有価証券報告書-第42期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/25 13:34
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124項目

事業等のリスク

当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性のあるものとして以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) グループによる事業推進体制に関するリスク
当社グループは、「MAGIC FACTORY」をキーワードとして「誠実な精神をもって、映像コミュニケーションにおける新たな価値創造につとめ、人々に楽しい驚きを与える“魔法の工場”をめざす」ことを基本理念として、テレビ番組・CM、デジタルシネマ等の映像・音声の編集・加工を行う映像技術サービス事業、映像の企画・制作を行う映像ソフト事業、BS・CSデジタル放送の運営、番組制作及び調達を行う放送事業、映像制作システムの開発及び販売を行う映像システム事業、クリエイティブ分野に特化した人材派遣を行う人材コンサルティング事業、映像コンテンツを世界各国で流通させるための吹き替えや字幕付け等のサービスを展開するメディア・ローカライゼーション事業に至るまで、広く映像関連事業を展開しておりますが、グループとしての一体的な組織体制の実現と各事業特性に則した運営体制の整備を目的として持株会社体制を採用しております。
当社グループは、当社(持株会社)を中心に、子会社68社及び関連会社2社で構成されており、中長期事業計画に基づいた目標の共有、各社の特色を活かした運営とその成果をグループに還元できる仕組みの構築、M&Aを含めた投資や出資及び他社との提携を積極的に推進することによって、グループとしての成長を加速させる所存であります。
持株会社体制の下で機動的かつ効果的なグループ経営を行うため、当社はグループ全体の戦略立案と事業調整を担当しており、また新規の事業展開や投資を行う際には、十分な事前調整を行い、収益性、将来性及び投資回収可能性を勘案したうえで意思決定を行っております。
しかしながら、当社グループが事業推進体制の中で想定したそれぞれの役割分担が機能しなかった場合や、事業計画が環境変化などの要因により想定どおりに進まなかったり、多額の投資や財務的コミットメントにも拘らず予定した成果が得られなかった場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 映像技術の変化に関するリスク
当社グループの属する映像関連業界におきましては、デジタル化・ネットワーク化による技術革新が著しく、その進行スピードが及ぼす範囲によっては、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
① 映像の制作工程の変化
撮影から合成、特殊効果、編集、色補正といった映像作品に係る制作工程が、ほぼデジタルへと移行しましたが、映像制作のインフラとなる技術規格において、当社グループの予想と異なる形態が主流となった場合には、当社グループの競争優位性の低下や競合の激化、又は新規設備投資に係るリスクが増大する可能性があります。
② 映像のメディアの変化等
テレビ放送や映像作品の配給や上映についてもデジタル化が波及しておりますが、とりわけ劇場映画分野においては、上映のデジタル化が新たな記録メディアや衛星・ネットワーク配信といった媒体の利用を促し、当社グループの映画関連技術サービスに対する需要に影響を及ぼす可能性があります。また、インターネット等に代表される非パッケージ系の新しい映像媒体は、既存のパッケージ系媒体(磁気テープや光ディスク等)を補完していく一方、確実に市場でのシェアを伸ばしていくものであろうと想定しております。
当社グループはこうした映像技術の変化に対し常に積極的に取り組み、多様なメディアに対し革新的な映像技術サービスを提供できるよう新規技術導入や事業体制の整備を推進しておりますが、将来において当社グループの予想以上にメディアの新旧交代が進展して既存のメディア市場が縮小する場合、あるいは映像関連機器に関する技術革新が当社グループの予想を超えて進行した場合には、当社グループが保有する映像関連設備が陳腐化し、現行の商品・サービスから得られる収益も縮小する可能性があります。
(3) 映像製作及び買付のための投資に関するリスク
当社グループでは、映画をはじめとした各種メディア向けコンテンツやパッケージ商品の製作を、全額出資又は共同出資で行い、製作収益(共同出資の場合は収益分配金)や版権収入ならびに二次使用権等による収益を確保しております。出資の決定に際しては、事前の市場調査を行うとともに、収益性やリスク要因を検討した上で出資しておりますが、出資等に係る他の関係者や市場の反応を完全に予見することは極めて困難であることに加え、有望な映像作品の獲得競争になるため、希望する映像作品を全て見込みの契約金額で獲得できるとは限りません。これらの要因により、当初計画した収益が確保できない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) グローバル事業に関するリスク
当社グループは、SDI Media Group, Inc.の買収により、映像コンテンツを世界各国で流通させるための吹き替えや字幕付け等のメディア・ローカライゼーションサービスを平成27年4月より開始しております。今後は同社のノウハウや人脈といった強みを最大限に活かしながら、事業展開を図っていく方針です。しかしながら、当社グループが事業展開を図っていく様々な国や地域における政治的、経済的状況等の変化や外国為替相場の変動等が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 研究開発投資に関するリスク
当社グループは、当連結会計年度において13億83百万円の研究開発費を販売費及び一般管理費に計上しております。原則として2年以内に開発が終了するテーマを設定して開発投資を行っておりますが、研究開発投資の結果(成果)が必ずしも収益につながる保証がないため、当該研究開発投資負担が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 特定の取引先への依存によるリスク
当社グループの事業によっては、特定の取引先に対する取引比率が高くなっております。今後とも特定の取引先との安定的な取引の確保に努めてまいりますが、これらの取引先に突発的又は予想外の事態が発生し、取引が困難となった場合、その度合いにより当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 為替相場の変動リスク
当社グループは、欧米を中心とした海外事業を展開しているほか、輸出入取引において為替変動リスクを負っています。今後も海外への輸出販売及び海外商材の輸入に注力する考えであり、外貨建輸出入取引のバランス調整等によるリスクヘッジ及び必要に応じた為替予約を行っておりますが、急激な想定外の為替変動や取引高の増加等があった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 景気変動に関するリスク
当社グループの事業のうちテレビCM関連の制作・ポストプロダクションビジネスは、企業の景気低迷時における広告支出抑制の影響を受け、受注件数及び受注金額が低減する傾向があります。企業の広告支出を収益源とするテレビ番組についても、二次的にではありますが同様の傾向があるため、結果として当社グループの売上に影響する可能性があります。但し、劇場映画やDVD分野は景気や季節要因の影響を比較的受けにくい傾向があることから、当社グループは、景気動向による業績変動を、グループ全体としてはある程度吸収できる事業ポートフォリオの構築に努めております。しかしながら、当社グループの想定以上に企業の広告支出が抑制された場合等には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 売上計上及び収益発生時期に関するリスク
当社グループの事業においては、受注したプロジェクトの規模や内容が予想と大きく乖離する場合や、納入時期が変更となって売上・収益の計上が翌月、翌四半期あるいは翌連結会計年度にずれ込む場合があります。特にCMやテレビ関連の制作・ポスプロ事業は広告主の宣伝広告費の予算執行やテレビ局の番組改編に連動するため他の月に比較して9月及び3月の期末付近に売上や収益が集中する傾向があり、期ずれの額の大きさによっては各々の期間における当社グループの経営成績に変動が生じる可能性があります。
(10) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループでは、業務を受託する際に、委託先よりプライバシーマークの取得をはじめとして情報管理の徹底を求められるケースが増加傾向にあり、現時点において、当社の連結子会社である株式会社IMAGICA、株式会社ロボット、株式会社イマジカデジタルスケープ、株式会社IMAGICAイメージワークス及び株式会社ピクスがプライバシーマークを取得しております。当社グループでは引続き従業員の情報管理に対する意識を高めると同時に、社内管理体制を整備し組織的・システム的に対応してまいります。しかしながら、現状のリスク管理水準を超えた不測の事態の発生、あるいは第三者による不正アクセス等により顧客情報が流出した場合には、社会的信用の低下や損害賠償請求による不測のコストが発生する等、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 取引等に伴うリスク
① 契約書等の取り交わしについて
当社グループの属する映像関連業界においては、類似の内容で受発注を繰り返す傾向が強く、一回ごとの取引において契約書等を取り交わさないケースがあります。当社グループでは取引上のトラブルを未然に回避すべく、取引の基本条件を予め取り交わすとともに、取引に関しては見積書や注文書等の書面を取り交わすよう努めております。現時点において、当社グループではこれらの方法により取引上のトラブルを回避することは可能と考えておりますが、今後におきましては顧客との契約締結に努めていく所存であります。しかしながら、当社グループの要請等にもかかわらず、一部顧客においては諸事情より書面による契約がなされないことが考えられ、その結果、不測の事故又は係争が生じる可能性があります。
② 作業内容に関するリスク
映像制作業界においては、事前に受注内容の全てを確定させることが難しいうえ、作業の進捗過程で実際の受注内容が変更になる等、最終的な作業内容と取引金額が作品制作完了まで決まらない場合があります。当社グループでは、作品や受注案件ごとに関係各社との事前交渉を確実に行うほか、制作過程での作業内容管理を徹底すること等により、当初計画した売上との差異を縮小するよう努めております。しかしながら、作業内容が極端に変更になった場合や、作品受注金額が予定を下回って確定する場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 売上債権管理上のリスク
当社グループの映像技術サービス事業におきましては、比較的小規模な制作プロダクションからの受注も多いため、撮影延期や撮り直し等の理由により制作費が予算を超過した場合、あるいは制作案件が頓挫した場合においては、代金の一部又は全部の回収が困難になる可能性があります。当社グループでは、与信及び売掛債権の管理をより一層強化していく方針ですが、予測不能な事態が生じた場合には売上債権の回収に支障をきたす場合があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 人材の確保に関するリスク
映像技術サービス事業を中心とした映像技術分野に要する人材につきましては、従来からの安定した人事制度と、映画を中心とした映像加工・処理分野における当社グループの高いブランド力により必要な人材の確保ができているものと考えております。しかしながら、加速し続ける映像制作のデジタル化に対応するためのデジタル技術スタッフの補強が競合他社との人材獲得競争に晒されると、市場の需要に対応する人員体制を整えることが現在ほど容易でなくなる可能性があります。映像制作分野においては、高いクリエイティビティ(創造性)と高い専門性、加えて豊富な業界経験を有する人材の確保が必要とされます。当社グループでは、優秀な人材の獲得と育成に力をいれておりますが、場合によっては必要な人材の確保が充分にできない可能性があります。映像システムやLSIの開発分野においては高度な専門知識を有する開発技術者が必要とされます。日頃より開発技術者の獲得と育成には注力しておりますが、当該技術者の突発的な退職や計画どおりに増員ができない場合も考えられます。
上記のように人材の確保が充分に行えない場合には、当社グループの事業運営に支障をきたし、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 投資有価証券の保有に関するリスク
当社グループでは、総合映像企業集団としての事業展開をより効果的に進めるために、事業上の提携会社の株式(有価証券)を取得することがあります。株式の取得に際しては、対象企業の経営状況及び将来の事業計画等についての事前調査を行い、当社グループとの事業シナジー・収益性・リスク要因等を総合的に勘案して実施いたしますが、それらの要素を完全に予測することは困難であります。将来、対象企業の事業展開が当初計画を下回る等、企業価値が低下した場合には、当社グループが取得した有価証券に関して減損処理を余儀なくされることもあり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 法的規制に関するリスク
当社グループは、放送法及び、著作権法、下請代金支払遅延等防止法、個人情報保護法等の法令及び諸規制の適用を受けております。映像システム事業では国外で事業を展開しているため、各国の法的規制の適用を受けております。当社グループでは、法令遵守を徹底しており、現時点において違反等の問題はございませんが、将来にわたって新たな法令及び諸規制が制定され当社グループの事業に適用された場合、当社グループの事業はその制約を受けることとなります。また現行の法令及び各種規制が将来においても引き続きそのままの形で適用されるという保証はなく、その内容が強化された場合や解釈が変化した場合には、業界及び当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
また、人材コンサルティング事業のうちの「人材派遣・請負サービス」を構成する一般労働者派遣事業(人材派遣事業)は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」の規制を受け、厚生労働大臣の許可を受けなければ事業を行うことはできません。人材派遣事業は、派遣される労働者の雇用形態により「特定労働者派遣事業」と「一般労働者派遣事業」に区分されております。特定労働者派遣事業は、派遣される労働者が派遣元に常時雇用されている派遣事業であり、当該事業は届出制となっております。一方、一般労働者派遣事業は、派遣を希望する労働者を登録しておき、労働者を派遣する際にその登録されている労働者の中から条件に合致する労働者を雇い入れた上で派遣する派遣事業であり、労働者派遣法第5条に基づき、当該事業は厚生労働大臣による許可制となっております。
更に、「人材紹介サービス」を構成する有料職業紹介事業は、職業安定法の規制を受けており、人材派遣事業と同様に厚生労働大臣の許可を受けなければ事業を行うことはできません。職業紹介事業は、求人及び求職の申込を受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立を斡旋する事業であります。また、有料職業紹介事業とは、職業紹介事業について手数料又は報酬を受けて行う事業であり、職業安定法第30条第1項に基づく厚生労働大臣の許可を受けて行うことができます。
今後規制が強化された場合に、労働力の機動的確保が困難となる等、法改正の如何によっては当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 知的財産権に関するリスク
当社グループが制作又は調達する映像コンテンツは、著作権や肖像権ならびに商標権等多様な知的財産権を含んでおり、当社グループでは各種知的財産権への抵触や侵害が発生しないよう、権利の帰属、範囲及び内容等を契約等により明確にし、事前調査を行う等万全の注意を払っております。
しかしながら、業務処理上の過失、注意義務違反、契約違反や著作権を含む知的財産権の侵害等を理由として、当社グループが顧客や製作者あるいは権利保有者から知的財産権の侵害としてクレームを受けたり、提訴されたりする可能性を完全に排除することはできません。当該クレームの程度と経過によっては、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 訴訟等に関するリスク
当連結会計年度末現在において、当社グループでは会社の経営成績に重要な影響を与える訴訟は発生しておりません。今後とも事業運営に係る各種リスクの防止に努めるとともに、法的リスクに対応できる体制を構築するほか、弁護士等の第三者からの助言を受け、法令を遵守した事業運営を行ってまいります。しかしながら当社グループは、当社グループの製品、サービス、作品等の内容に関連して提起される、取引先、各種団体、消費者又は各種知的財産権の所有者等による訴訟に、直接又は間接的に関与する可能性があり、その程度と経過によっては、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 自然災害等の発生に関するリスク
当社グループは、多数の映像に係る設備や工場、人材派遣等の事業展開を行っております。自然災害による人的あるいは物的な直接被害の発生や、災害に起因する社会的要請等により事業活動の継続に支障をきたす場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。