有価証券報告書-第120期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/25 15:55
【資料】
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【項目】
141項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、アベノミクスによる金融緩和や各種経済対策効果により、企業収益の改善や、設備投資の持ち直しの動きが見られた。また、消費税率引き上げ前の駆け込み需要により、耐久消費財を中心に個人消費が活発化するなど、堅調に推移した。
一方、海外も、新興国の成長鈍化や欧州での景気回復の遅れが見られるものの、米国や中国の景気が緩やかに拡大するなど、総じて底堅い動きを示した。
こうした中、当社グループは、高精細4K※1対応AQUOSやフルHDパネルで4K相当の高精細、高画質表示を実現する「クアトロンプロ※2」、IGZO液晶ディスプレイ※3搭載スマートフォン、需要が旺盛な国内市場向け太陽電池、さらにはモバイル端末向け中小型液晶パネルなど、特長デバイスと独自商品の創出及び販売強化に取り組んだ。加えて、在庫の低減や設備投資の抑制、さらには総経費の徹底削減など、全社あげて経営改善の諸施策を推進した。
その結果、当連結会計年度の業績は、売上高が2,927,186百万円(前年度比 118.1%)となった。一方、利益は、営業利益が108,560百万円(前年度は146,266百万円の営業損失)、経常利益が53,277百万円(前年度は206,488百万円の経常損失)、当期純利益が11,559百万円(前年度は545,347百万円の当期純損失)となり、中期経営計画で掲げた当期純利益の黒字化を達成することができた。
また、中期経営計画の着実な遂行に向けた戦略的投資資金の確保と財務基盤の強化を図るため、公募による新株式の発行、オーバーアロットメントによる株式の売り出し及び第三者割当増資を実施し、総額1,437億円の資金調達を行った。
※1 4K:4K2K(3,840×2,160=8,294,400ドット)、フルHD(1,920×1,080=2,073,600ドット)の4倍の精細度。
※2 平成25年10月22日発表、液晶テレビの新ラインアップ。詳細は当社ホームページ参照。
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/131022-a.html
※3 IGZO液晶ディスプレイ:㈱半導体エネルギー研究所との共同開発により量産化。
セグメントの業績は、概ね次のとおりである。
①プロダクトビジネス
国内の住宅用及びメガソーラーなどの産業用の太陽電池の販売が伸長した。また、海外でモノクロ複合機が好調に推移したほか、国内及び米国で、インフォメーションディスプレイが伸長した。液晶カラーテレビの販売が、米州や欧州で低迷したものの、国内で堅調に推移したことに加え、中国や新興国などで伸長した。国内のエアコンと冷蔵庫の販売及び中国の空気清浄機の販売が好調に推移した。一方、携帯電話の販売は、海外メーカーとの競争激化から、前年度を下回った。
この結果、売上高は1,818,168百万円(前年度比 113.7%)、セグメント利益は96,802百万円(前年度比 229.4%)となった。
②デバイスビジネス
スマートフォンやタブレット端末向けなどの中小型液晶パネルに加え、テレビ用大型液晶パネルの売上が好調に推移した。また、スマートフォン向けカメラモジュールや近接センサなどの各種センサの売上が伸長した。利益面では、前年度において実施した構造改革の固定費削減効果等により収益性が改善した。
この結果、売上高は1,317,467百万円(前年度比 117.9%)、セグメント利益は44,853百万円(前年度は154,510百万円のセグメント損失)となった。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ162,768百万円(86.6%)増加し、当連結会計年度末には350,634百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の収入は、198,984百万円であり、前連結会計年度に比べ280,059百万円増加した。これは、たな卸資産の減少による収入が、前連結会計年度に比べ201,810百万円減少したものの、税金等調整前当期純損益が損失から利益に転じたことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の支出は、84,940百万円であり、前連結会計年度に比べ92,050百万円増加した。これは、有形固定資産の取得による支出が15,752百万円減少したものの、定期預金の預入による支出が20,885百万円増加し、投資有価証券の取得による支出が23,393百万円増加したほか、前連結会計年度において、連結の範囲の変更を伴う関係会社株式の売却による収入が65,143百万円あったことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の収入は、32,753百万円であり、前連結会計年度に比べ18,884百万円(36.6%)減少した。これは、長期借入れによる収入が157,435百万円増加し、株式の発行による収入が127,445百万円増加したほか、前連結会計年度においてコマーシャルペーパーの減少が351,000百万円あったものの、短期借入金の純増額が433,651百万円減少し、新株予約権付社債の償還による支出が199,997百万円あったほか、長期借入金の返済による支出が20,633百万円増加したことなどによるものである。
(注) 消費税等の会計処理は税抜方式によっている。以下「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」に記載されている金額も同様である。