有価証券報告書-第124期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/23 14:52
【資料】
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【項目】
91項目

研究開発活動

当社グループの研究開発活動は、多様化するエレクトロニクス分野へ対応するため、継続的に新製品開発の強化拡大を進めております。特に、ICT分野、自動車分野、ならびに産業機器・エネルギー分野に注力し、当社グループが強みとしているモノづくり力を最大限に活かした製品開発をおこなうことで電子デバイスの高機能化、小型化、省エネルギー化に貢献しております。これらの注力する3分野の市場の変化を捉えた技術戦略を基に、今後の成長が大いに期待されるセンサ・アクチュエータ、エネルギーユニット、次世代電子部品を成長戦略製品と位置づけて、IoT市場における事業機会獲得を目指して強化に注力しております。センサ・アクチュエータはMEMSやソフトウェア技術なども繋げていくことで、お客様に幅広いセンサソリューションを提供することを目指しており、エネルギーユニットについては電池や電源、非接触給電などを組み合わせた製品の開発、またモータ向けに拡大している磁石の開発にも注力しております。次世代電子部品としては、SESUB(IC内蔵基板)技術、薄膜技術、材料技術を融合させ、多様化する市場のニーズに応える高付加価値製品開発を推進しております。今年度の成果として、世界最高のHDDヘッド記録密度を達成する、マイクロ波アシスト記録方式MAMRの量産化に向けた技術確立に成功いたしました。
本社研究開発機能では、それぞれの市場分野に対応した専門性の高い技術者たちが自由な発想で研究開発を展開できるように、フレキシブルに開発体制を見直しております。全社共通の基盤技術に磨きをかけるとともに、中長期で製品化を目指す開発に注力しております。「技術を繋ぐ、未来に備える」をスローガンに、当社グループの技術をお客様へ繋ぐことを目指し、未来の社会へ備えて、お客様の役に立つ開発を進めております。
受動部品事業分野では、コア技術を活かした次世代積層セラミックチップコンデンサやインダクタ製品ならびにEMC対策部品などの小型化、高性能化を進めております。また、高周波化が進むモジュール製品に適した部品の開発も強化しております。
センサ応用製品事業分野では、センサエレメントの高精度化に加え、高機能・高信頼パッケージング技術の開発を進めております。
磁気応用製品事業分野では、高性能希土類磁石や次世代フェライト磁石の製品化、次世代高記録密度ヘッドの開発及びハイブリッド自動車/電気自動車用デバイスの開発を強化しております。また、省エネルギーが訴求される社会情勢に適した高効率電源の開発にも注力し、二酸化炭素排出量の削減も進めております。さらに希土類元素原料の高騰による販売価格上昇を避けるために、希土類元素使用量の削減と希土類元素を使用しない磁石開発にも開発資源を投入しております。
エナジー応用製品事業分野では、次世代リチウム電池材料の開発を進めております。
これらの研究開発活動については、市場の変化を捉えた技術戦略を基に、上記の重点市場において今後の成長が期待される戦略成長製品(センサ・アクチュエータ、エネルギーユニット、次世代電子部品)の開発に注力するとともに、日本、北米、欧州、中国の4極に開発拠点を設置し、各地域の最先端企業や研究開発機関との連携によるFirst to Market製品の開発を展開しています。特に、センサはIoTには欠かせない重要なデバイスであり、その実現に必要な技術資産を有する企業との協業も視野にいれながらセンサ技術とソフトウェアを組み合わせたセンサフュージョンにより、革新的な次世代製品創出、新しいプラットフォームの提供を目指してまいります。
当社グループの研究開発活動において、優秀な人材の確保と人材育成、及び最先端技術の導入、そして当社グループが保有していない技術については国内のみならず海外の公的機関、大学、研究機関との産官学アライアンスを積極的に進めております。特に、東京工業大学とは、組織的連携協定を締結し、独自性の高い共同研究などを進めており、卓越大学院プログラム事業にも協賛しております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、前連結会計年度比2.0%増の117,489百万円(売上高比8.6%)であります。