有価証券報告書-第66期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/29 12:46
【資料】
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【項目】
140項目

研究開発活動

当グループ(当社及び連結子会社)は、「創造 貢献」を経営理念に掲げ、独創的な製品の開発を通じて社会に貢献することを目指し、積極的な研究開発活動を行っております。
研究開発体制は、開発本部と技術本部により構成されております。
当連結会計年度においては、開発本部に事業開発センターとスポーツ健康インキュベーションセンターを統合・再編し、長期的視野に立脚した基礎研究・要素技術開発を行うとともに、新しい価値を創造する開発力の強化を進めています。一方、開発本部から機能別組織を移管し技術本部を新設し、品目を横断した技術力の活用効率最大化を図っております。
なお、当連結会計年度における研究開発費は6,207百万円であり、セグメントごとの主な成果は次のとおりであります。
(時計)
当セグメントに係る研究開発費は1,360百万円であり、主な成果は次のとおりであります。
◎ ベゼルに積層カーボンを採用した新たな外装デザインの “MT-G”
耐衝撃ウオッチ“G-SHOCK”の新製品として、メタルと樹脂の特長を融合させた“MT-G”シリーズより、ベゼルに積層のカーボン素材を採用した「MTG-B2000YBD/B2000XD」を開発しました。
「MTG-B2000YBD」は、側面のベゼルフレームをカーボンとグラスファイバーのシートを幾層にも重ね立体成型をすることで、従来のステンレスのベゼルフレームと比較して約77%の軽量化を実現しました。「MTG-B2000XD」は、ベゼルのトップ部分に高度なプレス加工と切削加工技術を駆使して複雑な形状に成型した積層のカーボン素材を採用しています。
◎ バイオマスプラスチックを採用した“PRO TREK”
本格アウトドアウオッチ“PRO TREK”の新製品として、当社の時計製品で初めて、原料に再生可能な有機性資源を含むバイオマスプラスチックを採用した「PRW-61」と「PRW-51NJ」を開発しました。
「PRW-61」は、ケースとウレタンバンド、樹脂の裏蓋にトウゴマの種やトウモロコシから抽出した成分を含むバイオマスプラスチックを用いました。また、日本自然保護協会とのコラボレーションモデル「PRW-51NJ」は、ケース・バンド・裏蓋にバイオマスプラスチックを、同梱のクロスバンドにペットボトルなどを原料とした再生PET素材を使用しています。
機能面では、アウトドアでの実用性にこだわり、方位、気圧/高度、温度を計測できるトリプルセンサーをはじめ、世界6局の電波を受信して正確な時刻に自動修正するマルチバンド6やソーラー充電で各種機能を安定的に駆動させるタフソーラーなどを搭載しました。
(コンシューマ)
当セグメントに係る研究開発費は1,662百万円であり、主な成果は次のとおりであります。
◎ 歌声を演奏できる新感覚の電子キーボード
電子キーボード“Casiotone”の新製品として、新しい当社独自の音源技術を搭載し、鍵盤で歌声を演奏できる「CT-S1000V」を開発しました。
新開発の音源技術“Vocal Synthesis(ボーカルシンセシス)”は、膨大な歌声のデータを基に歌い方をシミュレーションして歌詞のフレーズを生成、声色のデータと掛け合わせることで、滑らかな人間の歌声を生み出すことを実現しています。これにより、特別な演奏スキルや細かい調整を必要とせず、歌詞の情報とボーカル音色を組み合わせて作った歌声を演奏できます。
あらかじめ設定した歌詞フレーズを、鍵盤演奏の音程やハーモニーに合わせて自動的に歌わせる演奏方法もできるため、歌詞と演奏にずれが生じず、歌詞に縛られない自由な演奏が実現しました。
(システム)
当セグメントに係る研究開発費は418百万円であります。
(その他)
当セグメントに係る研究開発費は5百万円であります。
上記以外にセグメントに関連づけられない基礎研究に係る研究開発費は2,762百万円であり、主な成果は次のとおりであります。
◎ 子宮頸がんの早期発見をサポートするコルポカメラ™
産婦人科医向けに、子宮頸部の観察と撮影を行うことができるコルポカメラ™「DZ-C100」と専用のカメラスタンド「CST-100M」、パソコン用ソフト「D’z IMAGE Viewer」を開発しました。
「DZ-C100」は、当社のカメラ技術や画像処理技術を生かしながら、最先端の医療技術を持つ医師(共同研究:昭和大学・東京大学)の知見を得て開発しました。フィルターの交換やライトの調整をしなくても、ワンシャッターで通常/グリーン/偏光の3種類の画像を撮影できます。また、カメラの液晶をタッチするだけで簡単に子宮頸部にピントを合わせられるタッチフォーカス機能を搭載したほか、コルポスコピー検査の一つである酢酸加工診※に役立つ動画録画も可能です。さらに、「D’z IMAGE Viewer」と連携すると、画像の拡大表示、マーキングやテキストの書き込み、複数画像の表示などができ、撮影した画像を簡単に管理することができます。
※酢酸溶液に浸した綿球を子宮頸部に押し当て、その変化を観察する診断方法
一方、「CST-100M」は、狭い診察室でも収納・移動しやすいようコンパクトかつ軽量でありながら、カメラを上下左右に動かせるアームで観察したい位置に素早く固定できるよう利便性を追求しています。