有価証券報告書-第80期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 10:32
【資料】
PDFをみる
【項目】
68項目

業績等の概要

(1) 業績
当期における当社グループの業績は、円高による為替のマイナス影響などにより、売上高は前期比で減少した。その一方で、主力のIAB(制御機器事業)の成長に加え、全社における収益構造の強化などにより稼ぐ力が向上し、営業利益は増加した。
当期の経済情勢について概観すると、日本では個人消費は緩やかに回復、設備投資は回復した。米州では米国において雇用回復と堅調な個人消費による景気拡大が持続した。また、欧州では緩やかな景気回復は継続するも、先行きの不透明感は継続した。中華圏では公共投資拡大の下支え効果により、景気減速が一服した。アジアでは韓国の景気は一部回復傾向、タイでは低調継続した。
また、当社グループに関連する主な関連市場の状況としては、自動車関連市場は国内の軽自動車関連需要は緩やかに回復、欧米は足元でやや減速感が見られた。半導体関連市場は国内・海外の設備投資需要は好調となった。工作機械関連市場は国内・海外の設備投資需要は足元で回復傾向となった。家電・電子部品関連市場は設備投資需要は堅調、部品需要は緩やかな回復傾向となった。健康医療機器関連市場では国内個人消費は回復傾向、新興国は堅調となった。
その結果として当期における当社グループの業績は、売上高は7,942億1百万円(前期比4.7%減)となり、営業利益(※)は675億66百万円(前期比8.5%増)、法人税等、持分法投資損益控除前当期純利益は654億92百万円(前期比0.3%減)、当社株主に帰属する当期純利益は459億87百万円(前期比2.8%減)となった。
(※) 「営業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「試験研究開発費」を控除したものを表示している。
オペレーティング・セグメントの業績は、次のとおりである。
① インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)
日本においては、デジタルを中心とした注力業界で販売が拡大し、当期の国内売上高は前期比で増加した。
海外においては、米州では石油関連事業売却の影響で売上高は減少したが、自動車関連業界等における需要は堅調に推移した。欧州では買収した米国企業の欧州の売上高が寄与したことに加えて、ユーロ安を背景に輸出企業の需要が堅調だったことから、売上高は増加した。中華圏ではデジタル・インフラ・環境関連事業での需要が好調に推移した。アジアでは韓国のデジタル業界における投資活発化を背景に好調に推移した。しかしながら、これらに円高による為替の大きなマイナス影響が加わった結果、当期の海外売上高は前期比で減少した。
この結果、当セグメント合計の当期の売上高は、3,362億円27百万円(前期比1.5%減)(うち外部顧客に対する売上高は、3,309億59百万円(前期比1.5%減))、セグメント利益は円高による為替のマイナス影響がある一方で、競争力のある商品の拡販が進んだことなどにより売上総利益率が改善し、520億5百万円(前期比8.5%増)となった。
② エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス(電子部品事業)
日本においては、アミューズメント業界での売上高の減少などにより、当期の国内売上高は前期比で減少した。
海外においては、米州では自動車関連業界の顧客の在庫調整により需要が減少した。欧州では自動車関連業界の需要が好調に推移した。中華圏では業務民生業界の需要が減少したが、自動車関連業界の需要は堅調に推移した。アジアでは業務民生業界・自動車関連業界ともに需要が好調に推移した。これらに円高による為替のマイナス影響が加わった結果、当期の海外売上高は前期比で大きく減少した。
この結果、当セグメント合計の当期の売上高は、1,422億86百万円(前期比6.8%減)(うち外部顧客に対する売上高は、939億38百万円(前期比9.4%減))、セグメント利益は売上高の減少や円高による為替のマイナス影響があったものの、前期に実施した生産性向上の取り組み効果により、94億28百万円(前期比11.0%増)となった。
③ オートモーティブエレクトロニックコンポーネンツビジネス(車載事業)
日本においては、軽自動車販売台数の減少などの影響により、当期の国内売上高は前期比で減少した。
海外においては、米州では堅調な米国経済を背景に需要が拡大した。中華圏では政府の減税施策を背景とする好調な自動車販売を受けて需要が拡大した。しかしながら、円高による為替の大きなマイナス影響が加わった結果、当期の海外売上高は前期比で減少した。
この結果、当セグメント合計の当期の売上高は、1,325億62百万円(前期比5.7%減)(うち外部顧客に対する売上高は、1,320億60百万円(前期比5.6%減))、セグメント利益は売上高の減少に加え、円高による為替のマイナス影響もあり、71億27百万円(前期比2.9%減)となった。
④ ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業)
駅務システム事業は、駅務機器に関する更新需要の一巡に伴い、当期の売上高は前期比で大きく減少した。
交通管理・道路管理システム事業は、幹線道路関連の端末更新需要や高速道路の投資需要が低調に推移し、当期の売上高は前期比で減少した。
環境ソリューション事業は、太陽光発電関連市場の需要が低調に推移し、当期の売上高は前期比で大きく減少した。
この結果、当セグメント合計の当期の売上高は、714億15百万円(前期比13.0%減)(うち外部顧客に対する売上高は、671億29百万円(前期比13.4%減))、セグメント利益は売上高の減少はあったものの、生産性向上の取り組み効果などにより、40億8百万円(前期比25.3%増)となった。
⑤ ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業)
日本においては、家庭向け健康医療機器については、オンライン向け商品が市場の拡大により販売が好調だったものの、郊外の大型家電量販店での需要が低調に推移した。医療機関向け機器については、医療機器販売子会社の株式譲渡に伴い売上高が減少した。これらの結果、当期の国内売上高は前期比で減少となった。
海外においては、米州ではブラジルでの血圧計販売が好調に推移した。欧州ではロシアでの血圧計新商品の販売に加え、その他の国での取扱店拡大により販売は好調に推移した。中華圏では薬局などの店頭販売が低調に推移した一方で、オンライン市場は引き続き拡大した。アジアでは需要が好調に推移した。しかしながら、円高による為替の大きなマイナス影響が加わった結果、当期の海外売上高は前期比で減少した。
この結果、当セグメント合計の当期の売上高は、1,015億34百万円(前期比6.4%減)(うち外部顧客に対する売上高は、1,012億95百万円(前期比6.3%減))、セグメント利益は円高による為替のマイナス影響はあるものの、生産性向上の取り組みなどにより、85億35百万円(前期比17.2%増)となった。
⑥ その他
その他のセグメントでは、新規事業の探索・育成と社内カンパニーに属さない事業の育成・強化を本社直轄事業として担当している。
環境事業では、太陽光発電関連市場の需要は引き続き低調だったものの、蓄電関連の商品拡充が寄与し、当期の売上高は前期比で増加した。
電子機器事業では、無停電電源装置および電子機器の開発・生産受託サービスの需要が好調に推移し、当期の売上高は前期比で増加した。
マイクロデバイス事業では、スマートフォン向けマイクロフォンの需要が低調に推移し、当期の売上高は前期比で減少した。
バックライト事業では、中華圏のスマートフォン市場における商品価格低下やハイエンドスマートフォン市場の需要が低調だったことにより、当期の売上高は前期比で大きく減少した。
この結果、当セグメント合計の当期の売上高は、779億85百万円(前期比1.9%減)(うち外部顧客に対する売上高は、632億64百万円(前期比0.4%増))、円高による為替のマイナス影響はあるものの、固定費の効率的運用などにより、セグメント損失は21億75百万円(前期は41億19百万円の損失)となった。
(2) キャッシュ・フロー
当期末における現金及び現金同等物残高は、前期末に比べ431億16百万円増加し、1,260億26百万円となった。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純利益の計上や減価償却費の計上などにより、778億75百万円の収入(前期比63億32百万円の収入減)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、資本的支出や事業売却などにより、150億41百万円の支出(前期比520億75百万円の支出減)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、150億12百万円の支出(前期比165億38百万円の支出減)となった。