有価証券報告書-第106期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/26 12:11
【資料】
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【項目】
115項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、基本理念として「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」ことを会社の使命として掲げ、「世界のHINO」として広く社会から評価されるよう、事業活動を進めていきたいと考えております。
会社の使命を果たすため、当社グループの事業活動に対する取り組み方針を下記のとおり定めております。
1.世界の人々から信頼される商用車メーカーを目指し、グローバルな事業展開を行います。
2.技術の継承と革新を続け、お客様のお役に立つ商品やサービスを提供いたします。
3.変化を的確に捉え、社会との調和を図り、持続可能な発展を目指します。
4.社員の多様性を尊重し、活気あふれる企業風土をつくります。
(2)会社の環境及び対処すべき課題
平成30年度の世界経済は、米国などの先進国では景気拡大が続き、インドネシアやタイといった新興国においても持ち直しの動きが見られる一方、地政学リスクや欧米の政治動向、米国の金融政策、中国での構造改革等にも依然として注視が必要な状況です。
また、トラック・バスに対するお客様や社会からの期待は、「地球温暖化」への対策、昨今のドライバー不足を始めとした「物流を取り巻く問題」への対応、安全ニーズなど、ますます高まっています。
このような中、当社グループは、1つのスローガン(「もっと、はたらくトラック・バス」)と3つの方向性(「安全・環境技術を追求した適格商品の提供」、「最高にカスタマイズされたトータルサポート」、「新たな領域へのチャレンジ」)で、日野が提供するトラック・バスを「もっと、はたらく」存在にすることにより、お客様のビジネスを支え、社会に貢献し、当社グループの持続的成長を実現してまいります。
具体的な施策は以下のとおりです。
① 安全・環境技術を追求した適格商品の提供
当社グループは、商品の品質、耐久性、信頼性の更なる向上に加えて、各国地域市場の特性や用途に応じた適格商品の開発を推進してまいります。
環境面においては、各国の排出ガス規制に対応した商品の提供はもちろん、電動化車両として、これまでに培ったハイブリッド技術をベースに、プラグイン・ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車などの開発・普及の推進にも努めてまいります。そして、平成29年10月に公表いたしました「日野環境チャレンジ2050」に掲げる、当社製品のライフサイクル全般における環境負荷を極限まで削減することを目指してまいります。
安全面では、「交通事故死傷者ゼロ」を目指し、運行管理から予防安全、衝突安全までをサポートする「トータルセーフティ」の推進とともに、ドライバーの疲労軽減、集中力維持、車両の挙動安定、衝突回避、被害軽減といった視点から、安全装備の開発・実用化を積極的に推進してまいります。さらに、安全性の向上という観点だけでなく、渋滞解消や燃費向上といった人や物の移動に関わる効率化、そしてドライバー不足などの社会課題解決のため、自動運転システムの早期実現に向け、路車間、車車間通信などのITS技術や、加減速支援や自動操舵といった、高度運転支援技術の研究開発をより一層進めてまいります。
そして、先進技術の開発においては、日野が自ら考えたことを、スピード感を持って実行するための「仲間づくり」が大切と考えております。トヨタグループシナジーを最大限に活かしつつ、足りない部分は、既存の枠にとらわれないアライアンスも検討してまいります。
また、適格商品を最短のリードタイムでお客様に提供するために、日本国内と海外の役割を見直し、お客様により近いところでの車づくりができるよう、車の構造と作り方を進化させております。平成31年初より稼働開始予定の米国・ウェストバージニアの新工場では、中型トラックの高馬力モデルを生産ラインナップに追加、続けてキャブの現地生産を進めるなど、更なる生産現地化と新商品投入で競争力を強化し、米州の事業を日本、アジアに次ぐ第三の柱にすることを目指してまいります。また、ロシアにおいても、適格商品を最短のリードタイムでお客様に提供すべく組立工場を建設し、平成31年からの生産開始を予定しております。
② 最高にカスタマイズされたトータルサポート
当社グループでは、トラック・バスに対するお客様・社会のニーズが多様化する中、適格商品の提供に加えて、ICT等の活用、迅速な補給部品供給や整備、お役立ち活動などを通じてお客様のトラック・バス1台1台を最適な状態で維持することで、お客様のビジネス、そして社会への貢献を目指してまいります。その一環として、国内外への補給部品の供給拠点である青梅部品センターの移転を進めてまいります。
③ 新たな領域へのチャレンジ
当社グループは、積載効率やドライバー不足等のお客様の困りごと、社会課題の解決に取り組んでまいります。例えば、「1台でより多くの荷物を運ぶ」、「少ないドライバーで多くの荷物を運ぶ」といった仕組みづくりを含めて、様々なアプローチを検討してまいります。
④ 「チーム日野」の人づくり
当社グループは、急激に変化する環境下で生き残っていくためには、何よりも「人財」が重要だと考えております。競争力の源泉となり、日野の成長を担っていくのは「チーム日野」の一人ひとりです。イノベーティブな発想で、スピード感を持ち、他から学ぶ姿勢を常に忘れない人財を育成していくため、「チーム日野」全体で取り組み、お客様の期待を上回る価値を提供し続けてまいります。その一環として、生産性や付加価値といった「仕事の質」の向上や、在宅勤務制度等による多様な人財の活躍促進など、働き方改革にも取り組んでまいります。
⑤ トヨタとの連携
トヨタグループのトラック・バスなどの商用車事業の一翼を担う当社グループは、開発、生産、販売面でトヨタ自動車株式会社と連携した取り組みを実施するとともに、お客様の困りごとや社会課題を解決し、国内外の商用車ニーズを満たすべく、引き続きトヨタ自動車株式会社とともに努力してまいります。