訂正有価証券報告書-第68期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、国内では、昨年4月の診療報酬改定や2025年に向けて各都道府県が策定した地域医療構想に基づき、病床機能の分化・連携による地域完結型の医療体制の構築が進められました。医療機器業界においても、各企業は医療の質向上と効率化、地域医療連携に寄与するソリューション提案がより一層求められる状況となりました。海外では、米国の保護主義的な通商政策や新興国通貨の下落等の影響が懸念されたものの、医療機器の需要は総じて堅調に推移しました。
このような状況下、当社グループは、3ヵ年中期経営計画「TRANSFORM 2020」を推進し、「高い顧客価値の創造」「組織的な生産性の向上」による高収益体質への変革を目指すとともに、「地域別事業展開の強化」「コア事業のさらなる成長」などの重要課題に取り組みました。商品・サービス面では、急性期病院向けに中位機種ベッドサイドモニタを発売しました。生体情報モニタとしては初めて、超音波プローブとUSB接続しエコー画像を表示できる機能を搭載しています。また、当社初となる一体型の全自動血球計数・免疫反応測定装置やノートパソコンをベースとするコンパクト脳波計を発売したほか、医療機器リモート監視サービスを開始しました。PAD市場(※)向けには、一般家庭向けAEDや日英バイリンガルに対応したカラー画面付AEDを発売しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は前期比2.6%増の1,787億9千9百万円の増収となり、営業利益は前期比3.6%増の150億4千4百万円、経常利益は前期比9.4%増の158億6千7百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として当社の子会社である日本光電アメリカ㈱における労務問題に関する仲裁の進捗状況等を踏まえ訴訟損失引当金繰入額を計上した一方で、前期における米国税制改正の影響の反動により税金費用が減少したことから、前期比22.3%増の111億9千1百万円となりました。
<市場別の状況>国内市場においては、医療制度改革など市場環境の変化に対応するため、一昨年の販売子会社制から支社支店制への移行に続き、昨年4月に医療需要が増加する首都圏に営業リソースを重点的に配備しました。急性期病院、中小病院、診療所といった市場別の取り組みを強化するとともに、消耗品・保守サービス事業の拡大に注力した結果、売上を伸ばすことが出来ました。市場別には、PAD市場におけるAEDの販売が好調に推移したほか、官公立病院市場も診断情報システムや臨床情報システムの更新商談の受注もあり、堅調でした。大学、私立病院市場の売上は前期並みを維持しましたが、診療所市場の売上は自社品販売の注力により現地仕入品が減収となったことから前期実績を下回りました。この結果、国内売上高は前期比1.6%増の1,302億2千3百万円となりました。
海外市場においては、米州では、生体情報モニタリング事業の強化、脳神経系群の営業体制整備を進める米国が好調に推移しました。中南米は、ブラジル、メキシコが好調だった一方、チリ、コロンビアが低調に推移したことから、減収となりました。欧州では、フランス、イギリスは好調に推移したものの、ロシア、トルコが低調だったことから、減収となりました。アジア州では、中国、タイが好調に推移したほか、インドの売上も回復しました。また、カタールにおける大口商談の受注も寄与しました。その他地域は、エチオピアなどアフリカが低調に推移しました。この結果、海外売上高は前期比5.4%増の485億7千5百万円となりました。
※PAD(Public Access Defibrillation):一般市民によるAEDを用いた除細動。PAD市場には公共施設や学校、民間企業などが含まれる。
<商品群別の状況>[生体計測機器]国内では、脳神経系群、心電計群は前期実績を下回ったものの、心臓カテーテル検査装置群や診断情報システムが好調に推移しました。海外では、心電計群は前期実績を下回ったものの、脳神経系群が好調に推移しました。この結果、売上高は前期比3.7%増の407億7千3百万円となりました。
[生体情報モニタ]国内では、臨床情報システムが好調だったほか、センサ類などの消耗品も堅調に推移しました。海外では欧州での売上は微減、その他地域は低調でしたが、米州、アジア州で売上が大幅に伸長しました。この結果、売上高は前期比4.6%増の619億7千8百万円となりました。
[治療機器]国内では、AED、人工呼吸器が好調に推移した一方、現地仕入品が前期実績を下回ったことから、全体では前期並みとなりました。海外では、除細動器は前期好調の反動により減収となったものの、AEDは堅調に推移しました。この結果、売上高は前期比0.8%増の331億4千9百万円となりました。
[その他]国内では、診療所向けに発売した全自動血球計数・免疫反応測定装置が売上に寄与したほか、医療機器の設置工事・保守サービスが好調に推移しました。海外では、血球計数器は中南米、アジア州を中心に好調でしたが、現地仕入品が前期実績を下回りました。この結果、売上高は前期比0.2%増の428億9千8百万円となりました。
売上高を商品群別に分類すると次のとおりです。
| 金額(百万円) | 対前期増減率(%) | |
| 生体計測機器 | 40,773 | + 3.7 |
| 生体情報モニタ | 61,978 | + 4.6 |
| 治療機器 | 33,149 | + 0.8 |
| その他 | 42,898 | + 0.2 |
| 合 計 | 178,799 | + 2.6 |
| 機器 | 99,572 | + 0.8 |
| 消耗品・保守サービス | 79,226 | + 4.9 |
(参考)地域別売上高
| 国内売上高 | 130,223 | + 1.6 |
| 海外売上高 | 48,575 | + 5.4 |
| 米州 | 23,508 | + 6.9 |
| 欧州 | 8,167 | △ 3.5 |
| アジア州 | 15,096 | + 10.7 |
| その他 | 1,802 | △ 10.3 |
| 区 分 | 内 容 |
| 生体計測機器 | 脳波計、筋電図・誘発電位検査装置、心電計、心臓カテーテル検査装置、診断情報システム、関連の消耗品(記録紙、電極、カテーテルなど)、保守サービスなど |
| 生体情報モニタ | 心電図、呼吸、SpO2(動脈血酸素飽和度)、NIBP(非観血血圧)等の生体情報を連続的にモニタリングする生体情報モニタ、臨床情報システム、関連の消耗品(電極、センサなど)、保守サービスなど |
| 治療機器 | 除細動器、AED(自動体外式除細動器)、心臓ペースメーカ、人工呼吸器、麻酔器、迷走神経刺激装置、人工内耳、関連の消耗品(電極パッド、バッテリなど)、保守サービスなど |
| その他 | 血球計数器、臨床化学分析装置、超音波診断装置、研究用機器、消耗品(試薬、衛生用品など)、設置工事・保守サービスなど |
(注)販売代理店契約満了に伴い、2019年4月末をもって迷走神経刺激装置の販売を終了しています。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ118億7百万円増加し、1,697億1千7百万円となりました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ115億2千4百万円増加し、1,322億1千1百万円となりました。これは商品及び製品や受取手形及び売掛金が増加したことなどによるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ2億8千2百万円増加し、375億5百万円となりました。これは繰延税金資産が増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ50億7千4百万円増加し、536億2千9百万円となりました。これは支払手形及び買掛金や未払法人税等が増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ67億3千2百万円増加し、1,160億8千7百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い利益剰余金が増加したことなどによるものです。
これらの結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ79.07円増加して1,363.24円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末の69.3%から0.9ポイント減少し68.4%となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っています。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ34億1千2百万円増加して346億9千7百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前期比10億2千4百万円減の98億1千9百万円となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益155億1千9百万円、減価償却費35億4千2百万円、および法人税等の支払36億8千7百万円などです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前期比8千8百万円減の32億5千8百万円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得27億9千4百万円などです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前期比15億5千3百万円減の30億7千4百万円となりました。主な内訳は、配当金の支払29億8千3百万円などです。
④ 生産、受注及び販売の状況
当社グループの事業は、医用電子機器関連事業の単一セグメントであり、セグメントごとの業績は、記載を省略しています。
当連結会計年度における生産、受注および販売の実績を商品群別に示すと次のとおりです。
なお、表中の金額は販売価格によっており、消費税等は含まれていません。
イ. 生産実績
| 区分 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 生体計測機器 | 42,209 | 107.4 |
| 生体情報モニタ | 66,528 | 118.3 |
| 治療機器 | 35,648 | 109.6 |
| その他 | 44,092 | 100.5 |
| 合計 | 188,479 | 109.6 |
(注) 上記金額には、商品購入高が合計で62,594百万円含まれています。
ロ.受注実績
当社グループの商品は、需要予測による見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
ハ.販売実績
| 区分 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 生体計測機器 | 40,773 | 103.7 |
| 生体情報モニタ | 61,978 | 104.6 |
| 治療機器 | 33,149 | 100.8 |
| その他 | 42,898 | 100.2 |
| 合計 | 178,799 | 102.6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。当社グループの事業は、医用電子機器関連事業の単一セグメントであり、セグメントごとの業績は、記載を省略しています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、賞与引当金、退職給付に係る負債および法人税等であり、見積りおよび判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っています。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
イ.当連結会計年度の経営成績および「TRANSFORM 2020」の進捗状況
2年目にあたる2018年度、国内では、医療制度改革など市場環境の変化に対応するため、一昨年の販売子会社制から支社支店制への移行に続き、昨年4月に医療需要が増加する首都圏に営業リソースを重点的に配備しました。また、急性期病院市場、診療所市場、PAD市場のニーズに対応した製品・サービスの拡充に努めました。ITシステムの更新商談や消耗品・保守サービス事業の拡大により増収は確保できたものの、自社品販売の注力により現地仕入品が減収となったことから、国内売上高は期初計画には届きませんでした。海外では、米国では全米トップクラスの病院からの受注獲得など生体情報モニタ市場での当社のプレゼンスが向上したほか、脳神経系群も営業体制の見直しが奏功し売上を回復しました。中国も好調に推移し、東南アジアでの売上も回復したものの、欧州、アフリカが低調だったことから、海外売上高は期初計画に届きませんでした。
商品群別では、生体計測機器は、国内で心臓カテーテル検査装置群、診断情報システム、海外で脳神経系群が好調に推移したことから、前期比3.7%増の増収となり、計画を達成することが出来ました。生体情報モニタは、特に海外が好調に推移し、前期比4.6%増の増収となりましたが、計画の高い成長率には届きませんでした。治療機器は、海外は堅調に推移した一方で国内が前期並みにとどまったことから、前期比0.8%増の増収となり、計画を下回りました。その他商品群は、国内外ともに血球計数器が好調に推移した一方で現地仕入品が前期を下回ったことから、前期比0.2%増の前期並みとなり、計画を下回りました。
営業利益については、増収効果や売上総利益率の改善に加え、販管費が想定を下回ったことから、期初計画を達成することが出来ました。
2019年度は中期経営計画の最終年度となりますが、引き続き6つの重要課題のもと諸施策を着実に実行します。なお、2019年度の連結通期業績予想は増収増益を見込んでいるものの、新製品の投入の遅れや、中期経営計画策定時には想定していなかった東日本物流センタの設立や国内事業所の移転・再編等に係る費用を予定していることから、2017年5月に発表した「TRANSFORM 2020」の2020年3月期経営目標値には届かない見通しです。
今後も、「エレクトロニクスで病魔に挑戦」をモットーに、社会と医療の抱える課題の解決に先端技術で取り組み、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努める所存です。
| 2020年3月期 通期予想 | 2020年3月期 経営目標値 | ||
| 売上高 | 1,860億円 | 1,900億円 | |
| 国内売上高 | 1,330億円 | 1,350億円 | |
| 海外売上高 | 530億円 | 550億円 | |
| 営業利益 | 160億円 | 200億円 | |
| ROE | ― | 12.0% | |
ロ.資本の財源および資金の流動性
当社グル―プでは、財務健全性を維持した持続的成長と企業価値の向上を目指して、資産の効率化と資金の流動性の確保に努めています。 資本の財源については、当社グループの運転資金および設備資金は主として自己資金を充当しており、当連結会計年度末の有利子負債残高はリース債務を含めて4億3千6百万円です。 資金の流動性については、安定的な利益の確保に加え、債権回収の早期化等を推進し、必要運転資金の増加を抑えることで、営業キャッシュ・フローの安定的な確保に努めています。また、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、必要とするグループ会社に配分しています。当連結会計年度末における流動比率は、273.5%となっており、十分な流動性を確保しています。
ハ.経営指標の分析
当社は、3ヵ年中期経営計画「TRANSFORM 2020」において、連結ROE12.0%の水準を確保することを目標としています。当連結会計年度は9.9%と、前年度の8.6%から改善しました。営業・経常増益に加え、前期における米国税制改正の影響の反動により税金費用が減少し、売上高純利益率が改善したことが要因です。当社としましては、中期経営計画の推進による売上、利益の成長に注力するとともに、在庫圧縮など資産効率の改善に努め、ROEの向上を図ります。