有価証券報告書-第79期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/24 9:17
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69項目

業績等の概要

(1) 業績
当期における当社グループの業績は、前期比で売上高、営業利益ともに減少した。売上高については、IAB(制御機器事業)、AEC(車載事業)、HCB(ヘルスケア事業)が増加したものの、特にその他事業(本社直轄事業)が大きく減少したことにより、前期比で減少した。営業利益については、その他事業(本社直轄事業)が低調に推移したことと成長のための投資を拡大したことなどにより、前期比で減少した。
当期の経済情勢について概観すると、日本では設備投資や雇用・所得環境のゆるやかな回復が継続した。米州では北米において雇用・所得環境の改善により、個人消費や企業活動が堅調に推移した。また、欧州ではゆるやかな回復が継続した。中華圏では固定資産投資や小売売上高の伸び率低下などにより中国経済は一段と減速した。アジアでは韓国の景気は回復傾向にあるものの、タイ・インドネシア等は不透明感が継続した。
また、当社グループに関連する主な関連市場の状況としては、自動車関連市場は国内の部品需要は軽自動車の販売減により低調、米国では堅調に推移した。半導体関連市場はスマートフォンなどの需要が減少し、設備投資需要は軟調に推移した。工作機械関連市場は国内・海外の設備投資需要が減少した。家電・電子部品関連市場の設備投資需要は堅調、部品需要は中国で軟調に推移した。健康医療機器関連市場ではロシア及び東欧は景気低迷により低調、その他の新興国は堅調に推移した。
その結果として当期における当社グループの業績は、売上高は8,336億4百万円(前期比1.6%減)となり、営業利益(※)は622億87百万円(前期比28.1%減)、法人税等、持分法投資損益控除前当期純利益は656億86百万円(前期比24.8%減)、当社株主に帰属する当期純利益は472億90百万円(前期比23.9%減)となった。
(※) 「営業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「試験研究開発費」を控除したものを表示している。
オペレーティング・セグメントの業績は、次のとおりである。
① インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)
日本においては、自動車や電子部品関連業界などで設備投資需要が堅調に推移し、当期の国内売上高は前期比で増加した。
海外においては、米州では、主に石油関連事業の需要が減少し、低調に推移した。欧州では緩やかな回復傾向のもと、需要は堅調に推移した。中華圏では下期からの景気低迷の影響により、総じて需要は低調に推移した。アジアではASEANをはじめとする新興国での市況減速や通貨安の影響により需要は低調に推移したものの、韓国では電子部品関連業界の需要が堅調に推移した。これらの結果に為替の影響が加わり、当期の海外売上高は前期比で横ばいとなった。
この結果、当セグメント合計の当期の売上高は、3,413億円97百万円(前期比1.1%増)(うち外部顧客に対する売上高は、3,359億59百万円(前期比1.2%増))、セグメント利益は479億29百万円(前期比12.2%減)となった。
② エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス(電子部品事業)
日本においては、業務民生業界では需要は堅調に推移した。自動車関連業界では軽自動車の増税影響により需要は低調に推移した。これらの結果、当期の国内売上高は前期比で減少した。
海外においては、米州では自動車関連業界の需要が好調に推移した。欧州では業務民生業界の需要が堅調に推移した。中華圏では景気の減速により、業務民生業界や自動車関連業界の需要が低調に推移した。これらの結果に為替の影響が加わり、当期の海外売上高は前期比で横ばいとなった。
この結果、当セグメント合計の当期の売上高は、1,526億54百万円(前期比1.1%減)(うち外部顧客に対する売上高は、1,036億81百万円(前期比0.3%減))、セグメント利益は84億94百万円(前期比16.5%減)となった。
③ オートモーティブエレクトロニックコンポーネンツビジネス(車載事業)
日本においては、軽自動車の増税影響を受けた自動車販売台数の減少などにより、当期の国内売上高は前期比で大きく減少した。
海外においては、米州では好調な米国経済を背景に需要が大きく拡大した。中華圏では顧客の在庫調整により需要が減少した。これらの結果に為替の影響が加わり、当期の海外売上高は前期比で増加した。
この結果、当セグメント合計の当期の売上高は、1,405億46百万円(前期比1.1%増)(うち外部顧客に対する売上高は、1,399億66百万円(前期比1.5%増))、セグメント利益は73億42百万円(前期比20.5%減)となった。
④ ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業)
駅務システム事業は、駅務機器に対する設備投資の更新需要が堅調に推移し、当期の売上高は前期比で大きく増加した。
交通管理・道路管理システム事業は、高速道路事業者の安心安全に関連する需要が堅調に推移し、当期の売上高は前期比で増加した。
環境ソリューション事業は、太陽光発電関連市場の需要が低調に推移し、当期の売上高は前期比で大きく減少した。
この結果、当セグメント合計の当期の売上高は、821億9百万円(前期比3.9%減)(うち外部顧客に対する売上高は、775億38百万円(前期比3.6%減))、セグメント利益は31億98百万円(前期比36.0%減)となった。
⑤ ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業)
日本においては、家庭向け健康医療機器については、都市部での海外観光客の需要取り込みに加え、血圧計などの新商品や、マッサージャなどの店頭販促強化により堅調に推移した。医療機関向け機器については、医療機関の設備投資減少により需要は低迷した。これらの結果、当期の国内売上高は前期比で横ばいとなった。
海外においては、米州では、ブラジルで買収した会社との統合効果などにより、南米でネブライザを中心に需要が大きく増加した。欧州では、ロシアおよび周辺国での景気低迷が継続し、需要は低調に推移した。中国やアジア諸国では、健康医療機器の需要増加が継続し、好調に推移した。これらの結果に為替の影響も加わり、当期の海外売上高は前期比で大きく増加した。
この結果、当セグメント合計の当期の売上高は、1,084億25百万円(前期比7.6%増)(うち外部顧客に対する売上高は、1,081億21百万円(前期比7.5%増))、セグメント利益は72億85百万円(前期比11.9%増)となった。
⑥ その他
その他のセグメントでは、新規事業の探索・育成と社内カンパニーに属さない事業の育成・強化を本社直轄事業として担当している。
環境事業では、太陽光発電関連市場の需要が低調に推移し、当期の売上高は前期比で大きく減少した。
電子機器事業では、無停電電源装置および電子機器の開発・生産受託サービスの需要が好調に推移し、当期の売上高は前期比で増加した。
マイクロデバイス事業では、スマートフォン向けのマイクロフォンの需要減により、当期の売上高は前期比で減少した。
バックライト事業では、中華圏でのスマートフォン市場の需要が減少し、当期の売上高は前期比で大きく減少した。
この結果、当セグメント合計の当期の売上高は、794億84百万円(前期比28.9%減)(うち外部顧客に対する売上高は、630億28百万円(前期比27.9%減))、セグメント損失は41億19百万円(前年同期は83億66百万円の利益)となった。
(2) キャッシュ・フロー
当期末における現金及び現金同等物残高は、前期末に比べ197億12百万円減少し、829億10百万円となった。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純利益の計上や減価償却費の計上等により、842億7百万円の収入(前期比71億50百万円の収入増)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、生産設備等への投資実行や米国のモーションコントローラーの開発・生産・販売会社や産業用ロボットメーカーの買収など積極的な投資を実行し、671億16百万円の支出(前期比275億99百万円の支出増)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや自己株式の取得などにより、315億50百万円の支出(前期比22億47百万円の支出増)となった。