有価証券報告書-第156期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、「科学技術で社会に貢献する」という社是、「『人と地球の健康』への願いを実現する」という経営理念のもと、永年の事業で培った技術、ノウハウを活用し、複雑化・多様化する社会の課題や要請に応える製品・サービスの提供と、グローバル社会との調和に努めています。また、社是、経営理念に次いで「地球・社会・人との調和を図りながら、社会課題に取り組み、明るい未来を創造する」という当社の基本姿勢を表したCSR憲章を制定し、「事業を通じた社会課題の解決」と「社会の一員としての責任ある活動」の両輪で企業活動を行い、社会的責任を果たすことを目指しています。
(2) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
2019年度の見通しにつきましては、経済の世界同時成長から、貿易・政策を巡る不確実性が高まり経済成長に減速基調が見え始めると予想されます。
米国では内需の伸びは持続するものの財政刺激策の効果が薄れ、欧州では英国のEU離脱問題などにより経済成長に懸念材料があり、日本では輸出および設備投資の低迷による伸び悩み、中国では米中貿易摩擦による関税引上げの影響など、経済成長に不透明感が増しています。
このような状況の中で、2019年度は中期経営計画の最終年度であり、施策を着実に実行し、当初設定した目標の達成に努めます。経済や競争環境が大きく変化する中で、新たな成長に向けた次期中期経営計画の策定を進めます。
1) 「成長分野投資」による変化の先取り
①事業の持続的な成長に向け、従来の製品・サービスを機軸とした価値提供を計画的に進めます。加えて、社会や顧客の課題を解決するため、事業領域を広げ、データや消耗品も活用した新サービスの具体化を積極的に進めます。
②「ヘルスケア分野」では、当社の有する分析と医用の技術を融合させることによる新事業の創出を目指しています。ヘルスケアR&Dセンターにおいて、関連の開発部門を集約し、オープンイノベーションによる先進的顧客や外部研究者との協働を開始します。今後は、新たな製品を生み出すとともに事業化に向けた準備を進めます。「インフラ分野」では、構造物の劣化診断の可視化と、人への作業負荷の低減を目指しており、エレベータのワイヤー劣化の診断装置について、事業化に向けた受注を開始します。
③AI・IoT・ロボット等の、将来の事業拡大に不可欠な要素技術の獲得を進めるとともに、新製品・新サービスを通じて社会実装することで、これらの技術を強化し、進化させてまいります。
2) 「収益力強化」による持続的成長
①収益力・資本効率の向上に継続的に取り組みます。事業資源の見直しや効率化を進め、RPA(ロボットによる業務自動化)やAI・IoTを積極的に活用することにより生産性の向上を図ります。
②引き続きM&Aなども活用して消耗品やサービス事業を強化します。ベンチャー企業など社外との連携も積極的に進め、顧客とともに新たなビジネスモデルの創出に挑戦します。
3) 「組織基盤変革」による事業基盤の強化
①事業を通じた社会課題への貢献を続け、企業価値の向上を図ります。SDGsなどに代表される社会課題の解決を視野に、事業戦略として有益な施策を実行する組織を目指します。
②「働き方改革」を進め、社会・顧客の要求に応えることのできる組織へと成長を加速します。
③事業リスクを低減させるための取り組みとして、コーポレート機能をグループ会社においても引き続き強化していきます。
事業別の対処すべき課題として、中長期で目指すことおよび中期経営計画の中で実施する主な取り組みテーマは、以下のとおりです。
・計測機器事業
『世界No.1の総合分析機器メーカー』となることを目指し、M&Aなどを活用しながら、製品ラインアップ拡充と顧客へのソリューション提案力を強化し、更なる事業拡大と収益改善を図ります。
<主な取り組みテーマ>①液体クロマトグラフや質量分析計等の新製品を中心とする連続的な成長
②ITソリューションや消耗品の専門部署を立ち上げ、装置との相乗効果による成長の加速
③分子診断や細胞などの新たな事業領域へ、ヘルスケアR&Dセンターにおける戦略的協業による成長
・医用機器事業
『世界の医療の質的向上をリードする企業』となることを目指し、収益改善を最大の課題として取り組みながら、競争力のある製品・サービスの開発と海外事業の拡大を図ります。
<主な取り組みテーマ>①海外におけるサービスインフラの整備、海外でのアフターマーケット事業拡大による収益基盤の強化
②血管撮影システムの販売体制強化による国内外での販売台数拡大
③分析と医用の技術融合を含め、中長期視点での成長領域獲得に向けた事業の見直し
・航空機器事業
『世界の航空機器メーカーにとって不可欠な提案型サプライヤー』となることを目指し、引き続き、民航ビジネスの収益改善と拡大を目指します。加えて、航空産業における品質向上および安全安心に寄与する新たな事業に挑戦します。
<主な取り組みテーマ>①コスト構造のスリム化の促進による安定した収益体質の確立
②社外との連携を通じた航空機の試験検査事業の早期立ち上げ
・産業機器事業
『産業機械市場でソリューションを提供するスペシャリスト』および『油圧機器で世界ブランドのサプライヤー』となることを目指します。
<主な取り組みテーマ>①ターボ分子ポンプの更なるシェア向上、サービス体制の拡充や製造の効率化による収益基盤の強化
②真空熱処理炉などターボ分子ポンプに次ぐ新たな収益事業の育成
③成長する業界と地域の明確化による油圧機器の海外事業の拡大
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、3ヵ年の中期経営計画において、2020年3月期の連結での売上高4,000億円以上、営業利益450億円以上、営業利益率11%以上、海外売上高比率50%以上、自己資本利益率10%以上を目標数値としています。
(4) 会社の支配に関する基本方針
[1]基本方針の内容の概要
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の社是・経営理念や企業価値の源泉、顧客・株主・取引先・従業員・地域社会などのステークホルダーとの信頼関係などを理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保、向上していくことを可能とする者であることを基本原則といたします。
当社は、当社株式を上場し自由な取引を認める以上、支配権の移転を伴う当社株式の大量買付提案に応じるか否かの判断は、最終的には株主の皆様の意思に委ねられるべきものと考えております。また、当社は、大量買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。
[2]基本方針の実現に資する取り組みの具体的な内容の概要
1) 会社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取り組み
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指す経営方針のもと、2017年度より新たな3ヵ年中期経営計画に基づき、「世界のパートナーと社会課題の解決に取り組む企業」というスローガンのもと、①人の健康、②安心・安全な社会、③産業の発展の3つの事業領域をベースに、事業拡大に取り組んでおります。
これにより、事業業績を着実に伸ばすとともに、株主との積極的な対話を行うことにより、当社の経営姿勢を理解いただき、株主の一層の信頼と評価を得るよう努めております。
2) 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、2017年6月29日開催の第154期定時株主総会終結の時をもって、買収防衛策を廃止しておりますが、当社の株式に対して大量取得行為が行われる場合には、金融商品取引法の定めを遵守しつつ、積極的な情報収集および情報提供に努め、株主の皆様の検討のための時間確保に努める等、適切な措置を講じてまいります。
[3]上記[2]の取り組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
上記[2]に記載した各取り組みは、上記[1]の基本方針に従い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し向上させることを目的とするものであって、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと当社取締役会は判断しております。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、「科学技術で社会に貢献する」という社是、「『人と地球の健康』への願いを実現する」という経営理念のもと、永年の事業で培った技術、ノウハウを活用し、複雑化・多様化する社会の課題や要請に応える製品・サービスの提供と、グローバル社会との調和に努めています。また、社是、経営理念に次いで「地球・社会・人との調和を図りながら、社会課題に取り組み、明るい未来を創造する」という当社の基本姿勢を表したCSR憲章を制定し、「事業を通じた社会課題の解決」と「社会の一員としての責任ある活動」の両輪で企業活動を行い、社会的責任を果たすことを目指しています。
(2) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
2019年度の見通しにつきましては、経済の世界同時成長から、貿易・政策を巡る不確実性が高まり経済成長に減速基調が見え始めると予想されます。
米国では内需の伸びは持続するものの財政刺激策の効果が薄れ、欧州では英国のEU離脱問題などにより経済成長に懸念材料があり、日本では輸出および設備投資の低迷による伸び悩み、中国では米中貿易摩擦による関税引上げの影響など、経済成長に不透明感が増しています。
このような状況の中で、2019年度は中期経営計画の最終年度であり、施策を着実に実行し、当初設定した目標の達成に努めます。経済や競争環境が大きく変化する中で、新たな成長に向けた次期中期経営計画の策定を進めます。
1) 「成長分野投資」による変化の先取り
①事業の持続的な成長に向け、従来の製品・サービスを機軸とした価値提供を計画的に進めます。加えて、社会や顧客の課題を解決するため、事業領域を広げ、データや消耗品も活用した新サービスの具体化を積極的に進めます。
②「ヘルスケア分野」では、当社の有する分析と医用の技術を融合させることによる新事業の創出を目指しています。ヘルスケアR&Dセンターにおいて、関連の開発部門を集約し、オープンイノベーションによる先進的顧客や外部研究者との協働を開始します。今後は、新たな製品を生み出すとともに事業化に向けた準備を進めます。「インフラ分野」では、構造物の劣化診断の可視化と、人への作業負荷の低減を目指しており、エレベータのワイヤー劣化の診断装置について、事業化に向けた受注を開始します。
③AI・IoT・ロボット等の、将来の事業拡大に不可欠な要素技術の獲得を進めるとともに、新製品・新サービスを通じて社会実装することで、これらの技術を強化し、進化させてまいります。
2) 「収益力強化」による持続的成長
①収益力・資本効率の向上に継続的に取り組みます。事業資源の見直しや効率化を進め、RPA(ロボットによる業務自動化)やAI・IoTを積極的に活用することにより生産性の向上を図ります。
②引き続きM&Aなども活用して消耗品やサービス事業を強化します。ベンチャー企業など社外との連携も積極的に進め、顧客とともに新たなビジネスモデルの創出に挑戦します。
3) 「組織基盤変革」による事業基盤の強化
①事業を通じた社会課題への貢献を続け、企業価値の向上を図ります。SDGsなどに代表される社会課題の解決を視野に、事業戦略として有益な施策を実行する組織を目指します。
②「働き方改革」を進め、社会・顧客の要求に応えることのできる組織へと成長を加速します。
③事業リスクを低減させるための取り組みとして、コーポレート機能をグループ会社においても引き続き強化していきます。
事業別の対処すべき課題として、中長期で目指すことおよび中期経営計画の中で実施する主な取り組みテーマは、以下のとおりです。
・計測機器事業
『世界No.1の総合分析機器メーカー』となることを目指し、M&Aなどを活用しながら、製品ラインアップ拡充と顧客へのソリューション提案力を強化し、更なる事業拡大と収益改善を図ります。
<主な取り組みテーマ>①液体クロマトグラフや質量分析計等の新製品を中心とする連続的な成長
②ITソリューションや消耗品の専門部署を立ち上げ、装置との相乗効果による成長の加速
③分子診断や細胞などの新たな事業領域へ、ヘルスケアR&Dセンターにおける戦略的協業による成長
・医用機器事業
『世界の医療の質的向上をリードする企業』となることを目指し、収益改善を最大の課題として取り組みながら、競争力のある製品・サービスの開発と海外事業の拡大を図ります。
<主な取り組みテーマ>①海外におけるサービスインフラの整備、海外でのアフターマーケット事業拡大による収益基盤の強化
②血管撮影システムの販売体制強化による国内外での販売台数拡大
③分析と医用の技術融合を含め、中長期視点での成長領域獲得に向けた事業の見直し
・航空機器事業
『世界の航空機器メーカーにとって不可欠な提案型サプライヤー』となることを目指し、引き続き、民航ビジネスの収益改善と拡大を目指します。加えて、航空産業における品質向上および安全安心に寄与する新たな事業に挑戦します。
<主な取り組みテーマ>①コスト構造のスリム化の促進による安定した収益体質の確立
②社外との連携を通じた航空機の試験検査事業の早期立ち上げ
・産業機器事業
『産業機械市場でソリューションを提供するスペシャリスト』および『油圧機器で世界ブランドのサプライヤー』となることを目指します。
<主な取り組みテーマ>①ターボ分子ポンプの更なるシェア向上、サービス体制の拡充や製造の効率化による収益基盤の強化
②真空熱処理炉などターボ分子ポンプに次ぐ新たな収益事業の育成
③成長する業界と地域の明確化による油圧機器の海外事業の拡大
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、3ヵ年の中期経営計画において、2020年3月期の連結での売上高4,000億円以上、営業利益450億円以上、営業利益率11%以上、海外売上高比率50%以上、自己資本利益率10%以上を目標数値としています。
(4) 会社の支配に関する基本方針
[1]基本方針の内容の概要
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の社是・経営理念や企業価値の源泉、顧客・株主・取引先・従業員・地域社会などのステークホルダーとの信頼関係などを理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保、向上していくことを可能とする者であることを基本原則といたします。
当社は、当社株式を上場し自由な取引を認める以上、支配権の移転を伴う当社株式の大量買付提案に応じるか否かの判断は、最終的には株主の皆様の意思に委ねられるべきものと考えております。また、当社は、大量買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。
[2]基本方針の実現に資する取り組みの具体的な内容の概要
1) 会社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取り組み
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指す経営方針のもと、2017年度より新たな3ヵ年中期経営計画に基づき、「世界のパートナーと社会課題の解決に取り組む企業」というスローガンのもと、①人の健康、②安心・安全な社会、③産業の発展の3つの事業領域をベースに、事業拡大に取り組んでおります。
これにより、事業業績を着実に伸ばすとともに、株主との積極的な対話を行うことにより、当社の経営姿勢を理解いただき、株主の一層の信頼と評価を得るよう努めております。
2) 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、2017年6月29日開催の第154期定時株主総会終結の時をもって、買収防衛策を廃止しておりますが、当社の株式に対して大量取得行為が行われる場合には、金融商品取引法の定めを遵守しつつ、積極的な情報収集および情報提供に努め、株主の皆様の検討のための時間確保に努める等、適切な措置を講じてまいります。
[3]上記[2]の取り組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
上記[2]に記載した各取り組みは、上記[1]の基本方針に従い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し向上させることを目的とするものであって、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと当社取締役会は判断しております。