有価証券報告書-第77期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/22 14:01
【資料】
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【項目】
56項目
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済情勢は、日本においては、企業収益の改善や輸出の回復など、景気は緩やかに回復しました。
海外においては、米国では、個人消費の増加や堅調な雇用環境により景気は着実な回復が続きました。アジアでは、タイ、インドネシアおよびインドにおいて、内需を中心に景気は概ね堅調に推移しました。中国では、堅調な消費や輸出などにより景気は持ち直しの動きが続きました。
こうした状況のなか、当社グループは、第13次中期経営計画(2017年4月から2020年3月までの3ヵ年)のグローバル方針である「成長する強い会社・誇れる良い会社の実現」を目指し、事業展開を図ってまいりました。
二輪車・汎用製品では、オリジナルパッケージング技術により世界トップクラスの小型・軽量化を実現したトランスファーモールド電子制御ユニットを開発し、量産を開始いたしました。この新型電子制御ユニットを含む小型二輪車用電子燃料噴射システム(FIシステム)がタイで発売されたホンダ「Super Cub」に搭載されました。さらに、環境意識の高まりを受け、中国で発売された大長江集団有限公司の豪爵「UH110」と、台湾で発売された光陽「RACING150」に当社の小型二輪車用FIシステムが搭載されました。くわえて、大型車用製品においても、日本で発売されたホンダ「CBR1000RR SP2」に当社のFIシステムが搭載されました。
四輪車製品では、電動車の中核を担うパワーコントロールユニットが日本で発売されたホンダ「ステップワゴン」、中国で発売された「CR-V」などのハイブリッド車に搭載されました。くわえて、北米で発売された電気自動車 ホンダ「Clarity Electric」に搭載されるなど、グローバルに拡大いたしました。また、直噴エンジン用システム製品が北米で発売されたホンダ「アコード」に搭載されたほか、さらなる小型・軽量化と快適性の向上を両立した新型空調ユニットがホンダ「N-BOX」に搭載されました。新たなお客様に対しては、株式会社ハイレックスコーポレーションを通じて日本で発売されたマツダ「CX-8」にパワーリアゲート用電子制御ユニットを供給いたしました。
事業展開においては、日本においてパワーコントロールユニットの生産能力を年間5万台から10万台へと倍増させ、電動車の需要拡大に向けた対応を推進いたしました。また、これまで完成車メーカーが担っていたエンジンシステムの上流開発領域を当社が担えるようになるために、高度な制御技術を持つプログレス・テクノロジーズ株式会社をはじめとした開発パートナーと提携し取り組みを加速させました。くわえて、将来に向け自動運転やコネクテッドカーなど新たな領域に関するリサーチおよび技術イノベーションの強化を図るため、東京・台場に新たな開発拠点の新設を決定いたしました。
新たなお客様を拡大するための取り組みとしては、当社が二輪車製品においてトップシェアを誇るインドで、世界最大規模の小型二輪車用FIシステムの供給体制を構築することを決定し、工場の新設や建屋・設備の増強に着手いたしました。さらに、Volkswagenグループとの取引が拡大することを受け、欧州と中国で自動車用熱交換器のコンデンサーの生産能力を拡大することにいたしました。くわえて、パワーコントロールユニットなどの電動車用製品の販売拡大を図るため、中国のお客様を中心に提案活動を行うとともに、上海と北京で開催された展示会にも出展いたしました。また、世界トップクラスの小型・軽量化を実現した新開発の電子制御スロットルボディをはじめとした次世代ガソリンエンジン用吸気モジュールを開発し、提案活動をはじめるなど、新たなお客様の拡大に向けた取り組みを加速させました。
そして、環境保全や社会貢献などのCSR(企業の社会的責任)活動については、社会、お客様、取引先様、株主様と私たちが喜びを分かち合えるよう、グローバルの従業員が一体となり引き続き推進してまいりました。そのなかで、日本においては、2017年8月に健康宣言を制定し、従業員が心身ともに働きやすい職場環境づくりに取り組んでまいりました。その結果、2018年2月に経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定されました。くわえて、仕事と子育てを両立しやすい働き方を支援する取り組みが評価され、3月に厚生労働大臣が子育てサポート企業として認定する「くるみん認定」を取得いたしました。
こうした事業展開のもと、セグメント別売上収益(セグメント間の内部売上収益を含む)の状況は次のとおりとなりました。
[日 本]
二輪車・汎用製品は、主にインドネシアやタイ、国内向け製品の販売が増加しました。四輪車製品は、主に国内、中国向け製品の販売が増加しました。
これらに加え、為替換算上の増収影響により、売上収益は1,571億6千万円と前連結会計年度に比べ202億2千万円の増収となりました。
[米 州]
二輪車・汎用製品は、主に南米での販売が増加しました。四輪車製品は、北米での販売が減少しました。全体では販売は減少となりました。
これらにより、為替換算上の増収影響はあるものの、売上収益は991億4千3百万円と前連結会計年度に比べ96億9千万円の減収となりました。
[アジア]
二輪車・汎用製品は、主にインドやインドネシア、タイでの販売が増加しました。四輪車製品はインドネシアやマレーシアで販売が減少しました。全体では販売は増加となりました。
これらに加え、為替換算上の増収影響により、売上収益は1,094億9百万円と前連結会計年度に比べ125億2千8百万円の増収となりました。
[中 国]
二輪車・汎用製品や四輪車製品の販売が増加しました。
これらに加え、為替換算上の増収影響により、売上収益は827億1千7百万円と前連結会計年度に比べ87億8千7百万円の増収となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上収益は、3,514億9千4百万円と前連結会計年度に比べ259億4千4百万円の増収となりました。二輪車・汎用製品では961億4百万円と前連結会計年度に比べ132億3千5百万円の増収、四輪車製品では2,553億9千万円と前連結会計年度に比べ127億9百万円の増収となりました。利益においては、減価償却費や研究開発費の増加などはあるものの、増収や合理化などにより営業利益は283億1千3百万円と前連結会計年度に比べ53億5千9百万円の増益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度の為替差損が反転したことなどにより67億4千万円増益の178億2千4百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、509億1千4百万円と前連結会計年度末に比べ、113億6千5百万円の増加となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と前連結会計年度に対する各キャッシュ・フローの増減状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果増加した資金は、法人所得税の支払額などはあるものの、税引前利益や減価償却費及び償却費などにより370億5千2百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・インフローは、前連結会計年度に比べ120億9千万円の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、有形固定資産及び無形資産の取得などにより189億5千9百万円となりました。
投資活動によるキャッシュ・アウトフローは、前連結会計年度に比べ6億1百万円の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は、借入金の返済や配当金の支払いなどにより、70億5千6百万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・アウトフローは、前連結会計年度に比べ1億3千3百万円の減少となりました。
生産、受注及び販売の実績
欧州地域における事業は、地域統括部門を設置せずに日本で管理しているため、「日本」セグメントに含めております。
(1) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前期増減率(%)
日 本171,47115.2
米 州127,421△6.6
ア ジ ア121,88412.5
中 国83,53810.7
合 計504,3147.5

(注)1 金額は販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 日本セグメントの生産実績が著しく増加した理由は、主に四輪車製品の販売増加によるものです。
4 アジアセグメントの生産実績が著しく増加した理由は、主に二輪車・汎用製品の販売増加によるものです。
5 中国セグメントの生産実績が著しく増加した理由は、主に四輪車製品の販売増加によるものです。
(2) 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前期増減率
(%)
受注残高
(百万円)
前期増減率
(%)
日 本159,30016.011,98521.7
米 州99,752△6.28,0758.2
ア ジ ア110,74014.79,00817.3
中 国82,99311.36,6934.3
合 計452,7859.235,76113.9

(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間取引を含んでおります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 日本セグメントの受注高および受注残高が著しく増加した理由は、主に四輪車製品の販売増加によるものです。
4 アジアセグメントの受注高および受注残高が著しく増加した理由は、主に二輪車・汎用製品の販売増加によるものです。
5 中国セグメントの受注高が著しく増加した理由は、主に四輪車製品の販売増加によるものです。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前期増減率(%)
日 本157,16014.8
米 州99,143△8.9
ア ジ ア109,40912.9
中 国82,71711.9
合 計448,4307.6

(注)1 セグメント間取引を含んでおります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 日本セグメントの販売実績が著しく増加した理由は、主に四輪車製品の販売増加によるものです。
4 アジアセグメントの販売実績が著しく増加した理由は、主に二輪車・汎用製品の販売増加によるものです。
5 中国セグメントの販売実績が著しく増加した理由は、主に四輪車製品の販売増加によるものです。
6 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
本田技研工業株式会社39,19212.051,12814.6
ホンダオブアメリカマニュファクチュアリング・インコーポレーテッド38,93912.036,13710.3
東風本田発動機有限公司32,44310.035,41510.1

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当該内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)業績」に記載しております。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの属する輸送機器業界は非常にグローバル競争が激しく、高い品質はもちろんのこと、絶えず技術革新等を問われる状況にあります。このようなお客様のニーズに応えてゆくことが経営成績に重要な影響を与える要因であると考えております。
(4) 経営戦略の現状と見通し
当該内容については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当該内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当該内容については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務
諸表におけるこれらに相当する項目との差異の概要は次のとおりであります。なお、当社グループ
は日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、記載した概算額は一定の仮定の下、把握
できる範囲で算出したものであります。
(開発費の資産計上)
日本基準において費用処理している一部の開発費用について、IFRSではIAS第38号「無形資産」
に規定される要件を満たすことから開発費として資産計上しております。
その結果、「無形資産」の金額が4,469百万円増加しております。
(有給休暇に係る債務)
日本基準において認識していない有給休暇に係る債務について、IFRSではIAS第19号「従業員給
付」に従い未消化の有給休暇について負債認識しております。
その結果、「営業債務及びその他の債務」の金額が3,147百万円増加しております。
(退職後給付債務に関する会計処理の差異)
日本基準においては数理計算上の差異は発生時にその他の包括利益として認識し、一定年数にわ
たって償却することによって純損益への振替が行われております。IFRSでは数理計算上の差異は発
生時にその他の包括利益として認識し、即時に「利益剰余金」に振り替えております。
その結果、IFRSでは121百万円を「その他の資本の構成要素」から「利益剰余金」へ振り替え
ております。
(売上収益、売上原価)
当社グループは得意先から部品を仕入、加工を行った上で手数料等相当を仕入価格に上乗せして
加工品を当該得意先に対して販売する取引(以下、「有償受給品取引」)を行っております。日本
基準では有償受給品取引に係る「売上高」と「売上原価」について連結損益計算書上、総額で表示
しております。IFRSでは当該取引を「売上収益」と「売上原価」の純額で表示し、手数料等相当の
「売上収益」のみ表示しております。
その結果、「売上収益」及び「売上原価」の金額がそれぞれ10,108百万円減少しております。
(資本性金融商品の売却)
日本基準において資本性金融商品の売却にかかる損益は純損益として認識しております。IFRSで
は公正価値の変動をその他の包括利益として認識し、売却(認識の中止)した時点で、その他包括
利益として認識される累計損益を「利益剰余金」に振り替えております。
その結果、IFRSでは3百万円を「その他の資本の構成要素」から「利益剰余金」へ振り替えてお
ります。