四半期報告書-第110期第1四半期(平成29年4月1日-平成29年6月30日)

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2017/08/09 14:35
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、全体としては緩やかな回復をいたしました。
米国経済は、個人消費の増加や設備投資の増加により好調に推移しており、欧州では、一部に弱含みの動きもみられますが、景気は緩やかな回復基調を維持いたしました。また、中国でも各種経済政策効果もあり景気は持ち直しの動きがみられました。
わが国経済も、実質総雇用者所得の緩やかな増加や、設備投資の持ち直しなどを背景に景気は緩やかな回復基調が続きました。一方、英国のEU離脱問題や米国の新政権移行による自国第一主義化の動き、地政学リスクの高まりなど、海外経済の不確実性が高まっており、先行きは依然不透明な状況で推移いたしました。
当社グループの主要産業分野である自動車業界につきましては、世界2大市場の中国と北米で減速感が高まっております。中国では小型車減税効果が薄れ前年同四半期に比べ成長が鈍化、北米では、平成28年(暦年ベース)に過去最高の約1,755万台を記録しましたが、今年に入り前年を下回る傾向で推移しております。一方、国内の自動車の生産・販売台数は、前年同四半期に対して堅調に推移いたしました。
非自動車分野における造船業界につきましては、平成28年(暦年ベース)の世界の新造船受注量が記録的な不振だったこともあり、平成29年の1月~6月期の日本の造船会社の輸出船受注量は前年同四半期比倍増の伸びを示しております。しかし、世界全体では依然として船腹過剰の状態が続いており、需給バランスの改善には暫く時間を要するものと思われます。建設機械業界につきましては、中国や北米などの巨大市場で需要が上向いてきており、国内向けも好調な建設投資が続き前年同四半期に比べて増加いたしました。一般産業分野につきましては、電気二重層キャパシタ用電極シートや電力・エネルギー関連の発電設備用の特殊軸受の需要などが堅調に推移いたしました。
このような状況のもと、当社グループの当第1四半期連結累計期間における業績につきましては、自動車産業関連はメキシコ工場の生産拡大を受けて北米を中心に堅調に推移いたしました。非自動車分野である船舶向け売上高が減少いたしましたが、建設機械向け売上高の復調が顕著になりました。さらには、前連結会計年度より当社グループとなった株式会社飯野ホールディング及びATAキャスティングテクノロジージャパン株式会社並びに当該2社のグループ会社の売上高が加わったことなどにより、当社グループ全体での売上高は前年同四半期に比べて23.2%増収の24,811百万円となりました。
利益面では、国内外での積極的な事業拡大による販売費及び一般管理費などの増加、増産投資に伴う減価償却費の増加、前連結会計年度に当社グループとなった上述の2社並びに当該2社のグループ会社にて発生した一時的な費用及び船舶向け売上高の減少などにより、営業利益は前年同四半期に比べて48.8%減益の948百万円となりました。また、経常利益は前年同四半期に比べて36.5%減益の1,081百万円となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同四半期に比べて68.2%減益の412百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
なお、セグメント間の内部売上高又は振替高は、連結売上高に含めております。
① 自動車用エンジン軸受
国内は、堅調な自動車生産に支えられ微増となりました。海外は、世界の2大市場である中国と北米で減速感が高まっておりますが、世界各地での販売が拡大しました。その結果、売上高は前年同四半期に比べ10.1%増収の15,366百万円、セグメント利益は前年同四半期に比べ5.3%増益の2,137百万円となりました。
② 自動車用エンジン以外軸受
国内は堅調な自動車生産に支えられ、海外は世界各地での販売拡大の結果、売上高は前年同四半期に比べ7.5%増収の3,753百万円、セグメント利益は前年同四半期に比べ26.9%減益の545百万円となりました。
③ 非自動車用軸受
建設機械向けは国内及び北米での販売が増加に転じ、一般産業分野の電力・エネルギー関連の発電設備用の特殊軸受は前年同四半期水準となりました。一方、外部環境の影響を受けた船舶向けが減少した結果、売上高は前年同四半期に比べ18.8%減収の2,116百万円、セグメント利益は前年同四半期に比べ61.6%減益の137百万円となりました。
④ 自動車用軸受以外部品
前連結会計年度より当社グループとなった株式会社飯野ホールディング及びATAキャスティングテクノロジージャパン株式会社並びに当該2社のグループ会社から構成される本報告セグメントの売上高は3,520百万円、セグメント損失は496百万円となりました。
⑤ その他
電気二重層キャパシタ用電極シート、金属系無潤滑軸受事業及びポンプ関連製品事業に不動産賃貸事業等を加えた売上高は前年同四半期に比べ4.1%増収の621百万円、セグメント利益は前年同四半期に比べ25.9%減益の141百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
(総資産)
当第1四半期連結会計期間の総資産は前連結会計年度末に比べ0.4%増加し155,936百万円となりました。これは主に商品及び製品、仕掛品が増加したことによります。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間の純資産は前連結会計年度末に比べ0.2%減少し52,884百万円となりました。これは主に非支配株主持分が増加した一方で利益剰余金が減少したことによります。
(自己資本比率)
当第1四半期連結会計期間の自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.2ポイント減少し28.9%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、12,320百万円となり前年同四半期末に比べ2,720百万円(18.1%)の減少となりました。
当第1四半期連結累計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動において獲得した資金は、2,480百万円(前第1四半期連結累計期間は3,198百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益1,081百万円、減価償却費2,032百万円によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動において使用した資金は、2,914百万円(前第1四半期連結累計期間は1,469百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出2,817百万円によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動において使用した資金は、95百万円(前第1四半期連結累計期間は192百万円の獲得)となりました。これは主に長期借入れによる収入が3,740百万円あった一方で長期借入金の返済による支出が3,281百万円、配当金の支払額が570百万円あったことによります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は以下のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は以下のとおりであります。
当社は、中長期的な視野に立って、販売・生産・技術・新事業などの事業戦略を掲げ、安定的な発展と成長を目指しておりますが、企業を取り巻く環境は常に大きく変化しており、その短期的な経営判断は、将来に向けた持続的な成長を確実なものとするうえで極めて重要な舵取りを要求されます。
現在進行中の現中期経営計画(平成24年度から同29年度までの6カ年計画)も残り1年となりましたが、目標達成に向け当社グループの総力を結集して取り組んでまいります。また、平成30年度からの6カ年の次期中期経営計画の策定を進めておりますが、強靭な経営基盤の再構築と、更なる事業拡大を目標に掲げ、着実に実行していくことで、持続可能な経営基盤を確固たるものとし、企業価値の向上を目指してまいります。
そして、当社は、当社の顧客及び仕入先をはじめとする取引先、従業員及びその家族、地域住民その他のステークホルダーと協調しながら、短期的かつ急激な変化への柔軟な対応と、上記の中長期的な視野に立っての企業経営による持続的な成長を目指し、そのような持続的な成長によって得られる利益を株主の皆様に還元することが、短期的、一時的な利益を株主の皆様に配当するよりも、株主の共同の利益に資するものと確信しております。
したがいまして、当社は、当社の顧客、仕入先をはじめとする取引先、従業員及びその家族、地域住民などをはじめとして、上記の中長期的な視野に立っての企業経営による持続的な成長を支持して下さる方に、バランスよく株式を保有して頂くことが望ましいと考えております。
② 基本方針の実現に資する取り組み
1) 基本方針の実現に資する特別な取り組み
(ア)中長期的な視野に立っての企業経営による持続的な成長を実現するための当社の財産の有効な活用
当社は、これまでも上記中長期的な視野に立った企業経営による持続的な成長を実現するために当社の財産を有効活用してまいりました。
今後も、中長期的な視野に立った企業経営による持続的な成長を実現するためには、今後の市場動向、変化に対応した生産・販売拠点づくり、国内外の子会社の生産性向上など当社レベルまでへの引き上げ及び製品・設計・製造・生産・開発の各技術の世界トップレベルの維持が必要となることから、株主の皆様への利益配当とのバランスを考慮しつつも、積極的な新製品及び生産技術などの研究開発、モノづくり力のアップ、産・官・学による先端技術の活用及び導入、知的財産権での企業防衛などに有効かつ効率的に当社の財産を投資してまいる所存です。
(イ)従業員による株式保有の推進
当社は、従業員持株会加入者に奨励金を支給すること等により、従業員による株式の保有を推進しております。
引き続き、従業員持株会拡充に向けた積極的な取り組みを実施してまいります。
(ウ)地域住民の当社に対する理解の促進
当社は、主要事業所での親睦行事や地域住民の工場見学会などへの参加等地域住民との交流を行い、地域住民による当社への理解が深まるよう心がけております。
2) 基本方針に反する株主による支配を防止するための取り組み
当社は、上記の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されること(以下、「敵対的買収」といいます。)を防止するため、以下のように取り組んでまいります。
まずは、当社の資産を最大限有効活用しつつ、上記の中長期的な視野に立っての企業経営による持続的な成長を実現し、企業価値を増大させ、株主の皆様への適切な利益の還元を可能とするとともに、当社の企業価値の市場における評価の向上に結びつけるべく、積極的なIR活動に努めております。
その上で、継続的に実質株主を把握し、敵対的買収者が現れた場合には、当該敵対的買収者による買収目的の確認及び評価並びに当該敵対的買収者との交渉を社外の専門家の意見を聞きながら行い、当該敵対的買収者が当社の基本方針に照らして不適切と判断した場合には、適切な対抗手段を講じる考えであります。
また、敵対的買収者の出現に備えた事前の敵対的買収防衛策の導入につきましても、これを否定するものではなく、法令、関係機関の指針又は他社の動向も踏まえながら、株主共同の利益を確保しつつ、有効な方策を引き続き検討していく所存であります。
③ 上記取り組みの妥当性に関する判断及びその理由
上記取り組みが基本方針に合致し、株主共同の利益を侵害せず、当社の役員の地位の維持を目的とするものではない適切なものであることは、その取り組みの態様から明らかであり、対抗手段や敵対的買収防衛策につきましても、基本方針に反する場合にのみ発動するものであることから、適切であることは明らかであると思料いたします。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、453百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。