四半期報告書-第109期第1四半期(平成28年4月1日-平成28年6月30日)

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2016/08/10 14:32
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、米国は家計部門を中心に底堅い景気拡大が続いており、欧州も緩やかな回復基調を維持しました。一方、過剰投融資の調整を進める中国では減速が続いており、その他ロシアや東南アジアなどの新興国についても現地通貨安などにより厳しい経済状況が続き、さらには英国のEU離脱問題とあわせて先行きの不透明感が増加しました。また、わが国経済も、長引く個人消費の低迷や、円高進行により企業収益や景況感が後退するなど、総体的に停滞色が強く不透明な状況にて推移いたしました。
当社グループの主要産業分野である自動車業界につきましては、小型乗用車向け減税措置の効果が続く中国や、米国、欧州等が牽引し、世界の新車販売台数は前年同四半期を上回り堅調に推移いたしました。一方、国内の自動車の生産・販売台数は前年同四半期を下回り、特に燃費不正問題の影響等から軽自動車が大きく減少いたしました。
非自動車分野における造船業界につきましては、資源需要の低迷もあり、依然として船腹過剰の状態からは脱しきれておらず、世界の新造船受注量は低調な推移が続きました。また、環境・省エネ対応に強みを持つ日本の造船業界も、円高進行による受注環境の悪化を受けて受注量が減少いたしました。
建設機械業界につきましては、中国での需要の落ち込みや、資源国向け鉱山機械の需要低迷を受けて海外需要が依然低調であることに加え、国内需要も排ガス規制の生産猶予期限終了に伴う反動減等から前年同四半期に比べて減少いたしました。
一般産業分野につきましては、当社の受注環境においては、海外向けを中心とした電力・エネルギー関連の発電設備の需要などが堅調に推移いたしました。
このような状況のもと、当社グループの当第1四半期連結累計期間における業績につきましては、自動車産業関連はメキシコ工場の生産拡大を受けて北米を中心に堅調に推移しましたが、一方で非自動車分野である船舶向け売上が国内及び欧州で減少し、また建設機械向け売上も国内及び北米で減少しました。さらには、円高の影響による海外の円換算後の売上高減少もあり、グループ全体での売上高は前年同四半期に比べて0.5%減収の20,135百万円となりました。しかしながら、現地通貨ベースの売上高で見た場合、海外はアジア、北米において増収となりました。
利益面では、主には船舶向け及び建設機械向けの売上減少による利益減少や、中期経営計画に沿ったグローバルベースでの積極的な事業展開に伴う各種先行費用を計上した一方で、北米事業の売上・利益が伸長したことなどから、営業利益は前年同四半期に比べて7.8%増益の1,851百万円となりました。また、経常利益は為替差損226百万円を計上したことなどから前年同四半期に比べて9.8%減益の1,704百万円となりましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同四半期に比べて26.4%増益の1,297百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
なお、セグメント間の内部売上高又は振替高は、連結売上高に含めております。
当第1四半期連結会計期間より、「自動車用エンジン以外軸受事業」の一部を当社グループ内の事業管理区分の見直しに伴い「自動車用エンジン軸受事業」に変更しており、当第1四半期連結累計期間の比較・分析は変更後の区分に基づいております。
① 自動車用エンジン軸受
国内は、軸受生産の海外移管や国内自動車生産台数の減少の影響を受けましたが、代理店経由で市販品の販売が増加したことからほぼ横ばいにて推移しました。海外は、円高の影響を受けて円換算後の売上が減少しましたが、北米を中心に販売が増加しました。その結果、売上高は前年同四半期に比べ0.9%増収の13,957百万円、セグメント利益は前年同四半期に比べ17.1%増益の2,030百万円となりました。
② 自動車用エンジン以外軸受
自動車部品用軸受につきましては、海外での拡販活動の成果もあり、売上高は前年同四半期に比べ1.1%増収の3,490百万円、セグメント利益は前年同四半期に比べ0.3%増益の745百万円となりました。
③ 非自動車用軸受
船舶向けは、国内での大型船舶向け低速ディーゼルエンジン用並びに欧州での中小型船舶向け中高速ディーゼルエンジン用軸受の販売が減少し、また建設機械向けも国内及び北米での販売が減少しました。一般産業向けでは、発電設備等に使用するタービン用軸受の販売が増加しましたが、売上高は前年同四半期に比べ14.8%減収の2,606百万円、セグメント利益は前年同四半期に比べ34.0%減益の358百万円となりました。
④ その他
軸受以外で新たな分野の電気二重層キャパシタ用電極シートの販売が伸び、不動産賃貸事業等に金属系無潤滑軸受事業及びポンプ関連製品事業等を加えた売上高は前年同四半期に比べ49.6%増収の597百万円、セグメント利益は前年同四半期に比べ58.2%増益の191百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
(総資産)
当第1四半期連結会計期間の総資産は前連結会計年度末に比べ1.0%増加し124,142百万円となりました。これは主に現金及び預金、商品及び製品が増加したことによります。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間の純資産は前連結会計年度末に比べ0.5%減少し51,905百万円となりました。これは主に利益剰余金が増加した一方で為替換算調整勘定が減少したことによります。
(自己資本比率)
当第1四半期連結会計期間の自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.4ポイント減少し35.4%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、15,041百万円となり前年同四半期末に比べ3,575百万円(31.2%)の増加となりました。
当第1四半期連結累計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動において獲得した資金は、3,198百万円(前第1四半期連結累計期間は1,852百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益1,904百万円によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動において使用した資金は、1,469百万円(前第1四半期連結累計期間は2,246百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1,386百万円によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動において獲得した資金は、192百万円(前第1四半期連結累計期間は630百万円の使用)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が789百万円、配当金の支払額が493百万円あった一方で短期借入金の純増減額が1,591百万円あったことによります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は以下のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は以下のとおりであります。
当社は、中長期的な視野に立って、販売・生産・技術・新事業などの事業戦略を掲げ、安定的な発展と成長を目指しておりますが、企業を取り巻く環境は常に大きく変化しており、その短期的な経営判断は、将来に向けた持続的な成長を確実なものとするうえで極めて重要な舵取りを要求されます。
中期経営計画におきまして、平成24年度から平成26年度までの第1ステージで事業基盤を再構築し、平成27年度から平成29年度までの第2ステージの最終年度において、当社グループが目指すチャレンジ目標の「連結売上高1,110億円、営業利益167億円、営業利益率15%以上」を達成する計画であります。
今後につきましては、中期経営計画を着実に実行に移すことで持続可能な経営基盤を確固たるものとし、企業価値を一層高めるよう努めてまいります。
そして、当社は、当社の顧客及び仕入先をはじめとする取引先、従業員及びその家族、地域住民その他のステークホルダーと協調しながら、短期的かつ急激な変化への柔軟な対応と、上記の中長期的な視野に立っての企業経営による持続的な成長を目指し、そのような持続的な成長によって得られる利益を株主の皆様に還元することが、短期的、一時的な利益を株主の皆様に配当するよりも、株主の共同の利益に資するものと確信しております。
したがいまして、当社は、当社の顧客、仕入先をはじめとする取引先、従業員及びその家族、地域住民などをはじめとして、上記の中長期的な視野に立っての企業経営による持続的な成長を支持して下さる方に、バランスよく株式を保有して頂くことが望ましいと考えております。
② 基本方針の実現に資する取り組み
1) 基本方針の実現に資する特別な取り組み
(ア)中長期的な視野に立っての企業経営による持続的な成長を実現するための当社の財産の有効な活用
当社は、これまでも上記中長期的な視野に立った企業経営による持続的な成長を実現するために当社の財産を有効活用してまいりました。
今後も、中長期的な視野に立った企業経営による持続的な成長を実現するためには、今後の市場動向、変化に対応した生産・販売拠点づくり、国内外の子会社の生産性向上など当社レベルまでへの引き上げ及び製品・設計・製造・生産・開発の各技術の世界トップレベルの維持が必要となることから、株主の皆様への利益配当とのバランスを考慮しつつも、積極的な新製品及び生産技術などの研究開発、モノづくり力のアップ、産・官・学による先端技術の活用及び導入、知的財産権での企業防衛などに有効かつ効率的に当社の財産を投資してまいる所存です。
(イ)従業員による株式保有の推進
当社は、従業員持株会加入者に奨励金を支給すること等により、従業員による株式の保有を推進しております。
引き続き、従業員持株会拡充に向けた積極的な取り組みを実施してまいります。
(ウ)地域住民の当社に対する理解の促進
当社は、主要事業所での親睦行事や地域住民の工場見学会などへの参加等地域住民との交流を行い、地域住民による当社への理解が深まるよう心がけております。
2) 基本方針に反する株主による支配を防止するための取り組み
当社は、上記の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されること(以下、「敵対的買収」といいます。)を防止するため、以下のように取り組んでまいります。
まずは、当社の資産を最大限有効活用しつつ、上記の中長期的な視野に立っての企業経営による持続的な成長を実現し、企業価値を増大させ、株主の皆様への適切な利益の還元を可能とするとともに、当社の企業価値の市場における評価の向上に結びつけるべく、積極的なIR活動に努めております。
その上で、継続的に実質株主を把握し、敵対的買収者が現れた場合には、当該敵対的買収者による買収目的の確認及び評価並びに当該敵対的買収者との交渉を社外の専門家の意見を聞きながら行い、当該敵対的買収者が当社の基本方針に照らして不適切と判断した場合には、適切な対抗手段を講じる考えであります。
また、敵対的買収者の出現に備えた事前の敵対的買収防衛策の導入につきましても、これを否定するものではなく、法令、関係機関の指針又は他社の動向も踏まえながら、株主共同の利益を確保しつつ、有効な方策を引き続き検討していく所存であります。
③ 上記取り組みの妥当性に関する判断及びその理由
上記取り組みが基本方針に合致し、株主共同の利益を侵害せず、当社の役員の地位の維持を目的とするものではない適切なものであることは、その取り組みの態様から明らかであり、対抗手段や敵対的買収防衛策につきましても、基本方針に反する場合にのみ発動するものであることから、適切であることは明らかであると思料いたします。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、440百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。