有価証券報告書-第122期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/23 16:43
【資料】
PDFをみる
【項目】
137項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、輸出入が横ばいとなったものの、雇用情勢が改善し、設備投資にも持ち直しの動きがみられるなど、緩やかな回復を続けた。また海外では、中国経済が減速傾向にあるものの、全体としては、米国やユーロ圏などを中心に引き続き回復基調での推移となった。
こうした中、当社グループでは、液晶テレビ「AQUOS 4K NEXT※1」や「ヘルシオ ホットクック※2」、IGZO 液晶ディスプレイ※3、蓄電池連携DCハイブリッドエアコン※4など、独自商品・特長デバイスの創出と販売強化に努めた。このほか、モバイル型ロボット電話「RoBoHoN※5」やプラズマクラスター空気清浄機「蚊取空清※6」などの開発も進めた。また、インセル型液晶タッチディスプレイ※7の量産も開始した。さらに、安定した経営基盤の早期確立に向け、「2015~2017年度 中期経営計画」の3つの重点戦略である①事業ポートフォリオの再構築、②固定費削減の断行、③組織・ガバナンスの再編・強化に取り組んだ。
しかし、当連結会計年度の業績は、コンシューマーエレクトロニクス、エネルギーソリューション、ディスプレイデバイスの売上が減少したことにより、売上高が2,461,589百万円(前年度比88.3%)となった。また、コンシューマーエレクトロニクス、ディスプレイデバイスの業績悪化により、営業損失は161,967百万円(前年度は48,065百万円の営業損失)、経常損失は192,460百万円(前年度は96,526百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は255,972百万円(前年度は222,347百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となった。
なお、資金面では、平成27年6月に総額225,000百万円の優先株を発行し、中期経営計画の遂行を支える資本の増強と成長分野への投資資金の調達を行っている。
※1 4原色技術を用い8K解像度を実現した4K液晶テレビ。2015年5月21日公表「『AQUOS 4K NEXT』<80V型:LC-80XU30>を発売」参照。
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/150521-a.html
※2 業界で初めて、水を使わず、火を使わず、健康的な「無水調理」が手軽にできる自動調理鍋。下記URL参照。
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/150917-a.html
※3 透明な酸化物半導体を採用したディスプレイ。下記URL参照。
http://www.sharp.co.jp/igzo/
※4 蓄電池のDC(直流)電力をAC(交流)に変換することなく室外機に供給し、省エネを実現するエアコン。2015年11月27日公表「業界初「DCハイブリッドエアコン」を発売」参照。
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/151127-a.html
※5 小型で手軽に携帯できるモバイル型ロボット電話。2016年4月14日公表「モバイル型ロボット電話『RoBoHoN(ロボホン)』の販売を開始」参照。
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/160414-a.html
※6 蚊の習性と空気清浄機の吸引力を利用し、薬剤を使わずに粘着式「蚊取りシート」で捕獲する蚊取り機能を搭載したプラズマクラスター空気清浄機。2016年3月17日公表「プラズマクラスター空気清浄機『蚊取空清』を発売」参照。
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/160317-a.html
※7 タッチセンサー部の機能を内蔵した液晶ディスプレイ。2015年6月17日公表「スマートフォン向けインセル型液晶タッチディスプレイを量産開始」参照。
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/150617-a.html
セグメントの業績は、概ね次のとおりである。
なお、第3四半期連結累計期間より報告セグメントの区分を変更している。以下の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後の区分に組替えた数値で比較している。報告セグメントの変更については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に詳細を記載している。
①コンシューマーエレクトロニクス
液晶テレビや携帯電話、空気清浄機などの販売が減少した。利益面では、中国の販売子会社において売上高の大幅な減少に伴う今後の取引方針の変更等により、取引先との販売促進費用の支払が必要となる可能性が高いことから販売促進引当金を当連結会計年度末より計上したため、収益性が悪化した。この結果、売上高は810,733百万円(前年度比 82.5%)、セグメント損失は21,830百万円(前年度は19,083百万円のセグメント利益)となった。
②エネルギーソリューション
太陽電池の販売が減少した。利益面では、ソーラーパネルの原材料(ポリシリコン)に係る買付契約評価引当金繰入額が減少したため、損失額は縮小した。この結果、売上高が156,834百万円(前年度比57.9%)、セグメント損失は18,425百万円(前年度は62,679百万円のセグメント損失)となった。
③ビジネスソリューション
価格下落の影響はあったものの、海外でカラー複合機の販売が伸長した結果、売上高は355,196百万円(前年度比 103.5%)、セグメント利益は35,814百万円(前年度比 114.4%)となった。
④電子デバイス
カメラモジュールの販売が伸長した。利益面では、急激な価格下落及びたな卸資産の滞留状況等を鑑み、たな卸資産の評価基準を変更し、たな卸資産評価損を追加計上したものの、売上の増加により収益性が改善した。この結果、売上高は490,029百万円(前年度比 105.0%)、セグメント利益は1,491百万円(前年度比 220.6%)となった。
⑤ディスプレイデバイス
テレビ用大型液晶パネルや中国スマートフォン向けの中小型液晶パネルの販売が減少した。利益面では、売上の減少に加え、一部工場において生産調整を行ったことや、急激な価格下落及びたな卸資産の滞留状況等を鑑み、たな卸資産の評価基準を変更し、たな卸資産評価損を追加計上したことにより収益性が悪化した。この結果、売上高は771,548百万円(前年度比 85.1%)、セグメント損失は129,173百万円(前年度は594百万円のセグメント利益)となった。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ82,678百万円(35.6%)減少し、当連結会計年度末には149,533百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の支出は、18,866百万円であり、前連結会計年度に比べ36,205百万円増加した。これは、前連結会計年度に比べて、たな卸資産の増減額が増加から減少に転じたものの、税金等調整前当期純損失が42,288百万円増加したほか、仕入債務の増減額が増加から減少に転じたことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の支出は、40,513百万円であり、前連結会計年度に比べ24,470百万円(152.5%)増加した。これは、前連結会計年度に比べて、投資有価証券の売却による収入が29,602百万円減少したことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の支出は、15,360百万円であり、前連結会計年度に比べ120,730百万円(88.7%)減少した。これは、前連結会計年度に比べて、短期借入金の純増減額が増加から減少に転じたものの、社債の償還による支出が99,002百万円減少したほか、種類株式の発行による収入が224,606百万円あったことなどによるものである。
(注) 消費税等の会計処理は税抜方式によっている。以下「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」に記載されている金額も同様である。