有価証券報告書-第86期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/26 16:13
【資料】
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【項目】
145項目

研究開発活動

当社グループは、中期経営ビジョン「際立とう 2020」におきまして、2020年の当社のありたい姿を、「大きくはないが強い特徴を持ち、質の高い企業」と定め、その実現のため、「SUBARUブランドを磨く」、「強い事業構造を創る」という2つの活動に集中し、研究開発活動を進めております。当連結会計年度におけるグループ全体での研究開発費総額は114,215百万円です。セグメン卜ごとの研究開発活動状況および研究開発費は次のとおりです。
(1)自動車事業
自動車の研究開発では、 「際立とう2020」 の 「SUBARUブランドを磨く6つの取り組み」 で掲げた総合性能、安全、デザイン、環境対応、品質向上に取り組み、「安心と愉しさ」でお客様の期待を超える商品の開発を推進しております。加えて「強い事業構造を創る8つの取り組み」での、アライアンス商品開発、コスト低減、人材育成、組織・風土改革などを通じ、開発力の基盤強化を図っております。
① SUBARUブランドを磨くための新技術開発
「スバルグローバルプラットフォーム」や国内初となる「歩行者エアバッグ」と「アイサイト(ver.3)」の全車採用など、感性に響く動的質感と世界最高水準の安全性能を実現した新型「インプレッサ」を2016年10月に国内で発売し、その後順次世界各国で発売いたしました。「スバルグローバルプラットフォーム」は次世代のSUBARUを構成する基盤技術であり、新型「インプレッサ」は、採用第1弾となります。今後電動化を含めて当社が独自に開発する新型車に採用していきます。この他にも、お客様に提供する価値である 「安心と愉しさ」 を進化させるべく、環境性能を更に高めたパワーユニット、次期電動化商品など、多岐に渡り研究開発を推進しております。
また当社は交通事故ゼロに向けて「アイサイト」を中核とした“究極の先進安全運転支援“を目指します。運転負担軽減を目指した全車速での追従運転支援技術や高速道路での自動運転機能の開発も推進しています。
② 安全性能向上への取組み
新たに市場導入した商品は、世界各国の第三者評価でトップクラスの安全性能評価を獲得しています。評価基準が強化された米国IIHS(道路安全保険協会)による2017年安全性能評価では、高い衝突安全性能と衝突予防性能が必要な最高評価 「トップセーフティピック+」 を 「レガシィ」、「アウトバック」、「フォレスター」、新型「インプレッサ」が獲得しました。特に新型「インプレッサ」は、新規導入されたヘッドライト性能評価やチャイルドシート取り付け性評価においても最高評価を獲得し、小型車として唯一、米国IIHSの全評価項目で最高評価を獲得した車種として認定されました。
国内では、国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が実施する、2016年度予防安全性能アセスメントにおいて、「アイサイト」を搭載する新型「インプレッサ」、「レガシィ」、「フォレスター」、「レヴォーグ/WRX S4」が最高ランクであるJNCAP「予防安全性能評価 ASV++」を獲得しました。その中でも新型「インプレッサ」は、過去最高得点を獲得し、2016年度「衝突安全性能評価大賞」も受賞しました。
また、欧州の新車評価基準であるユーロNCAP2016年安全性能総合評価で「レヴォーグ」が最高評価の「ファイブスター」を獲得しました。
JNCAP予防安全性能アセスメント、ユーロNCAP安全性能総合評価ともに2016年より対歩行者の安全性能評価が加えられており、「アイサイト」を核とした予防安全性能の高さを実証しています。2016年11月には「アイサイト」搭載モデルの世界累計販売台数が100万台を超えました。当社は今後も「アイサイト」のグローバル展開を順次拡大していきます。
③ 新商品の開発状況
当連結会計年度において、特に国内については、「安心と愉しさ」でお客様の笑顔に答えるべく下記のような商品展開を図りました。
(ⅰ)2016年7月に 「レヴォーグ」 の最上級グレードとして、「レヴォーグSTI Sport」を追加しました。SUBARUのモータースポーツ統括会社であるスバルテクニカインターナショナルとのコラボレーションにより、走りのパフォーマンスの進化に加え、走り始めからすぐに分かる上質な乗り味と高い操縦安定性を実現。さらに、走りの質感に相応しい洗練された専用内外装を採用することで、レヴォーグの魅力を最大限に引き出しました。
(ⅱ)2016年8月に 「BRZ」の大幅改良を実施しました。パワーユニットの吸排気系見直し、ボディの全体剛性の強化、シャシーの改良により全性能を進化させ、走行性能を飛躍的に向上させました。またフェイスリフトによりスバルらしいスポーティさを強調したエクステリアやインテリアの大幅な質感向上によって、より洗練されたスポーツカーへと磨き上げています。加えて2016年10月には、ZF社製のSACHS(ザックス)ダンパーやBrembo社製ブレーキを採用して走りのパフォーマンスと上質感を追求した最上級グレード“GT”を追加しました
(ⅲ)2016年11月に 新型コンパクトトールワゴン「ジャスティ」を発売しました。最小回転半径を4.6mとし、車体寸法を5ナンバー枠に収めつつ、広い室内空間を確保することで、運転しやすさと快適な室内を両立いたしました。エンジンは、1.0L NAエンジンと新開発の1.5L相当のパワーを発揮する1.0Lターボエンジンの2つをラインアップ。アイドリングストップ機能を全車に標準装備し、クラストップレベルの低燃費を実現しています。
(ⅳ)軽自動車は、2016年12月に 新型車「シフォン」を発売しました。SUBARU初のモアスペース系の軽自動車として、クラストップレベルの室内空間を実現しています。安全面では、ステレオカメラを採用した新開発の「スマートアシストⅢ」を全車に標準装備しました。作動速度域の拡大や対歩行者への緊急ブレーキの作動、ハイビームアシストなど、安全性をさらに高めています。
「ジャスティ」および軽自動車は、ダイハツ工業より、アライアンスの成果としてOEM供給を受ける商品であります。
当事業に関わる研究開発費は111,157百万円であります。
※「スマートアシスト」はダイハツ工業株式会社の登録商標です。
(2)航空宇宙事業
航空宇宙カンパニーは将来にわたる持続的成長に向け、新規事業開拓及び生産性向上を中心とした以下の研究開発を行っております。回転翼機分野では、新中型ヘリコプタのトランスミッションの能力向上や機体耐久性改善等の国際共同開発を行っています。また、パイロットの負担軽減技術の研究開発にも取り組みました。また、無人機分野では、防衛や防災等に活躍できる無人機の高機能・高信頼化の研究開発を推進し、固定翼機分野では、構造の軽量化及び高機能化に加えて、コスト低減を狙った部品加工・組立プロセスの研究開発を行っております。さらに、炭素繊維強化複合材料や先進金属等の高効率加工技術、組立・穿孔作業の自動化など生産技術分野においても積極的に取り組み、コスト競争力を高める研究開発を行っております。
当事業に関わる研究開発費は2,660百万円であります。
(3)その他事業
産業機器事業終了決定に伴い、研究開発活動は基本的に停止しておりますが、従前からのお客様との契約等に基づきエンジン開発を一部継続しております。その研究開発費は354百万円であります。