有価証券報告書-第91期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態、経営成績等の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境につきましては、期の前半は国内においては雇用など回復基調が続き、消費増税の影響は軽減税率導入やキャッシュレス決済のポイント還元などの政府の施策により、限定的なものとなりました。しかしながら、期を通じて当社グループが属しているエレクトロニクス分野を中心に需要が停滞し、米国・中国をはじめとする各国の政策や貿易摩擦の継続、欧州経済の動向などに加え、第4四半期連結会計期間において国内外で新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりサプライチェーン、消費などの経済活動がさらに停滞し、先行き不透明な状況で推移しました。
このような状況のなか、当社グループは「Smart Energy Partnerとして、先進技術を結集し、お客様に電気エネルギーを安心して効率的に活用いただき、持続可能な社会の実現と発展に貢献する」というVisionと10年後のあるべき姿の実現に向けて2020年度をスタート年度とする中期事業計画「R1」を策定しました。この実現に向けて当該中期事業計画「R1」でYear 0と位置付けた当連結会計年度は、電子事業の一部の事業譲渡や転進支援制度実施にもとづく人員の適正化などの構造改革と事業ポートフォリオ再編に向けた取り組みと、SMD対応小型全固体電池や水素/空気二次電池、ニッケル亜鉛電池といった次世代電池の開発、現行ビジネスにおいては工業用途向け電池の事業拡大に努めました。さらに、長持ち・長期保存・耐漏液性能を向上させたFUJITSUアルカリ乾電池「Premium S」を発売し、市販用途向けニッケル水素電池とともにコンシューマ市場で特に最需要期を迎えるクリスマス・年末商戦での拡販に努めました。
また、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大しサプライチェーンも混乱する状況において、テレワーク・時差通勤などの感染拡大防止策を実施しながら製品の製造、お客様への製品供給など事業の継続に努めました。
当連結会計年度の経営成績につきましては、電池事業の売上高は、当社グループが成長の柱として位置付けている工業用途向けニッケル水素電池とスマートメータ用途向けリチウム電池で売上が増加したものの、国内外の市販用途向け電池で中国勢との競争が激化したことによる影響が大きく、事業全体として減収となりました。電子事業の売上高は前連結会計年度に実施した海外製造子会社の閉鎖や一部事業の譲渡により、事業全体の売上高が減少しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べ99億89百万円(13.9%)減の621億23百万円となりました。
損益面につきましては、電池事業はコストダウンや費用の削減に取り組んだものの、ニッケル水素電池とアルカリ乾電池が市販用途向けでの売上減により減益となりました。一方、電子事業は高付加価値製品への切り替えや固定費削減などの選択と集中による損益の改善により、損失幅が縮小しました。この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ17百万円増加の8億41百万円となり、経常利益は固定資産除却損2億84百万円の計上などにより前連結会計年度に比べ1億53百万円減少の5億65百万円となりました。また、電子事業の一部の事業譲渡に伴なう事業譲渡損失7億45百万円や持分法適用関連会社の持分譲渡に伴なう関係会社出資金売却益3億31百万円、転進支援に伴なう事業構造改善費用8億64百万円、海外子会社などにおける固定資産の減損損失13億17百万円の特別損益を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は23億40百万円(前連結会計年度は2億90百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
電池事業
電池事業は工業用途向け電池や設備関連ビジネスが堅調に推移したものの、市販用途向け電池が減少したことにより、前連結会計年度を下回りました。
製品別につきましては、ニッケル水素電池は、工業用途向け商談受注は増加しましたが、国内外の市販用途向けが減少したことにより、前連結会計年度並みとなりました。アルカリ乾電池は、セットインなどの工業用途向けが堅調に推移し、自然災害対策の需要にお応えすることで事業を通じた社会貢献に努めましたが、国内外の市販用途向けが減少したことにより、前連結会計年度を下回りました。リチウム電池は、国内の住警器用途向けが減少した一方、国内外のセキュリティ・スマートメータ用途向けが堅調に推移したことにより、前連結会計年度を上回りました。設備関連ビジネスは、設備需要が堅調に推移し、前連結会計年度並みとなりました。
その結果、当事業全体の売上高は、前連結会計年度に比べ26億97百万円減少の450億65百万円、セグメント利益は5億26百万円減少の15億14百万円となりました。
電子事業
電子事業は前連結会計年度に実施した海外製造子会社の閉鎖に伴なう液晶ディスプレイ用信号処理モジュールの減少やDC-DCパワーモジュール、スイッチング電源などがいずれも減少したことに加え、電子事業の一部の事業譲渡に伴なう売上減により、前連結会計年度を下回りました。
製品別につきましては、DC-DCパワーモジュールは、サーバ・ストレージ用途向けなどが減少したことにより、前連結会計年度を下回りました。液晶ディスプレイ用信号処理モジュールは、海外製造子会社の閉鎖の影響や産業機器用途向けなどが減少したことにより、前連結会計年度を下回りました。スイッチング電源は、半導体・液晶製造装置用途向けが減少したことにより、前連結会計年度を下回りました。トナーは、堅調に推移し、前連結会計年度並みとなりました。
その結果、当事業全体の売上高は、前連結会計年度に比べ72億92百万円減少の170億57百万円、セグメント損失は6億73百万円(前連結会計年度は12億17百万円のセグメント損失)となりました。
当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比べ64億59百万円(△11.9%)減の476億85百万円となりました。流動資産は前連結会計年度に比べ37億59百万円(△10.1%)減の333億26百万円、固定資産は前連結会計年度に比べ27億円(△15.8%)減の143億59百万円となりました。流動資産減少の主な要因は、現金及び預金が3億28百万円増加しましたが、受取手形及び売掛金が31億28百万円、仕掛品が7億64百万円それぞれ減少したことによるものです。固定資産減少の主な要因は、減損損失の計上などにより有形固定資産が24億7百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度に比べ29億18百万円(△6.7%)減の409億46百万円となりました。流動負債は前連結会計年度に比べ17億79百万円(△4.7%)減の360億95万円、固定負債は前連結会計年度に比べ11億38百万円(△19.0%)減の48億50百万円となりました。流動負債減少の主な要因は、電子記録債務が32億9百万円、短期借入金が4億円それぞれ増加しましたが、支払手形及び買掛金が46億96百万円、未払金が4億15百万円それぞれ減少したことによるものです。固定負債減少の主な要因は、長期未払金が4億87百万円、退職給付に係る負債が3億79万円それぞれ減少したことによるものです。
なお、有利子負債残高は、前連結会計年度に比べ31百万円減の191億82百万円となりました。
当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度に比べ35億40百万円(△34.4%)減の67億39百万円となりました。純資産減少の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上などにより利益剰余金が23億46百万円、為替換算調整勘定が9億16百万円それぞれ減少したことによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失の計上や仕入債務の減少、退職給付に係る負債の減少などによる現金及び現金同等物(以下「資金」という)の減少はありましたが減価償却費や減損損失の計上、売上債権やたな卸資産の減少などにより27億99百万円の資金増加(前連結会計年度は16億2百万円の資金増加)となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡による支出や有形固定資産の取得による支出などにより23億90百万円の資金減少(前連結会計年度は18億60百万円の資金減少)となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、ファイナンス・リース債務の返済による減少はありましたが、短期借入金の増加などにより99百万円の資金増加(前連結会計年度は52億82百万円の資金増加)となりました。
これらの結果、当連結会計年度における資金の期末残高は期首残高より3億28百万円増加し、90億63百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。
なお、個々の「重要な会計方針及び見積り」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表、注記事項、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループは、独立してキャッシュ・フローを生み出す最小単位として会社別事業部別を基礎としてグルーピングを行なっております。固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、当社グループが販売している電池や電子製品の売れ行きに影響し、当社グループの業績への影響も懸念されます。当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響は半年程度で概ね収束すると仮定し、連結財務諸表作成時において入手可能な情報にもとづき、会計上の見積りを行なっております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの連結売上高は、621億23百万円(前連結会計年度比13.9%減)となりました。電池事業のリチウム電池、電子事業のトナーの売上増があったものの、電子事業の液晶ディスプレイ用信号処理モジュールやスイッチング電源、電池事業のアルカリ乾電池やニッケル水素電池などの売上減により、売上高は前連結会計年度を下回りました。連結営業利益は、電子事業における一部事業譲渡や高付加価値製品への切り替え、選択と集中などの事業構造改革効果による損失幅の縮小が、電池事業における市販用途向けのニッケル水素電池とアルカリ乾電池の売上減による利益の目減りをカバーしたことで、営業利益は前連結会計年度に比べ17百万円増加の8億41百万円となりました。
当社グループは営業利益率を経営の主指標としております。これは当社グループにおいては本業での収益性の向上が最も重要な課題であると認識しているためであります。当連結会計年度における営業利益率は前連結会計年度に比べ0.3ポイント増加したものの、1.4%と低い水準であり、向上のための有効な施策が必要であると認識しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであることに加え、当社グループ事業の製品の売上は、電池事業においては電池が使用される機器の拡大・縮小や使用数の影響を受け、また、電子事業は主たる顧客であるエレクトロニクス関連のセットメーカーの製品やサービスの売れ行きに影響を受けるなど、当社グループが管理できない要因により大きな影響を受けます。
また、当社電池製品の主要材料であるニッケル、亜鉛、リチウム、レアアース類は需給バランスや投機的要因などにより価格が大きく変動するため、材料費に大きな影響を与えます。
さらに、当社グループの売上高の44.6%は海外ビジネスであるため、為替レートの変動により円換算による増減の影響を与えます。
主にこれらの要因が当社グループの経営成績、事業の収益性に影響するものと認識しております。そのため、当社は、毎月1回受注状況、受注見込み、年間予算とのかい離などの最新の業績の状況を把握するとともに、必要な改善の立案、実施を行なっております。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、当社グループは、主に当社グループ事業の継続性の確保と収益性向上を図るため、その生産設備類の維持・更新、能力増強を主とした設備投資を継続しており、その財源は営業活動から得られたキャッシュ・フローおよび外部より調達した資金を主としております。
セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりであります。
電池事業
当連結会計年度における電池事業の売上高は前連結会計年度から減少しており、営業利益率は3.4%にとどまっております。売上高の確保・拡大のためには需要が伸張する地域、販路、市場、新規機器メーカーへの拡販が必要であるとの認識のもと、マーケティング、営業力の強化に努めております。市販用途向けニッケル水素電池、アルカリ乾電池はコモディティ化が進んでいるため、品質、特性面での差別化、商品力の強化をすすめ、売上拡大と利益率の維持・向上を図っております。
また、電池の主要材料価格の変動に関しては、適切な時期での予約などの施策に加え、材料使用量の低減、より安価な材料へのシフトなどの技術VEとコストダウンを行ない、対応力の強化に努めております。
さらに、為替変動のリスクに関しては、当社のグローバルな生産体制を活かした最適地生産、外貨建て材料購入の活用強化などにより対処を図っております。
電子事業
電子事業は前連結会計年度に比べ大幅に改善したものの、営業損失の状態が継続しております。
電子事業に関しましては、既存製品は新たなコンセプトの下で再生・成長を目指し、事業価値を向上させる必要があると認識しており、当連結会計年度においては一部製品の事業譲渡や高付加価値製品への選択と集中に加え、電源バックアップ用途、エネルギー使用効率改善用途など当社電池製品に留まらず様々なパートナー様とのシナジー効果が創出できるような事業の検討など、これまでの技術力を活用したポートフォリオの再生・再編を図っております。
③ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況は、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載した方針にもとづき、当社グループは「Smart Energy Partnerとして、先進技術を結集し、お客様に電気エネルギーを安心して効率的に活用いただき、持続可能な社会の実現と発展に貢献する」というVisionと10年後のあるべき姿の実現に向けて2020年度をスタート年度とする中期事業計画「R1」を策定し、当該中期事業計画「R1」でYear 0と位置付けた当連結会計年度の経営上の目標として、売上高600億円、営業利益7億円、経常利益5億円を目指してまいりました。
その結果、当連結会計年度における売上高は621億23百万円、営業利益は8億41百万円、経常利益は5億65百万円、親会社株主に帰属する当期純損失23億40百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失はFDKグループ戦略Framework「10年の計」と中期事業計画「R1」を達成するため、事業ポートフォリオ再編に向けた事業構造改善費用や将来予想される負のコストを減らすための費用を計上したことで目標値を下回りましたが、売上高と営業利益、経常利益は目標値を上回りました
このようになった主な要因としましては、売上高は電池・電子の両事業ともに海外向けビジネスが堅調で目標値を上回りました。営業利益は電池事業におけるニッケル水素電池やリチウム電池の売上増やコストダウン、費用の削減により目標値を上回りました。経常利益は、固定資産除却損を計上いたしましたが、目標値を上回りました。前述のとおり、電子事業の一部の事業譲渡に伴なう事業譲渡損失や事業規模に見合った人員の最適化を図ることを目的に実施した転進支援に伴なう事業構造改善費用などを特別損失として計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は目標値を下回りました。
<2020年3月期の目標と結果>
なお、前述のとおり当社グループは、10年後のあるべき姿を示したFDKグループ戦略Framework「10年の計」と2020年度を初年度とする中期事業計画「R1」を策定いたしました。中期事業計画「R1」の最終年度である2022年度に売上高600億円、営業利益率5.1%、10年後の2029年度に売上高800億円、営業利益率7.5%を経営上の目標として取り組んでまいります。
一方、直近の年度である2021年3月期の見通しにつきましては、世界各国における新型コロナウイルス感染症の感染拡大および当社グループの国内外の営業状況等を踏まえ現時点では未確定要素が多いことから、適正かつ合理的な業績予想の算出が困難な状況のため、連結業績予想を「未定」とさせていただきます。
今般の新型コロナウイルス感染症の当社の業績等への影響につきましては、当社が販売している電池や電子製品は、使用される機器の使用数やエレクトロニクス関連のセットメーカーの製品やサービスの売れ行きに大きく影響を受けるものであります。欧州での市場の冷え込みに伴ない今期増加を見込んでいた車載向けなどモビリティ用途向けの減少リスクがある一方、医療関係や新たな生活様式での需要増も見込まれており、未だ不透明な状況です。
今後、新型コロナウイルス感染症に有効なワクチン開発などを含め、同感染症の収束時期が見通せない状況ではございますが、事業活動への影響度合いの状況確認が進み、適正かつ合理的な算出が可能になりましたら、速やかに開示いたします。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態、経営成績等の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境につきましては、期の前半は国内においては雇用など回復基調が続き、消費増税の影響は軽減税率導入やキャッシュレス決済のポイント還元などの政府の施策により、限定的なものとなりました。しかしながら、期を通じて当社グループが属しているエレクトロニクス分野を中心に需要が停滞し、米国・中国をはじめとする各国の政策や貿易摩擦の継続、欧州経済の動向などに加え、第4四半期連結会計期間において国内外で新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりサプライチェーン、消費などの経済活動がさらに停滞し、先行き不透明な状況で推移しました。
このような状況のなか、当社グループは「Smart Energy Partnerとして、先進技術を結集し、お客様に電気エネルギーを安心して効率的に活用いただき、持続可能な社会の実現と発展に貢献する」というVisionと10年後のあるべき姿の実現に向けて2020年度をスタート年度とする中期事業計画「R1」を策定しました。この実現に向けて当該中期事業計画「R1」でYear 0と位置付けた当連結会計年度は、電子事業の一部の事業譲渡や転進支援制度実施にもとづく人員の適正化などの構造改革と事業ポートフォリオ再編に向けた取り組みと、SMD対応小型全固体電池や水素/空気二次電池、ニッケル亜鉛電池といった次世代電池の開発、現行ビジネスにおいては工業用途向け電池の事業拡大に努めました。さらに、長持ち・長期保存・耐漏液性能を向上させたFUJITSUアルカリ乾電池「Premium S」を発売し、市販用途向けニッケル水素電池とともにコンシューマ市場で特に最需要期を迎えるクリスマス・年末商戦での拡販に努めました。
また、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大しサプライチェーンも混乱する状況において、テレワーク・時差通勤などの感染拡大防止策を実施しながら製品の製造、お客様への製品供給など事業の継続に努めました。
当連結会計年度の経営成績につきましては、電池事業の売上高は、当社グループが成長の柱として位置付けている工業用途向けニッケル水素電池とスマートメータ用途向けリチウム電池で売上が増加したものの、国内外の市販用途向け電池で中国勢との競争が激化したことによる影響が大きく、事業全体として減収となりました。電子事業の売上高は前連結会計年度に実施した海外製造子会社の閉鎖や一部事業の譲渡により、事業全体の売上高が減少しました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べ99億89百万円(13.9%)減の621億23百万円となりました。
損益面につきましては、電池事業はコストダウンや費用の削減に取り組んだものの、ニッケル水素電池とアルカリ乾電池が市販用途向けでの売上減により減益となりました。一方、電子事業は高付加価値製品への切り替えや固定費削減などの選択と集中による損益の改善により、損失幅が縮小しました。この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ17百万円増加の8億41百万円となり、経常利益は固定資産除却損2億84百万円の計上などにより前連結会計年度に比べ1億53百万円減少の5億65百万円となりました。また、電子事業の一部の事業譲渡に伴なう事業譲渡損失7億45百万円や持分法適用関連会社の持分譲渡に伴なう関係会社出資金売却益3億31百万円、転進支援に伴なう事業構造改善費用8億64百万円、海外子会社などにおける固定資産の減損損失13億17百万円の特別損益を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は23億40百万円(前連結会計年度は2億90百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
電池事業
電池事業は工業用途向け電池や設備関連ビジネスが堅調に推移したものの、市販用途向け電池が減少したことにより、前連結会計年度を下回りました。
製品別につきましては、ニッケル水素電池は、工業用途向け商談受注は増加しましたが、国内外の市販用途向けが減少したことにより、前連結会計年度並みとなりました。アルカリ乾電池は、セットインなどの工業用途向けが堅調に推移し、自然災害対策の需要にお応えすることで事業を通じた社会貢献に努めましたが、国内外の市販用途向けが減少したことにより、前連結会計年度を下回りました。リチウム電池は、国内の住警器用途向けが減少した一方、国内外のセキュリティ・スマートメータ用途向けが堅調に推移したことにより、前連結会計年度を上回りました。設備関連ビジネスは、設備需要が堅調に推移し、前連結会計年度並みとなりました。
その結果、当事業全体の売上高は、前連結会計年度に比べ26億97百万円減少の450億65百万円、セグメント利益は5億26百万円減少の15億14百万円となりました。
電子事業
電子事業は前連結会計年度に実施した海外製造子会社の閉鎖に伴なう液晶ディスプレイ用信号処理モジュールの減少やDC-DCパワーモジュール、スイッチング電源などがいずれも減少したことに加え、電子事業の一部の事業譲渡に伴なう売上減により、前連結会計年度を下回りました。
製品別につきましては、DC-DCパワーモジュールは、サーバ・ストレージ用途向けなどが減少したことにより、前連結会計年度を下回りました。液晶ディスプレイ用信号処理モジュールは、海外製造子会社の閉鎖の影響や産業機器用途向けなどが減少したことにより、前連結会計年度を下回りました。スイッチング電源は、半導体・液晶製造装置用途向けが減少したことにより、前連結会計年度を下回りました。トナーは、堅調に推移し、前連結会計年度並みとなりました。
その結果、当事業全体の売上高は、前連結会計年度に比べ72億92百万円減少の170億57百万円、セグメント損失は6億73百万円(前連結会計年度は12億17百万円のセグメント損失)となりました。
当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比べ64億59百万円(△11.9%)減の476億85百万円となりました。流動資産は前連結会計年度に比べ37億59百万円(△10.1%)減の333億26百万円、固定資産は前連結会計年度に比べ27億円(△15.8%)減の143億59百万円となりました。流動資産減少の主な要因は、現金及び預金が3億28百万円増加しましたが、受取手形及び売掛金が31億28百万円、仕掛品が7億64百万円それぞれ減少したことによるものです。固定資産減少の主な要因は、減損損失の計上などにより有形固定資産が24億7百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度に比べ29億18百万円(△6.7%)減の409億46百万円となりました。流動負債は前連結会計年度に比べ17億79百万円(△4.7%)減の360億95万円、固定負債は前連結会計年度に比べ11億38百万円(△19.0%)減の48億50百万円となりました。流動負債減少の主な要因は、電子記録債務が32億9百万円、短期借入金が4億円それぞれ増加しましたが、支払手形及び買掛金が46億96百万円、未払金が4億15百万円それぞれ減少したことによるものです。固定負債減少の主な要因は、長期未払金が4億87百万円、退職給付に係る負債が3億79万円それぞれ減少したことによるものです。
なお、有利子負債残高は、前連結会計年度に比べ31百万円減の191億82百万円となりました。
当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度に比べ35億40百万円(△34.4%)減の67億39百万円となりました。純資産減少の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上などにより利益剰余金が23億46百万円、為替換算調整勘定が9億16百万円それぞれ減少したことによるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失の計上や仕入債務の減少、退職給付に係る負債の減少などによる現金及び現金同等物(以下「資金」という)の減少はありましたが減価償却費や減損損失の計上、売上債権やたな卸資産の減少などにより27億99百万円の資金増加(前連結会計年度は16億2百万円の資金増加)となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡による支出や有形固定資産の取得による支出などにより23億90百万円の資金減少(前連結会計年度は18億60百万円の資金減少)となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、ファイナンス・リース債務の返済による減少はありましたが、短期借入金の増加などにより99百万円の資金増加(前連結会計年度は52億82百万円の資金増加)となりました。
これらの結果、当連結会計年度における資金の期末残高は期首残高より3億28百万円増加し、90億63百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 電池事業 | 44,237 | △6.4 |
| 電子事業 | 15,908 | △34.5 |
| 合計 | 60,146 | △15.9 |
(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 電池事業 | 43,725 | △9.3 | 5,766 | △18.9 |
| 電子事業 | 16,169 | △34.4 | 2,972 | △23.5 |
| 合計 | 59,894 | △17.8 | 8,738 | △20.5 |
(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 電池事業 | 45,065 | △5.6 |
| 電子事業 | 17,057 | △29.9 |
| 合計 | 62,123 | △13.9 |
(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。
なお、個々の「重要な会計方針及び見積り」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表、注記事項、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループは、独立してキャッシュ・フローを生み出す最小単位として会社別事業部別を基礎としてグルーピングを行なっております。固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、当社グループが販売している電池や電子製品の売れ行きに影響し、当社グループの業績への影響も懸念されます。当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響は半年程度で概ね収束すると仮定し、連結財務諸表作成時において入手可能な情報にもとづき、会計上の見積りを行なっております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの連結売上高は、621億23百万円(前連結会計年度比13.9%減)となりました。電池事業のリチウム電池、電子事業のトナーの売上増があったものの、電子事業の液晶ディスプレイ用信号処理モジュールやスイッチング電源、電池事業のアルカリ乾電池やニッケル水素電池などの売上減により、売上高は前連結会計年度を下回りました。連結営業利益は、電子事業における一部事業譲渡や高付加価値製品への切り替え、選択と集中などの事業構造改革効果による損失幅の縮小が、電池事業における市販用途向けのニッケル水素電池とアルカリ乾電池の売上減による利益の目減りをカバーしたことで、営業利益は前連結会計年度に比べ17百万円増加の8億41百万円となりました。
当社グループは営業利益率を経営の主指標としております。これは当社グループにおいては本業での収益性の向上が最も重要な課題であると認識しているためであります。当連結会計年度における営業利益率は前連結会計年度に比べ0.3ポイント増加したものの、1.4%と低い水準であり、向上のための有効な施策が必要であると認識しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであることに加え、当社グループ事業の製品の売上は、電池事業においては電池が使用される機器の拡大・縮小や使用数の影響を受け、また、電子事業は主たる顧客であるエレクトロニクス関連のセットメーカーの製品やサービスの売れ行きに影響を受けるなど、当社グループが管理できない要因により大きな影響を受けます。
また、当社電池製品の主要材料であるニッケル、亜鉛、リチウム、レアアース類は需給バランスや投機的要因などにより価格が大きく変動するため、材料費に大きな影響を与えます。
さらに、当社グループの売上高の44.6%は海外ビジネスであるため、為替レートの変動により円換算による増減の影響を与えます。
主にこれらの要因が当社グループの経営成績、事業の収益性に影響するものと認識しております。そのため、当社は、毎月1回受注状況、受注見込み、年間予算とのかい離などの最新の業績の状況を把握するとともに、必要な改善の立案、実施を行なっております。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、当社グループは、主に当社グループ事業の継続性の確保と収益性向上を図るため、その生産設備類の維持・更新、能力増強を主とした設備投資を継続しており、その財源は営業活動から得られたキャッシュ・フローおよび外部より調達した資金を主としております。
セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりであります。
電池事業
当連結会計年度における電池事業の売上高は前連結会計年度から減少しており、営業利益率は3.4%にとどまっております。売上高の確保・拡大のためには需要が伸張する地域、販路、市場、新規機器メーカーへの拡販が必要であるとの認識のもと、マーケティング、営業力の強化に努めております。市販用途向けニッケル水素電池、アルカリ乾電池はコモディティ化が進んでいるため、品質、特性面での差別化、商品力の強化をすすめ、売上拡大と利益率の維持・向上を図っております。
また、電池の主要材料価格の変動に関しては、適切な時期での予約などの施策に加え、材料使用量の低減、より安価な材料へのシフトなどの技術VEとコストダウンを行ない、対応力の強化に努めております。
さらに、為替変動のリスクに関しては、当社のグローバルな生産体制を活かした最適地生産、外貨建て材料購入の活用強化などにより対処を図っております。
電子事業
電子事業は前連結会計年度に比べ大幅に改善したものの、営業損失の状態が継続しております。
電子事業に関しましては、既存製品は新たなコンセプトの下で再生・成長を目指し、事業価値を向上させる必要があると認識しており、当連結会計年度においては一部製品の事業譲渡や高付加価値製品への選択と集中に加え、電源バックアップ用途、エネルギー使用効率改善用途など当社電池製品に留まらず様々なパートナー様とのシナジー効果が創出できるような事業の検討など、これまでの技術力を活用したポートフォリオの再生・再編を図っております。
③ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況は、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載した方針にもとづき、当社グループは「Smart Energy Partnerとして、先進技術を結集し、お客様に電気エネルギーを安心して効率的に活用いただき、持続可能な社会の実現と発展に貢献する」というVisionと10年後のあるべき姿の実現に向けて2020年度をスタート年度とする中期事業計画「R1」を策定し、当該中期事業計画「R1」でYear 0と位置付けた当連結会計年度の経営上の目標として、売上高600億円、営業利益7億円、経常利益5億円を目指してまいりました。
その結果、当連結会計年度における売上高は621億23百万円、営業利益は8億41百万円、経常利益は5億65百万円、親会社株主に帰属する当期純損失23億40百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失はFDKグループ戦略Framework「10年の計」と中期事業計画「R1」を達成するため、事業ポートフォリオ再編に向けた事業構造改善費用や将来予想される負のコストを減らすための費用を計上したことで目標値を下回りましたが、売上高と営業利益、経常利益は目標値を上回りました
このようになった主な要因としましては、売上高は電池・電子の両事業ともに海外向けビジネスが堅調で目標値を上回りました。営業利益は電池事業におけるニッケル水素電池やリチウム電池の売上増やコストダウン、費用の削減により目標値を上回りました。経常利益は、固定資産除却損を計上いたしましたが、目標値を上回りました。前述のとおり、電子事業の一部の事業譲渡に伴なう事業譲渡損失や事業規模に見合った人員の最適化を図ることを目的に実施した転進支援に伴なう事業構造改善費用などを特別損失として計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は目標値を下回りました。
<2020年3月期の目標と結果>
| 指標 | 2020年3月期目標 | 2020年3月期実績 | 目標比 |
| 売上高 | 60,000百万円 | 62,123百万円 | 2,123百万円 |
| 営業利益 | 700百万円 | 841百万円 | 141百万円 |
| 経常利益 | 500百万円 | 565百万円 | 65百万円 |
| 親会社株主に帰属する当期純損失(△) | △2,000百万円 | △2,340百万円 | △340百万円 |
なお、前述のとおり当社グループは、10年後のあるべき姿を示したFDKグループ戦略Framework「10年の計」と2020年度を初年度とする中期事業計画「R1」を策定いたしました。中期事業計画「R1」の最終年度である2022年度に売上高600億円、営業利益率5.1%、10年後の2029年度に売上高800億円、営業利益率7.5%を経営上の目標として取り組んでまいります。
一方、直近の年度である2021年3月期の見通しにつきましては、世界各国における新型コロナウイルス感染症の感染拡大および当社グループの国内外の営業状況等を踏まえ現時点では未確定要素が多いことから、適正かつ合理的な業績予想の算出が困難な状況のため、連結業績予想を「未定」とさせていただきます。
今般の新型コロナウイルス感染症の当社の業績等への影響につきましては、当社が販売している電池や電子製品は、使用される機器の使用数やエレクトロニクス関連のセットメーカーの製品やサービスの売れ行きに大きく影響を受けるものであります。欧州での市場の冷え込みに伴ない今期増加を見込んでいた車載向けなどモビリティ用途向けの減少リスクがある一方、医療関係や新たな生活様式での需要増も見込まれており、未だ不透明な状況です。
今後、新型コロナウイルス感染症に有効なワクチン開発などを含め、同感染症の収束時期が見通せない状況ではございますが、事業活動への影響度合いの状況確認が進み、適正かつ合理的な算出が可能になりましたら、速やかに開示いたします。