有価証券報告書-第69期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 10:27
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、国内では、2025年の医療提供体制を示す地域医療構想の実現に向けて病床機能の分化・連携が推進されたほか、医師・医療従事者の働き方改革や負担軽減に関する議論がなされました。年度末にかけては、医療現場は急増する新型コロナウイルス感染症患者への対応に追われる状況となりました。海外においても、欧米諸国、新興国ともに医療機器の需要は総じて堅調に推移していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大が各国の医療提供体制に大きな影響を与えるとともに、経済活動の抑制により景気の先行きに不透明感が高まりました。
このような状況下、当社グループは、2019年度を最終年度とする3ヵ年中期経営計画「TRANSFORM 2020」を推進し、「高い顧客価値の創造」「組織的な生産性の向上」による高収益体質への変革を目指すとともに、「地域別事業展開の強化」「コア事業のさらなる成長」などの重要課題に取り組みました。商品面では、スポットチェックモニタや新興国向けのベッドサイドモニタ、医用テレメータ、救急車搭載除細動器、当社初の人工呼吸器など、顧客価値の高い新製品を相次いで投入しました。人工呼吸器は、総合技術開発センタで開発したNPPV(※)人工呼吸器と、米国の日本光電オレンジメッドで開発・生産した人工呼吸器の2機種を発売しました(前者は国内・海外、後者は海外にて発売)。また、タイムリーな製品供給と物流コストの削減を図るため、埼玉県坂戸市に東日本物流センタを設立しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は前期比3.5%増の1,850億7百万円の増収となり、営業利益は前期比3.1%増の155億3百万円となりました。経常利益は為替差損の計上により前期比6.4%減の148億4千6百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は和解金や事業所移転費用等の特別損失の計上により前期比12.0%減の98億5千4百万円となりました。
※NPPV(Noninvasive positive pressure ventilation):非侵襲的陽圧換気。気管内挿管や気管切開を行わな
い人工呼吸管理。
<市場別の状況>国内市場においては、急性期病院、中小病院、診療所の各市場のニーズに対応した新製品を投入するとともに、医療安全、診療実績、業務効率につながる顧客価値提案の推進、保守サービス事業の強化に注力した結果、売上を伸ばすことが出来ました。なお、消費税率引上げに伴う駆け込み需要と反動減はほぼ相殺される形となりました。市場別では、大学病院市場が新築移転に伴う大口商談の受注もあり好調に推移し、官公立、私立病院市場も堅調でした。一方、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて不要不急の訪問を自粛したことから、診療所市場での売上が前期比微減となり、PAD(※)市場でのAEDの販売も鈍化しました。この結果、国内売上高は前期比3.2%増の1,343億5千5百万円となりました。
海外市場においては、米州では、販売・サービス活動の強化や製品ラインアップの拡充が奏功し、米国、中南米ともに好調に推移しました。欧州では、新型コロナウイルス感染症患者の増加により生体情報モニタなどの医療機器の需要が急増したことから、ドイツ、イタリアを中心に二桁成長となりました。アジア州では、現地通貨ベースでは堅調に推移しましたが、円ベースでは減収となりました。東南アジアは低調だったものの、インド、中近東が好調に推移しました。中国は、現地通貨ベースでは好調に推移しましたが、円ベースでは前期並みにとどまりました。その他地域では、南アフリカ、エジプトなどアフリカでの売上が回復しました。この結果、海外売上高は前期比4.3%増の506億5千1百万円となりました。
※PAD(Public Access Defibrillation):一般市民によるAEDを用いた除細動。PAD市場には公共施設や学校、民間企業などが含まれる。
<商品群別の状況>[生体計測機器]国内では、脳神経系群は前期実績を下回ったものの、心臓カテーテル検査装置群が好調に推移しました。心電計群は前期並みにとどまりました。海外では、心電計群は前期実績を下回ったものの、脳神経系群が好調に推移しました。この結果、売上高は前期比3.7%増の422億7千3百万円となりました。
[生体情報モニタ]国内では、新製品のベッドサイドモニタや医用テレメータが売上に寄与したほか、筋弛緩モジュールや超音波プローブなどの高付加価値のオプション品も好調に推移しました。海外では米州、欧州、アジア州ともに増収となり、特に欧州での売上が大幅に伸長しました。この結果、売上高は前期比4.8%増の649億6千6百万円となりました。
[治療機器]国内では、AEDは販売台数の減少により減収となったものの、除細動器、人工呼吸器が大口商談の受注に加え、新製品効果もあり、大幅に伸長しました。海外では、除細動器は減収となったものの、AEDが堅調に推移しました。当社初の自社製人工呼吸器も、各国で許認可を取得後に順次発売し、徐々に販売実績が出始めました。この結果、売上高は前期比4.1%増の345億1千2百万円となりました。
[その他]国内では、診療所向けの検体検査装置が好調に推移し、医療機器の設置工事・保守サービスも好調だった一方、現地仕入品が減収となりました。海外では、血球計数器が中南米、欧州、アフリカ諸国で増収となり、また、米国で医療機器の設置工事・保守サービスが好調でした。この結果、売上高は前期比0.8%増の432億5千4百万円となりました。
売上高を商品群別に分類すると次のとおりです。
金額(百万円)対前期増減率(%)
生体計測機器42,273+ 3.7
生体情報モニタ64,966+ 4.8
治療機器34,512+ 4.1
その他43,254+ 0.8
合 計185,007+ 3.5
機器100,846+ 1.3
消耗品・保守サービス84,160+ 6.2

(参考)地域別売上高
国内売上高134,355+ 3.2
海外売上高50,651+ 4.3
米州24,731+ 5.2
欧州9,044+ 10.7
アジア州14,899△ 1.3
その他1,976+ 9.6

区 分内 容
生体計測機器脳波計、筋電図・誘発電位検査装置、心電計、心臓カテーテル検査装置、診断情報システム、関連の消耗品(記録紙、電極、カテーテルなど)、保守サービスなど
生体情報モニタ心電図、呼吸、SpO2(動脈血酸素飽和度)、NIBP(非観血血圧)等の生体情報を連続的にモニタリングする生体情報モニタ、臨床情報システム、関連の消耗品(電極、センサなど)、保守サービスなど
治療機器除細動器、AED(自動体外式除細動器)、人工呼吸器、心臓ペースメーカ、麻酔器、人工内耳、関連の消耗品(電極パッド、バッテリなど)、保守サービスなど
その他血球計数器、臨床化学分析装置、超音波診断装置、研究用機器、消耗品(試薬、衛生用品など)、設置工事・保守サービスなど

(注)販売代理店契約満了に伴い、2019年4月末をもって迷走神経刺激装置の販売を終了しました。
また、2020年3月31日付で、研究用機器の一部を㈱ミユキ技研に譲渡しました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ19億3千万円減少し、1,677億8千6百万円となりました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ31億9千1百万円減少し、1,290億2千万円となりました。これは受取手形及び売掛金が減少したことなどによるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ12億6千万円増加し、387億6千6百万円となりました。これは投資有価証券が増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ76億1千7百万円減少し、460億1千1百万円となりました。これは支払手形及び買掛金が減少したことなどによるものです。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ56億8千6百万円増加し、1,217億7千4百万円となりました。これは、利益剰余金が増加したことなどによるものです。
これらの結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ66.78円増加して1,430.02円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末の68.4%から4.2ポイント増加し72.6%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ12億1千5百万円増加して359億1千3百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前期比6億2百万円減の92億1千7百万円となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益139億8千万円、売上債権の減少69億2千5百万円、仕入債務の減少84億2千9百万円、および法人税等の支払62億2千2百万円などです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前期比13億4千9百万円増の46億7百万円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得31億6百万円などです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前期比2千万円減の30億5千4百万円となりました。主な内訳は、配当金の支払29億8千万円などです。
④ 生産、受注及び販売の状況
当社グループの事業は、医用電子機器関連事業の単一セグメントであり、セグメントごとの業績は、記載を省略しています。
当連結会計年度における生産、受注および販売の実績を商品群別に示すと次のとおりです。
なお、表中の金額は販売価格によっており、消費税等は含まれていません。
イ. 生産実績
区分金額(百万円)前年同期比(%)
生体計測機器42,730101.2
生体情報モニタ67,089100.8
治療機器35,62699.9
その他42,39596.2
合計187,84299.7

(注) 上記金額には、商品購入高が合計で61,743百万円含まれています。
ロ.受注実績
当社グループの商品は、需要予測による見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
ハ.販売実績
区分金額(百万円)前年同期比(%)
生体計測機器42,273103.7
生体情報モニタ64,966104.8
治療機器34,512104.1
その他43,254100.8
合計185,007103.5

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。当社グループの事業は、医用電子機器関連事業の単一セグメントであり、セグメントごとの業績は、記載を省略しています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、賞与引当金、退職給付に係る負債および法人税等であり、見積りおよび判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っています。
詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しています。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
イ.当連結会計年度の経営成績および中期経営計画「TRANSFORM 2020」(2017~2019年度)の総括
当連結会計年度においては、各市場のニーズに対応した新製品を投入するとともに、顧客価値提案の推進、保守サービス事業の強化に注力した結果、国内売上高は期初計画を達成することが出来ました。海外では、新型コロナウイルス感染症患者の増加により生体情報モニタなどの医療機器の需要が急増した欧州に加え、米州も好調に推移しました。中国も現地通貨ベースでは好調に推移しましたが、東南アジアやアフリカが低調だったことから、海外売上高は計画に届きませんでした。
商品群別では、生体計測機器は、国内で心臓カテーテル検査装置群、海外で脳神経系群が好調に推移したことから、前期比3.7%の増収となり、計画を達成することが出来ました。生体情報モニタは、国内、海外ともに新製品の売上寄与により堅調に推移し、前期比4.8%の増収となりましたが、計画の高い成長率には届きませんでした。治療機器は、国内、海外ともに人工呼吸器が新製品効果もあって大幅に伸長したことから、前期比4.1%の増収となり、計画を達成することが出来ました。その他商品群は、国内、海外ともに血球計数器、医療機器の設置工事・保守サービスが好調に推移した一方で、現地仕入品が減収となったことから、前期比0.8%増の前期並みとなり、計画を下回りました。
営業利益については、前期比3.1%の増益を確保したものの、連結売上高が計画に届かなかったこと、人員の増強などにより売上高販管費比率が上昇したことから、計画を下回りました。
中期経営計画「TRANSFORM 2020」では、「高い顧客価値の創造」「組織的な生産性の向上」による高収益体質への変革を目指すとともに、「地域別事業展開の強化」「コア事業のさらなる成長」「新規事業の創造」などの重要課題に取り組みました。「高い顧客価値の創造」では、この3年間で主力となる新製品を数多く投入しました。生体情報モニタでは、中位機種ベッドサイドモニタや当社初のスポットチェックモニタ、新興国向けのベッドサイドモニタなどを投入し、ラインアップを一新することができました。特に、当社グループの新しい事業の柱となりうる自社製人工呼吸器2機種を発売できたことは最大の成果と考えています。地域別には、国内では、販売子会社制から支社支店制に移行し、販売戦略の統一とグループ経営の効率化を図るとともに、顧客価値提案の推進、サービスの拡充に注力しました。海外では、注力する米国市場において、現地開発体制の強化により全米トップクラスの病院が求める大規模ネットワークに対応したモニタシステムの提供が可能になり、生体情報モニタ市場での当社のプレゼンスが向上しました。「組織的な生産性の向上」では、東日本物流センタを設立し、物流の効率化を図るとともに、IT活用による業務プロセス改革を推進しました。この3年間の取り組みの成果は2020年度以降に現れると期待されるものの、開発・生産・物流・販売・サービス・管理の全ての活動において生産性向上の取り組みは未だ不十分であり、道半ばと認識しています。この結果、新製品の投入の遅れや先行投資の負担もあり、「TRANSFORM 2020」の最終年度にあたる2020年3月期の業績は、連結売上高、連結営業利益、ROEともに目標に届かず、収益性の改善が課題として残りました。
今後も、社会と医療の抱える課題の解決に先端技術で取り組み、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努める所存です。
2020年3月期
実績
2020年3月期
経営目標値
売上高1,850億円1,900億円
国内売上高1,343億円1,350億円
海外売上高506億円550億円
営業利益155億円200億円
ROE8.3%12.0%

ロ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
事業への資源配分については、新製品の投入による売上、利益の成長に資する投資を最優先としながら、研究開発や設備投資、M&A、人財育成など将来の企業成長のために必要な資源配分を安定的かつ継続的に実施します。設備投資は39億円程度、研究開発費は70億円程度を計画しています。
株主還元については、経営の最重要政策の一つと位置づけており、内部留保の確保に配慮しながら、連結配当性向30%以上を目標として長期にわたって安定的な配当を継続することを基本方針としています。
資金調達については、当社グループの主な運転資金および設備資金として自己資金を充当しており、M&Aや新規事業など資金調達が必要になった場合には、資金需給のバランスを見ながら、借入を資金調達の有効な手段として検討し、負債コストも考慮した加重平均資本コストの最適化を図ります。
また、当社グループでは、財務健全性を維持した持続的成長と企業価値の向上を目指して、資産の効率化と資金の流動性の確保に努めています。資産の効率化については、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、必要とするグループ会社に配分しています。資金の流動性については、安定的な利益の確保に加え、債権回収の早期化等を推進し、必要運転資金の増加を抑えることで、営業キャッシュ・フローの安定的な確保に努めています。当連結会計年度末における流動比率は、320.0%となっており、十分な流動性を確保しています。
ハ.経営指標の分析
当社は、3ヵ年中期経営計画「TRANSFORM 2020」において、連結ROE12.0%の水準を確保することを目標としてまいりました。当連結会計年度は8.3%と、前年度の9.9%から低下しました。営業増益は達成したものの、為替差損や特別損失の計上により売上高純利益率が低下したことが主な要因です。当社としましては、引き続き、売上、利益の成長を最優先としつつ、在庫圧縮など資産効率の改善、株主還元の充実に努め、ROEの向上を図ります。

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