有価証券報告書-第109期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/24 16:22
【資料】
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【項目】
143項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、基本理念として「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」ことを会社の使命として掲げ、「世界のHINO」として広く社会から評価されるよう、事業活動を進めていきたいと考えております。
会社の使命を果たすため、当社グループの事業活動に対する取り組み方針を下記のとおり定めております。
1.世界の人々から信頼される商用車メーカーを目指し、グローバルな事業展開を行います。
2.技術の継承と革新を続け、お客様のお役に立つ商品やサービスを提供いたします。
3.変化を的確に捉え、社会との調和を図り、持続可能な発展を目指します。
4.社員の多様性を尊重し、活気あふれる企業風土をつくります。
(2)会社の環境及び対処すべき課題
2021年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、地政学リスクや貿易摩擦など様々な要因もあり、引き続き先行きへの不透明感が続くと考えております。自動車業界においても、CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)といった新技術の進展スピードは速く、また、地球環境に対する世界的な意識も高まりつつあります。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図りつつ国内外の情勢をしっかりと注視し、SDGsの観点を踏まえ、CASEやカーボンニュートラルの実現に積極的かつ着実にチャレンジし続け、当社の経営戦略『Challenge2025』(2018年10月公表「2025年に向けて」)で掲げる「豊かで住みよい持続可能な社会」の実現を目指してまいる所存です。
①『Challenge2025』実現に向けた構造改革
コロナ禍により、従来以上に経営環境の変動に左右されにくい事業構造の構築を加速する必要性を再認識し、持続的成長が可能な事業基盤、競争力の確立に向けた構造改革を開始致しました。
当社グループは2022年度までに、2020年度レベルのグローバル販売でも収益を確保できる体制を確立し、『Challenge2025』の取り組みを加速させてまいります。このため、競争力強化、業務改革、企業体質強化に、スピード感を持って取り組んでまいります。
これまで当社グループは多くのお客様との接点を広げてまいりましたが、それに対応するための技術は一層高度化、複雑化しております。お客様から見て競争力に繋がるところにはリソースを集中してトータルサポートを更に進化させ、一方、協調すべき領域については様々なパートナーとの連携を進めます。「選択と集中」を念頭に、将来を見据えた安定的な事業基盤の拡大と効率性の追求を進めてまいります。
あわせて、全社的な業務改革とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による大幅な効率化、従来以上の徹底した原価低減により、競争力を更に高めてまいります。
②カーボンニュートラルの実現に向けて
当社グループは物流・人流の課題解決と並んで環境課題の解決を経営の最重要課題の一つと位置づけております。2021年4月に、2050年までの環境負荷「ゼロ」実現を目指し『日野環境チャレンジ2050』にて掲げた6項目のチャレンジにおける2030年までの中間マイルストーンとして、『日野環境マイルストーン2030』を策定・公表いたしました。
「カーボンニュートラル」実現に向けては、素材から製品の廃棄までのライフサイクル全体の視点で、各国政府や関連業界と連携しながら、お客様や社会に必要とされるあらゆる方策を追求してまいります。
製造工程における低炭素化として、エネルギー消費を効率化する革新技術の導入、使用電力の再生可能エネルギー化、地道な改善活動による着実な省エネ活動への取り組みを更に強化します。商用車の電動化では、お客様の目線に立って実用的な選択肢を提供するとともに、電動車の運行とエネルギー利用の最適化のサービス提供など輸送業界における電動車の普及を促進します。また、車両目線でのCO2 排出量削減に加えて、社会システムの基盤としての輸送の効率化にも取り組んでまいります。
③仲間と共に
輸送事業者が直面する様々な社会課題の解決は、1社単独で成し遂げられるものではなく、「志」を同じくする仲間を広く求め、それぞれ異なる強みを活かしていくことが重要であると考えております。2021年3月には、当社、いすゞ自動車㈱、トヨタ自動車㈱の3社で商用事業において新たな協業に取り組むことに合意し、Commercial Japan Partnership Technologies㈱を2021年4月に設立いたしました。商用車におけるCASE技術・サービスの企画を通じて商用CASEの社会実装・普及に向けたスピードを加速し、輸送業が抱える課題の解決やカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指してまいります。
いすゞ自動車㈱とは、協調領域での協力の一方、商品やトータルサポートなどお客様との接点部分においては、これまで通り良き競争相手として切磋琢磨しながら、社会やお客様に日野ならではの価値を提供してまいります。
従来より戦略的パートナーシップを結んでいるTRATONグループ、中国・比亜迪汽車工業有限公司(BYD)との電動車協業をさらに進め、また、輸送業界の電動車普及促進に貢献するため関西電力㈱と合弁契約を締結する(㈱CUBE-LINXの設立)など、仲間づくりを進化させてまいります。
当社グループのお客様は、この大きな環境変化の中でも、人流・物流を支え、社会と経済に貢献されております。当社グループはこうしたお客様のお役に立ち、そして物流や人流のさらなる発展に貢献すべく今後も「チーム日野」一丸となってスピード感をもって取り組んでまいります。
SDGsの「誰一人取り残さない」社会を念頭に、世界中のお客様と社会、ステークホルダーの皆様に信頼され、これまで以上に必要とされる企業となっていくことが、当社グループの持続的な成長につながっていくと考えております。