有価証券報告書-第102期(平成29年3月21日-平成30年2月28日)

【提出】
2018/05/30 10:12
【資料】
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【項目】
124項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来、「事業の遂行を通じて広く社会の発展、人類の福祉に貢献すること」を使命とし、この使命達成のため、「品質重視の考えに立ち、常に世界に誇る技術を開発、向上させる」、「経営効率の向上に努め、企業の存続と発展に必要な利益を確保する」、「市場志向の精神に従い、市場ニーズにこたえ、需要家への奉仕に徹する」の3項目を掲げ、その実現に努力することを経営理念といたしております。このような経営理念のもと、顧客ニーズを高い次元で実現できる商品・サービスの提供や、従業員にとって働きがいのある会社づくりに取り組んでいます。これらにより、継続的な利益の創出を実現し、ステークホルダーのみなさまへの一層の還元を図ることで、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
(2) 目標とする経営指標
中期経営計画「Dash 25」においては、高収益体質を目指し、営業利益率を主要な経営指標としております。営業利益率の改善により、資本効率を着実に向上させていく所存です。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
中期経営計画「Dash 25」では、前中期経営計画「Realize 100」の成果を最大化することにより、高収益体質を確立するとともに、「2025年ビジョン」の実現に向けた新たな仕掛け、および新領域・新ビジネスモデルへの挑戦を積極的に行っていきます。
「Dash 25」の概要
Ⅰ.基本方針
1. 前中期経営計画「Realize 100」成果の最大化
2.「2025年ビジョン」実現に向けた基盤構築
3. Clean Power事業のコア事業化
売上高4,500億円
営業利益率10%
新規事業売上高400億円

Ⅱ.重点方策
① 前中期経営計画「Realize 100」成果の最大化:
・「Realize 100」での投資成果の確実な刈り取り
・新製品リリースによる売上拡大・利益率改善
② 「2025年ビジョン」実現に向けた基盤構築:
・コア事業領域で世界一を追求するための新たな仕掛け
・新領域・新ビジネスモデルへの挑戦
③ Clean Power事業のコア事業化:
・「創」エネ・「活」エネ事業のグローバル展開加速
④ グローカル経営の進化:
・グローバルにおける組織能力・人材力を強化
(注)グローカル経営:
グローバルな発想の経営に加え、世界中どこでも地域に根ざしたベストな対応ができる体制
(4) 対処すべき課題
2018年度の当社グループを取り巻く経営環境は、IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)の活用拡大を背景に、製造業を中心とした生産の高度化・自動化への取り組みが加速するなど、総じて好調な状況が見込まれます。
このような状況下、当社グループは長期経営計画「2025年ビジョン」で掲げる「産業自動化革命の実現」に向けて、新たなソリューションコンセプト「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を2017年10月に発表しました。グローバルで競争力のある当社製品を介して得られるビッグデータを活用できる強みを生かし、お客さまが製造現場で抱える様々な課題の解決に貢献してまいります。
また、中期経営計画「Dash 25」(2016年度~2018年度)の業績目標を一年前倒しで達成しましたが、次期中期経営計画「Challenge 25」(2019年度~2021年度)でのさらなる飛躍にむけて、以下のような取り組みを行ってまいります。
(ア)主力事業の収益力拡大
「i3-Mechatronics」のコンセプトを展開し、自動車・半導体・一般産業などの成長市場における売上拡大を目指します。また、販売量の増加に対応した生産能力の増強や生産性の向上などにより、さらなる収益力の拡大を図ります。
(イ)グローバルな生産力の拡大
中国・欧州における工場の拡張・新設を行い、需要地での生産力を強化します。また、国内においては「i3-Mechatronics」のコンセプトを実証する次世代工場(安川ソリューションファクトリー)を立ち上げ、生産性の向上を目指します。
(ウ)国内営業体制の再構築
お客さまの課題を解決する「i3-Mechatronics」の実現に向けて、従来の製品・事業別の営業体制から事業横断的な体制に変更し、国内の営業力を強化します。
(エ)新規事業の拡大
国内の食品市場を中心に自動化・省人化への取り組みを加速します。また、環境・エネルギー事業における運営体制を見直し、事業基盤の整備をグローバルで進めます。さらに、EV(電気自動車)向け電気駆動システム事業は、中国の合弁会社(奇瑞安川電駆動系統有限公司)を通じた量産化を軌道に乗せ、事業拡大を加速させます。
なお、各セグメントにおける具体策については、それぞれ以下のとおりです。
[モーションコントロール]
ACサーボモータ・コントローラ事業においては、「i3-Mechatronics」コンセプトの具現化に向けて、製品ラインアップの拡充と新設する安川ソリューションファクトリーでの実証を加速します。また、需要拡大が見込まれる中国市場での拡販に向け、瀋陽工場(中国)の拡張による生産力強化を図ります。
インバータ事業においては、多様な市場要求に対応できる用途特化型の新製品のラインアップ展開を加速し、売上の拡大とコスト競争力の向上を図ります。
[ロボット]
主力製品を展開する自動車産業においては、グローバルに展開する完成車メーカや部品供給メーカへの拡販を進めます。一般産業分野では中国をはじめとする好調な自動化需要を的確に捉え、小型ロボットを中心に売上の拡大を図ります。また、人協働ロボットの製品を拡充し販売を強化します。なお、スロベニア工場の新設や常州工場(中国)の拡張によって、日中欧3拠点でのグローバル生産体制を確立し、需要地生産の強化と収益性のさらなる改善を加速させます。
[システムエンジニアリング]
太陽光発電(注)や大型風力発電などの環境・エネルギー事業においては、運営体制を再編し新製品の市場投入による採算性の向上を目指します。また、鉄鋼プラント・社会システム関連の事業では、IoT技術を活用したシステムソリューションの提供により収益性を改善します。
(注)太陽光発電:
2017年度より環境・エネルギー事業のさらなる拡大を図る目的で組織変更を行い、セグメント区分を見直しています。従来「モーションコントロール」に含めていました太陽光発電関連ビジネスを「システムエンジニアリング」に含めています。
(5) 株式会社の支配に関する基本方針について
当社では、会社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針については特に定めておりません。しかしながら、当社のみならず株主のみなさまや当社のお取引先、従業員等、当社の利害関係者において、重要な事項であることから、企業価値の向上を第一義として、適宜対応してまいります。