有価証券報告書-第85期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/30 11:06
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対処すべき課題

「業績等の概要」でも述べましたが、当社グループは平成25年に発表した5ヶ年中期経営方針に基づく3ヶ年中期事業計画の第二次成長戦略である「既存事業の強化」、「グローバル化の推進」、「事業領域の拡大」に沿い、引き続き、当社グループが長い間に培ってきた有形・無形の資産を「改良」するだけではなく「革新」し、独自の付加価値と圧倒的な競争優位を継続的に生み出し、国内外の新市場を開拓し新事業を創出して持続的に成長し、中長期的な企業価値を向上させ、ステークホルダーの期待と要請に応えていくことであります。具体的には、
①「グローバル化の推進」につきましては、現在は経済が減速しているものの、持続的な成長が期待できる新興国を中心とした海外市場を積極的に開拓し、海外売上高比率を30%以上へ高めていきます。そのためには、顧客志向を強化したマーケット・イン商品の投入、コスト競争力の強化、販路とサービスネットワークの拡充等の環境を整備していきます。
②「事業領域の拡大」につきましては、
長い間に培い「強み」として保有している多種多様な技術と事業を改良・革新し、画期的な新商品を開発し独創的なビジネスモデルを創造し、社会や顧客が求める「現在価値」と「将来価値」を自ら生み出し、新市場を開拓し新事業を創出していきます。
③「既存事業の強化」につきましては、
開発から製造・販売・サービス・スタッフまでの生産性と品質の向上に努めるとともに、スピード経営を実現し効率化と高付加価値化による収益の改善を促進していきます。
平成27年度に連結で売上高570億円以上、売上高経常利益率8%以上を実現するという目標を掲げ、平成25年度から「グローバル化の推進」、「事業領域の拡大」、「既存事業の強化」を実行してきましたが、大幅な未達という結果になりました。この3事業年度を通した反省として、「既存事業の強化」につきましては、一定の成果が得られたものの、「グローバル化の推進」につきましては、外部環境、即ち中国等の経済減速の影響を受けたことに加え、油空圧機器事業及び流体機器事業が海外市場の開拓に遅れたこと、「事業領域の拡大」につきましては、防衛・通信機器事業が新商品の開発・投入に遅れたことなどが大幅な未達の原因であったと認識しています。
平成28年度からの3ヶ年の中期事業計画では、平成27年度までの3事業年度の反省を踏まえ、特に「グローバル化の推進」と「事業領域の拡大」を加速させることを最重要課題として捉え、以下の施策に取り組むことで、改めて平成29年度に連結で売上高570億円以上、売上高経常利益率8%以上を実現するという目標を掲げました。
①「グローバル化の推進」につきましては、価格競争が熾烈になる中、製造原価の低減等で国際競争力を強化するとともに、コンサルタントの活用等により市場調査の期間を短縮し、現地の有力な代理店・代行店を選定して最適な販路の整備とサービスネットワークの拡充による「売れる」仕組みを構築し、グローバル化を促進していきます。
②「事業領域の拡大」につきましては、全社組織である「事業領域拡大委員会」の活動を今まで以上に強化し、各カンパニーが保有する技術、商品、販路等を横断的に組み合わせ、社会や顧客が求める課題やニーズを解決し、カンパニー制の縦割り組織からは生まれにくい新商品の開発、新市場の開拓、新事業の創出を加速していきます。特に、遅れている新商品の開発・投入については、開発期間の短縮だけではなく、競争環境の激化、研究開発費の高騰等に対応するために、社内資源だけに依存するクローズドイノベーションと、大学や他社との提携を活用するオープンイノベーションとを併用することにより、新商品を逸(いち)早く開発し他社に先駆けて市場へ投入し事業領域を拡大していきます。
③「既存事業の強化」のカンパニー制によるスピード経営の実現につきましては、人材を育成し各カンパニーの一元管理体制とスタッフの支援体制を更に強化し、不足する経営資源を適時・適切な投資をしながら、新商品の開発・投入、市場の拡大、顧客の開拓、販路の強化、サービス網の整備、製造原価の低減等を加速していきます。
なお、取締役会の監督機能をより一層強化するとともに、監督と業務執行を分離し迅速な意思決定を行うために、社外取締役が過半数を占める「監査等委員会」を有し、取締役会の業務執行権限の相当な部分を取締役に委任することができる監査等委員会設置会社に移行しました。このように引き続きステークホルダーから一層の信頼を得るため、コーポレート・ガバナンスを強化し、内部統制環境を充実させ、財務報告の信頼性を確保していきます。
また、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力に対しては、一切の関係遮断を目的として毅然とした態度で対応していきます。
株式会社の支配に関する基本方針については、次のとおりであります。
当社グループは、計測・認識・制御という働きを最先端技術で商品化し、これをお客様に提供することを通じて社会に貢献していくことを経営理念として掲げ、顧客満足のための指針はもとより環境保護や法令遵守といった7つの行動指針 ― ①創意工夫と弛まぬ努力で最高の技術と商品の開発を目指します。②市場のニーズを先取りした新商品・新事業の創出に努めます。③安全で安心できる商品・サービスを提供し、お客様の信頼に応えます。④自己を研鑚し、それぞれの分野での第一人者を目指します。⑤法令等を遵守し、社会人として誠実で良識ある行動に努めます。⑥美しい自然を守り、貴重な資源を大切にします。⑦会社の方針を共有し、情熱と使命感を持って目標達成に注力します。― のもと従業員が日々研鑚しています。当社グループは、企業価値向上のための諸施策の実施及び企業価値向上の実現は、これらを実践する従業員の高いモラルと実行力が最も重要な要因と認識しています。すなわち、経営者と従業員が目標を共有化し、ともに経営理念や行動指針を具体的な形として事業に反映させていくことが当社グループの企業価値を向上させ、ひいては株主共同の利益の維持・向上に繋がるものと認識しています。
しかしながら、当社に対してこのような認識とは異なる者から買収提案が行われた場合には、これを受け入れるか否かは株主の皆様が判断すべきですから、このような判断の機会を確保し、更には当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案するために必要な情報と相当な検討期間を確保し、買収提案者との交渉を可能とすることにより、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を低下させる買収を抑止することを目的として、当社は平成19年5月10日に開催された取締役会において、買収提案者が具体的買付行為を行う前に取るべき手続を明確かつ具体的に示した「大規模買付ルール」(買収防衛策)(以下、「本ルール」といいます。)を決議し、平成19年6月28日に開催の第76回定時株主総会に提出、承認されました。また、その後の買収防衛策を巡る種々の動向や企業買収に係る裁判例及び法令改正を踏まえ、平成28年4月28日の当社取締役会において、本ルールの継続を決議し、平成28年6月29日に開催の第85回定時株主総会に本ルールの継続を提案し、承認されました。
① 本ルールの概要
ア.本ルールの発動にかかる手続の設定
本ルールは、当社の発行する株券等に対する20%以上の買付けもしくは20%以上となる買付けを行おうとする行為又はその提案(以下、「大規模買付行為」といいます。)に対し、事前に当該大規模買付行為等に関する情報の提供を求め、当該大規模買付行為等についての分析・検討を行う時間を確保したうえで、株主の皆様に当社グループの中期経営計画や代替案等を提示したり、大規模買付者等との交渉等を行っていくための手続、更には大規模買付者に対する対抗措置発動の可否を株主総会に諮る、あるいは取締役会が対抗措置の発動を決議するなどにいたる手続を定めています。
イ.取締役会の恣意的判断を排除するための特別委員会の利用
本ルールにおいては、原則として具体的な対抗措置の実施、不実施の判断について当社取締役会の恣意的判断を排除するため、特別委員会規程に従い、当社と全く関係のない大学教授、弁護士、公認会計士等の有識者から構成される特別委員会の判断を経るとともに、株主の皆様に適時に情報開示を行うことにより透明性・公正性を確保することとしています。なお、特別委員会は以下の委員により構成されています。
<特別委員会委員>中東 正文(名古屋大学大学院法学研究科教授)
髙山 崇彦(TMI総合法律事務所パートナー弁護士)
松﨑 信 (公認会計士、荏原実業株式会社監査等委員である取締役)
② 本ルールの合理性
ア.買収防衛策に関する指針及び東京証券取引所の規則の要件を充足していること
本ルールは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則、経済産業省に設置された企業価値研究会が平成20年6月30日に発表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」並びに株式会社東京証券取引所の「有価証券上場規程」における買収防衛策の導入に係る遵守事項を完全に充足しています。なお、「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」を踏まえて本ルールに基づく対抗措置の内容として当社が大規模買付者が保有する新株予約権等を取得する場合でも、その対価として金員等の交付を行わない旨を明記いたしました。
イ.株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本ルールは、当社株式に対する大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かについて、当社取締役会の代替案を含め買収提案者の提案を十分に検討するために必要な情報と相当の期間を確保することによって株主の皆様が適切なご判断を行うことができるようにすること及び株主の皆様のために買収提案者と交渉を行うこと等を可能とし、もって当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として導入したものです。
ウ.株主意思を重視するものであること
本ルールは、第76回定時株主総会(平成19年6月28日)において、その導入のご承認をいただいた後、第85回定時株主総会(平成28年6月29日)において、その継続のご承認をいただいております。
そして、本ルールの有効期限の満了に伴い、本定時株主総会における株主の皆様のご承認をもってその継続の可否が決定することから、株主の皆様のご意向が反映されることとなっております。また、本ルールの継続の決定後、本ルールの有効期間中であっても、当社株主総会において本ルールを廃止する旨の決議が行われた場合には、本ルールはその時点で廃止されますので、いつでも株主総会にご提案いただいて本ルールを廃止することができます。
エ.独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
本ルールにおける対抗措置の発動等に際しては、当社から独立した社外者のみで構成される特別委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされています。また、特別委員会によって、当社取締役会の恣意的行動を厳しく監視するとともに、特別委員会の判断(勧告)の概要については、株主の皆様へ情報開示されることとされており、本ルールの透明な運用を担保するための手続きも確保されております。
オ.合理的な客観的発動要件の設定
本ルールは、あらかじめ定められた合理的な客観的要件、すなわち、当該大規模買付行為が当社の企業価値又は株主共同の利益を著しく低下させると合理的に判断される場合に該当しなければ対抗措置が発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みが確保されています。
カ.デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと
本ルールは、上記(ウ)のとおり、株主総会決議によりいつでも廃止することができ、また、取締役会が大規模買付者による大規模買付行為が当社の企業価値又は株主共同の利益を低下させる買収には該当しないと判断した場合には本ルールを適用しないこととできるため、当社の株式を大量に買い付けた者が、当社株主総会で、本ルールを廃止したり、取締役を指名し、かかる取締役で構成される当社取締役会の決議をすること等により、本ルールの発動を阻止することが可能です。従って、本ルールは、デッドハンド型買収防衛策ではありません。また、当社の取締役任期は1年とされており、かつ、解任要件を加重していませんので、本ルールは、スローハンド型買収防衛策でもありません。
<大規模買付ルールについてのフローチャート>本チャートは、あくまで大規模買付ルールに対する理解に資することのみを目的として参考として作成されています。
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※1 分析検討期間は原則として、60営業日以内としますが、当社取締役会は必要がある場合には、30営業日を上限として延長します。
※2 特別委員会は、当社取締役会に対して対抗措置の発動が適当か否か、あるいは発動の適否の判断が困難なので最終的に株主意思を確認するのが適当である旨を勧告し、当社取締役会は、この勧告を最大限尊重して、対抗措置の発動に関して決議を行います。