有価証券報告書-第103期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 16:16
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連結財務諸表注記事項(US GAAP)

連結財務諸表注記
1 会計処理の原則及び手続ならびに連結財務諸表の表示方法
当社は、1961年6月、SECに米国預託証券(American Depositary Receipt)の発行登録を行い、1970年9月、ニューヨーク証券取引所に上場しています。前述の経緯により、当社は米国1934年証券取引所法第13条(Section 13 of the Securities Exchange Act of 1934)にもとづく継続開示会社となり、年次報告書(Annual report on Form 20-F)をSECに対し提出しています。
当社及び当社の連結子会社(以下「ソニー」)の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計基準による用語、様式及び作成方法(以下「米国会計原則」)によって作成されています。ソニーが採用している会計処理の原則及び手続ならびに連結財務諸表の表示方法のうち、日本における会計処理の原則及び手続ならびに表示方法(以下「日本会計原則」)と異なるもので重要性のあるものは以下のとおりです。ほとんどの違いは国内会社の会計処理によるもので、そのうち金額的に重要な修正及び組替項目については、米国会計原則による税引前利益に含まれる影響額を括弧内に表示しています。
(1) 保険事業の会計
新規保険契約の獲得もしくは保険契約の更新に直接関連し、かつそれに応じて変動する費用のうち、回収できると認められるものについては繰り延べています。伝統的保険商品に関する繰延費用は、保険契約債務の計算と共通の基礎数値を用いて関連する保険契約の保険料払込期間にわたり償却されます。上記以外の保険商品に関する繰延費用は、見積期間にわたり関連する保険契約の見積粗利益に比例して償却されます。なお、日本会計原則においてはこれらの費用は、発生年度の期間費用として処理しています。(2018年度 14,886百万円の利益、2019年度 5,321百万円の利益)米国会計原則上、保険契約債務等は保険数理上の諸数値にもとづく平準純保険料式等により計算していますが、日本会計原則においては行政監督庁の認める方式により算定しています。(2018年度 74,013百万円の利益、2019年度 65,061百万円の利益)
(2) 営業権及びその他の無形固定資産
営業権及び耐用年数が確定できない無形固定資産は償却をせず、年1回第4四半期及び減損の可能性を示す事象又は状況の変化が生じた時点で減損の判定を行っています。(2018年度 30,271百万円の利益、2019年度 38,495百万円の利益)
(3) 持分法による投資利益(損失)の会計処理区分
持分法による投資利益(損失)は、持分法適用会社の事業の大部分をソニーの事業と密接不可分なものと考えて営業利益(損失)の前に区分して表示しています。なお、日本会計原則において持分法による投資利益(損失)は、営業外収益又は営業外費用の区分に表示されています。
(4) 変動持分事業体の連結
変動持分事業体(以下「VIE」)とされる事業体のうち、ソニーがその第一受益者であると判定されたVIEを連結しています。
(5) 法人税等に関する会計処理
繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠にもとづいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合に、評価性引当金の計上により減額されています。繰延税金資産の回収可能性については、関連するあらゆる肯定的及び否定的証拠を適切に検討することにより、繰延税金資産にかかる評価性引当金計上の要否を定期的に評価しています。また、税務申告時にある税務処理を採用することによって生じる税金費用の減少が、50%以上の可能性で税務当局に認められないと考えられる場合には、税金引当を計上しています。
(6) 持分証券にかかる未実現評価損益の会計処理
連結子会社及び持分法適用会社への投資を除く持分証券を、原則として公正価値で測定し、連結会計期間末に保有する持分証券の再評価による価値の変動を損益に計上しています。持分証券の再評価により生じた未実現評価損益の詳細については、注記8をご参照ください。
(7) リース
リース期間が1年を超えるオペレーティング・リース契約について、将来のリース期間にわたる支払リース料総額を入手可能な情報を基にした借手の追加借入利子率で割り引くことにより、使用権資産及びリース負債の現在価値を測定しています。これらは連結貸借対照表上、オペレーティング・リース使用権資産、1年以内に返済期限の到来する長期オペレーティング・リース負債、長期オペレーティング・リース負債に計上されています。
(8) 未払退職・年金費用
年金数理純損益は、コリドーアプローチ(回廊方式)により一定期間にわたって償却しています。日本会計原則において数理計算上の差異は、平均残存勤務期間以内の一定期間で全額が償却されています。
2 営業活動の内容
ソニーは、様々な一般消費者向け、業務向け及び産業向けのエレクトロニクス製品・部品、具体的にはネットワークサービス、ゲーム機、ゲームソフトウェア、テレビ、オーディオ・ビデオレコーダー及びプレーヤー、静止画・動画カメラ、スマートフォン、イメージセンサー等を開発、設計、制作、製造、提供、販売しています。ソニーの主要な生産施設は日本を含むアジアにあります。ソニーは、また、特定の製品の製造を外部の生産受託業者に委託しています。ソニーの製品及びサービスは世界全地域において、販売子会社及び資本関係のない各地の卸売り業者ならびにインターネットによる直接販売により販売、提供されています。ソニーは、音楽ソフトの企画、制作、製造、販売及び楽曲の詞及び曲の管理及びライセンスならびにアニメーション作品及びその派生ゲームアプリケーションの制作、販売を行っています。ソニーは、また、映画作品及びテレビ番組の製作又は制作、買付、販売ならびにテレビ及びデジタルのネットワークオペレーションを行っています。さらに、ソニーは、日本の生命保険子会社及び損害保険子会社を通じた保険事業、日本のインターネット銀行子会社を通じた銀行ビジネスなどの様々な金融ビジネスに従事しています。
3 主要な会計方針の要約
(1) 主要な会計方針
1 連結の基本方針ならびに関連会社に対する投資の会計処理
ソニーの連結財務諸表は、当社、当社が過半数の株式を所有する子会社、ソニーが支配持分を有するジェネラル・パートナーシップ及びその他の事業体ならびにソニーを主たる受益者とする変動持分事業体の勘定を含んでいます。連結会社間の取引ならびに債権債務は、全て消去しています。ソニーは、支配力を有していないが事業又は財務の方針に重要な影響を行使し得る、すなわち通常20%以上50%以下の持分を有する関連会社への投資に対し持分法を適用しています。また、ソニーが支配持分を有しないジェネラル・パートナーシップ及びリミテッド・パートナーシップに対する投資についても投資先の活動に少なからぬ影響を及ぼす場合(通常3%から5%を超える持分)には、持分法が適用されます。ソニーの持分が極めて僅少であるため、実質的にソニーが投資先の活動に影響を持たないパートナーシップに対する投資は、公正価値で測定しています。持分法適用会社に対する投資には、未分配損益に対するソニーの持分額を取得価額に加減算した金額を計上しています。これらの投資に関する損益は税引後の金額で計上され、未実現内部利益を控除した金額が連結営業利益(損失)に含まれています。個別の投資の価値が下落し、その下落が一時的でないと判断される場合には、公正価値まで評価減しています。
連結子会社あるいは持分法適用会社は、公募、第三者割当、あるいは転換社債の転換によりソニーのこれらの会社に対する1株当たりの持分額を超える、あるいは下回る価格で、第三者に対して株式を発行することがあります。このような取引について、ソニーの持分の変動により発生する損益は、持分の変動があった年度に計上しています。
子会社に対する支配権の喪失により発生する損益は、残余持分の公正価値への再評価にしたがって計上される一方、支配権を維持し続ける連結子会社に対する持分の変動については資本取引として処理され、損益は計上されません。
連結子会社及び持分法適用会社に対する投資原価が当該会社の純資産額のソニーの持分を超える場合、その金額は、取得時点における公正価値にもとづき、識別可能な各資産及び負債に配分しています。投資原価が当該被投資会社の純資産額のソニーの持分を超える金額のうち、特定の資産及び負債に配分されなかった部分は、投資額の一部として営業権に計上しています。
2 見積りの使用
米国会計原則にしたがった連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測を必要とします。最も重要な見積りは、投資有価証券の評価、棚卸資産の評価、長期性資産の公正価値、営業権及び無形固定資産の公正価値、企業結合により取得した資産及び引受負債の公正価値、製品保証に関する負債、年金及び退職金制度、繰延税金資産、不確実な税務ポジション、繰延映画製作費、保険関連の債務の算定、評価に使用される見積りを含みます。結果として、このような見積りと実績が大きく異なる場合があります。新型コロナウイルス感染拡大がソニーの事業に悪影響を与え得るタイミングや度合いは、非常に不確実であり、今後の事態の進展によります。この不確実性は、会計上の見積り及び前提に追加の変動をもたらす可能性がありますが、主に営業権及び長期性資産の減損や繰延税金資産の評価に使用する見積り及び前提に影響する可能性があります。
3 外貨換算
海外子会社及び関連会社の財務諸表項目の換算において、資産及び負債は決算日の適切な為替相場によって円貨に換算し、収益及び費用はおおむね取引発生時の為替相場によって円貨に換算しています。その結果生じた換算差額は、累積その他の包括利益の一部として表示しています。段階取得に関する企業結合の会計基準にしたがい、過去から保有している資本持分を再評価する際は、累積の外貨換算調整額を損益として認識します。
外貨建貨幣性資産及び負債は決算日の適切な為替相場によって換算し、その結果生じた為替差損益は当年度の損益に計上しています。
4 現金・預金、現金同等物、及び制限付き現金・預金
現金・預金及び現金同等物は、表示された金額で容易に換金され、かつ満期日まで短期間であるために利率の変化による価値変動リスクが僅少なもので、取得日から3ヵ月以内に満期の到来する流動性の高い全ての投資を含んでいます。ソニーは制限付き現金・預金を連結キャッシュ・フロー計算書上の現金・預金及び現金同等物に含めています。
5 市場性のある負債及び持分証券
売却可能証券に区分された負債証券は、その公正価値で計上されており、未実現評価損益(税効果考慮後)は累積その他の包括利益の一部として表示されています。持分証券及び売買目的有価証券に区分される負債証券は公正価値で計上されており、未実現評価損益は損益に含まれています。満期保有目的の負債証券は償却原価で計上されています。売却可能証券又は満期保有目的の個々の証券について、一時的な減損を認識した場合を除き公正価値まで評価減を損益に計上しています。実現した売却損益は平均原価法により計算し損益に反映しています。
ソニーは、個々の負債証券の一時的でない減損を判定するため、投資ポートフォリオを定期的に評価しています。公正価値の下落が一時的であるか否かを判断するにあたっては、公正価値が取得原価を下回っている期間及びその程度、発行企業の財政状態、業績、事業計画及び将来見積キャッシュ・フロー、公正価値に影響するその他特定要因、発行企業の信用リスクの増大、ソブリンリスクならびに公正価値の回復が見込まれるのに十分な期間までソニーが保有し続けることができるか否かなどを考慮します。
売却可能証券に区分された負債証券の減損の判定において、公正価値が長期間(通常6ヵ月間)取得価額に比べ20%以上下落した場合、その公正価値の下落が一時的でないと推定されます。この基準は、その公正価値の下落が一時的でない有価証券を判定する兆候として採用されています。公正価値の下落が一時的でないと推定された場合でも、下落期間又は下落率を上回る、公正価値の下落が一時的であることを裏付ける十分な根拠があれば、この下落は一時的であると判断されます。一方で、公正価値の下落が20%未満又は長期間下落していない場合でも、公正価値の下落が一時的でないことを示す特定要因が存在する場合には、減損が認識されることがあります。
満期保有目的の負債証券に一時的でない減損が発生した場合、損益に認識される一時的でない減損の金額は、この負債証券を売却する意思があるかどうか、又は償却原価まで価値を回復する前にこの負債証券の売却が必要となる可能性の方が高いかどうかに左右されます。負債証券がこのいずれかの基準を満たす場合、損益に認識される一時的でない減損金額は、減損測定日における負債証券の償却原価と公正価値の差額全額です。これらの2つの基準を満たさない負債証券の一時的でない減損については、損益に認識される正味金額は償却原価とソニーの将来キャッシュ・フローの最善の見積りを、負債証券の減損前における計算上の実効金利を用いて割り引くことにより計算される正味現在価値の差額にあたる信用損失です。減損測定日における負債証券の公正価値と正味現在価値の差額は累積その他の包括利益に計上されます。一時的でない減損が損益に認識された負債証券の未実現損益は累積その他の包括利益の独立した項目として計上されます。
6 容易に算定できる公正価値を待たない持分証券
容易に算定できる公正価値を持たない持分証券について、取得原価から減損を控除し、同じ発行体の同一又は類似投資の観察可能な価格変動(秩序ある取引における)を加減した金額で測定しています。容易に算定できる公正価値を持たない持分証券の価値が下落したと評価され、その下落が一時的でないと判断される場合は投資の減損を認識し、公正価値まで評価減を行います。減損の要否の判定は、経営成績、事業計画及び将来の見積キャッシュ・フローなどの要因を考慮して決定されます。公正価値は、割引キャッシュ・フロー、直近の資金調達状況の評価及び類似会社との比較評価などを用いて算定しています。
7 貸倒引当金
回収可能性に疑義のある債権に対して貸倒引当金を計上しています。支払いが遅延している債権に対しては、顧客ごとに未収額の調査を行うことにより、係争あるいはその他回収可能性の問題を有する顧客を把握しています。貸倒引当金の計算にあたり、過去の回収率に加え継続的な信用リスク評価にもとづいて顧客の信用力を判断しています。
8 棚卸資産
ゲーム&ネットワークサービス(以下「G&NS」)分野、音楽分野、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(以下「EP&S」)分野、イメージング&センシング・ソリューション(以下「I&SS」)分野及び映画(繰延映画製作費を除く)分野における棚卸資産は、正味実現可能価額(すなわち、通常の事業過程における見積販売価格から、合理的に予測可能な完成又は処分までの費用を控除した額)を超えない取得原価で評価しており、平均法によって計算しています。
9 未収入金
ソニーは、部品組立業者のために組立部品を含む物品を調達しており、未収入金には、この部品組立業者との間の物品手配に関連する債権を含んでいます。当該債権は関連する再購入の際に決済されます。収益又は利益はこれらの取引において計上されません。ソニーは後に完成品もしくは一部組立品として、棚卸資産を部品組立業者から再購入しています。
10 繰延映画製作費
繰延映画製作費は、映画作品及びテレビ番組の両方にかかる直接製作費、間接製作費及び取得費用を含み、未償却残高あるいは見積公正価値のいずれか低い価額により長期性資産として計上されています。繰延映画製作費の償却及び見積分配金債務の計上は、作品ごとの予想総収益に対する各年度の収益割合に応じて行われます。繰延映画製作費は、ソニーの世界的なチャネル・ネットワークで放映される買付作品から成るテレビ放映権も含み、ライセンス期間が開始されテレビ放映ができる状態にある場合にこれらの放映権が認識されます。テレビ放映権は、未償却残高あるいは正味実現可能価額のいずれか低い価額で表示され、使用見込時期によって短期又は長期性資産として計上されます。テレビ放映権は、使用見込みにもとづき又は適切な場合には耐用年数にわたって定額法にもとづき、償却されますが、複数年でのライセンスとなるスポーツイベントのテレビ放映権は、原則として、関連する予想総収益に対する各年度の広告収入及び視聴料収入の割合にもとづき償却されます。繰延映画製作費の公正価値及びテレビ放映権の正味実現可能価額の計算に使用される見積りは、将来の需要と市況に関する前提条件にもとづき設定され、定期的に見直されています。
11 有形固定資産及び減価償却
有形固定資産は取得原価で表示しています。有形固定資産の減価償却費は定額法を採用し、これらの資産の見積耐用年数(建物及び構築物については2年から50年、機械装置及びその他の有形固定資産については2年から10年の期間)にもとづき、計算しています。多額の更新及び追加投資は、取得原価で資産計上しています。維持費、修繕費及び少額の更新、改良に要した支出は発生時の費用として処理しています。
12 リース
契約開始時点において、ソニーは当該契約がリースを含んでいるかどうかを決定しています。対価の支払いと引き換えに、有形固定資産(識別された資産)の使用を一定期間支配する権利を契約が提供している場合には、その契約にはリースが含まれているものとしています。ソニーの連結貸借対照表上、オペレーティング・リースはオペレーティング・リース使用権資産、1年以内に返済期限の到来する長期オペレーティング・リース負債及び長期オペレーティング・リース負債に含まれています。またソニーの連結貸借対照表上、ファイナンス・リースはファイナンス・リース使用権資産、1年以内に返済期限の到来する長期借入債務及び長期借入債務に含まれています。
使用権資産は、リース期間にわたって原資産を使用する権利を表しており、リース負債はリース契約より発生するリース料の支払にかかる債務を表しています。使用権資産とリース負債は、リース開始日においてリース期間にわたるリース料の現在価値に基づいて認識されます。また使用権資産は、リース開始日以前に発生したリース料と当初直接コストを含んでおり、リース・インセンティブを除いています。リース料の現在価値を計算するにあたって、大部分のリースについてリースの計算利子率は入手可能ではないため、ソニーは通常、借手の追加借入利子率を使用しています。ソニーは、リース開始日におけるそれぞれの国や地域の経済状況及びリース期間を考慮した上で、担保付借入の見積利子率をもとに借手の追加借入利子率を決定しています。リースを延長又は終了させる契約上のオプションの行使が合理的に確実な場合、リース期間は当該オプションを含みます。貸借対照表上で認識されたオペレーティング・リースにかかるリース費用は、リース期間にわたって定額認識されます。ソニーは、全ての原資産の種類において、リース構成要素と非リース構成要素を単一のリース構成要素として会計処理しています。リース期間が1年以内のリースについて、ソニーは短期リースの例外措置を適用しており、使用権資産及びリース負債を認識せず費用を定額で認識しています。
2019年4月1日において、ソニーは比較年度の表示・開示を修正再表示しない修正遡及法によって、リース会計を変更する会計基準アップデート(Accounting Standards Update、以下「ASU」)2016-02を適用しました。ASU 2016-02適用前の2018年度以前において、オペレーティング・リースにかかる使用権資産とリース負債は、ソニーの連結貸借対照表上で認識されていませんでした。この新会計基準の適用がソニーの業績及び財政状態に与えた詳細な影響については、注記3(2) 新会計基準の適用をご参照ください。
13 営業権及びその他の無形固定資産
営業権及び耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産は、年1回第4四半期及び減損の可能性を示す事象又は状況の変化が生じた時点で減損の判定を行います。事象又は状況の変化とは、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動などで、それらはマネジメントにより定期的に見直されています。
2019年度第4四半期において、ソニーは営業権の定性的評価を行わず、報告単位の公正価値とその報告単位の営業権を含む帳簿価額の比較による定量的手続を行いました。報告単位とは、ソニーの場合、オペレーティング・セグメントあるいはその一段階下のレベルを指します。報告単位の公正価値がその帳簿価額を上回る場合、その報告単位の営業権について減損損失は認識されません。報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合には、報告単位に配分された営業権の総額を超えない範囲で、その超過分を減損損失として認識します。耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産の減損判定では、公正価値と帳簿価額を比較し、帳簿価額がその公正価値を超過する場合には、その超過分を減損損失として認識します。
報告単位及び非償却性無形固定資産の公正価値は通常、割引キャッシュ・フロー分析により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続成長率、利益倍率、類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定等多くの見積り及び前提を使用します。営業権を持たない報告単位も含めて、報告単位の公正価値の総額に対するソニーの時価総額を考慮し、適切なコントロール・プレミアムとともに、個々の報告単位に配分されない全社に帰属する資産と負債も考慮します。
将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)に使用される前提は、それぞれの報告単位における見込み及び中期計画にもとづいており、過去の経験、市場及び産業データ、現在及び見込まれる経済状況を考慮しています。永続成長率は主に中期計画の3ヵ年予測期間後のターミナル・バリューを決定するために使用されています。映画分野の報告単位など、特定の報告単位においては、より長い見込期間、及び予測期間最終年度の見積キャッシュ・フローに適用される利益倍率を用いた出口価格に、コントロール・プレミアムを加味して算定されたターミナル・バリューを使用しています。割引率は類似企業の加重平均資本コストにより算出されています。
マネジメントは、営業権の減損判定における公正価値の見積りに用いられた前提は、新型コロナウイルス感染拡大による潜在的な影響などを含め、合理的であると考えています。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大により影響を受ける期間や度合いは不確実であり、今後の事態の進展によってはソニーの見積りや前提に変動をもたらす可能性があります。またこれらの見積りが実績と乖離する可能性があります。結果として、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、将来キャッシュ・フローや公正価値の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、将来においてソニーが営業権及びその他の無形固定資産の減損損失を認識することになる可能性があります。
報告単位の一部が売却される場合、営業権は相対的公正価値法により売却される事業に按分されます。
償却対象となる無形固定資産は、主に特許権、ノウハウ、ライセンス契約、顧客関係、商標、販売、リースその他の方法で市場に出されるソフトウェア、社内利用ソフトウェア、ミュージック・カタログ、アーティスト・コントラクト、テレビ放送委託契約からなっています。特許権、ノウハウ、ライセンス契約、商標、販売用ソフトウェア及び社内利用ソフトウェアは、主に、3年から10年の期間で均等償却しています。顧客関係、ミュージック・カタログ、アーティスト・コントラクト及びテレビ放送委託契約は、主に、10年から44年の期間で均等償却しています。
14 資産計上したソフトウェア
販売、リースその他の方法で市場に出されるソフトウェアの技術的実現可能性を確立することに関連して発生した費用は、その発生時点において、研究開発費として売上原価に計上しています。技術的実現可能性が確立した後、ソフトウェアの完成までに発生した費用については資産計上するとともに、おおむね3年のソフトウェアの見積耐用年数にわたって償却し、売上原価で計上しています。ゲームのソフトウェアの技術的実現可能性は、プロダクトマスターが完成したときに確立します。それ以前に発生した開発費の資産化は、開発の早期段階において技術的実現可能性があると認められるものに限定しています。ソフトウェアの未償却原価については、関連するソフトウェア製品の将来の収益獲得により回収可能であるかについて、決算日にて定期的な見直しを行っています。
アプリケーション開発段階で社内利用ソフトウェアのために発生した費用は、資産計上するとともに、見積耐用年数にわたって定額法で主に販売費及び一般管理費として償却しています。初期プロジェクト段階及び導入後に発生した費用は発生時に費用計上しています。
15 繰延保険契約費
新規保険契約の獲得もしくは保険契約の更新に直接関連し、かつそれに応じて変動する費用のうち、回収できると認められるものについては繰り延べています。繰り延べの対象となる新規契約費用は、保険契約募集手数料(費用)、診査及び調査費用等から構成されます。繰延保険契約費については、資産計上した金額が見込粗利益又は保険料から保険給付金及び事業費を控除した額の現在価値を超えていないことを検証するために、少なくとも年1回、回収テストが行われます。伝統的保険商品に関する繰延費用は、保険契約債務の計算と共通の基礎数値を用いて関連する保険契約の保険料払込期間にわたり償却されます。非伝統的保険商品に関する繰延費用は、見積期間にわたり関連する保険契約の見積粗利益の現在価値に基づく一定の比率により償却されます。見積粗利益の現在価値算定における重要な前提条件として資産運用利回り、死亡率、解約率及び割引率などを使用しています。
16 製品保証引当金
ソニーは、収益認識時点で製品保証引当金を計上しています。製品保証引当金は、売上高、見積故障率及び修理単位あたりのアフターサービス費の見積額にもとづいて計算されています。製品保証引当金の計算に用いられた見積り・予測は定期的に見直されています。
17 保険契約債務
保険契約債務は、保険契約者に対する将来の予測支払額の現在価値として計上されています。これらの債務は将来の資産運用利回り、罹患率、死亡率及び契約脱退率等の要因についての予測にもとづき平準純保険料式の評価方法により算定されます。これらの見積り・予測は定期的に検証されています。また、保険契約債務には一部の非伝統的な生命保険及び年金保険契約における最低保証給付に対する債務を含んでいます。なお、このうち一部の保険契約債務には公正価値オプションを適用しています。
18 生命保険ビジネスにおける契約者勘定
生命保険ビジネスにおける契約者勘定に関する負債は、貸借対照表日時点での契約者の給付に生じた契約の価値を表しています。負債は一般的に累積的な積立額に付与利息を加え、契約者の引出額と残高に対して課せられるその他の手数料を差し引いたものです。生命保険ビジネスにおける契約者勘定には最低保証が付帯する変額年金保険契約及び変額保険契約に関する債務を含んでいます。また、このうち一部の生命保険ビジネスにおける契約者勘定に関する負債には公正価値オプションを適用しています。
19 長期性資産の減損
ソニーは、営業権及び耐用年数が確定できない無形固定資産を除く、保有して使用される長期性資産及び処分される予定の長期性資産について、個々の資産又は資産グループの帳簿価額が回収できなくなる可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、帳簿価額の回収可能性の見直しを行っています。保有して使用される長期性資産については、個々の資産又は資産グループの帳簿価額と個々の資産又は資産グループの現在価値に割引く前の将来見積キャッシュ・フローを比較することにより減損の有無が検討されます。このキャッシュ・フローが、個々の資産又は資産グループの帳簿価額を下回った場合、帳簿価額が見積もられた公正価値を超過する金額について、減損損失が当年度に認識されます。売却以外の方法で処分される予定の長期性資産は、処分されるまでは保有して使用される資産とみなされます。売却される予定の長期性資産は、帳簿価額又は公正価値から売却費用を差し引いた金額のいずれか小さい金額で計上され、減価償却は行われません。公正価値は将来見積キャッシュ・フロー(純額)の現在価値、又は比較可能な市場価格により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来見積キャッシュ・フローに固有のリスクを反映した割引率、永続価値(ターミナル・バリュー)を決定する際に適用される永続成長率、適切な市場における比較対象の決定、比較対象に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定など多くの見積り・前提を使用します。
マネジメントは将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積りは、新型コロナウイルス感染拡大による潜在的な影響などを含め、合理的であると考えています。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大により影響を受ける期間や度合いは不確実であり、今後の事態の進展によってはソニーの見積りや前提に変動をもたらす可能性があります。またこれらの見積りが実績と乖離する可能性があります。結果として、ソニーのビジネスや前提条件の予測不能な変化によって見積りが変更となることにより、将来キャッシュ・フローや公正価値が減少し、長期性資産の評価に悪影響を与える可能性があります。
20 公正価値による測定
ソニーは、測定日に市場参加者間で行われる通常の取引において、資産の譲渡の対価として受け取ると想定される金額又は負債を移転する際に支払うと想定される金額である出口価格にもとづき公正価値を測定しています。
ソニーは、銀行ビジネスに含まれる子会社が保有する一部の外貨建有価証券に対して、公正価値オプションを適用しております。これは、外貨建有価証券から生じる換算差額を損益に計上することを認めることにより、為替レートの変動に関する会計上のミスマッチを軽減するためです。
また、通常は公正価値で測定されない一部の保険契約債務及び生命保険ビジネスにおける契約者勘定に対して、公正価値オプションを適用しております。これは、変額年金保険契約のうち最低保証が付帯する契約の最低保証リスクの変動に伴う保険契約債務及び契約者勘定の公正価値の変動と、保険契約者のために運用する裏付投資資産及びデリバティブ取引の公正価値の変動を減殺することを目的としております。なお、公正価値の変動のうち信用リスクの変動から生じる公正価値の変動部分は、一部の子会社の格付けに応じた信用スプレッドに基づいて算定され、税効果控除後の金額でその他の包括利益に認識されています。
公正価値による測定に関する会計基準は、市場における観察可能性の程度にもとづき、評価に使用する基礎データの階層を決定しています。観察可能な基礎データは、独立した情報源から入手した市場データを反映したものですが、観察不能な基礎データは、市場参加者が資産あるいは負債を評価する際に通常使用すると想定される仮定を用いてソニーが独自に推定しているものです。過大なコストや手間をかけない範囲で観察可能な市場データが利用可能である場合には、観察可能な市場データが利用されています。全ての公正価値は下記3段階のレベルのいずれかで報告されますが、報告されるレベルは公正価値の測定に重要な影響を及ぼす基礎データのレベルのうち最も低いレベルにもとづき決定されます。公正価値の3段階のレベルは次のとおりです。
レベル1
重要な基礎データが活発な市場における同一の資産・負債の未調整の取引価格
レベル2
重要な基礎データがレベル1以外の観察可能なデータ
例えば、活発な市場における類似商品の取引価格、活発でない市場における同一又は類似商品の取引価格、全ての重要な基礎データが活発な市場で観察可能な場合のモデル計算による評価が含まれています。
レベル3
1つあるいは複数の重要な基礎データが観察不能
ソニーは、活発な市場における取引価格が調整を加えることなく利用可能である場合には、それを利用して公正価値の測定を行い、その項目をレベル1に分類しています。取引価格が利用できない場合には、金利、為替レート、オプションのボラティリティ等、直近の市場もしくは独立した情報源から入手した市場パラメータを使用し、ソニー内部で組成した評価手法にもとづいて公正価値を測定しています。ソニー内部で組成したモデルを使用して評価した項目は、評価に使用した重要な基礎データのうち、最も低いレベルに合わせてレベルの分類が行われます。一部の金融資産・負債については、ソニー内部で組成した価格との比較検証を含む評価手続にもとづいて、証券業者から得た指標価格や投資顧問会社から入手した定性的な基礎データ等の第三者の価格を使用し、公正価値を測定しています。また、ソニーは公正価値を測定する際に、取引相手及びソニーの信用力を考慮しています。ソニーは、ネッティング契約の締結や、与信限度の設定を通じ信用リスクの残高及び取引相手の信用力を積極的にモニターすることに加え、取引相手を各国の大手銀行や主要な金融機関に限定することにより、第三者に対する信用リスクを軽減する努力をしています。
レベル間の移動は、移動が生じた各四半期連結会計期間の期首に生じたとみなしています。
21 デリバティブ
全てのデリバティブは公正価値により連結貸借対照表上、資産又は負債として総額で計上されています。デリバティブの公正価値の変動は、対象となるデリバティブがヘッジとして適格であるか否か、また適格であるならば公正価値変動もしくはキャッシュ・フロー変動のいずれをヘッジするために利用されているかにもとづき、直ちに損益もしくは累積その他の包括利益の一部として資本の部に計上されています。
特定の複合金融商品に関する会計基準は、デリバティブ商品及びヘッジ活動に関する会計基準にもとづき、分離して個別に会計処理することが要求される組込デリバティブを内包するあらゆる複合金融商品について、公正価値の再評価を選択することを認めるものです。公正価値評価方法の選択は、個別の金融商品ごとに認められ、一度選択した評価方法は変更することができません。一部の金融子会社が保有していた組込デリバティブをともなう複合金融商品は、複合金融商品全体として公正価値で評価しています。複合金融商品は、負債証券として注記8に記載されています。
ソニーが保有するデリバティブはデリバティブ商品及びヘッジ活動に関する会計基準にもとづき、下記のとおり区分され、会計処理されています。
公正価値ヘッジ
認識された資産及び負債、又は未認識の確定約定の公正価値変動に対するヘッジとして指定されているデリバティブの公正価値変動は損益に計上され、関連するヘッジ対象資産及び負債の公正価値変動による損益を相殺しています。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
予定取引、又は認識された資産もしくは負債に関連するキャッシュ・フロー変動リスクに対するヘッジとして指定されているデリバティブの公正価値変動は当初、その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時に損益に振替えられています。オプション契約の公正価値に含まれる時間的価値部分は、ヘッジの有効性の評価から除外され、ヘッジ手段の契約期間にわたって定額で費用に認識されます。時間的価値部分の公正価値の変動と定額で費用に認識された金額の累計との差額は、その他の包括利益に認識されます。
ヘッジとして指定されていないデリバティブ
ヘッジとして指定されていないデリバティブの公正価値変動は直ちに損益に計上されています。
ヘッジの有効性の評価
ヘッジ会計を適用する場合には、ソニーは様々なヘッジ活動を行う際のリスク管理目的及び方針を文書化するとともに、ヘッジとして指定される全てのデリバティブとヘッジ対象との間のヘッジ関係を文書化しています。ソニーは公正価値ヘッジもしくはキャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されるデリバティブを連結貸借対照表上の特定の資産及び負債、又は特定の予定取引と紐付けています。ソニーはまた、ヘッジの開始時及び継続期間中において、ヘッジとして指定されたデリバティブがヘッジ対象の公正価値変動もしくはキャッシュ・フロー変動を相殺するのに高度に有効かどうかの評価を行っています。デリバティブがヘッジとして高度に有効でないと認められた場合には、ヘッジ会計は中止されます。
22 株価連動型報奨制度
ソニーは、株式報酬に関する会計基準にしたがい、株価連動型報奨制度について、公正価値にもとづく評価方法による費用処理を行っています。この費用は主に販売費及び一般管理費として計上されています。ストック・オプションプランの公正価値は、ブラック・ショールズ・オプション・プライシング・モデルを使用し、付与日時点で測定されています。ソニーは見積失効率を控除し、役務提供を受けた期間にわたって、段階的に権利が確定するストック・オプションプランの費用を認識しています。失効率は権利確定期間の大半が経過したストック・オプションプランの経験値にもとづいて見積もられています。
23 収益認識
ソニーは顧客との契約において約束した財又はサービスを顧客へ移転する履行義務を充足した時に、当該財又はサービスとの交換に権利を得ると見込んでいる対価を反映する金額で収益を認識します。これは、以下の5つのステップを用いて適用されます。
ステップ1.顧客との契約を識別する。
ステップ2.契約における履行義務を識別する。
ステップ3.取引価格を算定する。
ステップ4.取引価格を契約における履行義務に配分する。
ステップ5.ソニーが履行義務を充足した時に(又は充足するにつれて)収益を認識する。
ソニーはいくつかの分野において多様な知的財産を保有しており、その知的財産のライセンスによる収益を認識します。ソニーは機能的知的財産及び象徴的知的財産の両方を保有しています。機能的知的財産のライセンスは、供与する時点で存在するソニーの知的財産を使用する権利を与えるものであり、ソニーは顧客が支配を獲得し、そのライセンスからの便益を享受する権利を得た時点で履行義務を充足します。象徴的知的財産のライセンスは、一定の期間にわたってソニーの知的財産にアクセスする権利を与えるものであり、ソニーはその知的財産を維持するライセンス期間にわたって履行義務を充足します。
ソニーは契約獲得の増分コスト及び契約を履行するためのコストを回収すると見込んでいる場合には、当該コストを資産として認識します。契約獲得の増分コストは、当該契約を獲得しなければ発生しなかったものです。契約を履行するためのコストは、契約又は予想される契約に直接関連しており、ソニーが履行義務を充足するために使用する資源を創出もしくは増価するものです。ソニーは実務上の便法を適用しており、資産として認識するはずの契約獲得の増分コストの償却期間が1年以内である場合には、発生時に費用として認識します。
EP&S及びI&SS分野においては、顧客との契約における履行義務とは、主には、様々なエレクトロニクス製品・部品を顧客に引き渡すことです。一般的に、かかる履行義務から生じる収益は、約束された製品・部品を顧客に引き渡した時点で認識します。ただし、顧客との契約上、顧客による検収についての定めが存在する場合、顧客が検収を完了した時点又は検収猶予期間が終了し検収がなされたとみなされた時点で収益を認識します。また、インターネット関連サービスを利用者に提供する契約においては、加入契約期間にわたって収益を認識します。なお、予想される返品及びセールス・インセンティブが控除された後の純額で収益は認識されます。
G&NS分野においては、ハードウェア、周辺機器及びソフトウェアディスクからの収益は、小売事業者又は販売業者へ支配を移転することによって履行義務を充足した時に、予想される返品、セールス・インセンティブ及び広告協賛金が控除された後の純額で認識されます。開発・販売事業者へのプラットフォームライセンスからの収益は、ソフトウェアディスクが引き渡された時に認識されます。また、ライセンス供与された機能的知的財産であるデジタルゲームコンテンツからの収益は、オンラインプラットフォームを通じたデジタルコンテンツがライセンシーによって使用可能になった時に、予想されるセールス・インセンティブ及びクレジットカード会社への支払いが控除された後の純額で認識されます。将来にコンテンツを利用可能にする履行義務などの複数の履行義務に関連するデジタルゲームコンテンツからの収益は、市場において観察可能な独立販売価格もしくはソニーの最善の見積りである独立販売価格にもとづき各履行義務に配分されます。サブスクリプション方式による収益は、その加入契約期間に応じて認識されます。
音楽分野においては、ライセンスが供与される時点で存在するソニーの知的財産を使用する権利を顧客に与える知的財産のライセンス、もしくはライセンス期間にわたって存在するソニーの知的財産にアクセスする権利を与える知的財産のライセンスを行っています。これらの収益は、顧客が知的財産を使用する権利もしくはアクセスする権利を保有し、そのライセンスの使用又はアクセスのための支配を獲得した時に認識されます。デジタルコンテンツからの収益は、デジタルストリーミングサービス契約からの収益が含まれており、デジタルストリーミングサービスは契約期間にわたって更新され続けるコンテンツライブラリにおける知的財産への継続的なアクセス権として通常は別個の履行義務として認識されます。これは、(1)別のコンテンツに置き換える必要も、ロイヤルティに関するミニマムギャランティへの影響もなく、特定のコンテンツの削除ができるビジネス上の慣行や契約上の権利、及び(2)ライセンス対象に特定のコンテンツリストを含まない契約であることに基づいています。これらの契約からの収益は、契約期間にわたって定額法で認識される固定収入もしくは回収されることのないロイヤルティに関するミニマムギャランティがある場合を除いて、売上高及び使用量ベースのロイヤルティ収入にもとづき認識されます。CDなどの製品売上からの収益は、物品が移転し販売業者が販売可能となった時点で、予想される返品及びセールス・インセンティブが控除された後の純額で認識されます。
映画分野においては、劇場映画収益は、劇場での上映に合わせて認識されます。映画作品及びテレビ番組の放映にかかるライセンス契約による収益はライセンシーによって作品が放映可能となった時点で認識されます。複数の作品、地域、放映可能期間などの要素を持つ複数の履行義務に関わる映画作品及びテレビ番組の放映にかかるライセンス契約による収益は、市場環境や価格設定における内部規定などにもとづくソニーの最善の見積りによって各履行義務に配分されます。配給される各映画やテレビ番組は一般に別個の履行義務と識別されます。映画製作及びテレビ番組制作における現行契約の特定の更新又は延長に関連するライセンス収益は、ライセンシーがその更改や延長されたコンテンツを使用し便益を享受する時に、認識されます。象徴的知的財産に対するミニマムギャランティに関連するライセンス収益は、ライセンス期間にわたって一定の比率で認識されます。ホームエンタテインメント用のDVD及びブルーレイディスクにかかる収益は、物品が移転し販売業者が販売可能となった時点で、予想される返品及びセールス・インセンティブが控除された後の純額で認識されます。デジタルダウンロード及びビデオ・オン・デマンドからの収益は、作品がデジタル配信プラットフォームで閲覧可能となった時点で収益を認識します。テレビ広告収入は、広告が放映された時点で認識され、この収益に関わる履行義務は広告掲載の提供であり、インプレッション保証型広告を含む場合があります。もし保証した広告表示回数に達しなかった場合は、その広告表示回数を満たすための追加の広告掲載が行われるまで認識されません。テレビチャネルネットワークに支払われた有料放送料金は、サービスが提供された時点で収益が認識されます。この収益に関わる履行義務は機能的知的財産のライセンス提供で、契約期間にわたって番組が提供されるにつれて充足されます。
生命保険子会社が引受ける伝統的保険契約は、ほとんどが長期契約に分類され、主に終身保険、定期保険及び傷害・医療保険契約から構成されています。これらの契約から稼得する保険料収入は、保険契約者からの払込の期日が到来した時点で、収益として認識しています。
利率変動型終身保険、個人年金保険及び生命保険リスクのないその他の保険契約等非伝統的保険契約から受入れた保険料は、生命保険ビジネスにおける契約者勘定に計上しています。これら保険契約から稼得する収益は、保険契約期間にわたり認識される契約管理手数料からなり、金融ビジネス収入に含まれています。
損害保険子会社が引受ける保険契約は、短期契約に分類され、主に自動車保険契約から構成されています。これらの契約から稼得する保険料収入は、保険契約の期間にわたり保障金額の比率に応じて認識しています。
収益は、通常、顧客から徴収し政府機関へ納付される税金が控除された後の純額で認識されます。
24 売上原価
売上原価に分類される費用は製品の製作と生産に関連するもので、材料費、外注加工費、有形固定資産の減価償却費、無形固定資産の償却費、人件費、研究開発費ならびに映画作品及びテレビ番組に関連する繰延映画製作費の償却費などが含まれます。
25 研究開発費
研究開発費は売上原価に計上されており、研究及び製品の開発にかかる人件費、またその他の直接経費及び間接経費などが含まれます。
研究開発費は発生時に費用化しています。
26 販売費及び一般管理費
販売費に分類される費用は製品の販売促進と販売にかかる費用で、広告宣伝費、販売促進費、運賃、製品保証費用などが含まれます。
一般管理費には役員報酬、人件費、有形固定資産の減価償却費、販売、マーケティング及び管理部門のオフィス賃借料、貸倒引当金繰入額ならびに無形固定資産の償却費などが含まれます。
27 金融ビジネス費用
金融ビジネス費用は、責任準備金の繰入額、繰延保険契約費の償却の他、金融ビジネス子会社の人件費、有形固定資産の減価償却費及び支払賃借料等の営業費用を含んでいます。
28 広告宣伝費
広告宣伝費は選定されたメディアにおいて広告宣伝が行われた時点で費用化しています。
29 物流費用
製品の運賃、荷役料、保管料及びソニーグループ内の運搬費用等の大部分は販売費及び一般管理費に含まれています。例外として、映画分野では、映画の製作又はテレビ番組の制作、及びこれらの配給に必要な構成要素として、上記の費用は売上原価に計上されています。原材料や仕掛品の運賃、仕入受取費用、検査費用及び保管料等のソニーの物流ネットワークに関わるその他の全ての費用は売上原価に含まれています。顧客が物品の支配を獲得した後に実行される発送活動は、約束された物品の移転とは別個の履行義務とみなされます。また、顧客が負担する物流費用は純売上高に含まれています。
30 法人税等
法人税等は、連結損益計算書の税引前利益、子会社及び持分法適用会社の将来配当することを予定している未分配利益について計上される繰延税金負債にもとづいて計算されています。資産・負債の帳簿価額と税務上の価額との間の一時差異に対する繰延税効果について、資産・負債法を用いて繰延税金資産・負債を認識しています。
繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠にもとづいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されます。したがって、繰延税金資産にかかる評価性引当金計上の要否は、繰延税金資産の回収可能性に関連するあらゆる肯定的及び否定的証拠を適切に検討することにより定期的に評価されます。この評価に関するマネジメントの判断は、それぞれの税務管轄ごとの当期及び累積損失の性質、頻度及び重要性、不確実な税務ポジションを考慮した将来の収益性予測、税務上の簿価を超える資産評価額、繰越欠損金の法定繰越可能期間、過去における繰越欠損金の法定繰越可能期間内の使用実績、繰越欠損金及び繰越税額控除の期限切れを防ぐために実行される慎重かつ実行可能な税務戦略を特に考慮します。
ソニーは、税務申告において採用した、あるいは採用する予定の不確実な税務ポジションに起因する未認識の税務ベネフィットに関する資産・負債を計上しています。ソニーは、未認識税務ベネフィットを含む法人税等に関する利息と罰金を、連結損益計算書の支払利息と法人税等にそれぞれ含めています。ソニーの納税額は、様々な税務当局による継続的な調査によって、更正処分などの影響を受ける可能性があります。加えて、いくつかの重要な移転価格税制の案件に関する事前確認申出を受けて、それぞれの国の税務当局同士が現在交渉しています。不確実な税務ポジションから起こり得る結果に対するソニーの見積りは、判断を必要とし、また高度な見積りが要求されます。ソニーは、税務調査の対象となる全ての年度の税務ポジションについて、決算日における事実、状況、及び入手可能な証拠にもとづき評価し、税務ベネフィットを計上しています。ソニーは、税務調査において50%超の可能性をもって認められる税務ポジションに関する税務ベネフィットについて、完全な知識を有する税務当局との合意において50%超の可能性で実現が期待される金額を計上しています。ソニーは、50%以上の可能性で認められないと考えられる場合には、税務ベネフィットを計上していません。しかしながら、税務調査の終了、異なる税務管轄の税務当局間の交渉の結果、新しい法規や判例の公表、又は、その他の関連事象による、税金債務の見積りの減額又は増額によって、ソニーの将来の業績は、影響を受ける可能性があります。結果として、ソニーの未認識税務ベネフィットの金額及び実効税率は、大きく変動する可能性があります。
2017年度における米国税制改革法により、米国法人は、その米国外子会社が稼得したグローバル無形資産低課税所得(Global Intangible Low Tax Income、以下「GILTI」)に対して課税されます。ソニーは、GILTIを発生時に期間費用として会計処理する方法を採用しています。
31 1株当たり当社株主に帰属する当期純利益(損失)(以下「EPS」)
基本的EPSは各算定期間の普通株式の加重平均発行済株式数にもとづいて計算されます。希薄化後EPSは、新株発行をもたらす権利の行使や約定の履行あるいは新株への転換によって起こる希薄化の影響を考慮して計算されます。当社株主に帰属する当期純損失の場合は全ての潜在株式をこの計算から除いています。
(2) 新会計基準の適用
リース
2016年2月、米国財務会計基準審議会(Financial Accounting Standards Board、以下「FASB」)はリース会計基準を変更するASU 2016-02を公表しました。このASUは、ほとんど全てのリース契約を貸借対照表上で認識することを要求しています。
ソニーはこのASUを、新基準適用時の比較年度の表示・開示を修正再表示しない修正遡及法によって2019年4月1日から適用しました。ソニーは、このASUで認められている移行時の一連の免除措置を適用したため、適用日前に契約満了又は存在しているリース契約について、リースに該当するか否かの検討、リースの分類、直接コストの資産化について再評価していません。また、短期リースの例外措置を適用しました。
このASUの適用により、2019年4月1日時点の連結財務諸表においてオペレーティング・リースに係る使用権資産を316,923百万円、リース負債を341,251百万円認識しました。これは、主に不動産に関連するオペレーティング・リース契約の影響によるものです。なお、使用権資産とリース負債の差額24,328百万円は主に繰延賃借料の影響によるもので、期首時点の繰延賃借料残高は使用権資産から控除されています。また、連結貸借対照表上、ファイナンス・リースに係る使用権資産は、2018年度は有形固定資産の内訳として表示していますが、2019年度からファイナンス・リース使用権資産として表示しています。
購入した繰上償還可能な負債証券のプレミアムの償却
2017年3月、FASBはASU 2017-08を公表しました。このASUは、繰上償還可能な負債証券の特定のプレミアムを最も早い償還日までの期間にわたって償却することを要求しています。ディスカウントで購入した繰上償還可能な負債証券の償却期間は影響を受けません。ソニーは、2019年4月1日からこのASUを適用しています。このASUの適用がソニーの業績及び財政状態に与える重要な影響はありませんでした。
ヘッジ活動に関する会計処理の改訂
2017年8月、FASBはヘッジ活動に関する会計処理の改訂に関するASU 2017-12を公表しました。このASUは、特定の状況における非財務及び財務リスクに関するヘッジ会計の適用を簡素化し、企業のリスクマネジメント活動とヘッジ会計の結果を、より適切に整合させることを目的としています。このASUはさらに、一部のヘッジ会計に関する連結財務諸表上の表示及び開示と、ヘッジの有効性の評価についても改訂しています。ソニーは、2019年4月1日からこのASUを適用しています。このASUの適用がソニーの業績及び財政状態に与える重要な影響はありませんでした。
(3) 最近公表された会計基準
金融商品の信用損失の測定
2016年6月、FASBは金融商品の信用損失の測定に関する基準を変更するASU 2016-13を公表しました。このASUは、金融商品の信用損失の測定にあたり、過去の損失実績、現在の状況、将来の状況の予測及び予測される信用損失など関連する全ての情報を考慮することを要求しています。このASUは、2020年4月1日からソニーに適用されます。このASUの適用は、ソニーの業績及び財政状態に重要な影響を与えないと予想されています。
映画製作費及び番組コンテンツのライセンス契約に関する改訂
2019年3月、FASBは映画製作費及び番組コンテンツのライセンス契約に関する会計処理を変更するASU 2019-02を公表しました。このASUは、テレビ番組制作費用の資産化にかかるガイダンスを改訂し、テレビ放映権の減損にあたっては正味実現可能価額ではなく、公正価値を用いるように要求しています。また、映画製作費及びテレビ放映権の表示及び開示要求を改訂しています。加えて繰延映画製作費の計上にあたっては、主要な収益戦略が個々の作品か、ストリーミング配信のライブラリに加えるための映画公開のように、他の映画や放映権と合わせた資産グループかを定性的に判断することが要求されます。資産グループの場合、減損は個々の作品ではなく資産グループで判定されます。このASUは、2020年4月1日から将来に向かってソニーに適用されます。このASUの適用により、ソニーは棚卸資産に含まれていた映画分野におけるテレビ放映権約241億円及び音楽分野におけるアニメーション作品制作費約74億円を繰延映画製作費に含めて開示します。
長期保険契約に関する会計処理の改訂
2018年8月、FASBは長期保険契約に関する会計処理の改訂に関するASU 2018-12を公表しました。また、2019年11月、FASBはASU 2019-09を公表し、ASU 2018-12の適用日を2022年1月1日に延期しました。このASUは、長期保険契約の認識及び測定、また見積りの方法について包括的な変更を要求しています。また重要な定性的、及び定量的な追加の開示を要求しています。このASUは、2022年4月1日からソニーに適用されます。このASUの適用がソニーの業績及び財政状態に与える影響は評価中です。
公正価値測定に関する開示
2018年8月、FASBは公正価値測定に関する開示規定を改訂するASU 2018-13を公表しました。このASUは、2020年4月1日からソニーに適用されます。このASUは、開示への影響のみであるため、このASUの適用がソニーの業績及び財政状態に与える影響はありません。
確定給付制度に関する開示
2018年8月、FASBは確定給付年金制度及びその他の退職給付制度に関する開示規定を改訂するASU 2018-14を公表しました。このASUは、2020年4月1日からソニーに遡及適用されます。このASUは、開示への影響のみであるため、このASUの適用がソニーの業績及び財政状態に与える影響はありません。
法人税等に関する会計処理の改訂
2019年12月、FASBは法人所得税に関する会計処理を簡素化するASU 2019-12を公表しました。このASUは、2021年4月1日からソニーに適用されます。当該ASUのうち一部の改訂は、比較期間を遡及的に修正する方法又は適用日時点の累積的影響額を遡及的に認識する方法を要求しています。それを除き当該改訂は、適用年度から将来に向かって適用することを要求しています。このASUの適用がソニーの業績及び財政状態に与える影響は評価中です。
金利指標改革
2020年3月、FASBは金利指標改革によって影響を受ける特定の契約に対して任意の救済措置を提供するASU 2020-04を公表しました。このASUは2022年12月31日までの間の任意の時点で適用することが認められています。ソニーは金利指標改革の影響及びこのASUを適用するかどうかはまだ評価中です。
(4) 勘定科目の組替再表示
2018年度にかかる連結財務諸表の一部の金額を、2019年度の表示に合わせて組替再表示しています。
4 棚卸資産
棚卸資産の内訳は次のとおりです。
2019年3月31日2020年3月31日
項目金額(百万円)金額(百万円)
製品407,295345,231
仕掛品154,178149,969
原材料・購入部品91,80594,769
653,278589,969

5 繰延映画製作費
繰延映画製作費の内訳は次のとおりです。
2019年3月31日2020年3月31日
項目金額(百万円)金額(百万円)
映画製作:
既公開87,15899,482
完成、未公開3,18918,776
製作・開発中130,73667,199
テレビ製作:
既公開144,316186,344
製作・開発中9,14725,093
テレビ放映権70,40161,959
控除: 棚卸資産に含まれる1年以内償却予定のテレビ放映権等△35,942△31,517
409,005427,336

ソニーは、2020年3月31日現在の既公開作品にかかる未償却残高のうち約92%が、3年以内に償却されると見積もっています。2020年3月31日現在の既公開及び完成作品にかかる繰延映画製作費のうち約217,000百万円は1年以内に償却される予定です。また、未払金・未払費用に含まれる未払分配金債務約163,000百万円は1年以内に支払われる予定です。
6 関連会社に対する投資
投資先である持分法適用関連会社から提供された重要な持分法適用関連会社の財務情報及び連結財務諸表との調整項目を含む情報にもとづく合算・要約財務情報は次のとおりです。
貸借対照表
区分2019年3月31日2020年3月31日
金額(百万円)金額(百万円)
流動資産355,320389,195
固定資産608,626164,852
流動負債188,905194,219
固定負債及び非支配持分584,71460,469
持分比率20%-50%20%-50%

損益計算書
区分2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
売上高及び営業収入390,457387,678
営業利益53,92058,431
株主に帰属する当期純利益5,53934,916
持分比率20%-50%20%-50%

2018年11月14日、ソニーの完全子会社であるSony Corporation of Americaは、EMI Music Publishingを所有し運営するDH Publishing, L.P.(以下「EMI」)について、ムバダラインベストメントカンパニーが主導するコンソーシアムが保有する約60%の持分全てを取得しました。当該取得にともない、EMIはソニーの完全子会社となりました。詳細については注記25に記載しています。
2020年3月31日現在、ソニーの持分法適用会社であるエムスリー株式会社(以下「エムスリー」)に対するソニーの投資簿価は、エムスリーの純資産に対するソニーの持分相当額を56,140百万円上回っています。この超過額の大部分は、エムスリー残余持分の公正価値への再評価によるものであり、識別可能な有形資産及び無形資産に按分されています。この無形資産は主にエムスリーの医療ウェブ・ポータルに関連しています。超過額のうち特定の資産に按分されなかった残余価値は、投資残高の一部の営業権として認識しています。無形資産として按分された金額は、それぞれの見積耐用年数(主に10年)にわたって定額法で償却し、税効果考慮後の金額を持分法による投資利益に計上しています。
2019年3月31日及び2020年3月31日現在、上記のエムスリーを除き、関連会社の純資産に対するソニーの持分相当額と関連会社に対するソニーの投資簿価との間に重要な差異はありません。
2019年12月19日、ソニーの連結子会社であったSREホールディングス株式会社(以下「SRE」)は東京証券取引所マザーズ市場にその普通株式を上場しました(以下「本上場」)。本上場に際し、ソニーが保有するSRE株式の一部売出し及びSREによる株式の新規発行(以下あわせて「本売出し等」)が行われました。本売出し等にともない、ソニーの保有比率は56.3%から44.5%に低下し、SREはソニーの持分法適用会社となりました。また、本売出し等により、ソニーは2019年度の連結損益計算書上、株式売却後も当社が継続して保有するSRE株式の公正価値に基づく再評価益及び株式売却益の合計である17,266百万円の利益をその他の営業損(益)(純額)に計上しました。
2020年1月29日、ソニーの連結子会社であるソニー生命保険㈱(以下「ソニー生命」)は、ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱及びSA Reinsurance Ltd.(以下あわせて「両合弁会社」)について、AEGON International B.V.が保有する50%の株式の全てを取得しました。当該取得にともない、両合弁会社はソニーの連結子会社となりました。詳細については注記25に記載しています。なお、ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱は、2020年4月1日付で、商号を「ソニーライフ・ウィズ生命保険株式会社」に変更しております。
いくつかの関連会社は、東京証券取引所に上場しており、2020年3月31日現在、これらに対するソニーの投資簿価と市場価格の総額はそれぞれ141,508百万円及び756,073百万円です。
2019年3月31日及び2020年3月31日現在、持分法適用関連会社の数は、それぞれ133社及び140社です。
持分法適用関連会社との取引残高及び取引高は次のとおりです。その他の関連当事者との重要な取引高又は取引残高はありません。
2019年3月31日2020年3月31日
科目金額(百万円)金額(百万円)
売掛金12,40412,030
未収入金1341,589
その他の流動資産339,757
買掛金1,0871,497
短期借入金29,74431,557
ファイナンス・リース債務等 *20,26534,564
オペレーティング・リース債務-2,393

(注)* ファイナンス・リース債務等は2018年度においてキャピタル・リース未払金として表示していました。
2018年度2019年度
科目金額(百万円)金額(百万円)
売上高41,43735,951
仕入高5,5843,479

日本のリース会社であるSFIリーシング㈱(以下「SFIL」)は、2010年11月の事業分割後、ソニーが34%を保有し持分法を適用しています。2018年度において、ソニーは機械装置の一部についてSFILとの間でセール・アンド・リースバック取引を行いました。
三井倉庫サプライチェーンソリューション㈱は、2015年4月1日のロジスティクス事業の一部売却後、ソニーが34%を保有し持分法を適用しています。2019年3月31日及び2020年3月31日現在、三井倉庫サプライチェーンソリューション㈱とその子会社との取引残高は、それぞれ3,435百万円及び1,181百万円であり、これらは主に未払費用に含まれています。また、2018年度及び2019年度における取引高は、それぞれ10,606百万円及び6,069百万円で、これらは主に販売費及び一般管理費に含まれています。
2018年度及び2019年度における持分法適用関連会社からの配当金は、それぞれ4,948百万円及び4,523百万円です。
7 金融資産の移転
ソニーは主にEP&S分野において複数の売掛債権売却プログラムを設定しています。これらのプログラムにより、ソニーは売掛債権を銀行又はスポンサー銀行に関連する特別目的会社に売却することができます。ソニーは2018年度及び2019年度を通じてそれぞれ合計81,947百万円及び65,214百万円の売掛債権の売却を行いました。これらの取引はソニーが売掛債権に対する支配を放棄したことから、金融資産の譲渡に関する会計基準にもとづき、売却として会計処理されます。ソニーは、債権が営業活動の成果であり、かつ短期的な債権であることから、これらの債権の回収を、連結キャッシュ・フロー計算書上、営業活動によるキャッシュ・フローに含めています。また、これらの取引における売却損益は僅少です。ソニーは売却した売掛債権に対するサービスを継続していますが、売掛債権回収にかかる報酬及びコストは僅少であるため、サービス資産及び負債を計上していません。
上記のうち一部の売掛債権売却プログラムにはVIEが関与しています。(注記24参照)
8 有価証券及び投資有価証券
有価証券及び投資有価証券に含まれる負債証券は主に金融分野に含まれ、そのうち売却可能証券及び満期保有目的証券に区分されるものの取得原価、未実現評価損益及び公正価値は次のとおりです。
項目2019年3月31日2020年3月31日
取得原価
(百万円)
未実現
評価益
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
公正価値
(百万円)
取得原価
(百万円)
未実現
評価益
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
公正価値
(百万円)
負債証券
売却可能証券
日本国債1,422,620220,989△201,643,5891,552,036210,459△5661,761,929
日本地方債67,46170△3467,49769,13273△3369,172
日本社債202,43317,178△223219,388202,16419,112△567220,709
外国国債153,4298,669△603161,495198,77781,014△14279,777
外国社債360,299944△376360,867361,422507△2,179359,750
証券化商品190,1111-190,112205,2230-205,223
その他2,2862,402-4,68814,3981,867△1216,253
2,398,639250,253△1,2562,647,6362,603,152313,032△3,3712,912,813
満期保有目的証券
日本国債6,042,6352,016,786-8,059,4216,204,5052,098,885△1,3978,301,993
日本地方債3,518388-3,9062,504331-2,835
日本社債409,32944,348△5,845447,832482,05061,176△4,754538,472
外国国債386,39218,609△13,742391,259723,937302,297-1,026,234
外国社債19811-209987-105
証券化商品----5,418-△4214,997
6,842,0722,080,142△19,5878,902,6277,418,5122,462,696△6,5729,874,636
合計9,240,7112,330,395△20,84311,550,26310,021,6642,775,728△9,94312,787,449

下記の表は、2020年3月31日現在における売却可能証券及び満期保有目的証券に区分される負債証券の取得原価及び公正価値を、契約上の償還期限別に示したものです。
2020年3月31日売却可能証券満期保有目的証券
取得原価
(百万円)
公正価値
(百万円)
取得原価
(百万円)
公正価値
(百万円)
1年以内145,867146,0846,0756,109
1年超5年以内432,281435,443199,509217,983
5年超10年以内561,098637,363246,072283,086
10年超1,463,9061,693,9236,966,8569,367,458
合計2,603,1522,912,8137,418,5129,874,636

2018年度及び2019年度における売却可能証券の売却収入は、それぞれ66,906百万円及び84,362百万円です。これらの売却収入のうち実現総利益はそれぞれ240百万円及び354百万円であり、実現総損失はそれぞれ475百万円及び128百万円です。
有価証券に含まれる売買目的有価証券の残高は主に金融分野に含まれ、2019年3月31日及び2020年3月31日現在、それぞれ234,117百万円及び270,120百万円あり、ソニーは、2018年度及び2019年度にそれぞれ3,610百万円及び1,705百万円の未実現評価益を計上しました。売買目的有価証券の公正価値の変動は、主に連結損益計算書上、金融ビジネス収入に計上されています。
下記の表は、2019年3月31日及び2020年3月31日現在におけるソニーの保有する投資有価証券のうち、銘柄ごとに継続して未実現評価損となっているものの公正価値と未実現評価損を、投資区分及びその期間別に示したものです。
12ヵ月未満12ヵ月以上合計
2019年3月31日公正価値
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
公正価値
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
公正価値
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
負債証券
売却可能証券
日本国債--4,063△204,063△20
日本地方債27,404△294,872△532,276△34
日本社債25,725△2119,925△20245,650△223
外国国債--15,878△60315,878△603
外国社債50,281△11715,455△25965,736△376
証券化商品------
その他------
103,410△16760,193△1,089163,603△1,256
満期保有目的証券
日本国債------
日本地方債------
日本社債--97,984△5,84597,984△5,845
外国国債--151,229△13,742151,229△13,742
外国社債------
--249,213△19,587249,213△19,587
合計103,410△167309,406△20,676412,816△20,843

12ヵ月未満12ヵ月以上合計
2020年3月31日公正価値
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
公正価値
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
公正価値
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
負債証券
売却可能証券
日本国債51,746△5392,032△2753,778△566
日本地方債25,010△1016,340△2341,350△33
日本社債62,118△54810,694△1972,812△567
外国国債--1,537△141,537△14
外国社債86,220△2,13318,896△46105,116△2,179
証券化商品------
その他12,055△12--12,055△12
237,149△3,24249,499△129286,648△3,371
満期保有目的証券
日本国債134,320△1,397--134,320△1,397
日本地方債------
日本社債98,172△4,2853,727△469101,899△4,754
外国国債------
外国社債------
証券化商品5,418△421--5,418△421
237,910△6,1033,727△469241,637△6,572
合計475,059△9,34553,226△598528,285△9,943

2020年3月31日現在、ソニーは上記の表に示される未実現評価損を含む投資の公正価値の下落は一時的であると判断しました。
有価証券及び投資有価証券に含まれる持分証券に関して、ソニーは2018年度及び2019年度において、売却による実現利益(純額)をそれぞれ77,495及び20,176百万円、連結会計期間末に保有する持分証券の再評価により、それぞれ未実現評価益(純額)を104,168百万円、未実現評価損(純額)を134,831百万円計上しました。連結損益計算書上、金融分野において保有する持分証券に関して発生した損益は金融ビジネス収入、金融除くその他の分野における保有にかかるものは持分証券に関する利益(損失)(純額)に計上しています。上記の損益には、ソニーが保有するSpotify Technology S.A.(以下「Spotify」)株式にかかる損益が含まれています。
2018年4月3日、Spotifyがニューヨーク証券取引所に上場しました。ソニーは、当該上場時点で発行済株式総数の5.707%を保有していました。
2018年度において、ソニーは保有していたSpotify株式の一部を合計82,616百万円(768百万米ドル)の現金対価で売却しました。売却した株式については、売却額から売却に直接関連するアーティストとレーベルへの分配見込額及びその他の取引原価を控除した株式売却益(税引前)54,179百万円(504百万米ドル)を連結損益計算書上、持分証券に関する利益(純額)に計上しました。なお、アーティストとレーベルへの分配額は、連結キャッシュ・フロー計算書の投資活動によるキャッシュ・フローの「その他」に含まれています。
2019年3月31日時点で継続保有する株式については、公正価値78,947百万円(711百万米ドル)から売却に直接関連するアーティストとレーベルへの分配見込額及びその他の原価を控除した株式評価益(税引前)47,543百万円(449百万米ドル)を連結損益計算書上、持分証券に関する利益(純額)に計上しました。
2019年度において、ソニーが保有しているSpotify株式の売却はありませんでした。2020年3月31日時点で継続保有する株式については、連結損益計算書上、株価の変動からアーティストとレーベルへの分配見込額を調整した株式評価損(税引前)6,063百万円(57百万米ドル)を持分証券に関する損失(純額)に計上しました。
2019年3月31日及び2020年3月31日現在、ソニーにおいて、容易に算定できる公正価値を持たない持分証券の残高は、それぞれ25,720百万円及び30,120百万円でした。これに関しソニーは2018年度において、加算調整額を計上しておらず、2019年度において1,070百万円計上しました。また、2018年度及び2019年度における減算調整額(減損含む)については、それぞれ4,285百万円及び9,075百万円計上しました。
9 リース
ソニーは、情報関連及びその他の機器、工場施設、事務所、倉庫、従業員の住居施設及びその他の資産の一部をファイナンス・リース又はオペレーティング・リースとして賃借しています。
(1) リース費用
リース費用の内訳は次のとおりです。
項目2019年度
金額(百万円)
ファイナンス・リース費用
使用権資産の償却費10,077
リース負債にかかる利息1,266
ファイナンス・リース費用合計11,343
オペレーティング・リース費用76,863
短期リース費用20,620
変動リース料141
サブリース収入△3,860
105,107

(2) リースに関する連結貸借対照表の補足情報
リースに関する連結貸借対照表の補足情報は次のとおりです。
項目2020年3月31日
金額(百万円)
ファイナンス・リース
短期リース負債9,240
長期リース負債29,843
39,083

項目2020年3月31日
年数(年)
加重平均残存リース期間
オペレーティング・リース9.91
ファイナンス・リース8.61


項目2020年3月31日
率(%)
加重平均割引率
オペレーティング・リース3.147
ファイナンス・リース2.338

(3) オペレーティング・リースによる賃借料及び転貸賃貸料
2018年度のオペレーティング・リースによる賃借料は71,516百万円です。2018年度のオペレーティング・リースによる転貸賃貸料は1,013百万円です。2019年3月31日現在における解約不能のオペレーティング・リースによる転貸契約にもとづいて将来受け取るべき最低賃貸料は1,598百万円です。2019年3月31日現在における当初の又は残存する解約不能リース期間が1年を超えるオペレーティング・リースによる最低賃借料は次のとおりです。
年度2019年3月31日
金額(百万円)
2019年度58,901
2020年度48,823
2021年度34,726
2022年度25,355
2023年度22,152
2024年度以降78,507
将来の最低賃借料の支払額合計268,464

(4) リース負債の満期分析
リース負債の満期分析は次のとおりです。
年度2020年3月31日
金額(百万円)
オペレーティング・リースファイナンス・リース
2020年度76,46910,213
2021年度69,6067,323
2022年度55,6485,990
2023年度40,3034,689
2024年度30,6643,163
2025年度以降152,27523,088
リース料の支払額合計424,96554,466
利息控除額41,18715,383
合計383,77839,083

(5) その他の情報
リースに関するその他の情報は次のとおりです。
項目2019年度
金額(百万円)
リース負債の測定に含まれた現金支払額
営業活動からのキャッシュ・フローに含まれるオペレーティング・リースに係る支払額71,612
財務活動からのキャッシュ・フローに含まれるファイナンス・リースに係る支払額33,088
オペレーティング・リース負債と引き換えに取得した使用権資産124,380

10 営業権及びその他の無形固定資産
2019年度に取得した無形固定資産は146,023百万円です。このうち、145,596百万円が償却対象の資産であり、内訳は次のとおりです。
項目当年度取得無形固定資産加重平均償却年数
取得原価
(百万円)
年数
特許権、ノウハウ、ライセンス契約7,8488
販売用ソフトウェア16,6093
社内利用ソフトウェア93,7684
ミュージック・カタログ19,83714
その他7,53411

2019年度に取得した社内利用ソフトウェアは、主に多岐にわたるビジネス・プラットフォームで新たに資産計上されたものです。
償却対象の無形固定資産の内訳は次のとおりです。
項目2019年3月31日2020年3月31日
取得原価
(百万円)
償却累計額
(百万円)
取得原価
(百万円)
償却累計額
(百万円)
特許権、ノウハウ、ライセンス契約169,761△145,525166,076△146,051
顧客関係15,759△11,82516,104△12,467
商標15,768△9,86311,152△6,114
販売用ソフトウェア125,350△96,322141,111△110,663
社内利用ソフトウェア529,022△345,935594,109△384,236
ミュージック・カタログ615,206△106,725612,266△124,787
アーティスト・コントラクト42,575△29,10841,764△29,017
テレビ放送委託契約74,605△28,68553,266△21,645
その他61,675△49,28864,456△51,317
1,649,721△823,2761,700,304△886,297

2018年度及び2019年度における無形固定資産償却費は、それぞれ109,452百万円及び110,819百万円です。また、2020年度以降5年間の見積償却費は次のとおりです。
年度金額(百万円)
2020年度97,978
2021年度82,057
2022年度66,079
2023年度50,098
2024年度38,658

耐用年数が確定できない無形固定資産の内訳は次のとおりです。
項目2019年3月31日2020年3月31日
金額(百万円)金額(百万円)
商標69,44769,975
配給契約18,83418,834
その他3,2403,494
91,52192,303

2018年度及び2019年度におけるセグメント別の営業権の推移は次のとおりです。
項目G&NS音楽映画EP&SI&SS金融その他合計
金額
(百万円)
金額
(百万円)
金額
(百万円)
金額
(百万円)
金額
(百万円)
金額
(百万円)
金額
(百万円)
金額
(百万円)
2018年3月31日
営業権残高
-総額
150,606165,700246,620194,46845,7937,93127,912839,030
減損累計額-△306△102,208△181,665-△706△23,653△308,538
営業権残高150,606165,394144,41212,80345,7937,2254,259530,492
取得*2,261240,396387----243,044
売却及び
処分
--------
減損---△776--△4,331△5,107
為替換算
調整
1,088△2,4203,673△73771-723,111
その他--△2,988----△2,988
2019年3月31日
営業権残高
-総額
153,955403,676252,262194,41646,5647,93128,5701,087,374
減損累計額-△306△106,778△182,462-△706△28,570△318,822
営業権残高153,955403,370145,48411,95446,5647,225-768,552
取得*17,9452,95614,889364-3,609-39,763
売却及び
処分
--△609----△609
減損--------
為替換算
調整
△926△13,802△5,410△129△372--△20,639
その他-△1,199△1,980----△3,179
2020年3月31日
営業権残高
-総額
170,974391,631257,074194,63546,19211,54028,2691,100,315
減損累計額-△306△104,700△182,446-△706△28,269△316,427
営業権残高170,974391,325152,37412,18946,19210,834-783,888

ソニーは、2019年度第1四半期より、業績報告におけるビジネスセグメント区分の変更を行いました。この変更に
関連して、従来のHE&S分野、IP&S分野及びMC分野を合わせてEP&S分野としています。以上のセグメン
ト変更にともない、旧HE&S分野、IP&S分野及びMC分野の過年度の営業権残高を当年度の表示に合わせて組
替再表示しています。これらの組替再表示に関する詳細は注記28に記載しています。
(注)* 2018年度の音楽分野における金額は、主にEMI Music Publishingの取得に関するものです。2019年度のG&NS分野における金額は、Insomniac Games, Inc.の取得、映画分野における金額は、主にSilvergate Mediaの取得、金融分野における金額は、生命保険事業を営む持分法適用関連会社の子会社化に関するものです。これらの取得に関する詳細は注記25に記載しています。
11 保険関連科目
金融分野に含まれる日本の子会社は、注記1に記載のとおり、日本において一般に公正妥当と認められた会計原則及び会計実務に準拠して会計記録を保持していますが、米国会計原則とは、いくつかの点で異なっています。
これらの相違の主なものは、生命保険事業及び損害保険事業における保険契約の獲得費用、及び生命保険事業における保険契約債務です。保険契約の獲得費用は、日本会計原則では発生年度の期間費用として処理されますが、米国会計原則では繰延処理され、通常、関連する保険契約の保険料払込期間にわたって償却されます。また、保険契約債務は、日本会計原則では管轄の行政当局の認める方式により算定されますが、米国会計原則では、主として、計算基礎の一定の変更を施し、平準純保険料式による評価を行って計上されます。連結財務諸表の作成上、米国会計原則に準拠するため、このような差異は適切に調整されています。
2019年3月31日及び2020年3月31日現在の保険子会社の米国会計原則に準拠しない法定帳簿上の純資産合計は、それぞれ548,730百万円及び586,983百万円です。
(1) 保険契約
金融分野に含まれる生命保険子会社が引受ける保険契約は、ほとんどが長期契約に分類され、主に終身保険、定期保険及び傷害・医療保険契約から構成されています。2018年度及び2019年度における生命保険料収入は、それぞれ910,011百万円及び1,052,316百万円です。金融分野に含まれる損害保険子会社が引受ける保険契約は、短期契約に分類され、主に自動車保険契約から構成されています。2018年度及び2019年度における損害保険料収入は、それぞれ111,392百万円及び115,730百万円です。
(2) 繰延保険契約費
2018年度及び2019年度の繰延保険契約費の償却費は、それぞれ79,906百万円及び93,734百万円です。2018年度及び2019年度の生命保険ビジネスにおける非伝統的保険商品の繰延保険契約費は、それぞれ209,897百万円及び206,363百万円です。
(3) 保険契約債務
後述の最低保証給付に対する債務を除き、保険契約債務は、主として個人保険契約に関連しており、保有する契約から将来発生が予測される債務に見合う額が引当てられています。これらの債務はマネジメントの高度な判断と見積りを必要とし、将来の資産運用利回り、罹患率、死亡率及び契約脱退率等についての予測にもとづき平準純保険料式の評価方法により算定されます。当該保険契約債務は0.5%から4.5%の範囲の利率を適用して計算されており、市場環境や期待投資利益などの要素が反映されています。保険契約債務の見積りに使用される罹患率、死亡率及び契約脱退率は、保険子会社の実績あるいは保険数理上の種々の統計表によっています。通常は、これらの前提条件は契約時に固定されますが、前提条件と実績が大きく異なる場合、あるいは前提条件を大きく変更する場合には、ソニーは保険契約債務の追加計上を必要とする可能性があります。
保険契約債務には変額年金保険契約及び変額保険契約における最低保証給付に対する債務を含んでいます。最低保証に係る詳細は(5)に記載しています。また、このうち一部の保険契約債務には公正価値オプションを適用しています。詳細については注記14に記載しています。
2019年3月31日及び2020年3月31日現在の保険契約債務は、それぞれ5,633,865百万円及び6,237,048百万円です。
(4) 生命保険ビジネスにおける契約者勘定
生命保険ビジネスにおける契約者勘定は、勘定預り金累積元本に付与利息を加えたものから、引出額、経費及び危険保険料を差し引いた額を表しており、ユニバーサル保険及び投資契約等から構成されています。ユニバーサル保険には、利率変動型終身保険及び変額保険が含まれています。利率変動型終身保険に対する付与利率は1.7%から2.0%です。変額保険契約については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。投資契約には、主に一時払養老保険契約、一時払学資保険契約、変額年金保険契約及び年金開始後契約が含まれています。投資契約(変額年金保険契約を除く)に対する付与利率は、0.01%から6.3%です。変額年金保険契約については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。生命保険ビジネスにおける契約者勘定には最低保証が付帯する変額年金保険契約及び変額保険契約に関する債務を含んでいます。また、このうち一部の生命保険ビジネスにおける契約者勘定には公正価値オプションを適用しています。詳細については注記14に記載しています。
生命保険ビジネスにおける契約者勘定の内訳は次のとおりです。
項目2019年3月31日2020年3月31日
金額(百万円)金額(百万円)
ユニバーサル保険2,104,6462,611,577
投資契約816,903885,690
その他126,653145,004
合計3,048,2023,642,271

(5) 変額年金保険契約及び変額保険契約における最低保証
変額年金保険契約及び変額保険契約に関して、ソニーは最低保証(死亡、年金原資など)を行っており、契約上定められた最低給付額を保険契約者に支払う義務を負っています。最低保証が付帯する変額年金保険契約には公正価値オプションを適用しています。詳細については注記14に記載しています。公正価値オプションを適用している部分を除き、当該最低保証給付に係る保険契約債務は、契約の存続期間全体の予想される超過支払いの現在価値を予想される総徴収の現在価値で除した比率に基づいて計算しています。当該計算の重要な前提条件には、死亡率、解約率、割引率及び資産運用利回りが含まれています。また、2019年3月31日現在及び2020年3月31日現在における保険種類別の契約者勘定、正味危険保険金相当額、最低保証給付に対する保険契約債務及び平均到達年齢は次の通りです。
項目2019年3月31日
金額(百万円)
変額年金保険変額保険合計
契約者勘定-1,092,5591,092,559
正味危険保険金相当額-4,334,2244,334,224
最低保証給付に対する
保険契約債務
-63,42363,423

項目2019年3月31日
変額年金保険変額保険
平均到達年齢(歳)-44

項目2020年3月31日
金額(百万円)
変額年金保険変額保険合計
契約者勘定464,0931,096,9351,561,028
正味危険保険金相当額71,6854,564,2144,635,899
最低保証給付に対する
保険契約債務
64,04579,860143,905

項目2020年3月31日
変額年金保険変額保険
平均到達年齢(歳)6045

12 短期借入金及び長期借入債務
短期借入金の内訳は次のとおりです。
項目2019年3月31日2020年3月31日
金額
(百万円)
摘要金額
(百万円)
摘要
無担保借入金55,186加重平均利率:年2.52%91,725加重平均利率:年0.86%
債券貸借取引受入担保金432,820加重平均利率:年0.56%567,194加重平均利率:年0.93%
担保付コールマネー130,612加重平均利率:年0.18%151,257加重平均利率:年0.13%
短期借入金合計618,618810,176

2020年3月31日現在、簿価474,644百万円の有価証券及び投資有価証券が、国内の金融子会社の短期の債券貸借取引567,194百万円に対する担保として設定されています。この取引は、契約の解除による清算に該当する場合、純額決済することができます。
2020年3月31日現在、簿価42,576百万円の有価証券及び投資有価証券が、国内の金融子会社のコールマネー151,257百万円に対する担保として設定されています。
上記の他、国内の金融子会社において為替決済、デリバティブ等の取引の担保として簿価12,445百万円の有価証券及び投資有価証券を差し入れています。
長期借入債務の内訳は次のとおりです。
項目2019年3月31日2020年3月31日
金額
(百万円)
摘要金額
(百万円)
摘要
無担保借入金
(借入先:主として銀行)
57,321利率:年0.01%から7.89%まで
返済期限:2019年から2024年まで
17,880利率:年0.01%から5.10%まで
返済期限:2020年から2029年まで
無担保社債69,964利率:年0.05%
満期:2019年
-
無担保社債50,000利率:年2.07%
満期:2019年
-
無担保社債89,819利率:年0.23%
満期:2021年
89,894利率:年0.23%
満期:2021年
無担保社債10,000利率:年0.11%
満期:2022年
10,000利率:年0.11%
満期:2022年
無担保社債10,000利率:年1.41%
満期:2022年
10,000利率:年1.41%
満期:2022年
無担保社債15,000利率:年0.28%
満期:2023年
15,000利率:年0.28%
満期:2023年
無担保社債-29,886利率:年0.13%
満期:2024年
無担保社債10,000利率:年0.22%
満期:2025年
10,000利率:年0.22%
満期:2025年
無担保社債24,911利率:年0.42%
満期:2026年
24,923利率:年0.42%
満期:2026年
無担保社債-10,000利率:年0.18%
満期:2026年
無担保社債-59,738利率:年0.30%
満期:2029年

項目2019年3月31日2020年3月31日
金額
(百万円)
摘要金額
(百万円)
摘要
無担保転換社債型
新株予約権付社債
119,961利率:ゼロクーポン
満期:2022年 期限前償還可能
転換価額:5,008円
119,531利率:ゼロクーポン
満期:2022年 期限前償還可能
転換価額:4,996円
担保付借入金200,003利率:年0.00%
満期:2020年から2023年まで
201,205利率:年0.00%
満期:2020年から2023年まで
ファイナンス・リース債務等 *72,991利率:年0.36%から9.14%まで
支払期間:2019年から2048年まで
56,350利率:年0.01%から12.59%まで
支払期間:2020年から2050年まで
預り保証金10,86310,366
小計740,833664,773
控除:1年以内に返済期限の到来する額172,46129,807
長期借入債務合計568,372634,966

(注)* ファイナンス・リース債務等は2018年度においてキャピタル・リース未払金等として表示していました。
2020年3月31日現在、簿価52,942百万円の有価証券及び投資有価証券と簿価378,241百万円の銀行ビジネスにおける住宅ローンが、国内の金融子会社の長期借入金200,000百万円に対する担保として設定されています。
2015年7月21日、ソニーは、発行価額120,000百万円、2022年満期の130%コールオプション条項付無担保転換社債型新株予約権付社債(ゼロクーポン)(以下「本社債」)を発行しました。本社債の新株予約権の行使期間は、2015年9月1日から2022年9月28日までであり、当初の転換価額は5,008円です。標準的な希薄化防止条項とは別に、合併や会社分割などの組織再編や上場廃止等による繰上償還が行われる前の一定期間に転換価額は減額されます。減額される金額は、転換価額減額開始日及び本社債の要項に定める当社普通株式の参照株価に応じて、一定の方式にしたがって決定されます。減額された後の転換価額の上限は5,008円、下限は3,526.5円です。転換価額は、各事業年度の1株当たり配当額が25円を上回る場合にも調整されます。2020年3月期の1株当たり配当額が25円を上回り45円となったため、2020年6月10日以降、転換価額は1株当たり4,982.5円に調整されました。ソニーは、株式会社東京証券取引所における当社普通株式の終値が、20連続取引日にわたり当該各取引日に適用のある転換価額の130%以上であった場合、その選択により、2020年7月21日以降、残存する本社債の全部を額面金額の100%で繰上償還する権利を有します。本社債は、組込デリバティブの分離会計を必要とされていません。本社債には、重大な不利益を及ぼす財務制限条項は存在しません。
2019年10月に、ソニーは総額100,000百万円の無担保普通社債を発行し、調達資金はすべて債務返済に充当しました。
また、その他の短期借入金及び長期借入債務に、重大な不利益を及ぼす財務制限条項やクロスデフォルト条項は存在しません。
長期借入債務の各年度の返済予定額は次のとおりです。
年度2020年3月31日
金額(百万円)
2020年度29,807
2021年度159,102
2022年度229,617
2023年度81,041
2024年度43,923
2025年度以降121,283
合計664,773

2020年3月31日現在、ソニーの未使用コミットメントラインは518,147百万円であり、契約している金融機関から通常180日を超えない期間で借入れることができます。さらにソニーは1,044,150百万円のコマーシャルペーパー・プログラムを設定しています。このプログラムにより、ソニーは通常270日を超えない期間でコマーシャルペーパーを発行することができます。
13 銀行ビジネスにおける住宅ローン及び顧客預金
(1) 銀行ビジネスにおける住宅ローン
ソニーは通常の事業を通じて金融債権を取得し、また保有しています。ソニーが保有する金融債権の大部分は銀行ビジネスにおける住宅ローンによって構成され、その他個別に重要性のある金融債権はありません。
銀行ビジネスに含まれる子会社は、債務者ごとに資金状況や延滞状況に応じた区分にもとづき、住宅ローンの信用状況をモニタリングしています。債務者の延滞状況は日常的に確認し、区分については四半期ごとに見直しています。
住宅ローンに対応する貸倒引当金は、上述の区分と担保の状況に応じて設定されています。銀行ビジネスにおける住宅ローン残高及びこれに対応する貸倒引当金の残高は、2019年3月31日現在でそれぞれ1,685,504百万円及び829百万円、2020年3月31日現在でそれぞれ1,927,054百万円及び780百万円です。2018年度及び2019年度において、銀行ビジネスにおける住宅ローンの償却及び貸倒引当金の変動で、重要なものはありません。
また、2019年3月31日及び2020年3月31日現在、銀行ビジネスにおける住宅ローンのうち、未収利息の計上を行っていない債権及び延滞が発生している債権で、重要なものはありません。
(2) 銀行ビジネスにおける顧客預金
金融分野に含まれる銀行ビジネスにおける顧客預金は、その全額が利付預金です。2019年3月31日及び2020年3月31日現在、契約額が10百万円以上の定期預金の残高は、それぞれ292,968百万円及び306,449百万円です。これらの顧客預金は主に満期日以前に引き出し可能なため、流動負債に分類されています。
2020年3月31日現在の残存期間が1年を超える定期預金残高は次のとおりです。
年度2020年3月31日
金額(百万円)
2021年度39,145
2022年度16,102
2023年度10,513
2024年度3,238
2025年度2,190
2026年度以降12,823
残存期間が1年を超える定期預金残高合計84,011

14 公正価値による測定
注記3に記載のとおり、公正価値による測定に関する会計基準にもとづき、ソニーが保有する資産及び負債は下記のとおり区分され、会計処理されています。
(1) 継続的に公正価値測定されている資産・負債
ソニーが各金融商品の公正価値測定に利用している評価手法、それが通常どの公正価値のレベルに分類されているかは以下のとおりです。
負債証券、持分証券、及びその他の投資
活発な市場における取引価格が利用可能である場合、有価証券の公正価値の階層はレベル1に分類されます。レベル1の有価証券には、上場持分証券が含まれています。取引価格を利用できないもしくは市場が活発でない有価証券については、価格モデル、類似の特徴をもつ有価証券の取引価格あるいは割引キャッシュ・フローモデルを使用して公正価値を見積もり、主にレベル2に分類されます。レベル2の有価証券には、公社債の大部分など、上場されている金融商品ほどには活発に取引されていない取引価格により評価された負債証券が含まれています。取引量が少ないもしくは評価に使用する基礎データの観察可能性が低い有価証券については、レベル3に分類しています。レベル3の有価証券には、主に、レベル1・レベル2に分類されなかった証券化商品、複合金融商品、プライベートエクイティ投資、及び国内外の社債が含まれています。
デリバティブ
上場されているデリバティブで、その取引価格を使用して公正価値が測定されているデリバティブは、レベル1に分類されます。しかしながら、上場されているデリバティブ契約は少数であり、ソニーが保有するデリバティブの多くは、容易に観察可能な市場パラメータを評価の基礎として利用したソニー内部のモデルによる評価を行っています。利用しているパラメータには、活発に価格が形成されているものや、価格情報提供業者のような外部業者から入手したものが含まれています。デリバティブの種類や契約条項に応じて、ブラック・ショールズ・オプション・プライシング・モデル等の評価手法により公正価値を測定するとともに、その手法を継続的に適用しています。ソニーは、開発後一定期間を経過しているようなデリバティブ商品について、金融業界において広く受け容れられている評価モデルを使用しています。これらのモデルは、満期までの期間を含むデリバティブ契約の条項や、金利、ボラティリティ、取引相手の信用格付け等の市場で観察されるパラメータを使用しています。さらに、これらのモデルの多くは、その評価方法に重要な判断を必要としないものであり、モデルで使用している基礎データ自体も活発な価格付けが行われる市場で容易に観察可能なものであるため、主観性の高いものではありません。これらの手法で評価されている金融商品は、通常、レベル2に分類されています。
ソニーは、金利スワップの公正価値を決定するにあたり、市場において観察可能で、該当する金融商品の期間に対応する金利のイールドカーブを使用した将来見積キャッシュ・フローの現在価値を使用しています。ソニーは、外国為替のデリバティブについて、直物相場、時間価値及びボラティリティ等、市場で観察可能な基礎データを利用した先物為替予約や通貨オプションの評価モデルを使用しています。これらのデリバティブは、そのデリバティブ資産・負債の公正価値の測定に際して、主に観察可能な基礎データを使用しているため、レベル2に分類されています。
保険契約債務及び生命保険ビジネスにおける契約者勘定
ソニーは、公正価値オプションを適用した保険契約債務及び生命保険ビジネスにおける契約者勘定の公正価値を決定するにあたり、死亡率、解約率、割引率、資産運用利回り及びその他の保険数理上の前提条件を使用した将来見積キャッシュ・フローの現在価値を使用しています。主に観察可能な基礎データを使用しており、レベル3に分類されています。
変額年金保険契約の最低保証給付にともなう保険契約債務の公正価値の算定にあたって、死亡率(0.004%~44.865%)、解約率(1.000%~7.500%)、及び割引率(△0.061%~1.433%)を重要な観察不能な基礎データとして使用しております。主要な最低保証給付である最低年金原資保証の公正価値は、一般的に、死亡率、解約率、又は割引率が上昇した場合には低下します。
2019年3月31日及び2020年3月31日現在、ソニーにおいて継続的に公正価値で測定されている資産・負債の公正価値は、次のとおりです。
項目2019年3月31日
金額(百万円)
レベル1レベル2レベル3合計連結貸借対照表計上科目
有価証券投資有価証券その他その他の
流動資産
その他の
資産
資産
負債証券
売買目的有価証券22,105212,012-234,117234,117---
売却可能証券
日本国債-1,643,589-1,643,58918,7191,624,870--
日本地方債-67,497-67,4977,76859,729--
日本社債-219,388-219,38811,472207,916--
外国国債*1-161,495-161,4953,984157,511--
外国社債*2-338,16322,704360,86790,801270,066--
証券化商品*3-25,029165,083190,112-190,112--
その他-4,688-4,688-4,688--
持分証券1,037,100135,794-1,172,894951,390221,504--
その他の投資*45,4891,5076,91813,914-13,914--
デリバティブ資産*544410,042-10,486--9,4311,055
資産合計1,065,1382,819,204194,7054,079,0471,318,2512,750,3109,4311,055
連結貸借対照表計上科目
項目レベル1レベル2レベル3合計保険
契約債務
生命保険ビジネスにおける契約者勘定流動負債
その他
固定負債
その他
負債
デリバティブ負債*513632,686-32,822--19,85212,970
負債合計13632,686-32,822--19,85212,970

項目2020年3月31日
金額(百万円)
レベル1レベル2レベル3合計連結貸借対照表計上科目
有価証券投資有価証券その他その他の
流動資産
その他の
資産
資産
負債証券
売買目的有価証券24,330245,790-270,120270,120---
売却可能証券
日本国債-1,761,929-1,761,92910,0111,751,918--
日本地方債-69,172-69,17215,33453,838--
日本社債-220,67930220,70914,774205,935--
外国国債*1-279,777-279,7772,690277,087--
外国社債*2-343,98015,770359,75094,156265,594--
証券化商品*3-33,383171,840205,223-205,223--
その他-4,15212,10116,253-16,253--
持分証券950,744581,642-1,532,3861,434,61297,774--
その他の投資*47,1628169,24217,220-17,220--
デリバティブ資産*51,31041,073-42,383--40,7841,599
資産合計983,5463,582,393208,9834,774,9221,841,6972,890,84240,7841,599
項目連結貸借対照表計上科目
レベル1レベル2レベル3合計保険
契約債務
生命保険ビジネスにおける契約者勘定流動負債
その他
固定負債
その他
負債
保険契約債務及び生命保険ビジネスにおける契約者勘定*6--532,191532,19164,045468,146--
デリバティブ負債*52,07733,789-35,866--16,81419,052
負債合計2,07733,789532,191568,05764,045468,14616,81419,052

(注)*1 公正価値オプションを適用しているレベル2の外貨建有価証券が、2019年3月31日現在及び2020年3月31日
現在において、それぞれ4,910百万円及び7,771百万円含まれています。これらは連結貸借対照表上、2020年
3月31日現在において有価証券に2,386百万円、2019年3月31日現在及び2020年3月31日現在において、投資
有価証券その他に4,910百万円及び5,385百万円、それぞれ計上されています。
*2 公正価値オプションを適用しているレベル2の外貨建有価証券が、2019年3月31日現在及び2020年3月31日
現在において、それぞれ173,964百万円及び188,426百万円含まれています。これらは連結貸借対照表上、
2019年3月31日現在及び2020年3月31日現在において、有価証券に33,391百万円及び34,502百万円、投資有
価証券その他に140,573百万円及び153,924百万円、それぞれ計上されています。
*3 公正価値オプションを適用しているレベル2及びレベル3の外貨建有価証券が、2019年3月31日現在及び
2020年3月31日現在において185,195百万円及び193,430百万円含まれています。これらは連結貸借対照表上、投資有価証券その他に計上されています。
*4 その他の投資には、複合金融商品やプライベートエクイティ投資が含まれています。
*5 デリバティブ資産・負債は総額で認識及び開示されています。
*6 保険契約債務及び生命保険ビジネスにおける契約者勘定は、公正価値オプションを適用しているものです。
7 公正価値オプション適用にともなう損益は、連結損益計算書上、金融ビジネス収入及び金融ビジネス費用に含まれ、2018年度において85百万円の収入、2019年度において12,408百万円の費用が計上されています。
一部の売買目的有価証券に区分される負債証券及び持分証券は活発な市場における取引価格が利用可能になったため、レベル1へ移動しました。2018年度及び2019年度の移動額はそれぞれ1,769百万円及び4,395百万円です。また、一部の売買目的有価証券は活発な市場における取引価格が利用できなくなったため、レベル1から移動しました。2018年度及び2019年度の移動額はそれぞれ2,508百万円及び3,216百万円です。
2018年度及び2019年度におけるレベル3に分類されている資産・負債の公正価値の変動は、次のとおりです。
2018年度
金額(百万円)
資産負債
項目負債証券その他の
投資
保険契約債務及び生命保険ビジネスに
おける契約者勘定
売却可能証券
日本社債外国社債証券化商品その他
期首残高-27,87883,614-9,104-
実現及び未実現損益
損益に含まれる金額*1-465562-276-
その他の包括利益(損失)に含まれる金額*2-1311---
購入又は発行-5,78794,696-4-
売却----△6-
償還又は決済-△10,435△13,601-△2,460-
レベル3への移動*3-20,8635,284---
レベル3からの移動*4-△21,985△5,473---
期末残高-22,704165,083-6,918-
損益に含まれる金額のうち、年度末に保有する資産・負債の未実現利益(損失)*1-219510-441-

2019年度
金額(百万円)
資産負債
項目負債証券その他の
投資
保険契約債務及び生命保険ビジネスに
おける契約者勘定
売却可能証券
日本社債外国社債証券化商品その他
期首残高-22,704165,083-6,918-
ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱及びSA Reinsurance Ltd.の取得*5-----547,190
実現及び未実現損益
損益に含まれる金額*1-311△18,151-△50012,500
その他の包括利益(損失)に含まれる金額*2-△731--3,032
購入又は発行3013,59740,17512,1014,7115,295
売却----△9-
償還又は決済-△20,867△12,967-△1,878△4,762
レベル3への移動*3-3,374----
レベル3からの移動*4-△3,276△2,301---
期末残高3015,770171,84012,1019,242532,191
損益に含まれる金額のうち、年度末に保有する資産・負債の未実現利益(損失)*1-△94△16,507-△37610,273

(注)*1 連結損益計算書上、金融ビジネス収入又は金融ビジネス費用に含まれています。
*2 連結包括利益計算書上、売却可能証券については未実現有価証券評価益(純額)、保険契約債務及び生命保
険ビジネスにおける契約者勘定については金融負債評価調整額に含まれています。
*3 証券業者から入手した指標価格にもとづく公正価値と内部で組成した価格との間に重要な乖離が生じ、また
基礎データの観察可能性が低下したため、一部の社債及び証券化商品がレベル3へ移動しました。
*4 観察可能な市場データが利用可能となったため、一部の社債及び証券化商品がレベル3から移動しました。
*5 注記25参照。
レベル3の資産には、証券化商品、プライベートエクイティ投資及び市場における取引価格が利用できず、基礎データの観察可能性が低い国内外の社債が含まれています。その公正価値を測定するにあたり、ソニーは主に証券業者から得た指標価格等の第三者の価格に調整を加えることなく使用しています。レベル3の負債には、基礎数値が観察不能な保険契約債務及び生命保険ビジネスにおける契約者勘定が含まれており、自社で算定した価格を使用しております。ソニーは、その公正価値の検証のため、主として市場参加者が公正価値の測定に通常使用すると想定される仮定を用いてマネジメントが行う重要な判断や見積りを含む内部の価格モデルを使用しています。
(2) 非継続的に公正価値測定されている資産・負債
ソニーは特定の事象が生じた場合に非継続的に公正価値測定される資産及び負債を保有しています。
2018年度及び2019年度において公正価値で測定されている資産・負債は、次のとおりです。
項目2018年度
金額(百万円)
見積公正価値損益
レベル1レベル2レベル3計上額
資産
長期性資産の減損--4,389△44,135
営業権の減損--0△5,107
△49,242

項目2019年度
金額(百万円)
見積公正価値損益
レベル1レベル2レベル3計上額
資産
SRE残余持分の再評価15,911--13,347
長期性資産の減損--8,155△36,003
△22,656

長期性資産の減損
2018年度及び2019年度において、ソニーはEP&S分野でスマートフォン事業資産グループの減損損失をそれぞれ19,172百万円及び12,714百万円計上しました。スマートフォン事業資産グループでは、スマートフォンの販売状況及び予測される引き続き厳しい事業環境を、当該資産グループに関連する長期性資産に対応する将来見積キャッシュ・フローに反映させた結果、減損損失の計上が必要になりました。
2018年度において、ソニーはその他分野に含まれるストレージメディア事業資産グループの減損損失を12,858百万円計上しました。ソニーは事業及び市場トレンドを踏まえた戦略的見直しを行った結果、長期性資産及び営業権の計上金額の全額を回収する十分な将来キャッシュ・フローが得られないと判断したため、減損損失を計上しました。
公正価値の測定にあたって考慮された、資産の状況、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来見積キャッシュ・フロー固有のリスクを考慮した割引率といった重要な基礎データは観察不能であるため、当該公正価値測定はレベル3に分類されています。2018年度において、スマートフォン事業の長期性資産の公正価値測定は、8.5%の割引率及び△26%から24%の見積収益成長率が使用されています。2019年度において、スマートフォン事業の長期性資産の公正価値測定は、10.6%の割引率及び△10%から70%の見積収益成長率が使用されています。また、ストレージメディア事業の長期性資産及び営業権の公正価値測定は、8.9%の割引率及び△34%から21%の見積収益成長率が使用されています。
上記に記載するものを除き、2019年度において計上されている減損損失の中には個々に重要な項目はありません。その他の減損損失は主に映画分野に含まれるメディアネットワークの複数資産グループにおけるチャンネルポートフォリオ見直しによるものです。
EMIの資本持分の再評価
注記25に記載のとおり、2018年度において、ソニーはEMIの取得にともなって、過年度より所有しているEMIの資本持分を再評価しました。将来キャッシュ・フローの予測及び類似取引や企業の市場比較といった重要な基礎データは観察不能であるため、当該公正価値評価はレベル3に分類されています。
SREホールディングス株式会社株式の再評価
注記6に記載のとおり、2019年度において、当社が保有するSREホールディングス株式会社(以下「SRE」)株式の一部売出し及びSREによる株式の新規発行が行われました。ソニーは、かかる売出し以降も当社が継続して保有するSRE株式を再評価しました。SRE株式の取引価格は東京証券取引所で利用可能であるため、当該株式の公正価値評価はレベル1に分類されています。
ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱及びSA Reinsurance Ltd.の資本持分の再評価
注記25に記載のとおり、2019年度において、ソニーはソニーライフ・エイゴン生命保険㈱及びSA Reinsurance Ltd.(以下あわせて「両合弁会社」)の子会社化にともなって、過年度より所有している両合弁会社の資本持分を再評価しました。将来キャッシュ・フローの予測及び類似取引や企業の市場比較といった重要な基礎データは観察不能であるため、当該公正価値評価はレベル3に分類されています。なお、ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱は2020年4月1日付で、商号を「ソニーライフ・ウィズ生命保険株式会社」に変更しています。
(3) 金融商品
公正価値で計上されない金融商品のレベル別見積公正価値は次のとおりです。
項目2019年3月31日
金額(百万円)
見積公正価値簿価
レベル1レベル2レベル3合計合計
資産
銀行ビジネスにおける住宅ローン-1,861,384-1,861,3841,685,504
資産合計-1,861,384-1,861,3841,685,504
負債
長期借入債務(1年以内に返済期限の到来する長期借入債務を含む)-737,529-737,529740,833
生命保険ビジネスにおける契約者勘定に含まれる投資契約-877,157-877,157816,903
負債合計-1,614,686-1,614,6861,557,736

項目2020年3月31日
金額(百万円)
見積公正価値簿価
レベル1レベル2レベル3合計合計
資産
銀行ビジネスにおける住宅ローン-2,161,432-2,161,4321,927,054
資産合計-2,161,432-2,161,4321,927,054
負債
長期借入債務(1年以内に返済期限の到来する長期借入債務を含む)-699,358-699,358664,773
生命保険ビジネスにおける契約者勘定に含まれる投資契約-969,464-969,464885,690
負債合計-1,668,822-1,668,8221,550,463

現金・預金及び現金同等物、コールローン、定期預金、受取手形及び売掛金、コールマネー、短期借入金、支払手形及び買掛金、及び銀行ビジネスにおける顧客預金は主として短期取引であり、おおむね公正価値で計上されているため、上記の表から除かれています。また、注記8に記載されている満期保有目的証券についても上記の表から除かれています。
現金・預金及び現金同等物、コールローン及びコールマネーはレベル1に分類されます。定期預金、短期借入金及び銀行ビジネスにおける顧客預金は、レベル2に分類されます。連結貸借対照表の有価証券及び投資有価証券その他に含まれる満期保有目的証券は、公社債の大部分など、上場されている金融商品ほどには活発に取引されていない取引価格により評価された負債証券が含まれ、主にレベル2に分類されます。
連結貸借対照表の投資有価証券その他に含まれる銀行ビジネスにおける住宅ローンの公正価値は、将来キャッシュ・フローを見積もり、LIBORベースのイールドカーブに一定のリスクプレミアムを加味した割引率で割り引いて算定しています。1年以内返済予定分を含む長期借入債務及び生命保険ビジネスにおける契約者勘定に含まれる投資契約の公正価値は、市場価値又は類似した負債をソニーが新たに借入れる場合に適用される利子率を使って、将来の返済額を現在価値に割引いた金額で見積もられています。
15 デリバティブ及びヘッジ活動
ソニーは通常の事業において取得した、金融資産・負債を含む金融商品を所有しています。これらの金融商品は為替変動及び金利変動に起因する市場リスクにさらされています。これらのリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針にしたがい、先物為替予約、通貨オプション契約、金利スワップ契約(金利通貨スワップ契約を含む)を含むデリバティブを利用しています。金融分野においては、資産負債の総合管理(以下「ALM」)の一環として、その他のデリバティブも利用しています。これらのデリバティブは信用度の高い金融機関との間で取引されており、ほとんどの外国為替にかかる契約は米ドル、ユーロ及びその他の主要国の通貨で構成されています。これらのデリバティブは主として貸借対照表日より6ヵ月以内に決済日もしくは行使日を迎えるものです。金融分野においてALMの一環として利用されている一部のデリバティブを除き、ソニーは、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。金融分野においてALMの一環として利用されているデリバティブ取引は、あらかじめ定めたリスク管理方針にしたがい、一定の極度の範囲内で行われています。
ソニーが保有するデリバティブは下記のとおり区分され、会計処理されています。
公正価値ヘッジ
公正価値ヘッジとして指定されたデリバティブ及びそのヘッジ対象はともに公正価値で連結貸借対照表に計上されています。また、公正価値ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は損益に計上され、ヘッジ対象の簿価変動による損益を相殺しています。
2018年度及び2019年度において、公正価値ヘッジの有効性評価から除外された金額はありません。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は、当初その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時点で損益に振替えられています。オプション契約の公正価値に含まれる時間的価値部分は、ヘッジの有効性の評価から除外され、ヘッジ手段の契約期間にわたって定額で費用に認識されます。時間的価値部分の公正価値の変動と定額で費用に認識された金額の累計との差額は、その他の包括利益に認識されます。
ヘッジとして指定されていないデリバティブ
ヘッジとして指定されていないデリバティブの公正価値変動は、直ちに損益に計上されています。
ソニーが保有するデリバティブの利用目的及び区分は下記のとおりです。
先物為替予約及び通貨オプション契約
ソニーは主として、外貨建て取引及び外貨建て売上債権・買入債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するため、先物為替予約、買建て通貨オプション契約及び売建て通貨オプション契約を利用しています。なお、売建て通貨オプション契約は主に、買建て通貨オプション契約との組み合わせオプションとして行われており、対応する買建て通貨オプション契約と同月内に行使日を迎えるものです。
また、ソニーは一部の外貨建ての売上及び仕入にかかる予定取引から生じるキャッシュ・フローを固定するため、2018年度及び2019年度において先物為替予約及び売建て通貨オプション契約と買建て通貨オプション契約との組み合わせオプションを利用しました。これらのデリバティブは、キャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段として指定されました。
一方、ヘッジとして指定されていないその他の先物為替予約及び通貨オプション契約の公正価値変動は、その他の収益・費用として直ちに損益に計上されています。
なお、一部の金融子会社が保有する先物為替予約、通貨オプション契約及び通貨スワップ契約の公正価値変動は、金融ビジネス収入として直ちに損益に計上されています。
金利スワップ契約(金利通貨スワップ契約を含む)
金利スワップ契約は、主に資金調達コストの引き下げ、資金調達手段の多様化、金利及び外国為替レートの不利な変動ならびに公正価値変動がもたらす借入債務及び売却可能負債証券にかかるリスクを軽減するために利用されています。
金融分野で締結している一部の金利スワップ契約は、固定金利付き売却可能負債証券の公正価値変動に起因するリスクを軽減するために利用されています。これらのデリバティブは、金融分野の固定金利付き売却可能負債証券にかかる公正価値変動リスクに対するヘッジとしてみなされることから、公正価値ヘッジのヘッジ手段として指定されています。
一部の金融子会社がALMの一環として保有する金利スワップ契約の公正価値変動は、金融ビジネス収入として直ちに損益に計上されています。
上記以外のヘッジとして指定されていない金利スワップ契約は、変動金利付き借入債務の金利変動に起因するリスク軽減のために利用されており、その公正価値変動は、その他の収益・費用として直ちに損益に計上されています。
その他の契約
一部の金融子会社がALMの一環として保有する株式先物契約、エクイティスワップ契約、債券先物契約、コモディティ先物契約、金利スワップション契約、その他の外国為替契約及び複合金融商品の公正価値変動は、金融ビジネス収入として直ちに損益に計上されています。
組込デリバティブをともなう複合金融商品は、組込デリバティブを分離せず、複合金融商品全体として公正価値で評価しています。複合金融商品は、負債証券として注記8に記載されています。
ソニーの保有するデリバティブの公正価値は次のとおりです。
ヘッジとして指定された科目公正価値(百万円)科目公正価値(百万円)
デリバティブ2019年2020年2019年2020年
デリバティブ資産3月31日3月31日デリバティブ負債3月31日3月31日
金利契約前払費用及び
その他の流動資産
109流動負債 その他141183
金利契約その他の資産 その他10127固定負債 その他8,2748,177
外国為替契約前払費用及び
その他の流動資産
1311,799流動負債 その他42-
2421,8358,4578,360
ヘッジとして指定されて科目公正価値(百万円)科目公正価値(百万円)
いないデリバティブ2019年2020年2019年2020年
デリバティブ資産3月31日3月31日デリバティブ負債3月31日3月31日
金利契約前払費用及び
その他の流動資産
3944流動負債 その他344200
金利契約その他の資産 その他8821,523固定負債 その他3,6379,120
外国為替契約前払費用及び
その他の流動資産
8,80719,655流動負債 その他11,54914,580
外国為替契約その他の資産 その他7249固定負債 その他1,0591,755
株式契約前払費用及び
その他の流動資産
44418,886流動負債 その他7,7761,476
債券契約前払費用及び
その他の流動資産
-306流動負債 その他-290
コモディティ契約前払費用及び
その他の流動資産
-85流動負債 その他-85
10,24440,54824,36527,506
デリバティブ合計10,48642,38332,82235,866

2018年度及び2019年度における、デリバティブの連結損益計算書及び連結包括利益計算書への影響額は次のとおりです。
公正価値ヘッジとして指定された科目損益に計上された金額(百万円)
デリバティブ2018年度2019年度
金利契約金融ビジネス収入△1,835△3,925
△1,835△3,925

キャッシュ・フロー・ヘッジとして影響を受ける
連結損益計算書の項目
2018年度2019年度
指定されたデリバティブ
未実現デリバティブ評価損益として
その他の包括利益に計上された金額
(税効果考慮前)(百万円)
外国為替契約
有効性評価に含まれる部分-2,3151,712
有効性評価から除外された部分(償却部分)--1,087
2,3152,799
累積その他の包括利益における
未実現デリバティブ評価損益からの
組替額
(税効果考慮前)(百万円)
外国為替契約
有効性評価に含まれる部分売上原価△1,093-
有効性評価に含まれる部分純売上高-106
有効性評価から除外された部分(償却部分)純売上高-△1,087
△1,093△981

ヘッジとして指定されて
いないデリバティブ
科目損益に計上された金額(百万円)
2018年度2019年度
金利契約金融ビジネス収入△3,1921,190
外国為替契約金融ビジネス収入△8,1982,473
外国為替契約為替差損(純額)△7,43710,184
株式契約金融ビジネス収入△7,64915,438
債券契約金融ビジネス収入-△2,954
コモディティ契約金融ビジネス収入-110
△26,47626,441

2019年度における、公正価値ヘッジとして指定されたデリバティブのヘッジ対象である売却可能負債証券の償却原価及び公正価値ヘッジ調整累計額は次のとおりです。
公正価値ヘッジとして指定された
デリバティブ
科目ヘッジ対象の償却原価
(百万円)
公正価値ヘッジ
調整累計額
(百万円)
金利契約有価証券15,255-
金利契約投資有価証券その他91,080-
106,335-

デリバティブの種類別の想定元本を含む追加情報は次のとおりです。
種類2019年3月31日2020年3月31日
想定元本
(百万円)
公正価値
(百万円)
想定元本
(百万円)
公正価値
(百万円)
外国為替契約
先物為替予約701,880△304740,4644,361
買建て通貨オプション53,8461794737
売建て通貨オプション58,825△35460△5
通貨スワップ契約959,777△5,564893,874△1,006
その他の外国為替契約68,5132,08462,0801,811
金利契約
金利スワップ契約339,934△11,346994,133△16,019
金利スワップション契約5,300△1818,700△58
株式契約
株式先物契約58,72530863,354△871
エクイティスワップ契約63,107△7,640103,40918,281
債券契約
債券先物契約--56,54616
コモディティ契約
コモディティ先物契約--1,4650

全てのデリバティブは連結貸借対照表上、資産又は負債として総額計上されていますが、一部の子会社は国際スワップデリバティブ協会(以下「ISDA」)マスター契約を中心としたマスターネッティング契約又は類似の契約を結んでいます。ISDAマスター契約は、複数のデリバティブ契約を結んでいる二者間の契約で、一方当事者について期限の利益喪失事由又は解約事由が発生した場合、これらのデリバティブ契約の中で対象となる契約について解約時の価額を算出し、両当事者間の決済を単一の通貨にて単一の純額決済で行うことができます。
2019年3月31日及び2020年3月31日時点でのデリバティブ資産、デリバティブ負債、金融資産及び金融負債の相殺の影響は次のとおりです。
項目2019年3月31日
連結貸借対照表上総額で表示された金額(百万円)連結貸借対照表上相殺されていないマスターネッティング契約にかかる金額純額
(百万円)
金融商品
(百万円)
現金担保
(百万円)
デリバティブ資産
マスターネッティング契約の対象となるデリバティブ6,8553,4421363,277
マスターネッティング契約の対象とならないデリバティブ3,6313,631
10,4863,4421366,908
デリバティブ負債
マスターネッティング契約の対象となるデリバティブ25,8723,97020,1911,711
マスターネッティング契約の対象とならないデリバティブ6,9506,950
債券貸借取引受入担保金432,820432,820--
465,642436,79020,1918,661

項目2020年3月31日
連結貸借対照表上総額で表示された金額(百万円)連結貸借対照表上相殺されていないマスターネッティング契約にかかる金額純額
(百万円)
金融商品
(百万円)
現金担保
(百万円)
デリバティブ資産
マスターネッティング契約の対象となるデリバティブ38,28112,61420,5455,122
マスターネッティング契約の対象とならないデリバティブ4,1024,102
42,38312,61420,5459,224
デリバティブ負債
マスターネッティング契約の対象となるデリバティブ31,8967,08623,873937
マスターネッティング契約の対象とならないデリバティブ3,9703,970
債券貸借取引受入担保金567,194564,874-2,320
603,060571,96023,8737,227

16 年金及び退職金制度
(1) 確定給付制度及び退職金制度
当社及び国内子会社の従業員は、通常、退職時に以下のような退職一時金又は年金の受給資格を付与されます。当社及び一部の子会社では、1年間の従業員個別の貢献を反映したポイントが毎年加算されるポイント制度を採用しています。このポイント制度のもとでは自己都合退職、会社都合退職にかかわらず、過去の勤務にもとづく累積ポイントと累積ポイントをベースに加算される利息ポイントの合計にもとづいて退職金支給額が計算されます。
この年金制度のもとでは、一般的には現行の退職金規則による退職金の65%がこの制度により充当されます。残りの部分については、会社が支払う退職一時金により充当されます。年金給付は退職する従業員の選択により一時払いあるいは月払いの年金として支給されます。年金基金へ拠出された資金は、関係法令にしたがい数社の金融機関により運用されています。
2012年4月1日より、当社及びほぼ全ての国内子会社は、終身年金を有期年金に変更するなどの現行年金制度の改訂を行いました。また、確定拠出年金制度を導入し、2012年4月1日以降の入社者は確定給付年金制度には加入しません。
いくつかの海外子会社は、ほぼ全従業員を対象とする確定給付年金制度あるいは退職一時金制度を有し、拠出による積立てを行うか又は引当金を計上しています。これらの制度にもとづく給付額は、主に現在の給与と勤続年数によって計算されます。
2019年10月1日より、当社及びほぼ全ての国内子会社は、確定給付年金制度の改訂を行い、制度改訂前の退職者を除き、確定拠出年金制度に全て移行しました。この結果、2019年度の連結貸借対照表上、未払退職・年金費用が74,872百万円減少し、累積その他の包括利益が81,230百万円増加しました。また、2019年度の連結損益計算書上、年金制度変更にかかる損失をその他の費用に6,358百万円計上しました。
2018年度及び2019年度の純期間退職・年金費用の内訳は次のとおりです。
純期間退職・年金費用(△収益):
項目国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2018年度2019年度2018年度2019年度
勤務費用23,12817,9482,7803,616
利息費用7,0204,16210,0839,212
年金制度資産期待運用収益△16,695△17,040△11,797△10,916
年金数理純損益の償却15,36512,9692,6562,606
過去勤務費用の償却△7,864△4,294△2692
縮小・清算による影響額-6,3581,80468
純期間退職・年金費用20,95420,1035,2574,588

2018年度及び2019年度の純期間退職・年金費用の内訳のうち、勤務費用以外の金額は、各年度の連結損益計算書のそれぞれ「Ⅴ その他の収益」及び「Ⅵ その他の費用」に含まれています。
累積その他の包括利益で認識された年金数理純損益及び過去勤務費用のうち、2020年度の純期間退職・年金費用として認識されると見込まれる償却費は、それぞれ12,185百万円及び1,412百万円です。
退職給付債務及び年金制度資産の変動、年金制度の財政状況の内訳は次のとおりです。
項目国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2019年3月31日2020年3月31日2019年3月31日2020年3月31日
退職給付債務の変動
期首退職給付債務1,010,5741,034,954356,397351,918
勤務費用23,12817,9482,7803,616
利息費用7,0204,16210,0839,212
従業員による拠出額--462487
退職給付制度改訂による影響額---10,210
年金数理純損失(△利益)29,295△3,3301,70019,776
為替相場の変動による影響額--△1,554△16,919
縮小・清算による影響額-△359,205△6,120△4,434
連結範囲の変更による影響額--1,947-
その他62--
退職給付支払額△35,069△35,668△13,777△14,055
期末退職給付債務1,034,954658,863351,918359,811
年金制度資産の変動
期首年金制度資産公正価値711,077742,204269,745274,749
年金制度資産運用損益18,7012,94215,24326,738
為替相場の変動による影響額--△838△14,904
会社による拠出額36,8757,4538,5429,916
従業員による拠出額--462487
縮小・清算による影響額-△284,333△5,960△3,146
退職給付支払にともなう払出額△24,449△31,060△12,445△12,730
期末年金制度資産公正価値742,204437,206274,749281,110
年金制度の財政状況△292,750△221,657△77,169△78,701

連結貸借対照表計上額の内訳は次のとおりです。
項目国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2019年3月31日2020年3月31日2019年3月31日2020年3月31日
固定資産3,4763,39114,74524,777
流動負債--△4,412△4,355
固定負債△296,226△225,048△87,502△99,123
連結貸借対照表に計上した純額△292,750△221,657△77,169△78,701

累積その他の包括利益で認識した金額(税効果控除前)の内訳は次のとおりです。
項目国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2019年3月31日2020年3月31日2019年3月31日2020年3月31日
過去勤務費用(△貸方)△8,859△369△4510,058
年金数理純損失311,128223,35471,90666,326
合計302,269222,98571,86176,384

全ての確定給付年金制度に関する累積給付債務は次のとおりです。
国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2019年3月31日2020年3月31日2019年3月31日2020年3月31日
1,029,910654,209336,185354,100

累積給付債務が年金制度資産公正価値を超える年金制度の予測給付債務、累積給付債務及び年金制度資産公正価値は次のとおりです。
項目国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2019年3月31日2020年3月31日2019年3月31日2020年3月31日
予測給付債務1,022,235645,544200,596230,058
累積給付債務1,017,191640,890196,928226,080
年金制度資産公正価値726,009420,497123,937130,955

2019年3月31日及び2020年3月31日現在の退職給付債務計算上の加重平均想定率は次のとおりです。
項目国内制度海外制度
2019年3月31日2020年3月31日2019年3月31日2020年3月31日
割引率0.6%0.6%2.8%2.0%
昇給率**2.3%2.2%

(注)* ほぼ全てのソニーの国内制度はポイント制度であり、ポイント制度は昇給率を計算の基礎に組み入れていません。
2018年度及び2019年度における純期間退職・年金費用計算上の加重平均想定率は次のとおりです。
項目国内制度海外制度
2018年度2019年度2018年度2019年度
割引率0.8%0.6%2.9%2.8%
年金制度資産の期待収益率2.6%2.6%4.4%4.2%
昇給率**2.6%2.3%

(注)* ほぼ全てのソニーの国内制度はポイント制度であり、ポイント制度は昇給率を計算の基礎に組み入れていません。
ソニーは、これらの想定率を状況の変化に応じて見直しています。
加重平均昇給率は給与関連制度のみを基礎として計算されています。前述のポイント制度は従業員の給与をもとに退職給付支払を行う制度ではないため、計算からは除かれています。
死亡率の見積りは将来の平均余命見込みと制度加入者の種別にもとづきます。
年金制度資産の長期期待収益率を決定するため、ソニーは、現在の及び見込みの資産配分に加え、様々な種類の年金制度資産に関する過去及び見込長期収益率も考慮しています。ソニーの年金運用方針は、退職給付債務の性質が長期的であることにより見込まれる債務の増加や変動リスク、各資産クラスの収益とリスクの分散及びその相関を考慮して定められます。各資産の配分は、慎重かつ合理的に考慮した流動性及び投資リスクの水準に沿って、収益を最大化するように設定されます。年金運用方針は、直近のマーケットのパフォーマンス及び過去の収益を適切に考慮して定められているのに対し、ソニーが使用する運用前提条件は、対応する退職給付債務の性質が長期的であるのに合わせて長期的な収益を達成できるように設定されています。
ソニーの年金制度資産における運用方針は、将来の債務支払要求を満たすことができる運用収益を生み出すように策定されています。これらの債務の正確な決済金額は、制度加入者の退職日及び平均余命を含む将来の事象に左右されます。これらの債務は、現在の経済環境及びその他の関連する要因にもとづく年金数理上の前提条件を使用して見積もられます。ソニーの投資戦略は、持分証券のような潜在的に高利回りの資産と確定利付証券のようなボラティリティの低い資産をバランスよく組み込むことで、運用収益要求とポートフォリオにおけるリスク管理の必要性とのバランスをとっています。リスクには特にインフレーション、持分証券資産価値のボラティリティ、年金積立水準に不利に影響し結果としてソニーの拠出額への依存性が増加するような金利の変動が含まれます。潜在的な年金制度資産のリスク集中を緩和するために、業種及び地域間のポートフォリオバランスを考慮しつつ、金利感度、経済成長への依存性、為替、及び運用収益に影響するその他の要因にも配慮しています。2020年3月31日における当社及び大部分の国内子会社の年金制度の政策資産配分は、資産・負債総合管理の結果として、持分証券17%、確定利付証券54%、その他の投資29%となっています。また、海外子会社の加重平均政策資産配分は、持分証券14%、確定利付証券63%、その他の投資23%となっています。
注記3に記載されている公正価値の階層にもとづく、国内及び海外制度における年金制度資産の公正価値は、以下のとおりです。
資産クラス国内制度
金額(百万円)
公正価値公正価値による測定に使用した基礎データ
2019年3月31日レベル1レベル2レベル3
現金・現金同等物10,68910,689--
持分証券:
株式 *1140,559135,7134,846-
確定利付証券:
政府債 *2210,817-210,817-
社債 *397,519-97,519-
資産担保証券 *41,537-1,537-
合同運用ファンド *5138,455-138,455-
コモディティファンド *621,674-21,674-
プライベートエクイティ *727,956--27,956
ヘッジファンド *871,606--71,606
不動産及びその他 *921,392--21,392
合計742,204146,402474,848120,954

資産クラス国内制度
金額(百万円)
公正価値公正価値による測定に使用した基礎データ
2020年3月31日レベル1レベル2レベル3
現金・現金同等物24,85124,851--
持分証券:
株式 *150,64647,3083,338-
確定利付証券:
政府債 *2107,4781,087106,391-
社債 *371,1922071,172-
資産担保証券 *41,090-1,090-
合同運用ファンド *558,740-58,740-
コモディティファンド *621,823-21,823-
プライベートエクイティ *730,191--30,191
ヘッジファンド *848,410--48,410
不動産及びその他 *922,785-△2,58625,371
合計437,20673,266259,968103,972

(注)*1 2019年3月31日及び2020年3月31日現在、国内株式を約51%及び37%、海外株式を約49%及び63%含みます。
*2 2019年3月31日及び2020年3月31日現在、国内の国債及び地方債を約48%及び36%、海外の国債及び地方債を約52%及び64%含みます。
*3 国内及び海外の社債及び政府系機関債を含みます。
*4 主に不動産担保証券を含みます。
*5 合同運用ファンドは、主に投資信託を含む合同資金による機関投資です。これらは2019年3月31日及び2020年3月31日現在、持分証券を約50%及び50%、確定利付証券を約49%及び45%、その他の投資を約1%及び5%含みます。
*6 商品先物投資のファンドです。
*7 主に米国及びヨーロッパにおけるベンチャー、バイアウト、ディストレスに投資する複数のプライベートエクイティ・ファンドオブファンズを含みます。
*8 単一のヘッジファンドに付随するリスク及びボラティリティを分散及び軽減するために、幅広いヘッジファンドに投資するファンドオブヘッジファンズを主に含みます。
*9 主に不動産私募ファンドを含みます。
資産クラス海外制度
金額(百万円)
公正価値公正価値による測定に使用した基礎データ
2019年3月31日レベル1レベル2レベル3
現金・現金同等物4,3404,340--
持分証券:
株式 *123,76623,113653-
確定利付証券:
政府債 *284,761-84,761-
社債 *332,749-32,749-
資産担保証券1,115-1,115-
保険契約 *418,308-5,81412,494
合同運用ファンド *576,503-76,503-
不動産及びその他 *633,207-11,11822,089
合計274,74927,453212,71334,583

資産クラス海外制度
金額(百万円)
公正価値公正価値による測定に使用した基礎データ
2020年3月31日レベル1レベル2レベル3
現金・現金同等物4,6324,632--
持分証券:
株式 *118,38017,762618-
確定利付証券:
政府債 *293,826-93,826-
社債 *331,769-31,769-
資産担保証券1,320-1,320-
保険契約 *419,334-7,15612,178
合同運用ファンド *578,280-78,280-
不動産及びその他 *633,569-11,27222,297
合計281,11022,394224,24134,475

(注)*1 主に海外株式を含みます。
*2 主に海外の国債及び地方債を含みます。
*3 主に海外の社債を含みます。
*4 主に年金保険契約あるいは利益分配型年金保険契約です。
*5 合同運用ファンドは、ミューチュアル・ファンド、コモン・トラスト・ファンド、及びコレクティブ・インベストメント・ファンドを含む合同資金による機関投資です。これらは主に海外の持分証券及び確定利付証券で構成されています。
*6 主に不動産私募ファンドを含みます。
それぞれの年金制度資産が分類されている公正価値の階層におけるそれぞれのレベルは、その資産の公正価値測定に用いた基礎データにもとづき決定され、必ずしもその資産の安全性又は格付けを指し示すものではありません。
国内及び海外年金制度資産の公正価値測定に使用される評価方法は以下のとおりです。2018年度及び2019年度における評価方法の変更はありません。この評価方法は通期にわたり一貫して適用されます。
株式は、その個々の株式が取引される活発な市場における終値で評価されます。これらの資産は、通常レベル1に分類されます。
確定利付証券の公正価値は、通常は、価格決定モデル、類似証券の取引価格、あるいは割引キャッシュ・フローを用いて見積もられ、通常レベル2に分類されます。
合同運用ファンドは、ファンドマネジャーから提供され、ソニーが再検討した評価額を用いて、通常は評価されます。この評価額は、そのファンドの所有する現物資産から負債を差し引き、ソニーの持分に対応した評価額にもとづいています。これらの投資は、取引価格の有無により、レベル1、レベル2、あるいはレベル3に分類されます。
コモディティファンドは、観察可能な市場データから主に算出されたあるいはそれに裏付けられる基礎データを用いて評価されます。これらの資産は通常レベル2に分類されます。
プライベートエクイティ及び不動産私募ファンドは、市場取引価格が欠如していること、元々流動性に乏しく本質的に長期保有目的の資産であることから、その評価については重要な判断が要求されます。これらの資産は当初は原価で評価され、入手可能な関連性のある市場データを利用し、それらの資産の簿価に調整が必要かどうかを決定することで定期的に見直しを行います。これらの投資はレベル3に分類されます。
ヘッジファンドは、ファンドマネジャーあるいは証券保管機関から提供され、ソニーが再検討した評価額を用いています。この評価額は、そのファンドの所有する現物資産から負債を差し引き、ソニーの持分に対応した評価額にもとづいています。これらの投資は、レベル3に分類されます。
以下の表は、2018年度及び2019年度の国内及び海外制度におけるレベル3資産の公正価値の変動を要約したものです。
国内制度
金額(百万円)
観察不能な基礎データを用いた公正価値による測定
(レベル3)
プライベート
エクイティ
ヘッジファンド不動産及び
その他
合計
期首残高
(2018年4月1日現在)
24,14470,20419,431113,779
未実現運用収益4,4286591,6226,709
購入・売却・償還(純額)△616743339466
期末残高
(2019年3月31日現在)
27,95671,60621,392120,954
未実現運用収益2,649△6484182,419
購入・売却・償還(純額)△414△22,5483,561△19,401
期末残高
(2020年3月31日現在)
30,19148,41025,371103,972

海外制度
金額(百万円)
観察不能な基礎データを用いた公正価値による測定
(レベル3)
保険契約社債不動産及び
その他
合計
期首残高
(2018年4月1日現在)
12,7295,30325,97644,008
未実現運用収益736-5591,295
購入・売却・償還(純額)△389-△3,809△4,198
レベル間の振替(純額)-△5,540123△5,417
その他 *△582237△760△1,105
期末残高
(2019年3月31日現在)
12,494-22,08934,583
未実現運用収益559-132691
購入・売却・償還(純額)△373-755382
レベル間の振替(純額)----
その他 *△502-△679△1,181
期末残高
(2020年3月31日現在)
12,178-22,29734,475

(注)* 主に外貨換算調整額で構成されます。
ソニーは、年金制度資産の公正価値、年金制度資産の期待収益、及び退職給付債務の現在価値を勘案し、マネジメントにより適当と判断された場合に、確定給付年金制度への拠出を行っています。2020年度における拠出額の見込みは、国内制度で約20億円、海外制度で約80億円です。
予想将来給付額は次のとおりです。
年度国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2020年度37,38420,825
2021年度36,228104,988
2022年度36,98512,089
2023年度38,27112,269
2024年度37,21613,074
2025年度-2029年度185,218112,218

(2) 確定拠出制度
2018年度及び2019年度における確定拠出年金費用は次のとおりです。
2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
国内制度3,3536,925
海外制度11,60210,313

17 資本勘定
(1) 普通株式
2018年度及び2019年度における発行済株式数の増加の内訳は次のとおりです。
項目株式数(株)
2018年3月31日現在残高1,266,552,149
新株の発行149,900
新株予約権の行使4,525,300
転換社債型新株予約権付社債の株式へ
の転換
2,992
2019年3月31日現在残高1,271,230,341
新株の発行184,900
新株予約権の行使2,294,900
転換社債型新株予約権付社債の株式へ
の転換
86,040
自己株式の消却△12,737,400
2020年3月31日現在残高1,261,058,781

2020年3月31日現在、転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権が全て転換又は行使された場合に発行される株式数は、36,802,040株です。
当社は会社法に準拠し、取締役会の決議により随時分配可能額まで自己株式を取得することが可能です。
当社は2019年2月8日に開催された取締役会において、会社法の規定にもとづき自己株式を取得することを決議しました。当社は2019年3月31日までに、上記取締役会の決議にもとづき、自己株式19,309,100株を100,000百万円で取得しました。
当社は2019年5月16日に開催された取締役会において、会社法の規定にもとづき自己株式を取得することを決議しました。当社は2020年3月31日までに、上記取締役会の決議にもとづき、自己株式33,059,200株を199,999百万円で取得しました。
当社は取締役会から委任された代表執行役の決定にもとづき、2020年3月26日に自己株式12,737,400株を消却しました。
(2) 利益剰余金
2020年3月31日現在の当社の分配可能額は、683,084百万円です。2019年度にかかる利益処分額は、すでに連結財務諸表に反映されており、2020年5月13日付の当社取締役会書面決議において承認されています。上記の分配可能額は、連結財務諸表に反映されている2020年3月31日に終了した6ヵ月にかかる配当金を含んでいます。
利益剰余金には、持分法適用会社の未分配利益に対するソニーの持分相当額が含まれており、2019年3月31日及び2020年3月31日現在のこの金額は、それぞれ46,477百万円及び61,226百万円です。
(3) その他の包括利益
2018年度及び2019年度における累積その他の包括利益(税効果考慮後)の項目別の変動は次のとおりです。
項目金額(百万円)
未実現
有価証券
評価損益
未実現
デリバティブ
評価損益
年金債務
調整額
外貨換算
調整額
合計
2017年度末(2018年3月31日)126,191△1,242△296,444△445,251△616,746
新会計基準適用による累積的影響△15,526---△15,526
組替前その他の包括利益33,1242,316△23,44810,07122,063
累積その他の包括利益からの組替額*161△1,0939,488△1,6276,929
その他の包括利益(純額)33,2851,223△13,9608,44428,992
控除:非支配持分に帰属するその他の包括利益8,915-53△1,5787,390
2018年度末(2019年3月31日)135,035△19△310,457△435,229△610,670

項目金額(百万円)
未実現
有価証券
評価損益
未実現
デリバティブ
評価損益
年金債務
調整額
外貨換算
調整額
金融負債評価調整額合計
2018年度末(2019年3月31日)135,035△19△310,457△435,229-△610,670
組替前その他の包括利益40,3341,193△17,519△75,8143,032△48,774
累積その他の包括利益からの組替額*567492,490△74-92,546
その他の包括利益(純額)40,3901,26774,971△75,8883,03243,772
控除:非支配持分に帰属するその他の包括利益14,234-34△1,2451,05914,082
2019年度末(2020年3月31日)161,1911,248△235,520△509,8721,973△580,980

(注)* 外貨換算調整額は、海外子会社及び関連会社の清算又は売却にともない、累積その他の包括利益から
当年度損益へ組み替えられました。
2018年度及び2019年度における累積その他の包括利益からの組替額は以下のとおりです。
金額(百万円)
項目累積その他の包括利益からの組替額連結損益計算書に影響する項目
2018年度2019年度
未実現有価証券評価益23582金融ビジネス収入
税効果△74△26
税効果考慮後16156
未実現デリバティブ評価損益△1,093-売上原価
-106純売上高
税効果考慮前△1,093106
税効果-△32
税効果考慮後△1,09374
年金債務調整額9,89192,514*
税効果△403△24
税効果考慮後9,48892,490
外貨換算調整額△1,627△74為替差損(純額)・その他の営業損(益)(純額)
税効果--
税効果考慮後△1,627△74
累積その他の包括利益からの組替額合計
(税効果考慮後)
6,92992,546

(注)* 注記16に記載のとおり、年金及び退職金に関する償却費は純期間退職・年金費用に含まれています。
(4) 非支配持分との資本取引
2018年度及び2019年度の当社株主に帰属する当期純利益及び非支配持分との取引による資本剰余金の増減額は次のとおりです。
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
当社株主に帰属する当期純利益916,271582,191
非支配持分との取引にともなう資本剰余金の増加(減少)額△22,77516,372
当社株主に帰属する当期純利益及び非支配持分との取引にともなう資本剰余金の増減額の合計893,496598,563

2018年7月、Sony Corporation of Americaは、Estate of Michael Jackson(以下「MJ財団」)が保有するNile Acquisition LLC(以下「Nile」)の25.1%の持分を取得しました。ソニーは当該取引において、取引に関連して発生した各種費用等の償還を含む合計287.5百万米ドルをMJ財団に支払いました。支払額287.5百万米ドルと非支配持分簿価との差額295.9百万米ドルは、資本剰余金の減少として認識されています。当該取引の結果、Nileはソニーの完全子会社となりました。
2019年11月18日、ソニーは映画分野の完全子会社を通じて、AT&T Inc.(以下「AT&T」)が保有する米国におけるメディアネットワーク子会社であるGame Show Network, LLC(以下「Game Show Network」)の持分の42%を取得しました。これに伴い、Game Show Networkはソニーの完全子会社となりました。ソニーは、当該取引に先立って実施したAT&Tへの支払配当金129百万米ドルを含む53,992百万円(496百万米ドル)をAT&Tに支払いました。ソニーが支払った現金の合計と非支配持分の簿価との差額は、資本剰余金の増加として計上されています。
18 株価連動型報奨制度
ソニーは2018年度及び2019年度において、株価連動型報奨制度にかかる費用として、それぞれ5,499百万円及び5,958百万円を計上しました。
ソニーは一部の取締役、執行役及び経営幹部社員に対するインセンティブプランとして、新株予約権を発行するストック・オプションプランを有しています。新株予約権は、一般に、付与日から3年間にわたり段階的に権利が確定し、付与日より10年後まで権利行使が可能です。
2018年度及び2019年度において、ストック・オプションプランにおける権利行使によって受け取った現金の総額は、それぞれ12,757百万円及び7,560百万円でした。なお、権利行使にあたり、当社は新株を発行しています。
2018年度及び2019年度において付与された新株予約権の付与日現在の1株当たり加重平均公正価値は、それぞれ1,593円及び1,864円です。2018年度及び2019年度における報奨費用を認識するにあたって、新株予約権の付与日現在の公正価値は、ブラック・ショールズ・オプション・プライシング・モデルにもとづいて、以下の加重平均想定値を使用して見積もられています。
項目2018年度2019年度
加重平均リスク・フリー利子率1.37%0.70%
加重平均見積権利行使期間5.98年5.73年
加重平均見積ボラティリティ *32.52%29.30%
加重平均見積配当率0.35%0.32%

(注)* 加重平均見積ボラティリティは、新株予約権の加重平均見積権利行使期間における当社普通株式のヒストリカル・ボラティリティです。
2019年度における新株予約権の実施状況は以下のとおりです。
項目2019年度
株式数
(株)
加重平均権利行使価格(円)加重平均残存年数(年)本源的価値総額(百万円)
期首現在未行使残高12,213,9003,665
付与3,279,7006,669
権利行使2,294,9003,294
資格喪失もしくは期限切れ322,0005,500
期末現在未行使残高12,876,7004,9827.5219,459
期末現在行使可能残高6,235,7003,5816.4315,552

2018年度及び2019年度において行使されたストック・オプションプランの本源的価値の総額はそれぞれ13,325百万円及び7,575百万円でした。
2020年3月31日現在、権利行使が可能となっていない新株予約権にかかる未認識の報奨費用の総額は、5,912百万円です。この費用が認識されると見込まれる加重平均年数は、1.97年です。
19 収益
(1) 契約残高
顧客との契約から生じた債権、契約資産及び契約負債の残高は次のとおりです。
項目金額(百万円)
2018年度
(2019年3月31日)
2019年度
(2020年3月31日)
顧客との契約から生じた債権 *11,183,1151,126,597
契約資産 *119,14713,985
契約負債 *2254,646271,286

(注)*1 顧客との契約から生じた債権及び契約資産は、連結貸借対照表のうち「受取手形、売掛金及び契約資産」ならびに非流動の「その他」に含まれています。
*2 契約負債は、連結貸借対照表のうち流動・非流動の「その他」に含まれています。
契約負債は、主に契約の履行以前に顧客から受領した対価に関する残高です。2019年3月31日時点における契約負債残高のうち204,265百万円を、2019年度において収益として認識しています。2019年3月31日以前の期間に充足した履行義務から61,706百万円を、2019年度において収益として認識しています。
(2) 履行義務
残存履行義務(未充足又は部分的に未充足)は、未履行の受注残高であり、将来の履行に伴って収益として認識されます。ソニーは、残存履行義務の開示に当たって実務上の便法を適用し、当初の予想期間が1年以内の契約、及び知的財産のライセンス契約のうち売上高ベース又は使用量ベースで受領するロイヤルティにかかる部分について開示対象より除外しています。以下の表は、2020年3月31日時点で充足していない履行義務に配分された取引価額の要約であり、そのうち50%以上が1年以内に収益として認識され、ほとんど全てが3年以内に認識されるものと見込まれています。
項目金額(百万円)
2019年度
(2020年3月31日)
映画 - 映画製作及びテレビ番組制作 *1569,081
映画 - メディアネットワーク22,333
音楽 *244,971
その他47,126

(注)*1 映画分野における映画製作及びテレビ番組制作については、契約期間にかかわらず全ての契約を含めています。
*2 音楽分野に含まれている金額は、主に更新され続けるコンテンツライブラリへの継続的なアクセス権のライセンス契約における、ロイヤルティのミニマムギャランティ又は固定収入です。これらの契約には、上記の金額からは除外されているミニマムギャランティを上回る売上高・使用量ベースのロイヤルティも潜在的に含まれていますが、これらの追加的なロイヤルティのうち、ほとんど全てが3年以内に収益として認識されます。
(3) 契約コスト
契約コストの残高は次のとおりです。
項目金額(百万円)
2018年度
(2019年3月31日)
2019年度
(2020年3月31日)
契約獲得の増分コスト6,5817,464

ソニーは、資産として認識するはずの契約獲得の増分コストの償却期間が1年以内である場合、発生時に費用として認識することを認める実務上の便法を適用しています。2019年度において認識された償却費は、6,420百万円です。契約獲得の増分コストは主にEP&S分野におけるインターネット関連サービス事業で認識され、契約期間にわたり償却されます。
(4) 収益の分解
売上高及び営業収入のセグメント別、製品カテゴリー別及び地域別の内訳については注記28に記載しています。
20 構造改革にかかる費用
ソニーは様々なビジネスの業績向上のための活動の一環として、数々の構造改革活動を実施しました。ソニーは、構造改革活動を将来の収益性に好影響をもたらすためにソニーが実施する活動と定義しており、事業や製品カテゴリーからの撤退、従業員数の削減プログラムの実施、低コスト地域への生産移管・集約、OEM/ODMの活用、開発・研究組織構造の見直し、販売・間接部門の能率化などの活動が含まれています。構造改革活動は通常、発生から一年以内に完了する短期的性質のものです。
2018年度及び2019年度における構造改革に関連する債務の推移は以下のとおりです。
項目金額(百万円)
退職関連費用現金支出をともなわない資産の減損・償却及び処分損(純額)その他の関連費用合計
2018年3月31日現在債務残高19,486-4,18823,674
構造改革費用発生額24,4492,7315,82533,005
非現金支出費用-△2,731-△2,731
現金支出による支払・決済額△19,150-△2,555△21,705
調整額955-△357598
2019年3月31日現在債務残高25,740-7,10132,841
構造改革費用発生額22,9571001,65324,710
非現金支出費用-△100-△100
現金支出による支払・決済額△23,385-△6,703△30,088
調整額△674-△131△805
2020年3月31日現在債務残高24,638-1,92026,558

(注)構造改革費用に含められていない重要な資産の減損については注記14をご参照ください。
2018年度及び2019年度におけるセグメント別の構造改革に関連する費用は以下のとおりです。
2018年度
金額(百万円)
退職関連費用その他の
関連費用 *
構造改革費用
合計
構造改革に
関連する資産
の減価償却費
合計
ゲーム&ネットワークサービス-----
音楽2,9912013,192-3,192
映画4,795-4,795-4,795
エレクトロニクス・プロダクツ&
ソリューション
11,4374,57416,0118616,097
イメージング&センシング・ソリューション-----
金融-----
その他及び全社(共通)5,2263,7819,007-9,007
連結合計24,4498,55633,0058633,091

2019年度
金額(百万円)
退職関連費用その他の
関連費用 *
構造改革費用
合計
構造改革に
関連する資産
の減価償却費
合計
ゲーム&ネットワークサービス-----
音楽3,17963,185-3,185
映画545-545-545
エレクトロニクス・プロダクツ&
ソリューション
14,50022714,727-14,727
イメージング&センシング・ソリューション-----
金融-----
その他及び全社(共通)4,7331,5206,2532566,509
連結合計22,9571,75324,71025624,966

(注)* 現金支出をともなわない資産の減損・償却及び処分損(純額)が含まれています。
構造改革に関連する資産の減価償却費として開示されているものは、承認された構造改革計画のもとで、償却対象固定資産の耐用年数及び残存価額の見直しを行ったことにより発生した減価償却費の増加分です。資産の減損については、その年度において直ちに費用認識されます。
早期退職プログラム
ソニーは、主としてEP&S分野に関するセグメントの業績向上及び本社部門における費用削減のため、営業費用の一層の削減を目的とする様々な人員削減プログラムを実施しました。ソニーは、製造拠点の再編措置、開発・研究組織構造の見直し、販売・間接部門の能率化を通して、本社を含めた全社的な合理化を行いました。また、ソニーは人員の配置転換や再就職支援を含めたプログラムを通して、その労働力の再分配と最適化を行っています。上記の表における退職関連費用は、連結損益計算書の販売費及び一般管理費に計上されています。
音楽
音楽分野における組織最適化と業績改善のため、ソニーは事業運営の合理化とコスト削減を目的とする数々の構造改革活動を実施しました。これらの活動により、2018年度及び2019年度にそれぞれ、3,192百万円及び3,185百万円の主に従業員数の削減に関連する構造改革費用を計上しました。
映画
映画分野における組織最適化と業績改善のため、ソニーは事業運営の合理化とコスト削減を目的とする数々の構造改革活動を実施しました。これらの活動により、2018年度に4,795百万円の主に従業員数の削減に関連する構造改革費用を計上しました。2019年度における重要な構造改革費用の発生はありませんでした。
EP&S
EP&S分野に含まれるスマートフォン事業をはじめとするいくつかの事業の業績を向上させるべく、ソニーは収益構造の改善を目的とする数々の構造改革活動を実施しました。これらの活動により、2018年度及び2019年度にそれぞれ、16,011百万円及び14,727百万円の主に海外製造拠点及び海外一部地域の撤退措置による構造改革費用を計上しました。
21 連結損益計算書についての補足情報
(1) その他の営業損(益)(純額)
ソニーは、取引の性質又はソニーのコアビジネスとの関連性等を考慮し、その他の営業損(益)(純額)を計上しています。
その他の営業損(益)(純額)の内訳は次のとおりです。
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
EMI株式の再評価益 *1△116,939-
SRE株式の再評価益及び売却益 *2-△17,266
ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱及びSA Reinsurance Ltd.株式の再評価益 *3-△1,827
子会社及び関連会社株式の取得及び売却にともなう損失(利益)(純額) *4△1,557△12,801
資産の除売却損(益)及び減損(純額) *546,92829,778
その他-△1,495
△71,568△3,611

(注)*1 注記6及び25参照
*2 注記6参照
*3 注記6及び25参照
*4 注記25参照
*5 注記10、14及び20参照
(2) 研究開発費
2018年度及び2019年度の売上原価に計上された研究開発費は、それぞれ481,202百万円及び499,290百万円です。
(3) 広告宣伝費
2018年度及び2019年度の販売費及び一般管理費に計上された広告宣伝費は、それぞれ385,500百万円及び359,458百万円です。
(4) 物流費用
2018年度及び2019年度の販売費及び一般管理費に計上された製品の物流費用は、それぞれ51,757百万円及び46,196百万円で、ソニーグループ内での製品運搬費用も含まれています。
22 法人税等
国内及び海外における税引前利益及び法人税等の内訳は次のとおりです。
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
税引前利益
当社及び全ての国内子会社310,020466,253
海外子会社701,628333,197
1,011,648799,450
法人税等-当年度分
当社及び全ての国内子会社82,081105,755
海外子会社84,66766,636
166,748172,391
法人税等-繰延税額
当社及び全ての国内子会社17,9079,421
海外子会社△139,557△4,622
△121,6504,799
法人税等45,098177,190

日本の法定税率と実効税率との差は次のとおり分析されます。
項目2018年度2019年度
法定税率31.5%31.5%
損金に算入されない費用0.70.3
税額控除△1.6△1.7
法定税率の変動及び税制改正△0.3△0.4
評価性引当金の変動(2018年度におけるSony Americas Holding Inc.(以下「SAHI」)及びその米国連結納税グループにおける取り崩しを除く)2.3△8.1
2018年度におけるSAHI及びその米国連結納税グループにおける評価性引当金の取り崩し△15.3-
海外関係会社の未分配利益にかかる繰延税金負債の変動△0.10.2
日本における生命保険及び損害保険事業に適用される軽減税率△0.5△0.6
海外との税率差△6.4△2.4
税金引当にともなう調整△0.30.9
持分法による投資利益の影響0.00.0
EMI持分の再評価益△2.4-
外国子会社合算税制0.05.3
その他△3.1△2.8
実効税率4.5%22.2%

2017年12月22日、米国税制を大幅改正する米国税制改革法が成立しました。改正の主な内容として、2018年1月1日以降に開始する課税年度に適用される法人税率が35%から21%に引き下げられ、また、米国子会社における過去の海外留保利益にかかる一時の強制みなし配当課税により、米国の国際課税制度が全世界所得課税からテリトリアル課税へ移行されました。
法定法人税率の35%から21%への引き下げに加えて、米国税制改革法では新たな支払利子の損金不算入制限を含む一部の控除制度の廃止、税源浸食濫用防止税(Base Erosion Anti-Abuse Tax、以下「BEAT」)という新たな課税制度の導入、ならびに米国における企業グループが米国外で稼得した利益に対する課税方法の変更が行われました。米国税制改革法ではまた、2022年まで繰延映画製作費を含む適格資産の即時償却を認めることにより、加速償却による損金算入の選択適用が拡張されました。さらに、米国税制改革法では、外国源泉の無形資産関連所得(Foreign Derived Intangible Income)もしくはFDIIと呼ばれる米国法人の一部の米国外源泉所得に対して有利な取り扱いも規定されています。
BEATは、その適用法人に対して通常の法人税額(外国税額控除を含む一部の税額控除後)と、一部の関連者への支払を足し戻した修正課税所得の10%(2019年に開始する課税年度から適用。2018年度では6.25%を適用)のいずれか高い金額の支払を課すことで、多国籍企業に対する追加税負担を求めております。このBEATによる通常の法人税額との比較は、納税者の関連者への「税源浸食的」支払が、米国の税務申告における損金の総額の3%を上回る場合には毎年行わなければなりません。米国財務省は、納税者が3%の閾値を下回ることを目的として、当該「税源浸食的」支払を損金の額に含めないことを選択できるようにする規則を発行しました。ソニーは当初、2019年度において3%の閾値を超えると予想していましたが、税務申告時において更なる詳細な分析の結果、3%の閾値を下回るとされたため、通常の法人税額の計算にて外国税額控除を使用することができ、その税負担を軽減しております。ソニーは、2020年度において3%の閾値を下回ると予想しておりますが、もし上回った場合は、「税源浸食的」支払を損金の額に含めないことにより閾値が3%を下回るように上述の規則を選択適用する予定です。したがって、ソニーは米国の通常の法人税額を、税額控除によって相殺されると想定して計算しています。ソニーは、毎年自身がBEATの適用下にあるかを判断し、BEATを期間費用として会計処理し、繰延税金を通常の法定税率により計上することを要求されています。したがって、ソニーは米国の繰延税金資産及び繰延税金負債を21%で計上しています。
ソニーは、繰越欠損金、一時差異及び繰越税額控除に対する繰延税金資産の全てもしくは一部について、50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金を計上しています。繰延税金資産の最終的な回収可能性は、関連する税務管轄における将来課税所得の発生によって決定されます。2018年12月31日時点で、米国のSAHI及びその連結納税グループは、G&NS分野及び音楽分野を中心に、一定の利益水準を維持できていました。かかる状況を踏まえ、ソニーは、2018年度第3四半期連結会計期間において、入手可能な肯定的及び否定的な証拠を評価した結果、主として繰越欠損金、一時差異及び一部の繰越税額控除に対する米国における相当部分の繰延税金資産について評価性引当金を取り崩し、連結損益計算書上、法人税等が154,201百万円減少しました。
繰延税金資産・負債の主な内訳は次のとおりです。
借方(貸方)

項目2019年3月31日2020年3月31日
金額(百万円)金額(百万円)
繰延税金資産
税務上繰越欠損金413,494348,714
未払退職・年金費用103,65277,559
繰延映画製作費を含む償却費86,19665,349
リース負債-100,720
製品保証引当金及び未払費用108,515116,234
保険契約債務36,68342,056
棚卸資産19,71615,512
減価償却費34,63839,085
繰越税額控除117,47194,900
持分証券に関する損失-11,815
貸倒引当金9,1369,090
投資の減損12,2786,029
前受収益19,08124,420
その他169,897122,591
総繰延税金資産1,130,7571,074,074
控除:評価性引当金(723,114)(608,243)
繰延税金資産合計407,643465,831
繰延税金負債
繰延保険契約費(169,244)(170,868)
保険契約債務(181,052)(193,315)
映画分野における未請求債権(44,842)(26,214)
使用権資産-(96,970)
未実現有価証券評価益(75,573)(92,791)
持分証券に関する利益(33,082)-
株式交換により取得した無形固定資産(23,949)(23,949)
EMI Music Publishingの無形固定資産(93,979)(89,909)
海外関係会社の未分配利益(15,758)(25,359)
エムスリー投資(37,007)(38,303)
その他(62,092)(47,319)
総繰延税金負債(736,578)(804,997)
純繰延税金負債(328,935)(339,166)

2019年度において、ソニーは、入手可能な肯定的及び否定的証拠を比較衡量した結果、日本における当社とその連結納税グループ、ならびにスウェーデンのSony Mobile Communications AB、英国のSony Europe B.V.、ブラジルにおける一部の子会社及び他の税務管轄における一部の子会社の繰延税金資産に対して、評価性引当金を引き続き計上しました。主に外国税額控除及び一部の試験研究費の税額控除にかかる残りの米国の繰延税金資産に対しても、評価性引当金を引き続き計上しています。評価性引当金のうち、日本における当社とその連結納税グループにおいて、法人税にかかるものを274,761百万円、地方税にかかるものを125,465百万円計上しています。なお、2019年度末において、日本における当社とその連結納税グループにおける法人税に関する繰延税金資産に対して、将来加算一時差異と相殺されると見込まれる部分を除き、引き続き評価性引当金を計上しています。2020年初頭からの新型コロナウイルス感染拡大による影響により将来の収益性の見込が不確実であることから、2019年度においては過去数年にわたって利益を計上しているものの、日本における当社とその連結納税グループにおける繰延税金資産(純額)には引き続き評価性引当金を計上しています。
2018年度及び2019年度における評価性引当金の純増減額は、それぞれ176,721百万円及び114,871百万円の減少です。
2018年度の評価性引当金の減少は、SAHI及びその米国連結納税グループにおける相当部分の繰延税金資産に対する評価性引当金を取り崩したこと及び日本の連結納税グループとその他の税務管轄において繰越欠損金及びその他の繰延税金資産を使用したことによるものです。
2019年度の評価性引当金の減少は、主に日本の連結納税グループにおいて繰越欠損金及びその他の繰延税金資産を使用したこと、及び米国の連結納税グループにおいて外国税額控除及び試験研究費の税額控除を使用したことによるものです。
2020年3月31日現在、一部の海外関係会社の未分配利益のうち、将来配当することを予定していない1,019,525百万円に対して、16,312百万円の税金引当を行っていません。また、1991年11月の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの公募による株式発行により計上された子会社株式売却益61,544百万円とEMI持分の再評価益(注記25参照)を含む、子会社における会計と税務の差異に起因する利益に対しては、税務戦略にもとづき所有株式の処分から発生する重大な課税を見込んでいないため税金引当を行っていません。
2020年3月31日現在の税務上の繰越欠損金に対する繰延税金資産の総額は348,714百万円であり、その繰越欠損金は、様々な税務管轄で申告される予定の将来課税所得と相殺することが可能です。繰越可能期間が無期限の96,890百万円を除き、繰越欠損金の大部分は2020年度から2023年度までの間に期限切れとなります。
2020年3月31日現在の繰越税額控除に対する繰延税金資産の総額は、94,900百万円です。繰越可能期間が無期限の15,059百万円を除き、繰越税額控除の大部分は2020年度から2029年度までの間に期限切れとなります。
未認識税務ベネフィットの期首総額と期末総額との調整は次のとおりです。
項目2019年3月31日2020年3月31日
金額(百万円)金額(百万円)
期首残高95,42550,577
過年度の税務ポジションに関する減少△31,396△331
過年度の税務ポジションに関する増加3,094162
当年度の税務ポジションに関する増加2,5948,074
解決△4,235△13,240
時効による消滅△14,824△1,251
外貨換算調整額△81△2,723
期末残高50,57741,268
認識された場合、実効税率に影響を与える未認識税務ベネフィットの期末純残高35,00429,539

未認識税務ベネフィットの総額の主な増減(解決を含む)は、G&NS分野、EP&S分野、I&SS分野及びその他分野の特定の連結子会社間クロスボーダー取引に関する二国間事前確認制度(Bilateral Advance Pricing Agreements、以下「APAs」)の申請の結果を含む移転価格調整に関連しています。これらのAPAsは、租税条約で規定される二国間相互協議手続にもとづいた、ソニーと二ヵ国の税務当局間の合意を含んでいます。ソニーは見積もられた税金費用を、通常これらの手続の進捗や移転価格の税務調査の進捗に応じて見直し、必要に応じて見積りを調整しています。加えて、これらのAPAsは政府間協議による合意のため、最終結果がソニーの現時点における50%超の可能性で実現が見込まれる見積評価と異なる場合があります。
2018年度において、ソニーは、1,479百万円の支払利息の戻し入れ及び218百万円の罰金の計上を行いました。2019年3月31日現在、ソニーの利息及び罰金に関する負債の残高はそれぞれ9,309百万円及び4,855百万円です。
2019年度において、ソニーは、1,276百万円の支払利息の戻し入れ及び117百万円の罰金の計上を行いました。2020年3月31日現在、ソニーの利息及び罰金に関する負債の残高はそれぞれ8,033百万円及び4,971百万円です。
ソニーは世界中の様々な国、地域で営業活動を行っており、その税務申告書は、定期的に日本及び海外の税務当局の税務調査を受けています。いくつかの国、地域における、税務調査終了、現行の調査の結果、時効による消滅、及びソニーの税務ポジションの再評価などの結果により、今後の12ヵ月間で未認識税務ベネフィットは変動する可能性があります。ソニーは、今後の12ヵ月間で未認識税務ベネフィットが最大1,791百万円減少することを見込んでいます。
ソニーは、日本の税務当局により2010年度から2019年度が、米国の税務当局により2016年度から2019年度が、その他の重要な海外の税務当局により2006年度から2019年度が、引き続き税務調査の対象となっています。
23 基本的及び希薄化後EPSの調整表
2018年度及び2019年度における基本的及び希薄化後EPSの調整計算は次のとおりです。
項目2018年度2019年度
利益
(百万円)
加重平均
株式数
(千株)
EPS
(円)
利益
(百万円)
加重平均
株式数
(千株)
EPS
(円)
基本的EPS
当社株主に帰属する当期純利益916,2711,266,592723.41582,1911,234,408471.64
希薄化効果
新株予約権
転換社債型新株予約権付社債(ゼロクーポン)
-
-
4,088
23,966
-
-
3,853
23,994
希薄化後EPS
計算に用いる当社株主に帰属する当期純利益916,2711,294,646707.74582,1911,262,255461.23

2018年度及び2019年度において、希薄化後EPSの計算から除いた潜在株式数はそれぞれ5,731千株及び3,212千株です。2018年度及び2019年度において、新株予約権の権利行使価格が当期間における当社の普通株式の市場平均株価を上回っている場合は希薄化効果がないと認め、その潜在株式をこの計算から除外しています。2015年7月に発行された転換社債型新株予約権付社債(ゼロクーポン)は、転換仮定法にもとづいて発行時点から希薄化後EPSの計算に含めています。
24 変動持分事業体
ソニーは、VIEとの間で各種の取り決めを結んでいます。
(1)連結VIE
ソニーの米国における音楽制作子会社は音楽ソフトの制作及び製造に関連する会社との間で複数の合弁契約を締結しています。ソニーはこれらの合弁会社を再検討した結果、これらの合弁会社はVIEであると判断しました。定性的評価にもとづき、ソニーはこれらのVIEに資金を提供する責任を有し、多くの場合これらのVIEが利益を計上するまでの間、全ての損失を負担することから、これらのVIEの経済的成果に最も重要な影響を与える活動を指揮する力を持ち、またこれらのVIEの損失を負担する義務を負うと判断されます。結果としてソニーはこれらのVIEの第一受益者と判断され、これらのVIEを連結しています。ソニーの資産はこれらVIEの債務の返済に使用することはできません。2020年3月31日現在、これらのVIEの保有する資産合計及び負債合計は、総額でそれぞれ46,154百万円及び25,100百万円です。
(2)非連結VIE
注記7に記載のとおり、一部の売掛債権売却プログラムにはVIEが関与しています。これらのVIEは全てスポンサー銀行に関連する特別目的会社です。定性的評価にもとづき、ソニーはこれらのVIEの活動を指揮する力、損失を負担する義務又は残余利益を受け取る権利がないことから、第一受益者ではないためこれらのVIEを連結対象とはしていません。なお、ソニーの最大損失額は僅少と考えられます。
金融分野においては、ソニーが第一受益者ではないVIEに対し、変動持分を保有することがあります。そのようなVIEに対し、ソニーが保有する変動持分には、持分証券、証券化商品、外国社債、その他の投資が含まれます。
以下の表は、2019年3月31日及び2020年3月31日における非連結のVIEに対する変動持分の簿価、連結貸借対照表上の科目、及び最大損失のエクスポージャーを表しております。なお、最大損失のエクスポージャーは、不利な環境変化から実際に発生すると見積もられる損失額を表したものでも、その損失額を減少させる効果のある経済的ヘッジ取引を反映したものでもありません。VIEに対するソニーの関与に関わるリスクは簿価及びコミットメントの金額に限定されます。
項目2019年3月31日2020年3月31日
金額(百万円)金額(百万円)
簿価簿価
有価証券投資有価証券その他前払費用及びその他の流動資産最大損失のエクスポージャー有価証券投資有価証券その他前払費用及びその他の流動資産最大損失のエクスポージャー
持分証券*1135,5528,485-146,031579,7736,229-587,602
証券化商品-191,049-195,190-210,641-210,641
外国社債*229,88965,503-95,39241,45241,036-82,488
その他の投資-4,68821,00025,688-16,25321,00043,719
合計165,441269,72521,000462,301621,225274,15921,000924,450

*1持分証券には、主に投資信託が含まれています。
*2外国社債には、主にリパッケージ債が含まれています。
25 企業結合
(1) EMI Music Publishingの取得
2018年11月14日、ソニーの完全子会社であるSony Corporation of Americaは、EMI Music Publishingを所有し運営するDH Publishing, L.P.(以下「EMI」)について、ムバダラインベストメントカンパニーが主導するコンソーシアムが保有する約60%の持分全てを取得し、その持分の現金対価として、新株予約権及びマネジメントインセンティブの対価と合わせて合計257,168百万円(2,269百万米ドル)を支払いました。当該取得にともない、EMIはソニーの完全子会社となりました。ソニーは、音楽出版事業を営んでいる完全子会社のSony/ATV Music Publishingがこれまで管理していたEMIの音楽出版カタログの全てを取得することにより、自らの音楽出版ライブラリの強化の実現をめざします。ソニーの2018年度の連結損益計算書は、当該取得日以降EMIが計上した売上高28,871百万円(260百万米ドル)と営業利益6,432百万円(58百万米ドル)を含みます。また、2018年度第4四半期連結会計期間の連結損益計算書は、EMIが計上した売上高18,420百万円(167百万米ドル)と営業利益4,522百万円(41百万米ドル)を含みます。
この取得前は、ソニーはEMIの持分を持分法で会計処理していました。この取得でEMIの支配持分を獲得したため、ソニーは取得法にもとづきEMIを連結し、識別可能資産、引受負債及びその残余としての営業権を公正価値で計上しました。また、ソニーは既に保有していたEMIの持分約40%を公正価値141,141百万円(1,245百万米ドル)で再評価した結果、2018年度第3四半期連結会計期間において116,939百万円(1,032百万米ドル)の評価益をその他の営業益(純額)に計上しました。この評価益に対する税金費用及び繰延税金負債は計上していません。また、ソニーは、当該取得にともないEMIの有利子負債148,621百万円(1,311百万米ドル)を承継し、そのうち108,942百万円(961百万米ドル)を手許の現金から直ちに返済しました。
音楽分野に計上されたEMIの資産及び負債に割り当てられた暫定評価及び最終評価の公正価値の集計は以下のとおりです。2019年3月31日時点では、法人税等及び残余の営業権を含む特定の領域において、支払われた対価の割当は完了していませんでした。
項目公正価値で
計上された
資産及び負債
(暫定評価)
(百万円)
測定期間調整
(百万円)
公正価値で
計上された
資産及び負債
(最終評価)
(百万円)
現金・預金及び現金同等物12,971-12,971
受取手形、売掛金及び契約資産32,287-32,287
前払費用及びその他の流動資産10,220△9810,122
投資有価証券その他1,476-1,476
無形固定資産420,534-420,534
営業権237,271△1,206236,065
その他10,023-10,023
資産合計724,782△1,304723,478
支払手形及び買掛金1,731-1,731
未払金・未払費用70,675-70,675
未払法人税及びその他の未払税金3,082△693,013
長期借入債務148,621-148,621
未払退職・年金費用1,947-1,947
繰延税金94,849△1,23593,614
その他5,564-5,564
負債合計326,469△1,304325,165

無形固定資産は主にミュージック・カタログが含まれており、加重平均償却期間は43年です。営業権は、新たな収益の流入による将来の成長やソニーの既存の資産や事業とのシナジー等の識別不能無形固定資産を表しており、取得した有形資産や無形固定資産の見積公正価値に対する購入価格の超過する部分として計算され、税務上損金に算入されません。この取得により計上された営業権は音楽分野に含まれます。
下記の概算の補足財務資料(未監査)は、この取得が2017年度の期首に発生したと仮定した場合のソニーとEMIの業績合計額です。
項目金額(百万円)
連結会計年度
(自 4月1日
至 3月31日)
2018年度
純売上高8,738,209
営業利益801,973
当社株主に帰属する当期純利益817,629
1株当たり情報
-基本的645.53円
-希薄化後631.55円

この概算の補足財務情報(未監査)は、ソニーが合理的と考える見積り及び前提にもとづき作成されたものであり、この取得が2017年度の開始の日に完了したと仮定した場合のソニーの業績を表示又は示唆することを目的としたものではありません。また、この概算の補足財務情報(未監査)を将来のソニーの業績を示す指標として用いるべきではありません。この概算の補足財務情報(未監査)は、EMIの持分法による投資利益(損失)の消去及び連結処理、過年度に所有していた資本持分の再評価による利益の調整、税効果後の無形固定資産償却費用の増分、新株予約権及びマネジメントインセンティブ費用の調整が含まれています。
(2) Insomniac Games, Inc.の取得
2019年11月15日、ソニーのG&NS分野の完全子会社であるSony Interactive Entertainment LLCは、ゲーム開発会社であるInsomniac Games, Inc.(以下「Insomniac Games」)の買収を完了しました。
本買収の対価24,895百万円(229百万米ドル)は、主に現金により支払われました。本買収の結果、Insomniac Gamesはソニーの完全子会社となりました。
当該取得により、ソニーは営業権17,945百万円(164百万米ドル)及び無形固定資産6,794百万円(62百万米ドル)を計上しました。この取引で支払われた現金対価は、受領した現金が控除された上で、連結キャッシュ・フロー計算書の投資活動の「その他」に含まれています。プロフォーマ情報は、この取得の与える影響が軽微なため、開示を省略しています。
(3) Silvergate Mediaの取得
2019年12月9日、ソニーは映画分野の完全子会社を通じて、子ども向けアニメーションの開発・制作とライセンスの提供をしているSilvergate Media Group(以下「Silvergate」)を買収しました。本買収の対価21,017百万円(192百万米ドル)は、現金により支払われました。本買収の結果、ソニーは、(1)Silvergate BP Bidco Limitedが保有する一部の権利を除くSilvergateの全ての資産を保有するSilvergate Topco Limitedの100%の持分、及び(2)「ピーターラビット」テレビシリーズを制作しているSilvergate BP Bidco Limitedの31%の持分を保有することになり、ソニーは営業権11,431百万円(106百万米ドル)と無形固定資産3,387百万円(32百万米ドル)を計上しました。この取引で支払われた現金対価は、受領した現金が控除された上で、連結キャッシュ・フロー計算書の投資活動の「その他」に含まれています。プロフォーマ情報は、この取得の与える影響が軽微なため、開示を省略しています。
(4) 生命保険事業を営む持分法適用関連会社の子会社化
2020年1月29日、ソニーの連結子会社であるソニー生命はソニーライフ・エイゴン生命保険㈱及びSA Reinsurance Ltd.(以下あわせて「両合弁会社」)について、AEGON International B.V.が保有する50%の株式の全てを取得し、その両合弁会社の株式取得にかかる対価として現金で18,750百万円を支払いました(以下「本取引」)。なお、本取引の完了にともない、ソニー生命が両合弁会社の株式の100%を保有することとなり、両合弁会社はソニーの連結子会社になりました。ソニー生命は、ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱が培ってきた変額保険ビジネスの強みやノウハウを活用し、シニア層の取組みを強化するとともに、一体的な業務・組織運営で効率化を図ります。なお、ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱は、2020年4月1日付で、商号を「ソニーライフ・ウィズ生命保険株式会社」に変更しております。
本取引の完了に伴う両合弁会社の株式取得以前においては、ソニーは両合弁会社の持分を持分法で会計処理していました。本取引により両合弁会社の支配持分を獲得したため、ソニーは取得法にもとづき両合弁会社を連結し、識別可能資産、引受負債及びその残余としての営業権を公正価値で計上しました。また、ソニーは、既に保有していた両合弁会社の持分50%を企業結合日における公正価値13,932百万円で再評価した結果、2019年度において1,827百万円の評価益をその他の営業益(純額)に計上しました。この評価益に対する税金費用及び繰延税金負債は計上していません。
金融分野に計上された両合弁会社の資産及び負債に割り当てられた公正価値の集計は以下のとおりです。
項目金額(百万円)
現金・預金及び現金同等物27,380
有価証券530,851
前払費用及びその他の流動資産21,933
投資有価証券その他15,329
営業権3,609
その他406
資産合計599,508
保険契約債務その他66,599
生命保険ビジネスにおける契約者勘定495,248
その他4,979
負債合計566,826

営業権は、ソニー生命との一体的な業務・組織運営による効率化等での収益性改善を表しており、識別可能資産、負債の見積公正価値に対する購入価格の超過する部分として計算され、税務上損金に算入されません。この取得により計上された営業権は金融分野に含まれます。
プロフォーマ情報は、この取得の与える影響が軽微なため、開示を省略しています。
(5) その他の取得
2018年度においてソニーはその他いくつかの取得を行いました。支払われた対価の合計は7,743百万円であり、主として現金で支払われました。将来変更される可能性がある重要な条件付対価はありません。これらの取得により、ソニーは営業権5,773百万円と無形固定資産4,422百万円を計上しました。
2019年度においてソニーはその他いくつかの取得を行いました。支払われた対価の合計は6,853百万円であり、主として現金で支払われました。将来変更される可能性がある重要な条件付対価はありません。これらの取得により、ソニーは営業権6,778百万円と無形固定資産2,301百万円を計上しました。
これらの取得に関して重要な仕掛研究開発費への価格割当はありません。上記の全ての取得企業及び事業はそれぞれの取得日よりソニーの業績に連結されています。その他の取得は、個別ならびに総計で重要性がないため、プロフォーマ情報は表示していません。
26 共同契約
ソニーは、主として、映画分野の子会社において、他の1つ又は複数の活動のある参加者と共同で映画又はテレビ作品に対する資金調達、製作及び配給を行うための共同契約を締結し、この子会社と他の参加者が、所有によるリスクと便益を共有しています。これらの契約は共同製作・配給契約となります。
ソニーは、主として、映画又はテレビ作品のうち自社が保有し資金調達する部分のみを資産計上しています。ソニーと他の参加者は、主として、異なるメディア又はマーケットで作品を配給しています。ソニーが作品を配給したメディア又はマーケットで獲得した収益及び発生した費用は、主として、総額を計上しています。ソニーは、主として、他の参加者が作品を配給した際には、獲得した収益及び発生した費用の計上はしていません。ソニーと他の参加者は、主として、全てのメディア又はマーケットでの作品の配給から得た利益を分配しています。映画作品においては、ソニーが純額の受取人の場合、(1)他の参加者が配給したメディア又はマーケットからの利益におけるソニーへの分配金から(2)ソニーが配給したメディア又はマーケットからの利益における他の参加者への分配金を差し引き、純額を純売上高として計上しています。ソニーが純額の支払人の場合、純額を売上原価として計上しています。テレビ作品においては、他の参加者が配給したメディア又はマーケットからの利益のソニーへの分配金を売上として計上し、ソニーが配給したメディア又はマーケットからの利益における他の参加者への分配金を売上原価として計上しています。
2018年度及び2019年度において、これらの共同契約において、他の参加者からソニーに帰属すべき額として、それぞれ42,343百万円、33,921百万円が純売上高として計上され、他の参加者に帰属すべき額として、それぞれ22,702百万円、21,052百万円が売上原価に計上されました。
27 コミットメント、偶発債務及びその他
(1) ローン・コミットメント
金融子会社は、顧客に対する貸付契約にもとづき、貸付の未実行残高を有しています。2020年3月31日現在、これらの貸付未実行残高は34,306百万円です。ローン・コミットメントの翌年度以降における支払予定額について見積りを行うことは現時点においては可能ではありません。
(2) パーチェス・コミットメント等
2020年3月31日現在のパーチェス・コミットメント等の残高は、合計で684,911百万円です。これらのうち、主要なものは次のとおりです。
映画分野の一部の子会社は、製作関係者との間で映画の製作及びテレビ番組の制作を行う契約を締結し、また第三者との間で完成した映画作品もしくはそれに対する一部の権利を購入する契約、スポーツイベントの放映権を購入する契約を締結しています。これらの契約は多様な期間にわたりますが、主として3年以内の期間に関するものです。2020年3月31日現在、これらの契約にもとづく支払予定額は126,917百万円です。
音楽分野の一部の子会社は、音楽アーティスト、ならびに作詞家、音楽ソフトやビデオの制作・販売会社との間で契約を締結しています。これらの契約は多様な期間にわたりますが、主として5年以内の期間に関するものです。2020年3月31日現在、これらの契約にもとづく支払予定額は128,678百万円です。
G&NS分野の一部の子会社は、ゲームソフトウェアの開発、販売及び配信に関する長期契約を締結しています。これらの契約は多様な期間にわたりますが、主として8年以内の期間に関連するものです。2020年3月31日現在、これらの契約にもとづく支払予定額は29,243百万円です。
ソニーは、固定資産の購入契約を締結しています。2020年3月31日現在、これらの契約にもとづく支払予定額は199,145百万円です。
ソニーは、部材の調達契約を締結しています。2020年3月31日現在、これらの契約にもとづく支払予定額は115,670百万円です。
ソニーは、広告宣伝の権利に関するスポンサーシップ契約を締結しています。これらの契約は多様な期間にわたりますが、主に1年以内の期間に関するものです。2020年3月31日現在、当該契約にもとづく支払予定額は5,162百万円です。
パーチェス・コミットメントの翌年度以降5年間の各年度及びそれ以降の年度における支払予定額の総額は次のとおりです。
年度2020年3月31日
金額(百万円)
2020年度378,319
2021年度103,033
2022年度76,541
2023年度49,549
2024年度36,936
2025年度以降40,533
パーチェス・コミットメント合計684,911

(3) 訴訟
2009年以降、米国司法省、欧州委員会及びその他の国の当局が光ディスクドライブ市場の競争状況に関する調査を実施し、当社及び当社の一部の子会社も当該調査の対象となっておりましたが、当社は、これらの当局による調査は既に終了していると理解しています。他方で、2015年10月、欧州委員会は同委員会の調査結果を踏まえて、当社及び当社の一部の子会社に対して総額31百万ユーロの制裁金の支払いを命じる決定を下しました。かかる決定を受け、当社はかかる決定を不服として、欧州普通裁判所に提訴しましたが、2019年7月、欧州普通裁判所が欧州委員会の決定を支持する旨の判決を下しました。当社は、判決内容を精査した結果、同年9月、欧州司法裁判所に上告しました。また、当社及び一部の子会社が独占禁止法に違反していたと主張し、損害賠償その他の救済を求める多くの訴訟(集団訴訟を含む)が、複数の地域にて提起されていましたが、それらの訴訟については、係属中の一つの訴訟を除き、当該製品の直接・間接の購入者による米国での集団訴訟を含め、和解に至りました。ソニーは、係属中の訴訟の最終的な結果が、ソニーの業績及び財政状態に重要な影響を与えることはないと考えています。
2011年以降、当社及び一部の子会社が営んでいた二次電池事業に関連して、当社及び一部の子会社が独占禁止法に違反していたと主張し、損害賠償その他の救済を求める多くの訴訟(集団訴訟を含む)が、複数の地域にて提起されていましたが、それらの訴訟については、係属中の一つの訴訟を除き、当該製品の直接・間接の購入者による米国での集団訴訟を含め、和解に至りました。ソニーは、係属中の訴訟の最終的な結果が、ソニーの業績及び財政状態に重要な影響を与えることはないと考えています。
当社及び一部の子会社は、これらの他にも複数の訴訟の被告又は政府機関による調査の対象となっています。しかし、ソニーが現在知り得るかぎりの情報にもとづき、それらの訴訟その他の法的手続により生じ得る結果は、ソニーの業績及び財政状態に重要な影響を与えることはないと考えています。
(4) 保証債務
ソニーは、ある特定の事象又は状況が発生した場合に、被保証者への支払要求に対して保証を行っております。2020年3月31日現在の保証債務にもとづく将来の潜在的支払債務は、最大で2,214百万円です。
上記に加え、ソニーは、ある一定期間において、提供した製品及びサービスに対する保証を行っております。2018年度及び2019年度の製品保証に関する負債の増減額は次のとおりです。
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
製品保証に関する負債の期首残高44,71733,005
製品保証に関する負債の計上額23,04121,448
期中取崩額△26,326△21,491
期首残高に対する見積変更額△7,370△562
外貨換算調整額△1,057△593
製品保証に関する負債の期末残高33,00531,807

延長保証サービスの提供により顧客から受領した対価は、上記の表の金額には含まれておりません。なお、延長保証サービスはソニーが提供する保証サービスにおいて重要なものではありません。
28 セグメント情報
以下の報告セグメントは、そのセグメントの財務情報が入手可能なもので、その営業利益(損失)が最高経営意思決定者によって経営資源の配分の決定及び業績の評価に通常使用されているものです。最高経営意思決定者は、個別の資産情報を使用してセグメント評価を行っていません。ソニーにおける最高経営意思決定者は、社長兼CEOです。
ソニーは、2019年4月1日付の組織変更及び担当上級役員の変更にともない、2019年度第1四半期より、業績報告におけるビジネスセグメント区分を変更し、従来のホームエンタテインメント&サウンド分野、イメージング・プロダクツ&ソリューション分野及びモバイル・コミュニケーション分野を合わせ、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(以下「EP&S」)分野としました。このセグメント変更にともない、各分野の2018年度における売上高及び営業収入ならびに営業損益を2019年度の表示に合わせて組替再表示しています。また、2019年度第1四半期より、従来の半導体分野を、イメージング&センシング・ソリューション(以下「I&SS」)分野に名称変更しました。
G&NS分野には、主にネットワークサービス事業、家庭用ゲーム機の製造・販売及びソフトウェアの制作・販売が含まれています。音楽分野には、主に音楽制作、音楽出版及び映像メディア・プラットフォーム事業が含まれています。映画分野には、主に映画製作、テレビ番組制作及びメディアネットワーク事業が含まれています。EP&S分野には、主にテレビ事業、オーディオ・ビデオ事業、静止画・動画カメラ事業、スマートフォン事業及びインターネット関連サービス事業が含まれています。I&SS分野には、主にイメージセンサー事業が含まれています。金融分野には、主に日本市場における個人向け生命保険及び損害保険を主とする保険事業ならびに日本における銀行業が含まれています。その他分野は、ディスク製造事業、記録メディア事業等の様々な事業活動から構成されています。ソニーの製品及びサービスは、一般的にはそれぞれのオペレーティング・セグメントにおいて固有のものです。
【ビジネスセグメント情報】
セグメント別売上高及び営業収入:
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
売上高及び営業収入:
ゲーム&ネットワークサービス:
外部顧客に対するもの2,224,6221,919,760
セグメント間取引86,25057,791
2,310,8721,977,551
音 楽:
外部顧客に対するもの795,025838,592
セグメント間取引12,46411,317
807,489849,909
映 画:
外部顧客に対するもの985,2701,010,714
セグメント間取引1,6031,140
986,8731,011,854
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション:
外部顧客に対するもの2,303,1671,969,880
セグメント間取引17,46121,388
2,320,6281,991,268
イメージング&センシング・ソリューション:
外部顧客に対するもの770,622985,259
セグメント間取引108,70885,317
879,3301,070,576
金 融:
外部顧客に対するもの1,274,7081,299,847
セグメント間取引7,8317,901
1,282,5391,307,748
その他:
外部顧客に対するもの299,806214,999
セグメント間取引45,93136,421
345,737251,420
全社(共通)及びセグメント間取引消去△267,781△200,441
連結合計8,665,6878,259,885

G&NS分野におけるセグメント間取引は、主としてその他分野に対するものです。
I&SS分野におけるセグメント間取引は、主としてG&NS分野及びEP&S分野に対するものです。
その他分野におけるセグメント間取引は、主としてG&NS分野、音楽分野及び映画分野に対するものです。
全社(共通)及びセグメント間取引消去には、ブランド及び特許権使用によるロイヤルティ収入が含まれています。
セグメント別損益:
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
営業利益(損失):
ゲーム&ネットワークサービス311,092238,400
音 楽232,487142,345
映 画54,59968,157
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション76,50887,276
イメージング&センシング・ソリューション143,874235,584
金 融161,477129,597
その他△11,12716,288
968,910917,647
全社(共通)及びセグメント間取引消去△74,675△72,188
連結営業利益894,235845,459
その他の収益144,73521,949
その他の費用△27,322△67,958
連結税引前利益1,011,648799,450

上記の営業利益(損失)は、売上高及び営業収入から売上原価、販売費・一般管理費及びその他の一般費用を差し引き、持分法による投資利益(損失)を加えたものです。
その他の重要事項:
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
持分法による投資利益(損失):
ゲーム&ネットワークサービス--
音 楽△6,9154,239
映 画106△629
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション△38136
イメージング&センシング・ソリューション-0
金 融△682△104
その他4,5305,995
連結合計△2,9999,637

項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
減価償却費及び償却費:
ゲーム&ネットワークサービス29,02329,135
音 楽21,25929,137
映 画24,08121,665
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション61,74963,291
イメージング&センシング・ソリューション110,746134,035
金 融(繰延保険契約費の償却を含む)91,179106,667
その他4,9405,095
342,977389,025
全社(共通)31,04927,617
連結合計374,026416,642

下記の表は、各セグメントにおける製品カテゴリー別の外部顧客に対する売上高及び営業収入です。ソニーのマネジメントは、各セグメントをそれぞれ単一のオペレーティング・セグメントとして意思決定を行っています。
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
ゲーム&ネットワークサービス
デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツ1,102,2311,010,296
ネットワークサービス326,524337,265
ハードウェア・その他795,867572,199
2,224,6221,919,760
音 楽
音楽制作(ストリーミング)227,513276,039
音楽制作(その他)199,413191,114
音楽出版106,666157,478
映像メディア・プラットフォーム261,433213,961
795,025838,592
映 画
映画製作436,017475,061
テレビ番組制作288,816301,224
メディアネットワーク260,437234,429
985,2701,010,714
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション
テレビ788,423646,513
オーディオ・ビデオ362,580346,060
静止画・動画カメラ421,506384,142
モバイル・コミュニケーション487,330362,144
その他243,328231,021
2,303,1671,969,880
イメージング&センシング・ソリューション770,622985,259
金 融1,274,7081,299,847
その他299,806214,999
全社(共通)12,46720,834
連 結8,665,6878,259,885

ソニーは2019年度第1四半期よりEP&S分野の新設に伴い製品カテゴリー区分を変更しました。また、ソニーは2019年度第4四半期より音楽分野において音楽制作カテゴリーの細分化により、製品カテゴリー区分を変更しました。これらの変更により、上記2018年度の実績を組替再表示しています。
G&NS分野のうち、デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツカテゴリーにはSony Interactive Entertainmentがネットワークを通じて販売するソフトウェアタイトル及びアドオンコンテンツ、ネットワークサービスカテゴリーにはゲーム、ビデオ及び音楽コンテンツ関連のネットワークサービス、ハードウェア・その他カテゴリーには据え置き型及び携帯型ゲームコンソール、パッケージソフトウェアと周辺機器などが主要製品として含まれています。音楽分野のうち、音楽制作(ストリーミング)はストリーミングによるデジタルの音楽制作物の販売、音楽制作(その他)にはパッケージ及びダウンロードによるデジタルの音楽制作物の販売やアーティストのライブパフォーマンスからの収入、音楽出版には、楽曲の詞、曲の管理及びライセンス、映像メディア・プラットフォームには、アニメーション作品及びその派生ゲームアプリケーションの制作・販売、音楽・映像関連商品の様々なサービス提供などが含まれています。映画分野のうち、映画製作には実写及びアニメーション映画作品の全世界での製作・買付・配給・販売、テレビ番組制作にはテレビ番組の制作・買付・販売、メディアネットワークには、全世界でのテレビ、デジタルのネットワークオペレーションなどが含まれています。EP&S分野のうち、テレビカテゴリーには液晶テレビ、有機ELテレビ、オーディオ・ビデオカテゴリーにはブルーレイディスクプレーヤー/レコーダー、家庭用オーディオ、ヘッドホン、メモリ内蔵型携帯オーディオ、静止画・動画カメラカテゴリーにはレンズ交換式カメラ、コンパクトデジタルカメラ、民生用・放送用ビデオカメラ、モバイル・コミュニケーションカテゴリーにはスマートフォン、インターネット関連サービス、その他カテゴリーにはプロジェクターなどを含むディスプレイ製品、医療用機器などが主要製品として含まれています。
EP&S分野のうち、モバイル・コミュニケーションカテゴリーの、2018年度及び2019年度における営業損失は、それぞれ△97,136百万円及び△21,057百万円です。
【地域別情報】
2018年度及び2019年度における顧客の所在国又は地域別に分類した売上高及び営業収入、2019年3月31日現在及び2020年3月31日現在の有形固定資産(減価償却累計額控除後)及び使用権資産は次のとおりです。
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
売上高及び営業収入:
日本2,591,7842,472,479
米国1,982,1351,864,390
欧州1,862,1661,697,791
中国770,416845,235
アジア・太平洋地域912,193892,026
その他地域546,993487,964
8,665,6878,259,885

項目2019年3月31日2020年3月31日
金額(百万円)金額(百万円)
有形固定資産(減価償却累計額控除後)及び使用権資産*:
日本590,694946,922
米国113,581214,226
欧州22,62267,799
中国11,69417,996
アジア・太平洋地域34,27346,932
その他地域4,1897,379
777,0531,301,254

(注)* ASU2016-02の適用により、2020年3月31日現在の金額には、2019年度から認識されたオペレーティング・リー
ス使用権資産が含まれています。
日本、米国ならびに中国以外の各区分に属する主な国又は地域は次のとおりです。
(1) 欧州: イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、スペイン、スウェーデン
(2) アジア・太平洋地域: インド、韓国、オセアニア、タイ、マレーシア
(3) その他地域: 中近東/アフリカ、ブラジル、メキシコ、カナダ
売上高及び営業収入、有形固定資産(減価償却累計額控除後)及び使用権資産に関して、欧州、アジア・太平洋地域、その他地域において個別には金額的に重要性のある国はありません。
報告セグメント間及び地域間の取引は、市場の実勢価格を参考にして、その都度交渉の上で決定しております。
2018年度及び2019年度において、単一顧客として重要な顧客に対する売上高及び営業収入はありません。
29 重要な後発事象
ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社株券等に対する公開買付け
金融事業のさらなる成長とガバナンス強化を通じて、ソニーグループ全体の企業価値向上を図ることを目的に、当社は、2020年5月19日開催の取締役会において、連結子会社であるソニーフィナンシャルホールディングス株式会社(以下「SFH」)の普通株式及び新株予約権の全てを取得し、SFHを当社の完全子会社とすることを目的とする取引の一環として、公開買付け(以下「本公開買付け」)を実施することを決議し、本公開買付けを2020年5月20日に開始しました。当社は、2020年5月19日時点で、SFH普通株式283,050,000株(所有割合:約65%)を所有していました。
本公開買付けにSFHの全株主(当社を除く)及び全新株予約権者が応募した場合、当社の買付代金は約395,538百万円となります。
<本公開買付けの概要>①買付対象:普通株式(ただし、当社が所有するSFH普通株式及びSFHが所有する自己株式を除く)及び新株予約権
②買付期間:2020年5月20日から2020年7月13日まで
③買付価格:普通株式1株につき、金2,600円
新株予約権1個につき、金259,900円
④買付予定数(新株予約権の目的となる株式の数を含む):152,130,036株
本公開買付けにおいては、買付予定数の下限を7,070,000株と設定しています。応募株券等の総数(新株予約権の目的となる株式の数を含む)が買付予定数の下限(7,070,000株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付けを行いません。

連結財務諸表注記事項(US GAAP)

連結財務諸表注記
1 会計処理の原則及び手続ならびに連結財務諸表の表示方法
当社は、1961年6月、SECに米国預託証券(American Depositary Receipt)の発行登録を行い、1970年9月、ニューヨーク証券取引所に上場しています。前述の経緯により、当社は米国1934年証券取引所法第13条(Section 13 of the Securities Exchange Act of 1934)にもとづく継続開示会社となり、年次報告書(Annual report on Form 20-F)をSECに対し提出しています。
当社及び当社の連結子会社(以下「ソニー」)の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計基準による用語、様式及び作成方法(以下「米国会計原則」)によって作成されています。ソニーが採用している会計処理の原則及び手続ならびに連結財務諸表の表示方法のうち、日本における会計処理の原則及び手続ならびに表示方法(以下「日本会計原則」)と異なるもので重要性のあるものは以下のとおりです。ほとんどの違いは国内会社の会計処理によるもので、そのうち金額的に重要な修正及び組替項目については、米国会計原則による税引前利益に含まれる影響額を括弧内に表示しています。
(1) 保険事業の会計
新規保険契約の獲得もしくは保険契約の更新に直接関連し、かつそれに応じて変動する費用のうち、回収できると認められるものについては繰り延べています。伝統的保険商品に関する繰延費用は、保険契約債務の計算と共通の基礎数値を用いて関連する保険契約の保険料払込期間にわたり償却されます。上記以外の保険商品に関する繰延費用は、見積期間にわたり関連する保険契約の見積粗利益に比例して償却されます。なお、日本会計原則においてはこれらの費用は、発生年度の期間費用として処理しています。(2018年度 14,886百万円の利益、2019年度 5,321百万円の利益)米国会計原則上、保険契約債務等は保険数理上の諸数値にもとづく平準純保険料式等により計算していますが、日本会計原則においては行政監督庁の認める方式により算定しています。(2018年度 74,013百万円の利益、2019年度 65,061百万円の利益)
(2) 営業権及びその他の無形固定資産
営業権及び耐用年数が確定できない無形固定資産は償却をせず、年1回第4四半期及び減損の可能性を示す事象又は状況の変化が生じた時点で減損の判定を行っています。(2018年度 30,271百万円の利益、2019年度 38,495百万円の利益)
(3) 持分法による投資利益(損失)の会計処理区分
持分法による投資利益(損失)は、持分法適用会社の事業の大部分をソニーの事業と密接不可分なものと考えて営業利益(損失)の前に区分して表示しています。なお、日本会計原則において持分法による投資利益(損失)は、営業外収益又は営業外費用の区分に表示されています。
(4) 変動持分事業体の連結
変動持分事業体(以下「VIE」)とされる事業体のうち、ソニーがその第一受益者であると判定されたVIEを連結しています。
(5) 法人税等に関する会計処理
繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠にもとづいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合に、評価性引当金の計上により減額されています。繰延税金資産の回収可能性については、関連するあらゆる肯定的及び否定的証拠を適切に検討することにより、繰延税金資産にかかる評価性引当金計上の要否を定期的に評価しています。また、税務申告時にある税務処理を採用することによって生じる税金費用の減少が、50%以上の可能性で税務当局に認められないと考えられる場合には、税金引当を計上しています。
(6) 持分証券にかかる未実現評価損益の会計処理
連結子会社及び持分法適用会社への投資を除く持分証券を、原則として公正価値で測定し、連結会計期間末に保有する持分証券の再評価による価値の変動を損益に計上しています。持分証券の再評価により生じた未実現評価損益の詳細については、注記8をご参照ください。
(7) リース
リース期間が1年を超えるオペレーティング・リース契約について、将来のリース期間にわたる支払リース料総額を入手可能な情報を基にした借手の追加借入利子率で割り引くことにより、使用権資産及びリース負債の現在価値を測定しています。これらは連結貸借対照表上、オペレーティング・リース使用権資産、1年以内に返済期限の到来する長期オペレーティング・リース負債、長期オペレーティング・リース負債に計上されています。
(8) 未払退職・年金費用
年金数理純損益は、コリドーアプローチ(回廊方式)により一定期間にわたって償却しています。日本会計原則において数理計算上の差異は、平均残存勤務期間以内の一定期間で全額が償却されています。
2 営業活動の内容
ソニーは、様々な一般消費者向け、業務向け及び産業向けのエレクトロニクス製品・部品、具体的にはネットワークサービス、ゲーム機、ゲームソフトウェア、テレビ、オーディオ・ビデオレコーダー及びプレーヤー、静止画・動画カメラ、スマートフォン、イメージセンサー等を開発、設計、制作、製造、提供、販売しています。ソニーの主要な生産施設は日本を含むアジアにあります。ソニーは、また、特定の製品の製造を外部の生産受託業者に委託しています。ソニーの製品及びサービスは世界全地域において、販売子会社及び資本関係のない各地の卸売り業者ならびにインターネットによる直接販売により販売、提供されています。ソニーは、音楽ソフトの企画、制作、製造、販売及び楽曲の詞及び曲の管理及びライセンスならびにアニメーション作品及びその派生ゲームアプリケーションの制作、販売を行っています。ソニーは、また、映画作品及びテレビ番組の製作又は制作、買付、販売ならびにテレビ及びデジタルのネットワークオペレーションを行っています。さらに、ソニーは、日本の生命保険子会社及び損害保険子会社を通じた保険事業、日本のインターネット銀行子会社を通じた銀行ビジネスなどの様々な金融ビジネスに従事しています。
3 主要な会計方針の要約
(1) 主要な会計方針
1 連結の基本方針ならびに関連会社に対する投資の会計処理
ソニーの連結財務諸表は、当社、当社が過半数の株式を所有する子会社、ソニーが支配持分を有するジェネラル・パートナーシップ及びその他の事業体ならびにソニーを主たる受益者とする変動持分事業体の勘定を含んでいます。連結会社間の取引ならびに債権債務は、全て消去しています。ソニーは、支配力を有していないが事業又は財務の方針に重要な影響を行使し得る、すなわち通常20%以上50%以下の持分を有する関連会社への投資に対し持分法を適用しています。また、ソニーが支配持分を有しないジェネラル・パートナーシップ及びリミテッド・パートナーシップに対する投資についても投資先の活動に少なからぬ影響を及ぼす場合(通常3%から5%を超える持分)には、持分法が適用されます。ソニーの持分が極めて僅少であるため、実質的にソニーが投資先の活動に影響を持たないパートナーシップに対する投資は、公正価値で測定しています。持分法適用会社に対する投資には、未分配損益に対するソニーの持分額を取得価額に加減算した金額を計上しています。これらの投資に関する損益は税引後の金額で計上され、未実現内部利益を控除した金額が連結営業利益(損失)に含まれています。個別の投資の価値が下落し、その下落が一時的でないと判断される場合には、公正価値まで評価減しています。
連結子会社あるいは持分法適用会社は、公募、第三者割当、あるいは転換社債の転換によりソニーのこれらの会社に対する1株当たりの持分額を超える、あるいは下回る価格で、第三者に対して株式を発行することがあります。このような取引について、ソニーの持分の変動により発生する損益は、持分の変動があった年度に計上しています。
子会社に対する支配権の喪失により発生する損益は、残余持分の公正価値への再評価にしたがって計上される一方、支配権を維持し続ける連結子会社に対する持分の変動については資本取引として処理され、損益は計上されません。
連結子会社及び持分法適用会社に対する投資原価が当該会社の純資産額のソニーの持分を超える場合、その金額は、取得時点における公正価値にもとづき、識別可能な各資産及び負債に配分しています。投資原価が当該被投資会社の純資産額のソニーの持分を超える金額のうち、特定の資産及び負債に配分されなかった部分は、投資額の一部として営業権に計上しています。
2 見積りの使用
米国会計原則にしたがった連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測を必要とします。最も重要な見積りは、投資有価証券の評価、棚卸資産の評価、長期性資産の公正価値、営業権及び無形固定資産の公正価値、企業結合により取得した資産及び引受負債の公正価値、製品保証に関する負債、年金及び退職金制度、繰延税金資産、不確実な税務ポジション、繰延映画製作費、保険関連の債務の算定、評価に使用される見積りを含みます。結果として、このような見積りと実績が大きく異なる場合があります。新型コロナウイルス感染拡大がソニーの事業に悪影響を与え得るタイミングや度合いは、非常に不確実であり、今後の事態の進展によります。この不確実性は、会計上の見積り及び前提に追加の変動をもたらす可能性がありますが、主に営業権及び長期性資産の減損や繰延税金資産の評価に使用する見積り及び前提に影響する可能性があります。
3 外貨換算
海外子会社及び関連会社の財務諸表項目の換算において、資産及び負債は決算日の適切な為替相場によって円貨に換算し、収益及び費用はおおむね取引発生時の為替相場によって円貨に換算しています。その結果生じた換算差額は、累積その他の包括利益の一部として表示しています。段階取得に関する企業結合の会計基準にしたがい、過去から保有している資本持分を再評価する際は、累積の外貨換算調整額を損益として認識します。
外貨建貨幣性資産及び負債は決算日の適切な為替相場によって換算し、その結果生じた為替差損益は当年度の損益に計上しています。
4 現金・預金、現金同等物、及び制限付き現金・預金
現金・預金及び現金同等物は、表示された金額で容易に換金され、かつ満期日まで短期間であるために利率の変化による価値変動リスクが僅少なもので、取得日から3ヵ月以内に満期の到来する流動性の高い全ての投資を含んでいます。ソニーは制限付き現金・預金を連結キャッシュ・フロー計算書上の現金・預金及び現金同等物に含めています。
5 市場性のある負債及び持分証券
売却可能証券に区分された負債証券は、その公正価値で計上されており、未実現評価損益(税効果考慮後)は累積その他の包括利益の一部として表示されています。持分証券及び売買目的有価証券に区分される負債証券は公正価値で計上されており、未実現評価損益は損益に含まれています。満期保有目的の負債証券は償却原価で計上されています。売却可能証券又は満期保有目的の個々の証券について、一時的な減損を認識した場合を除き公正価値まで評価減を損益に計上しています。実現した売却損益は平均原価法により計算し損益に反映しています。
ソニーは、個々の負債証券の一時的でない減損を判定するため、投資ポートフォリオを定期的に評価しています。公正価値の下落が一時的であるか否かを判断するにあたっては、公正価値が取得原価を下回っている期間及びその程度、発行企業の財政状態、業績、事業計画及び将来見積キャッシュ・フロー、公正価値に影響するその他特定要因、発行企業の信用リスクの増大、ソブリンリスクならびに公正価値の回復が見込まれるのに十分な期間までソニーが保有し続けることができるか否かなどを考慮します。
売却可能証券に区分された負債証券の減損の判定において、公正価値が長期間(通常6ヵ月間)取得価額に比べ20%以上下落した場合、その公正価値の下落が一時的でないと推定されます。この基準は、その公正価値の下落が一時的でない有価証券を判定する兆候として採用されています。公正価値の下落が一時的でないと推定された場合でも、下落期間又は下落率を上回る、公正価値の下落が一時的であることを裏付ける十分な根拠があれば、この下落は一時的であると判断されます。一方で、公正価値の下落が20%未満又は長期間下落していない場合でも、公正価値の下落が一時的でないことを示す特定要因が存在する場合には、減損が認識されることがあります。
満期保有目的の負債証券に一時的でない減損が発生した場合、損益に認識される一時的でない減損の金額は、この負債証券を売却する意思があるかどうか、又は償却原価まで価値を回復する前にこの負債証券の売却が必要となる可能性の方が高いかどうかに左右されます。負債証券がこのいずれかの基準を満たす場合、損益に認識される一時的でない減損金額は、減損測定日における負債証券の償却原価と公正価値の差額全額です。これらの2つの基準を満たさない負債証券の一時的でない減損については、損益に認識される正味金額は償却原価とソニーの将来キャッシュ・フローの最善の見積りを、負債証券の減損前における計算上の実効金利を用いて割り引くことにより計算される正味現在価値の差額にあたる信用損失です。減損測定日における負債証券の公正価値と正味現在価値の差額は累積その他の包括利益に計上されます。一時的でない減損が損益に認識された負債証券の未実現損益は累積その他の包括利益の独立した項目として計上されます。
6 容易に算定できる公正価値を待たない持分証券
容易に算定できる公正価値を持たない持分証券について、取得原価から減損を控除し、同じ発行体の同一又は類似投資の観察可能な価格変動(秩序ある取引における)を加減した金額で測定しています。容易に算定できる公正価値を持たない持分証券の価値が下落したと評価され、その下落が一時的でないと判断される場合は投資の減損を認識し、公正価値まで評価減を行います。減損の要否の判定は、経営成績、事業計画及び将来の見積キャッシュ・フローなどの要因を考慮して決定されます。公正価値は、割引キャッシュ・フロー、直近の資金調達状況の評価及び類似会社との比較評価などを用いて算定しています。
7 貸倒引当金
回収可能性に疑義のある債権に対して貸倒引当金を計上しています。支払いが遅延している債権に対しては、顧客ごとに未収額の調査を行うことにより、係争あるいはその他回収可能性の問題を有する顧客を把握しています。貸倒引当金の計算にあたり、過去の回収率に加え継続的な信用リスク評価にもとづいて顧客の信用力を判断しています。
8 棚卸資産
ゲーム&ネットワークサービス(以下「G&NS」)分野、音楽分野、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(以下「EP&S」)分野、イメージング&センシング・ソリューション(以下「I&SS」)分野及び映画(繰延映画製作費を除く)分野における棚卸資産は、正味実現可能価額(すなわち、通常の事業過程における見積販売価格から、合理的に予測可能な完成又は処分までの費用を控除した額)を超えない取得原価で評価しており、平均法によって計算しています。
9 未収入金
ソニーは、部品組立業者のために組立部品を含む物品を調達しており、未収入金には、この部品組立業者との間の物品手配に関連する債権を含んでいます。当該債権は関連する再購入の際に決済されます。収益又は利益はこれらの取引において計上されません。ソニーは後に完成品もしくは一部組立品として、棚卸資産を部品組立業者から再購入しています。
10 繰延映画製作費
繰延映画製作費は、映画作品及びテレビ番組の両方にかかる直接製作費、間接製作費及び取得費用を含み、未償却残高あるいは見積公正価値のいずれか低い価額により長期性資産として計上されています。繰延映画製作費の償却及び見積分配金債務の計上は、作品ごとの予想総収益に対する各年度の収益割合に応じて行われます。繰延映画製作費は、ソニーの世界的なチャネル・ネットワークで放映される買付作品から成るテレビ放映権も含み、ライセンス期間が開始されテレビ放映ができる状態にある場合にこれらの放映権が認識されます。テレビ放映権は、未償却残高あるいは正味実現可能価額のいずれか低い価額で表示され、使用見込時期によって短期又は長期性資産として計上されます。テレビ放映権は、使用見込みにもとづき又は適切な場合には耐用年数にわたって定額法にもとづき、償却されますが、複数年でのライセンスとなるスポーツイベントのテレビ放映権は、原則として、関連する予想総収益に対する各年度の広告収入及び視聴料収入の割合にもとづき償却されます。繰延映画製作費の公正価値及びテレビ放映権の正味実現可能価額の計算に使用される見積りは、将来の需要と市況に関する前提条件にもとづき設定され、定期的に見直されています。
11 有形固定資産及び減価償却
有形固定資産は取得原価で表示しています。有形固定資産の減価償却費は定額法を採用し、これらの資産の見積耐用年数(建物及び構築物については2年から50年、機械装置及びその他の有形固定資産については2年から10年の期間)にもとづき、計算しています。多額の更新及び追加投資は、取得原価で資産計上しています。維持費、修繕費及び少額の更新、改良に要した支出は発生時の費用として処理しています。
12 リース
契約開始時点において、ソニーは当該契約がリースを含んでいるかどうかを決定しています。対価の支払いと引き換えに、有形固定資産(識別された資産)の使用を一定期間支配する権利を契約が提供している場合には、その契約にはリースが含まれているものとしています。ソニーの連結貸借対照表上、オペレーティング・リースはオペレーティング・リース使用権資産、1年以内に返済期限の到来する長期オペレーティング・リース負債及び長期オペレーティング・リース負債に含まれています。またソニーの連結貸借対照表上、ファイナンス・リースはファイナンス・リース使用権資産、1年以内に返済期限の到来する長期借入債務及び長期借入債務に含まれています。
使用権資産は、リース期間にわたって原資産を使用する権利を表しており、リース負債はリース契約より発生するリース料の支払にかかる債務を表しています。使用権資産とリース負債は、リース開始日においてリース期間にわたるリース料の現在価値に基づいて認識されます。また使用権資産は、リース開始日以前に発生したリース料と当初直接コストを含んでおり、リース・インセンティブを除いています。リース料の現在価値を計算するにあたって、大部分のリースについてリースの計算利子率は入手可能ではないため、ソニーは通常、借手の追加借入利子率を使用しています。ソニーは、リース開始日におけるそれぞれの国や地域の経済状況及びリース期間を考慮した上で、担保付借入の見積利子率をもとに借手の追加借入利子率を決定しています。リースを延長又は終了させる契約上のオプションの行使が合理的に確実な場合、リース期間は当該オプションを含みます。貸借対照表上で認識されたオペレーティング・リースにかかるリース費用は、リース期間にわたって定額認識されます。ソニーは、全ての原資産の種類において、リース構成要素と非リース構成要素を単一のリース構成要素として会計処理しています。リース期間が1年以内のリースについて、ソニーは短期リースの例外措置を適用しており、使用権資産及びリース負債を認識せず費用を定額で認識しています。
2019年4月1日において、ソニーは比較年度の表示・開示を修正再表示しない修正遡及法によって、リース会計を変更する会計基準アップデート(Accounting Standards Update、以下「ASU」)2016-02を適用しました。ASU 2016-02適用前の2018年度以前において、オペレーティング・リースにかかる使用権資産とリース負債は、ソニーの連結貸借対照表上で認識されていませんでした。この新会計基準の適用がソニーの業績及び財政状態に与えた詳細な影響については、注記3(2) 新会計基準の適用をご参照ください。
13 営業権及びその他の無形固定資産
営業権及び耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産は、年1回第4四半期及び減損の可能性を示す事象又は状況の変化が生じた時点で減損の判定を行います。事象又は状況の変化とは、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動などで、それらはマネジメントにより定期的に見直されています。
2019年度第4四半期において、ソニーは営業権の定性的評価を行わず、報告単位の公正価値とその報告単位の営業権を含む帳簿価額の比較による定量的手続を行いました。報告単位とは、ソニーの場合、オペレーティング・セグメントあるいはその一段階下のレベルを指します。報告単位の公正価値がその帳簿価額を上回る場合、その報告単位の営業権について減損損失は認識されません。報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合には、報告単位に配分された営業権の総額を超えない範囲で、その超過分を減損損失として認識します。耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産の減損判定では、公正価値と帳簿価額を比較し、帳簿価額がその公正価値を超過する場合には、その超過分を減損損失として認識します。
報告単位及び非償却性無形固定資産の公正価値は通常、割引キャッシュ・フロー分析により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続成長率、利益倍率、類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定等多くの見積り及び前提を使用します。営業権を持たない報告単位も含めて、報告単位の公正価値の総額に対するソニーの時価総額を考慮し、適切なコントロール・プレミアムとともに、個々の報告単位に配分されない全社に帰属する資産と負債も考慮します。
将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)に使用される前提は、それぞれの報告単位における見込み及び中期計画にもとづいており、過去の経験、市場及び産業データ、現在及び見込まれる経済状況を考慮しています。永続成長率は主に中期計画の3ヵ年予測期間後のターミナル・バリューを決定するために使用されています。映画分野の報告単位など、特定の報告単位においては、より長い見込期間、及び予測期間最終年度の見積キャッシュ・フローに適用される利益倍率を用いた出口価格に、コントロール・プレミアムを加味して算定されたターミナル・バリューを使用しています。割引率は類似企業の加重平均資本コストにより算出されています。
マネジメントは、営業権の減損判定における公正価値の見積りに用いられた前提は、新型コロナウイルス感染拡大による潜在的な影響などを含め、合理的であると考えています。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大により影響を受ける期間や度合いは不確実であり、今後の事態の進展によってはソニーの見積りや前提に変動をもたらす可能性があります。またこれらの見積りが実績と乖離する可能性があります。結果として、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、将来キャッシュ・フローや公正価値の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、将来においてソニーが営業権及びその他の無形固定資産の減損損失を認識することになる可能性があります。
報告単位の一部が売却される場合、営業権は相対的公正価値法により売却される事業に按分されます。
償却対象となる無形固定資産は、主に特許権、ノウハウ、ライセンス契約、顧客関係、商標、販売、リースその他の方法で市場に出されるソフトウェア、社内利用ソフトウェア、ミュージック・カタログ、アーティスト・コントラクト、テレビ放送委託契約からなっています。特許権、ノウハウ、ライセンス契約、商標、販売用ソフトウェア及び社内利用ソフトウェアは、主に、3年から10年の期間で均等償却しています。顧客関係、ミュージック・カタログ、アーティスト・コントラクト及びテレビ放送委託契約は、主に、10年から44年の期間で均等償却しています。
14 資産計上したソフトウェア
販売、リースその他の方法で市場に出されるソフトウェアの技術的実現可能性を確立することに関連して発生した費用は、その発生時点において、研究開発費として売上原価に計上しています。技術的実現可能性が確立した後、ソフトウェアの完成までに発生した費用については資産計上するとともに、おおむね3年のソフトウェアの見積耐用年数にわたって償却し、売上原価で計上しています。ゲームのソフトウェアの技術的実現可能性は、プロダクトマスターが完成したときに確立します。それ以前に発生した開発費の資産化は、開発の早期段階において技術的実現可能性があると認められるものに限定しています。ソフトウェアの未償却原価については、関連するソフトウェア製品の将来の収益獲得により回収可能であるかについて、決算日にて定期的な見直しを行っています。
アプリケーション開発段階で社内利用ソフトウェアのために発生した費用は、資産計上するとともに、見積耐用年数にわたって定額法で主に販売費及び一般管理費として償却しています。初期プロジェクト段階及び導入後に発生した費用は発生時に費用計上しています。
15 繰延保険契約費
新規保険契約の獲得もしくは保険契約の更新に直接関連し、かつそれに応じて変動する費用のうち、回収できると認められるものについては繰り延べています。繰り延べの対象となる新規契約費用は、保険契約募集手数料(費用)、診査及び調査費用等から構成されます。繰延保険契約費については、資産計上した金額が見込粗利益又は保険料から保険給付金及び事業費を控除した額の現在価値を超えていないことを検証するために、少なくとも年1回、回収テストが行われます。伝統的保険商品に関する繰延費用は、保険契約債務の計算と共通の基礎数値を用いて関連する保険契約の保険料払込期間にわたり償却されます。非伝統的保険商品に関する繰延費用は、見積期間にわたり関連する保険契約の見積粗利益の現在価値に基づく一定の比率により償却されます。見積粗利益の現在価値算定における重要な前提条件として資産運用利回り、死亡率、解約率及び割引率などを使用しています。
16 製品保証引当金
ソニーは、収益認識時点で製品保証引当金を計上しています。製品保証引当金は、売上高、見積故障率及び修理単位あたりのアフターサービス費の見積額にもとづいて計算されています。製品保証引当金の計算に用いられた見積り・予測は定期的に見直されています。
17 保険契約債務
保険契約債務は、保険契約者に対する将来の予測支払額の現在価値として計上されています。これらの債務は将来の資産運用利回り、罹患率、死亡率及び契約脱退率等の要因についての予測にもとづき平準純保険料式の評価方法により算定されます。これらの見積り・予測は定期的に検証されています。また、保険契約債務には一部の非伝統的な生命保険及び年金保険契約における最低保証給付に対する債務を含んでいます。なお、このうち一部の保険契約債務には公正価値オプションを適用しています。
18 生命保険ビジネスにおける契約者勘定
生命保険ビジネスにおける契約者勘定に関する負債は、貸借対照表日時点での契約者の給付に生じた契約の価値を表しています。負債は一般的に累積的な積立額に付与利息を加え、契約者の引出額と残高に対して課せられるその他の手数料を差し引いたものです。生命保険ビジネスにおける契約者勘定には最低保証が付帯する変額年金保険契約及び変額保険契約に関する債務を含んでいます。また、このうち一部の生命保険ビジネスにおける契約者勘定に関する負債には公正価値オプションを適用しています。
19 長期性資産の減損
ソニーは、営業権及び耐用年数が確定できない無形固定資産を除く、保有して使用される長期性資産及び処分される予定の長期性資産について、個々の資産又は資産グループの帳簿価額が回収できなくなる可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、帳簿価額の回収可能性の見直しを行っています。保有して使用される長期性資産については、個々の資産又は資産グループの帳簿価額と個々の資産又は資産グループの現在価値に割引く前の将来見積キャッシュ・フローを比較することにより減損の有無が検討されます。このキャッシュ・フローが、個々の資産又は資産グループの帳簿価額を下回った場合、帳簿価額が見積もられた公正価値を超過する金額について、減損損失が当年度に認識されます。売却以外の方法で処分される予定の長期性資産は、処分されるまでは保有して使用される資産とみなされます。売却される予定の長期性資産は、帳簿価額又は公正価値から売却費用を差し引いた金額のいずれか小さい金額で計上され、減価償却は行われません。公正価値は将来見積キャッシュ・フロー(純額)の現在価値、又は比較可能な市場価格により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来見積キャッシュ・フローに固有のリスクを反映した割引率、永続価値(ターミナル・バリュー)を決定する際に適用される永続成長率、適切な市場における比較対象の決定、比較対象に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定など多くの見積り・前提を使用します。
マネジメントは将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積りは、新型コロナウイルス感染拡大による潜在的な影響などを含め、合理的であると考えています。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大により影響を受ける期間や度合いは不確実であり、今後の事態の進展によってはソニーの見積りや前提に変動をもたらす可能性があります。またこれらの見積りが実績と乖離する可能性があります。結果として、ソニーのビジネスや前提条件の予測不能な変化によって見積りが変更となることにより、将来キャッシュ・フローや公正価値が減少し、長期性資産の評価に悪影響を与える可能性があります。
20 公正価値による測定
ソニーは、測定日に市場参加者間で行われる通常の取引において、資産の譲渡の対価として受け取ると想定される金額又は負債を移転する際に支払うと想定される金額である出口価格にもとづき公正価値を測定しています。
ソニーは、銀行ビジネスに含まれる子会社が保有する一部の外貨建有価証券に対して、公正価値オプションを適用しております。これは、外貨建有価証券から生じる換算差額を損益に計上することを認めることにより、為替レートの変動に関する会計上のミスマッチを軽減するためです。
また、通常は公正価値で測定されない一部の保険契約債務及び生命保険ビジネスにおける契約者勘定に対して、公正価値オプションを適用しております。これは、変額年金保険契約のうち最低保証が付帯する契約の最低保証リスクの変動に伴う保険契約債務及び契約者勘定の公正価値の変動と、保険契約者のために運用する裏付投資資産及びデリバティブ取引の公正価値の変動を減殺することを目的としております。なお、公正価値の変動のうち信用リスクの変動から生じる公正価値の変動部分は、一部の子会社の格付けに応じた信用スプレッドに基づいて算定され、税効果控除後の金額でその他の包括利益に認識されています。
公正価値による測定に関する会計基準は、市場における観察可能性の程度にもとづき、評価に使用する基礎データの階層を決定しています。観察可能な基礎データは、独立した情報源から入手した市場データを反映したものですが、観察不能な基礎データは、市場参加者が資産あるいは負債を評価する際に通常使用すると想定される仮定を用いてソニーが独自に推定しているものです。過大なコストや手間をかけない範囲で観察可能な市場データが利用可能である場合には、観察可能な市場データが利用されています。全ての公正価値は下記3段階のレベルのいずれかで報告されますが、報告されるレベルは公正価値の測定に重要な影響を及ぼす基礎データのレベルのうち最も低いレベルにもとづき決定されます。公正価値の3段階のレベルは次のとおりです。
レベル1
重要な基礎データが活発な市場における同一の資産・負債の未調整の取引価格
レベル2
重要な基礎データがレベル1以外の観察可能なデータ
例えば、活発な市場における類似商品の取引価格、活発でない市場における同一又は類似商品の取引価格、全ての重要な基礎データが活発な市場で観察可能な場合のモデル計算による評価が含まれています。
レベル3
1つあるいは複数の重要な基礎データが観察不能
ソニーは、活発な市場における取引価格が調整を加えることなく利用可能である場合には、それを利用して公正価値の測定を行い、その項目をレベル1に分類しています。取引価格が利用できない場合には、金利、為替レート、オプションのボラティリティ等、直近の市場もしくは独立した情報源から入手した市場パラメータを使用し、ソニー内部で組成した評価手法にもとづいて公正価値を測定しています。ソニー内部で組成したモデルを使用して評価した項目は、評価に使用した重要な基礎データのうち、最も低いレベルに合わせてレベルの分類が行われます。一部の金融資産・負債については、ソニー内部で組成した価格との比較検証を含む評価手続にもとづいて、証券業者から得た指標価格や投資顧問会社から入手した定性的な基礎データ等の第三者の価格を使用し、公正価値を測定しています。また、ソニーは公正価値を測定する際に、取引相手及びソニーの信用力を考慮しています。ソニーは、ネッティング契約の締結や、与信限度の設定を通じ信用リスクの残高及び取引相手の信用力を積極的にモニターすることに加え、取引相手を各国の大手銀行や主要な金融機関に限定することにより、第三者に対する信用リスクを軽減する努力をしています。
レベル間の移動は、移動が生じた各四半期連結会計期間の期首に生じたとみなしています。
21 デリバティブ
全てのデリバティブは公正価値により連結貸借対照表上、資産又は負債として総額で計上されています。デリバティブの公正価値の変動は、対象となるデリバティブがヘッジとして適格であるか否か、また適格であるならば公正価値変動もしくはキャッシュ・フロー変動のいずれをヘッジするために利用されているかにもとづき、直ちに損益もしくは累積その他の包括利益の一部として資本の部に計上されています。
特定の複合金融商品に関する会計基準は、デリバティブ商品及びヘッジ活動に関する会計基準にもとづき、分離して個別に会計処理することが要求される組込デリバティブを内包するあらゆる複合金融商品について、公正価値の再評価を選択することを認めるものです。公正価値評価方法の選択は、個別の金融商品ごとに認められ、一度選択した評価方法は変更することができません。一部の金融子会社が保有していた組込デリバティブをともなう複合金融商品は、複合金融商品全体として公正価値で評価しています。複合金融商品は、負債証券として注記8に記載されています。
ソニーが保有するデリバティブはデリバティブ商品及びヘッジ活動に関する会計基準にもとづき、下記のとおり区分され、会計処理されています。
公正価値ヘッジ
認識された資産及び負債、又は未認識の確定約定の公正価値変動に対するヘッジとして指定されているデリバティブの公正価値変動は損益に計上され、関連するヘッジ対象資産及び負債の公正価値変動による損益を相殺しています。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
予定取引、又は認識された資産もしくは負債に関連するキャッシュ・フロー変動リスクに対するヘッジとして指定されているデリバティブの公正価値変動は当初、その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時に損益に振替えられています。オプション契約の公正価値に含まれる時間的価値部分は、ヘッジの有効性の評価から除外され、ヘッジ手段の契約期間にわたって定額で費用に認識されます。時間的価値部分の公正価値の変動と定額で費用に認識された金額の累計との差額は、その他の包括利益に認識されます。
ヘッジとして指定されていないデリバティブ
ヘッジとして指定されていないデリバティブの公正価値変動は直ちに損益に計上されています。
ヘッジの有効性の評価
ヘッジ会計を適用する場合には、ソニーは様々なヘッジ活動を行う際のリスク管理目的及び方針を文書化するとともに、ヘッジとして指定される全てのデリバティブとヘッジ対象との間のヘッジ関係を文書化しています。ソニーは公正価値ヘッジもしくはキャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されるデリバティブを連結貸借対照表上の特定の資産及び負債、又は特定の予定取引と紐付けています。ソニーはまた、ヘッジの開始時及び継続期間中において、ヘッジとして指定されたデリバティブがヘッジ対象の公正価値変動もしくはキャッシュ・フロー変動を相殺するのに高度に有効かどうかの評価を行っています。デリバティブがヘッジとして高度に有効でないと認められた場合には、ヘッジ会計は中止されます。
22 株価連動型報奨制度
ソニーは、株式報酬に関する会計基準にしたがい、株価連動型報奨制度について、公正価値にもとづく評価方法による費用処理を行っています。この費用は主に販売費及び一般管理費として計上されています。ストック・オプションプランの公正価値は、ブラック・ショールズ・オプション・プライシング・モデルを使用し、付与日時点で測定されています。ソニーは見積失効率を控除し、役務提供を受けた期間にわたって、段階的に権利が確定するストック・オプションプランの費用を認識しています。失効率は権利確定期間の大半が経過したストック・オプションプランの経験値にもとづいて見積もられています。
23 収益認識
ソニーは顧客との契約において約束した財又はサービスを顧客へ移転する履行義務を充足した時に、当該財又はサービスとの交換に権利を得ると見込んでいる対価を反映する金額で収益を認識します。これは、以下の5つのステップを用いて適用されます。
ステップ1.顧客との契約を識別する。
ステップ2.契約における履行義務を識別する。
ステップ3.取引価格を算定する。
ステップ4.取引価格を契約における履行義務に配分する。
ステップ5.ソニーが履行義務を充足した時に(又は充足するにつれて)収益を認識する。
ソニーはいくつかの分野において多様な知的財産を保有しており、その知的財産のライセンスによる収益を認識します。ソニーは機能的知的財産及び象徴的知的財産の両方を保有しています。機能的知的財産のライセンスは、供与する時点で存在するソニーの知的財産を使用する権利を与えるものであり、ソニーは顧客が支配を獲得し、そのライセンスからの便益を享受する権利を得た時点で履行義務を充足します。象徴的知的財産のライセンスは、一定の期間にわたってソニーの知的財産にアクセスする権利を与えるものであり、ソニーはその知的財産を維持するライセンス期間にわたって履行義務を充足します。
ソニーは契約獲得の増分コスト及び契約を履行するためのコストを回収すると見込んでいる場合には、当該コストを資産として認識します。契約獲得の増分コストは、当該契約を獲得しなければ発生しなかったものです。契約を履行するためのコストは、契約又は予想される契約に直接関連しており、ソニーが履行義務を充足するために使用する資源を創出もしくは増価するものです。ソニーは実務上の便法を適用しており、資産として認識するはずの契約獲得の増分コストの償却期間が1年以内である場合には、発生時に費用として認識します。
EP&S及びI&SS分野においては、顧客との契約における履行義務とは、主には、様々なエレクトロニクス製品・部品を顧客に引き渡すことです。一般的に、かかる履行義務から生じる収益は、約束された製品・部品を顧客に引き渡した時点で認識します。ただし、顧客との契約上、顧客による検収についての定めが存在する場合、顧客が検収を完了した時点又は検収猶予期間が終了し検収がなされたとみなされた時点で収益を認識します。また、インターネット関連サービスを利用者に提供する契約においては、加入契約期間にわたって収益を認識します。なお、予想される返品及びセールス・インセンティブが控除された後の純額で収益は認識されます。
G&NS分野においては、ハードウェア、周辺機器及びソフトウェアディスクからの収益は、小売事業者又は販売業者へ支配を移転することによって履行義務を充足した時に、予想される返品、セールス・インセンティブ及び広告協賛金が控除された後の純額で認識されます。開発・販売事業者へのプラットフォームライセンスからの収益は、ソフトウェアディスクが引き渡された時に認識されます。また、ライセンス供与された機能的知的財産であるデジタルゲームコンテンツからの収益は、オンラインプラットフォームを通じたデジタルコンテンツがライセンシーによって使用可能になった時に、予想されるセールス・インセンティブ及びクレジットカード会社への支払いが控除された後の純額で認識されます。将来にコンテンツを利用可能にする履行義務などの複数の履行義務に関連するデジタルゲームコンテンツからの収益は、市場において観察可能な独立販売価格もしくはソニーの最善の見積りである独立販売価格にもとづき各履行義務に配分されます。サブスクリプション方式による収益は、その加入契約期間に応じて認識されます。
音楽分野においては、ライセンスが供与される時点で存在するソニーの知的財産を使用する権利を顧客に与える知的財産のライセンス、もしくはライセンス期間にわたって存在するソニーの知的財産にアクセスする権利を与える知的財産のライセンスを行っています。これらの収益は、顧客が知的財産を使用する権利もしくはアクセスする権利を保有し、そのライセンスの使用又はアクセスのための支配を獲得した時に認識されます。デジタルコンテンツからの収益は、デジタルストリーミングサービス契約からの収益が含まれており、デジタルストリーミングサービスは契約期間にわたって更新され続けるコンテンツライブラリにおける知的財産への継続的なアクセス権として通常は別個の履行義務として認識されます。これは、(1)別のコンテンツに置き換える必要も、ロイヤルティに関するミニマムギャランティへの影響もなく、特定のコンテンツの削除ができるビジネス上の慣行や契約上の権利、及び(2)ライセンス対象に特定のコンテンツリストを含まない契約であることに基づいています。これらの契約からの収益は、契約期間にわたって定額法で認識される固定収入もしくは回収されることのないロイヤルティに関するミニマムギャランティがある場合を除いて、売上高及び使用量ベースのロイヤルティ収入にもとづき認識されます。CDなどの製品売上からの収益は、物品が移転し販売業者が販売可能となった時点で、予想される返品及びセールス・インセンティブが控除された後の純額で認識されます。
映画分野においては、劇場映画収益は、劇場での上映に合わせて認識されます。映画作品及びテレビ番組の放映にかかるライセンス契約による収益はライセンシーによって作品が放映可能となった時点で認識されます。複数の作品、地域、放映可能期間などの要素を持つ複数の履行義務に関わる映画作品及びテレビ番組の放映にかかるライセンス契約による収益は、市場環境や価格設定における内部規定などにもとづくソニーの最善の見積りによって各履行義務に配分されます。配給される各映画やテレビ番組は一般に別個の履行義務と識別されます。映画製作及びテレビ番組制作における現行契約の特定の更新又は延長に関連するライセンス収益は、ライセンシーがその更改や延長されたコンテンツを使用し便益を享受する時に、認識されます。象徴的知的財産に対するミニマムギャランティに関連するライセンス収益は、ライセンス期間にわたって一定の比率で認識されます。ホームエンタテインメント用のDVD及びブルーレイディスクにかかる収益は、物品が移転し販売業者が販売可能となった時点で、予想される返品及びセールス・インセンティブが控除された後の純額で認識されます。デジタルダウンロード及びビデオ・オン・デマンドからの収益は、作品がデジタル配信プラットフォームで閲覧可能となった時点で収益を認識します。テレビ広告収入は、広告が放映された時点で認識され、この収益に関わる履行義務は広告掲載の提供であり、インプレッション保証型広告を含む場合があります。もし保証した広告表示回数に達しなかった場合は、その広告表示回数を満たすための追加の広告掲載が行われるまで認識されません。テレビチャネルネットワークに支払われた有料放送料金は、サービスが提供された時点で収益が認識されます。この収益に関わる履行義務は機能的知的財産のライセンス提供で、契約期間にわたって番組が提供されるにつれて充足されます。
生命保険子会社が引受ける伝統的保険契約は、ほとんどが長期契約に分類され、主に終身保険、定期保険及び傷害・医療保険契約から構成されています。これらの契約から稼得する保険料収入は、保険契約者からの払込の期日が到来した時点で、収益として認識しています。
利率変動型終身保険、個人年金保険及び生命保険リスクのないその他の保険契約等非伝統的保険契約から受入れた保険料は、生命保険ビジネスにおける契約者勘定に計上しています。これら保険契約から稼得する収益は、保険契約期間にわたり認識される契約管理手数料からなり、金融ビジネス収入に含まれています。
損害保険子会社が引受ける保険契約は、短期契約に分類され、主に自動車保険契約から構成されています。これらの契約から稼得する保険料収入は、保険契約の期間にわたり保障金額の比率に応じて認識しています。
収益は、通常、顧客から徴収し政府機関へ納付される税金が控除された後の純額で認識されます。
24 売上原価
売上原価に分類される費用は製品の製作と生産に関連するもので、材料費、外注加工費、有形固定資産の減価償却費、無形固定資産の償却費、人件費、研究開発費ならびに映画作品及びテレビ番組に関連する繰延映画製作費の償却費などが含まれます。
25 研究開発費
研究開発費は売上原価に計上されており、研究及び製品の開発にかかる人件費、またその他の直接経費及び間接経費などが含まれます。
研究開発費は発生時に費用化しています。
26 販売費及び一般管理費
販売費に分類される費用は製品の販売促進と販売にかかる費用で、広告宣伝費、販売促進費、運賃、製品保証費用などが含まれます。
一般管理費には役員報酬、人件費、有形固定資産の減価償却費、販売、マーケティング及び管理部門のオフィス賃借料、貸倒引当金繰入額ならびに無形固定資産の償却費などが含まれます。
27 金融ビジネス費用
金融ビジネス費用は、責任準備金の繰入額、繰延保険契約費の償却の他、金融ビジネス子会社の人件費、有形固定資産の減価償却費及び支払賃借料等の営業費用を含んでいます。
28 広告宣伝費
広告宣伝費は選定されたメディアにおいて広告宣伝が行われた時点で費用化しています。
29 物流費用
製品の運賃、荷役料、保管料及びソニーグループ内の運搬費用等の大部分は販売費及び一般管理費に含まれています。例外として、映画分野では、映画の製作又はテレビ番組の制作、及びこれらの配給に必要な構成要素として、上記の費用は売上原価に計上されています。原材料や仕掛品の運賃、仕入受取費用、検査費用及び保管料等のソニーの物流ネットワークに関わるその他の全ての費用は売上原価に含まれています。顧客が物品の支配を獲得した後に実行される発送活動は、約束された物品の移転とは別個の履行義務とみなされます。また、顧客が負担する物流費用は純売上高に含まれています。
30 法人税等
法人税等は、連結損益計算書の税引前利益、子会社及び持分法適用会社の将来配当することを予定している未分配利益について計上される繰延税金負債にもとづいて計算されています。資産・負債の帳簿価額と税務上の価額との間の一時差異に対する繰延税効果について、資産・負債法を用いて繰延税金資産・負債を認識しています。
繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠にもとづいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されます。したがって、繰延税金資産にかかる評価性引当金計上の要否は、繰延税金資産の回収可能性に関連するあらゆる肯定的及び否定的証拠を適切に検討することにより定期的に評価されます。この評価に関するマネジメントの判断は、それぞれの税務管轄ごとの当期及び累積損失の性質、頻度及び重要性、不確実な税務ポジションを考慮した将来の収益性予測、税務上の簿価を超える資産評価額、繰越欠損金の法定繰越可能期間、過去における繰越欠損金の法定繰越可能期間内の使用実績、繰越欠損金及び繰越税額控除の期限切れを防ぐために実行される慎重かつ実行可能な税務戦略を特に考慮します。
ソニーは、税務申告において採用した、あるいは採用する予定の不確実な税務ポジションに起因する未認識の税務ベネフィットに関する資産・負債を計上しています。ソニーは、未認識税務ベネフィットを含む法人税等に関する利息と罰金を、連結損益計算書の支払利息と法人税等にそれぞれ含めています。ソニーの納税額は、様々な税務当局による継続的な調査によって、更正処分などの影響を受ける可能性があります。加えて、いくつかの重要な移転価格税制の案件に関する事前確認申出を受けて、それぞれの国の税務当局同士が現在交渉しています。不確実な税務ポジションから起こり得る結果に対するソニーの見積りは、判断を必要とし、また高度な見積りが要求されます。ソニーは、税務調査の対象となる全ての年度の税務ポジションについて、決算日における事実、状況、及び入手可能な証拠にもとづき評価し、税務ベネフィットを計上しています。ソニーは、税務調査において50%超の可能性をもって認められる税務ポジションに関する税務ベネフィットについて、完全な知識を有する税務当局との合意において50%超の可能性で実現が期待される金額を計上しています。ソニーは、50%以上の可能性で認められないと考えられる場合には、税務ベネフィットを計上していません。しかしながら、税務調査の終了、異なる税務管轄の税務当局間の交渉の結果、新しい法規や判例の公表、又は、その他の関連事象による、税金債務の見積りの減額又は増額によって、ソニーの将来の業績は、影響を受ける可能性があります。結果として、ソニーの未認識税務ベネフィットの金額及び実効税率は、大きく変動する可能性があります。
2017年度における米国税制改革法により、米国法人は、その米国外子会社が稼得したグローバル無形資産低課税所得(Global Intangible Low Tax Income、以下「GILTI」)に対して課税されます。ソニーは、GILTIを発生時に期間費用として会計処理する方法を採用しています。
31 1株当たり当社株主に帰属する当期純利益(損失)(以下「EPS」)
基本的EPSは各算定期間の普通株式の加重平均発行済株式数にもとづいて計算されます。希薄化後EPSは、新株発行をもたらす権利の行使や約定の履行あるいは新株への転換によって起こる希薄化の影響を考慮して計算されます。当社株主に帰属する当期純損失の場合は全ての潜在株式をこの計算から除いています。
(2) 新会計基準の適用
リース
2016年2月、米国財務会計基準審議会(Financial Accounting Standards Board、以下「FASB」)はリース会計基準を変更するASU 2016-02を公表しました。このASUは、ほとんど全てのリース契約を貸借対照表上で認識することを要求しています。
ソニーはこのASUを、新基準適用時の比較年度の表示・開示を修正再表示しない修正遡及法によって2019年4月1日から適用しました。ソニーは、このASUで認められている移行時の一連の免除措置を適用したため、適用日前に契約満了又は存在しているリース契約について、リースに該当するか否かの検討、リースの分類、直接コストの資産化について再評価していません。また、短期リースの例外措置を適用しました。
このASUの適用により、2019年4月1日時点の連結財務諸表においてオペレーティング・リースに係る使用権資産を316,923百万円、リース負債を341,251百万円認識しました。これは、主に不動産に関連するオペレーティング・リース契約の影響によるものです。なお、使用権資産とリース負債の差額24,328百万円は主に繰延賃借料の影響によるもので、期首時点の繰延賃借料残高は使用権資産から控除されています。また、連結貸借対照表上、ファイナンス・リースに係る使用権資産は、2018年度は有形固定資産の内訳として表示していますが、2019年度からファイナンス・リース使用権資産として表示しています。
購入した繰上償還可能な負債証券のプレミアムの償却
2017年3月、FASBはASU 2017-08を公表しました。このASUは、繰上償還可能な負債証券の特定のプレミアムを最も早い償還日までの期間にわたって償却することを要求しています。ディスカウントで購入した繰上償還可能な負債証券の償却期間は影響を受けません。ソニーは、2019年4月1日からこのASUを適用しています。このASUの適用がソニーの業績及び財政状態に与える重要な影響はありませんでした。
ヘッジ活動に関する会計処理の改訂
2017年8月、FASBはヘッジ活動に関する会計処理の改訂に関するASU 2017-12を公表しました。このASUは、特定の状況における非財務及び財務リスクに関するヘッジ会計の適用を簡素化し、企業のリスクマネジメント活動とヘッジ会計の結果を、より適切に整合させることを目的としています。このASUはさらに、一部のヘッジ会計に関する連結財務諸表上の表示及び開示と、ヘッジの有効性の評価についても改訂しています。ソニーは、2019年4月1日からこのASUを適用しています。このASUの適用がソニーの業績及び財政状態に与える重要な影響はありませんでした。
(3) 最近公表された会計基準
金融商品の信用損失の測定
2016年6月、FASBは金融商品の信用損失の測定に関する基準を変更するASU 2016-13を公表しました。このASUは、金融商品の信用損失の測定にあたり、過去の損失実績、現在の状況、将来の状況の予測及び予測される信用損失など関連する全ての情報を考慮することを要求しています。このASUは、2020年4月1日からソニーに適用されます。このASUの適用は、ソニーの業績及び財政状態に重要な影響を与えないと予想されています。
映画製作費及び番組コンテンツのライセンス契約に関する改訂
2019年3月、FASBは映画製作費及び番組コンテンツのライセンス契約に関する会計処理を変更するASU 2019-02を公表しました。このASUは、テレビ番組制作費用の資産化にかかるガイダンスを改訂し、テレビ放映権の減損にあたっては正味実現可能価額ではなく、公正価値を用いるように要求しています。また、映画製作費及びテレビ放映権の表示及び開示要求を改訂しています。加えて繰延映画製作費の計上にあたっては、主要な収益戦略が個々の作品か、ストリーミング配信のライブラリに加えるための映画公開のように、他の映画や放映権と合わせた資産グループかを定性的に判断することが要求されます。資産グループの場合、減損は個々の作品ではなく資産グループで判定されます。このASUは、2020年4月1日から将来に向かってソニーに適用されます。このASUの適用により、ソニーは棚卸資産に含まれていた映画分野におけるテレビ放映権約241億円及び音楽分野におけるアニメーション作品制作費約74億円を繰延映画製作費に含めて開示します。
長期保険契約に関する会計処理の改訂
2018年8月、FASBは長期保険契約に関する会計処理の改訂に関するASU 2018-12を公表しました。また、2019年11月、FASBはASU 2019-09を公表し、ASU 2018-12の適用日を2022年1月1日に延期しました。このASUは、長期保険契約の認識及び測定、また見積りの方法について包括的な変更を要求しています。また重要な定性的、及び定量的な追加の開示を要求しています。このASUは、2022年4月1日からソニーに適用されます。このASUの適用がソニーの業績及び財政状態に与える影響は評価中です。
公正価値測定に関する開示
2018年8月、FASBは公正価値測定に関する開示規定を改訂するASU 2018-13を公表しました。このASUは、2020年4月1日からソニーに適用されます。このASUは、開示への影響のみであるため、このASUの適用がソニーの業績及び財政状態に与える影響はありません。
確定給付制度に関する開示
2018年8月、FASBは確定給付年金制度及びその他の退職給付制度に関する開示規定を改訂するASU 2018-14を公表しました。このASUは、2020年4月1日からソニーに遡及適用されます。このASUは、開示への影響のみであるため、このASUの適用がソニーの業績及び財政状態に与える影響はありません。
法人税等に関する会計処理の改訂
2019年12月、FASBは法人所得税に関する会計処理を簡素化するASU 2019-12を公表しました。このASUは、2021年4月1日からソニーに適用されます。当該ASUのうち一部の改訂は、比較期間を遡及的に修正する方法又は適用日時点の累積的影響額を遡及的に認識する方法を要求しています。それを除き当該改訂は、適用年度から将来に向かって適用することを要求しています。このASUの適用がソニーの業績及び財政状態に与える影響は評価中です。
金利指標改革
2020年3月、FASBは金利指標改革によって影響を受ける特定の契約に対して任意の救済措置を提供するASU 2020-04を公表しました。このASUは2022年12月31日までの間の任意の時点で適用することが認められています。ソニーは金利指標改革の影響及びこのASUを適用するかどうかはまだ評価中です。
(4) 勘定科目の組替再表示
2018年度にかかる連結財務諸表の一部の金額を、2019年度の表示に合わせて組替再表示しています。
4 棚卸資産
棚卸資産の内訳は次のとおりです。
2019年3月31日2020年3月31日
項目金額(百万円)金額(百万円)
製品407,295345,231
仕掛品154,178149,969
原材料・購入部品91,80594,769
653,278589,969

5 繰延映画製作費
繰延映画製作費の内訳は次のとおりです。
2019年3月31日2020年3月31日
項目金額(百万円)金額(百万円)
映画製作:
既公開87,15899,482
完成、未公開3,18918,776
製作・開発中130,73667,199
テレビ製作:
既公開144,316186,344
製作・開発中9,14725,093
テレビ放映権70,40161,959
控除: 棚卸資産に含まれる1年以内償却予定のテレビ放映権等△35,942△31,517
409,005427,336

ソニーは、2020年3月31日現在の既公開作品にかかる未償却残高のうち約92%が、3年以内に償却されると見積もっています。2020年3月31日現在の既公開及び完成作品にかかる繰延映画製作費のうち約217,000百万円は1年以内に償却される予定です。また、未払金・未払費用に含まれる未払分配金債務約163,000百万円は1年以内に支払われる予定です。
6 関連会社に対する投資
投資先である持分法適用関連会社から提供された重要な持分法適用関連会社の財務情報及び連結財務諸表との調整項目を含む情報にもとづく合算・要約財務情報は次のとおりです。
貸借対照表
区分2019年3月31日2020年3月31日
金額(百万円)金額(百万円)
流動資産355,320389,195
固定資産608,626164,852
流動負債188,905194,219
固定負債及び非支配持分584,71460,469
持分比率20%-50%20%-50%

損益計算書
区分2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
売上高及び営業収入390,457387,678
営業利益53,92058,431
株主に帰属する当期純利益5,53934,916
持分比率20%-50%20%-50%

2018年11月14日、ソニーの完全子会社であるSony Corporation of Americaは、EMI Music Publishingを所有し運営するDH Publishing, L.P.(以下「EMI」)について、ムバダラインベストメントカンパニーが主導するコンソーシアムが保有する約60%の持分全てを取得しました。当該取得にともない、EMIはソニーの完全子会社となりました。詳細については注記25に記載しています。
2020年3月31日現在、ソニーの持分法適用会社であるエムスリー株式会社(以下「エムスリー」)に対するソニーの投資簿価は、エムスリーの純資産に対するソニーの持分相当額を56,140百万円上回っています。この超過額の大部分は、エムスリー残余持分の公正価値への再評価によるものであり、識別可能な有形資産及び無形資産に按分されています。この無形資産は主にエムスリーの医療ウェブ・ポータルに関連しています。超過額のうち特定の資産に按分されなかった残余価値は、投資残高の一部の営業権として認識しています。無形資産として按分された金額は、それぞれの見積耐用年数(主に10年)にわたって定額法で償却し、税効果考慮後の金額を持分法による投資利益に計上しています。
2019年3月31日及び2020年3月31日現在、上記のエムスリーを除き、関連会社の純資産に対するソニーの持分相当額と関連会社に対するソニーの投資簿価との間に重要な差異はありません。
2019年12月19日、ソニーの連結子会社であったSREホールディングス株式会社(以下「SRE」)は東京証券取引所マザーズ市場にその普通株式を上場しました(以下「本上場」)。本上場に際し、ソニーが保有するSRE株式の一部売出し及びSREによる株式の新規発行(以下あわせて「本売出し等」)が行われました。本売出し等にともない、ソニーの保有比率は56.3%から44.5%に低下し、SREはソニーの持分法適用会社となりました。また、本売出し等により、ソニーは2019年度の連結損益計算書上、株式売却後も当社が継続して保有するSRE株式の公正価値に基づく再評価益及び株式売却益の合計である17,266百万円の利益をその他の営業損(益)(純額)に計上しました。
2020年1月29日、ソニーの連結子会社であるソニー生命保険㈱(以下「ソニー生命」)は、ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱及びSA Reinsurance Ltd.(以下あわせて「両合弁会社」)について、AEGON International B.V.が保有する50%の株式の全てを取得しました。当該取得にともない、両合弁会社はソニーの連結子会社となりました。詳細については注記25に記載しています。なお、ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱は、2020年4月1日付で、商号を「ソニーライフ・ウィズ生命保険株式会社」に変更しております。
いくつかの関連会社は、東京証券取引所に上場しており、2020年3月31日現在、これらに対するソニーの投資簿価と市場価格の総額はそれぞれ141,508百万円及び756,073百万円です。
2019年3月31日及び2020年3月31日現在、持分法適用関連会社の数は、それぞれ133社及び140社です。
持分法適用関連会社との取引残高及び取引高は次のとおりです。その他の関連当事者との重要な取引高又は取引残高はありません。
2019年3月31日2020年3月31日
科目金額(百万円)金額(百万円)
売掛金12,40412,030
未収入金1341,589
その他の流動資産339,757
買掛金1,0871,497
短期借入金29,74431,557
ファイナンス・リース債務等 *20,26534,564
オペレーティング・リース債務-2,393

(注)* ファイナンス・リース債務等は2018年度においてキャピタル・リース未払金として表示していました。
2018年度2019年度
科目金額(百万円)金額(百万円)
売上高41,43735,951
仕入高5,5843,479

日本のリース会社であるSFIリーシング㈱(以下「SFIL」)は、2010年11月の事業分割後、ソニーが34%を保有し持分法を適用しています。2018年度において、ソニーは機械装置の一部についてSFILとの間でセール・アンド・リースバック取引を行いました。
三井倉庫サプライチェーンソリューション㈱は、2015年4月1日のロジスティクス事業の一部売却後、ソニーが34%を保有し持分法を適用しています。2019年3月31日及び2020年3月31日現在、三井倉庫サプライチェーンソリューション㈱とその子会社との取引残高は、それぞれ3,435百万円及び1,181百万円であり、これらは主に未払費用に含まれています。また、2018年度及び2019年度における取引高は、それぞれ10,606百万円及び6,069百万円で、これらは主に販売費及び一般管理費に含まれています。
2018年度及び2019年度における持分法適用関連会社からの配当金は、それぞれ4,948百万円及び4,523百万円です。
7 金融資産の移転
ソニーは主にEP&S分野において複数の売掛債権売却プログラムを設定しています。これらのプログラムにより、ソニーは売掛債権を銀行又はスポンサー銀行に関連する特別目的会社に売却することができます。ソニーは2018年度及び2019年度を通じてそれぞれ合計81,947百万円及び65,214百万円の売掛債権の売却を行いました。これらの取引はソニーが売掛債権に対する支配を放棄したことから、金融資産の譲渡に関する会計基準にもとづき、売却として会計処理されます。ソニーは、債権が営業活動の成果であり、かつ短期的な債権であることから、これらの債権の回収を、連結キャッシュ・フロー計算書上、営業活動によるキャッシュ・フローに含めています。また、これらの取引における売却損益は僅少です。ソニーは売却した売掛債権に対するサービスを継続していますが、売掛債権回収にかかる報酬及びコストは僅少であるため、サービス資産及び負債を計上していません。
上記のうち一部の売掛債権売却プログラムにはVIEが関与しています。(注記24参照)
8 有価証券及び投資有価証券
有価証券及び投資有価証券に含まれる負債証券は主に金融分野に含まれ、そのうち売却可能証券及び満期保有目的証券に区分されるものの取得原価、未実現評価損益及び公正価値は次のとおりです。
項目2019年3月31日2020年3月31日
取得原価
(百万円)
未実現
評価益
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
公正価値
(百万円)
取得原価
(百万円)
未実現
評価益
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
公正価値
(百万円)
負債証券
売却可能証券
日本国債1,422,620220,989△201,643,5891,552,036210,459△5661,761,929
日本地方債67,46170△3467,49769,13273△3369,172
日本社債202,43317,178△223219,388202,16419,112△567220,709
外国国債153,4298,669△603161,495198,77781,014△14279,777
外国社債360,299944△376360,867361,422507△2,179359,750
証券化商品190,1111-190,112205,2230-205,223
その他2,2862,402-4,68814,3981,867△1216,253
2,398,639250,253△1,2562,647,6362,603,152313,032△3,3712,912,813
満期保有目的証券
日本国債6,042,6352,016,786-8,059,4216,204,5052,098,885△1,3978,301,993
日本地方債3,518388-3,9062,504331-2,835
日本社債409,32944,348△5,845447,832482,05061,176△4,754538,472
外国国債386,39218,609△13,742391,259723,937302,297-1,026,234
外国社債19811-209987-105
証券化商品----5,418-△4214,997
6,842,0722,080,142△19,5878,902,6277,418,5122,462,696△6,5729,874,636
合計9,240,7112,330,395△20,84311,550,26310,021,6642,775,728△9,94312,787,449

下記の表は、2020年3月31日現在における売却可能証券及び満期保有目的証券に区分される負債証券の取得原価及び公正価値を、契約上の償還期限別に示したものです。
2020年3月31日売却可能証券満期保有目的証券
取得原価
(百万円)
公正価値
(百万円)
取得原価
(百万円)
公正価値
(百万円)
1年以内145,867146,0846,0756,109
1年超5年以内432,281435,443199,509217,983
5年超10年以内561,098637,363246,072283,086
10年超1,463,9061,693,9236,966,8569,367,458
合計2,603,1522,912,8137,418,5129,874,636

2018年度及び2019年度における売却可能証券の売却収入は、それぞれ66,906百万円及び84,362百万円です。これらの売却収入のうち実現総利益はそれぞれ240百万円及び354百万円であり、実現総損失はそれぞれ475百万円及び128百万円です。
有価証券に含まれる売買目的有価証券の残高は主に金融分野に含まれ、2019年3月31日及び2020年3月31日現在、それぞれ234,117百万円及び270,120百万円あり、ソニーは、2018年度及び2019年度にそれぞれ3,610百万円及び1,705百万円の未実現評価益を計上しました。売買目的有価証券の公正価値の変動は、主に連結損益計算書上、金融ビジネス収入に計上されています。
下記の表は、2019年3月31日及び2020年3月31日現在におけるソニーの保有する投資有価証券のうち、銘柄ごとに継続して未実現評価損となっているものの公正価値と未実現評価損を、投資区分及びその期間別に示したものです。
12ヵ月未満12ヵ月以上合計
2019年3月31日公正価値
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
公正価値
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
公正価値
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
負債証券
売却可能証券
日本国債--4,063△204,063△20
日本地方債27,404△294,872△532,276△34
日本社債25,725△2119,925△20245,650△223
外国国債--15,878△60315,878△603
外国社債50,281△11715,455△25965,736△376
証券化商品------
その他------
103,410△16760,193△1,089163,603△1,256
満期保有目的証券
日本国債------
日本地方債------
日本社債--97,984△5,84597,984△5,845
外国国債--151,229△13,742151,229△13,742
外国社債------
--249,213△19,587249,213△19,587
合計103,410△167309,406△20,676412,816△20,843

12ヵ月未満12ヵ月以上合計
2020年3月31日公正価値
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
公正価値
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
公正価値
(百万円)
未実現
評価損
(百万円)
負債証券
売却可能証券
日本国債51,746△5392,032△2753,778△566
日本地方債25,010△1016,340△2341,350△33
日本社債62,118△54810,694△1972,812△567
外国国債--1,537△141,537△14
外国社債86,220△2,13318,896△46105,116△2,179
証券化商品------
その他12,055△12--12,055△12
237,149△3,24249,499△129286,648△3,371
満期保有目的証券
日本国債134,320△1,397--134,320△1,397
日本地方債------
日本社債98,172△4,2853,727△469101,899△4,754
外国国債------
外国社債------
証券化商品5,418△421--5,418△421
237,910△6,1033,727△469241,637△6,572
合計475,059△9,34553,226△598528,285△9,943

2020年3月31日現在、ソニーは上記の表に示される未実現評価損を含む投資の公正価値の下落は一時的であると判断しました。
有価証券及び投資有価証券に含まれる持分証券に関して、ソニーは2018年度及び2019年度において、売却による実現利益(純額)をそれぞれ77,495及び20,176百万円、連結会計期間末に保有する持分証券の再評価により、それぞれ未実現評価益(純額)を104,168百万円、未実現評価損(純額)を134,831百万円計上しました。連結損益計算書上、金融分野において保有する持分証券に関して発生した損益は金融ビジネス収入、金融除くその他の分野における保有にかかるものは持分証券に関する利益(損失)(純額)に計上しています。上記の損益には、ソニーが保有するSpotify Technology S.A.(以下「Spotify」)株式にかかる損益が含まれています。
2018年4月3日、Spotifyがニューヨーク証券取引所に上場しました。ソニーは、当該上場時点で発行済株式総数の5.707%を保有していました。
2018年度において、ソニーは保有していたSpotify株式の一部を合計82,616百万円(768百万米ドル)の現金対価で売却しました。売却した株式については、売却額から売却に直接関連するアーティストとレーベルへの分配見込額及びその他の取引原価を控除した株式売却益(税引前)54,179百万円(504百万米ドル)を連結損益計算書上、持分証券に関する利益(純額)に計上しました。なお、アーティストとレーベルへの分配額は、連結キャッシュ・フロー計算書の投資活動によるキャッシュ・フローの「その他」に含まれています。
2019年3月31日時点で継続保有する株式については、公正価値78,947百万円(711百万米ドル)から売却に直接関連するアーティストとレーベルへの分配見込額及びその他の原価を控除した株式評価益(税引前)47,543百万円(449百万米ドル)を連結損益計算書上、持分証券に関する利益(純額)に計上しました。
2019年度において、ソニーが保有しているSpotify株式の売却はありませんでした。2020年3月31日時点で継続保有する株式については、連結損益計算書上、株価の変動からアーティストとレーベルへの分配見込額を調整した株式評価損(税引前)6,063百万円(57百万米ドル)を持分証券に関する損失(純額)に計上しました。
2019年3月31日及び2020年3月31日現在、ソニーにおいて、容易に算定できる公正価値を持たない持分証券の残高は、それぞれ25,720百万円及び30,120百万円でした。これに関しソニーは2018年度において、加算調整額を計上しておらず、2019年度において1,070百万円計上しました。また、2018年度及び2019年度における減算調整額(減損含む)については、それぞれ4,285百万円及び9,075百万円計上しました。
9 リース
ソニーは、情報関連及びその他の機器、工場施設、事務所、倉庫、従業員の住居施設及びその他の資産の一部をファイナンス・リース又はオペレーティング・リースとして賃借しています。
(1) リース費用
リース費用の内訳は次のとおりです。
項目2019年度
金額(百万円)
ファイナンス・リース費用
使用権資産の償却費10,077
リース負債にかかる利息1,266
ファイナンス・リース費用合計11,343
オペレーティング・リース費用76,863
短期リース費用20,620
変動リース料141
サブリース収入△3,860
105,107

(2) リースに関する連結貸借対照表の補足情報
リースに関する連結貸借対照表の補足情報は次のとおりです。
項目2020年3月31日
金額(百万円)
ファイナンス・リース
短期リース負債9,240
長期リース負債29,843
39,083

項目2020年3月31日
年数(年)
加重平均残存リース期間
オペレーティング・リース9.91
ファイナンス・リース8.61


項目2020年3月31日
率(%)
加重平均割引率
オペレーティング・リース3.147
ファイナンス・リース2.338

(3) オペレーティング・リースによる賃借料及び転貸賃貸料
2018年度のオペレーティング・リースによる賃借料は71,516百万円です。2018年度のオペレーティング・リースによる転貸賃貸料は1,013百万円です。2019年3月31日現在における解約不能のオペレーティング・リースによる転貸契約にもとづいて将来受け取るべき最低賃貸料は1,598百万円です。2019年3月31日現在における当初の又は残存する解約不能リース期間が1年を超えるオペレーティング・リースによる最低賃借料は次のとおりです。
年度2019年3月31日
金額(百万円)
2019年度58,901
2020年度48,823
2021年度34,726
2022年度25,355
2023年度22,152
2024年度以降78,507
将来の最低賃借料の支払額合計268,464

(4) リース負債の満期分析
リース負債の満期分析は次のとおりです。
年度2020年3月31日
金額(百万円)
オペレーティング・リースファイナンス・リース
2020年度76,46910,213
2021年度69,6067,323
2022年度55,6485,990
2023年度40,3034,689
2024年度30,6643,163
2025年度以降152,27523,088
リース料の支払額合計424,96554,466
利息控除額41,18715,383
合計383,77839,083

(5) その他の情報
リースに関するその他の情報は次のとおりです。
項目2019年度
金額(百万円)
リース負債の測定に含まれた現金支払額
営業活動からのキャッシュ・フローに含まれるオペレーティング・リースに係る支払額71,612
財務活動からのキャッシュ・フローに含まれるファイナンス・リースに係る支払額33,088
オペレーティング・リース負債と引き換えに取得した使用権資産124,380

10 営業権及びその他の無形固定資産
2019年度に取得した無形固定資産は146,023百万円です。このうち、145,596百万円が償却対象の資産であり、内訳は次のとおりです。
項目当年度取得無形固定資産加重平均償却年数
取得原価
(百万円)
年数
特許権、ノウハウ、ライセンス契約7,8488
販売用ソフトウェア16,6093
社内利用ソフトウェア93,7684
ミュージック・カタログ19,83714
その他7,53411

2019年度に取得した社内利用ソフトウェアは、主に多岐にわたるビジネス・プラットフォームで新たに資産計上されたものです。
償却対象の無形固定資産の内訳は次のとおりです。
項目2019年3月31日2020年3月31日
取得原価
(百万円)
償却累計額
(百万円)
取得原価
(百万円)
償却累計額
(百万円)
特許権、ノウハウ、ライセンス契約169,761△145,525166,076△146,051
顧客関係15,759△11,82516,104△12,467
商標15,768△9,86311,152△6,114
販売用ソフトウェア125,350△96,322141,111△110,663
社内利用ソフトウェア529,022△345,935594,109△384,236
ミュージック・カタログ615,206△106,725612,266△124,787
アーティスト・コントラクト42,575△29,10841,764△29,017
テレビ放送委託契約74,605△28,68553,266△21,645
その他61,675△49,28864,456△51,317
1,649,721△823,2761,700,304△886,297

2018年度及び2019年度における無形固定資産償却費は、それぞれ109,452百万円及び110,819百万円です。また、2020年度以降5年間の見積償却費は次のとおりです。
年度金額(百万円)
2020年度97,978
2021年度82,057
2022年度66,079
2023年度50,098
2024年度38,658

耐用年数が確定できない無形固定資産の内訳は次のとおりです。
項目2019年3月31日2020年3月31日
金額(百万円)金額(百万円)
商標69,44769,975
配給契約18,83418,834
その他3,2403,494
91,52192,303

2018年度及び2019年度におけるセグメント別の営業権の推移は次のとおりです。
項目G&NS音楽映画EP&SI&SS金融その他合計
金額
(百万円)
金額
(百万円)
金額
(百万円)
金額
(百万円)
金額
(百万円)
金額
(百万円)
金額
(百万円)
金額
(百万円)
2018年3月31日
営業権残高
-総額
150,606165,700246,620194,46845,7937,93127,912839,030
減損累計額-△306△102,208△181,665-△706△23,653△308,538
営業権残高150,606165,394144,41212,80345,7937,2254,259530,492
取得*2,261240,396387----243,044
売却及び
処分
--------
減損---△776--△4,331△5,107
為替換算
調整
1,088△2,4203,673△73771-723,111
その他--△2,988----△2,988
2019年3月31日
営業権残高
-総額
153,955403,676252,262194,41646,5647,93128,5701,087,374
減損累計額-△306△106,778△182,462-△706△28,570△318,822
営業権残高153,955403,370145,48411,95446,5647,225-768,552
取得*17,9452,95614,889364-3,609-39,763
売却及び
処分
--△609----△609
減損--------
為替換算
調整
△926△13,802△5,410△129△372--△20,639
その他-△1,199△1,980----△3,179
2020年3月31日
営業権残高
-総額
170,974391,631257,074194,63546,19211,54028,2691,100,315
減損累計額-△306△104,700△182,446-△706△28,269△316,427
営業権残高170,974391,325152,37412,18946,19210,834-783,888

ソニーは、2019年度第1四半期より、業績報告におけるビジネスセグメント区分の変更を行いました。この変更に
関連して、従来のHE&S分野、IP&S分野及びMC分野を合わせてEP&S分野としています。以上のセグメン
ト変更にともない、旧HE&S分野、IP&S分野及びMC分野の過年度の営業権残高を当年度の表示に合わせて組
替再表示しています。これらの組替再表示に関する詳細は注記28に記載しています。
(注)* 2018年度の音楽分野における金額は、主にEMI Music Publishingの取得に関するものです。2019年度のG&NS分野における金額は、Insomniac Games, Inc.の取得、映画分野における金額は、主にSilvergate Mediaの取得、金融分野における金額は、生命保険事業を営む持分法適用関連会社の子会社化に関するものです。これらの取得に関する詳細は注記25に記載しています。
11 保険関連科目
金融分野に含まれる日本の子会社は、注記1に記載のとおり、日本において一般に公正妥当と認められた会計原則及び会計実務に準拠して会計記録を保持していますが、米国会計原則とは、いくつかの点で異なっています。
これらの相違の主なものは、生命保険事業及び損害保険事業における保険契約の獲得費用、及び生命保険事業における保険契約債務です。保険契約の獲得費用は、日本会計原則では発生年度の期間費用として処理されますが、米国会計原則では繰延処理され、通常、関連する保険契約の保険料払込期間にわたって償却されます。また、保険契約債務は、日本会計原則では管轄の行政当局の認める方式により算定されますが、米国会計原則では、主として、計算基礎の一定の変更を施し、平準純保険料式による評価を行って計上されます。連結財務諸表の作成上、米国会計原則に準拠するため、このような差異は適切に調整されています。
2019年3月31日及び2020年3月31日現在の保険子会社の米国会計原則に準拠しない法定帳簿上の純資産合計は、それぞれ548,730百万円及び586,983百万円です。
(1) 保険契約
金融分野に含まれる生命保険子会社が引受ける保険契約は、ほとんどが長期契約に分類され、主に終身保険、定期保険及び傷害・医療保険契約から構成されています。2018年度及び2019年度における生命保険料収入は、それぞれ910,011百万円及び1,052,316百万円です。金融分野に含まれる損害保険子会社が引受ける保険契約は、短期契約に分類され、主に自動車保険契約から構成されています。2018年度及び2019年度における損害保険料収入は、それぞれ111,392百万円及び115,730百万円です。
(2) 繰延保険契約費
2018年度及び2019年度の繰延保険契約費の償却費は、それぞれ79,906百万円及び93,734百万円です。2018年度及び2019年度の生命保険ビジネスにおける非伝統的保険商品の繰延保険契約費は、それぞれ209,897百万円及び206,363百万円です。
(3) 保険契約債務
後述の最低保証給付に対する債務を除き、保険契約債務は、主として個人保険契約に関連しており、保有する契約から将来発生が予測される債務に見合う額が引当てられています。これらの債務はマネジメントの高度な判断と見積りを必要とし、将来の資産運用利回り、罹患率、死亡率及び契約脱退率等についての予測にもとづき平準純保険料式の評価方法により算定されます。当該保険契約債務は0.5%から4.5%の範囲の利率を適用して計算されており、市場環境や期待投資利益などの要素が反映されています。保険契約債務の見積りに使用される罹患率、死亡率及び契約脱退率は、保険子会社の実績あるいは保険数理上の種々の統計表によっています。通常は、これらの前提条件は契約時に固定されますが、前提条件と実績が大きく異なる場合、あるいは前提条件を大きく変更する場合には、ソニーは保険契約債務の追加計上を必要とする可能性があります。
保険契約債務には変額年金保険契約及び変額保険契約における最低保証給付に対する債務を含んでいます。最低保証に係る詳細は(5)に記載しています。また、このうち一部の保険契約債務には公正価値オプションを適用しています。詳細については注記14に記載しています。
2019年3月31日及び2020年3月31日現在の保険契約債務は、それぞれ5,633,865百万円及び6,237,048百万円です。
(4) 生命保険ビジネスにおける契約者勘定
生命保険ビジネスにおける契約者勘定は、勘定預り金累積元本に付与利息を加えたものから、引出額、経費及び危険保険料を差し引いた額を表しており、ユニバーサル保険及び投資契約等から構成されています。ユニバーサル保険には、利率変動型終身保険及び変額保険が含まれています。利率変動型終身保険に対する付与利率は1.7%から2.0%です。変額保険契約については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。投資契約には、主に一時払養老保険契約、一時払学資保険契約、変額年金保険契約及び年金開始後契約が含まれています。投資契約(変額年金保険契約を除く)に対する付与利率は、0.01%から6.3%です。変額年金保険契約については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。生命保険ビジネスにおける契約者勘定には最低保証が付帯する変額年金保険契約及び変額保険契約に関する債務を含んでいます。また、このうち一部の生命保険ビジネスにおける契約者勘定には公正価値オプションを適用しています。詳細については注記14に記載しています。
生命保険ビジネスにおける契約者勘定の内訳は次のとおりです。
項目2019年3月31日2020年3月31日
金額(百万円)金額(百万円)
ユニバーサル保険2,104,6462,611,577
投資契約816,903885,690
その他126,653145,004
合計3,048,2023,642,271

(5) 変額年金保険契約及び変額保険契約における最低保証
変額年金保険契約及び変額保険契約に関して、ソニーは最低保証(死亡、年金原資など)を行っており、契約上定められた最低給付額を保険契約者に支払う義務を負っています。最低保証が付帯する変額年金保険契約には公正価値オプションを適用しています。詳細については注記14に記載しています。公正価値オプションを適用している部分を除き、当該最低保証給付に係る保険契約債務は、契約の存続期間全体の予想される超過支払いの現在価値を予想される総徴収の現在価値で除した比率に基づいて計算しています。当該計算の重要な前提条件には、死亡率、解約率、割引率及び資産運用利回りが含まれています。また、2019年3月31日現在及び2020年3月31日現在における保険種類別の契約者勘定、正味危険保険金相当額、最低保証給付に対する保険契約債務及び平均到達年齢は次の通りです。
項目2019年3月31日
金額(百万円)
変額年金保険変額保険合計
契約者勘定-1,092,5591,092,559
正味危険保険金相当額-4,334,2244,334,224
最低保証給付に対する
保険契約債務
-63,42363,423

項目2019年3月31日
変額年金保険変額保険
平均到達年齢(歳)-44

項目2020年3月31日
金額(百万円)
変額年金保険変額保険合計
契約者勘定464,0931,096,9351,561,028
正味危険保険金相当額71,6854,564,2144,635,899
最低保証給付に対する
保険契約債務
64,04579,860143,905

項目2020年3月31日
変額年金保険変額保険
平均到達年齢(歳)6045

12 短期借入金及び長期借入債務
短期借入金の内訳は次のとおりです。
項目2019年3月31日2020年3月31日
金額
(百万円)
摘要金額
(百万円)
摘要
無担保借入金55,186加重平均利率:年2.52%91,725加重平均利率:年0.86%
債券貸借取引受入担保金432,820加重平均利率:年0.56%567,194加重平均利率:年0.93%
担保付コールマネー130,612加重平均利率:年0.18%151,257加重平均利率:年0.13%
短期借入金合計618,618810,176

2020年3月31日現在、簿価474,644百万円の有価証券及び投資有価証券が、国内の金融子会社の短期の債券貸借取引567,194百万円に対する担保として設定されています。この取引は、契約の解除による清算に該当する場合、純額決済することができます。
2020年3月31日現在、簿価42,576百万円の有価証券及び投資有価証券が、国内の金融子会社のコールマネー151,257百万円に対する担保として設定されています。
上記の他、国内の金融子会社において為替決済、デリバティブ等の取引の担保として簿価12,445百万円の有価証券及び投資有価証券を差し入れています。
長期借入債務の内訳は次のとおりです。
項目2019年3月31日2020年3月31日
金額
(百万円)
摘要金額
(百万円)
摘要
無担保借入金
(借入先:主として銀行)
57,321利率:年0.01%から7.89%まで
返済期限:2019年から2024年まで
17,880利率:年0.01%から5.10%まで
返済期限:2020年から2029年まで
無担保社債69,964利率:年0.05%
満期:2019年
-
無担保社債50,000利率:年2.07%
満期:2019年
-
無担保社債89,819利率:年0.23%
満期:2021年
89,894利率:年0.23%
満期:2021年
無担保社債10,000利率:年0.11%
満期:2022年
10,000利率:年0.11%
満期:2022年
無担保社債10,000利率:年1.41%
満期:2022年
10,000利率:年1.41%
満期:2022年
無担保社債15,000利率:年0.28%
満期:2023年
15,000利率:年0.28%
満期:2023年
無担保社債-29,886利率:年0.13%
満期:2024年
無担保社債10,000利率:年0.22%
満期:2025年
10,000利率:年0.22%
満期:2025年
無担保社債24,911利率:年0.42%
満期:2026年
24,923利率:年0.42%
満期:2026年
無担保社債-10,000利率:年0.18%
満期:2026年
無担保社債-59,738利率:年0.30%
満期:2029年

項目2019年3月31日2020年3月31日
金額
(百万円)
摘要金額
(百万円)
摘要
無担保転換社債型
新株予約権付社債
119,961利率:ゼロクーポン
満期:2022年 期限前償還可能
転換価額:5,008円
119,531利率:ゼロクーポン
満期:2022年 期限前償還可能
転換価額:4,996円
担保付借入金200,003利率:年0.00%
満期:2020年から2023年まで
201,205利率:年0.00%
満期:2020年から2023年まで
ファイナンス・リース債務等 *72,991利率:年0.36%から9.14%まで
支払期間:2019年から2048年まで
56,350利率:年0.01%から12.59%まで
支払期間:2020年から2050年まで
預り保証金10,86310,366
小計740,833664,773
控除:1年以内に返済期限の到来する額172,46129,807
長期借入債務合計568,372634,966

(注)* ファイナンス・リース債務等は2018年度においてキャピタル・リース未払金等として表示していました。
2020年3月31日現在、簿価52,942百万円の有価証券及び投資有価証券と簿価378,241百万円の銀行ビジネスにおける住宅ローンが、国内の金融子会社の長期借入金200,000百万円に対する担保として設定されています。
2015年7月21日、ソニーは、発行価額120,000百万円、2022年満期の130%コールオプション条項付無担保転換社債型新株予約権付社債(ゼロクーポン)(以下「本社債」)を発行しました。本社債の新株予約権の行使期間は、2015年9月1日から2022年9月28日までであり、当初の転換価額は5,008円です。標準的な希薄化防止条項とは別に、合併や会社分割などの組織再編や上場廃止等による繰上償還が行われる前の一定期間に転換価額は減額されます。減額される金額は、転換価額減額開始日及び本社債の要項に定める当社普通株式の参照株価に応じて、一定の方式にしたがって決定されます。減額された後の転換価額の上限は5,008円、下限は3,526.5円です。転換価額は、各事業年度の1株当たり配当額が25円を上回る場合にも調整されます。2020年3月期の1株当たり配当額が25円を上回り45円となったため、2020年6月10日以降、転換価額は1株当たり4,982.5円に調整されました。ソニーは、株式会社東京証券取引所における当社普通株式の終値が、20連続取引日にわたり当該各取引日に適用のある転換価額の130%以上であった場合、その選択により、2020年7月21日以降、残存する本社債の全部を額面金額の100%で繰上償還する権利を有します。本社債は、組込デリバティブの分離会計を必要とされていません。本社債には、重大な不利益を及ぼす財務制限条項は存在しません。
2019年10月に、ソニーは総額100,000百万円の無担保普通社債を発行し、調達資金はすべて債務返済に充当しました。
また、その他の短期借入金及び長期借入債務に、重大な不利益を及ぼす財務制限条項やクロスデフォルト条項は存在しません。
長期借入債務の各年度の返済予定額は次のとおりです。
年度2020年3月31日
金額(百万円)
2020年度29,807
2021年度159,102
2022年度229,617
2023年度81,041
2024年度43,923
2025年度以降121,283
合計664,773

2020年3月31日現在、ソニーの未使用コミットメントラインは518,147百万円であり、契約している金融機関から通常180日を超えない期間で借入れることができます。さらにソニーは1,044,150百万円のコマーシャルペーパー・プログラムを設定しています。このプログラムにより、ソニーは通常270日を超えない期間でコマーシャルペーパーを発行することができます。
13 銀行ビジネスにおける住宅ローン及び顧客預金
(1) 銀行ビジネスにおける住宅ローン
ソニーは通常の事業を通じて金融債権を取得し、また保有しています。ソニーが保有する金融債権の大部分は銀行ビジネスにおける住宅ローンによって構成され、その他個別に重要性のある金融債権はありません。
銀行ビジネスに含まれる子会社は、債務者ごとに資金状況や延滞状況に応じた区分にもとづき、住宅ローンの信用状況をモニタリングしています。債務者の延滞状況は日常的に確認し、区分については四半期ごとに見直しています。
住宅ローンに対応する貸倒引当金は、上述の区分と担保の状況に応じて設定されています。銀行ビジネスにおける住宅ローン残高及びこれに対応する貸倒引当金の残高は、2019年3月31日現在でそれぞれ1,685,504百万円及び829百万円、2020年3月31日現在でそれぞれ1,927,054百万円及び780百万円です。2018年度及び2019年度において、銀行ビジネスにおける住宅ローンの償却及び貸倒引当金の変動で、重要なものはありません。
また、2019年3月31日及び2020年3月31日現在、銀行ビジネスにおける住宅ローンのうち、未収利息の計上を行っていない債権及び延滞が発生している債権で、重要なものはありません。
(2) 銀行ビジネスにおける顧客預金
金融分野に含まれる銀行ビジネスにおける顧客預金は、その全額が利付預金です。2019年3月31日及び2020年3月31日現在、契約額が10百万円以上の定期預金の残高は、それぞれ292,968百万円及び306,449百万円です。これらの顧客預金は主に満期日以前に引き出し可能なため、流動負債に分類されています。
2020年3月31日現在の残存期間が1年を超える定期預金残高は次のとおりです。
年度2020年3月31日
金額(百万円)
2021年度39,145
2022年度16,102
2023年度10,513
2024年度3,238
2025年度2,190
2026年度以降12,823
残存期間が1年を超える定期預金残高合計84,011

14 公正価値による測定
注記3に記載のとおり、公正価値による測定に関する会計基準にもとづき、ソニーが保有する資産及び負債は下記のとおり区分され、会計処理されています。
(1) 継続的に公正価値測定されている資産・負債
ソニーが各金融商品の公正価値測定に利用している評価手法、それが通常どの公正価値のレベルに分類されているかは以下のとおりです。
負債証券、持分証券、及びその他の投資
活発な市場における取引価格が利用可能である場合、有価証券の公正価値の階層はレベル1に分類されます。レベル1の有価証券には、上場持分証券が含まれています。取引価格を利用できないもしくは市場が活発でない有価証券については、価格モデル、類似の特徴をもつ有価証券の取引価格あるいは割引キャッシュ・フローモデルを使用して公正価値を見積もり、主にレベル2に分類されます。レベル2の有価証券には、公社債の大部分など、上場されている金融商品ほどには活発に取引されていない取引価格により評価された負債証券が含まれています。取引量が少ないもしくは評価に使用する基礎データの観察可能性が低い有価証券については、レベル3に分類しています。レベル3の有価証券には、主に、レベル1・レベル2に分類されなかった証券化商品、複合金融商品、プライベートエクイティ投資、及び国内外の社債が含まれています。
デリバティブ
上場されているデリバティブで、その取引価格を使用して公正価値が測定されているデリバティブは、レベル1に分類されます。しかしながら、上場されているデリバティブ契約は少数であり、ソニーが保有するデリバティブの多くは、容易に観察可能な市場パラメータを評価の基礎として利用したソニー内部のモデルによる評価を行っています。利用しているパラメータには、活発に価格が形成されているものや、価格情報提供業者のような外部業者から入手したものが含まれています。デリバティブの種類や契約条項に応じて、ブラック・ショールズ・オプション・プライシング・モデル等の評価手法により公正価値を測定するとともに、その手法を継続的に適用しています。ソニーは、開発後一定期間を経過しているようなデリバティブ商品について、金融業界において広く受け容れられている評価モデルを使用しています。これらのモデルは、満期までの期間を含むデリバティブ契約の条項や、金利、ボラティリティ、取引相手の信用格付け等の市場で観察されるパラメータを使用しています。さらに、これらのモデルの多くは、その評価方法に重要な判断を必要としないものであり、モデルで使用している基礎データ自体も活発な価格付けが行われる市場で容易に観察可能なものであるため、主観性の高いものではありません。これらの手法で評価されている金融商品は、通常、レベル2に分類されています。
ソニーは、金利スワップの公正価値を決定するにあたり、市場において観察可能で、該当する金融商品の期間に対応する金利のイールドカーブを使用した将来見積キャッシュ・フローの現在価値を使用しています。ソニーは、外国為替のデリバティブについて、直物相場、時間価値及びボラティリティ等、市場で観察可能な基礎データを利用した先物為替予約や通貨オプションの評価モデルを使用しています。これらのデリバティブは、そのデリバティブ資産・負債の公正価値の測定に際して、主に観察可能な基礎データを使用しているため、レベル2に分類されています。
保険契約債務及び生命保険ビジネスにおける契約者勘定
ソニーは、公正価値オプションを適用した保険契約債務及び生命保険ビジネスにおける契約者勘定の公正価値を決定するにあたり、死亡率、解約率、割引率、資産運用利回り及びその他の保険数理上の前提条件を使用した将来見積キャッシュ・フローの現在価値を使用しています。主に観察可能な基礎データを使用しており、レベル3に分類されています。
変額年金保険契約の最低保証給付にともなう保険契約債務の公正価値の算定にあたって、死亡率(0.004%~44.865%)、解約率(1.000%~7.500%)、及び割引率(△0.061%~1.433%)を重要な観察不能な基礎データとして使用しております。主要な最低保証給付である最低年金原資保証の公正価値は、一般的に、死亡率、解約率、又は割引率が上昇した場合には低下します。
2019年3月31日及び2020年3月31日現在、ソニーにおいて継続的に公正価値で測定されている資産・負債の公正価値は、次のとおりです。
項目2019年3月31日
金額(百万円)
レベル1レベル2レベル3合計連結貸借対照表計上科目
有価証券投資有価証券その他その他の
流動資産
その他の
資産
資産
負債証券
売買目的有価証券22,105212,012-234,117234,117---
売却可能証券
日本国債-1,643,589-1,643,58918,7191,624,870--
日本地方債-67,497-67,4977,76859,729--
日本社債-219,388-219,38811,472207,916--
外国国債*1-161,495-161,4953,984157,511--
外国社債*2-338,16322,704360,86790,801270,066--
証券化商品*3-25,029165,083190,112-190,112--
その他-4,688-4,688-4,688--
持分証券1,037,100135,794-1,172,894951,390221,504--
その他の投資*45,4891,5076,91813,914-13,914--
デリバティブ資産*544410,042-10,486--9,4311,055
資産合計1,065,1382,819,204194,7054,079,0471,318,2512,750,3109,4311,055
連結貸借対照表計上科目
項目レベル1レベル2レベル3合計保険
契約債務
生命保険ビジネスにおける契約者勘定流動負債
その他
固定負債
その他
負債
デリバティブ負債*513632,686-32,822--19,85212,970
負債合計13632,686-32,822--19,85212,970

項目2020年3月31日
金額(百万円)
レベル1レベル2レベル3合計連結貸借対照表計上科目
有価証券投資有価証券その他その他の
流動資産
その他の
資産
資産
負債証券
売買目的有価証券24,330245,790-270,120270,120---
売却可能証券
日本国債-1,761,929-1,761,92910,0111,751,918--
日本地方債-69,172-69,17215,33453,838--
日本社債-220,67930220,70914,774205,935--
外国国債*1-279,777-279,7772,690277,087--
外国社債*2-343,98015,770359,75094,156265,594--
証券化商品*3-33,383171,840205,223-205,223--
その他-4,15212,10116,253-16,253--
持分証券950,744581,642-1,532,3861,434,61297,774--
その他の投資*47,1628169,24217,220-17,220--
デリバティブ資産*51,31041,073-42,383--40,7841,599
資産合計983,5463,582,393208,9834,774,9221,841,6972,890,84240,7841,599
項目連結貸借対照表計上科目
レベル1レベル2レベル3合計保険
契約債務
生命保険ビジネスにおける契約者勘定流動負債
その他
固定負債
その他
負債
保険契約債務及び生命保険ビジネスにおける契約者勘定*6--532,191532,19164,045468,146--
デリバティブ負債*52,07733,789-35,866--16,81419,052
負債合計2,07733,789532,191568,05764,045468,14616,81419,052

(注)*1 公正価値オプションを適用しているレベル2の外貨建有価証券が、2019年3月31日現在及び2020年3月31日
現在において、それぞれ4,910百万円及び7,771百万円含まれています。これらは連結貸借対照表上、2020年
3月31日現在において有価証券に2,386百万円、2019年3月31日現在及び2020年3月31日現在において、投資
有価証券その他に4,910百万円及び5,385百万円、それぞれ計上されています。
*2 公正価値オプションを適用しているレベル2の外貨建有価証券が、2019年3月31日現在及び2020年3月31日
現在において、それぞれ173,964百万円及び188,426百万円含まれています。これらは連結貸借対照表上、
2019年3月31日現在及び2020年3月31日現在において、有価証券に33,391百万円及び34,502百万円、投資有
価証券その他に140,573百万円及び153,924百万円、それぞれ計上されています。
*3 公正価値オプションを適用しているレベル2及びレベル3の外貨建有価証券が、2019年3月31日現在及び
2020年3月31日現在において185,195百万円及び193,430百万円含まれています。これらは連結貸借対照表上、投資有価証券その他に計上されています。
*4 その他の投資には、複合金融商品やプライベートエクイティ投資が含まれています。
*5 デリバティブ資産・負債は総額で認識及び開示されています。
*6 保険契約債務及び生命保険ビジネスにおける契約者勘定は、公正価値オプションを適用しているものです。
7 公正価値オプション適用にともなう損益は、連結損益計算書上、金融ビジネス収入及び金融ビジネス費用に含まれ、2018年度において85百万円の収入、2019年度において12,408百万円の費用が計上されています。
一部の売買目的有価証券に区分される負債証券及び持分証券は活発な市場における取引価格が利用可能になったため、レベル1へ移動しました。2018年度及び2019年度の移動額はそれぞれ1,769百万円及び4,395百万円です。また、一部の売買目的有価証券は活発な市場における取引価格が利用できなくなったため、レベル1から移動しました。2018年度及び2019年度の移動額はそれぞれ2,508百万円及び3,216百万円です。
2018年度及び2019年度におけるレベル3に分類されている資産・負債の公正価値の変動は、次のとおりです。
2018年度
金額(百万円)
資産負債
項目負債証券その他の
投資
保険契約債務及び生命保険ビジネスに
おける契約者勘定
売却可能証券
日本社債外国社債証券化商品その他
期首残高-27,87883,614-9,104-
実現及び未実現損益
損益に含まれる金額*1-465562-276-
その他の包括利益(損失)に含まれる金額*2-1311---
購入又は発行-5,78794,696-4-
売却----△6-
償還又は決済-△10,435△13,601-△2,460-
レベル3への移動*3-20,8635,284---
レベル3からの移動*4-△21,985△5,473---
期末残高-22,704165,083-6,918-
損益に含まれる金額のうち、年度末に保有する資産・負債の未実現利益(損失)*1-219510-441-

2019年度
金額(百万円)
資産負債
項目負債証券その他の
投資
保険契約債務及び生命保険ビジネスに
おける契約者勘定
売却可能証券
日本社債外国社債証券化商品その他
期首残高-22,704165,083-6,918-
ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱及びSA Reinsurance Ltd.の取得*5-----547,190
実現及び未実現損益
損益に含まれる金額*1-311△18,151-△50012,500
その他の包括利益(損失)に含まれる金額*2-△731--3,032
購入又は発行3013,59740,17512,1014,7115,295
売却----△9-
償還又は決済-△20,867△12,967-△1,878△4,762
レベル3への移動*3-3,374----
レベル3からの移動*4-△3,276△2,301---
期末残高3015,770171,84012,1019,242532,191
損益に含まれる金額のうち、年度末に保有する資産・負債の未実現利益(損失)*1-△94△16,507-△37610,273

(注)*1 連結損益計算書上、金融ビジネス収入又は金融ビジネス費用に含まれています。
*2 連結包括利益計算書上、売却可能証券については未実現有価証券評価益(純額)、保険契約債務及び生命保
険ビジネスにおける契約者勘定については金融負債評価調整額に含まれています。
*3 証券業者から入手した指標価格にもとづく公正価値と内部で組成した価格との間に重要な乖離が生じ、また
基礎データの観察可能性が低下したため、一部の社債及び証券化商品がレベル3へ移動しました。
*4 観察可能な市場データが利用可能となったため、一部の社債及び証券化商品がレベル3から移動しました。
*5 注記25参照。
レベル3の資産には、証券化商品、プライベートエクイティ投資及び市場における取引価格が利用できず、基礎データの観察可能性が低い国内外の社債が含まれています。その公正価値を測定するにあたり、ソニーは主に証券業者から得た指標価格等の第三者の価格に調整を加えることなく使用しています。レベル3の負債には、基礎数値が観察不能な保険契約債務及び生命保険ビジネスにおける契約者勘定が含まれており、自社で算定した価格を使用しております。ソニーは、その公正価値の検証のため、主として市場参加者が公正価値の測定に通常使用すると想定される仮定を用いてマネジメントが行う重要な判断や見積りを含む内部の価格モデルを使用しています。
(2) 非継続的に公正価値測定されている資産・負債
ソニーは特定の事象が生じた場合に非継続的に公正価値測定される資産及び負債を保有しています。
2018年度及び2019年度において公正価値で測定されている資産・負債は、次のとおりです。
項目2018年度
金額(百万円)
見積公正価値損益
レベル1レベル2レベル3計上額
資産
長期性資産の減損--4,389△44,135
営業権の減損--0△5,107
△49,242

項目2019年度
金額(百万円)
見積公正価値損益
レベル1レベル2レベル3計上額
資産
SRE残余持分の再評価15,911--13,347
長期性資産の減損--8,155△36,003
△22,656

長期性資産の減損
2018年度及び2019年度において、ソニーはEP&S分野でスマートフォン事業資産グループの減損損失をそれぞれ19,172百万円及び12,714百万円計上しました。スマートフォン事業資産グループでは、スマートフォンの販売状況及び予測される引き続き厳しい事業環境を、当該資産グループに関連する長期性資産に対応する将来見積キャッシュ・フローに反映させた結果、減損損失の計上が必要になりました。
2018年度において、ソニーはその他分野に含まれるストレージメディア事業資産グループの減損損失を12,858百万円計上しました。ソニーは事業及び市場トレンドを踏まえた戦略的見直しを行った結果、長期性資産及び営業権の計上金額の全額を回収する十分な将来キャッシュ・フローが得られないと判断したため、減損損失を計上しました。
公正価値の測定にあたって考慮された、資産の状況、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来見積キャッシュ・フロー固有のリスクを考慮した割引率といった重要な基礎データは観察不能であるため、当該公正価値測定はレベル3に分類されています。2018年度において、スマートフォン事業の長期性資産の公正価値測定は、8.5%の割引率及び△26%から24%の見積収益成長率が使用されています。2019年度において、スマートフォン事業の長期性資産の公正価値測定は、10.6%の割引率及び△10%から70%の見積収益成長率が使用されています。また、ストレージメディア事業の長期性資産及び営業権の公正価値測定は、8.9%の割引率及び△34%から21%の見積収益成長率が使用されています。
上記に記載するものを除き、2019年度において計上されている減損損失の中には個々に重要な項目はありません。その他の減損損失は主に映画分野に含まれるメディアネットワークの複数資産グループにおけるチャンネルポートフォリオ見直しによるものです。
EMIの資本持分の再評価
注記25に記載のとおり、2018年度において、ソニーはEMIの取得にともなって、過年度より所有しているEMIの資本持分を再評価しました。将来キャッシュ・フローの予測及び類似取引や企業の市場比較といった重要な基礎データは観察不能であるため、当該公正価値評価はレベル3に分類されています。
SREホールディングス株式会社株式の再評価
注記6に記載のとおり、2019年度において、当社が保有するSREホールディングス株式会社(以下「SRE」)株式の一部売出し及びSREによる株式の新規発行が行われました。ソニーは、かかる売出し以降も当社が継続して保有するSRE株式を再評価しました。SRE株式の取引価格は東京証券取引所で利用可能であるため、当該株式の公正価値評価はレベル1に分類されています。
ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱及びSA Reinsurance Ltd.の資本持分の再評価
注記25に記載のとおり、2019年度において、ソニーはソニーライフ・エイゴン生命保険㈱及びSA Reinsurance Ltd.(以下あわせて「両合弁会社」)の子会社化にともなって、過年度より所有している両合弁会社の資本持分を再評価しました。将来キャッシュ・フローの予測及び類似取引や企業の市場比較といった重要な基礎データは観察不能であるため、当該公正価値評価はレベル3に分類されています。なお、ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱は2020年4月1日付で、商号を「ソニーライフ・ウィズ生命保険株式会社」に変更しています。
(3) 金融商品
公正価値で計上されない金融商品のレベル別見積公正価値は次のとおりです。
項目2019年3月31日
金額(百万円)
見積公正価値簿価
レベル1レベル2レベル3合計合計
資産
銀行ビジネスにおける住宅ローン-1,861,384-1,861,3841,685,504
資産合計-1,861,384-1,861,3841,685,504
負債
長期借入債務(1年以内に返済期限の到来する長期借入債務を含む)-737,529-737,529740,833
生命保険ビジネスにおける契約者勘定に含まれる投資契約-877,157-877,157816,903
負債合計-1,614,686-1,614,6861,557,736

項目2020年3月31日
金額(百万円)
見積公正価値簿価
レベル1レベル2レベル3合計合計
資産
銀行ビジネスにおける住宅ローン-2,161,432-2,161,4321,927,054
資産合計-2,161,432-2,161,4321,927,054
負債
長期借入債務(1年以内に返済期限の到来する長期借入債務を含む)-699,358-699,358664,773
生命保険ビジネスにおける契約者勘定に含まれる投資契約-969,464-969,464885,690
負債合計-1,668,822-1,668,8221,550,463

現金・預金及び現金同等物、コールローン、定期預金、受取手形及び売掛金、コールマネー、短期借入金、支払手形及び買掛金、及び銀行ビジネスにおける顧客預金は主として短期取引であり、おおむね公正価値で計上されているため、上記の表から除かれています。また、注記8に記載されている満期保有目的証券についても上記の表から除かれています。
現金・預金及び現金同等物、コールローン及びコールマネーはレベル1に分類されます。定期預金、短期借入金及び銀行ビジネスにおける顧客預金は、レベル2に分類されます。連結貸借対照表の有価証券及び投資有価証券その他に含まれる満期保有目的証券は、公社債の大部分など、上場されている金融商品ほどには活発に取引されていない取引価格により評価された負債証券が含まれ、主にレベル2に分類されます。
連結貸借対照表の投資有価証券その他に含まれる銀行ビジネスにおける住宅ローンの公正価値は、将来キャッシュ・フローを見積もり、LIBORベースのイールドカーブに一定のリスクプレミアムを加味した割引率で割り引いて算定しています。1年以内返済予定分を含む長期借入債務及び生命保険ビジネスにおける契約者勘定に含まれる投資契約の公正価値は、市場価値又は類似した負債をソニーが新たに借入れる場合に適用される利子率を使って、将来の返済額を現在価値に割引いた金額で見積もられています。
15 デリバティブ及びヘッジ活動
ソニーは通常の事業において取得した、金融資産・負債を含む金融商品を所有しています。これらの金融商品は為替変動及び金利変動に起因する市場リスクにさらされています。これらのリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針にしたがい、先物為替予約、通貨オプション契約、金利スワップ契約(金利通貨スワップ契約を含む)を含むデリバティブを利用しています。金融分野においては、資産負債の総合管理(以下「ALM」)の一環として、その他のデリバティブも利用しています。これらのデリバティブは信用度の高い金融機関との間で取引されており、ほとんどの外国為替にかかる契約は米ドル、ユーロ及びその他の主要国の通貨で構成されています。これらのデリバティブは主として貸借対照表日より6ヵ月以内に決済日もしくは行使日を迎えるものです。金融分野においてALMの一環として利用されている一部のデリバティブを除き、ソニーは、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。金融分野においてALMの一環として利用されているデリバティブ取引は、あらかじめ定めたリスク管理方針にしたがい、一定の極度の範囲内で行われています。
ソニーが保有するデリバティブは下記のとおり区分され、会計処理されています。
公正価値ヘッジ
公正価値ヘッジとして指定されたデリバティブ及びそのヘッジ対象はともに公正価値で連結貸借対照表に計上されています。また、公正価値ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は損益に計上され、ヘッジ対象の簿価変動による損益を相殺しています。
2018年度及び2019年度において、公正価値ヘッジの有効性評価から除外された金額はありません。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は、当初その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時点で損益に振替えられています。オプション契約の公正価値に含まれる時間的価値部分は、ヘッジの有効性の評価から除外され、ヘッジ手段の契約期間にわたって定額で費用に認識されます。時間的価値部分の公正価値の変動と定額で費用に認識された金額の累計との差額は、その他の包括利益に認識されます。
ヘッジとして指定されていないデリバティブ
ヘッジとして指定されていないデリバティブの公正価値変動は、直ちに損益に計上されています。
ソニーが保有するデリバティブの利用目的及び区分は下記のとおりです。
先物為替予約及び通貨オプション契約
ソニーは主として、外貨建て取引及び外貨建て売上債権・買入債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するため、先物為替予約、買建て通貨オプション契約及び売建て通貨オプション契約を利用しています。なお、売建て通貨オプション契約は主に、買建て通貨オプション契約との組み合わせオプションとして行われており、対応する買建て通貨オプション契約と同月内に行使日を迎えるものです。
また、ソニーは一部の外貨建ての売上及び仕入にかかる予定取引から生じるキャッシュ・フローを固定するため、2018年度及び2019年度において先物為替予約及び売建て通貨オプション契約と買建て通貨オプション契約との組み合わせオプションを利用しました。これらのデリバティブは、キャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段として指定されました。
一方、ヘッジとして指定されていないその他の先物為替予約及び通貨オプション契約の公正価値変動は、その他の収益・費用として直ちに損益に計上されています。
なお、一部の金融子会社が保有する先物為替予約、通貨オプション契約及び通貨スワップ契約の公正価値変動は、金融ビジネス収入として直ちに損益に計上されています。
金利スワップ契約(金利通貨スワップ契約を含む)
金利スワップ契約は、主に資金調達コストの引き下げ、資金調達手段の多様化、金利及び外国為替レートの不利な変動ならびに公正価値変動がもたらす借入債務及び売却可能負債証券にかかるリスクを軽減するために利用されています。
金融分野で締結している一部の金利スワップ契約は、固定金利付き売却可能負債証券の公正価値変動に起因するリスクを軽減するために利用されています。これらのデリバティブは、金融分野の固定金利付き売却可能負債証券にかかる公正価値変動リスクに対するヘッジとしてみなされることから、公正価値ヘッジのヘッジ手段として指定されています。
一部の金融子会社がALMの一環として保有する金利スワップ契約の公正価値変動は、金融ビジネス収入として直ちに損益に計上されています。
上記以外のヘッジとして指定されていない金利スワップ契約は、変動金利付き借入債務の金利変動に起因するリスク軽減のために利用されており、その公正価値変動は、その他の収益・費用として直ちに損益に計上されています。
その他の契約
一部の金融子会社がALMの一環として保有する株式先物契約、エクイティスワップ契約、債券先物契約、コモディティ先物契約、金利スワップション契約、その他の外国為替契約及び複合金融商品の公正価値変動は、金融ビジネス収入として直ちに損益に計上されています。
組込デリバティブをともなう複合金融商品は、組込デリバティブを分離せず、複合金融商品全体として公正価値で評価しています。複合金融商品は、負債証券として注記8に記載されています。
ソニーの保有するデリバティブの公正価値は次のとおりです。
ヘッジとして指定された科目公正価値(百万円)科目公正価値(百万円)
デリバティブ2019年2020年2019年2020年
デリバティブ資産3月31日3月31日デリバティブ負債3月31日3月31日
金利契約前払費用及び
その他の流動資産
109流動負債 その他141183
金利契約その他の資産 その他10127固定負債 その他8,2748,177
外国為替契約前払費用及び
その他の流動資産
1311,799流動負債 その他42-
2421,8358,4578,360
ヘッジとして指定されて科目公正価値(百万円)科目公正価値(百万円)
いないデリバティブ2019年2020年2019年2020年
デリバティブ資産3月31日3月31日デリバティブ負債3月31日3月31日
金利契約前払費用及び
その他の流動資産
3944流動負債 その他344200
金利契約その他の資産 その他8821,523固定負債 その他3,6379,120
外国為替契約前払費用及び
その他の流動資産
8,80719,655流動負債 その他11,54914,580
外国為替契約その他の資産 その他7249固定負債 その他1,0591,755
株式契約前払費用及び
その他の流動資産
44418,886流動負債 その他7,7761,476
債券契約前払費用及び
その他の流動資産
-306流動負債 その他-290
コモディティ契約前払費用及び
その他の流動資産
-85流動負債 その他-85
10,24440,54824,36527,506
デリバティブ合計10,48642,38332,82235,866

2018年度及び2019年度における、デリバティブの連結損益計算書及び連結包括利益計算書への影響額は次のとおりです。
公正価値ヘッジとして指定された科目損益に計上された金額(百万円)
デリバティブ2018年度2019年度
金利契約金融ビジネス収入△1,835△3,925
△1,835△3,925

キャッシュ・フロー・ヘッジとして影響を受ける
連結損益計算書の項目
2018年度2019年度
指定されたデリバティブ
未実現デリバティブ評価損益として
その他の包括利益に計上された金額
(税効果考慮前)(百万円)
外国為替契約
有効性評価に含まれる部分-2,3151,712
有効性評価から除外された部分(償却部分)--1,087
2,3152,799
累積その他の包括利益における
未実現デリバティブ評価損益からの
組替額
(税効果考慮前)(百万円)
外国為替契約
有効性評価に含まれる部分売上原価△1,093-
有効性評価に含まれる部分純売上高-106
有効性評価から除外された部分(償却部分)純売上高-△1,087
△1,093△981

ヘッジとして指定されて
いないデリバティブ
科目損益に計上された金額(百万円)
2018年度2019年度
金利契約金融ビジネス収入△3,1921,190
外国為替契約金融ビジネス収入△8,1982,473
外国為替契約為替差損(純額)△7,43710,184
株式契約金融ビジネス収入△7,64915,438
債券契約金融ビジネス収入-△2,954
コモディティ契約金融ビジネス収入-110
△26,47626,441

2019年度における、公正価値ヘッジとして指定されたデリバティブのヘッジ対象である売却可能負債証券の償却原価及び公正価値ヘッジ調整累計額は次のとおりです。
公正価値ヘッジとして指定された
デリバティブ
科目ヘッジ対象の償却原価
(百万円)
公正価値ヘッジ
調整累計額
(百万円)
金利契約有価証券15,255-
金利契約投資有価証券その他91,080-
106,335-

デリバティブの種類別の想定元本を含む追加情報は次のとおりです。
種類2019年3月31日2020年3月31日
想定元本
(百万円)
公正価値
(百万円)
想定元本
(百万円)
公正価値
(百万円)
外国為替契約
先物為替予約701,880△304740,4644,361
買建て通貨オプション53,8461794737
売建て通貨オプション58,825△35460△5
通貨スワップ契約959,777△5,564893,874△1,006
その他の外国為替契約68,5132,08462,0801,811
金利契約
金利スワップ契約339,934△11,346994,133△16,019
金利スワップション契約5,300△1818,700△58
株式契約
株式先物契約58,72530863,354△871
エクイティスワップ契約63,107△7,640103,40918,281
債券契約
債券先物契約--56,54616
コモディティ契約
コモディティ先物契約--1,4650

全てのデリバティブは連結貸借対照表上、資産又は負債として総額計上されていますが、一部の子会社は国際スワップデリバティブ協会(以下「ISDA」)マスター契約を中心としたマスターネッティング契約又は類似の契約を結んでいます。ISDAマスター契約は、複数のデリバティブ契約を結んでいる二者間の契約で、一方当事者について期限の利益喪失事由又は解約事由が発生した場合、これらのデリバティブ契約の中で対象となる契約について解約時の価額を算出し、両当事者間の決済を単一の通貨にて単一の純額決済で行うことができます。
2019年3月31日及び2020年3月31日時点でのデリバティブ資産、デリバティブ負債、金融資産及び金融負債の相殺の影響は次のとおりです。
項目2019年3月31日
連結貸借対照表上総額で表示された金額(百万円)連結貸借対照表上相殺されていないマスターネッティング契約にかかる金額純額
(百万円)
金融商品
(百万円)
現金担保
(百万円)
デリバティブ資産
マスターネッティング契約の対象となるデリバティブ6,8553,4421363,277
マスターネッティング契約の対象とならないデリバティブ3,6313,631
10,4863,4421366,908
デリバティブ負債
マスターネッティング契約の対象となるデリバティブ25,8723,97020,1911,711
マスターネッティング契約の対象とならないデリバティブ6,9506,950
債券貸借取引受入担保金432,820432,820--
465,642436,79020,1918,661

項目2020年3月31日
連結貸借対照表上総額で表示された金額(百万円)連結貸借対照表上相殺されていないマスターネッティング契約にかかる金額純額
(百万円)
金融商品
(百万円)
現金担保
(百万円)
デリバティブ資産
マスターネッティング契約の対象となるデリバティブ38,28112,61420,5455,122
マスターネッティング契約の対象とならないデリバティブ4,1024,102
42,38312,61420,5459,224
デリバティブ負債
マスターネッティング契約の対象となるデリバティブ31,8967,08623,873937
マスターネッティング契約の対象とならないデリバティブ3,9703,970
債券貸借取引受入担保金567,194564,874-2,320
603,060571,96023,8737,227

16 年金及び退職金制度
(1) 確定給付制度及び退職金制度
当社及び国内子会社の従業員は、通常、退職時に以下のような退職一時金又は年金の受給資格を付与されます。当社及び一部の子会社では、1年間の従業員個別の貢献を反映したポイントが毎年加算されるポイント制度を採用しています。このポイント制度のもとでは自己都合退職、会社都合退職にかかわらず、過去の勤務にもとづく累積ポイントと累積ポイントをベースに加算される利息ポイントの合計にもとづいて退職金支給額が計算されます。
この年金制度のもとでは、一般的には現行の退職金規則による退職金の65%がこの制度により充当されます。残りの部分については、会社が支払う退職一時金により充当されます。年金給付は退職する従業員の選択により一時払いあるいは月払いの年金として支給されます。年金基金へ拠出された資金は、関係法令にしたがい数社の金融機関により運用されています。
2012年4月1日より、当社及びほぼ全ての国内子会社は、終身年金を有期年金に変更するなどの現行年金制度の改訂を行いました。また、確定拠出年金制度を導入し、2012年4月1日以降の入社者は確定給付年金制度には加入しません。
いくつかの海外子会社は、ほぼ全従業員を対象とする確定給付年金制度あるいは退職一時金制度を有し、拠出による積立てを行うか又は引当金を計上しています。これらの制度にもとづく給付額は、主に現在の給与と勤続年数によって計算されます。
2019年10月1日より、当社及びほぼ全ての国内子会社は、確定給付年金制度の改訂を行い、制度改訂前の退職者を除き、確定拠出年金制度に全て移行しました。この結果、2019年度の連結貸借対照表上、未払退職・年金費用が74,872百万円減少し、累積その他の包括利益が81,230百万円増加しました。また、2019年度の連結損益計算書上、年金制度変更にかかる損失をその他の費用に6,358百万円計上しました。
2018年度及び2019年度の純期間退職・年金費用の内訳は次のとおりです。
純期間退職・年金費用(△収益):
項目国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2018年度2019年度2018年度2019年度
勤務費用23,12817,9482,7803,616
利息費用7,0204,16210,0839,212
年金制度資産期待運用収益△16,695△17,040△11,797△10,916
年金数理純損益の償却15,36512,9692,6562,606
過去勤務費用の償却△7,864△4,294△2692
縮小・清算による影響額-6,3581,80468
純期間退職・年金費用20,95420,1035,2574,588

2018年度及び2019年度の純期間退職・年金費用の内訳のうち、勤務費用以外の金額は、各年度の連結損益計算書のそれぞれ「Ⅴ その他の収益」及び「Ⅵ その他の費用」に含まれています。
累積その他の包括利益で認識された年金数理純損益及び過去勤務費用のうち、2020年度の純期間退職・年金費用として認識されると見込まれる償却費は、それぞれ12,185百万円及び1,412百万円です。
退職給付債務及び年金制度資産の変動、年金制度の財政状況の内訳は次のとおりです。
項目国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2019年3月31日2020年3月31日2019年3月31日2020年3月31日
退職給付債務の変動
期首退職給付債務1,010,5741,034,954356,397351,918
勤務費用23,12817,9482,7803,616
利息費用7,0204,16210,0839,212
従業員による拠出額--462487
退職給付制度改訂による影響額---10,210
年金数理純損失(△利益)29,295△3,3301,70019,776
為替相場の変動による影響額--△1,554△16,919
縮小・清算による影響額-△359,205△6,120△4,434
連結範囲の変更による影響額--1,947-
その他62--
退職給付支払額△35,069△35,668△13,777△14,055
期末退職給付債務1,034,954658,863351,918359,811
年金制度資産の変動
期首年金制度資産公正価値711,077742,204269,745274,749
年金制度資産運用損益18,7012,94215,24326,738
為替相場の変動による影響額--△838△14,904
会社による拠出額36,8757,4538,5429,916
従業員による拠出額--462487
縮小・清算による影響額-△284,333△5,960△3,146
退職給付支払にともなう払出額△24,449△31,060△12,445△12,730
期末年金制度資産公正価値742,204437,206274,749281,110
年金制度の財政状況△292,750△221,657△77,169△78,701

連結貸借対照表計上額の内訳は次のとおりです。
項目国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2019年3月31日2020年3月31日2019年3月31日2020年3月31日
固定資産3,4763,39114,74524,777
流動負債--△4,412△4,355
固定負債△296,226△225,048△87,502△99,123
連結貸借対照表に計上した純額△292,750△221,657△77,169△78,701

累積その他の包括利益で認識した金額(税効果控除前)の内訳は次のとおりです。
項目国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2019年3月31日2020年3月31日2019年3月31日2020年3月31日
過去勤務費用(△貸方)△8,859△369△4510,058
年金数理純損失311,128223,35471,90666,326
合計302,269222,98571,86176,384

全ての確定給付年金制度に関する累積給付債務は次のとおりです。
国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2019年3月31日2020年3月31日2019年3月31日2020年3月31日
1,029,910654,209336,185354,100

累積給付債務が年金制度資産公正価値を超える年金制度の予測給付債務、累積給付債務及び年金制度資産公正価値は次のとおりです。
項目国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2019年3月31日2020年3月31日2019年3月31日2020年3月31日
予測給付債務1,022,235645,544200,596230,058
累積給付債務1,017,191640,890196,928226,080
年金制度資産公正価値726,009420,497123,937130,955

2019年3月31日及び2020年3月31日現在の退職給付債務計算上の加重平均想定率は次のとおりです。
項目国内制度海外制度
2019年3月31日2020年3月31日2019年3月31日2020年3月31日
割引率0.6%0.6%2.8%2.0%
昇給率**2.3%2.2%

(注)* ほぼ全てのソニーの国内制度はポイント制度であり、ポイント制度は昇給率を計算の基礎に組み入れていません。
2018年度及び2019年度における純期間退職・年金費用計算上の加重平均想定率は次のとおりです。
項目国内制度海外制度
2018年度2019年度2018年度2019年度
割引率0.8%0.6%2.9%2.8%
年金制度資産の期待収益率2.6%2.6%4.4%4.2%
昇給率**2.6%2.3%

(注)* ほぼ全てのソニーの国内制度はポイント制度であり、ポイント制度は昇給率を計算の基礎に組み入れていません。
ソニーは、これらの想定率を状況の変化に応じて見直しています。
加重平均昇給率は給与関連制度のみを基礎として計算されています。前述のポイント制度は従業員の給与をもとに退職給付支払を行う制度ではないため、計算からは除かれています。
死亡率の見積りは将来の平均余命見込みと制度加入者の種別にもとづきます。
年金制度資産の長期期待収益率を決定するため、ソニーは、現在の及び見込みの資産配分に加え、様々な種類の年金制度資産に関する過去及び見込長期収益率も考慮しています。ソニーの年金運用方針は、退職給付債務の性質が長期的であることにより見込まれる債務の増加や変動リスク、各資産クラスの収益とリスクの分散及びその相関を考慮して定められます。各資産の配分は、慎重かつ合理的に考慮した流動性及び投資リスクの水準に沿って、収益を最大化するように設定されます。年金運用方針は、直近のマーケットのパフォーマンス及び過去の収益を適切に考慮して定められているのに対し、ソニーが使用する運用前提条件は、対応する退職給付債務の性質が長期的であるのに合わせて長期的な収益を達成できるように設定されています。
ソニーの年金制度資産における運用方針は、将来の債務支払要求を満たすことができる運用収益を生み出すように策定されています。これらの債務の正確な決済金額は、制度加入者の退職日及び平均余命を含む将来の事象に左右されます。これらの債務は、現在の経済環境及びその他の関連する要因にもとづく年金数理上の前提条件を使用して見積もられます。ソニーの投資戦略は、持分証券のような潜在的に高利回りの資産と確定利付証券のようなボラティリティの低い資産をバランスよく組み込むことで、運用収益要求とポートフォリオにおけるリスク管理の必要性とのバランスをとっています。リスクには特にインフレーション、持分証券資産価値のボラティリティ、年金積立水準に不利に影響し結果としてソニーの拠出額への依存性が増加するような金利の変動が含まれます。潜在的な年金制度資産のリスク集中を緩和するために、業種及び地域間のポートフォリオバランスを考慮しつつ、金利感度、経済成長への依存性、為替、及び運用収益に影響するその他の要因にも配慮しています。2020年3月31日における当社及び大部分の国内子会社の年金制度の政策資産配分は、資産・負債総合管理の結果として、持分証券17%、確定利付証券54%、その他の投資29%となっています。また、海外子会社の加重平均政策資産配分は、持分証券14%、確定利付証券63%、その他の投資23%となっています。
注記3に記載されている公正価値の階層にもとづく、国内及び海外制度における年金制度資産の公正価値は、以下のとおりです。
資産クラス国内制度
金額(百万円)
公正価値公正価値による測定に使用した基礎データ
2019年3月31日レベル1レベル2レベル3
現金・現金同等物10,68910,689--
持分証券:
株式 *1140,559135,7134,846-
確定利付証券:
政府債 *2210,817-210,817-
社債 *397,519-97,519-
資産担保証券 *41,537-1,537-
合同運用ファンド *5138,455-138,455-
コモディティファンド *621,674-21,674-
プライベートエクイティ *727,956--27,956
ヘッジファンド *871,606--71,606
不動産及びその他 *921,392--21,392
合計742,204146,402474,848120,954

資産クラス国内制度
金額(百万円)
公正価値公正価値による測定に使用した基礎データ
2020年3月31日レベル1レベル2レベル3
現金・現金同等物24,85124,851--
持分証券:
株式 *150,64647,3083,338-
確定利付証券:
政府債 *2107,4781,087106,391-
社債 *371,1922071,172-
資産担保証券 *41,090-1,090-
合同運用ファンド *558,740-58,740-
コモディティファンド *621,823-21,823-
プライベートエクイティ *730,191--30,191
ヘッジファンド *848,410--48,410
不動産及びその他 *922,785-△2,58625,371
合計437,20673,266259,968103,972

(注)*1 2019年3月31日及び2020年3月31日現在、国内株式を約51%及び37%、海外株式を約49%及び63%含みます。
*2 2019年3月31日及び2020年3月31日現在、国内の国債及び地方債を約48%及び36%、海外の国債及び地方債を約52%及び64%含みます。
*3 国内及び海外の社債及び政府系機関債を含みます。
*4 主に不動産担保証券を含みます。
*5 合同運用ファンドは、主に投資信託を含む合同資金による機関投資です。これらは2019年3月31日及び2020年3月31日現在、持分証券を約50%及び50%、確定利付証券を約49%及び45%、その他の投資を約1%及び5%含みます。
*6 商品先物投資のファンドです。
*7 主に米国及びヨーロッパにおけるベンチャー、バイアウト、ディストレスに投資する複数のプライベートエクイティ・ファンドオブファンズを含みます。
*8 単一のヘッジファンドに付随するリスク及びボラティリティを分散及び軽減するために、幅広いヘッジファンドに投資するファンドオブヘッジファンズを主に含みます。
*9 主に不動産私募ファンドを含みます。
資産クラス海外制度
金額(百万円)
公正価値公正価値による測定に使用した基礎データ
2019年3月31日レベル1レベル2レベル3
現金・現金同等物4,3404,340--
持分証券:
株式 *123,76623,113653-
確定利付証券:
政府債 *284,761-84,761-
社債 *332,749-32,749-
資産担保証券1,115-1,115-
保険契約 *418,308-5,81412,494
合同運用ファンド *576,503-76,503-
不動産及びその他 *633,207-11,11822,089
合計274,74927,453212,71334,583

資産クラス海外制度
金額(百万円)
公正価値公正価値による測定に使用した基礎データ
2020年3月31日レベル1レベル2レベル3
現金・現金同等物4,6324,632--
持分証券:
株式 *118,38017,762618-
確定利付証券:
政府債 *293,826-93,826-
社債 *331,769-31,769-
資産担保証券1,320-1,320-
保険契約 *419,334-7,15612,178
合同運用ファンド *578,280-78,280-
不動産及びその他 *633,569-11,27222,297
合計281,11022,394224,24134,475

(注)*1 主に海外株式を含みます。
*2 主に海外の国債及び地方債を含みます。
*3 主に海外の社債を含みます。
*4 主に年金保険契約あるいは利益分配型年金保険契約です。
*5 合同運用ファンドは、ミューチュアル・ファンド、コモン・トラスト・ファンド、及びコレクティブ・インベストメント・ファンドを含む合同資金による機関投資です。これらは主に海外の持分証券及び確定利付証券で構成されています。
*6 主に不動産私募ファンドを含みます。
それぞれの年金制度資産が分類されている公正価値の階層におけるそれぞれのレベルは、その資産の公正価値測定に用いた基礎データにもとづき決定され、必ずしもその資産の安全性又は格付けを指し示すものではありません。
国内及び海外年金制度資産の公正価値測定に使用される評価方法は以下のとおりです。2018年度及び2019年度における評価方法の変更はありません。この評価方法は通期にわたり一貫して適用されます。
株式は、その個々の株式が取引される活発な市場における終値で評価されます。これらの資産は、通常レベル1に分類されます。
確定利付証券の公正価値は、通常は、価格決定モデル、類似証券の取引価格、あるいは割引キャッシュ・フローを用いて見積もられ、通常レベル2に分類されます。
合同運用ファンドは、ファンドマネジャーから提供され、ソニーが再検討した評価額を用いて、通常は評価されます。この評価額は、そのファンドの所有する現物資産から負債を差し引き、ソニーの持分に対応した評価額にもとづいています。これらの投資は、取引価格の有無により、レベル1、レベル2、あるいはレベル3に分類されます。
コモディティファンドは、観察可能な市場データから主に算出されたあるいはそれに裏付けられる基礎データを用いて評価されます。これらの資産は通常レベル2に分類されます。
プライベートエクイティ及び不動産私募ファンドは、市場取引価格が欠如していること、元々流動性に乏しく本質的に長期保有目的の資産であることから、その評価については重要な判断が要求されます。これらの資産は当初は原価で評価され、入手可能な関連性のある市場データを利用し、それらの資産の簿価に調整が必要かどうかを決定することで定期的に見直しを行います。これらの投資はレベル3に分類されます。
ヘッジファンドは、ファンドマネジャーあるいは証券保管機関から提供され、ソニーが再検討した評価額を用いています。この評価額は、そのファンドの所有する現物資産から負債を差し引き、ソニーの持分に対応した評価額にもとづいています。これらの投資は、レベル3に分類されます。
以下の表は、2018年度及び2019年度の国内及び海外制度におけるレベル3資産の公正価値の変動を要約したものです。
国内制度
金額(百万円)
観察不能な基礎データを用いた公正価値による測定
(レベル3)
プライベート
エクイティ
ヘッジファンド不動産及び
その他
合計
期首残高
(2018年4月1日現在)
24,14470,20419,431113,779
未実現運用収益4,4286591,6226,709
購入・売却・償還(純額)△616743339466
期末残高
(2019年3月31日現在)
27,95671,60621,392120,954
未実現運用収益2,649△6484182,419
購入・売却・償還(純額)△414△22,5483,561△19,401
期末残高
(2020年3月31日現在)
30,19148,41025,371103,972

海外制度
金額(百万円)
観察不能な基礎データを用いた公正価値による測定
(レベル3)
保険契約社債不動産及び
その他
合計
期首残高
(2018年4月1日現在)
12,7295,30325,97644,008
未実現運用収益736-5591,295
購入・売却・償還(純額)△389-△3,809△4,198
レベル間の振替(純額)-△5,540123△5,417
その他 *△582237△760△1,105
期末残高
(2019年3月31日現在)
12,494-22,08934,583
未実現運用収益559-132691
購入・売却・償還(純額)△373-755382
レベル間の振替(純額)----
その他 *△502-△679△1,181
期末残高
(2020年3月31日現在)
12,178-22,29734,475

(注)* 主に外貨換算調整額で構成されます。
ソニーは、年金制度資産の公正価値、年金制度資産の期待収益、及び退職給付債務の現在価値を勘案し、マネジメントにより適当と判断された場合に、確定給付年金制度への拠出を行っています。2020年度における拠出額の見込みは、国内制度で約20億円、海外制度で約80億円です。
予想将来給付額は次のとおりです。
年度国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2020年度37,38420,825
2021年度36,228104,988
2022年度36,98512,089
2023年度38,27112,269
2024年度37,21613,074
2025年度-2029年度185,218112,218

(2) 確定拠出制度
2018年度及び2019年度における確定拠出年金費用は次のとおりです。
2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
国内制度3,3536,925
海外制度11,60210,313

17 資本勘定
(1) 普通株式
2018年度及び2019年度における発行済株式数の増加の内訳は次のとおりです。
項目株式数(株)
2018年3月31日現在残高1,266,552,149
新株の発行149,900
新株予約権の行使4,525,300
転換社債型新株予約権付社債の株式へ
の転換
2,992
2019年3月31日現在残高1,271,230,341
新株の発行184,900
新株予約権の行使2,294,900
転換社債型新株予約権付社債の株式へ
の転換
86,040
自己株式の消却△12,737,400
2020年3月31日現在残高1,261,058,781

2020年3月31日現在、転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権が全て転換又は行使された場合に発行される株式数は、36,802,040株です。
当社は会社法に準拠し、取締役会の決議により随時分配可能額まで自己株式を取得することが可能です。
当社は2019年2月8日に開催された取締役会において、会社法の規定にもとづき自己株式を取得することを決議しました。当社は2019年3月31日までに、上記取締役会の決議にもとづき、自己株式19,309,100株を100,000百万円で取得しました。
当社は2019年5月16日に開催された取締役会において、会社法の規定にもとづき自己株式を取得することを決議しました。当社は2020年3月31日までに、上記取締役会の決議にもとづき、自己株式33,059,200株を199,999百万円で取得しました。
当社は取締役会から委任された代表執行役の決定にもとづき、2020年3月26日に自己株式12,737,400株を消却しました。
(2) 利益剰余金
2020年3月31日現在の当社の分配可能額は、683,084百万円です。2019年度にかかる利益処分額は、すでに連結財務諸表に反映されており、2020年5月13日付の当社取締役会書面決議において承認されています。上記の分配可能額は、連結財務諸表に反映されている2020年3月31日に終了した6ヵ月にかかる配当金を含んでいます。
利益剰余金には、持分法適用会社の未分配利益に対するソニーの持分相当額が含まれており、2019年3月31日及び2020年3月31日現在のこの金額は、それぞれ46,477百万円及び61,226百万円です。
(3) その他の包括利益
2018年度及び2019年度における累積その他の包括利益(税効果考慮後)の項目別の変動は次のとおりです。
項目金額(百万円)
未実現
有価証券
評価損益
未実現
デリバティブ
評価損益
年金債務
調整額
外貨換算
調整額
合計
2017年度末(2018年3月31日)126,191△1,242△296,444△445,251△616,746
新会計基準適用による累積的影響△15,526---△15,526
組替前その他の包括利益33,1242,316△23,44810,07122,063
累積その他の包括利益からの組替額*161△1,0939,488△1,6276,929
その他の包括利益(純額)33,2851,223△13,9608,44428,992
控除:非支配持分に帰属するその他の包括利益8,915-53△1,5787,390
2018年度末(2019年3月31日)135,035△19△310,457△435,229△610,670

項目金額(百万円)
未実現
有価証券
評価損益
未実現
デリバティブ
評価損益
年金債務
調整額
外貨換算
調整額
金融負債評価調整額合計
2018年度末(2019年3月31日)135,035△19△310,457△435,229-△610,670
組替前その他の包括利益40,3341,193△17,519△75,8143,032△48,774
累積その他の包括利益からの組替額*567492,490△74-92,546
その他の包括利益(純額)40,3901,26774,971△75,8883,03243,772
控除:非支配持分に帰属するその他の包括利益14,234-34△1,2451,05914,082
2019年度末(2020年3月31日)161,1911,248△235,520△509,8721,973△580,980

(注)* 外貨換算調整額は、海外子会社及び関連会社の清算又は売却にともない、累積その他の包括利益から
当年度損益へ組み替えられました。
2018年度及び2019年度における累積その他の包括利益からの組替額は以下のとおりです。
金額(百万円)
項目累積その他の包括利益からの組替額連結損益計算書に影響する項目
2018年度2019年度
未実現有価証券評価益23582金融ビジネス収入
税効果△74△26
税効果考慮後16156
未実現デリバティブ評価損益△1,093-売上原価
-106純売上高
税効果考慮前△1,093106
税効果-△32
税効果考慮後△1,09374
年金債務調整額9,89192,514*
税効果△403△24
税効果考慮後9,48892,490
外貨換算調整額△1,627△74為替差損(純額)・その他の営業損(益)(純額)
税効果--
税効果考慮後△1,627△74
累積その他の包括利益からの組替額合計
(税効果考慮後)
6,92992,546

(注)* 注記16に記載のとおり、年金及び退職金に関する償却費は純期間退職・年金費用に含まれています。
(4) 非支配持分との資本取引
2018年度及び2019年度の当社株主に帰属する当期純利益及び非支配持分との取引による資本剰余金の増減額は次のとおりです。
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
当社株主に帰属する当期純利益916,271582,191
非支配持分との取引にともなう資本剰余金の増加(減少)額△22,77516,372
当社株主に帰属する当期純利益及び非支配持分との取引にともなう資本剰余金の増減額の合計893,496598,563

2018年7月、Sony Corporation of Americaは、Estate of Michael Jackson(以下「MJ財団」)が保有するNile Acquisition LLC(以下「Nile」)の25.1%の持分を取得しました。ソニーは当該取引において、取引に関連して発生した各種費用等の償還を含む合計287.5百万米ドルをMJ財団に支払いました。支払額287.5百万米ドルと非支配持分簿価との差額295.9百万米ドルは、資本剰余金の減少として認識されています。当該取引の結果、Nileはソニーの完全子会社となりました。
2019年11月18日、ソニーは映画分野の完全子会社を通じて、AT&T Inc.(以下「AT&T」)が保有する米国におけるメディアネットワーク子会社であるGame Show Network, LLC(以下「Game Show Network」)の持分の42%を取得しました。これに伴い、Game Show Networkはソニーの完全子会社となりました。ソニーは、当該取引に先立って実施したAT&Tへの支払配当金129百万米ドルを含む53,992百万円(496百万米ドル)をAT&Tに支払いました。ソニーが支払った現金の合計と非支配持分の簿価との差額は、資本剰余金の増加として計上されています。
18 株価連動型報奨制度
ソニーは2018年度及び2019年度において、株価連動型報奨制度にかかる費用として、それぞれ5,499百万円及び5,958百万円を計上しました。
ソニーは一部の取締役、執行役及び経営幹部社員に対するインセンティブプランとして、新株予約権を発行するストック・オプションプランを有しています。新株予約権は、一般に、付与日から3年間にわたり段階的に権利が確定し、付与日より10年後まで権利行使が可能です。
2018年度及び2019年度において、ストック・オプションプランにおける権利行使によって受け取った現金の総額は、それぞれ12,757百万円及び7,560百万円でした。なお、権利行使にあたり、当社は新株を発行しています。
2018年度及び2019年度において付与された新株予約権の付与日現在の1株当たり加重平均公正価値は、それぞれ1,593円及び1,864円です。2018年度及び2019年度における報奨費用を認識するにあたって、新株予約権の付与日現在の公正価値は、ブラック・ショールズ・オプション・プライシング・モデルにもとづいて、以下の加重平均想定値を使用して見積もられています。
項目2018年度2019年度
加重平均リスク・フリー利子率1.37%0.70%
加重平均見積権利行使期間5.98年5.73年
加重平均見積ボラティリティ *32.52%29.30%
加重平均見積配当率0.35%0.32%

(注)* 加重平均見積ボラティリティは、新株予約権の加重平均見積権利行使期間における当社普通株式のヒストリカル・ボラティリティです。
2019年度における新株予約権の実施状況は以下のとおりです。
項目2019年度
株式数
(株)
加重平均権利行使価格(円)加重平均残存年数(年)本源的価値総額(百万円)
期首現在未行使残高12,213,9003,665
付与3,279,7006,669
権利行使2,294,9003,294
資格喪失もしくは期限切れ322,0005,500
期末現在未行使残高12,876,7004,9827.5219,459
期末現在行使可能残高6,235,7003,5816.4315,552

2018年度及び2019年度において行使されたストック・オプションプランの本源的価値の総額はそれぞれ13,325百万円及び7,575百万円でした。
2020年3月31日現在、権利行使が可能となっていない新株予約権にかかる未認識の報奨費用の総額は、5,912百万円です。この費用が認識されると見込まれる加重平均年数は、1.97年です。
19 収益
(1) 契約残高
顧客との契約から生じた債権、契約資産及び契約負債の残高は次のとおりです。
項目金額(百万円)
2018年度
(2019年3月31日)
2019年度
(2020年3月31日)
顧客との契約から生じた債権 *11,183,1151,126,597
契約資産 *119,14713,985
契約負債 *2254,646271,286

(注)*1 顧客との契約から生じた債権及び契約資産は、連結貸借対照表のうち「受取手形、売掛金及び契約資産」ならびに非流動の「その他」に含まれています。
*2 契約負債は、連結貸借対照表のうち流動・非流動の「その他」に含まれています。
契約負債は、主に契約の履行以前に顧客から受領した対価に関する残高です。2019年3月31日時点における契約負債残高のうち204,265百万円を、2019年度において収益として認識しています。2019年3月31日以前の期間に充足した履行義務から61,706百万円を、2019年度において収益として認識しています。
(2) 履行義務
残存履行義務(未充足又は部分的に未充足)は、未履行の受注残高であり、将来の履行に伴って収益として認識されます。ソニーは、残存履行義務の開示に当たって実務上の便法を適用し、当初の予想期間が1年以内の契約、及び知的財産のライセンス契約のうち売上高ベース又は使用量ベースで受領するロイヤルティにかかる部分について開示対象より除外しています。以下の表は、2020年3月31日時点で充足していない履行義務に配分された取引価額の要約であり、そのうち50%以上が1年以内に収益として認識され、ほとんど全てが3年以内に認識されるものと見込まれています。
項目金額(百万円)
2019年度
(2020年3月31日)
映画 - 映画製作及びテレビ番組制作 *1569,081
映画 - メディアネットワーク22,333
音楽 *244,971
その他47,126

(注)*1 映画分野における映画製作及びテレビ番組制作については、契約期間にかかわらず全ての契約を含めています。
*2 音楽分野に含まれている金額は、主に更新され続けるコンテンツライブラリへの継続的なアクセス権のライセンス契約における、ロイヤルティのミニマムギャランティ又は固定収入です。これらの契約には、上記の金額からは除外されているミニマムギャランティを上回る売上高・使用量ベースのロイヤルティも潜在的に含まれていますが、これらの追加的なロイヤルティのうち、ほとんど全てが3年以内に収益として認識されます。
(3) 契約コスト
契約コストの残高は次のとおりです。
項目金額(百万円)
2018年度
(2019年3月31日)
2019年度
(2020年3月31日)
契約獲得の増分コスト6,5817,464

ソニーは、資産として認識するはずの契約獲得の増分コストの償却期間が1年以内である場合、発生時に費用として認識することを認める実務上の便法を適用しています。2019年度において認識された償却費は、6,420百万円です。契約獲得の増分コストは主にEP&S分野におけるインターネット関連サービス事業で認識され、契約期間にわたり償却されます。
(4) 収益の分解
売上高及び営業収入のセグメント別、製品カテゴリー別及び地域別の内訳については注記28に記載しています。
20 構造改革にかかる費用
ソニーは様々なビジネスの業績向上のための活動の一環として、数々の構造改革活動を実施しました。ソニーは、構造改革活動を将来の収益性に好影響をもたらすためにソニーが実施する活動と定義しており、事業や製品カテゴリーからの撤退、従業員数の削減プログラムの実施、低コスト地域への生産移管・集約、OEM/ODMの活用、開発・研究組織構造の見直し、販売・間接部門の能率化などの活動が含まれています。構造改革活動は通常、発生から一年以内に完了する短期的性質のものです。
2018年度及び2019年度における構造改革に関連する債務の推移は以下のとおりです。
項目金額(百万円)
退職関連費用現金支出をともなわない資産の減損・償却及び処分損(純額)その他の関連費用合計
2018年3月31日現在債務残高19,486-4,18823,674
構造改革費用発生額24,4492,7315,82533,005
非現金支出費用-△2,731-△2,731
現金支出による支払・決済額△19,150-△2,555△21,705
調整額955-△357598
2019年3月31日現在債務残高25,740-7,10132,841
構造改革費用発生額22,9571001,65324,710
非現金支出費用-△100-△100
現金支出による支払・決済額△23,385-△6,703△30,088
調整額△674-△131△805
2020年3月31日現在債務残高24,638-1,92026,558

(注)構造改革費用に含められていない重要な資産の減損については注記14をご参照ください。
2018年度及び2019年度におけるセグメント別の構造改革に関連する費用は以下のとおりです。
2018年度
金額(百万円)
退職関連費用その他の
関連費用 *
構造改革費用
合計
構造改革に
関連する資産
の減価償却費
合計
ゲーム&ネットワークサービス-----
音楽2,9912013,192-3,192
映画4,795-4,795-4,795
エレクトロニクス・プロダクツ&
ソリューション
11,4374,57416,0118616,097
イメージング&センシング・ソリューション-----
金融-----
その他及び全社(共通)5,2263,7819,007-9,007
連結合計24,4498,55633,0058633,091

2019年度
金額(百万円)
退職関連費用その他の
関連費用 *
構造改革費用
合計
構造改革に
関連する資産
の減価償却費
合計
ゲーム&ネットワークサービス-----
音楽3,17963,185-3,185
映画545-545-545
エレクトロニクス・プロダクツ&
ソリューション
14,50022714,727-14,727
イメージング&センシング・ソリューション-----
金融-----
その他及び全社(共通)4,7331,5206,2532566,509
連結合計22,9571,75324,71025624,966

(注)* 現金支出をともなわない資産の減損・償却及び処分損(純額)が含まれています。
構造改革に関連する資産の減価償却費として開示されているものは、承認された構造改革計画のもとで、償却対象固定資産の耐用年数及び残存価額の見直しを行ったことにより発生した減価償却費の増加分です。資産の減損については、その年度において直ちに費用認識されます。
早期退職プログラム
ソニーは、主としてEP&S分野に関するセグメントの業績向上及び本社部門における費用削減のため、営業費用の一層の削減を目的とする様々な人員削減プログラムを実施しました。ソニーは、製造拠点の再編措置、開発・研究組織構造の見直し、販売・間接部門の能率化を通して、本社を含めた全社的な合理化を行いました。また、ソニーは人員の配置転換や再就職支援を含めたプログラムを通して、その労働力の再分配と最適化を行っています。上記の表における退職関連費用は、連結損益計算書の販売費及び一般管理費に計上されています。
音楽
音楽分野における組織最適化と業績改善のため、ソニーは事業運営の合理化とコスト削減を目的とする数々の構造改革活動を実施しました。これらの活動により、2018年度及び2019年度にそれぞれ、3,192百万円及び3,185百万円の主に従業員数の削減に関連する構造改革費用を計上しました。
映画
映画分野における組織最適化と業績改善のため、ソニーは事業運営の合理化とコスト削減を目的とする数々の構造改革活動を実施しました。これらの活動により、2018年度に4,795百万円の主に従業員数の削減に関連する構造改革費用を計上しました。2019年度における重要な構造改革費用の発生はありませんでした。
EP&S
EP&S分野に含まれるスマートフォン事業をはじめとするいくつかの事業の業績を向上させるべく、ソニーは収益構造の改善を目的とする数々の構造改革活動を実施しました。これらの活動により、2018年度及び2019年度にそれぞれ、16,011百万円及び14,727百万円の主に海外製造拠点及び海外一部地域の撤退措置による構造改革費用を計上しました。
21 連結損益計算書についての補足情報
(1) その他の営業損(益)(純額)
ソニーは、取引の性質又はソニーのコアビジネスとの関連性等を考慮し、その他の営業損(益)(純額)を計上しています。
その他の営業損(益)(純額)の内訳は次のとおりです。
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
EMI株式の再評価益 *1△116,939-
SRE株式の再評価益及び売却益 *2-△17,266
ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱及びSA Reinsurance Ltd.株式の再評価益 *3-△1,827
子会社及び関連会社株式の取得及び売却にともなう損失(利益)(純額) *4△1,557△12,801
資産の除売却損(益)及び減損(純額) *546,92829,778
その他-△1,495
△71,568△3,611

(注)*1 注記6及び25参照
*2 注記6参照
*3 注記6及び25参照
*4 注記25参照
*5 注記10、14及び20参照
(2) 研究開発費
2018年度及び2019年度の売上原価に計上された研究開発費は、それぞれ481,202百万円及び499,290百万円です。
(3) 広告宣伝費
2018年度及び2019年度の販売費及び一般管理費に計上された広告宣伝費は、それぞれ385,500百万円及び359,458百万円です。
(4) 物流費用
2018年度及び2019年度の販売費及び一般管理費に計上された製品の物流費用は、それぞれ51,757百万円及び46,196百万円で、ソニーグループ内での製品運搬費用も含まれています。
22 法人税等
国内及び海外における税引前利益及び法人税等の内訳は次のとおりです。
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
税引前利益
当社及び全ての国内子会社310,020466,253
海外子会社701,628333,197
1,011,648799,450
法人税等-当年度分
当社及び全ての国内子会社82,081105,755
海外子会社84,66766,636
166,748172,391
法人税等-繰延税額
当社及び全ての国内子会社17,9079,421
海外子会社△139,557△4,622
△121,6504,799
法人税等45,098177,190

日本の法定税率と実効税率との差は次のとおり分析されます。
項目2018年度2019年度
法定税率31.5%31.5%
損金に算入されない費用0.70.3
税額控除△1.6△1.7
法定税率の変動及び税制改正△0.3△0.4
評価性引当金の変動(2018年度におけるSony Americas Holding Inc.(以下「SAHI」)及びその米国連結納税グループにおける取り崩しを除く)2.3△8.1
2018年度におけるSAHI及びその米国連結納税グループにおける評価性引当金の取り崩し△15.3-
海外関係会社の未分配利益にかかる繰延税金負債の変動△0.10.2
日本における生命保険及び損害保険事業に適用される軽減税率△0.5△0.6
海外との税率差△6.4△2.4
税金引当にともなう調整△0.30.9
持分法による投資利益の影響0.00.0
EMI持分の再評価益△2.4-
外国子会社合算税制0.05.3
その他△3.1△2.8
実効税率4.5%22.2%

2017年12月22日、米国税制を大幅改正する米国税制改革法が成立しました。改正の主な内容として、2018年1月1日以降に開始する課税年度に適用される法人税率が35%から21%に引き下げられ、また、米国子会社における過去の海外留保利益にかかる一時の強制みなし配当課税により、米国の国際課税制度が全世界所得課税からテリトリアル課税へ移行されました。
法定法人税率の35%から21%への引き下げに加えて、米国税制改革法では新たな支払利子の損金不算入制限を含む一部の控除制度の廃止、税源浸食濫用防止税(Base Erosion Anti-Abuse Tax、以下「BEAT」)という新たな課税制度の導入、ならびに米国における企業グループが米国外で稼得した利益に対する課税方法の変更が行われました。米国税制改革法ではまた、2022年まで繰延映画製作費を含む適格資産の即時償却を認めることにより、加速償却による損金算入の選択適用が拡張されました。さらに、米国税制改革法では、外国源泉の無形資産関連所得(Foreign Derived Intangible Income)もしくはFDIIと呼ばれる米国法人の一部の米国外源泉所得に対して有利な取り扱いも規定されています。
BEATは、その適用法人に対して通常の法人税額(外国税額控除を含む一部の税額控除後)と、一部の関連者への支払を足し戻した修正課税所得の10%(2019年に開始する課税年度から適用。2018年度では6.25%を適用)のいずれか高い金額の支払を課すことで、多国籍企業に対する追加税負担を求めております。このBEATによる通常の法人税額との比較は、納税者の関連者への「税源浸食的」支払が、米国の税務申告における損金の総額の3%を上回る場合には毎年行わなければなりません。米国財務省は、納税者が3%の閾値を下回ることを目的として、当該「税源浸食的」支払を損金の額に含めないことを選択できるようにする規則を発行しました。ソニーは当初、2019年度において3%の閾値を超えると予想していましたが、税務申告時において更なる詳細な分析の結果、3%の閾値を下回るとされたため、通常の法人税額の計算にて外国税額控除を使用することができ、その税負担を軽減しております。ソニーは、2020年度において3%の閾値を下回ると予想しておりますが、もし上回った場合は、「税源浸食的」支払を損金の額に含めないことにより閾値が3%を下回るように上述の規則を選択適用する予定です。したがって、ソニーは米国の通常の法人税額を、税額控除によって相殺されると想定して計算しています。ソニーは、毎年自身がBEATの適用下にあるかを判断し、BEATを期間費用として会計処理し、繰延税金を通常の法定税率により計上することを要求されています。したがって、ソニーは米国の繰延税金資産及び繰延税金負債を21%で計上しています。
ソニーは、繰越欠損金、一時差異及び繰越税額控除に対する繰延税金資産の全てもしくは一部について、50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金を計上しています。繰延税金資産の最終的な回収可能性は、関連する税務管轄における将来課税所得の発生によって決定されます。2018年12月31日時点で、米国のSAHI及びその連結納税グループは、G&NS分野及び音楽分野を中心に、一定の利益水準を維持できていました。かかる状況を踏まえ、ソニーは、2018年度第3四半期連結会計期間において、入手可能な肯定的及び否定的な証拠を評価した結果、主として繰越欠損金、一時差異及び一部の繰越税額控除に対する米国における相当部分の繰延税金資産について評価性引当金を取り崩し、連結損益計算書上、法人税等が154,201百万円減少しました。
繰延税金資産・負債の主な内訳は次のとおりです。
借方(貸方)

項目2019年3月31日2020年3月31日
金額(百万円)金額(百万円)
繰延税金資産
税務上繰越欠損金413,494348,714
未払退職・年金費用103,65277,559
繰延映画製作費を含む償却費86,19665,349
リース負債-100,720
製品保証引当金及び未払費用108,515116,234
保険契約債務36,68342,056
棚卸資産19,71615,512
減価償却費34,63839,085
繰越税額控除117,47194,900
持分証券に関する損失-11,815
貸倒引当金9,1369,090
投資の減損12,2786,029
前受収益19,08124,420
その他169,897122,591
総繰延税金資産1,130,7571,074,074
控除:評価性引当金(723,114)(608,243)
繰延税金資産合計407,643465,831
繰延税金負債
繰延保険契約費(169,244)(170,868)
保険契約債務(181,052)(193,315)
映画分野における未請求債権(44,842)(26,214)
使用権資産-(96,970)
未実現有価証券評価益(75,573)(92,791)
持分証券に関する利益(33,082)-
株式交換により取得した無形固定資産(23,949)(23,949)
EMI Music Publishingの無形固定資産(93,979)(89,909)
海外関係会社の未分配利益(15,758)(25,359)
エムスリー投資(37,007)(38,303)
その他(62,092)(47,319)
総繰延税金負債(736,578)(804,997)
純繰延税金負債(328,935)(339,166)

2019年度において、ソニーは、入手可能な肯定的及び否定的証拠を比較衡量した結果、日本における当社とその連結納税グループ、ならびにスウェーデンのSony Mobile Communications AB、英国のSony Europe B.V.、ブラジルにおける一部の子会社及び他の税務管轄における一部の子会社の繰延税金資産に対して、評価性引当金を引き続き計上しました。主に外国税額控除及び一部の試験研究費の税額控除にかかる残りの米国の繰延税金資産に対しても、評価性引当金を引き続き計上しています。評価性引当金のうち、日本における当社とその連結納税グループにおいて、法人税にかかるものを274,761百万円、地方税にかかるものを125,465百万円計上しています。なお、2019年度末において、日本における当社とその連結納税グループにおける法人税に関する繰延税金資産に対して、将来加算一時差異と相殺されると見込まれる部分を除き、引き続き評価性引当金を計上しています。2020年初頭からの新型コロナウイルス感染拡大による影響により将来の収益性の見込が不確実であることから、2019年度においては過去数年にわたって利益を計上しているものの、日本における当社とその連結納税グループにおける繰延税金資産(純額)には引き続き評価性引当金を計上しています。
2018年度及び2019年度における評価性引当金の純増減額は、それぞれ176,721百万円及び114,871百万円の減少です。
2018年度の評価性引当金の減少は、SAHI及びその米国連結納税グループにおける相当部分の繰延税金資産に対する評価性引当金を取り崩したこと及び日本の連結納税グループとその他の税務管轄において繰越欠損金及びその他の繰延税金資産を使用したことによるものです。
2019年度の評価性引当金の減少は、主に日本の連結納税グループにおいて繰越欠損金及びその他の繰延税金資産を使用したこと、及び米国の連結納税グループにおいて外国税額控除及び試験研究費の税額控除を使用したことによるものです。
2020年3月31日現在、一部の海外関係会社の未分配利益のうち、将来配当することを予定していない1,019,525百万円に対して、16,312百万円の税金引当を行っていません。また、1991年11月の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの公募による株式発行により計上された子会社株式売却益61,544百万円とEMI持分の再評価益(注記25参照)を含む、子会社における会計と税務の差異に起因する利益に対しては、税務戦略にもとづき所有株式の処分から発生する重大な課税を見込んでいないため税金引当を行っていません。
2020年3月31日現在の税務上の繰越欠損金に対する繰延税金資産の総額は348,714百万円であり、その繰越欠損金は、様々な税務管轄で申告される予定の将来課税所得と相殺することが可能です。繰越可能期間が無期限の96,890百万円を除き、繰越欠損金の大部分は2020年度から2023年度までの間に期限切れとなります。
2020年3月31日現在の繰越税額控除に対する繰延税金資産の総額は、94,900百万円です。繰越可能期間が無期限の15,059百万円を除き、繰越税額控除の大部分は2020年度から2029年度までの間に期限切れとなります。
未認識税務ベネフィットの期首総額と期末総額との調整は次のとおりです。
項目2019年3月31日2020年3月31日
金額(百万円)金額(百万円)
期首残高95,42550,577
過年度の税務ポジションに関する減少△31,396△331
過年度の税務ポジションに関する増加3,094162
当年度の税務ポジションに関する増加2,5948,074
解決△4,235△13,240
時効による消滅△14,824△1,251
外貨換算調整額△81△2,723
期末残高50,57741,268
認識された場合、実効税率に影響を与える未認識税務ベネフィットの期末純残高35,00429,539

未認識税務ベネフィットの総額の主な増減(解決を含む)は、G&NS分野、EP&S分野、I&SS分野及びその他分野の特定の連結子会社間クロスボーダー取引に関する二国間事前確認制度(Bilateral Advance Pricing Agreements、以下「APAs」)の申請の結果を含む移転価格調整に関連しています。これらのAPAsは、租税条約で規定される二国間相互協議手続にもとづいた、ソニーと二ヵ国の税務当局間の合意を含んでいます。ソニーは見積もられた税金費用を、通常これらの手続の進捗や移転価格の税務調査の進捗に応じて見直し、必要に応じて見積りを調整しています。加えて、これらのAPAsは政府間協議による合意のため、最終結果がソニーの現時点における50%超の可能性で実現が見込まれる見積評価と異なる場合があります。
2018年度において、ソニーは、1,479百万円の支払利息の戻し入れ及び218百万円の罰金の計上を行いました。2019年3月31日現在、ソニーの利息及び罰金に関する負債の残高はそれぞれ9,309百万円及び4,855百万円です。
2019年度において、ソニーは、1,276百万円の支払利息の戻し入れ及び117百万円の罰金の計上を行いました。2020年3月31日現在、ソニーの利息及び罰金に関する負債の残高はそれぞれ8,033百万円及び4,971百万円です。
ソニーは世界中の様々な国、地域で営業活動を行っており、その税務申告書は、定期的に日本及び海外の税務当局の税務調査を受けています。いくつかの国、地域における、税務調査終了、現行の調査の結果、時効による消滅、及びソニーの税務ポジションの再評価などの結果により、今後の12ヵ月間で未認識税務ベネフィットは変動する可能性があります。ソニーは、今後の12ヵ月間で未認識税務ベネフィットが最大1,791百万円減少することを見込んでいます。
ソニーは、日本の税務当局により2010年度から2019年度が、米国の税務当局により2016年度から2019年度が、その他の重要な海外の税務当局により2006年度から2019年度が、引き続き税務調査の対象となっています。
23 基本的及び希薄化後EPSの調整表
2018年度及び2019年度における基本的及び希薄化後EPSの調整計算は次のとおりです。
項目2018年度2019年度
利益
(百万円)
加重平均
株式数
(千株)
EPS
(円)
利益
(百万円)
加重平均
株式数
(千株)
EPS
(円)
基本的EPS
当社株主に帰属する当期純利益916,2711,266,592723.41582,1911,234,408471.64
希薄化効果
新株予約権
転換社債型新株予約権付社債(ゼロクーポン)
-
-
4,088
23,966
-
-
3,853
23,994
希薄化後EPS
計算に用いる当社株主に帰属する当期純利益916,2711,294,646707.74582,1911,262,255461.23

2018年度及び2019年度において、希薄化後EPSの計算から除いた潜在株式数はそれぞれ5,731千株及び3,212千株です。2018年度及び2019年度において、新株予約権の権利行使価格が当期間における当社の普通株式の市場平均株価を上回っている場合は希薄化効果がないと認め、その潜在株式をこの計算から除外しています。2015年7月に発行された転換社債型新株予約権付社債(ゼロクーポン)は、転換仮定法にもとづいて発行時点から希薄化後EPSの計算に含めています。
24 変動持分事業体
ソニーは、VIEとの間で各種の取り決めを結んでいます。
(1)連結VIE
ソニーの米国における音楽制作子会社は音楽ソフトの制作及び製造に関連する会社との間で複数の合弁契約を締結しています。ソニーはこれらの合弁会社を再検討した結果、これらの合弁会社はVIEであると判断しました。定性的評価にもとづき、ソニーはこれらのVIEに資金を提供する責任を有し、多くの場合これらのVIEが利益を計上するまでの間、全ての損失を負担することから、これらのVIEの経済的成果に最も重要な影響を与える活動を指揮する力を持ち、またこれらのVIEの損失を負担する義務を負うと判断されます。結果としてソニーはこれらのVIEの第一受益者と判断され、これらのVIEを連結しています。ソニーの資産はこれらVIEの債務の返済に使用することはできません。2020年3月31日現在、これらのVIEの保有する資産合計及び負債合計は、総額でそれぞれ46,154百万円及び25,100百万円です。
(2)非連結VIE
注記7に記載のとおり、一部の売掛債権売却プログラムにはVIEが関与しています。これらのVIEは全てスポンサー銀行に関連する特別目的会社です。定性的評価にもとづき、ソニーはこれらのVIEの活動を指揮する力、損失を負担する義務又は残余利益を受け取る権利がないことから、第一受益者ではないためこれらのVIEを連結対象とはしていません。なお、ソニーの最大損失額は僅少と考えられます。
金融分野においては、ソニーが第一受益者ではないVIEに対し、変動持分を保有することがあります。そのようなVIEに対し、ソニーが保有する変動持分には、持分証券、証券化商品、外国社債、その他の投資が含まれます。
以下の表は、2019年3月31日及び2020年3月31日における非連結のVIEに対する変動持分の簿価、連結貸借対照表上の科目、及び最大損失のエクスポージャーを表しております。なお、最大損失のエクスポージャーは、不利な環境変化から実際に発生すると見積もられる損失額を表したものでも、その損失額を減少させる効果のある経済的ヘッジ取引を反映したものでもありません。VIEに対するソニーの関与に関わるリスクは簿価及びコミットメントの金額に限定されます。
項目2019年3月31日2020年3月31日
金額(百万円)金額(百万円)
簿価簿価
有価証券投資有価証券その他前払費用及びその他の流動資産最大損失のエクスポージャー有価証券投資有価証券その他前払費用及びその他の流動資産最大損失のエクスポージャー
持分証券*1135,5528,485-146,031579,7736,229-587,602
証券化商品-191,049-195,190-210,641-210,641
外国社債*229,88965,503-95,39241,45241,036-82,488
その他の投資-4,68821,00025,688-16,25321,00043,719
合計165,441269,72521,000462,301621,225274,15921,000924,450

*1持分証券には、主に投資信託が含まれています。
*2外国社債には、主にリパッケージ債が含まれています。
25 企業結合
(1) EMI Music Publishingの取得
2018年11月14日、ソニーの完全子会社であるSony Corporation of Americaは、EMI Music Publishingを所有し運営するDH Publishing, L.P.(以下「EMI」)について、ムバダラインベストメントカンパニーが主導するコンソーシアムが保有する約60%の持分全てを取得し、その持分の現金対価として、新株予約権及びマネジメントインセンティブの対価と合わせて合計257,168百万円(2,269百万米ドル)を支払いました。当該取得にともない、EMIはソニーの完全子会社となりました。ソニーは、音楽出版事業を営んでいる完全子会社のSony/ATV Music Publishingがこれまで管理していたEMIの音楽出版カタログの全てを取得することにより、自らの音楽出版ライブラリの強化の実現をめざします。ソニーの2018年度の連結損益計算書は、当該取得日以降EMIが計上した売上高28,871百万円(260百万米ドル)と営業利益6,432百万円(58百万米ドル)を含みます。また、2018年度第4四半期連結会計期間の連結損益計算書は、EMIが計上した売上高18,420百万円(167百万米ドル)と営業利益4,522百万円(41百万米ドル)を含みます。
この取得前は、ソニーはEMIの持分を持分法で会計処理していました。この取得でEMIの支配持分を獲得したため、ソニーは取得法にもとづきEMIを連結し、識別可能資産、引受負債及びその残余としての営業権を公正価値で計上しました。また、ソニーは既に保有していたEMIの持分約40%を公正価値141,141百万円(1,245百万米ドル)で再評価した結果、2018年度第3四半期連結会計期間において116,939百万円(1,032百万米ドル)の評価益をその他の営業益(純額)に計上しました。この評価益に対する税金費用及び繰延税金負債は計上していません。また、ソニーは、当該取得にともないEMIの有利子負債148,621百万円(1,311百万米ドル)を承継し、そのうち108,942百万円(961百万米ドル)を手許の現金から直ちに返済しました。
音楽分野に計上されたEMIの資産及び負債に割り当てられた暫定評価及び最終評価の公正価値の集計は以下のとおりです。2019年3月31日時点では、法人税等及び残余の営業権を含む特定の領域において、支払われた対価の割当は完了していませんでした。
項目公正価値で
計上された
資産及び負債
(暫定評価)
(百万円)
測定期間調整
(百万円)
公正価値で
計上された
資産及び負債
(最終評価)
(百万円)
現金・預金及び現金同等物12,971-12,971
受取手形、売掛金及び契約資産32,287-32,287
前払費用及びその他の流動資産10,220△9810,122
投資有価証券その他1,476-1,476
無形固定資産420,534-420,534
営業権237,271△1,206236,065
その他10,023-10,023
資産合計724,782△1,304723,478
支払手形及び買掛金1,731-1,731
未払金・未払費用70,675-70,675
未払法人税及びその他の未払税金3,082△693,013
長期借入債務148,621-148,621
未払退職・年金費用1,947-1,947
繰延税金94,849△1,23593,614
その他5,564-5,564
負債合計326,469△1,304325,165

無形固定資産は主にミュージック・カタログが含まれており、加重平均償却期間は43年です。営業権は、新たな収益の流入による将来の成長やソニーの既存の資産や事業とのシナジー等の識別不能無形固定資産を表しており、取得した有形資産や無形固定資産の見積公正価値に対する購入価格の超過する部分として計算され、税務上損金に算入されません。この取得により計上された営業権は音楽分野に含まれます。
下記の概算の補足財務資料(未監査)は、この取得が2017年度の期首に発生したと仮定した場合のソニーとEMIの業績合計額です。
項目金額(百万円)
連結会計年度
(自 4月1日
至 3月31日)
2018年度
純売上高8,738,209
営業利益801,973
当社株主に帰属する当期純利益817,629
1株当たり情報
-基本的645.53円
-希薄化後631.55円

この概算の補足財務情報(未監査)は、ソニーが合理的と考える見積り及び前提にもとづき作成されたものであり、この取得が2017年度の開始の日に完了したと仮定した場合のソニーの業績を表示又は示唆することを目的としたものではありません。また、この概算の補足財務情報(未監査)を将来のソニーの業績を示す指標として用いるべきではありません。この概算の補足財務情報(未監査)は、EMIの持分法による投資利益(損失)の消去及び連結処理、過年度に所有していた資本持分の再評価による利益の調整、税効果後の無形固定資産償却費用の増分、新株予約権及びマネジメントインセンティブ費用の調整が含まれています。
(2) Insomniac Games, Inc.の取得
2019年11月15日、ソニーのG&NS分野の完全子会社であるSony Interactive Entertainment LLCは、ゲーム開発会社であるInsomniac Games, Inc.(以下「Insomniac Games」)の買収を完了しました。
本買収の対価24,895百万円(229百万米ドル)は、主に現金により支払われました。本買収の結果、Insomniac Gamesはソニーの完全子会社となりました。
当該取得により、ソニーは営業権17,945百万円(164百万米ドル)及び無形固定資産6,794百万円(62百万米ドル)を計上しました。この取引で支払われた現金対価は、受領した現金が控除された上で、連結キャッシュ・フロー計算書の投資活動の「その他」に含まれています。プロフォーマ情報は、この取得の与える影響が軽微なため、開示を省略しています。
(3) Silvergate Mediaの取得
2019年12月9日、ソニーは映画分野の完全子会社を通じて、子ども向けアニメーションの開発・制作とライセンスの提供をしているSilvergate Media Group(以下「Silvergate」)を買収しました。本買収の対価21,017百万円(192百万米ドル)は、現金により支払われました。本買収の結果、ソニーは、(1)Silvergate BP Bidco Limitedが保有する一部の権利を除くSilvergateの全ての資産を保有するSilvergate Topco Limitedの100%の持分、及び(2)「ピーターラビット」テレビシリーズを制作しているSilvergate BP Bidco Limitedの31%の持分を保有することになり、ソニーは営業権11,431百万円(106百万米ドル)と無形固定資産3,387百万円(32百万米ドル)を計上しました。この取引で支払われた現金対価は、受領した現金が控除された上で、連結キャッシュ・フロー計算書の投資活動の「その他」に含まれています。プロフォーマ情報は、この取得の与える影響が軽微なため、開示を省略しています。
(4) 生命保険事業を営む持分法適用関連会社の子会社化
2020年1月29日、ソニーの連結子会社であるソニー生命はソニーライフ・エイゴン生命保険㈱及びSA Reinsurance Ltd.(以下あわせて「両合弁会社」)について、AEGON International B.V.が保有する50%の株式の全てを取得し、その両合弁会社の株式取得にかかる対価として現金で18,750百万円を支払いました(以下「本取引」)。なお、本取引の完了にともない、ソニー生命が両合弁会社の株式の100%を保有することとなり、両合弁会社はソニーの連結子会社になりました。ソニー生命は、ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱が培ってきた変額保険ビジネスの強みやノウハウを活用し、シニア層の取組みを強化するとともに、一体的な業務・組織運営で効率化を図ります。なお、ソニーライフ・エイゴン生命保険㈱は、2020年4月1日付で、商号を「ソニーライフ・ウィズ生命保険株式会社」に変更しております。
本取引の完了に伴う両合弁会社の株式取得以前においては、ソニーは両合弁会社の持分を持分法で会計処理していました。本取引により両合弁会社の支配持分を獲得したため、ソニーは取得法にもとづき両合弁会社を連結し、識別可能資産、引受負債及びその残余としての営業権を公正価値で計上しました。また、ソニーは、既に保有していた両合弁会社の持分50%を企業結合日における公正価値13,932百万円で再評価した結果、2019年度において1,827百万円の評価益をその他の営業益(純額)に計上しました。この評価益に対する税金費用及び繰延税金負債は計上していません。
金融分野に計上された両合弁会社の資産及び負債に割り当てられた公正価値の集計は以下のとおりです。
項目金額(百万円)
現金・預金及び現金同等物27,380
有価証券530,851
前払費用及びその他の流動資産21,933
投資有価証券その他15,329
営業権3,609
その他406
資産合計599,508
保険契約債務その他66,599
生命保険ビジネスにおける契約者勘定495,248
その他4,979
負債合計566,826

営業権は、ソニー生命との一体的な業務・組織運営による効率化等での収益性改善を表しており、識別可能資産、負債の見積公正価値に対する購入価格の超過する部分として計算され、税務上損金に算入されません。この取得により計上された営業権は金融分野に含まれます。
プロフォーマ情報は、この取得の与える影響が軽微なため、開示を省略しています。
(5) その他の取得
2018年度においてソニーはその他いくつかの取得を行いました。支払われた対価の合計は7,743百万円であり、主として現金で支払われました。将来変更される可能性がある重要な条件付対価はありません。これらの取得により、ソニーは営業権5,773百万円と無形固定資産4,422百万円を計上しました。
2019年度においてソニーはその他いくつかの取得を行いました。支払われた対価の合計は6,853百万円であり、主として現金で支払われました。将来変更される可能性がある重要な条件付対価はありません。これらの取得により、ソニーは営業権6,778百万円と無形固定資産2,301百万円を計上しました。
これらの取得に関して重要な仕掛研究開発費への価格割当はありません。上記の全ての取得企業及び事業はそれぞれの取得日よりソニーの業績に連結されています。その他の取得は、個別ならびに総計で重要性がないため、プロフォーマ情報は表示していません。
26 共同契約
ソニーは、主として、映画分野の子会社において、他の1つ又は複数の活動のある参加者と共同で映画又はテレビ作品に対する資金調達、製作及び配給を行うための共同契約を締結し、この子会社と他の参加者が、所有によるリスクと便益を共有しています。これらの契約は共同製作・配給契約となります。
ソニーは、主として、映画又はテレビ作品のうち自社が保有し資金調達する部分のみを資産計上しています。ソニーと他の参加者は、主として、異なるメディア又はマーケットで作品を配給しています。ソニーが作品を配給したメディア又はマーケットで獲得した収益及び発生した費用は、主として、総額を計上しています。ソニーは、主として、他の参加者が作品を配給した際には、獲得した収益及び発生した費用の計上はしていません。ソニーと他の参加者は、主として、全てのメディア又はマーケットでの作品の配給から得た利益を分配しています。映画作品においては、ソニーが純額の受取人の場合、(1)他の参加者が配給したメディア又はマーケットからの利益におけるソニーへの分配金から(2)ソニーが配給したメディア又はマーケットからの利益における他の参加者への分配金を差し引き、純額を純売上高として計上しています。ソニーが純額の支払人の場合、純額を売上原価として計上しています。テレビ作品においては、他の参加者が配給したメディア又はマーケットからの利益のソニーへの分配金を売上として計上し、ソニーが配給したメディア又はマーケットからの利益における他の参加者への分配金を売上原価として計上しています。
2018年度及び2019年度において、これらの共同契約において、他の参加者からソニーに帰属すべき額として、それぞれ42,343百万円、33,921百万円が純売上高として計上され、他の参加者に帰属すべき額として、それぞれ22,702百万円、21,052百万円が売上原価に計上されました。
27 コミットメント、偶発債務及びその他
(1) ローン・コミットメント
金融子会社は、顧客に対する貸付契約にもとづき、貸付の未実行残高を有しています。2020年3月31日現在、これらの貸付未実行残高は34,306百万円です。ローン・コミットメントの翌年度以降における支払予定額について見積りを行うことは現時点においては可能ではありません。
(2) パーチェス・コミットメント等
2020年3月31日現在のパーチェス・コミットメント等の残高は、合計で684,911百万円です。これらのうち、主要なものは次のとおりです。
映画分野の一部の子会社は、製作関係者との間で映画の製作及びテレビ番組の制作を行う契約を締結し、また第三者との間で完成した映画作品もしくはそれに対する一部の権利を購入する契約、スポーツイベントの放映権を購入する契約を締結しています。これらの契約は多様な期間にわたりますが、主として3年以内の期間に関するものです。2020年3月31日現在、これらの契約にもとづく支払予定額は126,917百万円です。
音楽分野の一部の子会社は、音楽アーティスト、ならびに作詞家、音楽ソフトやビデオの制作・販売会社との間で契約を締結しています。これらの契約は多様な期間にわたりますが、主として5年以内の期間に関するものです。2020年3月31日現在、これらの契約にもとづく支払予定額は128,678百万円です。
G&NS分野の一部の子会社は、ゲームソフトウェアの開発、販売及び配信に関する長期契約を締結しています。これらの契約は多様な期間にわたりますが、主として8年以内の期間に関連するものです。2020年3月31日現在、これらの契約にもとづく支払予定額は29,243百万円です。
ソニーは、固定資産の購入契約を締結しています。2020年3月31日現在、これらの契約にもとづく支払予定額は199,145百万円です。
ソニーは、部材の調達契約を締結しています。2020年3月31日現在、これらの契約にもとづく支払予定額は115,670百万円です。
ソニーは、広告宣伝の権利に関するスポンサーシップ契約を締結しています。これらの契約は多様な期間にわたりますが、主に1年以内の期間に関するものです。2020年3月31日現在、当該契約にもとづく支払予定額は5,162百万円です。
パーチェス・コミットメントの翌年度以降5年間の各年度及びそれ以降の年度における支払予定額の総額は次のとおりです。
年度2020年3月31日
金額(百万円)
2020年度378,319
2021年度103,033
2022年度76,541
2023年度49,549
2024年度36,936
2025年度以降40,533
パーチェス・コミットメント合計684,911

(3) 訴訟
2009年以降、米国司法省、欧州委員会及びその他の国の当局が光ディスクドライブ市場の競争状況に関する調査を実施し、当社及び当社の一部の子会社も当該調査の対象となっておりましたが、当社は、これらの当局による調査は既に終了していると理解しています。他方で、2015年10月、欧州委員会は同委員会の調査結果を踏まえて、当社及び当社の一部の子会社に対して総額31百万ユーロの制裁金の支払いを命じる決定を下しました。かかる決定を受け、当社はかかる決定を不服として、欧州普通裁判所に提訴しましたが、2019年7月、欧州普通裁判所が欧州委員会の決定を支持する旨の判決を下しました。当社は、判決内容を精査した結果、同年9月、欧州司法裁判所に上告しました。また、当社及び一部の子会社が独占禁止法に違反していたと主張し、損害賠償その他の救済を求める多くの訴訟(集団訴訟を含む)が、複数の地域にて提起されていましたが、それらの訴訟については、係属中の一つの訴訟を除き、当該製品の直接・間接の購入者による米国での集団訴訟を含め、和解に至りました。ソニーは、係属中の訴訟の最終的な結果が、ソニーの業績及び財政状態に重要な影響を与えることはないと考えています。
2011年以降、当社及び一部の子会社が営んでいた二次電池事業に関連して、当社及び一部の子会社が独占禁止法に違反していたと主張し、損害賠償その他の救済を求める多くの訴訟(集団訴訟を含む)が、複数の地域にて提起されていましたが、それらの訴訟については、係属中の一つの訴訟を除き、当該製品の直接・間接の購入者による米国での集団訴訟を含め、和解に至りました。ソニーは、係属中の訴訟の最終的な結果が、ソニーの業績及び財政状態に重要な影響を与えることはないと考えています。
当社及び一部の子会社は、これらの他にも複数の訴訟の被告又は政府機関による調査の対象となっています。しかし、ソニーが現在知り得るかぎりの情報にもとづき、それらの訴訟その他の法的手続により生じ得る結果は、ソニーの業績及び財政状態に重要な影響を与えることはないと考えています。
(4) 保証債務
ソニーは、ある特定の事象又は状況が発生した場合に、被保証者への支払要求に対して保証を行っております。2020年3月31日現在の保証債務にもとづく将来の潜在的支払債務は、最大で2,214百万円です。
上記に加え、ソニーは、ある一定期間において、提供した製品及びサービスに対する保証を行っております。2018年度及び2019年度の製品保証に関する負債の増減額は次のとおりです。
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
製品保証に関する負債の期首残高44,71733,005
製品保証に関する負債の計上額23,04121,448
期中取崩額△26,326△21,491
期首残高に対する見積変更額△7,370△562
外貨換算調整額△1,057△593
製品保証に関する負債の期末残高33,00531,807

延長保証サービスの提供により顧客から受領した対価は、上記の表の金額には含まれておりません。なお、延長保証サービスはソニーが提供する保証サービスにおいて重要なものではありません。
28 セグメント情報
以下の報告セグメントは、そのセグメントの財務情報が入手可能なもので、その営業利益(損失)が最高経営意思決定者によって経営資源の配分の決定及び業績の評価に通常使用されているものです。最高経営意思決定者は、個別の資産情報を使用してセグメント評価を行っていません。ソニーにおける最高経営意思決定者は、社長兼CEOです。
ソニーは、2019年4月1日付の組織変更及び担当上級役員の変更にともない、2019年度第1四半期より、業績報告におけるビジネスセグメント区分を変更し、従来のホームエンタテインメント&サウンド分野、イメージング・プロダクツ&ソリューション分野及びモバイル・コミュニケーション分野を合わせ、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(以下「EP&S」)分野としました。このセグメント変更にともない、各分野の2018年度における売上高及び営業収入ならびに営業損益を2019年度の表示に合わせて組替再表示しています。また、2019年度第1四半期より、従来の半導体分野を、イメージング&センシング・ソリューション(以下「I&SS」)分野に名称変更しました。
G&NS分野には、主にネットワークサービス事業、家庭用ゲーム機の製造・販売及びソフトウェアの制作・販売が含まれています。音楽分野には、主に音楽制作、音楽出版及び映像メディア・プラットフォーム事業が含まれています。映画分野には、主に映画製作、テレビ番組制作及びメディアネットワーク事業が含まれています。EP&S分野には、主にテレビ事業、オーディオ・ビデオ事業、静止画・動画カメラ事業、スマートフォン事業及びインターネット関連サービス事業が含まれています。I&SS分野には、主にイメージセンサー事業が含まれています。金融分野には、主に日本市場における個人向け生命保険及び損害保険を主とする保険事業ならびに日本における銀行業が含まれています。その他分野は、ディスク製造事業、記録メディア事業等の様々な事業活動から構成されています。ソニーの製品及びサービスは、一般的にはそれぞれのオペレーティング・セグメントにおいて固有のものです。
【ビジネスセグメント情報】
セグメント別売上高及び営業収入:
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
売上高及び営業収入:
ゲーム&ネットワークサービス:
外部顧客に対するもの2,224,6221,919,760
セグメント間取引86,25057,791
2,310,8721,977,551
音 楽:
外部顧客に対するもの795,025838,592
セグメント間取引12,46411,317
807,489849,909
映 画:
外部顧客に対するもの985,2701,010,714
セグメント間取引1,6031,140
986,8731,011,854
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション:
外部顧客に対するもの2,303,1671,969,880
セグメント間取引17,46121,388
2,320,6281,991,268
イメージング&センシング・ソリューション:
外部顧客に対するもの770,622985,259
セグメント間取引108,70885,317
879,3301,070,576
金 融:
外部顧客に対するもの1,274,7081,299,847
セグメント間取引7,8317,901
1,282,5391,307,748
その他:
外部顧客に対するもの299,806214,999
セグメント間取引45,93136,421
345,737251,420
全社(共通)及びセグメント間取引消去△267,781△200,441
連結合計8,665,6878,259,885

G&NS分野におけるセグメント間取引は、主としてその他分野に対するものです。
I&SS分野におけるセグメント間取引は、主としてG&NS分野及びEP&S分野に対するものです。
その他分野におけるセグメント間取引は、主としてG&NS分野、音楽分野及び映画分野に対するものです。
全社(共通)及びセグメント間取引消去には、ブランド及び特許権使用によるロイヤルティ収入が含まれています。
セグメント別損益:
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
営業利益(損失):
ゲーム&ネットワークサービス311,092238,400
音 楽232,487142,345
映 画54,59968,157
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション76,50887,276
イメージング&センシング・ソリューション143,874235,584
金 融161,477129,597
その他△11,12716,288
968,910917,647
全社(共通)及びセグメント間取引消去△74,675△72,188
連結営業利益894,235845,459
その他の収益144,73521,949
その他の費用△27,322△67,958
連結税引前利益1,011,648799,450

上記の営業利益(損失)は、売上高及び営業収入から売上原価、販売費・一般管理費及びその他の一般費用を差し引き、持分法による投資利益(損失)を加えたものです。
その他の重要事項:
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
持分法による投資利益(損失):
ゲーム&ネットワークサービス--
音 楽△6,9154,239
映 画106△629
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション△38136
イメージング&センシング・ソリューション-0
金 融△682△104
その他4,5305,995
連結合計△2,9999,637

項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
減価償却費及び償却費:
ゲーム&ネットワークサービス29,02329,135
音 楽21,25929,137
映 画24,08121,665
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション61,74963,291
イメージング&センシング・ソリューション110,746134,035
金 融(繰延保険契約費の償却を含む)91,179106,667
その他4,9405,095
342,977389,025
全社(共通)31,04927,617
連結合計374,026416,642

下記の表は、各セグメントにおける製品カテゴリー別の外部顧客に対する売上高及び営業収入です。ソニーのマネジメントは、各セグメントをそれぞれ単一のオペレーティング・セグメントとして意思決定を行っています。
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
ゲーム&ネットワークサービス
デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツ1,102,2311,010,296
ネットワークサービス326,524337,265
ハードウェア・その他795,867572,199
2,224,6221,919,760
音 楽
音楽制作(ストリーミング)227,513276,039
音楽制作(その他)199,413191,114
音楽出版106,666157,478
映像メディア・プラットフォーム261,433213,961
795,025838,592
映 画
映画製作436,017475,061
テレビ番組制作288,816301,224
メディアネットワーク260,437234,429
985,2701,010,714
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション
テレビ788,423646,513
オーディオ・ビデオ362,580346,060
静止画・動画カメラ421,506384,142
モバイル・コミュニケーション487,330362,144
その他243,328231,021
2,303,1671,969,880
イメージング&センシング・ソリューション770,622985,259
金 融1,274,7081,299,847
その他299,806214,999
全社(共通)12,46720,834
連 結8,665,6878,259,885

ソニーは2019年度第1四半期よりEP&S分野の新設に伴い製品カテゴリー区分を変更しました。また、ソニーは2019年度第4四半期より音楽分野において音楽制作カテゴリーの細分化により、製品カテゴリー区分を変更しました。これらの変更により、上記2018年度の実績を組替再表示しています。
G&NS分野のうち、デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツカテゴリーにはSony Interactive Entertainmentがネットワークを通じて販売するソフトウェアタイトル及びアドオンコンテンツ、ネットワークサービスカテゴリーにはゲーム、ビデオ及び音楽コンテンツ関連のネットワークサービス、ハードウェア・その他カテゴリーには据え置き型及び携帯型ゲームコンソール、パッケージソフトウェアと周辺機器などが主要製品として含まれています。音楽分野のうち、音楽制作(ストリーミング)はストリーミングによるデジタルの音楽制作物の販売、音楽制作(その他)にはパッケージ及びダウンロードによるデジタルの音楽制作物の販売やアーティストのライブパフォーマンスからの収入、音楽出版には、楽曲の詞、曲の管理及びライセンス、映像メディア・プラットフォームには、アニメーション作品及びその派生ゲームアプリケーションの制作・販売、音楽・映像関連商品の様々なサービス提供などが含まれています。映画分野のうち、映画製作には実写及びアニメーション映画作品の全世界での製作・買付・配給・販売、テレビ番組制作にはテレビ番組の制作・買付・販売、メディアネットワークには、全世界でのテレビ、デジタルのネットワークオペレーションなどが含まれています。EP&S分野のうち、テレビカテゴリーには液晶テレビ、有機ELテレビ、オーディオ・ビデオカテゴリーにはブルーレイディスクプレーヤー/レコーダー、家庭用オーディオ、ヘッドホン、メモリ内蔵型携帯オーディオ、静止画・動画カメラカテゴリーにはレンズ交換式カメラ、コンパクトデジタルカメラ、民生用・放送用ビデオカメラ、モバイル・コミュニケーションカテゴリーにはスマートフォン、インターネット関連サービス、その他カテゴリーにはプロジェクターなどを含むディスプレイ製品、医療用機器などが主要製品として含まれています。
EP&S分野のうち、モバイル・コミュニケーションカテゴリーの、2018年度及び2019年度における営業損失は、それぞれ△97,136百万円及び△21,057百万円です。
【地域別情報】
2018年度及び2019年度における顧客の所在国又は地域別に分類した売上高及び営業収入、2019年3月31日現在及び2020年3月31日現在の有形固定資産(減価償却累計額控除後)及び使用権資産は次のとおりです。
項目2018年度2019年度
金額(百万円)金額(百万円)
売上高及び営業収入:
日本2,591,7842,472,479
米国1,982,1351,864,390
欧州1,862,1661,697,791
中国770,416845,235
アジア・太平洋地域912,193892,026
その他地域546,993487,964
8,665,6878,259,885

項目2019年3月31日2020年3月31日
金額(百万円)金額(百万円)
有形固定資産(減価償却累計額控除後)及び使用権資産*:
日本590,694946,922
米国113,581214,226
欧州22,62267,799
中国11,69417,996
アジア・太平洋地域34,27346,932
その他地域4,1897,379
777,0531,301,254

(注)* ASU2016-02の適用により、2020年3月31日現在の金額には、2019年度から認識されたオペレーティング・リー
ス使用権資産が含まれています。
日本、米国ならびに中国以外の各区分に属する主な国又は地域は次のとおりです。
(1) 欧州: イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、スペイン、スウェーデン
(2) アジア・太平洋地域: インド、韓国、オセアニア、タイ、マレーシア
(3) その他地域: 中近東/アフリカ、ブラジル、メキシコ、カナダ
売上高及び営業収入、有形固定資産(減価償却累計額控除後)及び使用権資産に関して、欧州、アジア・太平洋地域、その他地域において個別には金額的に重要性のある国はありません。
報告セグメント間及び地域間の取引は、市場の実勢価格を参考にして、その都度交渉の上で決定しております。
2018年度及び2019年度において、単一顧客として重要な顧客に対する売上高及び営業収入はありません。
29 重要な後発事象
ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社株券等に対する公開買付け
金融事業のさらなる成長とガバナンス強化を通じて、ソニーグループ全体の企業価値向上を図ることを目的に、当社は、2020年5月19日開催の取締役会において、連結子会社であるソニーフィナンシャルホールディングス株式会社(以下「SFH」)の普通株式及び新株予約権の全てを取得し、SFHを当社の完全子会社とすることを目的とする取引の一環として、公開買付け(以下「本公開買付け」)を実施することを決議し、本公開買付けを2020年5月20日に開始しました。当社は、2020年5月19日時点で、SFH普通株式283,050,000株(所有割合:約65%)を所有していました。
本公開買付けにSFHの全株主(当社を除く)及び全新株予約権者が応募した場合、当社の買付代金は約395,538百万円となります。
<本公開買付けの概要>①買付対象:普通株式(ただし、当社が所有するSFH普通株式及びSFHが所有する自己株式を除く)及び新株予約権
②買付期間:2020年5月20日から2020年7月13日まで
③買付価格:普通株式1株につき、金2,600円
新株予約権1個につき、金259,900円
④買付予定数(新株予約権の目的となる株式の数を含む):152,130,036株
本公開買付けにおいては、買付予定数の下限を7,070,000株と設定しています。応募株券等の総数(新株予約権の目的となる株式の数を含む)が買付予定数の下限(7,070,000株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付けを行いません。