経営課題の解決に貢献するソリューションコンセプト。2017年10月に発表
(5) 株式会社の支配に関する基本方針について
当社では、会社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針については特に定めておりません。しかしながら、当社のみならず株主のみなさまや当社のお取引先、従業員等、当社の利害関係者において、重要な事項であることから、企業価値の向上を第一義として、適宜対応してまいります。